Diggin into the New York Player - Lauren Sevian

Interviewer
鄭 優樹(テイ・ユウキ) www.yukiteimusic.com
サックス、クラリネット奏者。1977年生まれ、広島県出身。アメ
リカで高校時代を過ごし卒業後ニューヨークに移る。ニュースク
ール大学ジャズ科及びアロンコープランド音楽院大学院卒業。ア
ントニオ・ハート、リック・マルギッツァ、エリック・アレキサンダー
らからサックスを学ぶ。アメリカ、ヨーロッパを中心に、ジャズ、
クラシックなどのジャンルを越えた音楽活動を展開。今現在ニュ
ーヨークの音楽学校の講師をする傍ら、アメリカの教育番組「セ
サミストリート」への出演など、後進の指導にも励んでいる。また、
アート・クリエイティブチーム“TurnAround Artists Organization”
にプロジェクト・ディレクターとして所属。
“一人の女性としての表現もしたい”
Lauren Sevian
( ローレン・セヴィアン )
w w w. l a u r e n s e v i a n . c o m
才色兼備の女性バリトンサックスプレイヤー。1979年生まれ、アメリカ・ニューヨーク出身。幼少より音楽に親しみ、8歳でサック
スと出会う。高校在学時に“Grammy All-American High School Band”に選抜、16歳のときにカウント・ベイシー・オーケストラ
にてソロ演奏披露。17歳までにカーネギーホール、ヴィレッジ・ヴァンガードなど有名ステージで演奏。卒業後はマンハッタン音楽
院にてドニー ・ マッカスリン、マーク ・ ターナー、ジョー ・ テンパリーらからサックスを学ぶ。2003年にミンガス・ビックバンド正式
メンバーとして加入。2009年、ファーストアルバム
“Blueprint" をリリース。2010年にミンガス・ビッグバンドがグラミー賞“Best
Large Jazz Ensemble”に輝く。現在は、自己リーダーバンド LSQ、Eb Quartet などでも活躍中。Buffet Crampon、RICO の契約
アーティスト。
行きたいと思っているわ。数ヶ月前に起こっ
た大地震や津波で、多くの日本に住んでいる
方が災害にあったのをテレビなどで見たとき
は本当に悲しくなりました。こういうときこ
そ音楽を通じてみんなを励ませればと思いま
す。音楽は“処方箋のいらない薬”だと思うか
ら。
─ 以前お会いしたときと楽器が変わってい
ますね。
L 数年前からビュッフェ・クランポンのサッ
クスを使い始めたの。最初は BC8403のマッ
─ 以前、故ローランド・ハナ氏も「音楽とい
のジェフ・ワッツなど、すばらしいメンバーに
トフィニッシュ(日本未発売)を使っていたの
うものは食べ物と一緒で、美味しいものやあ
囲まれて演奏できることは何よりも光栄だし、
だけど、もう少しエッジの効いた音がほしくて
まり美味しくないもの、一人ひとり好みがあ
すごく勉強になります。
ラッカーフィニッシュのものに変えたの。仕上
げのラッカーだけでここまで変わるのはさす
るだろう? でも誰でも旨い料理を食べたいも
Profile
あるって。チャンスがあればいつでも日本に
のだ。私はいつも美味しいものを食べたい」
─ そ の ミンガス・ビッグバンドの アルバム
がだわ。プレイヤーによって好みは違うけど、
とおっしゃっていました。
"Live at the Jazz Standard" が2010年の
自分に合った楽器を見つけることは大切だと
L それはごもっとも!
メモさせていただく
グラミー賞に輝きましたね。
思うの。楽器にコントロールされるのではなく、
わ(笑)
。
L これは大晦日にニューヨークにある「Jazz
自分が楽器をコントロールするという表現の
Standard」というジャズクラブでライブ録音
ほうが良いかな。だって楽器は音楽を通じて
─ ローレンさんはいつもモデル並みのスタイ
された演奏だったのですが、NPR アメリカ公
自分を表現する体の一部でしょう?
だから私
ルですね。今日着ている服もおしゃれですし。
共ラジオ局主催で WBGO 88.3(ジャズ専門
はこの楽器が気に入ってるの。
L ありがとう。私は女性でもあるし音楽を通
のラジオ局)を通して全米のいろいろなジャズ
じてだけではなく一人の女性としても表現し
ラジオ局にも同時放送されたの。それがかな
たいの。ニューヨークはファッションの街でし
り好評だったみたいで、ミンガスの奥様であ
L マウスピースは RPC115(Ron Coelho)の
ょう?
昔はジャケットとズボンだけとかシン
り、すべてのミンガスバンドプロジェクトの責
ハードラバー で す。 オットーリンクで い え ば7
プルだったけど、着ていて演奏に差し支えの
任者であるスー・ミンガスさんが、この音源を
☆ぐらいの開きです。リードはリコのレゼルブ
ないおしゃれな服であれば喜んで着るわ。日
CD リリースしていいかみんなに聞いてきたこ
21/2 番かオレンジボックスの3番です。リガチャ
本の女性だっていつもかわいい服を着たりし
とでアルバム化されました。グラミーは以前
ーはハリソンリガチャーの復刻版"H"リガチャー。
てるでしょう?
