2. 加古地域 - 稲美町

2. 加古地域
1) 現況
加古地域航空写真
加古地域は稲美町の北西部に位置し、加
古川市に接しています。面積は約 640ha
で稲美町全体の約 18% にあたります。地
形は地域全体が、西部の曇川に向かって
緩やかに下っています。平成 17 年度末
の加古地域の人口は 4,845人、世帯数は
1,532 世帯、一世帯当たり人員は 3.16人
となっています。加古地域全体では、人口は
微増傾向にあるものの、自治会別にみると、
五軒屋、三四軒屋、中新田などでは、この
加古
人
人 : ,
世帯数:1,532戸
面積:約640ha
N
0
100
500
1000
m
10年間で人口が減少傾向となっています。
加古地域は全域が市街化調整区域で、ほ場整備事業等によって整備された美しい農地が地域全体
に広がっています。地域の北部と東部には、特別指定区域として指定された工業地が合わせて 2ヶ
所存在します。集落としては上新田周辺が古く、田園集落区域は地域の中央部、上新田から加古小
学校の辺りにかけてもっとも大きく広がっています。
2) 主な地域資源と低未利用地
a. 自然資源
・加古大池では 1ha に及ぶ葦原が保護されており、
野鳥のすみかとなっています。広い水面ではカヌーや
ウィンドサーフィン等を楽しむこともできます。
・茨池などではコハクチョウの飛来が観察されます。
ヒシなどの水生植物が生育しています。
・六軒屋池には、絶滅危惧種Ⅱ類のオニバスが生育しています。
加古大池
六軒屋池
b. 歴史・文化・社会的資源
・延宝 8(1680) 年造営の加古八幡神社では毎年 10 月に秋祭が行われます。
地元の保存会によって継承されている伝統の獅子舞が有名です。
・1660 年開村の加古新村が成立した上新田の辺りには、
今も古い邸宅が残り、景観的にも優れた屋敷林が見られます。
・地域西北部の鳴ヶ岡稲荷神社では、39 の朱色の鳥居が
田んぼの中に立ち並びます。
杉やモチの大木が茂る社寺林が形成されています。
・加古大池では毎年8月上旬に「いなみ大池まつり」が開催され、
景観的に優れた屋敷林
花火や地域住民、ボランティアによる模擬店なども出店されます。
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Ⅲ . 地域別構想
c. 公共施設、コミュニティ施設
・地域のほぼ中央には、稲美北中学校と加古小学校があり、その加古小学校に隣接して
加古幼稚園、加古保育園が位置しています。
・福祉施設としては、加古福祉会館等が稲美北中学校の南隣に位
置しています。
・公園としては、加古大池公園、加古八幡神社に隣接する加古農
村公園があります。
・スポーツ施設としては、地域西北部の鳴ヶ岡稲荷神社の近くに、
鳴ヶ岡スポーツ公園があります。
鳴ヶ岡稲荷神社
d. 低未利用地等
・善平池跡等は、資材置き場等に使われていますが、より積極的な活用方法がないか検討す
る余地があります。
・四軒屋池跡は、加古土地改良区が管理している雑種地となっています。
・天井池(一部分)跡は、残された池の周りに遊歩道が整備され、水辺空間と一体になった
有効な活用が望まれます。
・東池は、廃池にはなっていませんが、ため池としては事実上使用されておらず、雑草が生
い茂っています。
3) 地域の主要課題
a. 田園集落の活性化
加古地域内の古くからの集落では少子高齢化が進み、いくつかの集落では既に人口減少が始
まっています。一方で、高齢化社会において地域コミュニティが果たすべき役割は増大しつ
つあり、その基本単位である田園集落を活性化し、良好で魅力的な生活空間として整備する
ための取り組みが必要となっています。
b. 農業の活性化
加古地域には美しい農地が広がっていますが、農業をとりまく社会的、経済的な状況は厳し
く、それらの農地を良好に維持し続けるための継続的な取り組みが重要となっています。また、
農業従事者の高齢化が進む中、次世代に農業を伝え、農業者と非農業者が連携しつつ、新た
な農業の可能性に挑戦するための取り組みを進めていく必要があります。
c. 加古大池の利活用
兵庫県で最も大きなため池である加古大池は、ため池と水路網の整備によって発展してき
た稲美町のシンボル的存在であり、同時に、様々な動植物の生息する自然の宝庫です。これ
までにも水辺空間や遊歩道、管理施設等の整備が進められ、東播磨地域全体の取り組みである
「いなみ野ため池ミュージアム」の重要な構成要素ともなっています。今後も、この貴重な地
域資源をしっかりと保全するとともに、環境教育や健康づくり等、様々な活動の場として生か
すことによって、地域のまちづくりのために一層有効に活用していく工夫が求められます。
