3.再 発・ 類 似事例 の発生状況 4】 「ガベキサート メシル酸塩使用時の血管外漏出」 (医 療安全情報 No.33)に ついて 【 (1)発 生 状 況 医療安全情報 No.33(平 成 21年 8月 提供)で 、「 ガベ キサー トメシル 酸塩使用時の血管外漏出」 を取 り上げた (医 療安全情報掲載件数 6件 集計期 間 :平 成 18年 1月 ∼ 平成 21年 6月 また、20 )。 回報告書 において も、報告書分析対象期間に該 当事例が報告 された ことを受け、再発 ・ 類似事例 の発 生状況 (第 20回 報告書、 P157∼ 159)で 取 り上げた。更 に、本報告書分析対象期 間 (平 成 23 年 1月 ∼ 3月 )に おいても類似 の事例 が 3件 報告 されたことから、今回の報告書で再 度取 り上げた。 本事業 開始以 降、患者 にガベ キサー トメシル 酸塩 を投与する際、添付文書の 「用法 ・ 用量 に関する 使用上 の注意」に記載されている濃度を超 えて使用 した事例 は、 平成 16年 に 1件 、平成 17年 に 3件 、 平成 20年 に 2件 、平成 21年 に 6件 、平成 22年 は 2件 であった。 (図 表 Ⅲ-37)。 図表 Ⅲ¨3‐ :│=■ ,三 7「 ガベキサー トメシル酸塩使用時の血管外漏 出」の報告件数 :=i==│= 彙 ≡Q桑:≡ 事 ,皇 ■ ■■■■ I三 ■■i ■■ 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年 図表 Ⅲ‐3‐ :1.ま '■ 一 0 0 0 0 一 一 善 0 0 0 1 1 3 1 l 1 0 0 1 2 3 8 ◆ 1 3 0 0 2 6 1 3 医療安全情報 No.33「 ガベ キサー トメシル 酸塩使用時の血管外漏出」 嚇 疇 群 ―雌 □ 廊―― 騨E財 団法人 日本医療機能評価機構 ◆ 1 0 0 0 0 1 1 1 0 春 幸 ◆ [ガ ◆ ベキサート メシ″酸塩使用時の血管外漏出] 事例 1 No.33 2α 冷年8月 た。里自.6罰 腕ldl管 外湯出と2× 2 5cm大 の漁場を確めた。その 囀 警 [イ lξ l:l:lら 11予 :夕 │,きli「 事例 ] 離 慧 2 青より慢うした。姜 5期 間や 手背に血■,コ 出を諄めた工 ■猥が軽日であつた ■め、 経迪ロヨンていた。投与終了から18日 筐 患者の言前腱Oml長 し ●●感染 による蜂3錮 淡を員い 治瑕●開始したが改善しなかっ′ Lそ つ菫 皮膚料日のレ 断によリエフオ→ Kの 強与による血晉 軟郷阻燿●口とが晰さnた 。 患者にガベキサートメシル餃塩を投与する隠 輪液が血営外に漏出し何らかの始環 を要したF例 が3件 報告されてし漱 す。そのうち、 添付文■の r用 沐 用菫に関する 使用上の注意1に 記磁されてしう 濃度を超えて使需したralが 6件報告されてし澪 す。保 針期Fel:20X薄 1月 1曰 ∼2"9年 6月 00B第 3回 報告書 「 共有すべき 医援事故情報Jに ¬部を帥 。 ガベキサートメシル醸塩は.高濃度で投与 すると血管内璧を― ることがあります。 ガベキサ,ト メシル醸EO製 昌 アガ リッ 障 注用 100mg 注射用バナベー ト100 注射用バナベー ト500 アロデー ト注射用 100m8 アロデー 聞 用500mg 注射用プロピトール 100mg 注射用プロビトール500 注劇用エフオー ワイ 100 注射用エフオーワイ500 注射用メクロセー ト100mg 注H用 メクロセー ト500mg ツクシ トン注 レミナロン注射用 100mg レミナロン注銅用500m8 藪 蘇種鸞署壽 麗鞍質機鐵彗麟腰帯雄 器 財団法人 日本医療機能評価機構 ●ガベ■サートメ‐77レ 酸場a壺 用 については添付文書をご曜語ください。 