資料1:対馬市森林づくり基本計画最終案

も
り
対馬市森林づくり基本計画
(最終案)
平成25年3月(平成25年3月19日時点)
対 馬 市
- 目 次 -
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序章 100 年後の望ましい森林 の姿 ·········································································································· 1
第1章 計画の基本的事項 ·················································································································· 7
1.計画策定の趣旨 ··························································································································· 7
2.計画の位置付け ···························································································································· 8
3.計画期間 ········································································································································· 8
4.計画の対象範囲 ··························································································································· 8
5.計画の構成 ····································································································································· 8
第2章 対馬の森林の現状と森林づくりの方向性 ········································································· 9
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第3章 望ましい森林 づくりに向けた基本的施策 ·········································································· 13
1.施策の体系 ····································································································································· 13
2.基本的な施策 ································································································································ 14
第4章 重点プロジェクト ························································································································ 30
1.重点プロジェクトについて ··········································································································· 30
2.重点プロジェクト ···························································································································· 30
第5章 計画の実現に向けて ··············································································································· 31
1.計画の推進体制 ··························································································································· 31
2.計画の進行管理 ··························································································································· 31
資料編 ························································································································································· 32
1.策定の経緯 ····································································································································· 32
2.森林づくり委員会名簿 ················································································································· 35
3.森林づくり条例 ······························································································································· 36
序 章
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100年後の望ましい森林 の姿
さと み
●里 美 、対馬にやってくる!
「対馬の森林は、先祖からの預かりもんやけ、大切にせんといけん。」
1ヶ月前に亡くなったおじいちゃんが、いつも口癖のように言っていた。
私は、厳原小学校4年1組の里美。
1年前に東京から引っ越してきた。
東京と違って、山や海やたくさんの自然が
あって、毎日びっくりすることがいっぱいあ
る。こっちに来てからは、毎日、2つ上のお
兄ちゃんと一緒に学校に通っているんだけ
ど、そんな時にいろんな生き物と出会うこと
もあるんだ。
こないだ、初めてツシマテンとあった。そ
のことを友だちに話すと、その友だちは「た
くさんいるけ、そんなん珍しゅーないよ。どうせなら、私はツシマヤマネコに
会ってみたい。」と話していた。
ツシマヤマネコって、世界中でこの対馬にしかいない、とってもめずらしい
野生のネコなんだって。
私も見たくなって、日曜日に対馬野生生物保護センターに連れて行ってもら
ったら、そこの先生が、「ツシマヤマネコは、国の天然記念物で、大昔に対馬が
大陸とつながっていたことの証人なんだよ。」と教えてくれた。
なんでも中国や朝鮮半島にもよく似たヤマネコがいるらしいんだけど、長い
こと対馬で暮らすうちに体つきや性格が対馬にあったものに変わってきたんだ
って。
他にも、アキマドボタルやツシマサンショウウオなど、対馬でしか見ること
のできない、たくさんのめずらしい生き物がいるらしい。
私が知らないずーっと先の未来には、対馬に合った別の種類に変わっていた
りするのかな?
1
対馬市森林づくり基本計画
環境に合わせて自分を変えていく生き物もそうだけど、それを支えている対
馬の森林もすごいと思う。
よく地球のことを“母なる星”とかいうけれど、対馬の場合は“母なる森林”
って感じかな?
こっちに来る飛行機の窓から、モコモコした緑の山々と、ゴツゴツした崖、
そして、キラキラした真っ青な海が見えた時には思わず「すごい!」って歓声
を挙げてしまったけれど、こんなステキな所に住めてよかったなって思った。
でも、そんな対馬の森林の生き物にも絶滅の心配のあるものが増えてきてい
るんだって。
その理由は「林業をやる人が少なくなって森林が荒れてきたから。」と言うん
だけど、人が何もしない方が自然にとってはいいことじゃないのかな?
ちょっとピンとこなかった。
・・・それはそうと、最近、身体を掻くことがなくなった。こっちに来る前
は、いつもかゆくて、かゆくて、しかたなかったんだけど。
きれいな空気やいっぱいの自然のおかげなのかな?
も
り
●父、森林 づくりを語る!
