異文化コミュニケーションにおける日中韓間の「偏見」 - web

研 究 論 文 RESEARCH ARTICLES
異文化コミュニケーションにおける日中韓間の「偏見」
についての考察
“Bias” in Intercultural Communication:
A Case Study of Japanese, Chinese and Korean
University Students
史 傑 SHI, Jie
王 基金 WANG, Jijin
● 電気通信大学
The University of Electro-Communications
異文化コミュニケーション,日中韓間,偏見,メカニズム,意識
multicultural communication, Japan-China-South Korea, bias, mechanism, awareness
ABSTRACT
近年,多くの日本人が国内外で外国人や異文化との付き合いが身近で日常的なものになっている。特
に日中韓三国のコミュニケーションの機会がますます増えている。しかし,この三ヵ国間の互いに対す
る誤解や「偏見」が数多く存在している。本研究では,
「偏見」の性質,社会伝達による偏見形成理論な
どの関連理論や異文化交流の場での障害となっている「偏見」の改善に着目した。日中韓三国の若者を
対象に,量的調査のアンケートとゲーム形式の実験を行い,互いに対する「偏見」の特徴や形成のメカ
ニズムと形成された根拠を見つけ出すことを試みた。アンケートの結果,多くの日本人協力者の場合,
マスメディアから大きく影響によって,中国人と韓国人に対してマイナスなイメージを持っていた。し
かし,日中韓三国の協力者は外国に対する「偏見」を持っているにも関わらず,相手国や国民に対する
好奇心と探究心を強く持っていることが窺えた。実験の参加者は,実験が「偏見」の意識の改善に役に
立つことと,固定観念や「偏見」を取り除くためのトレーニングにおいて有効であると評価した。
In recent years, communication between Japanese and non-Japanese for business and cultural interaction
has been increasing, especially Japanese, Chinese and South Korean people. However, there is much
Educational Studies 55 241
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misunderstanding and “bias” among the three groups of people for various reasons. This research first reviews
the nature of “bias” and the theories related to “bias” mechanism as social transmission, and discusses the
improvement of “bias” that is considered to be an obstruction to multicultural communication. The authors
report a survey and a game style experiment conducted among three groups of young people in their 20s
from Japan, China and South Korean living in Tokyo. The purpose was to ascertain the characteristics, the
mechanism of their “bias” and to test the effectiveness for awareness-raising training. The results showed that
informants held negative images or biases of the other countries. However, they still held strong curiosity about
and interest in each other’s countries. Moreover, the experiment employing game style was an effective training
method in the raising of awareness of “bias” and to help diminish “biases”.
1.研究背景,目的と方法
も,現状では,文化を同じくする人々でさえ,相
互理解が難しく,良いコミュニケーションをとる
日本社会が急速にグローバル化していく過程
ためには相当な努力をしなければならない。それ
で,異文化コミュニケーションの重要さがますま
に対して,文化背景の違う人々とのコミュニケー
す著しくなってきた。もの,経済,人などにおけ
ションはさらに自分の考え,行動,感情などを,
る日本のグローバル化は著しいのに対して,文化
改めて調整しなければならない。異文化コミュニ
的・社会心理的レベル,人々の意識や行動のレベ
ケーションの際には,問題となるのは言葉が通じ
ルにおいては,国際化の進展が順調であるとは必
ないからと認識する人が多いようだが,渡辺文
ずしも言えないようだ。日本政府観光局(JNTO)
夫(1995)は「自らの考え,行動,感情の,それ
のデータによると,2012 年 1 月から 8 月における
まで疑ったこともなかった前提である価値観や態
訪日外国人の総数は 5.7 百万人で,その中,韓国
度,行動様式,感覚などを調整しないとうまく
人は 1.35 百万人で,中国人は 1.1 百万人であった。
やっていけないことがとくに問題となる」と指摘
2009 年 4 月までの総数の 2.2 百万人と比べると,
した。また,文化の多様性を知り,人間の心理の
大幅に増えていることがわかる。これからも日中
複雑さなどたくさんのことを理解する必要があ
韓三国のコミュニケーションの機会がますます増
る。なぜ異文化コミュニケーションが難しいのか
えていくことは間違いない。しかし,同じアジア
という問題に対して,今まで,たくさんの研究が
の国だと言っても,言葉も文化も違えば,互いに
行われてきた。まず,
「文化・背景」から考える
対する誤解や偏見も持っている。異文化コミュニ
研究者もたくさんいる。例えば,文化のアイデン
ケーションをすることは簡単ではない。これか
ティティー,文化の複雑さ,カルチャーショック,
ら,日本社会にとって,いかに外国人とうまく接
文化の変容などがテーマとして多く研究されてき
していくのか,大きな課題となっている(小竹裕
た。また,
「コミュニケーション行動」から分析
一 2008,八代 京子ほか 1998)
。鈴木一代(1995)
してきた研究者も数多くいる。心理学や認知心理
が異文化コミュニケーションは,個人・集団・社
学の角度から見ると,人々のアイデンティティー,
会・文化・国家・民族・人種・歴史・宗教・世界
価値観,態度,行動様式,感情,感覚など複雑な
などに関わる,この特別な場において,人間とし
要素が絡み合って,異文化コミュニケーションの
ての多様な全体性が,直接的に問われることだと
難しさを解明してきた。数多くの要素の中,一つ
述べている。自らの文化でのことが異文化でもそ
重要視されるのは「偏見」であると言われている
のまま通用することもあれば,逆に,その自文化
(ブラウン 1995,上瀬由美子 2002)
。また,
「外国
で積んだ経験が異文化コミュニケーションの邪
人嫌い」になる理由は文化・社会的な要因として,
魔となることもよくある。コミュニケーション
独特な自文化中心主義と外国に対する偏見が働い
242 Educational Studies 55
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ているからと考えられる。
に誤りが生じる。発信者と受信者双方の文化の違
数多くの「偏見」に対する研究は,態度と感情
いが大きければ大きいほど,異文化コミュニケー
の視点から研究されてきた(ブラウン 1995,上瀬
ションに誤りが発生する可能性が大きくなる。異
由美子 2002)
。特に否定的な感情や敵意な態度に
文化コミュニケーションには,知覚や解釈や評価
着目し,偏見の解消に向ける研究が多い。また,
の誤りから誤解が生じる。
心理学や社会心理学上での研究も多く(金沢吉展
1992,渡辺文夫 1995)
,異文化コミュニケーショ
2.
1.
