次世代電子・エネルギー技術産業創出 編 - 経済産業省

近畿地域における産業クラスター計画の総括と
今後のイノベーション創出活動のあり方に関する調査
次世代電子・エネルギー技術産業創出 編
-報告書-
平成 22 年3月
近 畿 経 済 産 業 局
委託先:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
《
目 次 》
調査の趣旨及び実施体制 ................................................................ 1
1.調査の趣旨 ....................................................................... 1
2.調査の実施体制 ................................................................... 1
I. 近畿地域において今後競争力を強化すべき産業・分野等の把握 .................................. 2
1.近畿地域において優位性・将来性を有する産業・分野の検討............................ 2
(1) 背景となる社会潮流 .............................................................................................................. 2
(2) 政府の方針や関連市場の動向 ................................................................................................ 5
(3) 近畿地域において優位性・将来性を有する産業・分野 ........................................................ 8
2.近畿地域において競争力を強化すべき産業とその方向性 ............................... 9
(1) 近畿地域のポテンシャル ....................................................................................................... 9
(2) 韓国等アジア諸国の追い上げ .............................................................................................. 23
(3) 近畿地域における電子・エネルギー技術産業の競争力強化に向けて ................................ 27
II. 近畿地域における今後のイノベーション創出活動のあり方の検討 ............................... 28
1.近畿地域の電子・エネルギー技術産業の競争力強化に向けた基本的考え方............... 28
(1) 基本的な考え方 .................................................................................................................... 28
(2) 対象分野のイメージ ............................................................................................................ 29
2.今後推進すべき事業の全体像 ...................................................... 30
(1) 事業の全体構造.................................................................................................................... 30
(2) ロードマップ ....................................................................................................................... 31
3.ブレイン機能(情報分析) ........................................................ 32
(1) 戦略ボード ........................................................................................................................... 32
(2) 調査・分析 ........................................................................................................................... 35
4.イノベーション創出環境整備(行動) .............................................. 36
(1) プロジェクト創出プログラム .............................................................................................. 36
(2) グローバル・コネクト・プログラム(GCP) .................................................................... 37
(3) 産学人材育成プログラム ..................................................................................................... 38
5.行動的事務局(調整機能) ........................................................ 40
(1) 行動的事務局機能の整備 ..................................................................................................... 40
(2) 関西における主な関連機関.................................................................................................. 41
まとめ ............................................................................... 42
補足資料 ............................................................................. 43
1.ワーキンググループ .............................................................. 43
2.企業ヒアリング .................................................................. 44
(1) 今後、次世代電子・エネルギー技術産業のイノベーション創出に向け、近畿地域において
取り組んでいくべきテーマ........................................................................................................... 44
(2) 次世代電子・エネルギー技術産業のイノベーション創出に向けた体制づくりに関する意見
...................................................................................................................................................... 44
調査の趣旨及び実施体制
1.調査の趣旨
本調査は、社会や経済全体の大きな動きや政府の方針、市場動向などをふまえ、
今後、近畿地域において重点的に競争力を強化すべき産業・分野と、その現状や将
来性等を把握するとともに、次世代を見すえた上で、当該産業・分野について、今
後、イノベーション創出を推進していくために必要となる事業の基本的方向性や個
別事業の概要、実施体制等を検討することを目的とする。
2.調査の実施体制
学識経験者、企業関係者等からなるワーキンググループを設け、事務局が各種の
統計や文献等を参考にして作成した資料に基づき検討を行うとともに、関係企業に
対するヒアリング調査も実施し、ワーキンググループでの議論を補いながら、報告
書をとりまとめることとした。
調査のフロー
Ⅰ.近畿地域において今後競争力を強化すべき産業・分野等の把握
1.近畿地域において優位性・将来性を有する産業・分野の検討
2.近畿地域において競争力を強化すべき産業とその方向性
Ⅱ.近畿地域における今後のイノベーション創出活動のあり方の検討
1.近畿地域の電子・エネルギー技術産業の競争力強化に向けた基
本的考え方
2.今後推進すべき事業のイメージ
(1)ブレイン機能(情報分析)
(2)イノベーション創出環境整備(行動)
(3)行動的事務局(調整機能)
1
I.近畿地域において今後競争力を強化すべき産業・分野等の把握
1.近畿地域において優位性・将来性を有する産業・分野の検討
(1)背景となる社会潮流
近畿地域において優位性・将来性を有する産業・分野の検討に際し、まず、そ
の前提として、背景となる社会潮流について、概観する。
① 「低炭素社会」実現に向けた挑戦
・ 2009 年9月、鳩山首相は国連気候変動首脳会合において、温室効果ガスを 1990
年比で 2020 年までに 25%削減を目指すことを表明した。
・ 国立環境研究所が分析に用いているモデルによると、2020 年に 25%削減を達
成するために、2005 年比で、産業部門でおよそ2割、家庭部門でおよそ5割の
温室効果ガス排出削減を行うことが想定されている。
・ 同モデルでは、25%削減を実現させる取り組みとして、民生・運輸・産業・エ
ネルギー転換各部門における取り組みのほか、家庭生活において削減する様々
な取り組みイメージが示されており、住宅・家電まわりの総合的な CO2 削減が
期待されている。
図表 I-1 日本技術モデルにおける温室効果ガス排出量構成
