報告書(地球温暖化防止のための市民の取組)(513KB)(PDF文書)

平成 20 年度(2008 年度)
「科学技術について話し合う市民会議」
報 告 書
平成 21 年(2009 年)5 月
目
次
ページ
Ⅰ
1
2
3
はじめに
1
会議の趣旨
市民委員
会議の進め方
Ⅱ
広島市の地球温暖化対策の取組状況及び地球温暖化の問題点
3
Ⅲ
意見と提案
4
1 市民が取り組むべきこと
2 行政に望むこと
(1)省エネ活動推進の仕組みづくり
(2)市民活動の支援
(3)積極的な PR
(4)行政自身の取組
3 事業者や科学技術に望むこと
Ⅳ
「広島らしい」重点取組テーマ
9
・「風の道・緑の道」をテーマにした都市づくり
・「マイカー乗るまぁデー」の促進
【資料】
市民意見に関連した主な平成 21 年度事業
11
Ⅰ
1
はじめに
会議の趣旨
科学技術は 20 世紀に飛躍的に進歩し、それを産業と結びつけることにより人々が物質
的に豊かな生活を享受することを可能にするなど、人類の繁栄と社会の発展に貢献してき
た。
一方、科学技術は、核兵器などの大量破壊兵器を生み出し、また、地球温暖化をはじめ
とする様々な環境問題など新たな社会問題をも生み出してきた。
21 世紀において、人々が真に豊かで安心して暮らせる社会を構築し、発展させていく
ために、科学技術の正負両面を見据えながら、科学技術をどのように利用していくかが問
われている。
広島市は、市の役割と科学技術に関わる幅広い分野における施策の方向性を定める「広
島市科学技術政策大綱」を平成 15 年(2003 年)6 月に策定し、基本理念として、「科学技
術の真に人間的な目的のための利用」を掲げている。
この基本理念の具現化を図るためには、市民ニーズを起点とした科学技術が展開するよ
うな、市民と科学技術との新たな関係の構築が必要である。
このため、市民が科学技術政策の企画立案や決定の過程などに主体的に参画することが
できる機会を提供する試みとして、平成 17 年度(2005 年度)から「科学技術について話
し合う市民会議」を毎年開催している。
本年度の会議は、参加する市民が科学技術を身近に感じられ、そこでの意見交換が具体
的な提案につながるよう、
「地球温暖化防止のための市民の取組」をテーマとした。
2
市民委員
会議の趣旨に賛同した公募による市民 9 名
大作
勝
(おおさくまさる)
東
区
大橋彩子
(おおはしあやこ)
西
区
加藤寛治
(かとうかんじ)
安芸区
佐藤政美
(さとうまさみ)
安佐南区
永田彩乃
(ながたあやの)
西
区
中村信義
(なかむらのぶよし)
東
区
藤原達郎
(ふじはらたつろう)
西
区
山根豪太
(やまねごうた)
安佐南区
吉野達夫
(よしのたつお)
東
※
区
市民委員は、市民と市政やホームページなどで公募した。
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3 会議の進め方
第 1 回及び第 2 回の会議では、専門家による話題提供を参考に、テーマに関する意見交
換を行った。第 3 回の会議では、これまでの意見の集約、提案の検討を行い、第 4 回会議
において、報告書としてとりまとめた。
また、意見交換に際し助言等をいただくため、科学技術市民カウンセラーに会議のアド
バイザーを務めていただいた。
【会議の経過】
会議等
日程
内容・議題
第1回
平成 20 年(2008 年)
会議
8月7日
(1) 話題提供
「広島市における地球温暖化対策の取組について」
広島市環境局エネルギー・温暖化対策部
企画課長
政氏 昭夫
第2回
平成 20 年(2008 年)
会議
9月8日
(2) 意見交換
(1) 話題提供
「地球温暖化対策技術概論および具体例」
中国電力株式会社エネルギア総合研究所
温暖化対策技術推進担当
マネージャー 大楽 正則
(2) 意見交換
第3回
