Investment Insight Series 2013年4月 - 日興アセットマネジメント

機関投資家向け資料
次の10年は日本のルネサンス時代
2013年4月
アジア金利
および通貨
~日本企業の国際競争力について~
日銀は4月4日、黒田新日銀総裁のもとで新たな「量的・質的金融緩和」の導入を
決定した。この政策は安倍首相が示している3本の矢「大胆な金融緩和」「機動的
な財政出動」「民間活力を引き出す成長戦略」の一つを受けたもので、実際、足元
で、国内株価は上昇し、為替は急速に円安傾向となっている。今後、円安が定着
することとなれば、日本企業の価格競争力は向上することが期待される。これまで
の円高の環境下において、日本企業の多くは、効率的な経営の実行により盤石な
財務基盤を備え、従来に比べ利益の出やすい体質となっていることから、足元の
円安で大きく利益を伸ばすと考えられる。このため、国内外の投資家から日本企
業にスポットライトが当たっている。
「3本の矢」と呼ばれる政策により、日本企業の競争力向上の弊害となっていた要
因が改善されれば、日本企業にますます注目が集まると考えられ、「次の10年は
日本のルネサンス時代」となろう。
■日本企業は高い生産性を維持
デフレ下において、一部の業種で競争力を失った企業がある。但し、それは限定
的で、多くの業種で高い競争力を維持している。
図表1は、日本銀行が発表している「国際競争力係数」で、日本、韓国、中国の競
争力の差異が、家電・情報関連、中間財、資本財・自動車関連別に図示してある。
これによれば、家電・情報関連の分野において、日本企業が競争力を失った分野
(家庭用電気機器、テレビ)がある一方で、資本財・自動車関連の分野で、輸送機
械(自動車)、特殊機械・金属加工機械が一貫して高い競争力を維持している。特
に輸送機械(自動車)関連企業の競争力向上には特筆すべきものがある。
株式運用部長 兼
オルタナティブ運用部長
丸山 隆志
大手自動車会社を例にとるとモノづくり革命を実践し、自動車の開発・生産過程に
おいて多くの「イノベーション」を積み重ねている。その結果、売上増につながりや
すい顧客ニーズに即した商品を以前に比べ短期間で開発できるようにした上で、
コスト競争力も向上させ、商品競争力と収益性の両者を向上させている。
■日興アセットマネジメントのホームページにて、運用にまつわる話題や市場動向まで、幅広いテーマを取り上げている
「運用担当者の視点から」をご覧いただけます。
http://www.nikkoam.com/products/column/maruyama
日興アセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第368号
加入協会: 一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会
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機関投資家向け資料
■図表1 国際競争力係数(1992年~2010年、(日本は2011年まで))
中国
家電・
情報関連
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1.0
韓国
テレビ
半導体電子部品等
家庭用電気機器
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1.0
0.8
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(年)
中間財
1.0
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0.0
-0.2
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-1.0
化学
鉄鋼
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-1.0
1.0
0.8
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0.0
-0.2
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-1.0
(年)
1.0
0.8
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(年)
(年)
資本財・自動車関連
1.0
1.0
輸送機械
0.8
0.8
特殊機械・金属加工機械
0.6
0.6
一般産業機械
0.4
0.4
0.2
0.2
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(年)
(年)
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0.8
0.6
0.4
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0.0
-0.2
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-0.8
-1.0
日本
0.0
0.0
-0.2
-0.2
-0.4
-0.4
-0.6
-0.6
-0.8
-0.8
-1.0
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(年)
-1.0
日本の輸送機械
は高い国際競争
力を維持
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(年)
■国際競争力係数(ICC, International Competitive Coefficient)
・純輸出額を貿易額(=輸出+輸入)で割った指数。1に近いほど競争力を有することを表す。
ICCiA=(AXi-AMi)/(AXi+Ami) ICCiA:A国のi財のICC、AXi:A国のi財の輸出額、AMi:A国のi財の輸入額
(出所)日本銀行
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(年)
機関投資家向け資料
イノベーションの例
部門間の垣根を
越え、最小限の投