(百万トンCO2換算)
1,500
1,346
1,261
1,358
155
1,397
189
179
202
71
79
78
1,306
1,133
188
▲10%
70
1,000
68
265
257
206
127
158
174
176
467
158
156
222
運輸部門
44
185
176
157
159
122
482
▲25%
48
197
175
500
▲20%
エネルギー転換部門
58
52
265
946
168
225
237
999
非エネルギー部門
▲15%
174
240
217
164
1,067
106
138
92
業務部門
162
130
88
456
448
442
409
398
387
366
2005
固定
2020
参照
2020
▲10%
2020
▲15%
2020
▲20%
2020
▲25%
2020
家庭部門
産業部門
0
1990
2000
(年)
(資料)国立環境研究所「日本温室効果ガス排出量 2020 年 25%削減目標達成に向けた AIM モデルによる
分析結果(中間報告)
」2009 年
② 高齢化の進展
・ 我が国は少子高齢社会を迎え、昭和 22(1947)∼24(1949)年の第 1 次ベビーブー
ムの時期に生まれたいわゆる「団塊の世代」が 60 歳以上となった。内閣府の
『高齢社会白書』
(平成 20 年版)によれば、65 歳以上の高齢人口と、15∼64 歳
の生産年齢人口との比率をみると、平成2(1990)年には 1 人の高齢人口に対し
2
て 5.8 人の生産年齢人口がいたが、平成 17(2005)年には 3.3 人になり、平成
37(2025)年には 2.0 人になると推計されている。
・ 少子高齢化の進行は、我が国全体の人口の自然減少につながり、既に総人口は
減少局面に入っている。労働力の不足や国内市場の縮小など、経済活動への影
響が懸念される。
・ 一方で、上記のような課題を社会が抱える中で、それに対応する新たなサービ
スへのニーズが高まり、新たな市場が創出されることも期待できる。例えば介
護に関連する力仕事を楽にする福祉ロボットや、女性の就業率向上を後押しす
る観点からの家電製品の革新、高齢者単身世帯向けの様々な機器・住居・イン
フラ等の刷新等が考えられる。
図表 I-2 少子高齢化の進行
(千人)
150,000
← 実績
126,926
120,000
22,041
127,768
25,761
推計 →
127,176
29,412
125,430
33,781
122,735
35,899
119,270
36,354
65歳以上
15∼64歳
0∼14歳
115,224
36,670
90,000
60,000
86,380
84,422
81,285
76,807
73,635
110,679
37,249
70,960
67,404
62,919
30,000
18,505
17,585
16,479
14,841
13,201
11,956
11,150
10,512
平成12
(2000)
平成17
(2005)
平成22
(2010)
平成27
(2015)
平成32
(2020)
平成37
(2025)
平成42
(2030)
平成47
(2035)
0
(年)
(資料)総務省「国勢調査」
、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成 18 年 12 月
推計)
」
(出生中位・死亡中位仮定)
(注)平成 12・17 年の実績値は年齢不詳を年齢階級別に案分している。
③ アジアをはじめとする新興国の経済成長
・ 我が国が近年低成長を続けている中で、アジアをはじめとする新興国は急激に
経済成長を遂げており、BRICs と呼ばれる人口の多い国々の成長は、消費財・
インフラをはじめ様々な財・サービスの大きな市場を生み出しつつある。特に
中国は GDP でドイツを上回って世界3位の経済大国となり、2010 年中には日本
を凌駕して世界2位の経済大国になると見られている。
・ また、NIES と呼ばれた国々も成長を続けており、特にシンガポールは一人当た
り GDP で日本を上回る水準まで成長した。
3
・ 我が国としては、今後、こうした新興国の活力を積極的に取り込み、ビジネス
チャンスを拡大していくことが課題となっている。
図表 I-3 BRICs 諸国の名目 GDP の推移
(百万ドル)
6,000
日本
ドイツ
ブラジル
5,000
中国
ロシア
インド
4,000
3,000
2,000
1,000
0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008 (年)
(資料)International Monetary Fund, World Economic Outlook Database, October 2009
図表 I-4 NIES 諸国の一人当たり GDP の推移
(ドル)
45,000
40,000
シンガポール
日本
韓国
台湾
香港
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008 (年)
(資料)International Monetary Fund, World Economic Outlook Database, October 2009
4
(2)政府の方針や関連市場の動向
ここでは、以上の社会潮流を踏まえながら、日本経済の成長戦略に対する政府
の考え方と、特に成長が期待される分野の市場動向について、概観する。
① 国の成長戦略
・ 政府は 2009 年 12 月、2020 年までに我が国が達成すべき目標と方向性を明確に
した「新成長戦略の基本方針」を発表した。
・ 環境・エネルギー分野については、蓄電池や次世代自動車、情報通信システム
の低消費電力化など、革新的技術開発を前倒しで進め、市場・雇用の創出を図
ることなどが謳われている。
・ 健康関連分野については、医療・介護・健康関連産業を成長産業化させること
とし、医療・介護ロボット等の関連機器やシステムの研究開発・実用化の促進
などが主要施策として謳われている。
・ 新興国の成長については、「フロンティアの開拓による成長」という観点でア
ジアの経済成長を我が国の経済成長の機会と捉え、インフラ整備のアジア展開
や「安全・安心」の国際標準化を図ることなどが主要施策として謳われている。
図表 I-5 新成長戦略の方向性
雇用・人材
科学・技術
(資料)
「
「新成長戦略(基本方針)∼輝きのある日本へ∼」のイメージ」を基に作成
② 成長産業における関連製品の市場動向
・ 上記のような背景の中で、様々な関連製品の成長が期待されるところである
が、なかでも、新興国をはじめとする量的に大きな市場向けの電子機器関連の
消費財や、低炭素社会を実現していくためのエネルギー機器など、これまで我
が国が強い技術力を維持してきた分野がいっそう成長していくことに対する
期待が大きいと考えられる。
5
・ このような観点から、以下では電子機器部材およびエネルギー機器関連部材の
代表的な品目について、その市場動向を概観しておく。
1) 電子機器部材の市場動向
・ フラットパネルディスプレイやそれに関連する電子部材では、大型TFT(薄
膜トランジスタ)の市場が世界的な景気後退に伴う落ち込みから徐々に回復す
るほか、TV用LEDバックライト市場が急速に拡大すると見込まれている。
・ また、有機ELや3Dディスプレイ、電子ペーパの市場も立ち上がり、拡大し
ていくものと見込まれている。
図表 I-6 フラットパネルディスプレイ関連部材市場規模推移・予測
(億円)
90,000
80,000
大型TFT
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
2007年
(実績)
2008年
(実績)
2009年
(見込)
2010年
(予測)
2011年
(予測)
2012年
(予測)
2013年
(予測)
2014年
(予測)
(資料)富士キメラ総研「2010 有望電子部品材料調査総覧」
図表 I-7 フラットパネルディスプレイ関連部材市場規模推移・予測
(億円)
10,000
TV用LEDバックライト
9,000
有機ELディスプレイ
3Dディスプレイ(10in以上)
8,000
TV用LED光源
電子ペーパ
7,000
ITOフィルム
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
2007年
(実績)
2008年
(実績)
2009年
(見込)
(資料)富士キメラ総研「2010
2010年
(予測)
2011年
(予測)
2012年
(予測)
2013年
(予測)
有望電子部品材料調査総覧」
6
2014年
(予測)
2) エネルギー機器関連部材の市場動向
・ エネルギー機器関連部材では、スマートグリッド(次世代送電網)の構築に関
する関心が高まっており、そのために必要な部材の成長が見込まれている。例
えば、スマートメーターの市場が立ち上がりつつあり、NAS 電池、高速 PLC モ
ジュールとともに、市場拡大が期待される。
・ また、電池をはじめとする新エネ・省エネ関連部材は太陽電池部材を中心に
2013 年以降大幅に拡大し、2015 年には合わせて6兆円を上回る市場になる見
込みである。
図表 I-8 スマートグリッド関連部材の市場規模推移・予測
(億円)
600
NAS電池
高速PLCモジュール
500
スマートメータ
400
300
200
100
0
2007年度
(実績)
2008年度
(実績)
2009年度
(見込)
(資料)富士キメラ総研「2010
2010年度
(予測)
2011年度
(予測)
2013年度
(予測)
2015年度
(予測)
2017年度
(予測)
有望電子部品材料調査総覧」
図表 I-9 新エネ・省エネ関連部材の市場規模推移・予測
(億円)
70,000
有機EL部材
LED部材
燃料電池部材
蓄電池部材
太陽電池部材
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
2007
(実績)
2008
(実績)
2009
(見込)
(資料)富士経済「2009
2010
(予測)
2011
(予測)
2013
(予測)
2015
(予測)
電力・エネルギーシステム新市場」
7
2017
(予測)
2015 年度
(予測)
(3)近畿地域において優位性・将来性を有する産業・分野
以上の考察と、産業クラスター計画「関西フロントランナープロジェクト」を
展開してきた実績を踏まえ、近畿地域において優位性・将来性を有し、今後、競
争力を強化すべき産業・分野の一つとして、「電子機器・エネルギー機器」関連
産業を想定し、次項において、そのポテンシャルや課題、この後の方向性につい
て、検討していくこととする。
8
2.近畿地域において競争力を強化すべき産業とその方向性
(1)近畿地域のポテンシャル
「電子機器・エネルギー機器」関連産業に関する近畿地域のポテンシャルを、
生産拠点の最近の立地動向や関連企業の取組状況、代表的な製品別の企業集積と