平成 20 年(2008 年)
会議
10 月 17 日
第4回
平成 21 年(2009 年)
会議
1 月 29 日
○ 意見の集約、提案等の検討について
○ 意見の集約、提案等の検討について
○ 報告書(案)について
【アドバイザー】
第 1 回~第 4 回会議 科学技術市民カウンセラー 松尾 健司
【オブザーバー】
広島市環境局エネルギー・温暖化対策部 企画課長 政氏 昭夫
広島市環境局エネルギー・温暖化対策部 エネルギー・温暖化対策総合推進担当課長
2
石井 伸
Ⅱ
広島市の地球温暖化対策の取組状況及び地球温暖化の問題点
地球温暖化は、地球規模の環境問題の中でも最も深刻な問題の一つである。
広島市においては、2050年までに温室効果ガス70%削減という「カーボンマイナス
70」を掲げ、今年度を「温暖化対策行動元年」と位置づけて、数多くの事業に取り組んで
いる。
●
広島市の主な地球温暖化対策の取組
・「マイカー乗るまぁデー」の推進
・「エコドライブ」の推進
・「買い物袋持参運動」の実証実験
・「住宅環境性能向上促進補助(太陽光発電システム等の設置補助)
」の創設
・市施設への「太陽光発電システムの導入」
「屋上・壁面緑化の実施」
・「地球温暖化対策等の推進に関する条例」の制定
など
●
地球温暖化の問題点
◎影響が「地球規模」と大きく、その変化が急激なこと。
→ 地球温暖化対策を世界全体で足並みをそろえて行う必要がある。
→ 急激な気候変動が起こると人類社会を含めて地球の生態系に与える影響が大き
いため、対策が必要になる。
◎「原因」が私たちの生活や社会活動の全てに関係していること。
→ 企業の経済活動だけでなく、私たちの家庭生活も大きく影響を与えており、個
人の生活においても対策を行う必要がある。
◎直接的な影響が見えにくいため、問題を「認識」しにくいこと。
→ 温室効果ガスの排出が「目に見えない」(温室効果ガス自体が「目に見えない」、
例えば、電気や鉄製品などを使用している場所とそれらの製造に伴う温室効果ガ
スの発生源(発電所や製鉄所など)が離れているため「目に見えない」)
。
→ 直接的な影響を感じられない時点で対策を始めないと手遅れになる。
【意見交換における論点】
地球温暖化対策は世界中で取り組んでいくことが重要であり、この市民会議では、対策に
関する幅広い視点からの意見交換を行うとともに、広島市において市民が取り組んでいける
こと、それを支援・推進するために行政が取り組むべきことについても議論した。
◆
◆
◆
市民が取り組むべきこと
行政に望むこと
事業者や科学技術に望むこと
3
Ⅲ
意見と提案
1
市民が取り組むべきこと
【市民委員からの提案】
・「大量生産、大量消費、大量廃棄」から「シンプルライフ」へライフスタイルを変える。
・市民が環境を守ることの価値を認め、相応の負担をするような意識改革を行う。
・町内会などの地域コミュニティを活用した取組を推進する。
・自動販売機を使わないように市民運動をする。
・フードマイレージ*を考慮した食品の購入を促進する。
・「マイカー乗るまぁデー」に、より積極的に参加する。
【主な意見交換の内容】
・「大量生産、大量消費、大量廃棄」から「シンプルライフ」へライフスタイルを変える。「シンプル
ライフ」が「かっこいい」と思える意識改革が必要。
・広島市単独でも「環境税」や「市内への車の進入規制」を導入してはどうか。また、このような
「強制力」を納得して受け入れるには、市民が環境を守ることの価値を認め、相応の負担をするよ
うな意識改革が必要だ。
・「町内会報」を見ると、環境やエコロジーに関心を持っている人が多いのが分かる。町内会、老人
会、あるいは女性会などを大いに活用し、取組を推進するのが良いのではないかと思う。
・NPO の人などで地球温暖化対策の取組をしている市民はたくさんいるので、そういう人たちを巻き
込んで、盛り上げていくことが大事ではないかと思う。