151- 医療事故防止事業部 Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況 (2)ガ ベ キ サ ー トメ シ ル 酸 塩 の 製 品 平成 23年 4月 現在 ガベ キサー トメシル酸塩の製品は以下 の通 りである。 ○ アガ リッ ト静注用 100mg Oガ ベ キサー トメシル酸塩注射用 100mg「 サワイ」 ○ガベ キサー トメシル酸塩注射 用 500mg「 サワイ」 100 0注 射用パナベー ト 100 0注 射用メクロセー ト 100mg O注 射用プロビ トール 100mg 0レ ミナロン注射用 100mg ○注射用エ フオー ワイ 0注 射用エ フオー ワイ 500 0注 射用パ ナベー ト500 O注 射用メクロセー ト500mg O注 射用プロビ トール 500 Oレ ミナロン注射用 500mg (3)事 例 概 要 本報告書分析対象期間に報告 された事例の概要を以下 に示す。 事轟列 1 【 内容】 患者は脳梗塞、肺炎、腎不全などで全身状態 が悪化していた。末梢持続点滴の血管確保 が困 難 とな り、漏れやすい状態 であり、刺入部位を変更 し再挿入を繰 り返 していた。患者は DIC とな り、レミナ ロン 1000mg十 生理食塩水 250mLを 輸液ポンプ使用 し投与 していた。開始翌 日、 右前腕部痛 の訴 えあり、点滴を刺 しかえた。その 4日 後、右前腕部発赤あ り、冷湿布貼布 した。 その 3日 後、 レミナロン投与ルァ ト刺入部 の左大腿部の発赤を発見 したが、点滴漏れで生 じた ´ か どうか判断できなかった。 その後 も点滴漏れがあ り、適宜刺 しかえた。末梢での血管確保が 困難 であったため、主治医は中心静脈 カテーテルを挿入 した。その後、右前腕部 に潰瘍形成が あ り、処置を看護サイ ドで行っていた。右前腕部の皮膚潰瘍の症状が改善されないため主治医 から皮膚科受診を依頼 され、点滴漏れによる皮膚壊疸 と診断され、皮膚科処置を開始 し、デブ リドマン しながら症状は改善 した。 【 背景・要因】 細い脆弱な血管にレミナロンを投与 していたため、血管外漏出を来た し潰瘍形成 した。細 い 脆弱な血管 に輸液ポ ンプを使用しレミナロンを注入 していた。浮腫 もあ り、病状によるものかヾ 点滴漏れによるものか判断できず、潰瘍形成は病状によるものと思い込んでいた。輸液ポンプ 使用時は血液の逆流を確認することになっていたが、マニュアルが遵守されていなかった。薬 品の添付資料 には「中心静脈カテー テルにて投与するのが望ましい」 となっていたが、血小板 減少や感染 リスクもあ り、医師は中心静脈カテーテルの挿入を躊躇していた。溶解濃度は 0.2% 以下 の濃度を推奨 しているが、腎不全もあ り、医師は水分負荷を制限 していた。看護師は レミ ナ ロンの副作用に皮膚潰瘍や壊疸がある ことを知 らなかったため、対応が遅れた。医師も高濃 度で投与するリスクを知 らなかった: -152- 3.再 発・ 類似事例の発生状況 2 鋼 【内容】 患者 は高 齢であるため、総胆管結石の治療は、内視鏡的 治療を行 っていた。途 中 DICを 併 発 し、レミナ ロン 1500mg+5%ブ ドウ糖 250mLを 開始 した。患者は、認知症があ り、点滴ルー トを引 っ張 った り、 自己抜去す ることがあった。 また、血 管確保が困難 であ り、点滴が漏れて 差 し替 える ことが何度かあった。 レミナ ロン投与開始後 4日 目、看護師は レミ ナ ロン投与中で ある右足背部の点滴刺 入部 が 暗赤色 を呈 していたため、点滴を抜針 し、刺 しかえた。看護師は 右足背部 に膿性の浸出液 と周 囲 の発 赤を発見 し主治 医 に報告 した。 