2 異文化とコミュニケーションの相互関係
ン上での研究が少ないと見られている。さらに,
異文化コミュニケーションにおいては,高等文
偏見についての研究が個体に集中しがちであっ
化より一般文化を重視し,文化の相違が大きいほ
て,
(特定な)集団的な特徴についての研究が少
どコミュニケーションが困難である。国によって
ない。従って,異文化コミュニケーションをよく
物事に対する見方,解釈,評価などが違うので,
するために,こういった研究を行う必要性が十分
その結果,それにもとづく行動なども違ってくる。
あると考えられる。本研究では異文化コミュニ
したがって異なる文化背景を持つ人々が異文化コ
ケーションにおける「偏見」の形成要因,メカニ
ミュニケーションを行う際,互いに相手の文化的
ズム,役割,
(認知レベル,感情レベル,行為レ
特質を理解しなければ,コミュニケーションには
ベルの)問題点を具体的に分析し,日中韓三国の
障害が発生するだろう。コミュニケーションを行
若者を研究対象として,彼らが持っている偏見の
う人間同士に共通点が多ければ多いほど,コミュ
特徴を見つけ出し,また偏見形成のメカニズムは
ニケーションは順調に進むが,逆の場合はコミュ
5 つの理論と照らし合わせて分析する。その上で,
ニケーションが難しくなる。そのため,異質文化
偏見の改善策を提示する。
のメンバー間では文化的な相違点が多いため,そ
本研究は,
「偏見」については社会学,心理学,
の人たちの異文化コミュニケーションには様々な
認知科学,社会心理学などいくつかの分野におい
問題が生じやすい。こうして人間のコミュニケー
て,文献調査を行った。日中韓三国の若者を研究
ションは文化によって規定されており,異文化コ
対象に,
「偏見」に関する意識調査(アンケート)
ミュニケーションにおいては,この認識が特に重
を実施して,得た結果を分析し,日中韓の間の異
要になってくる。要するに異なった国の人とコ
文化コミュニケーションにおける「偏見」の特徴
ミュニケーションを行う場合には,自己の意思を
を提示した。
「偏見」に意識をさせると解消する
正しく伝え,相手にそれを正確に理解してもらう
ための方法として,ゲーム形式の実験を実施し,
ために,お互いの風俗・習慣,それぞれの主観的
その有効性を検証した。
なものの考え方,言葉の表現の仕方,日常の行動
様式など意思伝達に関する広範な知識や認識が必
2.関連概念と理論
要不可欠である。
2.
1 異文化コミュニケーション
2.
2 偏見
2.
1.
1 異文化コミュニケーションとは
2.
2.
1 偏見の定義
異文化コミュニケーションの定義について,古
ブラウン(1999)の「偏見とその社会心理 」に
田暁(2001)は ,
「言語や思考,価値観など文化
よると,偏見とは,ある集団の成員であるとの理
的背景の異なる人々の間で行われる多様なコミュ
由で,別の集団の成員に対して,軽蔑的な社会的
ニケーション現象」と述べている。異なる文化に
態度や認知的信念の保持,否定的感情の表明,敵
属する受信者が発信者の意図したメッセージを正
意や差別的行動の誇示などをすることである。偏
確に受信できないと,異文化コミュニケーション
見を持つことによって,人間が個体としての個性
Educational Studies 55 243
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や存在を無視され,歪んだ知覚を生み,その歪ん
ていた状況で,偏見が助長されてきたのでは
だ知覚や認識の程度の違いに,異文化コミュニ
ないかという議論が行われるようになった。
ケーションの成否がかかっている。これは偏見の
その結果,偏見を社会システム 内の集団間の
性質と特性である。
ダイナミクスとしてとられる研究が多く行わ
2.
2.
2 偏見の形成のメカニズム
関係や,支配̶抑圧関係にある集団間では,
偏見を持つことによって,たくさんの問題を抱
そのメンバー同士が相手集団に対して偏見を
れるようになった。共通の目標をめぐる競争
えることに対して,どう対応していけばよいので
持つ可能性がある。
「現実的葛藤理論」では,
あろうか。その改善を考える際には,これらの偏
集団間のダイナミクスによる偏見形成が研究
見がどのように形成されるかを見ることが重要で
された。
」
(pp.190 ∼ 191)
。
ある。偏見の形成に関しては,これまでに様々な
視点から多くの研究が行われきたが,時代によっ
2.
2.
3 偏見の機能性
て主要なアプローチの仕方が移り変わってきた。
「偏見=悪」
,と一般には考えている人が多いだ
以下では,渡辺文夫(1995)の著作「異文化と接
ろう。偏見の果たしている役割というと,とんで
触の心理学」の中で 1930 年代から行われてきた研
もないと思う人がいるかもしれない。しかしなが
究のアプローチを表 1 のように時代を追いながら
ら,人間の社会にはなぜ偏見が自然になくならな
5 つに分けている。その中で特に重要な以下の 2
いのか。人間が行うことにはすべて意味があり,
つについて着目した。
目的があり,それぞれの役割があるものである。
社会的伝達による偏見形成の研究
「1960 年代になると,偏見形成の原因を求め
上瀬由美子(2002)が偏見の三つの機能性につい
て以下のように提示している。
る視点が個人レベルの心理的要因から社会,
第一に,
「人が他者に対して偏見を持つ態度が
文化の影響へと変わってきた。偏見は社会規
自分の属す内フループで賞賛,奨励される場合に
範の 1 つであるとも言える。それは,家族や
見られる功利的,適応的機能」
。自分の所属する
学校,職場,あるいはマスメディアなど通し
集団から罰せられないように,あるいは,所属す
て人が学び,社会の中で伝達されていくもの
る集団への帰属を維持するための働きである。仲
である。人は偏見を持って生まれるのではな
間によく思われたい場合には,共通の敵を作っ
く,社会化を通して社会規範としても偏見を
て,その敵を攻撃することにより,仲間同士の連
学習したり,あるいは他者に同調したりする
帯感を強め,自分の地位を確固たるものにするこ
ことにより偏見を形成してしまう。
」
(p.190)
とができる。たとえば,文化,習慣などが異なっ
たとえば,親が偏見を持つ場合,子供にもそ
て,言語が通じない人と接するとき,こちら側に
の偏見が受け継がれてしまう可能性が高いと
も努力,寛容,忍耐を必要とする。そうした努力
思われるし,テレビなどのマスメディアで,
を「余計なこと,面倒くさい」と思うことにより,
ある特定の文化や民族についての偏った情報
相手の人たちを疎外することになり,逆に,自分
ばかりが与えられていたら,メディアに接す
の集団,そして自分の立場を守ることになる。
る人々に偏見が生まれてしまうかもしれな
第二に,
「他者に偏見を抱くことによって,自
い。
集団間のダイナミクスによる偏見形成の研究
らにとって不快な現実から目を背けさせてくれる
という自己防衛的機能」
。偏見は,所属集団やそ
「1960 ∼ 70 年代には,アメリカで少数民族な
の中の地位といった社会的な要素を守るだけでは
ど弱者の権利を主張する公民権運動が盛んに
なく,自己概念や自尊心を守る機能も果たしてい
なってきた。そこで,それまで分離政策や差
る。例えば,自己の失敗を他人のせいにするなど。
別によって白人と黒人などの集団が分けられ
第三に,
「自分が信奉してある価値観を表明し
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たいために,他者に対して偏見をもつという価値
自文化を第一に優先させ他文化を下位に位置づ
表出機能」
。人はそれぞれの価値観を持っている。
けることがある。
何が善であり,何が美しく,何が大切,そうした
自民族優越主義は自分自身のグループがすべて
ことには個人差があり,また集団による違いもあ
のものの中心で,他のグループはすべてそれを基
る。たとえば,ある宗教を信じると,それ以外の
準にして定められ,評価されるというものの考え
「神」を信じている人たちは間違っているとして
方である。異文化コミュニケーションにおいて,
卑しめるようになるのではないだろうか。そうす
個人志向のうちでもっともネガティブに働くもの
ることによって,自分たちの信念を表していると
は自文化中心主義と自民族優越主義と呼ばれる態
言えるだろう。
度である。これは自らの国家,文化,民族が世界
第三に,
「偏見を持つことが自分にとって意味
の中心であるという主観的な価値基準を当てはめ
ある行動で,自分の世界を構築するのに最適であ
て,他の国家,文化,民族を判定する無意識的傾
るから,偏見の知識,認識機能である」
。まだ見
向である。自民族優越主義は自文化の仕方が絶対
たことない,直接会ったこともない人たちに対し
的に「正しい」もので,他の文化の仕方は「誤っ
て,偏見は,情報としての機能が果たす。まった
た」ものという極端な偏見を生み出すものである。
く何の予備知識も情報がない状態では,人間は極
めて不安になり,うまく状況に対処できないので
2.