・自動販売機はかなり電気を使うが、なくそうと思っても業者が反対して難しいので、市民運動とし
て自動販売機を使わないようにすればエネルギーの消費量を減らせるのではないか。また、「たば
こ」などは、電気を使わない自動販売機があってもいいのではないか。
・特に食品について、値段だけでなく環境負荷を考えて「フードマイレージ」を考慮した購入を促進
する。生産地の距離は近い方が、「安全面」でも有利。
・税とか法律とかがなくても現状でできる、「マイカー乗るまぁデー」をもっと積極的に推進するこ
とだ。「マイカー乗るまぁデー」の日は、市長だけでなく、市役所、県庁、国の職員全員が公共交
通機関で来るぐらいすれば、行政の本気さが伝わり、市民もやろうかなという気になるだろう。
*:「フードマイレージ」は、「食品の輸送距離」を意味し、重量×距離(単位はトン・キロメートル
など)で表す。遠くから食品を運んでくるほど、大きな値となる。
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2
行政に望むこと
(1)省エネ活動推進の仕組みづくり
【市民委員からの提案】
・道路に専用レーン(エコカー、自転車)を設置する。
・自転車利用を促すため、市内中心部に自転車の駐輪場を増やす。
・アストラムラインの料金を安くしたり、環状線にしたりして利便性を高める。
・薪ストーブ(ペレットストーブ)を使用できる環境区域を設定する。
・「マイバック持参運動」はレジ袋の有償化より、ポイントをつけることで対応する。
・「マイカー乗るまぁデー」には公共交通機関の料金を安くするなどの工夫をする。
・廃棄物処理やエネルギー生成等を地域内で完結できるシステムを作る。
・広島市単独でも「環境税」を導入する。
・自動車の「最適経済速度」を実現し、さらに、社会経済システム全体を「最適経済速
度」になるようにする。
・太陽光発電や風力発電の普及のために、電力の固定価格買取制度を導入する。
【主な意見交換の内容】
・「エコカー専用レーン」や「自転車レーン」など、インセンティブが働き、エコをする気がない人
でも自然に取り組むことが可能となるような利便性の高い仕組みを作る。
・自転車の利用促進を図るために、市内中心部に自転車の駐輪場をもっと増やしてほしい。
・アストラムラインの料金を安くし、これを環状線にしてほしい。利便性を高くしないと公共交通機
関への乗り換えは促進されない。学生の立場だと利用しにくく、市の取組との間に距離を感じる。
・薪ストーブ(ペレットストーブ)を使用できる環境区域を作ったらどうか。
・「マイバック持参運動」は、レジ袋を有償化するよりもポイントをつける方が良い。「損をする」活
動より「得をする」活動の方が受け入れられやすい。
・「マイカー乗るまぁデー」の日は公共交通機関の料金が安くなるなどの工夫が必要ではないか。ま
た、毎日、マイカーに乗っている人にもっとアピールする工夫が必要ではないか。
・バイオマスの廃棄物処理からエネルギー利用までを地域内で完結できるシステムを、例えば団地な
どに導入してはどうか。地域内でごみの処理からエネルギーの生産・消費までを完結できれば、ご
みの不法投棄などの問題は起こらない。
・広島市単独でも「環境税」や「市内への車の進入規制」を導入してはどうか。また、このような
「強制力」を納得して受け入れるには、市民が環境を守ることの価値を認めて、相応の負担をする
ような意識改革が必要だ。
・自動車を「最適経済速度」で走せるようにすると、生活レベルを現状維持した上で、エネルギー消
費をかなり減らせるのではないか。また、「最適経済速度」で走るように制限をかけた自動車を開
発してほしい。高速道路か一般道路かを自動で判断し「最適経済速度」を切り替えることも技術的
に可能だろう。
・さらに「最適経済速度」を経済社会システム全体に適用したい。自動車は分かりやすい例だが、