いった観点から概観する。
① 生産拠点の立地動向
・ 大阪湾ベイエリアなどではディスプレイや太陽光パネルなど、電子機器・エネ
ルギー機器の工場が集積している。また、次世代エネルギーの代表格であるリ
チウムイオン電池の世界の約 30%は近畿地域で製造されているともいわれて
いる。
・ さらに近年、電子機器・エネルギー機器生産拠点の新設・増設が相次いでおり、
今後、近畿地域における集積度はますます高まるものと期待される。
図表 I-10 近年の電子機器・エネルギー機器生産拠点立地動向
【兵庫県】尼崎市
パナソニック(株)
プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)
投資金額 第5工場(尼崎第3工場)
2,100億円
09年度竣工
【京都府】福知山市
ブルーエナジー(株)
ハイブリッド車用リチウムイオン電池
投資金額 250億円 10年秋稼働予定
生産能力: 12万台/月
【滋賀県】野洲市
京セラ(株)
太陽電池セル
【兵庫県】加西市
三洋電機(株)
リチウムイオン電池
投資金額 300億円
09年度竣工
10年7月稼働予定
生産能力: 1,000万個/年
【大阪府】大阪市(住之江区)
パナソニックエナジー(株)
リチウムイオン二次電池
投資金額 1,000億円程度
【兵庫県】姫路市
(株)IPSアルファテクノロジ
液晶パネル
投資金額 2,350億円
09年生産開始予定
生産能力: 5,000万個/月
10年7月稼働予定
生産能力: 40万台強/月
【兵庫県】高砂市
旭硝子(株)
ガラス基板
投資金額 300億円
【大阪府】貝塚市
【兵庫県】南あわじ市
三洋電機(株)
リチウムイオン電池
投資金額 約300億円
09年度竣工予定
生産能力: 500万㎡/年
09年度までに順次竣工
生産能力: 9,000万個/年
【大阪府】堺市
シャープ(株)
液晶パネル・薄膜太陽電池
投資総額 1兆円
09年10月一部稼働
生産能力: 7万2千枚/月
(資料)近畿経済産業局調べ
② 近畿地域に拠点を置く企業の電子・エネルギー関連分野についての動向
・ 近畿地域に本社等の拠点を置く主要企業は、工場等の生産拠点を置いているほ
か、電子・エネルギー関連分野についての様々な研究開発・製品開発を行って
おり、分野も素材・部材からシステムまで多岐にわたっている。
9
図表 I-11 近畿に拠点を置く企業の電子・エネルギー関連分野についての動向(全体)
素材・部材
●
●
●
船井電機
◇
ダイキン工業
◇
先端材料研究として電池エネルギー分野に注力。
NTN
エア・ウォーター
●
ダイセル化学工業
●
●
●
●
●
●
ホシデン
部
素
材
・
装
置
・
機
械
●
ローム
● ●
GSユアサ
● ●
村田製作所
●
●
島津製作所
●
住友金属工業
●
住友電気工業
積水化学工業
川崎重工
大日本スクリーン製造
東洋紡
●
日東電工
●
●
●
●
● ●
●
●
●
●
風力発電・電気自動車等幅広い用途に向けてコンデンサ
を供給。
「家まるごとパナソニック」と称してグループ企業と連携し
◇
て家庭におけるCO2削減を推進。
ソーラーパネル用防水コネクタ横型ダブルアクションス
イッチ等を開発。
SiCなどの新材料の開発で先行。LED照明用モジュールに
も強み。
自動車向けリチウムイオン電池の開発に強み。三菱自動
◇
車、ホンダ等へ提供。
スマートグリッド分野を見据え、パワーインダクタ、電機二
● 重層コンデンサなどの部品事業を強化。
太陽電池成膜装置を製造。
シリコンカーバイド単結晶の溶液成長法の開発、燃料電
●
池材料の開発等。
エコカー向けハーネス、GaN基板の研究開発等。
●
太陽電池パネル向けフィルム等の開発。
●
大型ニッケル水素電池システム「ギガセル」を開発。
有機EL、太陽電池等のパネル製造装置を製造。
燃料電池向け電解質膜など、膜・フィルム分野に強み。
●
●
日本触媒
日本電機硝子
●
◇
● ●
●
日本電産
関西電力
イ
ン
フ 西日本電信電話
ラ
自
動
車
・
住
宅
●
◇
●
◇
大阪ガス
●
ダイハツ
積水ハウス
◇
◇
大和ハウス工業
パナホーム
エコカー向け軸受けのほか、風力発電の軸受けも開発。
大型水素発生装置の開発。
パネル向け材料の開発。阪大と太陽電池と有機ELについ
て共同開発。
偏光板素材に用いる酢酸セルロースで強み。
ニチコン
パナソニック電工
●
●
● ●
概要
ト
グ
リ
「家まるごとパナソニック」と称してグループ企業と連携し
て家庭におけるCO2削減を推進。
太陽光発電のバリューチェーン全体を手掛ける。
電池事業の強みを生かしてエナジーソリューション事業に
参入。
SOFCの実用化、太陽光発電における自動車等異業種と
の連携等を強化。
CO2排出量をコントロールするソリューション事業の展開
● を図る。
ディスプレイとストレージの要素技術開発及びデバイス開
発基盤の確立を目指した研究。
◇
●
● ●
ス
マ
ド
●
●
オムロン
カネカ
水 住 エ
素 宅 コ
エ
カ
ネ
ル
ギ
●
●
三洋電機
電 京セラ
機
風
力
発
電
ッ
シャープ
太
陽
光
発
電
ー
● ●
リ
チ
ウ
ム
イ
オ
ン
電
池
ー
燃 ニ
料
電 ケ
池 ル
水
素
電
池
ー
パナソニック
L
E
D
ッ
有 パ 次
機 ネ 世
E ル 代
L
半
導
体
利用先
・システム
次世代エネルギー
◇
電気自動車・太陽光発電向けなどの部材を供給。
薄型テレビや太陽電池向けにUVカットコーティング剤を開
発。
パネル向け超薄型硝子の開発のほか、二次電池向け材
料の開発も。
エコカー向け中型モーターの開発を強化。
堺浜にメガソーラー発電所を着工。SiCを用いたインバー
タの実用化研究。
次世代ネットワークの開発、グリーンICTの推進等。
ダブル発電等を駆使したスマートハウスの実証実験を開
● 始。
●
◇
●
◇ ◇
●
●
●
貴金属を全く使わない燃料電池の基礎技術を開発。
「CO2オフ住宅」の開発。
CO2排出量を80%カットする住宅の販売や、LED照明の
商業施設への導入を推進。
「家まるごとパナソニック」と称してグループ企業と連携し
て家庭におけるCO2削減を推進。
( 注 )●はその企業の中心的な業務分野としての、◇は周辺で関連する業務分野としての取組み。
(資料)各社プレスリリース、アニュアルレポート等各種資料をもとに作成。
10
図表 I-12 関西に拠点を置く企業の電子・エネルギー関連分野についての動向(個別)
キーワード
企業名
ダイセル化学工業
大日本スクリーン製造
日東電工
FPD
日本電機硝子
船井電機
京セラ
LED
素
材
・
部
材
ジェイテクト
LED照明用サファイヤウエバー研削盤の開発。
シャープ
LED照明灯の開発等。
大和ハウス工業
商業施設を想定したLED照明の導入。
日本電機硝子
LEDやLD光源用の蛍光材料の研究開発に取り組む。
日東電工
パナソニック電工
ローム
関西電力
次世代半導体
住友金属工業
ローム
カネカ
大日本スクリーン製造
有機EL
日本電機硝子
パナソニック電工
大阪ガス
ー
次
世
代
エ
ネ
ル
ギ
関西電力
燃料電池
記事内容
液晶パネルの偏光板材料となる三酢酸セルロースを製造。
液晶用塗布現像装置において、2008年世界シェア73%を獲
得。
偏光板の製造に強み。
薄型でより軽量を目指す「超大型」、ロールで巻き取りながら
連続成形する等の量産技術も視野に入れた「超薄板ガラス」
を開発中。
ディスプレイとストレージの要素技術開発及びデバイス開発
基盤の確立を目指した研究。
LED向けサファイア基板等の開発に取り組むほか、商業施
設への導入を想定したLED照明を展開。
LEDの高輝度化に伴う「NT-800シリーズ」(光半導体封止樹
脂)のブラッシュアップを図る。
白熱灯60形器具と同等の明るさで、消費電力が1/7のLED
ダウンライトを開発。
コンビニエンスストアなどの店舗やオフィスの照明向けに、L
EDを用いた、天井取付型シームレスベース照明モジュール
を開発。
次世代パワー半導体素子(SiC)を用いたインバータの実用
化に向けた取り組みを進めている。
シリコンカーバイド単結晶の溶液成長法を開発。
SiC製パワー素子、SiC基板、SiCパワー・モジュールなど
の開発に取り組む。2009年にはドイツの大手SiC基板メー
カーであるSiCrystal社の筆頭株主となる。
大阪大学とエネルギー分野について共同研究。薄膜技術を
生かした有機ELなどの研究にも取り組む。
有機ELディスプレーの量産化や製造コストの低減を目指し、
独自の材料塗布装置を組み込んだ有機ELパネル一貫製造
ラインの開発に取り組む。
有機EL照明用ガラス等の新照明用材料製品の研究開発に
取り組む。
NEDOプロジェクトに参画し、有機EL照明の開発に取り組
む。
固体高分子形家庭用燃料電池コージェネレーションシステ
ム「エネファーム」や固体酸化物形燃料電池を用いたガス
コージェネレーションシステムについて研究開発。
高効率の燃料電池やバイオガスエンジンの開発に取り組
む。
京セラ
SOFCの実用化に向けた開発を強化。
住友金属工業
固体高分子形燃料電池セパレータ用ステンレス材料を開発。
東洋紡
新規燃料電池用膜の開発に取り組む。
パナソニック電工
村田製作所
電力会社から送られてくる交流電気と太陽電池や燃料電池
等から創られる直流電気の使い分けで、エネルギーの効率
利用を図る「ハイブリッド住宅」の開発。
超小型・低背圧電マイクロブロアを、燃料電池セルへの空気
送風ポンプといった用途への展開も進めていく予定。
11
キーワード
企業名
川崎重工
三洋電機
GSユアサコーポレーション
蓄電池
ダイキン工業
大和ハウス工業
日東電工
HEV用に最適化して初採用し、自己放電の抑制と大幅な長
寿命化を達成したHEV用ニッケル水素電池の開発。
自動車向けリチウムイオン電池について、自動車メーカーと
合弁で生産子会社を設立して量産を図る。
先端材料研究として電池エネルギー分野に注力。(電解液
用フッ素系添加剤など)
大型リチウムイオン電池を利用した電力貯蔵システムの開
発に取り組む。
リチウムイオン電池の大きな冷却システムを、放熱テープを
電池の表面に張ることで不要にすることを目指す。
蓄電池の分野等に用いられる製品の研究開発に取り組む。
オムロン
太陽光発電システムを集中的に複数使用する際に必要とな
る単独運転防止技術「AICOT」を業界ではじめて開発し、
ソーラーパワーコンディショナへの搭載を進めている。
カネカ
薄膜ハイブリッドシリコン太陽電池の開発に取り組む。
関西電力
堺浜にメガーソーラー発電所を着工。
太陽電池セル大手。研究開発では薄膜シリコン型やシリコン
を使わないCIGS(銅・インジウム・ガリウム・セレン)型、色素
増感型などの次世代太陽電池にも取り組む。
薄膜型太陽電池等の製造プロセスの研究用として透明導電
膜等の機能膜を樹脂フィルムなどに被膜する連続式コーティ
ング装置の開発。
シリコン材料の厚みを従来の半分以下に減らしつつも、実用
サイズ(100cm2以上)で21.4%の高いエネルギー変換効率を
実現した薄型HIT太陽電池セルの開発。