3 異文化コミュニケーションと偏見
ある。人間が生き残る為に必要とされる機能の中
異文化コミュニケーションで相手を一人一人,
の一つであると思われる。
個体的に考慮出来れば理想的であるが,現実的に
はこれは困難で,コミュニケーション対象をステ
2.
2.
4 自文化中心主義と自民族優越主義
レオタイプ化して,無数の要素をグループ化,カ
すべての文化,民族,国家も自らが世界で最高
テゴリー化して反応することは必然であり,不可
のものだと信じる気持ちは,理解できないわけで
避でもあると岡部郎一(1994)が述べた。
はない。あるいは当然の感情かもしれない。国家
異文化コミュニケーションにおいてはこの文化
主義,自民族優越主義,自文化中心主義といわれ
的ステレオタイプに特に気をつけなくてはならな
るエスノセントリズムの態度で,
「自分の民族や
い。外国人とのコミュニケーションにおいて,そ
文化を中心に据える考え方」という意味である。
の人の国籍から一般的に言われている国民性など
プリブル・チャールズ(2006)によれば,自文
の情報を利用することは情報整理にもつながるの
化中心主義は,次の三つの部分から成り立つ。
で有効ではあるが,これをステレオタイプ化し更
● 自文化の評価
に帰属エラーをするようなことがあれば,自然な
自文化の評価は自分の経験に基づきなされる。
関係を築くことはできない。コミュニケーション
実際に他文化をまったく経験したことのない場
は相互に影響をもっているということを忘れては
合,自文化を最良の文化とするのは自然なこと
ならない。
である。
自文化の視点から異文化の優劣とか上下を単純
● 他文化の評価
に評価することはとても危険である。近頃急増し
他文化を評価する場合,何らかの比較基準が必
ている政治,経済や教育の面の文化摩擦は,異文
要となる。もし自文化しか知らないのなら,自
化コミュニケーションの大きな研究課題である。
文化を比較する際の評価基準にして,他文化を
異文化コミュニケーションで偏見という概念が重
評価することがある。
● 評価による結果
自文化と他文化の比較評価の結果,文化間の相
違が見出された場合,それを差異として扱い,
要なのは,偏見の態度を保持することによって,
その対象グループとのコミュニケーションが防げ
られるからである。たとえ接触ができたとしても,
コミュニケーションの間に偏見が歪んだ知覚を生
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み,自らの心を閉じて防御的に走らせる結果にな
関係が改善されるという考え方,接触仮説が生じ,
る場合が多い。このように異文化ではいろいろな
更にその後の様々な研究から,偏見は単純な接触
レベルの偏見が見られ,その程度の違いにコミュ
だけでは解消されないことが示されている。各研
ニケーションの成否がかかっている。
究者の挙げる有効な接触は次の通りである。
オールポート(1995, p. 71 ∼ 81):
2.
5 偏見の改善について
( 1 )多数者集団と少数者集団とが対等の地位で
共通の目標を追求する接触
2.
5.
1 改善する三つのポイント
偏見を改善するために,以下のように三つのポ
( 2 )接触に法律や習慣などの制度的な支援があ
る場合
イントに注目すべきだと金沢吉展(1994)が提示
( 3 )接触が 2 つの集団メンバー間の共通の利害
していた。しかも,三つの面とも高めていかなけ
や人間性などについての知覚を呼び起こす
ればいけない。
● 気づき(情緒的,感情的な面)
場合
クック(1987, p. 134 ∼ 145):
● 知識(理解,情報の面)
( 1 )地位の平等性
● 行い(行為の面)
( 2 )ステレオタイプを反証する行動を促進する関係
まず,偏見を改善するために,自分と相手の文
( 3 )相互依存性(共通の目的で協力すること)
化背景が異なっている場合,まず互いの違うとこ
( 4 )個人として知り合う機会
ろを気づかなければ何も始まらない。あるいは,
( 5 )平等な関係をいいとする社会規範
相手に対して自分がどんな偏見を持っているかに
ブラウン(2004, p. 56 ∼ 66):
気づかなければ,偏見を改善することのための第
( 1 )社会的および制度的な支持
一歩を踏み出すことができない。
( 2 )十分な時間と回数
第二に,気がつくだけではまだ始まったばかり
( 3 )対等な地位
である。自分と相手との間に,実際にどのような
( 4 )協同
違いがあるのか,といった事実に基づいた確かな
知識が必要である。そして,その知識をもとにし
3.意識調査のアンケート
て,自分と相手との互いの関係,そして自分と相
手をとりまく状況について,客観的な分析を行う
3.
1 アンケートの目的
必要がある。
日中韓三国の若者を研究対象に,互いの国に対
最後に,どんなに優れた気づきを体験し,どれ
しての意識調査を行い,その収集したデータの中
だけ調査,勉強して知識を得て,どんなに正確な
から,それぞれの持つ「偏見」を具体的に分析し,
分析を行っても,実際に目に見える行為がなされ
特徴を見つけ出すのは目的の一つである。また,
なければ,まったく改善はみられない。頭での改
その「偏見」の形成のメカニズムは今まで研究さ
造をだけを行っても,異文化コミュニケーション
れてきた 5 つ理論と照らし合わせ確かめることも
の場では実際偏見に対する問題がよくなるとは限
今回のアンケートの目的である。
らない。
2.
5.
2 接触の効果と接触理論
オールポートは,偏見形成は相手に対する知識
の欠如が関わっているとし,偏見の解消には相手
との接触が重要であると指摘した。このことから,
異なる集団間の成員が接触することにより両者の
246 Educational Studies 55
International Christian University
3.
2 アンケートの回答者と実施過程
属性等については,表 1 と表 2 に挙げている。ま
表1 対象者の人数
た,今回のアンケートは,無記名で 2011 年 12 月
アンケート対象
人数(人)
に電気通信大学(12 月 20 日)
,フジ国際語学院
日本人
100
(12 月 13 日)
,エリート日本語学校(12 月 21 日)
中国人
100
韓国人
60
総 計
260
で行った。
3.
3 アンケートの主な結果
3.
3.