「いかにエネルギー使用量を尐なくするか」という指標で、全てに「最適経済速度」があるはず。
・風力発電や太陽光発電などの自然エネルギーの普及促進のために、発電した電気を電力会社が高く
買い取る制度を導入するべき。
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(2)市民活動の支援
【市民委員からの提案】
・太陽光発電や太陽熱利用設備の設置に対する補助金を増やす。
・エコ(省エネ)活動を行う「顔の見える」リーダーを市役所や地域におく。
・市民が取り組める広島版「エコアクション 21」*を作る。
・エコ活動に取り組む家庭や企業の表彰制度や広報媒体への掲載、バッジや賞状の配布等
を行う。
・エコドライブ運転教習の実施をさらに推進し、エコドライブを普及させる。
【主な意見交換の内容】
・初期投資の負担を軽くして回収期間を短縮するために、太陽光発電や太陽熱利用設備の設置に対す
る補助金を増やす。
・エコにはみな関心があると思うが、その関心を集約する「顔の見える」リーダー(責任者)を市役
所や地域において、「顔の見える」リーダーが引っ張っていくことが大切だ。身近な取組を「個人
的にやっただけ」にしてしまうと、活動は盛り上がらない。
・市民が、自らの行動を自分で評価する、あるいは活動に参加したという達成感を得るために、市民
が取り組める広島版「エコアクション 21」を作る。
・エコ活動に取り組んでいる企業や市民を表彰する。広報紙に掲載する。また、子どもたちにはバッ
ジや賞状を配布することで、がんばっている人を評価し、サポートする。
・自動車の削減や公共交通機関への転換ができれば一番だが、エコドライブの運転教習を受けるだけ
でかなりの燃費向上が期待できるため、エコドライブを推進することが良いと思う。
*:「エコアクション 21」は、環境省の策定したガイドラインに基づく、中小企業等でも比較的容易に
取り組める事業者向け環境経営システム(環境マネジメントシステム)である。特徴は、環境経
営システムを作るだけでなく、自己評価、報告書の公表までが含まれることである。
(3)積極的な PR
【市民委員からの提案】
・地球温暖化について、行政がより正確な情報を提供する。
・地球温暖化対策について、わかりやすく説明した DVD をつくる。
・市役所の地球温暖化対策の取組について幅広く、積極的に PR する。
・紙屋町交差点の横断歩道を廃止したことによる効果を科学的に検証する。
・市役所自身がどのようにCO2削減に取り組んでいるか、アピールする。
【主な意見交換の内容】
・地球温暖化対策の説明で使われる言葉や数字について、行政はよりきちんとした言葉を使い、一般
の大人が理解できる、サイエンスを踏まえた情報を提供してほしい。また、議員や行政はもっとサ
イエンスに対する力を高めてほしい。
・地球温暖化問題について、わかりやすく説明した DVD を作成し、町内会などの地域コミュニティに
配布すれば、時間があるときに繰り返し見られるので理解が進むのではないか。
・市の取り組んでいる「エコライフポイント」や「マイカー乗るまぁデー」の取組は非常に良いこと
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だと思うが、あまり浸透していないように感じる。もう尐し積極的にアピールする方法を考えたら
どうか。
・「マイカー乗るまぁデー」や「マイバック持参運動」などを推進することは良いが、意識していな
い人が多いのではないか。マイバックを持っている人は毎日持っていくし、持っていない人は持っ
ていかないと思うので、持っていない人に普及させていくことが大事だと思う。
・例えば、紙屋町交差点の横断歩道がなくなり、人は地下を通るようにした結果、交差点付近の渋滞
がどれだけ緩和したかなどの「成果」について科学的に検証する必要がある。成果を目で見える形