今回は今年の9月に立ち上
何度かノミネートはされていたのですが、今回
この相性は抜群でとても気に入ってるわ。
がる友人の日本人双子姉妹のブランド(www.
すばらしい賞を受賞できて光栄です。レコー
twoinnyc.com)の服を着させてもらってる
ディングの仕上がりもとても良くて満足して
─ では最後に日本の THE SAX 読者にメッ
の!
ニューヨーク在住の彼女たちは、海外で
います。
セージを。
育った経験もあって、インターナショナルな感
─ マウスピース、リガチャー、リードは?
L 練習、練習、そして練習かな(笑)
。でも何
覚を持っていて、感性がおしゃれで好き。ふ
─ ミンガス・ビッグバンド以外での活動は?
か目標を持って、それを叶えるためにはどう
たりが生み出す服が今から楽しみだわ。男性
L 数年前に私のデビューアルバム "Blueprint"
したらよいかを考えて時間を過ごすことが大
には分かりづらいかも知れないけど、女の子
を出しました。今現在は自分のバンド
“LSQ
切だと思う。あとは楽しんでやること。楽し
(Lauren Sevian Quartet)
”で演奏活動をし
くないと長続きはしないと思うし。もし日本
ています。あとは私の主人のマイクとのバン
に行く機会があれば、ぜひ日本のみなさんと
ドの "Eb Quartet"、
またデニス・リーアリー(有
交流したいです。
吸収することの大切さ
は自然とジャズを聴くようになっていったわ。
─ お久しぶりです。こうして雑誌の仕事で
─ バリトンサックスは女性としては珍しい
一緒になるのは Saxophone Journal(アメリ
と思うのですが、最初からバリトンを?
カのサックス専門誌)以来ですね。
L 最初はアルトサックスからはじめたの。で
ローレン・セヴィアン( 以下 L)
本当 ね! 今
も高校生になったころにバリトンサックスを初
ヤーから学び、吸収することの
─ さて、ローレンさんが所属しているミンガ
アーをしているわ。サイドマン、私の場合はサ
─ 今日はありがとうございました。
日はよろしくお願いします。“THE SAX" を
めて吹いた瞬間、「これだ!」と思った。バリ
大切さを教えてもらいました。
ス・ビックバンドの話なのですが。いつごろか
イドウーメン?の仕事も多いわね。
L こちらこそありがとう。今度は日本でお会
拝見したけど、日本語がわからない私でも見
トンの大きさにも戸惑わなかったし。それ以
ていて楽しいわ。アメリカにはこういった専
来ずっとバリトンです。
はいつもおしゃれしたいものだと思うわ。
門誌はないわね。
─ 早速ですが、音楽やサックスとの出会い
から教えてください。
音楽は処方箋のいらない薬
らバンドに入るようになったのですか?
いしましょう。
─ ローレンさんの好きなミュージシャンは?
L 2003年頃かな。そのころバンドにいた
─ 今までに来日したことは?
L もちろんマイク!(笑) ジョン・コルトレ
友人でテナーサックス奏者のマイク・シムが薦
L
─ ローレンさ ん の ご 主人 は す ば ら し い ア
ーンは大好きでよくコピーをしたわ。あとは
めてくれたの。トランペットのランディ・ブレ
のミュージシャンが日本に演奏しに行くでしょ
ルトサックスプレイヤー、
マイク・ディールボ氏
やはりペッパー・アダムスとかね。名前を挙げ
ッカー、ルー・ソロフ、サックスだとシェーマス・
う? だから彼らからいつも日本の良いところ
たらきりがないくらいたくさんいるわ。
ブレイク、ドニー・マッカスリン、ロニー・キュー
を聞くわ。ジャズや音楽をすごく愛している
バ、ピアノのデイヴィッド・キコスキーやドラム
ところや、ミュージシャンへの対応や理解力が
(www.mikedirubbo.com)ですが、家で一緒
L 私が育った環境は、常に周りに音楽があっ
に練習したりしますか?
たわ。母がピアノを弾いていたこともあって、
L 彼は私にとって良きパートナーでもあり先
─ ローレンさんにとってジャズとは?
私が5歳のときに母からピアノを学びました。
生よ。でも練習をするときは別々ね(笑)
。わ
L ジャズに限らず、すべての音楽に対して言
兄がサックスをプレイしていたので自然に興
からないことや、知らない曲のことをいつで
えることだけど、音楽は私の日常生活、人生の
味が沸き、8歳のころにサックスを始めたの。
も彼に聞けるのはすごくありがたいわ。サッ
中の重要なパート。いつも私の頭の中はジャズ
また、父はジャズが大好きで、レコードをたく
クスプレイヤーとして大切なこと、そして CD
のことを考えているし、どんな忙しいときで
さん持っていた影響もあって、12歳のころに
やレコードを通して、多くのすばらしいプレイ
も毎日練習するようにしてるわ。
016 │THE SAX vol.48
名な俳優でコメディアン)のバックバンドでツ
それがまだないの。ニューヨークから多く
WEB サイト連動!
ザ ・ サックス公式 WEB サイトでは、ローレン・セヴィアンのワンポイントレッスンを公開予定!
詳しくは→ http://www.alsoj.net/sax/index.html
vol.48 THE SAX │ 017
in
New York
Diggin' into the
New York
Player
Diggin
Lauren
Sevian
ローレン・セヴィアン