マイコンを動かしてみよう ~開発環境の操作について~ 1. はじめに マイコンを動かすためには、プログラムを作成し、メモリに格納しなければなりません。 前回インストールしたツールを使って、プログラムの作成およびビルド、デバッグを行い、 マイコンの動作確認を行ってみましょう。 SM+を PM+に登録 プログラムの 作成 ビルド デバッグ 図1.マイコンの動作確認までの流れ まず、各ツールがインストールされているかどうか確認してください。(図2) 図2.インストール後のファイル一覧 なお今回、実際にはプログラムを作成しません。 すでに出来上がったプログラムを用意しておりますので、同じホームページにあるサンプル・プロ グラム「78K0KE2_Sample.zip」をダウンロードし、解凍しておいてください。 このサンプル・プログラムでは、マイコンに LED を接続し、点滅をさせるというものです。 マイコン (78K0/KE2) サンプル・プログラム 78K0KE2_Sample -1- 電源 マイコンを使う準備をしよう 2. SM+を PM+に登録 現在のシミュレータ SM+ for 78K0/Kx2(W1.10)は、最新の RA78K0(W4.01)には対応していない ため、統合開発環境 PM+(V6.30)の「ツール」→「デバッガの設定」では登録できません。 このため、外部ツールとして登録する必要があります。手順は以下のとおりです。 はじめに、(a)PM+を起動します。 PM+のメニューより、(b)「ツール」→「外部ツールの登録」をクリックします。 外部ツールの登録画面より、(c)「追加」をクリックします。 b c 外部ツールの指定画面より、(d)参照をクリックします。 ファイルの場所は、(e)「C:\NECTOOLS32\bin」を指定し、その中の(f)「smk0h32.exe」ファイルを選 択してください。ファイル名が「smk0h32.exe」になっていることを確認し、(g)「開く」をクリックする。 d e C:¥NECTOOLS32¥bin f smk0h32.exe g -2- マイコンを使う準備をしよう 外部ツールの指定画面に戻り、3箇所ある「~に表示する文字列」の欄を(h)「SM+ for 78K0/Kx2」 に変更します。全て入力し終わったら、(i)「OK」をクリックします。 i h “ SM+ for 78K0/Kx2 ”に変更 外部ツールの登録画面に戻りますので、(j)「OK」をクリックしてください。 j PM+のメニューより、(k)「表示」→「外部ツールバー」にチェックをいれると、 登録した(l)「SM+ for 78K0/Kx2」のアイコンが、ツールバーに表示されます。 l k この(l)「SM+ for 78K0/Kx2」のアイコンをクリックして、次の画面が表示されれば登録は完了です。 -3- マイコンを使う準備をしよう 3. プログラムの作成 プログラムの作成では、使用するマイコンの選択や作業フォルダの指定など、 事前に「ワークスペース」を登録する必要があります。これにより、プログラムの管理や各ツール との連携をスムーズに行うことができます。 はじめに、(a)PM+を起動します。 PM+のメニューから、(b)「ファイル」→「ワークスペースの新規作成」を選びます。 b ステップ 1/9[ワークスペース情報の設定]画面が開きます。 それぞれ、(C)~(f)の手順で設定を行います。あとで、事前に用意したサンプル・プログラムで ファイルを置き換えるため、(c)ワークスペース・ファイル名は、必ず “ KE2_intvl ” にしてください。 全ての設定が終わったら、(g)「次へ」をクリックしてください。 c “KE2_intvl”を入力 d “C:¥sample”を入力 f プルダウンメニューから “uPD78F0537_64”を選 択 を選択 78K0”を確認 e “78K0” g (d)で指定したフォルダが無い場合、次の画面が開きますので、(h)「はい」をクリックしてください。 h -4- マイコンを使う準備をしよう 次に、ステップ 2/9[使用ルーツの指定]画面が開きまので、(i)「詳細設定」をクリックします。 i ここでは、プログラム作成に使用する CC78K0 と RA78K0 のバージョンを設定します。 CC78K0 は□W4.00、RA78K0 は□W4.01 に(j)チェックを入れ、(k)「OK」をクリックしてください。 j k ステップ 2/9[使用ルーツの指定]画面にもどり、ツールセット名に(l)「78K0 KE2_78F0537」を入力し、 (m)「保存」をクリックしてください。 l “78K0 KE2_78F0537”を入力 m n -5- マイコンを使う準備をしよう 【メモ】ツールセットを保存しておくと、次の新規作成が楽になります 前ページで説明したようにツールセットでは、プログラム作成で使用する各ツールの組み合 わせを保存できます。これにより、次の「ワークスペースの新規作成」や他のサンプル・プロ グラムを読み込む場合、プルダウンメニューから目的のツールセットを選ぶことで、一度に 各ツールを選択することができます。(詳細設定でチェックを入れる必要がありません。) ステップ 4~6 は、32 ビット・マイコン V850 のみ設定のため、設定画面は表示されません。 ステップ 7/9[ソース・ファイルの設定]では、すでにプログラムの一部がある場合に追加しますが、 今回はあとで登録しますので、(o)「次へ」をクリックしてください。 ステップ 8/9[デバッガの設定]は、先ほど外部ツールとして登録した「SM+ for 78K0/Kx2」を使用し ますので、ここも(p)「次へ」をクリックしてください。 