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d. 低未利用地の活用
廃池となった西部の四軒屋池 ( 上池、下池 ) の跡地については、現在まで有効な利用がなさ
れておらず、今後、隣接集落における土地利用計画の作成と合わせて、その利用方法を検討
することが求められます。天井池の廃池となった部分や、ため池として使用されなくなった
東池についても、近隣集落の土地利用計画の作成等の機会をとらえて、それらの有効な活用
方法について考える必要があります。
4) 地域づくりのための取り組み
a. 個性的で魅力的な田園集落の創造
五軒屋、三四軒屋、中新田などの集落では、既に人口が減少傾向にあり、土地利用計画を作成して
分家住宅等の建築を可能にすることが急務です。これらの集落は、いずれもそれぞれ加古大池、三軒
屋池、茨池等のため池に隣接しており、水辺空間との関係を地域づくりに生かす工夫を行うことも考
えられます。また、この地域において最も大きなまとまりを有する田園集落区域は、加古小学校付近
から上新田北交差点付近にかけての区域であり、この一帯を加古地域のコミュニティ中心形成ゾーン
と位置づけ、今後、具体的な土地利用計画を作成してまちづくりを推進することが考えられます。具
体的な施策の例を以下に示します。
・集落ごとの将来像を考えるための住民と行政とが連携したワークショップ等の開催
・住民主体による各集落の土地利用計画の作成
・集落内への分家住宅や地縁者のための住宅の建築の促進
・各集落の公会堂やふれあい広場の積極的活用
・コミュニティ中心形成ゾーンにおける地縁者の小規模事業所の立地推進や地域活性化行
事の開催
・安心して歩くことができる「くらしのみち」としての集落内生活道路の整備
・歴史的価値があり景観的にも優れた旧家や屋敷林の保存
・集落ごとの個性的で魅力的な景観形成のためのガイドラインの策定や協定の締結
b. 農業活性化のための施策
農業者と非農業者とが連携して美しい農地を守り、農文化と農業関連産業を育てるための諸施策を
実施します。具体的な施策の例を以下に示します。
・加古小学校や稲美北中学校との連携による農地を用いた教育活動や地域活動の推進
・非農業者や来訪者を対象とした農業体験の機会提供とそのための施設の整備
・高収益作物の栽培やバイオマス等、農業の新しい可能性を試すための活動推進とそれに
必要な場所や諸施設の整備
c. 加古大池を核とした活動拠点づくり
加古大池を貴重な地域資源としてとらえるとともに、その一帯を広域的な余暇活動拠点と位置づけ、
環境教育、健康づくり、レクリエーション、人々の交流、農業の活性化等、多目的な利用を可能にす
るための方策を検討します。具体的な施策の例を以下に示します。
・加古大池を利用した環境教育プログラムの実施や様々なイベントの開催
・上記諸活動のために必要な諸施設の整備
・加古大池と加古大溝や周辺地域を結ぶ自転車歩行者道のネットワークの整備
・ため池ミュージアムやため池協議会の活動の推進と支援
・加古大池をテーマとした地域情報の発信
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加古地域まちづくり構想図
善平池跡
大沢東公園
都市計画道路
北新田公会堂
大沢新池
都
市
計
大沢公会堂
鳴ヶ岡スポーツ公園
ふれあい広場
三四軒屋公会堂
清掃センター
ふれあい広場
主要道路
自転車歩行者道 A系統
自転車歩行者道 B系統
自転車歩行者道 C系統
六軒屋池
遊歩道
茨新池
奥ノ池墓地
野村池
ふれあい広場
六軒屋公会堂
例
ふれあい広場
鳴ヶ岡稲荷神社
三軒屋池
凡
大沢東集会所
奥の池
中新田公会堂
ふれあい広場
都市計画道路
垂水志方線
コミュニティ中心形成ゾーン
見谷下新池
見谷公会堂
茨池
(コハクチョウ飛来)
四軒屋池跡
見谷上池
寺社・境内
加古大池管理棟
加古八幡神社
ふれあい広場
ふれあい広場
地域施設・福祉施設等
加古農村公園
東池
千和池公会堂
ふれあい広場 デイサービスセンター
七軒屋公会堂
中ノ池
天井池
加古小学校
上新田公会堂
加古保育園
ふれあい広場
加古大池
在宅サービスセンター
加古福祉会館
池ノ内公会堂
ふれあい広場
田園集落区域
※
「田園集落区域」
内の農振農用地区域等は除外
農業区域
ふれあい広場
八軒屋公会堂
公民館・文化施設
工業地区[現況]
稲美北中
障害者ふれあい
センター
教育施設等
青野池
加古大池公園
加古幼稚園
見谷住宅集会所
公園等
竹谷池
五軒屋公会堂
八軒屋池
上新田高層住宅
こみゅにてぃぷらざ
ふれあい広場
保全区域
水辺区域
低未利用地
m
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