太陽電池パネル向けパワーコンディショナーの製造。(パ
ワーサプライ社)
太陽電池セル国内最大手。結晶太陽電池、薄膜太陽電池を
取り扱う。
住友電設で太陽光や風力発電システムの構築、ビル・マネ
ジメントシステムの構築などにおいて、最新技術、情報化技
術を活用し、新技術、新工法、各種システムの開発に取り組
んでいる。
太陽電池パネルのシール用フィルム事業に取り組む。主力
事業の住宅カンパニーでは太陽光発電付き住宅の拡販を進
めている。
薄膜太陽電池パネル用の膜厚測定装置の商品化。色素増
感型太陽電池向けめっき技術の開発。
薄型テレビや太陽電池向けにUVカットコーティング剤を開
発。
電力会社から送られてくる交流電気と太陽電池や燃料電池
等から創られる直流電気の使い分けで、エネルギーの効率
利用を図る「ハイブリッド住宅」の開発。
接続部品ではソーラパネル用防水コネクタ横型ダブルアク
ションスイッチ等を開発。
神戸製鋼所
三洋電機
GSユアサコーポレーション
ー
太陽光発電
大型ニッケル水素電池システム(ギガセル)の応用開発。
日本電機硝子
京セラ
次
世
代
エ
ネ
ル
ギ
記事内容
シャープ
住友電気工業
積水化学工業
大日本スクリーン製造
日本触媒
パナソニック電工
ホシデン
NTN
風力発電等の産業機械用軸受の開発に取り組む。
ジェイテクト
風力発電向け軸受けについて、風車の大型化に対応。
エア・ウォーター
大型水素発生装置の開発。
関西電力
将来の水素エネルギー社会を見据えた水素供給システムの
高機能化研究。
風力発電
水素エネルギー
12
キーワード
企業名
シャープ
積水化学工業
住宅
積水ハウス
大和ハウス工業
利
用
先
・
シ
ス
テ
ム
パナホーム
NTN
神戸製鋼所
ジェイテクト
エコカー
住友金属工業
住友電気工業
オムロン
スマートグリッド
パナソニック
パナソニック電工
記事内容
シャープやパナソニック電工は太陽光パネルと家電製品を
直接つなぐ「直流家電システム」の研究に動く。→DCエコハ
ウス
主力事業の住宅カンパニーでは太陽光発電付き住宅の拡
販を進めている。
太陽光発電システムと燃料電池の発電によるCO2削減効果
で指し引きがほぼゼロとなる「CO2オフ住宅」を販売。
外張り断熱通気外壁と太陽光発電により、CO2排出量を最
大約80%減らせる住宅を発売。
家庭から排出する二酸化炭素(CO2)を実質ゼロにする環境
配慮型住宅「エコアイディアハウス」を開発。
電気自動車向けベアリングを製造開発。
銅関連で、ハイブリッド車や電気自動車に対応する材料開
発に注力。
ハイブリッド自動車用高速回転玉軸受の開発。
ハイブリッド車や電気自動車に使われるパワーデバイスに
用いることができる、結晶欠陥の少ないシリコンカーバイド単
結晶の溶液成長法を開発。
EV(ElectricVehicle)・HEV(Hybrid Electric Vehicle)用高圧
ハーネスの開発。
センシング技術を応用した電力消費の常時把握を実行中。
電力の制御システムの開発を通じてスマートグリッド分野へ
の展開を志向。
デンマークの電力会社、SEAS-NVE社と共同でスマートグ
リッド、スマートメータと連携したホームエネルギーマネジメン
トシステムの実験を開始。
(資料)各社プレスリリース、アニュアルレポート、有価証券報告書等各種資料をもとに作成。
③ 電子・エネルギー機器製品の構造と近畿地域のポテンシャル
・ 成長が期待される電子・エネルギー機器関連の製品は非常にすそ野が広く、素
材・部材等から製造装置まで考えれば膨大なものになる。以下ではその中で主
要な製品とそれらに用いられている主な素材・部材と、それを提供する、近畿
地域に本社・事業所(主要工場・研究所等)がある企業を例示する。
1) 液晶ディスプレイ
・ 液晶ディスプレイは、ディスプレイの完成品としては、シャープなどが国内で
大きなシェアを占めている。
・ ディスプレイはガラス基板、偏向板、配向膜などからなるが、偏光板を供給し
ている日東電工をはじめ、さまざまな素材・部材を提供する企業が近畿地域に
製造拠点等を持っている。
13
図表 I-13 液晶パネルのシェア(世界:2008 年)
その他
24.4%
サムスン電子(韓)
21.4%
LGディスプレー
(韓)
16.5%
シャープ
11.2%
奇美電子
(CMO、台)
11%
友達光電
(AUO、台)
15.1%
( 注 )米ディスプレイサーチ調べ
(資料)日経産業新聞 編「日経市場占有率 2010 年版」
図表 I-14 液晶ディスプレイの構造
バックライト
偏光板
ガラス
基板
配向膜
透明導電膜
(画素電極、
駆動トラン
ジスタ )
液晶
透明 導電膜
(対 向電極)
カラーフィルター
ディスプレイ駆 動回路
(資料)近畿経済産業局作成
14
図表 I-15 液晶ディスプレイ関連素材・部材を提供する、近畿地域に本社・事業所(主要
工場・研究所等)がある企業例
部材名
企業
偏光板
日東電工、住友化学
偏光板素材
積水化学、ダイセル化学、コニカミノルタ
ガラス基板
コーニングジャパン、旭硝子、日本電気硝子
ディスプレイ駆動回
路:ドライバ IC
シャープ、パナソニック
積水化学、日本電気硝子、日本触媒、大阪有機
化学
スタンレー電気
液晶用スペーサー
バックライト
凸版印刷
カラーフィルター
(事業所の設置を予定している企業を含む。以下、同じ。
)
2) プラズマパネルディスプレイ
・ プラズマパネルディスプレイの世界シェアはパナソニックが世界トップのシ
ェアを誇っている。
・ ディスプレイはガラス基板やその内側にあるセル部などにさまざまな素材・部
材が用いられているが、日本電気硝子をはじめとする企業が主要な供給者とし
て近畿地域に立地している。
図表 I-16 プラズマパネルディスプレイのシェア(世界:2008 年)
パイオニア
4.2%
その他
0.1%
日立製作所
4.3%
パナソニック
39.2%
LG電子(韓)
22.7%
サムスンSDI(韓)
29.5%
( 注 )米ディスプレイサーチ調べ
(資料)日経産業新聞 編「日経市場占有率 2010 年版」
15
図表 I-17 プラズマパネルディスプレイの構造
【セル部一 画素断面拡大図 】
透明電 極
前面ガラス
基板
ガラス
基板
保護 膜
(MgO)
誘電
体層
隔 壁(リブ)
背面ガラス
基板
誘電体
層・電極
蛍光体
データ 電極
セル部(隔壁 、
蛍光体、ガ ス)
前面版
保護膜・誘 電
体層・電極
(資料)近畿経済産業局作成
図表 I-18 プラズマパネルディスプレイ関連素材・部材を提供する、近畿地域に本社・事
業所(主要工場・研究所等)がある企業例
部材名
企業
ガラス基板(高歪点ガラス) 旭硝子、日本電気硝子
前面板(光学フィルタ)
ディスプレイ駆動回路:
ドライバ IC
透明誘電体層
(低融点ガラスペースト)
リブ(隔壁)材
(低融点ガラス)
フジプレミアム
パナソニック
日本電気硝子、東レ
日本電気硝子、東レ
16
3) リチウムイオン電池
・ リチウムイオン電池については、最終製品においても三洋電機やパナソニック
といった近畿地域の企業が大きなシェアを占めているが、素材・部材について
も、中心的な材料である電極材、セパレータなどを中心に、それらの製品を供
給する企業の製造拠点が近畿地域に集積している。
図表 I-19 リチウムイオン電池のシェア(世界:2008 年)
その他 3.8%
日立マクセル 5.3%
パナソニック 6.0%
三洋電機
三洋GS
ソフトエナジー
23.0%
BAK(中)
6.6%
サムスンSDI(韓)
15.0%
LG化学(韓)
7.4%
BYD(中)
8.3%
ソニー 14.0%
( 注 )IT総研資料からNEDO作成
(資料)NEDO「次世代自動車用高性能蓄電システム技術 開発事業(Li-EAD プロジェクト)の概要」2009 年
図表 I-20 リチウムイオン電池の構造
(資料) 各種資料を参考に三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成
17
図表 I-21 リチウムイオン電池関連素材・部材を提供する、近畿地域に本社・事業
所(主要生産拠点・研究所等)がある企業例
部材名
企業
ガスケット
大和化成、淀川ヒューテック
保護 IC
ローム
電解質・電解液
ステラケミファ、住友精化、宇部興産
正極材
田中化学研究所
負極材
中央電気工業、SECカーボン
セパレータ
旭化成、日東電工、住友化学
4) 太陽光発電システム
・ 太陽光発電システムについては、パネル製造について、世界の企業がしのぎを
削っているが、日本企業の主要なプレーヤーはシャープ、京セラ、三洋電機な
ど近畿地域に拠点を置いている企業といえる。
・ また、製造装置やカバーガラス、封止材として使用されるフィルムなど、太陽
光パネルに関連する様々な分野の素材・部材の製造や開発が近畿地域で行われ
ている。
・ さらに、太陽光パネルを住宅に設置し、発電装置として機能させる段階を考え
れば、パワーコンディショナーや住宅など、様々な企業が関係してくるが、そ
の分野においても近畿地域に立地する企業の存在感は大きい。
図表 I-22 太陽光発電システム
Qセルズ(独)
8.2%
ファーストソーラー
(米)
7.3%
サンテック(中)
7.2%
その他
49.2%
シャープ
6.8%
モーテック(台)
5.5%
京セラ
4.2%
インリーグリーンエ
ナジー(中)
JAソーラー(中)
4.1%
4.0%
サンパワー(米)
3.4%
( 注 )PV News調べ
(資料)東洋経済新報社 編「会社四季報業界地図 2010 年版」
18
図表 I-23 太陽光発電システム
(資料)NEDO ホームページ
図表 I-24 太陽光パネル関連素材・部材を提供する、近畿地域に本社・事業所
(主要生産拠点・研究所等)がある企業例
部材名
パネル製造
セル製造
製造装置関連
企業
シャープ、京セラ、三洋電機、三菱電機、
カネカ、クリーンベンチャー21
SUMCO(シリコンウェハ)
東洋アルミニウム(裏面電極)
島津製作所、大日本スクリーン、東京製綱
封止材
旭硝子、コーニングジャパン
東レ、帝人(PETフィルム)
三菱樹脂(ガスバリアフィルム)
積水化学
パワーコンディショナー
オムロン、GS ユアサ・パワーサプライ
カバーガラス
バックシート
19
5) その他の製品
・ 上記の製品のほかにも、電気機器で近畿地域に拠点を置く企業が高いシェアを
持っているものは多い。
・ 例えばブルーレイディスクや DVD 録再機などは、パナソニックとシャープで国
内市場の3分の2を占めている。
・ このほか、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などのいわゆる「白物家電」に
ついてもパナソニック、シャープ、三洋電機、ダイキン等が高い国内シェアを
誇っている。
・ これらからいえることは、どちらかといえば産業用途よりも民生用、家庭用の
消費財において高いシェアを持っている企業が多く、今後成長が期待される新
興国の市場において、どれだけ浸透できるかという点も、近畿地域全体の経済
発展にとって、重要な意味を持ってくると考えられる。