その後、ゲ ンタシン軟膏を 塗布、連 日処置を行 っていた。 しか し、皮膚症状は改善 しないため、皮膚科受 診 した。皮膚 は 壊疸化 してお り、感染を コン トロール しながら壊疸部をデブ リ ドマン した。 背景・ 要 因】 【 患者は高齢、敗血症 もあ り、血管 が脆弱状態であ った。 認知症 があ り、点滴ルー トを触 るな ど危 険行為 が見 られ、 自己抜去するな ど、薬剤 が血 管外 に漏出する状況であ った。 また、 自己 抜去防止 のため、患者の手が届 かない足背の血管を選択 していた。足背の細 い血管に レミナ ロ ンを輸液 ポ ンプを使用 しなが ら投与 していた。細 い 血管のため血 流が悪 く、壊疸 も治癒 しに く い状況であった。 レミナ ロンの濃度は 0.2%以 上の高濃度であ り、血管外漏出すると皮膚 潰瘍・ 壊疸 を発生 する リスクが高 い 状態 であった。 レミナ ロンの 副作用の知識が不足 していたため、 皮膚観察 が不十分であ り、対応が遅れた。 医師も危機意識がなか った。 事例 3 【 内容】 患者 は重症感染症を伴 った重 篤 な状況で DICが 危惧され、大量輸血後でもあるため、肺機 能障害対策 も考慮 して レミナ ロ ン投与が開始 された。 1500mg/dayの レミナ ロン投与が行われ たが、 中心静脈ルー トはカテ コ ラミンな どの投与のため使用できず、新たな中心 静脈 ルー トの 確保を試 み られたが不可能 であ ったため、末梢 ルー トよ り単独で、循 環不全 のため極力輸液量 を減少 (0.6%)し 調整 して投 与 した。その後ルー ト挿入部 の発 赤 (2 cm)が 認 め られ、投与を 中止、ル ー ト抜去 した。 2日 後、発赤部位は生理食塩水ガー で湿潤環境 の保持 に努め、褥塘チー ムが介入 し処置を行 ったが、腫脹発赤の増悪が認め られ、壊死部位のデブリドマ ンを開始 した。 【 背景・ 要 因】 やむを得ない状況下であつたが、 0.6%と い う濃度は末梢 静脈投与 におい て推奨 されている上 限 の 3倍 であったため、 2日 間弱 とい う短期間であ っても今回の事象 のよ うな皮膚潰瘍・ 壊死 を惹起 した と推察 される。大量 のカテ コラミンが投与され末梢循環 が低下 してい たことや、重 度 の糖尿病 を患 ってお り、創傷治癒能力の低下 も加 わ っていた と考 え られるが、高濃度 レミナ ロンの末梢静脈投与が皮膚 潰瘍・ 壊死 の主因 と言 わぎるを得ない。患者は生命 が危機的な状態 であった こ とから、抗 DIC投 与量 (1500mg/daylで の レミナ ロン投与が選択 された。 またレ ミナロンが 0.6%の 濃度で末梢ルー トから投与された ことに 関 しては、他の薬剤投与のため 中心 静脈ルー トが使用できず、新 たなルー ト確保を試み られたが不可能であった こ と、 DICな ど 重篤な病態 に移行させない こ との重要性な どを考慮 して行った。 -153¨ Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況 (4)ガ ベ キサー トメシル酸塩を投与 する際の濃度 について ガベキサー トメシル酸塩の添付文書において、高濃度で使用 した場合、血管内壁を障害し、静脈炎 等を起こすことがあるとして、以下の注意が記載されている。 《用法・ 用量》 添付文書よリ ー部抜粋 <用 法・用量 に関連する使用上の注意> │ 汎発 性血管内血液凝固症 には本剤 は高濃度で血管内壁を障害 し,注 射部位及び刺入 した血管 に沿 って静脈炎や硬結,潰 瘍 ・ 壊死 を起 こす ことがあるので,末 梢血管から投与す る場合, │ 本剤 100mgあ た り50mL以 上の輸液 (0.2%以 下)で 点滴静 こ 注することが望ましい。 │ │ │ │ また、本報告書対象期間までに本事業 に報告 された全 事例で溶解 されていた 10oO∼ 2000mgの 範 囲で添付文書で掲載 されているガベ キサー トメシル酸塩 の濃 度を 0.2%以 下 に する場合の輸液量の例 を表に示す (図 表 Ⅲ-39)。 図表 Ⅲ-3‐ 9 繁 妻糞三:==2圧 顔塩り用墓 1000mg 1500mg 2000Щ 500mLら (L 750紀 ら(上 1000紀 じ(_L (5)事 例 の発 生 状 況 につ い て 本事業に報告された、患者にガベキサー トメシル酸塩を投与する際、添付文書の「用法・ 用量に関 する使用上の注意」 に記載されている濃度 を超えて末梢静脈から点滴 した事例 17件 を分析 した。 ①発生状況について 本事業に報告された、患者にガベ キサー トメシル酸塩を投与する際、添付文書の「用法・ 用量に 関する使用上の注意」 に記載されてい る濃度を超えて使用した事例 17件 について、患者の状況、 ガベキサー トメシル酸塩の溶解量、濃度等について肇理 した (図 表 Ⅲ-310)。 ガベ キサー トメシ ル酸塩の濃度は 0.32∼ 4.17%で あ り、希釈 した輪液は生理食塩水やブ ドウ糖液、投与速度は 2∼ 2 0mL/hで あった。高濃度で使用する場合、配合物の少ない希釈液を使用 したり投与速度を 緩徐 にしても、皮膚の障害が生 じている。 -154- 3.再 発・ 類似事例 の発生状況 種 華 図表 Ⅲ‐3-10 本事業に報告された全事例 膵腫瘍術後 1 (17例 )の 発生状況 灯 パナベー ト2000mg 5%ブ ドウ糖 48mL 2 細菌性腸炎に合併 した急性 F O Y 1500口 g 膵炎 生理食塩水 3 腹部大動脈瘤術後の DIC F O Y 1200mg 5%ブ ドウ糖 4 DIC パナベー ト2000mg 5%ブ ドウ糖 100mL 5 急性膵炎 アロデー ト2000mg 生理食塩水 100mL 6 左腎 。尿管全摘術、経尿道 的 膀 脱 腫 瘍 切 除 術 後 の F O Y 2000mg DIC 25% 2mL/h 20% 4mL/h 20% 4mL/h 2%― → 0_4% 4-20mL/h 075% 不明 0.4% 不明 06% 不明 0.6% 不明 04% 不明 250mL 04% 10mL/h 04% 2mL/h 04% 4mL/h 48mL 5%ブ ドウ糖 100mL、 そ の 後 5%ブ ドウ 糖 500mLへ 変更 DIC レミナ ロン 1000mg 生理食塩水 DIC レミナロン 重症感染症を伴 った DIC レミナロン 1500m8 輸液 卵巣癌 一―卜 2000mg ′ヽナ ベ ヽ 生理食塩水 DIC レミナロン 13 敗血症 に合併 した DIC F O Y 2000rng 5%ブ ドウ糖 500mL 14 DIC ート 1000mg ノ` ナベー 生理食塩水 15 DIC 8 9 (事例 2) 10 (事例 11 3) 1500mg 1000mg ドウ糖 200mL 250mL 5%ブ ドウ糖 250mL 250mL 5%ブ 500mL ドウ糖 250mL レ ミ ナ ロ ン 1000mg、 3日 間、 そ の 後 レ ミナ 5%ブ ドウ糖 500mL ロン 1600mR 16 17 肝動脈合併膵切 除後の膵酵 不明 素阻害 感染性心内膜炎に合併 した DIC 2mL/h 不明 5%ブ (事 例 1) 417% 30% 50mL 肝臓癌 (間 質性肺炎急性増 悪によるステ ロイ ド投与な パナベー ト 1500mg どに合併 した DIC 7 約 不明 -155- → 02% 032% 20mL/h 不明 高濃度 不明 不明 高濃 度 不明
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