お父さんは、毎晩のように、仕事仲間や地域
の人たちと、お酒を飲みながら、森林づくりの
話をしている。
「ちっちゃい頃、ほんの少し親父の手伝いを
しただけだったけー、実際自分でやると大変ば
い。覚えることが多すぎて・・・。」
「まあ、そのうち慣れるよ、大丈夫。」
「でも、こんなに問題があるなんて思わなかったよ。手間がかかるわりには
収入は少ないし、手入れをしなければ山は荒れるばかりやし、好きじゃないと
できん仕事ばい。」
「確かにそうやな。」
「木を植えれば環境保護だと言うのは都会の人の考えや。森林が酸素を増や
すっていっても、木も生き物だから呼吸する。」
2
「言われてみれば・・・。」
「だから、人の都合で木を植えまくって安心したらだめだ。やっぱり大切な
のはサイクルやけ。手入れをせずに放置するのが“自然”じゃない。うまくサ
イクルするように手をかけて、いい状態の森林を維持してこそ“自然”が保た
れるとばい。」
「山仕事って、自分たちが死んだあとの財産として、孫子の代に残す大切な
仕事だって、親父がよく言うとったけど、今は身にしみて感じるばい。」
「でも今は、昔んような収入も望めんし、なんか新しいアイデアなり、やり
方を考えんと、本当に対馬の森林はだめになってしまう。」
「う~ん。なかなか頭の痛くなる話だな~。でも、真剣に考えておかないと、
生活も厳しくなって、楽しみにしてる晩酌もできなくなるかも・・・。」
「それは、いやですな~」
「こないだ、しいたけ原木で切った、ナラの切り株から、新しい芽が出たん
だけど、全部、シカに食われてしまった。」
「ツシマジカは、最近まで長崎県の天然記念物に指定されてたんだけど、せ
っかく植えたばかりの木の芽を食べたり、大きくなっても樹皮をツノで剥いで
枯らしてしまうから、どうもこうもならん。」
「そういえば、こないだ、手入れしてない森林は、太陽の光が届かないから、
地面に草が生えないし、手入れしてる所に生えた草も、シカが食べてしまう。
そうすると、ツシマヤマネコのえさになるネズミなんかが住めなくなるって、
市役所の人がケーブルテレビで話しとった。」
「だから、俺たちん仕事は、森林の手入れをしているだけじゃなくて、対馬
の宝を守っているんだから、誇りを持ってがんばろう。」
「そうやな。」
私は途中で寝てしまったけど、お母さんに聞くと、朝まで話していたらしい。
毎晩、毎晩、大変なんだな・・・。
3
対馬市森林づくり基本計画
●体験学習会に参加!
先週、森林づくりの体験学習会があった。
「まずは、森林の働きについて、勉強し
ましょう。」と、「もり博士」と呼ばれてい
る先生が切りだした。
「君たちが毎日飲んでいる水は、どこか
らくるか知っていますか?」
「蛇口じゃないの?」、「井戸?」
「答えは、森林です。」
「え~、どういうこと?」
「森林は、私たちが生きるために必要な水をたくわえてくれているんだよ。
そして、たくわえると同時にその水をきれいにし、少しずつ川へ流し出す。こ
の水を私たちは飲み水や農業に使っているんだ。それに森林とその土を通った
水は、海に豊富な栄養を運んで、たくさんの生き物が育つ豊かな海をつくるん
だ。そして、森林に育まれた海の生き物は、私たちの大切な食料としてはもち
ろん、対馬の漁業を潤すことになる。つまり、森や川、里、海は、すべてつな
がっているんだよ。」
「ん~、よくわからないな~。」
つ つ ざ き
「島の南端に豆酘崎 というところがあってね、マツ林と切り立った海岸線の
景色の美しさで知られた場所だったんだ。
近くでは魚もたくさん捕れていたんだけど、ある時、急にマツクイ虫の被害
がではじめて、あっという間にマツが枯れてしまった。
ところが、被害はマツだけじゃなかったんだ。気づいた時には海の魚も捕れ
なくなっていたんだ。
それに対馬では、海藻がたくさん枯れて、その藻を食べるサザエやアワビが
いなくなる磯焼けもおこっている。
これも森林が荒れたことが一因じゃないかな。」
「だから、森と海がつながっているっていったんだね。」
「そうだよ。これが自然のサイクルなんだ。」
「昔の人は、森林と上手につきあっていたんだよ。家を建てる材木はもちろ
ん、炊事や風呂焚き、暖をとるために使う薪や木炭など、いろんな場面で森林
の木が使われていたんだ。夕方になると、家の煙突から白い煙が上がったのを
見て、慌てて家に帰っていたなあ。」
4
だからみんな、地域の財産として森林の手入れをしたり、一度に使い尽くし
てしまわないように、苗木を植えたりして大切に管理してきたんだよ。そして、
こうした自然と人の営みが対馬の森林を世界に二つとない生き物のあふれる豊
かなものにしてきたんだ。」
「でも今は、家の材料も木だけじゃないし、ガソリンや灯油なんかがあるか
ら、森林の木に頼らなくても暮らしが便利になったんだよね。」
「確かにそうなんだけど、ガソリンや灯油は化石燃料と呼ばれていて、地球
の温暖化につながるんだ。それに人工的な材料を使った新築の家で、ボンドや
マジックのような臭いに気がついたことはないかな。人によってはこのような