図表 I-25 その他近畿地域に拠点を置く企業が高いシェアを占めている電気機器の例
【ブルーレイディスク(国内)
】
【DVD録再機(国内)】
三菱電機
1.0%
日本ビクター
0.5%
DXアンテナ
3.7%
その他
2.4%
ソニー
13.3%
シャープ
30.0%
パナソニック
36.4%
パナソニック
35.4%
東芝
15.2%
ソニー
32.1%
シャープ
30.0%
(資料)日経産業新聞 編「日経市場占有率 2010 年版」
20
(資料)日経産業新聞 編「日経市場占有率 2010 年版」
【エアコン(国内)
】
【冷蔵庫(国内)】
その他
27.0%
パナソニック
24.0%
パナソニック
22.0%
その他
44.0%
ダイキン
18.0%
三菱電機
14.0%
日立製作所
17.0%
(資料)東洋経済新報社 編
「会社四季報業界地図2010年版」
(資料)東洋経済新報社 編
「会社四季報業界地図2010年版」
【洗濯機(国内)
】
その他
20.0%
【掃除機(国内)
】
その他
19.0%
東芝
26.0%
パナソニック
26.0%
三洋電機
12.0%
シャープ
12.0%
日立製作所
20.0%
シャープ
19.0%
三菱電機
15.0%
パナソニック
22.0%
日立製作所
20.0%
(資料)東洋経済新報社 編
「会社四季報業界地図2010年版」
東芝
23.0%
(資料)東洋経済新報社 編
「会社四季報業界地図2010年版」
21
6) 知的財産
・ 近畿地域の企業は家電ネットワークや太陽電池に関連する特許出願を数多く
行っているほか、大学や企業による論文の発表も数多くなされているなど、知
的財産分野でも高いポテンシャルを持っている。
図表 I-26 日米欧中韓への特許出願における出願人別出願件数上位ランキング
【情報機器・家電ネットワーク制御技術:応用技術】
【太陽電池】
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
出願人
出願件数
パナソニック
ソニー
東芝
シャープ
松下電工
日立製作所
SAMSUNG ELECTRONICS(韓国)
キャノン
KONINK PHILIPS ELECTRONICS(オランダ)
三洋電機
船井電機
375
242
169
137
124
107
97
83
77
68
66
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
出願人
出願件数
シャープ
京セラ
キャノン
三洋電機
三菱重工業
カネカ
富士電機ホールディングス
パナソニック
信越化学工業
信越半導体
(資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書
情報機器・家電ネットワーク制御技術」
691
617
541
466
244
236
196
146
124
98
(資料)特許庁「特許出願技術動向調査
報告書 太陽電池」
(注)両調査とも、優先権主張年ベースで 2000-2006 年に出願されたものをカウントしている。
図表 I-27 研究者所属機関別発表件数ランキング(太陽電池:2000−2007 年)
順位
⋮
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
研究所属機関名(国籍)
国立再生可能エネルギー研究所(米国)
ハーンマイトナー研究所(ドイツ)
フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所(ドイツ)
ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)
産業技術総合研究所
東京工業大学
IMEC(ベルギー)
シュツッツガルト大学(ドイツ)
大阪大学
ユーリヒ総合研究機構(ドイツ)
23 京都大学
25 立命館大学
28 シャープ
発表件数
246
114
86
80
73
66
59
57
57
51
33
30
28
(注)国際的な主要論文誌 25 誌における発表件数
(資料)特許庁「特許出願技術動向調査報告書 太陽電池」
22
(2)韓国等アジア諸国の追い上げ
以上のように、電子・エネルギー関連機器は、今後の市場拡大が見込まれる
うえ、近畿地域には多くの開発・製造拠点を持つ企業が集積しており、近畿地
域における今後の経済成長を考えたとき、大変有望な分野と言うことができる。
しかしながら、近年、DRAM メモリーをはじめとする半導体や DVD プレーヤー、
カーナビゲーションシステムなどの電子機器など、日本企業が世界最先端の技
術を持ち、販売当初は圧倒的な競争力やシェアを持ちながら、世界的なマーケ
ットの拡大に伴い、海外企業にシェアを奪われてしまったり、あるいは奪われ
つつあるケースも多くみられる。
各社における研究開発の促進だけにとどまらない、新たなイノベーションの
あり方、競争力の備え方が求められていると言える。
以下では代表的な製品におけるシェア低下の例を紹介する。
図表 I-28 日本企業の電子・エネルギー関連機器の世界市場シェアの推移
(資料)小川鉱一「プロダクト・イノベーションからビジネス・モデル・イノベーションへ」
IAM Discussion Paper Series #001
23
1) 薄型テレビ
・ 薄型テレビ(液晶テレビ・プラズマテレビ)の世界シェアは、2005 年段階では
上位4社が 10%前後のシェアで激しく競っていたが、2008 年にはサムスン電
子 20%のシェアを占め、パナソニックやシャープは3位の LG 電子よりも低い
シェアとなっている。
図表 I-29 薄型テレビの世界シェアの変遷
【05 年】
【08 年】
シャープ
13.2%
サムスン電子
20.3%
フィリップス
13.3%
その他
42.4%
その他
40.4%
ソニー
12.3%
サムスン電子
11.3%
LG電子
11.0%
ソニー
9.9%
シャープ
8.0%
パナソニック
9.9%
パナソニック
8.0%
( 注 )米ディスプレイサーチ調べ
(資料)東洋経済新報社 編「会社四季報業界地図 2010 年版」
2) 太陽電池セル
・ 太陽電池セルは、2005 年の世界シェア上位5社のうち、4社が日本企業となる
など、日本が大きなシェアを誇っていたが、その後、中国、ドイツの企業のシ
ェアが拡大しており、2008 年では、上位 5 社にはシャープしか残っていない。
図表 I-30 太陽電池セル生産量のシェア
【国別比率の変化】
【シェア上位企業の変化】
年
0%
20%
40%
60%
80%
100%
2005年
2005年
47.2
6.9
17.4
28.5
2007年
2007年
24.6
22.0
19.8
33.6
2008年
日本
中国
ドイツ
その他
(資料)資源エネルギー庁
24
順位
1
2
3
4
5
1
2
3
4
4
1
2
3
4
5
企業名
シャープ(日)
Q-Cells(独)
京セラ(日)
三洋電機(日)
三菱電機(日)
Q-Cells(独)
シャープ(日)
Suntech(中)
京セラ(日)
First Solar(米)
Q-Cells(独)
First Solar(米)
Suntech(中)
シャープ(日)
Motech(台)
シェア
24.8%
9.3%
8.2%
7.2%
5.8%
10.4%
9.7%
8.8%
5.5%
5.5%
9.4%
8.3%
8.2%
8.0%
4.8%
3) リチウムイオン電池
・ リチウムイオン電池は三洋電機がシェアトップを維持しているものの、比率は
徐々に下がりつつあり、韓国・中国企業が急速にシェアを伸ばしている。
図表 I-31 リチウムイオン電池シェア上位企業の推移
2000年
国
メーカー
2005年
三洋電機
33.0%
三洋GSソフトエナジー
1
日
2
日 ソニー
3
日 松下電池工業
4
日 東芝
5
日 NECトーキン
6
7
国
シェア
メーカー
2008年
三洋電機
28.0%
三洋GSソフトエナジー
1
日
21.0%
2
日 ソニー
19.0%
3
韓 サムスンSDI
11.0%
4
日 松下電池工業
6.4%
5
中 BYD
日 日立マクセル
3.4%
6
中 BYD
2.9%
7
8
韓 LG化学
1.3%
9
韓 サムスンSDI
0.4%
国
シェア
メーカー
シェア
三洋電機
23.0%
三洋GSソフトエナジー
1
日
13.0%
2
韓 サムスンSDI
15.0%
11.0%
3
日 ソニー
14.0%
10.0%
4
中 BYD
8.3%
7.5%
5
韓 LG化学
7.4%
韓 LG化学
6.5%
6
中 BAK
6.6%
中 天津力神
4.5%
7
日 Panasonic
6.0%
8
日 NECトーキン
3.6%
8
日 日立マクセル
5.3%
9
日 日立マクセル
3.3%
9
香 ATL
3.8%
( 注 )IT総研資料からNEDO作成
(資料)NEDO「次世代自動車用高性能蓄電システム技術 開発事業(Li-EAD プロジェクト)の概要」2009 年
4) 知的財産
・ 知的財産の分野でも、例えば家電ネットワーク制御技術について、基盤技術で
はサムスン電子の出願数がパナソニックを上回っており、分野全体でも海外の
特許出願はサムスン電子が上位を占めている。日本企業は技術力の高さを競争
力の源泉としていたが、この分野でも韓国企業が競争力を持ちつつあることが
うかがえる。
図表 I-32 日米欧中韓への特許出願における出願人別出願件数上位ランキング
(情報機器・家電ネットワーク制御技術:基盤技術)
順位
出願人
出願件数
1 SAMSUNG ELECTRONICS(韓国)
921
2 パナソニック
850
3 ソニー
841
4 KONINK PHILIPS ELECTRONICS(オランダ)
465
5 東芝
442
6 LG ELECTRONICS(韓国)
439
7 松下電工
395
8 シャープ
322
9 日立製作所
313
301
15 船井電機
122
⋮
10 THOMSON LICENSING(フランス)
16 三洋電機
111
18 日本電信電話
100
(注)優先権主張年ベースで 2000-2006 年に出願されたものをカウント。
(資料)特許庁「平成 20 年度特許出願技術動向調査報告書情報機器・家電ネットワーク制御技術」
25
図表 I-33 特許出願の各出願先国における出願人別出願件数上位ランキング
(情報機器・家電ネットワーク制御技術)
日本への出願
№
出願人
米国への出願
件数 №
出願人
欧州への出願
件数 №
出願人
中国への出願
件数 №
出願人
韓国への出願
件数 №
出願人
件数
SAMSUNG
1,160 1 ELECTRONICS
(韓国)
SAMSUNG
239 1 ELECTRONICS
(韓国)
SAMSUNG
132 1 ELECTRONICS
(韓国)
LG
159 1 ELECTRONICS
(韓国)
281
782 2 パナソニック
140 2 パナソニック
100 2 パナソニック
SAMSUNG
117 2 ELECTRONICS
(韓国)
271
3 東芝