にすることで、負担(地下をくぐること)を納得して受け入れやすくなる。
・市役所自身がどれだけ CO2 を排出し、どれだけ削減に取り組んでいるか、伝わってこない。
(4)行政自身の取組
【市民委員からの提案】
・広島の河川や幹線道路を活かした、「風の道」(風の通り道)「緑の道」(緑化)の研究を
行い、「環境モデル都市」を目指した街づくりに活かす。
・新広島市民球場に風力発電などを設置し、エコタウンのモデル地区にして、「目に見え
る実証フィールド」とする。
・壁面や屋上緑化を市役所の施設全部に導入する。
・議会や委員会等の会議ではペットボトルのお茶を出さない。
・電子申請など行政の ICT 化を図る。
・広島市内で緑化を推進する。
・行政組織を温暖化対策に取り組むための枠組みへ変える。
・戦略・戦術的に将来性のある得意な技術分野に絞った研究開発にお金をかける。
・環境教育を小学校の課程に盛り込む。また、地域ごと(地域の実情に即した内容)の環境
教育のテキストを作る。
・道路改良などにより混雑を解消する。
【主な意見交換の内容】
・「風の道(回廊)」「緑の道(回廊)」の研究をし、環境モデル都市を目指した都市計画や都市デザイ
ンを策定してはどうか。広島には南北に川が流れており、東西に幹線道路が走っているので、広島
の特性を活かした街づくりができる。
・新広島市民球場は非常に注目が集まっているので、風力発電を設置するなどして「エコタウン」の
モデル地区にする。新エネルギー導入の実証フィールドとして活用する。
・広島市が本気で取り組むのなら、「格好」ばかりでなく、全ての市の施設に壁面、屋上緑化を導入
してはどうか。あるいは、市役所の周りを太陽光パネルで囲むなど、行政が率先して環境問題に取
り組んでいる姿勢を示すことが重要だ。
・会議で給茶器を使っているのは、この「市民会議」と水道局だけ。議会や他の委員会の会議でもペ
ットボトルのお茶は出さないようにすべき。
・電子申請など行政の ICT 化を図り、物や人の移動を減らすことで、CO2 排出量を削減する。ただし、
ICT 化においては、多くの専門家の意見を取り入れ、うまく ICT 化しないと、悪用する人への対策
に余計なエネルギーを使うことになるので、注意が必要である。
・広島市内には平和大通りには緑がいっぱいあるが、それ以外は尐ないと思うので、もっと緑を増や
してほしい。
・温暖化対策に取り組むための行政組織に変えないとだめだ。これまで通り、行政のトップが決めた
ことを市民に広げていくというのではなく、市民運動の展開を優先し、市民の間で出た芽を応援し
ていくことが市民意識の醸成にもつながるだろう。行政は、担当部署を明確にし、市民運動の中で
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出てきた課題を受け止めて、各担当部署で検討していくという新しい仕組みにすべきだ。
・先端技術開発について、一律で各分野にお金を出していたのでは世界に勝てないと思う。もっと戦
術・戦略的に将来性のある得意な技術分野に絞ってお金をかけた方が良い。
・行政が開発された新技術を導入する際、すべて統一して同じ技術を導入するのではなく、異なる技
術を導入し、技術の優劣を検証するということも、ある意味で行政が科学技術の発展を応援するこ
とになると思う。
・「環境教育」を小さいうちから行うことが重要なので、小学校の課程に「環境」という教科を作っ
てはどうか。
・「環境」は全国一律ではないので、それぞれの地域に合わせた教科書を作ることが大切だ。
・道路改良などのインフラ整備をして混雑を解消する。
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事業者や科学技術に望むこと
【市民委員からの提案】
・「マイカー乗るまぁデー」には、サンフレッチェやカープの選手が PR する。
・風力発電などについて小規模設備の導入を図る。