1 日本人からの視点
表2 アンケート回答者の年齢内訳
(1)中国人のイメージトップ 10
年齢(歳)
人数(人)
19-20
87
20-24
162
24-28
11
総 計
260
このアンケートは,日中韓三国の若者(10 代と
20 代を中心に)を対象にアンケートを実施した。
対象者となる中国人と韓国人はともに東京にいる
日本語学校の学生である。中国人の学生の構成は
フジ国際語学院(この学校の生徒たちは全員中国
人である)一年生の 5 つのクラスで,各クラス約
20 人,合計で 100 人からアンケートを回答しても
らった。この一年生の 5 つクラスの生徒は皆ほと
んど中国の高校を卒業して,日本の大学に進学す
る目的で来日した。ほとんどの人の年齢は 20 歳か
ら 22 歳の間である。韓国人の学生の構成はエリー
ト日本語学校(この学校の生徒たちは全員韓国人
である)の一年生と二年生で,合計で 60 人からア
ンケートを回答してもらった。この 60 人の生徒は
皆ほとんど中国人の回答者たちと違って,背景は
それぞれで,韓国の高校を卒業して,日本の大学
70
(人)60
50
40
30
20
10
0
63
45
54
57
43 45
37
31
38
43
ᄢ ࡑ ᗲ ೑ ദ ⥄ ା ᣣ ⥄ ‽
㔀 ࠽ ࿖ Ꮖ ജ Ꮖ ↪ ᧄ Ꮖ ⟋
ᛠ 䏚 ᔃ ਥ ኅ ਛ ߢ ੱ ਥ ⠪
߇ ߇ ⟵
ᔃ ߈ ߣ ᒛ ߇
ᖡ ᒝ
ߥ ో ߇ ᄙ
޿ ޿
޿ ὼ ᒝ ޿
㆑ ޿
߁
図1 日本人の中国人に対するイメージトップ10
中国人に対するイメージの統計結果としては,
「マナーが悪い」を選んだのは 63 人,一番多かっ
た。
「自己主張が強い」を選んだのは 57 人,二位
となった。第三位も人数の半分を超えて,54 人で
「愛国心が強い」の項目だった。トップ 10 の中に
は 8 つがマイナスのイメージだった。
に進学する目的で来日した人もいるし,単なる日
本語を勉強に来た人も大勢いた。今回の回答者の
ほとんどの年齢は 20 歳から 28 歳の間である。日
本語の勉強に関しては,日本語勉強はいずれも 1
年以上経ったので,原則的に日本語の質問紙に対
し,日本語で回答してもらう形式をとった。日本
人の回答者たちは電気通信大学の 2 年生の学生を
中心にアンケートを実施したため,回答者の年齢
はほとんど 19 歳から 22 歳の間である。対象者の
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International Christian University
(2)中国に対するイメージトップ
10
(人)
70
60
50
40
30
20
10
0
この質問に対して,
「インターネット」を選ん
だのは 84 人,一位となった。二位は「ニュース
63
57
54
45
43 45
37
31
番組」で,62 人が選んだ。
「バラエティ番組」は
43
38
第三位となって,45 人が選んだ。
「雑誌を選んだ
人が一番少なかった」
。 5 位までの傾向としては
全部マスメディアのカテゴリーに入ることであっ
た。
࿖
࿯
߇
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߽
ߩ
ߪ
⾰
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ᖡ
޿
(4)韓国人に対するイメージトップ 10
(人) 60
50
40
55 56
51 53
32
45
32
37
30
31 33
20
10
0
ᄢ
㔀
ᛠ
図2 日本人の中国に対するイメージトップ10
中国に対するイメージのトップ 3 ,一位になっ
たのは「一人っ子政策」
,63 人だった。二位は「他
国のもの簡単にパクっている」
,57 人だった。三
ࡑ ᗵ ೑ ᢛ ⥄ ᳃ ᣣ
࠽ ᖱ Ꮖ ᒻ Ꮖ ᣖ ᧄ
䏚 ⊛ ਥ ߔ ਛ ਥ ੱ
߇
߇
⟵ ࠆ ᔃ ⟵ ߣ
ᖡ
ᖡ
߇ ో
޿
ੱ
޿
߇
ᒝ ὼ
޿ ㆑
ᄙ
߁
޿
⥄
Ꮖ
ਥ
ᒛ
߇
ᒝ
޿
‽
⟋
⠪
߇
ᄙ
޿
位は「人口が多い」
。トップ 10 の中の 5 つがマイ
ナスのイメージだった。
図4 日本人の韓国人に対するイメージトップ10
(3)中国人に対するイメージの形成に関して
(人)
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
84
た。
「自己主張が強い」を選んだのは 55 人,二位
62
45
となった。第三位も人数の半分を超えて,53 人で
「感情的」の項目だった。トップ 10 はほとんどが
34
25
34
マイナスのイメージだった。
12
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韓国人に対するイメージの統計結果としては,
「犯罪者が多い」を選んだのは 56 人,一番多かっ
21
6
17
3 5
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図3 日本人の中国人に対するイメージが形成された根拠
248 Educational Studies 55
International Christian University
(5)韓国に対するイメージトップ 10
(人) 80
70
60
50
40
30
20
10
0
この質問に対して,
「インターネット」を選ん
だのは 75 人,一位となった。二位は「韓流ドラ
68
54
45
57
61
43 45
55
人が一番少なかった。 5 位までの傾向としては全
31
23
てマスメディアのカテゴリーに入ることであっ
た。
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図5 日本人の韓国に対するイメージのトップ10
韓国に対するイメージのトップ 3 ,一位になっ
たのは「キムチ」
,68 人だった。二位は「学歴社
会」
,61 人だった。三位は「昔のことを根に持ち
すぎ」
。トップ 10 の中には 4 つがマイナスのイ
メージだった。
(6)韓国人に対するイメージの形成に関して
(人)
80
70
60
50
40
30
20
10
0
マ」で,62 人が選んだ。
「バラエティ番組」は第
三位となって,49 人が選んだ。
「雑誌」を選んだ
75
(1)日本人のイメージトップ 10
(人) 90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
83
78 80
61
69
54
48
57
51
32
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図7 中国人の日本人に対するイメージトップ10
62
49
日本人に対するイメージの統計結果としては,
34 31
「まじめ」を選んだのは 83 人,一番多かった。
「女
25
11
ࡃ
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⚵
3.
3.
2 中国人からの視点
16
21
3
13
性が優しい」を選んだのは 80 人,二位となった。
7
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第三位も人数の半分を超えて,78 人で「サービス
精神」の項目だった。トップ 10 に選ばれたイメー
ジは全てプラスの項目だった。
図6 日本人の韓国人に対するイメージが形成された根拠
Educational Studies 55 249
International Christian University
(2)中国人から見る日本のイメージトップ 10
この質問に対して,
「実体験」を選んだのは 81
(人)120
人,一位となった。二位は「職場」で,64 人が選
100
98
94
80
んだ。
「インターネット」は第三位となって,56
83
78
61
60
73
57
54
69
51
人が選んだ。
「新聞」を選んだ人が一番少なかっ
た。四位になったのは「バラエティ番組」
,五位
は「学校の授業」だった。
40
20
3.
3.
3 韓国人からの視点
0
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図8 中国人の日本に対するイメージトップ10
日本に対するイメージのトップ 3 ,一位になっ
たのは「物価が高い」
,98 人だった。二位は「地
震が多い」
,94 人だった。三位は 83 人が選んだ
「国際的」項目だった。トップ 10 の中の 2 つだけ
がマイナスのイメージだった。それぞれは「地震
が多い」と「経済的不景気」である。
(1)日本人のイメージトップ 10
(人)
50
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
41
34
30
43
38 36
26 27
22
12
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(3)日本人に対するイメージが形成された根拠と
なる情報あるいは知識はどこから得ましたか?
(人)90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
81
45
日本に対するイメージのトップ 3 ,一位になっ
64
56
34
たのは「法律やルールをちゃんと守る」
,43 人だっ
た。二位は「時間を守る」
,41 人だった。三位は
43
34
2
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図10 韓国人の日本人に対するイメージトップ10
12
「まじめ」で,38 人が選んだ。トップ 10 の中全て
21
プラスのイメージだった。
5 2
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図9 中国人の日本人に対するイメージが形成された根拠
250 Educational Studies 55
International Christian University
(2)韓国人から見る日本のイメージトップ 10
(人)60
この質問に対して,
「実体験」を選んだのは 52
人,一位となった。二位は「インターネット」で,
53
50
40
34
30
41
30
36
39
27
25
46 人が選んだ。
「学校の授業」は第三位となって,
43
44 人が選んだ。
「新聞」を選んだ人が一番少なかっ
た。
22
20
3.
3.
4 日中韓総合
10
(1)チャンスがあったら,友達を作りたいと思い
0
ますか?