人工的な物質が体に合わなくて、アレルギーのような症状を起こすこともある。
これは(※1)シックハウスと呼ばれていて、健康的な面からも木の家が見直
されつつあるんだ。」
「そっか。じゃあどうすればいいのかな?」
「やっぱり、森林に背を向けて、つきあわなくなった生活を、少しでも考え
直して、対馬らしい森林とのつきあい方を、みんなで考えていくしかないんじ
ゃないのかな。」
以前、おじいちゃんに言われた、「預かりもんは、大切にせにゃいかん。」と
いう口癖を思い出した。
●100 年後の対馬の森林の姿
全校集会で、「100 年後の対馬の森林」について話し合うことになった。
生徒会長が、「みんな、生物多様性って
知ってる?」って聞いた。
「せいぶつ?」、「たようせい?」
「生物多様性って、生き物や生き物の個
性、生活する環境の種類がたくさんあるこ
とを指す言葉らしいんだけど、生物多様性
の高い環境は、人にとってもその他の生き
物にとっても暮らしやすい安全な環境な
んだって。」
:市有林売払収入(H23整備分)
:7,
039,200円(積立済)
「そういえば戦争や廃棄物汚染で環境
が悪化してしまった未来都市のお話を呼
んだことがあるけど、そこではネズミとゴキブリしか住めないんだって。」
5
注1)シックハウス: シックハウスとは、頭痛・めまい・吐き気・皮膚障害・鼻炎・呼吸器障害など様々な健康障害を引き起こす住まいのことを
指します。一般にその家から出ると症状が消える場合、それをシックハウスと呼びます。住まいの建材から放散するかび・
ダストなどが人体に悪影響をもたらすと考えられています。
対馬市森林づくり基本計画
「そんな環境なんて考えただけで絶対いや・・・。」
「うん。じゃあ対馬なら、ツシマヤマネコやその他の珍しい生き物がこれか
ら先もいなくならないように、僕たちと一緒に暮らしていけるような森林にし
ないといけないよね。」
「うん、春にはヤマザクラやツツジが咲いたり、秋にはアケビを探したりク
リ拾いをしたり、川や海には魚がいっぱいいて、釣りをしたり・・・。偶然に
ツシマヤマネコに出会えたりしたら、いいな。」
「森林に囲まれた対馬では、夏は天然の涼風でクーラーいらず、冬は森林で
とれた薪を暖炉にくべたりしているかもしれないね。」
「でも、お金がないと食べ物も買えないよね?仕事がないから対馬の人口が
減ってるって聞いたけど、大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。きっと、対馬ブランドのヒノキやしいたけなんかが、たくさ
ん売れて、海外にもたくさん輸出されて、みんな豊かに暮らしているはずだよ。」
「そうすると、森林がきれいになって、ツシマヤマネコにもやさしい森林に
なるのか。」
「そうだよ。」
100年後、私は110歳になる。
生きているかどうか、わかんないけど、この森林たちは、きっと、ずっと、
ずっと、生き続けてるんだろうな。
そして、きっと、みんなの知恵や汗のおかげで、今想い描いているとおりの
対馬の恵みと魅力を取り戻した、素敵な森林になってるんだろうな。
6
第1章 計画の基本的事項
1.計画策定の趣旨
本市の約 9 割を占める森林は、私たちの生活に多様な恵みをもたらしている。海の環境や資源も
森林の栄養分が川・里を通して海に注ぐことによって維持されており、対馬の基幹産業である水産
業と林業は森林の恵みを受けて成り立っている。
また、森林は、水源かん養、土砂流出や山地災害の防止、自然環境の保全、癒しや安らぎの空
間形成、世界的な課題である地球温暖化防止機能等、市民生活の安全や安心という面からも、大
きな役割を担っている。
更に、本市の森林は、対馬の象徴でもあるツシマヤマネコ等、大陸と日本のつながりを示す多様
な動植物の生息空間として貴重であり、他地域に類を見ない照葉樹林や落葉広葉樹林等の豊か
な植生から成り立っている。それらの生息環境を保全し生物多様性を維持することは、対馬市民の
責務であり、島の宝を守ることでもある。
しかし、現状の森林に目を向けると、長引く木材価格の低迷や後継者不足等によって林業として
の生業が難しくなり、手入れ不足の森林や放置されたままの森林が目立っている。一部では大面
積で無秩序な伐採がみられ、土砂流出や河川環境の悪化が危惧されている。更に、森林へのポイ
捨てやゴミの不法投棄も後を絶たない。こうした事態は、上記のような森林に期待されている多様な
役割を十分に果たせないことを意味している。
「環境王国、対馬」にとって、森林を再生し、森・川・里・海の連環を踏まえて環境改善に努めるこ
とは喫緊の課題である。また、この課題は、林業者や森林の所有者だけに委ねられるものではな
く、対馬市民がそれぞれの立場で積極的に協力、参加することが求められる課題でもある。
同時に森林を再生するためには、適切な資源の利用が不可欠であり、対馬材の活用促進や対
馬しいたけ等、林産物の生産向上をはじめ、木質チップボイラー等、再生可能エネルギーや森林の
二酸化炭素吸収機能を活用した新分野の利用、開拓等も急務である。