・「エコキュート」*の普及を促進する。
・高速道路等の壁面や路面電車の敷石等の部分を緑化する。
・「安全」と同時に「安心」を実現できる技術開発を行う。
・CO2 を保管し、必要に応じて利用できるようにする。
【主な意見交換の内容】
・「マイカー乗るまぁデー」には、サンフレッチェやカープの選手が広告塔になって呼び掛けるなど
の本気さを見せてほしい。
・水力発電も最近は小規模発電が注目されているので、風力発電も小規模のものの利用促進を図って
はどうか。
・一般家庭のエネルギー消費の多くを占める給湯・エアコンの効率を良くするために、「エコキュー
ト」の普及を促進する。昼夜間の電力消費量の平準化にも有効である。
・高速道路等の壁面や路面電車の敷石等の部分を緑化し、ヒートアイランド現象を緩和する。
・効率の面だけで CO2 排出削減に原発が必要と言われても、他の技術に比べ、原子力だけは全部
「善」だとは思えないので、もっと「安全」もさることながら「安心」できる技術開発を行ってほ
しい。
・CO2 が増えた場合だけでなく、減った場合も問題になるだろう。CO2 を保管しておいて、必要な時に
利用できるようにした方が良い。
*:「エコキュート」は、ヒートポンプ(熱をくみ上げる)技術により大気中の熱エネルギーを利用し
てお湯を効率的に沸かす電気給湯機である。お湯を沸かすために必要な熱エネルギーの 3 分の 1
程度の電気エネルギーで沸かせる。また、夜間の割安な深夜電力を使うため、燃焼型給湯機より
ランニングコストが抑えられ経済的である。
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Ⅳ
「広島らしい」重点取組テーマ
国は、地球温暖化対策をさらに推進するため、平成 21 年(2009 年)1 月中旪から住宅
用太陽光発電システムの設置に対する補助金を復活させるなどしている。また、広島市で
は「地球温暖化対策等の推進に関する条例」を制定して、市、事業者、市民の責務等を定
め、エネルギー使用量の多い事業者や大規模な建築物の建築主に対し、地球温暖化問題に
配慮した計画書や報告書の作成、提出、公表などを義務付けて、自主的な取組を促すとと
もに市民に情報提供を行うことにしている。
「地球温暖化問題」はこうした体制整備に加えて様々な対策を進めていく必要がある。
これまでの意見交換の中では、行政、事業者の対応についての意見が多く出たが、家庭部
門における活動をどのように推進・支援していくかが重要であるとの意見も多かった。
我々は、地球温暖化対策のための活動を個々の市民や事業者の活動として終わらせず、
市民全体あるいは社会全体の活動として広げていくために、市民としてどのように取り組
むべきか、あるいは行政、事業者はその活動をどのように支援し、自らも取り組むべきか
について議論した。
提案した地球温暖化対策を進めていくには、市民、産業界、行政が一丸となった大きな
運動を「広島」で起こすことが重要であり、そのため、以下の2つの「広島らしい」象徴
的な取組を重点的に展開することを提案したい。
■「風の道・緑の道」をテーマにした都市づくり
広島デルタエリアを南北に河川、東西に幹線道路が走っている地域性を基に、「風の
道」と「緑の道」(緑化)についての研究を行い、「環境モデル都市」を目指した街づく
りに活かす。
・自然の風を利用してヒートアイランド現象を緩和できるような「風の通り道」を探る。
・「広島らしさ」をアピールできる緑化を推進する。
→路面電車の敷石部分を緑化する。
→平和大通りには緑が多くあるので、さらに拡げていく。
→市の全ての施設に壁面・屋上緑化をする
・自転車で、気持ちよく、快適に走れるよう、道路沿いを緑化したり、河岸に自転車専
用道を整備する。
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■「マイカー乗るまぁデー」の促進