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(人)90
図11 韓国人の日本に対するイメージトップ10
日本に対するイメージのトップ 3 ,一位になっ
たのは「地震が多い」
,53 人だった。二位は「自
殺,過労死」
,43 人だった。三位は「治安がいい」
項目で,41 人が選んだ。トップ 10 の中の 4 つが
マイナスのイメージだった。
81
80
70
60
50
33
0
30
34
40
28 23 27
23
30
16
20 11
20
10
0
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図13 友達を作る意向について
(3)日本人に対するイメージが形成された根拠と
日本人のデータを見ると,友達を作りたい人は
なる情報あるいは知識はどこから得ましたか?
割と少ない方で,人数の四分の一以下となった。
(人)60
一方,中国人と韓国人両者とも友達を作りたいと
46
50
40
34
30
52
34
33
23
21
20
5
10
思っている人が一番多かった。
44
11
9
15
0
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図12 韓国人の日本人に対するイメージが形成された根拠
Educational Studies 55 251
International Christian University
(2)チャンスがあったら,相手の国に行きたいと
思いますか?
いう質問に対して,三国の学生たちに同じような
考えが見られた。どちらも自分の国の文化はアジ
(人)60
49
50
40
30
「自国の文化はアジアの中で一番優れている」と
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38
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アの中で一番優れていると思っている人が多いの
28
(4)食品安全や環境汚染,特許侵害などの問題に
12
8
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ついて,中国(韓国)固有または特有な問題だと
3
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思いますか?
(人)
60
50
40
3
34
30
図14 中国に行きたいあるいはまた行きたいかの行動意
向について
日本人の場合は,傾向が分かりやすく,中国に
0
41
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19
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44 52
7
37
12
14
11
9 11
1
0
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行きたいあるいはまた行きたいと思っている人が
一番多い。中国人は日本に長く住みたいと思って
いる人は 70 人に達した。韓国人も中国人と同じ傾
221
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向が見られた。
図16 現実の社会問題に関する意識調査
(3)自国の文化はアジアの中で一番優れていると
この質問のデザインについては,もし相手に対
思いますか?
37
(人)40
35
30
25
20
15
10
5
0
して,偏見が持っている場合は,
「誤った関連づ
33
31
25
23
ਛ࿖ੱ
27
みると,日本人の研究対象者に認知的な傾向が見
ທ࿖ੱ
られた。
18
1
17
11
11
6
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け」と呼ばれる認知的な傾向が見られる。結果を
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図15 自国の文化に対する思いについて
252 Educational Studies 55
International Christian University
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4
5
2 1
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(5)2010 年 10 月の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件
領土問題について,各自は自国が正しいと思っ
(竹島問題)について,日本側が悪かったと思い
ている傾向が見られた。
「尖閣諸島問題」に対し
ますか?
(人)60
て,中国人は明らかにこの考えが強かった。
「そ
う思う」と「ややそう思う」を選んだ人は日本人
53
50
40 32
30
33
3
20
13
3
34
22 21
0
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を上回って,69 人だった。
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41
は知識はどこから得ましたか?
18
8
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35
22
7
図17 領土問題について
領土問題について,各自は自国が正しいと思っ
ている傾向が見られた。
「尖閣諸島問題」に対し
て,日本人は明らかにこの考えが強かった。中国
人を上回って,53 人だった。
(6)尖閣諸島(竹島)の領有権は中国にあるべき
84
(人)90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
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(7)イメージが形成された根拠となる情報あるい
62
45
34
25
34
12
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図19 イメージが形成された根拠
だと思いますか?
この質問に対して,
「インターネット」を選ん
(人)45
36
40
33
35
30
21 2
21 21
25
20 15 15 14
15
10
5555
5
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は第三位となって,45 人が選んだ。
「家族」を選
15 15
んだ人が一番少なかった。
1
17
10
9
2210
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だのは 84 人,一位となった。二位は「ニュース
報道番組」で,62 人が選んだ。
「バラエティ番組」
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図18 領土問題について
Educational Studies 55 253
International Christian University
(8)異文化コミュニケーションをする際,特に重
要だと思われること。
(人) 250
イメージなどの意識変化を測りたかったためであ
る。統計結果を見ると,ほとんどの人はアンケー
211
200
165
100
0
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34
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トの回答だけで,イメージなどの意識変化を生じ
158
132
150
50
この問題の目的はアンケートの回答を通して,
たと思わなかったことがわかった。
128
87
53
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3.
4 アンケートに対する考察
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3.
4.
1 偏見の特徴について
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偏見の特徴については,以下の三つを挙げる。
( 1 )日本人の場合,中国人と韓国人に対して,マ
イナスなイメージを持っている人が圧倒的に
多かった。トップ 10 の中,8 つがネガティブ
なイメージであった。一方,在日中国人と韓
国人が日本に対するイメージは逆にポジティ
ブなものが圧倒的に多かった。トップ 10 の
中, 2 つだけがネガティブなイメージであっ
図20 異文化コミュニケーションの意識について
た。この点については,イメージの差が想定
外に大きかった。
この質問に対して,
「言葉が通じること」を選
( 2 )イメージが形成された根拠となる情報あるい
んだのは 211 人,一位となった。二位は「柔軟な
は知識の由来については,マスメディアが大
考え方を持つこと」で,165 人が選んだ。
「積極
きく影響していた。予想外にその中の一位と
的にコミュニケーションをとること」は第三位と
なったのはテレビ媒体ではなく,インター
なって,158 人が選んだ。
「偏見や固定観念を持た
ネットであった。今の若者にとって,イン
ないこと」を選んだ人が下から三番目となって,
ターネットはとても身近な存在となり,なく
53 人だった。
てはならない日常の道具でもある。かつての
テレビっ子時代と変わって,インターネッ
(9)今回のアンケートを回答後,あなたは相手国と
トっ子となっている。インターネットで情報
国民に対するイメージが変わったと思いますか?
や知識を入手し,また発信するのも馴染んで
83
(人)90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
いる。日本人のほとんどのアンケート回答者
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分の最初のイメージとなってしまう傾向が強
10 8
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図21 アンケート回答後の感想
254 Educational Studies 55
International Christian University
いった直接接触の機会が乏しいため,マスコ
ミメディアが作りあげた外国のイメージが自
32 32
3
2300
は,外国に出かけるとか外国人と接するとか
2202
ߘ
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い。
( 3 )日中韓三国の若者は外国に対する偏見を持っ
ているにも関わらず,相手国や国民に対する
好奇心と探究心を強く持っていることは第三
の特徴だと考えた。今回のアンケート対象者
となる中国人と韓国人はいずれも日本に対し
て好印象で,近隣である日本社会に対する好
奇心が強烈だったことがわかった。日本人の
ケーションをとること」は第三位となって,158
回答者にもこの傾向が見られた。中韓に対す
人が選んだ。
「偏見や固定観念を持たないこと」
るイメージはネガティブなものが多かったに
を選んだ人が下から三番目となって,53 人だっ
も関わらず,これから,もしチャンスがあっ
た。この様な結果を得たのは,皆は「言葉が通じ
たら,中国に行きたい,あるいは中国人の友
ること」を過度に重視する傾向が見られた。しか
達を作りたいという人が多く見られた。理由
し,異文化コミュニケーションの場においては,
としては今経済が飛躍的に発展している中国
言葉だけでうまくいくわけではなく,国によって
に対して,興味深いとか,中国 4000 年の歴
物事に対する見方 , 解釈 , 評価などが違うので , そ
史,文化に興味があって,もっと知りたい,
の結果 , それにもとづく行動なども違ってくる。
実際体験してみたいという人がとても多かっ
したがって異なる文化背景を持つ人々が異文化コ
た。韓国に対しても,同じ考えが多く,また
ミュニケーションを行う際 , 互いに相手の文化的
韓流ドラマが大好きで,食べ物も美味しく
特質を理解しなければ , コミュニケーションには
て,面白い国だと思って,韓国人と接してみ
障害が発生するだろう。コミュニケーションを行
たい,行って見たいとのコメントが多く書か
う人間同士に共通点が多ければ多いほど , コミュ
れていた。
ニケーションは順調に進むが , 逆の場合はコミュ
ニケーションが難しくなる。そのため , 異質文化
3.