以上、森林が環境保全・環境再生の礎となり、豊かな森林資源を生業として活用し、同時に自然
豊かな森林を対馬市の大きな財産として次世代に引き継ぐことを目的として、“対馬市森林づくり条
例”を制定するものである。
「対馬市森林づくり条例」の前文より
本市では、森林が環境保全・環境再生の礎となり、豊かな森林資源を生業と
して活用し、同時に自然豊かな森林を対馬市の大きな財産として次世代に引き
継ぐことを目的として、対馬市森林づくり条例を制定し、平成24年4月1日
に施行されました。
その条例の目的を具体的に推進するために、森林整備及び保全に関する方向
性及び基本的な施策を示す森林づくり基本計画を策定します。
7
対馬市森林づくり基本計画
2.計画の位置付け
本計画は、対馬市森林づくり条例第15条に規定された計画であり、第1次対
馬市総合計画を上位計画とした、森林づくりに関する施策を示す計画です。
また、本計画の実現にあたっては、環境に関するマスタープランである環境基
本計画や関連する伐採ガイドライン等との整合性を図りながら推進していきます。
3.計画期間
計画の期間は、平成25年度を初年度として、目標年次を平成34年度とする
10年間とします。
なお、本計画は概ね5年ごとに見直しを行いますが、予期しない社会経済状況
等の変化が生じた場合には、その変化の程度や状況等に応じた見直しを行います。
4.計画の対象範囲
計画の対象範囲は、対馬市全域とします。
5.計画の構成
計画の構成を図化。
8
第2章 対馬の森林の現状と森林づくりの方向性
本計画では、
「持続可能な森林資源の利・活用」に根ざす、森林との共生を通じ
て、対馬市市民が将来にわたって、経済的にも精神的にも豊かに暮らせることを
目標とします。
具体的には、
“森林資源の活用”と“森林環境の保全”の 2 つの側面からの施策
を両輪として展開させることで、多様性に富んだ島の森林づくりを図ります。
市有林立木売払収入
J-VERクレジット収入
対馬市森・川・里・海環境保全再生基金
適 正 な 森 林 づ く り
森林資源の活用
森林環境の保全
・適切な間伐
・木質バイオマス燃料としての利用促進
・原木シイタケ栽培の再生と振興 等
森林資源の利活用の方法や販売手法等を検討
・ツシマヤマネコや有用樹木等の多様な生態
系に配慮した空間づくり
森林の多様な機能が発揮されるよう維持管
理の仕組み作りを検討
森林資源の持続可能な利活用
基幹産業としての林業振興
【持続可能な森林資源の利活用のイメージ】
また、
“森林資源の活用”、
“森林環境の保全”に関する施策を展開する上で、配
慮すべき基本的な考え方を示します。
◎基本的な考え方1
持続可能な木材の利用ができるように、年間の森林伐採量が、森林の連年成長量を上
回らないように努めます。
9
対馬市森林づくり基本計画
森林の伐採が短期間で終了するのに対し、森林の再生には長い期間が必要です。
毎年、恒常的に木材を有効利用するためには、利用量が森林の連年成長量を上回ら
ないことがひとつの目安となります。
「対馬地域森林計画書 平成 21 年 12 月 28 日 長崎県」によると、森林の連年成
長量は人工林で104,387m3 であり、天然林で54,588m3 と試算されてい
ます。
一方、対馬市の森林は、今後10年の間に伐採林齢を迎える森林が約7割を超えま
す。森林の成長量は齢級 * によっても異なるため、一概には言えませんが、平成23
年度の人工林(スギ・ヒノキ)の伐採量は約44,000m3 であることから、今後
一定期間は積極的且つ計画的な利用の促進が望まれます。
<人工林>
<天然林>
【人工林の齢級別材積分布】
【天然林の齢級別材積分布】
資料:平成 23 年度
対馬管内林業の概要
◎基本的考え方2
各発達段階の林分がモザイク状に配置されるように努めます。
対馬の森林の齢級構成は、人工林、天然生林ともに、昭和30~40年代の拡大造
林期に植えられた森林の割合(8齢級~11齢級)が突出する歪な状態にあります。
一般的に木材生産では、恒常的な木材の供給、作業の平準化の面より、バランスの
良い齢級構成が求められますし、水土保全、生物多様性保全の面からも森林が各発達
段階で有する機能が異なることから、齢級構成の平準化とモザイク状の配置が求めら
れます。
【人工林の齢級別面積】
4,000
資料:平成 23 年度
ha
対馬管内林業の概要
(総面積 19,645ha)
3,000
2,000
1,000
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
~
12
13
~
14
15
~
16
17
~
18
19
~
20
21 齢級
~
*齢級:森林の林齢を、5 箇年でひとくくりにしたもの。林齢 1~5 年生を 1 齢級、6~10 年生が 2 齢級となる。
10
【天然林の齢級別面積】
資料:平成 23 年度
12,000
対馬管内林業の概要
ha
(総 面積 37,290ha)