車、特にマイカーは家庭部門の大きな CO2 排出源であるので、地球温暖化対策におい
て重要である。同様の取組は他都市でも見られるが、広島の方言を使った名称と独自の
取組によって「広島らしい」ものとする。
・みんなが自然に取り組む仕組みづくりをする。
→自動車の車線を減らすなどして自転車専用レーンを作り、自転車の方が安く、早く、
快適に通勤・通学できるようにする。
→「マイカー乗るまぁデー」には、バスの便数を増やし、アストラムラインの料金を
下げるなど、公共交通機関の利便性を高める。
・「マイカー乗るまぁデー」の取組の成果(車の台数、CO2 排出量の減尐など)を調べ、
数値による「見える化」をし、運動を推進する。
・「広島らしい」普及・啓発を行う。
→サンフレッチェやカープの選手が PR し、
「広島らしい」取組として盛り上げる。
→行政の職員全員が参加するといった、行政が「本気」で取り組んでいることを行動
で示し、運動を盛り上げる。
10
【資料】
市民意見に関連した主な平成 21 年度事業
市民委員からの意見について中間とりまとめを行い、エネルギー・温暖化対策を総合的
に推進するため庁内に設置した「エネルギー・温暖化対策クロスセクション」で、本市事
業への反映を図るため、情報を共有した。
以下の表では、市民意見と関連した主な平成 21 年度事業について、その概要を挙げる。
市民委員からの意見
関連した平成21年度事業
・地域でのエコ(省エネ)活動を盛り上げ ・カーボンマイナス 70 エコパートナー制度
て いく には、「顔 の見え る」 リーダ ー
【新規】
(責任者)が市役所や地域に必要であ
環境問題に率先して取り組む意欲あるス
る。
ポーツチーム、企業等と市の間で協定を結
び、市が PR 等を行う制度を創設する。
・エコ活動に取り組む家庭や企業を表彰す ・エコ事業所認定事業【新規】
る。広報媒体に掲載する。バッジや賞状
省エネの取組を行っている中小事業者の
を配布することで、がんばっている人を
認定・表彰を行う。
評価し、サポートする。
・新広島市民球場に風力発電などを設置 ・広島市民球場施設整備
し 、エ コタウ ンのモ デル 地区 にして 、
新 球 場 に 太 陽 光 発 電 設備 を 整 備 す る 。
「目に見える実証フィールド」として活
【新規】
用する。
・「マイカー乗るまぁデー」は良いが、そ ・マイカー乗るまぁデーの推進
の PR をバスやアストラムラインなど公
平成21年度は、従来からのチラシ、ポ
共交通機関でしても意味がない。マイ
スター等による PR 活動を行うとともに、
カーに乗っている人へ PR するよう工夫
Web サイト「マイカー乗るまぁデーくら
する。
ぶ」を携帯電話に対応させるなどの機能強
化をして、より効果的に PR を行う。
・道路への専用レーン(エコカー、自転 ・自転車都市ひろしまの推進
車)の設置など、自然にだれもが取り組 ・環境にやさしい自動車専用のレーン導入に
めるような利便性の高い仕組みづくりを
向けた検討を行う。
する。
・町内会などの地域コミュニティを活用 ・地域ポータルサイト「こむねっとひろし
して、取組を推進する。
ま」の活用支援
町内会・自治会等に地域のホームページ
を簡単に開設できるシステム地域ポータル
サイト「こむねっとひろしま」を提供し、
地域活動の活性化を図る。
(広島市提供)
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登録番号
C2-2009-036
名
平成 20 年度(2008 年度)
称
「科学技術について話し合う市民会議」報告書
主 管 課
広島市経済局産業振興部産学官技術振興課
所 在 地
〒730-8586 広島市中区国泰寺町 1-6-34
TEL(082)504-2238
発行年月
平成 21 年(2009 年)5 月