4.
2 偏見の形成のメカニズムについて
のメンバー間では文化的な相違点が多いため , そ
今回のアンケートを通して,様々な理論の中,
の人たちの異文化コミュニケーションには様々な
特に一致できたのは社会伝達による偏見形成理論
問題が生じやすい。こうして人間のコミュニケー
だった。偏見は社会規範の 1 つである。それは,
ションは文化によって規定されており , 異文化コ
家族や学校,職場,あるいはマスメディアなど通
ミュニケーションに おいては , この認識がとくに
して人が学び,社会の中で伝達されていくもので
重要になってくる。
ある。今回のアンケートの中,日本人の場合は,
イメージが形成された根拠となる情報あるいは知
3.
4.
4 実体験による意識の変化
識の由来については,
「インターネット」が一位
今回のアンケートの統計結果から見ると,日本
となった。二位は「ニュース番組」で,
「バラエ
人対象者の場合,中国人と韓国人に対して,マイ
ティ番組」は第三位となっていたことがわかった。
ナスのイメージを持っている人が圧倒的に多いこ
中韓の場合,一位となったのは「実体験」だった
とがわかった。一方,在日中国人と韓国人の対象
が,二位は「インターネット」で,三位は「ニュー
者の日本に対するイメージは逆にポジティブなも
ス番組」となった。今日において,国家・国民イ
のが圧倒的に多かった。
メージの形成要因,またそれを変化させる要因は
なぜ,この様な正反対の結果が出たのか,まず,
様々であるが,今回のアンケートの回答から見る
相違点から見ると,今回のアンケート対象者とな
と,マスメディアはもっとも重要な要因の一つで
る中国人と韓国人はすでに日本にいる人,かつ日
あることが分かった。
本に生活する経験がある人たちとなっていたのに
対し,日本人の中には中国と韓国に行ったことが
3.
4.
3 異文化コミュニケーションについて
ある人はわずかだった。イメージの形成と直接関
今回のアンケートの回答結果によると,異文化
わる実体験があるかないかによって,イメージが
コミュニケーションにおいて,重要だと思うこと
大きく変わってしまった。
は,まず,
「言葉が通じること」を選んだのは 211
中国人と韓国人の場合,やはり日本に来てから,
人,一位となった。二位は「柔軟な考え方を持つ
異文化の場に立って,改めて情報を収集し,以前
こと」で,165 人が選んだ。
「積極的にコミュニ
持っていたイメージを再構築したのではないだろ
Educational Studies 55 255
International Christian University
うか。
「百聞は一見に如かず」という言葉のよう
ち』は,リチャード・パワーズ氏により開発され
に,最初のイメージは自分の目や実体験でできた
た多様性ゲームである。その内容は,エキスパー
ものではなく,マスメディアや授業などによる,
ト・チーム(ET)と複数のノン・エキスパート・
不十分な情報をベースとして出来上がったと考え
チーム(NET)が,どのチームも 12 人の候補者リ
られるものであった。日本に来て,以前自分の国
ストから 6 人を選んで地球からの使節団として惑
から得た情報や知識だけで判断するのではなく,
星に行かせるゲームである。このゲームは,大学
日本で得た情報や知識も吸収して,考慮してから
生を対象として実施するために,目的や参加者に
新たな認識をでき,イメージを再構築するという
合わせ,違和感なく,かつより楽しくなるよう,
ことが特徴だと考えた。一方,日本人の場合,外
まず,この 12 人の使節団候補者の特性情報を修正
国に行かない限り,日本からの知識や情報をメイ
する必要がある。また,より短い時間内で実施で
ンでイメージを構築したり,受け入れたりするこ
きるよう,理解しにくくなるところにいくつかの
とになってしまう。片方の知識あるいは情報の伝
修正を加えた。
達はやはり不十分で,妥当性を欠いている。
4.
2 ゲームの参加者(実験協力者)と実施過程
4.ゲーム形式の実験
■ 参加者の構成
電気通信大学の学生( 3 , 4 年生の日本人 6 人
4.
1 ゲームの目的,概要
と留学生 16 人)の合計 22 人をゲーム参加者と
「偏見」を解消あるいは低減するためには,ま
して,異なるグループで計 2 回(各 10 ∼ 12 名)
ず意識上の問題を改善させなければいけない。要
のゲームを行った。各チームは, 4 ∼ 5 人から
するに自分のもつ「偏見」や「ステレオタイプ」
構成されている。
を,突き放して客観的に認識する必要がある。気
■ 実験時間
づかせなければ,何も始まらないと言ってもいい
2011 年 12 月 22 日 と 2012 年 1 月 5 日 に 計 2 回 の
だろう。この多様性ゲームは,参加者が,多様な
ゲームを実施した。
人々に対する視野を広げ,偏見や先入観などでき
■ 実験時間配分
るだけなくして,異なる人々の価値を正しく理解
表 3 が示したように,80 分のゲームにおける時
する力を身につけるために実施した。
間配分となっている。
多様性ゲーム『エイリアンの住む惑星への旅立
表3 ゲーム時間配分表
内容
分
( 全体 ) チーム分け
シナリオ・ゲーム説明・ゲーム進行の説明を黙読
10
質問応答
5
NET
分
s
30
検討・使節団員決定の最終検討・決定
30
両チーム
得点計算、勝者決定
5
討論・チーム別発表
15
アンケート回答
15
合計
80
256 Educational Studies 55
International Christian University
4.
3 ゲームの修正とアレンジ
4.
6 実験結果
● 国籍を,大学生に比較的理解されている国籍に
4.6.1 ノン・エキスパート・チーム(NET)
変更した。
の情報購入に対する傾向
● 異文化コミュニケーションを背景に,すべての
候補者の健康度を良好にした。
● 宗教に関しては,原著にあるキリスト教を細分
化することをやめ,大学生に比較的理解されて
いる宗教に変更した。
● 異文化コミュニケーションを背景に考えさせる
ために,言語という項目を加えた。
● ET への配布資料の中,判断基準についての参
考資料をやめた。
(人)20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
17
原著では,ゲーム進行役がある情報の購入を希
望する NET メンバーに,それを耳打ちで伝える
8
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が悪く,また進行係の負担も大きい。そこで,
貼っておき,メンバーの要望に応じて,手渡す
システムとした。
4.
4 配布資料,及び提示資料
概ね,原著の方法に従った。
● ET への配布資料
・ シナリオ ・客観的選択のためのランキング表
・候補者の全情報(人数分,A 3 サイズで作成)
● NET への配布資料
全員にシナリオ,及びチームの使節団員選出メ
モ(A 4 サイズで作成)
。各チームに空の候補者の
特性情報一部(A 3 サイズで作成)
● 全員に提示する図表として,使節団員選出表,
得点集計表を作成し,ホワイトボートに貼付し
た。
(A 3 サイズで作成)
4.