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
~
12
13
~
14
15
~
16
17
~
18
19
~
20
林分の発達段階と各種機能の変化との関係
出典元:森林生態学 藤森隆郎著(P○○)
各種森林と林分がうまく配置された景観(岐
阜県、石原林材所有林)
出典元:森林生態学 藤森隆郎著(P○○)
11
21 齢級
~
対馬市森林づくり基本計画
◎基本的考え方3
各流域における老齢林(天然林・天然生林)、渓畔林の保全とゲンカイツツジやヤマザク
ラ等の人々に癒しをもたらす植物の面的な保全を推進します。
生物多様性の保全上、多様な生物の生息環境を提供する老齢林(天然林・天然生林)
やエコトーン * としての渓畔林の役割は重要です。竜良山、御嶽・白嶽などの自然度
の高い森林をはじめとして、各流域単位での老齢林保全を検討するほか、渓畔域の取
り扱いにも配慮が必要です。
また、ヒトツバタゴをはじめゲンカイツツジやヤマザクラ、紅葉群などの季節感に
富む美しい樹木は、対馬ならではの森林景観を特徴付け、人々に癒しをもたらすもの
として重要であり、ヤマグワやヤマブドウなどはツシマテンやネズミなどの小動物の
えさとして貴重な樹種であることから、これらの面的な保全を推進します。
【島の貴重な動植物】
渓畔林(舟志)
ツシマヒラタクワガタ
ヒトツバタゴ
チョウセンヤマツツジ
ツシマヤマネコ
ツシマサンショウウオ
チョウセンイタチ
アキマドホタル
アカハラダカ
*エコトーン:森林、河川などのように、生物の生息地タイプの間をつなぐ狭い移行帯のことを指す。生息環境
として依存する生物種が多く、生態学的に重要な地域が多い。
12
第3章 対馬の森林の現状と森林づくりの方向性
1.施策の体系
本計画で推進する基本的な施策の体系図を示します。
目 標
施策の方向性
施
策
地場産木材の利用促進
木質バイオマス燃料としての利用促進
原木シイタケ栽培の再生と振興
有害鳥獣を有効活用した新規産業化の推進
森 ・川 ・里 ・海 の循 環の仕 組 み構 築
森林資源
の活用
森林の二酸化炭素吸収機能を活用した新規
産業化
森林整備の担い手の育成
木材流通効率化の促進
海外への流通ルートの新規開拓
対馬市の林産物に関する情報の発信
森林環境の保全方針の検討
適正な間伐の推進
森林環境
の保全
有害鳥獣対策
ツシマヤマネコや有用または癒しをもたらす樹林
等の多様な生態系に配慮した森林空間づくり
森・川・里・海が一体となった環境改善
事業
13
対馬市森林づくり基本計画
2.基本的な施策
持続可能な森林資源の利活用を基本方針とし、本計画の方向性の両輪である“森
林資源の活用分野”と“森林環境の保全分野”を強力に推進するため、両分野にお
いて、以下の施策を実施する。
(1)森林資源の活用
1)地場産木材の利用促進
①現状と課題
平成22年10月に「公共建築物における木材の利用に関する法律」が
施行され、各所でさまざまな取組が行われています。
この法律では、木を使うことが森を育て、林業の再生を図ることにつな
がるとし、現在の木造率が低く、今後需要が期待できる公共建築物をター
ゲットに、木材利用の促進を行うこととしています。
対馬市においても平成23年度より、国の方針に則った、木材利用促進
のための基本方針及び行動計画を策定しているものの、現状では、木材の
地産地消は進んでいない状況といえます。
②基本的施策
平成23年度に策定した対馬市木材利用促進のための基本方針及び行
動計画に基づき、市内小中学校への地場産木材による学童机の普及や公共
施設への活用を推進するとともに、最終的には、住宅など一般建築物への
波及を目指し、取組を進めていきます。
【具体的な施策・事業】
施策・事業名
担当課
実施期間
概 要
補助事業等
対馬市木材利用促進基本方針及び対馬 農林振興課
市木材利用行動計画策定事業
H23
対馬市木材利用促進基本方針及び対馬市木材利用行動
計画の策定。
市一般財源
小茂田地区多目的コミュニティ施設建設 農林振興課
事業
H24~H26
教育委員
会
対馬産ヒノキ活用学童机天板更新事業 農林振興
H23~
平成25年度、対馬産材を利用した集会施設の建設。
*本年度(平成24年度)木造公共建築物等の整備にかか 森林林業木材産
る設計段階からの技術支援(国100%補助)に応募。採択 業づくり交付金
決定。
市内小学校(小学1年生を中心)に対馬産ヒノキを天板を
設置することで林業に対する興味や関心をもってもらう。
ながさき
森林環境税
課
対馬産木材を活用した藻場設置事業
厳原幼稚園建設事業
水産振興
課
農林振興
課
建設課
H27~
前回実施分:魚礁設置:14.278千円
その後のモニタリング:年間4,000千円程度
未定
H24~H26
対馬市木材利用促進基本方針及び対馬市木材利用行動
計画に基づき施設に一定の対馬産材を取り入れる。
国補助制度
活用予定
未定
対馬材を用いたモデル住宅の検討
建設課
農林振興
課
他
H27~