524 3 ソニー
KONINK
PHILIPS
126 3
ELECTRONICS
(オランダ)
4 シャープ
LG
451 4 ELECTRONICS
(韓国)
5 日立製作所
295 5
1 パナソニック
2 ソニー
KONINK
PHILIPS
ELECTRONICS
(オランダ)
KONINK
PHILIPS
87 3
ELECTRONICS
(オランダ)
ELECTRONICS&
78 3 TELECOMRES
INST(韓国)
94
THOMSON
96 4 LICENSING
(フランス)
LG
86 4 ELECTRONICS
(韓国)
KONINK
PHILIPS
75 4
ELECTRONICS
(オランダ)
71
68 5 ソニー
THOMSON
73 5 LICENSING
(フランス)
THOMSON
71 5 LICENSING
(フランス)
67
(注)両調査とも、優先権主張年ベースで 2000-2006 年に出願されたものをカウントしている。
(資料)特許庁「平成 20 年度特許出願技術動向調査報告書
情報機器・家電ネットワーク制御技術」
26
(3)近畿地域における電子・エネルギー技術産業の競争力強化に向けて
以上のことから、近畿地域における電子機器・エネルギー機器関連の産業(以
下、「電子・エネルギー技術産業」という。)の競争力強化に向けて、留意すべ
きポイントと今後の方向性として、以下のようなことが言える。
1.現在、近畿地域は情報家電や太陽光発電・蓄電池などの「電子・エネルギ
ー技術産業」の最先端の世界的集積を有する。
2.今後、新経済成長戦略に見られるように、地球温暖化や少子高齢化への課
題に対応する大きな需要の増大が見込まれ、これらの産業は、この需要に
対応することにより、さらに大きな飛躍が期待できる分野である。
3.また、これら我が国の成長産業は、世界の成長センターであるアジアの活
力を取り込み、アジアと共に生きることも非常に重要である。
4.これまでの近畿地域ひいては日本の先端産業は、ビジネスとして緒につい
た時点ではリードしていても、次第に、海外企業等にシェアだけではなく、
新たなイノベーション発出についても後塵を拝するようになることが
多々あった。(例:半導体・情報家電等)
5.現在ポテンシャルを有する「電子・エネルギー技術産業」においては、将
来にわたっても世界のナンバーワンとして輝きつづけるよう、革新的イノ
ベーションが次々に議論され、実現されていく地域となることを目指すべ
きである。
6.そのため、「電子・エネルギー技術産業」に関し、地域の総合力を結集し、
摺り合わせ技術の優位性を最大限発揮できるためのプラットフォームと
しての情報分析機能やイノベーション創出環境を整備するなど、次世代の
社会的要求を的確に捉えた戦略的な産業振興策を講じ、海外を含む他地域
より優れた事業環境を作り出す必要がある。
以上の認識に基づき、新たな産業振興策として、「次世代電子・エネルギー技
術産業ナンバーワン戦略プロジェクト」を展開することを提案し、その具体的
な方向性については、次章において、提示することとする。
27
II.近畿地域における今後のイノベーション創出活動のあり方の検討
1.近畿地域の電子・エネルギー技術産業の競争力強化に向けた基本的考え方
ここでは、近畿地域の電子・エネルギー技術産業の競争力強化を目的とする、
「次世代電子・エネルギー技術産業ナンバーワン戦略プロジェクト」の基本的な考
え方とターゲットとなる分野のイメージについて、述べることとする。
(1)基本的な考え方
・ 関西が世界的なポテンシャルを有する「次世代の電子・エネルギー技術」分野
を、競争力強化に向けた取組みのターゲットとする。
・ 激変する経済社会環境(低炭素社会の実現に対する要請、高齢化の進行、アジ
アを中心とする新興国の成長)を前向きな「好機」として捉え、次世代の社会
システム下で高まることが期待されるニーズを踏まえたイノベーション創出
を目指す。
・ 関係する分野の中心的企業による「戦略ボード」を持ち、産業ニーズを踏まえ
た的確な情報分析を行うとともに、関連施策を活用しつつ、イノベーション創
出を志向したプロジェクト・メイキングや国際連携、人材育成等の事業を展開
する。
・ クラスター活動などの既存の産業支援活動と効率よく連携し、日常的な情報収
集・分析やアクティブなプロジェクト・メイキングに加え、インフォーマルな
マッチングをも促す行動的事務局機能を整備する。
図表 II-1 競争力強化に向けたビジョンの全体像
新成長戦略に見る次世代の方向性
グリーンイノベーション
ライフ・イノベーション
アジア経済
関西の将来戦略
《現在の関西の強み》
《将来》
世界のトップランナー
として輝き続ける
電子・エネルギー技術産業
関連分野の
世界最先端のポテンシャル
地域の競争力強化のための方策
摺り合わせ技術の優位性を最大限発揮できるプラットフォーム
イノベーション創出
環境整備(行動)
ブレイン機能
(情報分析)
クラスター活動等、既存産業
支援活動との効率的連携
比較優位産業
振興政策
28
(2)対象分野のイメージ
対象分野とした「次世代の電子・エネルギー技術」分野の具体的なイメージ(例
示)は以下のとおり。
① 要素技術等
・ 省エネにつながる電子デバイスの材料となるシリコンカーバイド(SiC)、
窒化ガリウム(GaN)などの材料技術。
・ 革新型デバイスを開発する部品・情報技術。
・ 組込・加工技術等。
② 電子機器・エネルギー機器
・ 次世代情報通信機器、薄型テレビをはじめとする省エネ家電、LED 照明をはじ
めとする次世代の照明、介護ロボット等の次世代電子機器。
・ 太陽光発電、燃料電池、蓄電池(二次電池)など、エネルギーを発生および蓄
積させる機器。
③ 統合的システム
・ 上記の製品を家庭や地域でシステムとして統合し、低炭素化を実現しながらよ
り快適な生活を提供する技術。(エネルギー消費見える化等のエネルギーサー
ビス、住宅の DC 化、スマートハウス、規格化等)
図表 II-2 対象分野のイメージ
1.要素技術等
2.電子機器・エネルギー機器
3.統合的システム
【例】
【例】
【例】
1)材料技術
1)次世代電子機器
1)エネルギーサービス
例:省エネ素材等
2)部品技術・情報技術
例:・革新型デバイス等
3)その他
例:組込・加工技術等
要素技術
省エネ型素材
例:次世代情報通信機器、省エネ家電・照明、介護ロボット等
2)エネルギー機器(エネルギー発生・蓄積機
器)
例:太陽光発電、燃料電池、蓄電池
電子・エネルギー機器
省エネ家電・照明
次世代電子機器
例:エネ消費見える化等
2)住宅内統合システム
例:スマートハウス・DC化等
3)規格化プラットフォーム
例:共通ファームウェア等
統合的システム
スマートハウス
・DC化
(例:SiC、GaN等)
革新型デバイス
エネルギー機器
(例:超小型部品)
(蓄電池・燃料電池/PV)
生活支援ロボット
29
地域プロジェクト
2.今後推進すべき事業の全体像
(1)事業の全体構造
「次世代電子・エネルギー技術産業ナンバーワン戦略プロジェクト」は、大き
く分けて以下の3つの機能で構成し、それぞれの詳細については後述する。
なお、この構成は、事業の進捗に応じ、機動的に改善していくことを想定して
いる。
① ブレイン機能(情報分析)
・ 次世代電子・エネルギー技術産業に関連する関西のコア企業のキーパーソンに
よって構成される戦略ボードとそのニーズに応えて調査・分析等を行う。
② イノベーション環境整備(行動)
・ ブレイン機能の提案や調査・分析結果等を活用しながら、イノベーション創出
に向けた具体的な行動を起こしていく環境を整備する。
③ 行動的事務局機能(調整)
・ ブレイン機能とイノベーション環境整備のプログラムの両方をマネジメント
するとともに、日常的に情報収集しながら分析・企画・調整を行う。
図表 II-3 事業の全体構造(初年度)
■ブレイン機能(情報分析)
1.戦略ボード(関西のコア企業による人脈ハブ機能を兼ねた作戦会議)
①定例会(リーダー会議)
アドバイザー
特定戦略テーマの
調査分析
③有望技術分析・公開(企業・大学)
(例)
・人材流出実態や強化策
・活用可能なファンド調査
・大学技術の網羅的検証
・標準化の最新動向
技術調査員
有望技術の発掘
分析(見える化)
②プロジェクト間連絡調整会議
/テーマ別分科会
2.調査・分析
技術
公開
行動的事務局機能(調整機能) 全体のマネジメント及び日常的情報分析・企画・調整
マネージャー
インフォー
マルな交流
を演出
■イノベーション環境整備(行動)
1.プロジェクト創出
プログラム
P責任者
2.グローバルコネクト
プログラム
P責任者
①テーマ絞込み型実践的
会合 (例:燃料電池補機等)
①関西企業の国際PR
②プレ事業プラン作成
③世界企業に向けた提案
②世界からの技術受入れ
3.産学人材育成
プログラム
・産業クラスター活動
・知的クラスター事業
大 学
企業で活躍する
博士の育成
連携
産業界
人材育成への協力
企業の博士活用促進
技術開発・事業化・販売
新DCP事業との連携
30
連携プロジェクト
・低炭素社会システム系
プロジェクト
・コンテンツ流通系プロ
ジェクト
・医療機器系プロジェク
ト
等
(2)ロードマップ
平成 21 年度は、本調査に伴って開催された「『(仮称)次世代電子・エネルギ
ー技術産業』創出に関するワーキンググループ」や、関西の主要企業に対するヒ
アリングを通じて、ブレイン機能とイノベーション環境整備についての意見を収
集し、事業の基本的な方向性を検討。
平成 22 年度以降、ブレイン機能については戦略ボードへの参加呼びかけや事
務局機能の立ち上げ準備を実施。平成 22 年度半ばをめどに、戦略ボードと行動
的事務局を稼働。イノベーション環境整備に基づく具体的なプロジェクトについ
ては、事業実施の準備ができたものから適宜開催。
常に見直しを行いながら、事業を推進していく。
図表 II-4 ロードマップ
平成22年度
(平成21年度)
■事業設計
基本設計
体制確
立
平成23年度
中間
見直
事業推進(ローリングしつつ)
平成24年度
事業推進(ローリングしつつ)
次期
検討
■ブレイン機能
戦略ボード
WG検討
よびかけ
・プロジェクト間調整
・テーマ別分科会
調査研究
適宜開催
テーマ
検討
事務局機能の整備
調査実施(年間2テーマ程度)
発表
発表
準備
本格稼働
■イノベーション環境
優良技術分析・公開
グローバルコネクト
プロジェクト創出
データ整理
発掘調査・供与
展示会
基本設計
運用
目標年間2テーマ程度
展示会
見直し
目標年間2テーマ程度
年度
取纏め
技術開発
事業実施
産学人材育成
発掘・DB化・供与
31
新運用
目標年間2テーマ程度
年度
取纏め
事業実施
評価
発掘・DB化・供与
年度
取纏め
事業実施
評価
評価
3.ブレイン機能(情報分析)
(1)戦略ボード
近畿地域におけるイノベーション創出に向けたプロジェクトを生みだし、その
成果を高めていくブレイン機能の核となる機関として「戦略ボード」を設置し、
その定例会を年間3∼4回程度開催する。
① 開催の目的