最後に、設定した内容を確認して正しければ、(q)「完了」をクリックしてください。 q p o これで、ワークスペースの登録は完了です。 それぞれのフォルダは、まだ空ですが、通常であればソース・ファイルや各種ファイルをここに 作成・追加していくことになります。 サンプル・プログラムをコピーしますので、一旦 PM+を(r)閉じてください。 r -6- マイコンを使う準備をしよう はじめに用意したサンプル・プログラム 78K0KE2_Sample のフォルダ「xxx\78K0KE2_Sample」と、 ワークスペースで作成したフォルダ「C:\sample」を開いてください。(xxx は,お客様での解凍フォルダ) 「xxx\78K0KE2_Sample」内の全てのファイルを、「C:\sample」に(s)上書きコピーしてください。 s 全てのファイルを上書きコピー 再度、(t)PM+を起動します。 PM+の「ソース・ファイル」、「インクルード・ファイルを」みると、ファイルが登録されていることがわ かります。各フォルダの(u)「+」マークをクリックしてみてください。 u -7- マイコンを使う準備をしよう 以下のように、プログラムの元となる様々なファイルが表示されます。 (v)「KE2_Init.asm」をダブルクリックしてください。 v このファイルは、マイコンを初期化するプログラムです。アセンブラ言語で作成されています。 初期化プログラムは、マイコンのユーザーズマニュアルを見ながら、初めから作成することもでき ますが、デバイス・ドライバ・コンフィギュレータ(Applilet2)を使えば、パソコンの GUI 上で機能を 選択することにより、簡単に作ることができます。 「KE2_Init.asm」の画面を閉じてください。 これでプログラムは全てそろいました。 4. ビルド ビルドは、コーディングで作成したプログラムを、マイコンが読み込めるデータ(機械語)に変換 します。文法上の記述ミスや、利用できない周辺 I/O のチェックも同時に行います。 ビルドを行うには、PM+の(a)「ビルド」アイコンをクリックします。 a これにより、自動的に動的にファイルを読み込み、変換を行います。 正常に変換が終了すると、確認の画面が表示されます。 -8- マイコンを使う準備をしよう 「ビルドが正常に終了しました」を確認してから、(b)「OK」をクリックしてください。 b もし正常に終了しない場合には、ファイルをコピーしたファルダを表示し、一旦ファイルを削除して から再度コピーしてください。 変換の過程は、「OutPut」画面に表示されます。 最後の行に、エラーやワーニングの状況がまとめて表示されます。 今回は正常に終了していますので、すべて“0”になっています。 c これでマイコン上で動作可能な実行ファイルが完成しました。 -9- マイコンを使う準備をしよう 5. デバッグ デバッグは、マイコン上でプログラムを動作させることにより、問題が無いか確認する作業です。 今回使用するシミュレータ(SM+)は、ハードウェアが無くても、パソコン上でプログラムを動かすこ とができるツールです。プログラムの実行や停止、メモリや I/O の状態を見ることができ、CPU や I/O の単純な動作確認を行うことができます。 シミュレータの起動は、PM+のツールバーに登録した(a)「SM+ for 78K0/Kx2」をクリックします。 a これにより、シミュレータ起動後、先ほど作成した実行ファイルを自動的にダウンロードします。 ここでは、プログラムの表示画面や LED などを表示する入出力パネルをすでに設定してあります。 -10- マイコンを使う準備をしよう プログラムを実行するには、シミュレータのメニューにある「実行ボタン」の各機能を使用します。 「実行ボタン」の主な機能を以下に示します。 リセット ステップ実行 マイコンをリセットし、スタート番地に プログラム・カウンタをセットします プログラムの命令を1行実行し、 次の命令で停止します。 実行 プログラムの命令を連続して 実行します。 停止 実行中のプログラムを強制的に 停止します。 それではプログラムを動かしてみましょう。 はじめに、実行 ボタンをクリックしてください。これでプログラムが実行されている状態になり ます。LED が点滅したり、信号が出力されている様子を見ることができます。 次に、停止 ボタンをクリックしてください。 実行中のプログラムを停止し、そのときの命令やデータを保持した状態になります。 -11- マイコンを使う準備をしよう ここでリセット ボタンをクリックすると、マイコンの初期状態に戻り、スタート番地の命令を 指した状態になります。 先ほどの実行では、LED や信号を確認することで、プログラムの動作を確認できましたが、 スローモーションのように命令をひとつひとつ動作させることも可能です。 ステップ実行 ボタンをクリックしてください。最初の命令から次の命令を指した状態に変わり ます。もう一度ステップ実行 ボタンをクリックすると、また行に移ります。 このように、命令の実行後の状態を確認しながら、プログラムを動かすことができます。 6. 最後に これが、プログラムの作成からデバッグまでの一連の手順となります。 今回は、あらかじめ用意したプログラムを使用しましたが、次回からはプログラムを作成しながら マイコンの機能や命令を学んでいきます。 また、シミュレータについても、実行・停止以外に様々な機能があります。 これについても、デバッグに必要な機能を適時解説していきます。 -12-
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