国内外向けモデル住宅の検討を行い、対馬材販路拡大を
目指す。
対馬材を活用した住宅の購入に対する
助成事業
農林振興
課
建設課
他
H27~
住宅の新築・改築に際し、地元木材を使用する場合、使用 森・川・里・海環
の割合に応じ、一定の助成を検討する。
境保全再生基金
③指標と数値目標
指標
現状(年度)
目標(年度)
製材用素材生産量
13,598 ㎥(H23)
15,500 ㎥(H29)
製材用素材生産額
177,145 千円(H23)
200,000 千円(H29)
備考
14
2)木質バイオマス燃料としての利用促進
①現状と課題
平成23年度におけるスギ・ヒノキの全
伐採量は43,928m3 です。
そのうちの約6割が林地に放置されて
いることから林地残材の有効利用が必要
です。
林地残量
25,770㎥
58.7%
全伐採量
43,928㎥
利用
18,158㎥
41.3%
■除間伐材の利用状況
出典:対馬市資料(H23 年度)
②基本的施策
林地残材の有効利用による森林景観の保全、また
環境王国対馬の確立を目指し、平成18年度に策定
した対馬市バイオマスタウン構想に基づき、化石エ
ネルギーから自然エネルギーへの転換を推進しま
す。
【具体的な施策・事業】
施策・事業名
担当課
実施期間
概 要
補助事業等
チップボイラーの導入促進
自然環境推進室
農林振興課
H26~
廃棄物系木質バイオマスのチップを利用するチップボイ
森林整備加速化
ラーを民間の福祉施設や公共施設等での利用も含めて拡 林業再生事業補
大検討する。
助金 等
固形燃料(ペレット)の供給拡大
自然環境推進室
農林振興課
H26~
廃棄物系木質バイオマスのペレット化施設の拠点整備と
家庭用ストーブ等への利用拡大。
国の補助制度
活用予定
未利用林地残材のチップ燃料化の推進
農林振興課
H25~
間伐材については、低コストな伐採、搬出システムの検
討、土場残材については、現地チップ化などの検討を行
い、燃料化を推進する。
ながさき
森林環境税
魚類内臓を活用した新規バーク堆肥化
事業
農林振興課
H25~
産業廃棄物である魚類の内臓とバークを有効活用した堆
肥を製造することで安価な堆肥の提供による農家所得の
向上及び製材業や水産業の振興を図る。
過疎債
(ソフト分)
③指標と数値目標
指標
15
現状(年度)
目標(年度)
廃棄物系バイオマスの利用率
42%(H18)
93%(H29)
木質チップボイラー利用施設数
3(H22)
4(H29)
備考
バイオマスタウン構想より
総合計画より
対馬市森林づくり基本計画
3)原木シイタケ栽培の再生と振興
①現状と課題
しいたけ生産は、これまで主要産業の
一つとして本市の経済を支えてきまし
た。乾しいたけ生産では、昭和56年に
生産量488t、生産額14億7千万円
を記録したものの、その後は、中国産し
いたけの輸入増加に伴う低価格化と、生
産者の高齢化により、平成23年には7
5tまで落ち込みました。
その後、「対馬しいたけとことん復活プ
ラン」等の生産諸施設等への助成策等が
効果を挙げ、生産量、新規参入者ともに
増加したものの、主要産業として維持す
るにはまだまだ脆弱な状況と言えます。
よって、今後も引き続き、新規生産者
の育成や作業の軽減化のための機材導入
等を推進し、しいたけ栽培の再生と振興を促進させる必要があります。
【「対馬しいたけ」の生産量と生産者数の推移】
600
1400
1,324
1,252
1,253
1,236
1,288
1,211
500
1,124
1,110
1,056
1,056
427
402
1,241
1,246
1,223 1,249
1,195
1,170
474
470
1,107
1,079
442
431
1,056
404 399
1000
412
376
376
371
380
352
346
830
330
310
714 714
1200
1,229
322
849
800
328
309
300
277
650
680 680
602
)
570
200
192
180
148
100
100
69
28
19
38
30 33
184 184
600
540
514
469 456
193
176
140
110
412
396
389
374
380
92
77 82
91 90
350
79 75
H22
H20
H18
H16
H14
H12
H8
H6
H4
H2
S63
S61
S59
S57
S55
S53
S51
S49
S47
S45
S43
S41
S39
S37
S35
200
0
0
S33
400
101
49 55
0
戸
350
115
88
80
生
産
者
数
467
165 452
149
119
H10
(
t
937
400
1,251
1,256
)
生
産
量
1,249
488
(
生産量(t)
生産者数(戸)
<年度>
出典:対馬市資料より
16
②基本的施策
しいたけ生産は、本市の主要な産業のひとつであることから、今後も安