・ 事業全体の方向性の検討、事業の進捗管理、各関連事業の結果の報告。
・ 企業活動の参考となる各種情報の整理・分析及び分科会の設置。
・ 人脈形成(人的ネットのハブ機能・サロン機能)。
・ 有識者や他業種との交流。
② 参加イメージ
・ 戦略ボードへの参加を呼びかける企業は、当面、関西に本社や研究所等の拠点
がある東証一部上場の電気機器・電子部品・エネルギー・通信・住宅等の次世
代電子・エネルギー技術産業の関連企業とする。
・ 参加企業の代表者は、戦略ボードの実際の会議の場に参画する担当者としてリ
ーダー(リエゾン)を指名。リーダーは、技術経営などの統括的部門の部長ク
ラスが想定される。
・ リーダーは、定例会に出席し、プロジェクト全体の方向性やプロジェクト間の
連携を検討。また、定例会から提案される調査や分科会等の検討会議について
は、その案件内容に応じて社内の関係セクションと調整し、担当者を指名。
・ 企業からの参加者のほか、学識者・企業OB等のアドバイザー、広域産業支援
機関等の関連機関、近畿経済産業局なども参加。
図表 II-5 戦略ボードの構成と進め方
戦略ボード参画企業
依頼
リーダー(リエゾン)
は技術経営などの
統括的部門の部長
クラスの方を想定
委嘱
代表者様
議 長
アドバイザー
指名
リーダー
戦略ボード
定例会
(リエゾン)
ご担当者様
調整
ご連絡
戦略ボード
年4回程度開催
総論を検討
案件毎
案件毎
案件毎
ご担当者様
ご担当者様
ご担当者様
有識者
招聘等
報告
調査や分科会等の
案件毎
案件毎の検討会議
ご担当者様
(必要に応じ他の関係者も参画)
個別事業
戦略ボードメンバー企業
他業種企業
中堅・中小企業
研究機関等
32
③進め方
1) 定例会
・ 年3∼4回開催し、事業全体の方向性や進捗状況などについて、事務局等から
の報告・説明に基づき検討を行う。
・ また、有識者や関係者等を招へいして意見交換を実施する。
(例)経済産業省本省担当者による最新の施策情報の提供
専門情報収集機関による情報提供
異分野企業や企業OB等による業界への提案
2) プロジェクト間連絡調整会議/テーマ別分科会
・本事業の下で実施する各種プロジェクト間の連絡調整を行うための会議を定期
的に開催するとともに、テーマ別の分科会を適宜、開催する。
図表 II-6 戦略ボードでの検討例(イメージ)
検討テーマ
技術発掘・積極的公開
概要
・ 新素材の網羅的発掘等テーマを絞った発掘
・ 全く違う業界(例えば食品や繊維や金属等)における新たな
開発や取り組みのリサーチ
・ 表彰等のしかけによる技術発掘・公開・地域のアピール
例:1)将来、低炭素に一番貢献するであろう技術を表彰、
2)アイデア・技術募集や競技会・コンテストを通じた発掘、
3)革新的技術に対し、京都ブランドを冠した認定マークを付与
(ハードルを高くし、プレゼンスを高める)
異業種連携によるビジ ・ 企業連携による省エネ見える化システム・サービス開発
・ 家電プラットフォーム・コンテンツビジネス(電子書籍や観
ネス・サービス開発
光等)の開発
・ 異業種連携による超省エネ住居空間やユビキタス・ロボット
空間開発。
・ 先端省エネ技術展示即売会や北ヤード等における共同アン
テナショップの検討
・ 3DTV普及支援(体験キャラバン、産業応用・サイネージ
普及促進
応用検討実証)
・ LED照明/PV普及支援(LED照明やPVの導入損益計
算サービス)
・ DC化促進(DC化促進に賛同する企業による協議会活動)
・ 大企業の研究所技術や産総研・JAXA等の技術の流通化促
その他のアイデア
進
・ スピンアウトに関する社会的支援・バックアップ体制の検討
(積極的活用や保険制度)
・ 定年後人材の相互活用、中堅・中小企業や産業支援機構での
活用。
33
3) 有望技術の発掘・分析・公開
〔目的〕
・ これまで DCP をはじめとする様々なマッチング事業によって、連携のきっかけ
づくりがなされてきたが、一過性の情報提供となるケースが少なくなく、提案
を受けた企業の事業活動のタイミングとうまく合致しなければ連携が進まな
いほか、せっかく提供された情報も蓄積されることなく、忘れ去られていくと
いう非効率が繰り返されてきた面が否めない。
・ 以下の手法を用いることにより、有望技術の情報が継続的に蓄積・公開される
ので、連携が現出する機会も増えていき、情報も充実していくものと期待され
る。
〔進め方(イメージ)〕
・ 中堅・中小企業や大学、研究機関が持つ多くの技術情報のうち、「評価情報」
を含んだ「有望技術情報」を収集し、分野別・企業規模別にマップ化して、蓄
積する(DB化)。
・
「有望技術情報」は、補助金獲得情報等の基礎情報を基に、技術調査員がとりまと
めた情報や、その他による情報等を想定。
・特に「有望」の判断として、
「世界で初めて」、
「世界一早い」といった、ナンバー
ワン・オンリーワンの技術に絞るのが有効と考えられる。
・また、補助金獲得や表彰受賞等はそれ自体がある種の評価であり、このような評
価を複数得た企業は、一層高い評価とするなど、簡易な方法での優秀度指標も考え
られる。
・ 当該DBは、技術調査員等を活用し、順次、最新の情報に更新する。(ただし、
評価情報は直近3年程度とする。)
・ 展示会等を通じて公開するとともに、当該DBを大手企業やマッチングを実施
する公的機関等に提供し、企業検索効率の向上を図る
図表 II-7 有望技術の発掘・分析・公開(イメージ)
34
(2)調査・分析
戦略ボードにおける議論を通じた提案・問題意識に応じ、様々なテーマについ
て調査・分析を行う。
〔進め方(イメージ)〕
・ 戦略ボードのメンバーのニーズや課題を把握し、仮説を設定する。
・ 例えば、以下の観点から調査・分析すべきテーマを、優先順位を付けて決定す
る。
・1社では調査困難なテーマ
・今後想定されるプロジェクトの実施の前提として調査・分析すべきテーマ
・業界を取り巻く社会的な問題に関するテーマ
・ 当該テーマに関心のあるメンバーを中心に、必要な外部委員等も加え、調査を
実施。
図表 Ⅱ-8 調査・分析テーマの例
検討テーマ
調査・分析
・
・
・
・
概要
海外人材流出実態や人材の強化策調査
国内全大学に革新技術の卵をリサーチし内容を評価
補助金等活用企業の成果についてのリサーチ・評価
コンシュマーニーズ感覚調査・実証調査(例:ロボット・電
子ブック等)
35
4.イノベーション創出環境整備(行動)
次世代電子・エネルギー技術産業のイノベーション創出を促進するうえで、①
具体的なプロジェクト・メイキングを目指した仕組みづくり、②海外との連携体制
の構築、③業界ニーズに対応した高度人材の育成といった環境の整備が効果的であ
ると考えられる。
ここでは、これら3つの観点に関連するプログラムの進め方について、述べる
こととする。
(1)プロジェクト創出プログラム
戦略ボードなどのブレイン機能や既存の研究会・クラスター活動等からの提案
や示唆を受けて、いくつかのテーマについてプロジェクトを立ち上げるための実
践的な会合を持ち、専門家等を交えてプレ事業プランを策定する。
検討テーマは、研究開発に関連するものから商品開発、規格化の検討など多岐
にわたるものが想定され、テーマの性質によっては公的資金を活用したプロジェ
クト創出及び事業計画策定などを通じて具体的な行動につなげていく。
図表 II-9 プロジェクト創出プログラムの枠組み
多様な業界
多様な規模・地域
テーマを絞った実践的会合
仮説提示と集団
的検討の場
テーマ例
SiC等
新材料
テーマ例
テーマ例
機械・素材業界等
燃料電池
補機等
既存研究会・
クラスター活動等
ネオクラスター
推進共同体
(クラスター組織)
(発表会等)
各種研究会活動
エネルギー業界等
(情報系・エネルギー・
材料系等)
実施者間での
個別協議の場
住宅・サービス等
生活関連業界
モデル事業
けいはんな
プレ事業プランの策定(専門家)
大企業・海外企業
技術
資金
市場
中堅企業
人材
ワット神戸
社会
環境
(新エネベンチャー集団)
東大阪
(ものづくり)
中小・ベンチャー
企業
自律的プロジェクト展開
RooBO(大阪市)
(ロボットクラスター)
産総研関西センター
ブレイン機能
知的クラスター
戦略ボードメンバー(含、支援機関)
先進的大学研究
調査・分析結果
施策(技術開発・産業革新機
構等の資金施策)
地域のリソースと
連携
図表 II-10 プロジェクト創出プログラム例(イメージ)
検討テーマ
素材・部品開発
概要
・ 燃料電池等の次世代機器に関する周辺部材についてオープン
な開発マッチング
36
検討テーマ
・
・
プラットフォーム(規 ・
格化を含む)の検討等
・
・
公的資金を活用した ・
プロジェクト創出及 ・
び事業計画策定
概要
パワー半導体(SiC、GaN、ダイヤモンド)の実用化開
発(ウェハ・デバイス、加工・パッケージ)
産総研の効果的活用による技術事業化プロジェクト
家庭内グリッド、TV付帯機能、無線給電等のプロトコルや
新サービス開発検討
共同施設の整備や活用促進(スパコン、システム検証、半導
体設計、公設試験所)
情報家電日の丸プラットフォーム(国内技術のオープン化や
組込開発環境等)
産業革新機構等の活用に向けた検討
NEDOや経産省・文科省の施策徹底検討・いち早い情報確
認、施策提案
図表 II-11 プロジェクトにおいて想定される活用施策例
産業革新機構
活用可能施策例
1.特定分野限定型技術開発施策
(例)
・低炭素系新材料
・新エネ技術開発
・産業や組織の壁を超えた「オープン・イ
ノベーション」を活用し、革新性を有する
事業に対して成長資金を提供。経営参加型
の支援を実施する。
【産業革新機構のスキーム】
2.一般的技術開発施策
(例)
・経済産業局委託事業
・NEDO委託事業
3.中小企業向け技術開発施策
(例)
・経済産業局補助金等
・中小企業基盤整備機構委託事業
4.その他
(例)
・他の関連省庁関連技術開発予算
(2)グローバル・コネクト・プログラム(GCP)
関西と世界との広範な接点を構築し、関西企業ブランドを世界に向けてPR
し、世界から技術提案を受け付けるとともに、関西から世界企業に向けて提案を
行う「グローバル・コネクト・プログラム(GCP)」を実施する。
なお、本プログラムは、「情報家電ビジネスパートナーズ事業(DCP)」と密
接な連携の下、取り組むこととする。
①関西企業ブランドの国際 PR
・ JETRO 等と連携しつつ、世界に向けて関西製品のブランド向上運動を展開する。
・ 関西の電子製品等のブランド化を図り、「関西ではすごい製品・技術が輩出さ
れている」ということを世界的にアピールしたり、京都の「世界的にも環境保
37
全に積極的な都市」というイメージを活用した「関西環境調和製品」ブランド
をPRすることなどが考えられる。
②世界からの技術連携受け入れ(グローバル・オープン・イノベーション)
・ 海外企業との技術連携を進めるため、海外の産業支援機関等を直接、訪問する
などして関係を深め、世界中から技術提案等を受け入れられるチャネルを構築
する。
・ 事務局は、関西に集積があって、かつ関西企業が必要とする技術等について、