5 ゲーム後のアンケート
今回の 2 回のゲームにおいては,終了後ゲーム
に対する考え,感想など,無記名でアンケートを
実施した。
17
16
12
となっているが,メンバーへの情報提供の効率
各情報をあらかじめ記入したカードを,紙に
19
9
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● NET への特性情報の販売システムの変更
17
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図22 ノン・エキスパート・チーム(NET)の情報購
入に対する傾向
NET の注目度は,まず,帰還を可能にする候補
者の「年齢」であり,ついでは「好ましい特性」
,
「参加の理由」
,
「好ましくない特性」が続く。国
籍と信仰に対する注目度が低い。また,最初はす
べての候補者の一つの特性情報をまとめて購入し
て,それで選択の範囲を縮小し,残した候補者を
より適切に選出するために,判断しにくかった候
補者だけを比較することが多く見られた。
4.
6.
2 エキスパート・チーム(ET)の情報購
入に対する 傾向
NET に比べ,ET は「12 人の候補者についての
全情報」を持っているため,より全面的な検討を
経て 6 人を選出した。NET と異なる,以下に示す
基準で,選出する傾向があった。
● 信仰については,複数の ET で, 6 人の選出使
節団の信仰する宗教の公平配分(仏教,キリス
ト教,イスラム教,その他)をする試みが見ら
れた。
● 子孫存続のための生殖可能男女の重視が見られた。
● 6 人の選出使節団の国籍について,代表的な民
族の公平配分の試みが見られた。
Educational Studies 55 257
International Christian University
● 両惑星の利益を考えた職場が考慮された。
「地球とエイリアン社会両者のことを全部考え
● 帰還のため,
「年齢」を重視する傾向があった。
た」人が一番多く,11 人だった。二番目は「地球
4.
6.
3 ゲームについてのアンケートの集計結果
球のことだけを考えた」人は三番目となって, 4
① 参加者の国籍
人だった。
のことをメインで考えた」人,7 人となった。
「地
(人)7
6
5
4
3
2
1
0
6
③ あなたとまったく異なる考え方に接したとき,
考え方が変わりましたか?
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3
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図23 参加者の国籍
8 カ国の人が今回のゲームに参加した。日本人
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が一番多い,6 人だった。二番目はマレーシア人,
4 人となった。
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図25 異なる考え方に接したときの意識変化について
② あなた自身は候補者の,地球とエイリアン社会
両者における利点と不利益について考えましたか?
(人)12
11
変わったと思う人は 9 人で,一位となった。二位
は「ややそう思う」で, 6 人だった。統計結果か
10
4
ら見ると,実際まったく異なる考え方に接したと
7
8
6
まったく異なる考え方に接したとき,考え方が
き,自分の考え方と違うことに気づいて,考え方
4
2
を変えるようになった。
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0
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図24 候補者を選ぶときの自分の立場について
258 Educational Studies 55
International Christian University
④ このゲームを経験することで,多様な特性を持
つ人々を理解したり,先入観で人を判断したり
する姿勢を改めようと思いましたか?
(人) 8
7
6
5
4
3
2
1
0
7
この質問に対して,有用だと思った人は一番多
6
5
かった。
「そう思う」と「ややそう思う」人が合
わせて,半数を超えて 15 人だった。三分の一の人
4
は有用だと思わなかった。
異文化の人たちとコミュニケーションをよくす
0
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るために,10 の項目の中から最も重要だと思うと
一番多く選ばれたのは「言葉が通じること」
。2
番目は「相手へ尊敬と敬意を積極的に示すこと」
。
3 番目は「積極的にコミュニケーションをとるこ
と」
。
4.
7 実験結果分析
① 国籍,信仰について
図26 ゲームを通してこれから先入観などに対して意
識を変えたいか
このゲームを経験することで,多様な特性を持
つ人々を理解したり,先入観で人を判断したりす
る姿勢を改めようとする人が多いという傾向が見
られた。このゲームの有効性があったことがわ
かった。
のトレーニングに有用でしたか?
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
が馴染んでいるものに修正したが,NET のこれら
の情報の購入頻度は低かった。一方,複数の ET
には,宗教や民族の公平配分を考慮する試みが見
られた。今回の参加者は留学生の割合が多いとは
言え,必ずしもグローバルな考えに馴染んでいる
訳でもないため,すべての特性情報を持たない
NET は,国籍や信仰を重視する観点に立てなかっ
⑤ このゲームは,固定観念や偏見を取り除くため
(人) 10
候補者の国籍,信仰する宗教は一般的な大学生
たのであろう。
② 年齢について
ちゃんとこの任務を達成できる,また帰還でき
るため,どのチームも「年齢」を重視する傾向が
9
あった。これは地球の利益最大化のことを常に考
え,また子孫存続のための生殖可能な年齢である
6
人が適性だと考えていたことが分かった。
4
③ 職業について
2
1
I および L 候補者は,裁判官および彫刻家という
職業からみて,高いインテリジェンスを感じるの
であろうか,全 ET が,I 候補者を選択し,NET の
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図27 偏見を取り除くためのトレーニングとしての
このゲームの有用性について
選択頻度も高かった。あるいは,I,L 候補者は,
特性に大きな難点がなくバランスがいいと判断さ
れた結果かもしれない。
F 候補者は農夫であり,その経験を両惑星に生
かすことができると考え,かつ好感の持てるキャ
ラクターと捉えられたのか,高い選出頻度を示し
た。
B 候補者の選択度が高いのは,両チームとも看
Educational Studies 55 259
International Christian University
護師であることが両惑星にとって貢献度が高いと
は,ET が熟考して決定した結果を,自分たちの
判断した結果であろう。
結果と比べて,発表を心待ちしている。その期待
④ 勝敗について
度は,よく討論して,検討をした NET ほどに大き
ゲームの実行を観察して気づいたのは以下の 2
いようである。このゲーム「エイリアンの住む惑
点である。
星への旅立ち」は,国際的に開発されている。そ
・ ET が決定した特性の重要度が,NET と一致し
の違和感を和らげるため修正を加えたが,アン
た場合(例えば,好ましい特性)は両者の一致
ケートには,自分勝手に作ったため,まだ不十分
度が上がり,ET が勝つことはない。
であるとの指摘がある。一方,多くの参加者から
・ ET が独自の考えで,使節団員を選出した場合,
は,自分のステレオタイプや偏見を柔軟にとらえ
ET の勝率が高くなる。全情報をもつ ET が,柔
るための動機になった,あるいは,チームで検討
軟で革新的な考えで,使節団員を選ぶことで,
することで改めて自分の先入観や偏見の強さに気
NET の選択と異なる結果を導くことができ,
づいた,というコメントを得た。今回の実験の実
結果として勝利する。そのような ET と NET の
施経験から,この多様性ゲーム「エイリアンの住
大きな考え方の違いは,ゲーム後の参加者全員
む惑星への旅立ち」は,参加者に新鮮な驚きを与
の討論において,双方に重要な気づきを招くこ
え,固まった思考をグローバルな感覚の世界に解
とが期待できる。
放する機会を参加者に与えるとともに,異文化コ
・ 両チームは勝敗に対して関心が高かったので,
ミュニケーションを可能とする自信と意欲を参加
若干実験の目的を外れてしまった傾向があると
者に与えることともなったことを確信した。ゲー
観察した。
ム終了後,考察と反省を重ねて,よりよいゲーム
⑤ ゲーム進行係の課題
にするために,重要だと思われることは以下の通
NET メンバーへの働きかけについて,ゲーム進
りになる。
行係は,NET メンバー全員に積極的にゲームへ参
● ET のメンバーそれぞれが,12 人の候補者につ
加することをうながさなければならない。
いて深く熟慮し,十分な検討で,独自の使節団
⑥ 販売システム改良の効果
を選抜すること。
・ 特性情報カードの改良:今回の実施では,各
● NET メンバーは,ただ勝つためだけの戦術では
候補者の特性情報カードを A 3 の紙に貼ってお
なく,12 人の候補者に興味をもち,チーム独自
き,購入の際にそれを渡す方法を採用した。情
の情報入手戦略を立てることをお互いに確認し
報を耳打ちする方法と比べ,時間を短縮できる
あい,それをメンバー全員で協力して実施する
とともに,聞き間違いがなくなったと思われ
こと。
る。しかし,この渡す方法は情報の売買が盛ん
● NET のメンバーは,自分たちの考え,主張を,
になると,手元でのカードの扱いが難しくなる
論理的に述べることも自分の役割であることを
ことにあとで気づいた。
・ 空の候補者の情報表(A 3 サイズで作成)の採
用,NET が購入した情報カードを,空の情報
表の所定位置におくことで,検討環境を向上さ
せることができた。
自覚すること。
● 全員の参加意欲を上げるために,勝利チームに
賞品を用意しておくのもよい方法である。
● このゲームを成功に導くために,ゲーム進行係
は,人の多様性やゲームの各特性項目の関係な
ど全メンバーへの働きかけをすることがとても
4.