心・安全で良質な対馬産しいたけの生産拡大のため、対馬しいたけやんこも
再生プラン事業を推進します。
【具体的な施策・事業】
施策・事業名
担当課
実施期間
概 要
補助事業等
対馬しいたけ再生プラン推進事業
農林振興課
H23~
対馬しいたけ再
新規参入者向けの情報提供及び窓口業務を行う。説明会
生プラン総合対
(島内・島外)の開催。
策支援事業
新規参入者等支援推進事業
農林振興課
H23~
対馬しいたけ再
新規参入者や規模拡大者に対する適正な技術供与。栽培
生プラン総合対
技術講習会の開催(栽培時期に対応した講習会)。
策支援事業
生産基盤の整備
・特用林産物生産施設の整備
乾燥機、製品保管倉庫、包装機、自動穿孔植菌機、ほだ
木運搬車外。
特用林産物活用施設等整備事業
(大型生産団地導入支援事業)
農林振興課
H23~
対馬しいたけ再
・特用林産物生産基盤整備(ほだ場等造成)
生プラン総合対
スプリンクラー設置、防風ネット設置、防鹿ネット設置、ワ
策支援事業
イヤーメッシュ設置
・特用林産物生産基盤整備(作業道等整備)
作業道等開設・改良(原木搬出)
農林振興課
H23~
高度な技術レベルを有するマイスターによる生産者等へ
指導、実践研修を行う。
対馬しいたけ生産量向上対策事業
農林振興課
H23~
植菌資材(種駒)の購入補助。
市一般財源
乾燥機リース事業
農林振興課
H24~
乾燥機リースの購入補助(20台)
市一般財源
H23~
対馬しいたけの需要拡大につなげるため「しいたけフェア」 対馬しいたけ再
によるPR及び販促活動に助成を行う。しいたけ祭りの開
生プラン総合対
催、展示即売会、市場調査。
策支援事業
H23~
対象地域(長崎市、東京都、福岡市、横浜市)での催事の
開催
・対馬しいたけフェア(品評会同時開催)
・対馬しいたけフェアin長崎
・対馬しいたけフェアin福岡
・ポルチーニ(伊)とどんこしいたけの食の交流
・「旬・新鮮」全国S級食材フェア
流通体制の整備及び販路開拓、PR活動
対馬しいたけ需要拡大支援事業
長崎県しいたけ振興対策協議会事業
流通体制の整備及び販路開拓、PR活動
農林振興課
農林振興課
農林振興課
対馬しいたけ再
生プラン総合対
策支援事業
農林振興課
しいたけ原木保全事業
農林振興課
H26~
ながさき森林
しいたけほだ木伐採後の新規植栽及び天然更新において
環境税
新芽をイノシシ、シカ等の食害から守るため、WM柵等の導
森・川・里・海環
入経費の一部を助成する。
境保全再生基金
しいたけほだ場被害対策事業
農林振興課
H23~
しいたけほだ場被害対策のために設置する侵入防護柵の 森・川・里・海環
整備に対し、一定の助成を行う。
境保全再生基金
③指標と数値目標
指標
乾しいたけ生産量
生産者数
17
対馬しいたけ再
生プラン総合対
策支援事業
マイスター活動支援事業
現状(年度)
目標(年度)
75t(H23)
150t(H29)
350名(H23)
360名(H29)
備考
対馬市森林づくり基本計画
4)有害鳥獣を有効活用した新規産業化の推進
①現状と課題
ツシマジカ、イノシシの近年の個体数の増加は著しく、捕獲頭数も年々増
加傾向にあります。
しかしながら、島内に有害鳥獣の食肉加工事業所が1件のみであること、
また、食品衛生上の制約、市場流通の関係から捕獲された鳥獣は、そのほと
んどが埋却処分若しくは焼却処分されている現状であることから、これだけ
増加傾向にある有害鳥獣を有効的に活用する施策が急務といえます。
【対馬におけるシカ捕獲数の推移】
【対馬におけるイノシシ捕獲数の推移】
捕獲数(頭)
捕獲数(頭)
12,000
3,000
2,534
2,431
2,500
2,000
8,000
1,815
1,545
10,146
10,000
1,553
1,514
1,500
1,653
1,467
1,395
1,414
1,276
1,478
1,585
1,402
5,600
6,000
1,299
1,000
4,000
500
2,000
2,834
0
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
6,172
3,230
2,340
1,541
1,217
81
13
37
H9
H10
63
257
H12
H13
403
336
H14
H15
0
H11
<年度>
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
<年度>
資料:対馬地区有害鳥獣対策協議会資料より
②基本的施策
これまで、大半が廃棄処分されてきたツ
シマジカ、イノシシを新たな資源として捉
え、皮革製品や食用加工品などの新商品の
開発により新規産業化を推進します。
【具体的な施策・事業】
施策・事業名
担当課
実施期間
概 要
補助事業等
有害鳥獣皮革製品化推進事業
農林振興課
再生推進本
部
H22~
ツシマジカ、イノシシの皮を活用した加工品(名刺入れ、手
帳ケース等)の製品化に取り組む。平成24年度以降は、売 過疎債(ソフト)