資でビジネスの効
率化を図る
■大手自動車会社の取り組み
ある自動車会社の取り組みを紹介したい。自動車業界では、日々激化する競争に
打ち勝つためには、顧客の「多様なニーズ」に応え、車種、仕向地ごとの最適な仕
様を追求することが必要となる。これまでは車種ごとの開発、そしてその車種に対
応する専用生産ラインを構築したが、多くの専用部品や専用設備を必要とし、コス
ト競争力を低下させる要因となった。
そこで、台数規模の異なる複数のモデルの生産や、車種ごとの生産台数がバラつ
くなどの状況下で、品質とブランド力を向上させ、かつ利益率も高めていくために
は、「車種を超えた、従来と異なる共通化」というブレイクスルーが必要となった。こ
うした発想から生まれたのが「イノベーション(モノ造り革新)」である。
この企業では、これまで人的垣根のあった開発部門と生産部門、購買部門が互い
に協力し合い、5年から10年のスパンで未来を見据えて、将来導入する車種を車
格やセグメントを越えて一括企画することで、「共通の開発方法や生産プロセスで
より効率的に多品種の商品を開発・生産する」という取り組みが行なわれている。
多様な車台(プラットフォーム)や部品の基本骨格(アーキテクチャー)を共通化し、
同時に、台数変動、新車導入にスピーディかつ最小投資で対応できる柔軟な生産
体制を築くことでビジネス効率の向上が図られている。
3本の矢
大胆な金融緩和、
機動的な財政出
動、そして成長戦
略への取り組みと
いうアベノミクスの
「3本の矢」で日本
企業の競争力向
上へ
■アベノミクスで競争力向上
大胆な金融緩和、機動的な財政出動、そして成長戦略という「3本の矢」で構成さ
れているアベノミクスにより、これまで、日本企業の競争力向上の弊害となってい
た要因が改善しつつある。既に金融緩和と財政出動という2本の矢については取
り組みの目途がたった。最後の矢である成長戦略への助走が既に始まっている。
具体的には、製造業の六重苦と言われていた、以下の6点のうち、既に円高(①)
が解消に向かっており、FTA(③)に関しても解消に向けた具体的な取り組みが始
まっている。
①円高
②高法人税率
③自由貿易協定(FTA)への対応遅れ
④派遣禁止など労働規制
⑤環境規制の強化
⑥高い電力料金の解消
【ご参考】足元のFTA関連の動き
●2013年3月安倍首相はTPP(環太平洋パートナーシップ)の交渉参加を表明
・知的財産の保護、国境を越えた金融サービスのルール、海外企業による公共
事業への入札など、21分野で自由貿易のスタンダードを作るべく交渉開始
⇒日本企業の海外進出の後押し
・TPPの参加によって、より広域での自由貿易が可能
⇒日本製品の輸出が伸びるとともに国内の設備投資が拡大することが期待
⇒内閣府の試算では、TPP参加による経済効果は、全品目の関税が即時
撤廃されたと仮定すると、GDPは年率換算で3.2兆円(0.66%)押し上げ効果
※信頼できると判断した情報をもとに、日興アセットマネジメントが作成
日興アセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第368号
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機関投資家向け資料
インフレは企業
収益にプラス
アベノミクスの基
本的な考え方は、
「成長により富を
生み出す」
■次の10年は、日本のルネサンス時代
さらに今後、日本経済がデフレを脱却し、緩やかなインフレになる段階で、日本の
企業経営に変化が生まれると考えられる。
デフレ下では、通貨の2つの機能、支払い決済機能と価値保存機能のうち、価値
保存機能が高まりすぎ、企業は債務返済と内部留保の蓄積に励んでいた。これは
経営者としては合理的であった。しかし、インフレ下の経済環境ではこの企業行動
は正当化されない。さらに、緩やかなインフレにより、資本コストの上昇も見込まれ
る。中長期的には資本コストに関する意識が高まりにより、事業の選別、業界再編
等が進み、ROEも上昇していくと予想される。
アベノミクスの基本的な考え方は、「成長により富を生み出す」というものである。
最近の日本では、特に民主党政権時代は、弱者救済など「富の配分」に重点が置
かれていたが、明確に考え方がシフトしている。一つの例として、これまで、経営が
破綻して復活する可能性が低いにもかかわらず、銀行などの支援により倒産しな
い企業を温存させている可能性が高いと言われていた中小企業金融円滑化法が
2013年3月末をもって終了している。
3本の矢
今後は、デフレ脱却・緩やかなインフレの到来、政策の後押し等により、日本企業
が有する潜在的なパワーが発揮され、競争力・収益力が飛躍的に上昇し、株価の
上昇が期待される企業が多数出てくるものと予想される。
英国の論客、ウィル・ハットン オックスフォード大ハートフォードカレッジ学長は、
日本企業の技術力と研究開発の強みにより、
「次の10年は中国が後退し、日本のルネサンス時代になる」*
と発言している。
日本株式は中長期的に上昇余地があると考えられる資産である。これまでデフレ
環境下で過小評価されていたが、今後フェアに評価されるに伴い、多くの国内外
投資家が日本株式を一層組み入れると考えられる。今後の日本株式の動きに期
待したい。
* “The Asian story of the next decade will be Japan’s
renaissance and China’s relapse.” Will Hutton
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2012/apr/01/will-hutton-japan-economic-policy
当資料は、日興アセットマネジメントが日本の株式市場を取り巻く環境等についてお伝えすることなど
を目的として作成した資料であり、特定ファンド・戦略の勧誘資料ではありません。また、当資料に掲
載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見
解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
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