資料1(PDF:479KB) - 滋賀県

平成 26 年8月 27 日
定例教育委員会資料
文 化 財 保 護 課
国の文化審議会の答申について
平成 26 年7月 18 日(金)に開催された国の文化審議会において、県内では
新たに3件を登録有形文化財に登録するよう文部科学大臣に答申されました。
資
○登録有形文化財(建造物)の登録
3件・・・・・・・・・・・・・
滋賀県庁舎本館
(大津市)
1件
宮本家住宅主屋
( 〃 )
1件
旧多田家住宅主屋
( 〃 )
1件
料
資
料
○登録有形文化財(建造物)の登録
文化審議会 平成 26 年7月 18 日付け答申
(1)滋賀県庁舎本館
1件
名
称
滋賀県庁舎本館[シガケンチョウシャホンカン]
員
数
1件
所
在
地
大津市京町4字大蔵1-1
所
有
者
滋賀県
建 築 年 代
昭和14年(1939)/平成10年改修
登 録 基 準
二 造形の規範となっているもの
構造及び形式並びに大きさ
鉄筋コンクリート造4階地下1階建、建築面積3591㎡、塔屋付
特徴・評価
滋賀県庁舎本館は、昭和14年(1939)5月に竣工した建築で、本年で7
5周年を迎えました。設計は、府県庁舎を得意とした佐藤功一と建築装飾を得意
とした國枝博、施工は大林組です。
ろく
本館は鉄筋コンクリート造4階建て、屋根は陸屋根で、北を正面とし、正面中
央に2段構成の塔屋が付いています。平面は中庭を囲むロ字型をなし、正面側の
み左右に翼部が伸びています。正面中央には重厚な車寄を構え、西翼部には県議
会議場が、東翼部には知事室があります。
本館の外観は、大きく翼部をのばした水平感と柱と窓が連続する垂直性の絶妙
なバランスがすばらしく、全体に洗練された意匠で纏められています。
外壁は、人造石とスクラッチタイル張りとし、正面中央と両翼にコリント式の
柱を並べ、外壁上部には歯状の縁どり装飾をまわし、正面側の屋上パラペットに
は、中央と端部にアンテミオンの飾りをのせているところが特徴です。
内部空間では主要諸室に優美な内装が施されており、特に正面中央主階段のテ
ラコッタのデザインや、保存状態のよい知事室や議場などに密度の高い意匠が採
られています。また中庭からの採光を意識した執務室の配置など、居住性や利便
性を考えた合理的な手法がとられています。
滋賀県庁舎本館は戦前最後期に建築された、合理的でありながら格調の高い庁
舎建築の傑作です。
■滋賀県庁舎本館
(2)宮本家住宅主屋
1件
名
称
宮本家住宅主屋[ミヤモトケジュウタクシュオク]
員
数
1件
所
在
地
大津市音羽台字垣内212-2
所
有
者
宮本謙二
建 築 年 代
昭和5年(1930)/昭和10年頃・平成4年改修
登 録 基 準
二 造形の規範となっているもの
構造及び形式並びに大きさ
木造2階建、瓦葺、建築面積122㎡
特徴・評価
宮本家住宅主屋は、建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリスの通訳を務めた宮
本文次郎の住居として昭和5年(1930)に建築された洋風住宅です。建物の
設計はヴォーリス建築事務所、施工は石倉善四郎が担当しています。
構造は木造2階建て、寄棟造で、屋根はスペイン瓦葺となります。外壁はスタ
ッコ塗とし、縦長窓や半円アーチ窓、バルコニーをバランスよく配置し外観を整
えています。
内部は洋間主体で一部を和室としています。琵琶湖の眺望を意識した居間の配
置や機能性を意識した食堂兼台所室(後に改修)など、ヴォーリスの配慮の行き
届いた平面計画がうかがい知れます。
建物と調和が図られた建具や調度も保存状態が良好で、居間のアルコーブや暖
炉、緩やかな階段等にヴォーリス建築の特徴をよく示しています。
当建築は円熟期にあったヴォーリスの昭和初期の近代洋風住宅として質が高
く、建設当時の設計図面が残るなど建築の経緯も明らかであり、高い価値が認め
られます。
■宮本家住宅主屋
(3)旧多田家住宅主屋
1件
名
称
旧多田家住宅主屋[キュウタダケジュウタクシュオク]
員
数
1件
所
在
地
大津市京町2-39
所
有
者
塩見秀子
建 築 年 代
明治時代中期/平成19年改修
登 録 基 準
一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
構造及び形式並びに大きさ
木造2階建、瓦葺、建築面積82㎡
特徴・評価
旧多田家住宅は大津の旧市街地に所在します。構造は木造2階建て、切妻造平
入、桟瓦葺の小規模な町家で、建築年代は明治時代中期と推定されます。1階平
面は片側に通り土間(ニワ)をもち4室を一列に並べ、正面からゲンンカンノマ、
ナカノマ、ダイドコ、そしてトコノマのあるオクザシキとなります。ニワにはク
ドや井戸が残されています。
正面外観は1階部分に出格子、2階には虫籠窓をあけ両端を袖壁にしています。
旧多田家住宅主屋は、明治中期の大津の町家の意匠、構造を残し、内部の改造
も少なく、通りに面した外観がよく残されており、大津の旧市街地景観を特徴づ
ける貴重な建物といえます。
■旧多田家住宅主屋