8 実験後のアンケート結果
まず,アンケートの考察としては,アンケート
結果から,このゲームは,参加者にとって楽しみ
ながらできるゲームであったことがわかる。NET
260 Educational Studies 55
International Christian University
大事である。
5.アンケートと実験についての総合考察と
提示
のゲームの限界と欠点も改めて認識できた。ま
た,相手が「何人」ということを横において,
「そ
の人はどんな人か」に注目し,お互いに同じ人間
5.
1 アンケートと実験から得た考察
(1)日中韓三国の若者の偏見の特徴について
同士の「個人」として付き合ってみる。異文化コ
ミュニケーションの土台はあくまでも個人間のコ
まず,日本人の場合,中国人と韓国人に対し
ミュニケーションであることを,常に忘れてはい
て,マイナスのイメージを持っている人が圧倒的
けない。
に多いことがわかった。第二に,イメージが形成
された根拠となる情報あるいは知識の由来につい
(4)実体験による意識の変化
偏見を減らすためには,単に知識を増やすより
ては,マスメディアが大きく影響していたこと。
も実際の行為を優先させるべきであることだとよ
さらに,日中韓三国の若者は外国に対する偏見も
く指摘されていたように,今回のアンケート対象
持っているにも関わらず,相手国や国民に対する
者となる中国人と韓国人はすでに日本にいる,か
好奇心と探究心を強く持っていることは第三の特
つ日本に生活する経験がある人たちであった。日
徴だと考えた。
本人の中には中国と韓国に行ったことがある人は
以上の日中韓三国の若者の偏見の特徴に関し
わずかだった。この違いからわかったのは,イ
て,特に日本人の場合,もっと積極的に異文化コ
メージの形成と直接関わる実体験があるかないか
ミュニケーションの機会を作って,外国の人との
によって,イメージが大きく変わることである。
交流を増やすことは偏見の改善に有効だと考えて
「百聞は一見に如かず」という言葉のように,
いる。
もっと自分の目や実体験を通して,多様な情報を
(2)日中韓三国の若者の偏見の形成のメカニズム
について
今回のアンケートの回答から見ると,日中韓三
吸収すべきだ。マスメディアや授業などによる,
不十分な情報をベースとしてのイメージは偏見を
形成しやすくなるという傾向が見られた。
国の若者の偏見の形成のメカニズムについて,社
会伝達による偏見形成理論と最も一致した。偏見
5.
2 提示
は社会規範の 1 つである。それは,家族や学校,
職場,あるいはマスメディアなど通して人が学
び,社会の中で伝達されていくものである。マス
5.
2.
1 世界の文化の多様性への認識と人間と
しての共通性への理解
メディアはもっとも重要な要因の一つであること
文化背景の異なる人たちと自分との「違い」を
が分かった。
理解することや,文化を超えた人間としての共通
(3)偏見の改善について
性という「つながり」を求めることは人間として
「偏見」というのは,複雑な種類となる原因か
は当然のことだと思う。多文化社会に生きる私た
らなっている行動である。偏見は簡単にはなくな
ちにとって,この相反する側面は,常に現実とし
らず,偏見を減らすためには,単に知識を増やす
て受け止めなければならない。そして,この相反
よりも実際の行為を優先させるべきであることを
する二側面の葛藤を乗り越える力を身につけるか
論じた。今回の実験の参加者のコメントによると,
が重要だと思う。
ゲームを通して,人や文化の多様性を気づかせる
しかし,世界の文化の多様性への認識と人間と
ことが,先入観と偏見の改善において,有効なト
しての共通性への理解は容易ではないことは言う
レーニングであることがわかった。
までもない。テレビをみたり,本を読んだりする
しかし,偏見は,私たちが人間であるというこ
などの方法は,気づきや知識という面では効果が
とと深くむすびついているため,偏見はなくなら
あるが,行為という点になるとあまり期待できな
ない。もっと効果的に偏見を改善するために,こ
い。今まで検証された方法の中,とくにゲームを
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International Christian University
通して,このような問題を改善することが有効で
或は人民に対して偏見を持ちながら,お互いの国
あることがわかった。異文化シミュレーション能
や人に強い関心を持っていることである。海外経
力を高めるために,ソーシャルリラクゼーション
験が少ない若者にとって,イメージが形成された
が必要である(Gudykunst & Hammer, 1988)
)
。ゲー
根拠となる情報源はマスメディアである。しか
ム形式の実験のように,文化の違いに臆すること
し,実体験による異文化の多様性と異文化コミュ
なく,個人差を恐れず,同時に,自分の文化を押
ニケーションの難しさへの意識変化が,偏見の改
しつけることもなく,異なる文化を尊敬する上で,
善に必要且つ有効である。また,日中韓三国の若
人間としての共通性を理解し,より良いコミュニ
者の偏見の形成のメカニズムについて,社会伝達
ケーションをできるだと思う。今の社会にもっと
による偏見形成理論と最も一致した。
も必要な社会観と世界観である。
本研究は,異文化コミュニケーションに関する
長期的な研究の一部である。今後,本研究を元に
5.
2.
2 偏見を超えるべき異文化コミュニケー
ション
偏見もステレオタイプも,私たちが人間である
して,中国と韓国に留学或は住んでいる日本人の
若者に同じアンケートを実施し,日中韓三国間の
偏見の改善・解消策を探る予定である。
ということと深く結びついている。私たちは物事
を理解するために,カテゴリー分けをせざるをえ
参考文献
ず,私たちには好悪の感情がある。否定的なステ
レオタイプの一部を変えたり,偏見の一部を変え
たりすることはできても,すべてなくすことはで
きないだろう。大切なのは,まず,第一に,自分
にどのようなステレオタイプがあり,どのような
偏見があるのか,これらについて気づきを高める
ことである。そうした自分の偏見,ステレオタイ
プを自分のものとして,自分の一部として受け入
れることがとても大事である。次に必要なことは,
自分の偏見やステレオタイプを意識的にコント
ロールすることである。そして他者からのフィー
ドバックも受け入れ,自分自身の否定的なステレ
オタイプや偏見が少なくなるように努力しなけれ
ばいけないのである。
6.結論
本研究では異文化コミュニケーションにおける
「偏見」の形成要因,メカニズム,役割,
(認知レ
ベル,感情レベル,行為レベルの)問題点を具体
的に分析し,日中韓三国の若者を研究対象として,
彼らが持っている偏見の特徴と偏見形成のメカニ
ズムを見つけ出し,偏見の改善策を提示すること
とした。
主な結果は,まず,日中韓三国の若者が他の国
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