インターネットを通じて、世界中から提案を募集する一方で、その技術提案に
ついて、戦略ボードのメンバー企業に情報提供したり、提案者に対して受入れ
諾否の連絡を行うといった調整機能を担う。
・ なお、この取組を効果的に展開する前提として、戦略ボードの参加企業などの
地域企業間でコンセンサスを形成し、地域としての一体感を醸成することが望
ましいと考えられる。
③世界企業等に向けた関西企業からの提案
・ ②とは逆に、関西企業が保有する有望技術を、インターネットを通じて世界に
向けて発信したり、世界企業の日本法人に直接提案したりすることをサポート
することにより、関西企業と世界企業との連携を促進する。
・ 事務局としては、世界企業からの問い合わせや世界企業との商談への対応に関
して、関西企業をバックアップする機能を担う。
図表 II-12 グローバル・コネクト・プログラム例(イメージ)
検討テーマ
概要
・ 世界に向けた関西製品のブランド向上運動
国際的販路開拓
「関西の電子製品等ブランド(関西ではすごい製品・技術を
輩出している)」の世界的アピール
「京都の世界的環境先進地のイメージ」を利用した「関西環
境調和製品」ブランドPR
・ 海外マーケットへの省エネ技術や商品の売り込み
・ GE、シュナイダー、P&G、BASF等の国際的企業に向
けた売り込み
海外から技術提案受入 ・ 海外の産業支援機関との連携による関西への提案
・ 例えば電池材料等、関西が最も得意とする分野の技術を世界
れ
中から募集
(3)産学人材育成プログラム
将来、次世代の電子・エネルギー技術産業分野におけるイノベーションの担い
手となることが期待される修士・博士課程の学生に対し、企業と深く接すること
ができる様々なプログラムを通じ、企業で求められる生きた研究を行う機会を提
供することにより、産業界のニーズに合致した高度人材の育成と企業の修士・博
士活用意欲の高揚を図る。
38
図表 II-13 産学人材育成プログラム
1.学生と企業との交流
・研究テーマのプレゼン、議論、ブラッシュアップ
・企業で働く博士との交流
・企業ニーズ、課題抽出
研究内容のレベルアップ
学生のモチベーションアップ
産業界へのキャリアパスの認識
2.研究会開催
・他大学の事例発表 等
育成・活用プログラムの検討
3.企業向けセミナー
・産学人材育成プログラムのPR
・高度イノベーション人材との交流
企業において即戦力となる高
度人材を活用する機運の醸成
大学・学生・産業界の意識改革促進
高度な知識とマネジメント能力を兼ね備えた博士人材の活用
39
1
5.行動的事務局(調整機能)
(1)行動的事務局機能の整備
プロジェクトを効率的に実施すべく、事業全体のマネジメントに加え、日常的
情報収集・分析・企画立案及び相談のための行動を伴う事務局機能を整備する。
また、企業間のインフォーマル(非公式)な交流を演出するようなフィクサー
的な機能も担う。
具体的には、以下のような活動を行う。
・ 企業や大学等を日常的に訪問し、積極的に情報収集・分析を行う。
・ ブレイン機能からの提案等を受け、推進可能なプロジェクトの仮説を立案す
る。
・ 戦略ボードの定例会や調査・分析等に関するマネジメントを行う。
・ 関西における大学や研究機関に所属する専門家の研究テーマ・特徴等をデータ
ベース化する。
・ 各プロジェクトに対する情報提供・連絡調整機能を果たす。
・ 一つの会議・プロジェクトに限定せず日常的な調整役(フィクサー)機能を果
たす。
図表 II-14 行動的事務局のイメージ
ブレイン機能(情報分析)
技術発掘・分析・公表
/
調査・分析
行動的事務局機能(調整)
マネージャー
専門家ストック
事務局スタッフ
補助員
プロジェクト
ミッション
事務局業務
・事業全体の連絡調整
・日常的情報分析・企画
・相談、フィクサー機能
インフォーマル
な交流を演出
1)訪問等による日常的情報収集・分析
2)推進可能なプロジェクト仮説の立案
3)定例会や戦略テーマ分析のマネジメント
4)専門家のDB化
5)各プロジェクトへの情報提供・連絡調整
6)日常的フィクサー活動
イノベーション創出環境整備(行動)
プロジェクト創出プログラム 他
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プロジェクト
ミッション
(2)関西における主な関連機関
本事業は、関西における様々な産業支援機関の連携のもと、地域全体の取組と
して推進すべき。
①公的広域産業支援機関
(財)大阪科学技術センター(OSTEC)
…平成13年度から5年間、ものづくりクラスター事業を実施。
大阪商工会議所
…DCP事業のフォーラム事業等を実施。
(財)関西情報・産業活性化センター(KIIS)
…平成13年から現在まで、産業クラスター計画「関西フロントランナープ
ロジェクト」を推進。
②自治体系産業支援機関
(財)福井県産業支援センター(福井県)
(財)滋賀県産業支援プラザ(滋賀県)
(財)京都高度技術研究所ASTEM(京都府、京都市)
…知的クラスター「京都環境ナノクラスター事業」を推進。
(財)大阪市都市型産業振興センター(大阪市)
…産業クラスター「次世代ロボット開発ネットワーク」を推進。
(財)東大阪市中小企業振興会(東大阪市)
…産業クラスター「東大阪ものづくりクラスター」事業を推進。
(財)新産業創造研究機構NIRO(兵庫県)
③経済団体
(社)関西経済連合会
(社)関西経済同友会
④経済産業省の関連機関
(独)産業技術総合研究所関西センター
(独)中小企業総合基盤整備機構
(独)日本貿易振興機構(JETRO)大阪本部
(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)関西支部
⑤関連団体
(社)電子情報技術産業協会(JEITA)関西支部
(社)関西電子工業振興センター(KEC)
(社)日本機械工業連合会(JMF)大阪事務所
(社)日本電気計測器工業会(JEMIMA)関西支部
(社)日本半導体ベンチャー協会 関西JASVA
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まとめ
本調査では、今後、近畿地域において重点的に競争力を強化すべき産業・分野とし
て「電子・エネルギー技術産業」を位置づけ、関西が現在、大きなポテンシャルを有
する当該産業が、将来にわたっても世界のナンバーワンとして輝きつづけ、日本経済
の競争力の源泉としての機能を維持・強化できるようにするため、地域のポテンシャ
ルを結集し、ブレイン機能(基本方針の検討や基礎的な調査・分析)やイノベーショ
ン創出環境(プロジェクト・メイキングを目指した仕組みづくりや海外との連携体制
の構築等)を整備する「次世代電子・エネルギー技術産業ナンバーワン戦略プロジェ
クト」を提案した。
今後、近畿経済産業局としては、平成22年度から経済産業省が実施する「広域的
新事業創出基盤強化委託事業」(地域競争力強化事業)の予算を活用し、関係する企
業、大学、産業支援機関等の協力を得ながら、同プロジェクトの具体化に取り組む方
針である。
42
補足資料
1.ワーキンググループ
本調査では「『(仮称)次世代電子・エネルギー技術産業』創出に関するワーキ
ンググループ」を設置し、近畿地域において、今後競争力の強化を重点的に図っ
ていく分野の一つとして「次世代電子・エネルギー技術産業」を想定し、同産業
のイノベーション創出のために、産学官あるいは企業同士が連携して取組みを進
めていくべきテーマや、それを推進していくための体制等について議論した。
議論の進行、とりまとめ役は(独)産業技術総合研究所関西センター所長の神
本正行氏が行った。
図表 資料編-1 ワーキンググループのメンバー
【メンバー】
[順不同、敬称略]
(独)産業技術総合研究所 関西センター所長
神本正行
大阪ガス(株) リビング開発部 技術企画チームマネジャー
西尾雄彦
オムロン(株) 環境事業推進本部 ソリューション商品部長
オムロン(株) 環境事業推進本部 ソリューション営業部長
関西電力(株) 研究開発室 研究開発部長
京セラ(株) 経営推進本部 新事業推進部 部長
シャープ(株) 研究開発本部 産学協同開発センター 副参事
大和ハウス工業(株) 総合技術研究所 所長代行
西日本電信電話(株) 技術革新部 担当部長
パナソニック(株) コーポレートR&D戦略室 技術戦略グループ 参事
パナソニック(株) コーポレートR&D戦略室 技術政策グループ 参事
立石泰
佐野仁
岩城吉
濵野太
三宅知
有吉善
加賀田
樺澤
坂下誠
輔
彦
信
洋
之
則
俊
哲
司
経済産業省 近畿経済産業局 地域経済部 部長
経済産業省 近畿経済産業局 地域経済部 次長
国吉
須山
浩
稔
図表 資料編-2 ワーキンググループの開催概要
日時
主な議題
1.WG設置の趣旨及び進め方について
2.
(仮称)次世代電子・エネルギー技術産業をめぐる課題
第1回
について
(2009 年 12 月 24 日) 3.意見交換
4.その他
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第2回
(2010 年2月1日)
1.資料の説明
2.プロジェクトの概要
3.意見交換
4.その他
第3回
(2010 年2月 24 日)
1.資料の説明
2.産業支援機関におけるクラスター的活動について
3.意見交換
4.その他
2.企業ヒアリング
・ 次世代電子・エネルギー技術に関連する素材・アプリケーション・システム等
を取り扱う企業であって、近畿地域に主要拠点(本社、大阪本社、研究所等)
を有する10社に対してインタビューを行い、上記ワーキンググループにおけ
る議論を補足する形で情報収集を行った。
・ ヒアリングを通じて聴取した、主な意見は下記のとおり。
(1)今後、次世代電子・エネルギー技術産業のイノベーション創出に向け、近畿地域にお
いて取り組んでいくべきテーマ
・
・
・
・
・
・
燃料電池付き・太陽電池付き住宅の海外展開。
太陽電池の研究・試験などについての関西における拠点づくり。
経営の厳しいベンチャー企業の知的財産の流出防止。
ポストリチウムイオン電池など、より未来を見据えたテーマ。
海外人材の活用に向けた、就業契約のあり方など共通のガイドラインづくり。
国内人材の流出防止に向けた、企業における有能な技術者の処遇のあり方。特
に事業再編で重視されなくなった分野など。
・ 関西に立地する研究所が形成している独自の文化についての考察。
(2)次世代電子・エネルギー技術産業のイノベーション創出に向けた体制づくりに関する
意見
・ 企業の垣根を越えて話し合う場合、同業のライバル会社が隣にいると不安だ
が、全くの異業種であれば興味深い議論ができる可能性がある。(電力・パネ
ル・電池、エネルギー・電機、住宅など)
・ 総論としては不安があるが、具体的に興味深いテーマが出てくれば、ぜひ参加
したい、と思えるケースも出てくるだろう。
・ 参加することについてのメリットを明示することが必要。
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