れる商品となるよう試作品における各種調査を実施中。
レザークラフトで島おこし事業
再生推進本
部
農林振興課
H23~
「有害鳥獣皮革製品化推進事業」との連携事業として推進
総務省地域おこ
中。本事業と同様に、地域おこし共同体レザークラフト担
し協力隊事業
当を中心に事業を展開する。
有害鳥獣肉資源活用事業
(名称変更予定)
農林振興課
再生推進本
部
H24~
皮同様に肉の加工品としての活用を目指し、平成24年度
はイノシシ生ハムを試作する。生ハムの熟成のための施
設整備、人材育成講座等も実施予定。
有害鳥獣の駆除班体制の再編
農林振興課
H25~
駆除を被害対策から積極的な食肉資源の確保のための
作業と位置づけ、猟友会依存の体制から林家や自治会関
係者をも含めた、新たな体制に再編する
過疎債(ソフト)
③指標と数値目標
指標
新規産業化件数
現状(年度)
目標(年度)
0件(H24)
5件(H29)
備考
18
5)森林の二酸化炭素吸収機能等を活用した新規産業化の推進
①現状と課題
対馬市では、市域の約9割を森林
田, 582 ,
畑, 344 ,
が占めていますが、これらの森林は、
1%
0%
国有林,
林業者の高齢化や後継者不足等の
その他,
5,165 , 7%
6,703 , 9%
要因により、健全な森林資源の育成
のために必要な、間伐等の森林整備
が立ち遅れています。
総面積
そのため、本来、森林が持つ二酸
70,884ha
化炭素吸収機能などの地球温暖化
の進行を緩和する機能や、多くの生
民有林,
58,090 ,
物の生息基盤として生物多様性を
83%
維持する機能が、低下していくこと
■対馬市の土地利用の現況
が懸念されます。
資料:平成 23 年度 対馬管内林業の概要
そこで、経済的に取引可能な森林
の二酸化炭素吸収機能に着目し、“間伐等の適正な森林整備”により森林の
成長量に係る二酸化炭素吸収量をクレジットとして発行し、クレジット収
入を適切な森林整備(間伐等)やその他環境施策へ投資するといった持続
可能で循環した、市独自の事業展開が必要です。
②基本的施策
森林資源の新たな有効活用策のひとつとして、また、計画的な森林整備
の促進とツシマヤマネコ等の対馬ならではの多様な生態系を保全するた
め、森林の二酸化炭素吸収機能を活用した各種の施策を展開します。
【具体的な施策・事業】
施策・事業名
担当課
実施期間
森林の二酸化炭素吸収機能を活用した
クレジット化事業
農林振興課
H23~H29
森林の二酸化炭素排出権クレジット取引
農林振興課
促進事業
対馬市カーボンオフセット事業
農林振興課
H24~
H26~
概 要
補助事業等
J-VER制度によるクレジット化事業
対馬市森・川・
平成19年度から平成23年度市有林整備分を登録し1,2
里・海環境保全
06tの二酸化炭素をクレジット化(H24)
再生基金
クレジットの取り引きを拡大するため、都市部の民間企業
や都道府県への売り込みを促進する。
対馬市森・川・
里・海環境保全
再生基金
地域発カーボンオフセットイベントを実施。
市内イベント(既存、新規)実施により、イベントにて排出さ
れる二酸化炭素(島外からの参加者交通費等)をゼロにす
るため、参加料等に排出量分を上乗せし参加者がオフ
セットできる環境に優しいイベントを実施する。
※市内マラソン大会等
③指標と数値目標
指標
クレジット売却量
クレジット付商品及びイベント
年間市有林間伐量
19
現状(年度)
目標(年度)
0t/CO2(H24))
1,206t/CO2(H29)
0(H24)
5(H29)
20ha(H24)
30ha(H29)
備考
ながさき
森林環境税
対馬市森林づくり基本計画
6)森林整備の担い手の育成
①現状と課題
対馬市における林業経営体数は減少傾向にあり、平成2
2年度現在では、林業のみを行っている経営体で18団体、
農業と林業を兼業している経営体で659団体と平成1
7年度からの5年間で5割弱の減少となっています。
また、森林・林業の中核的な担い手としての役割を担う、
対馬森林組合の作業班員数も緩やかであるが減少傾向に
あり、就労者の減少や高齢化、後継者不足が問題となっています。そのため、自
伐林家の養成や新規参入者の確保をはじめ、各種技術指導等を行っていくことで
林業界の裾野を広げていく必要があります。また、将来を担う小中学生に対し各
種森林体験・学習事業を実施して将来に繋げていく必要があります。
【林業経営体数】
人
100
【対馬森林組合の作業班員数の推移】
1,000 865 900 800 75
659 700 600 500 416 男
女
職員
50
400 300 200 100 25
18 0 H17
林業のみをおこなっている経営体
H22
農業と林業を行っている経営体
0
15
資料:市資料より
16
17
18
19
20
資料:平成 16 年度~23 年度
21
22 年度
対馬管内林業の概要
②基本的施策
将来的な本市林業の持続的な発展のため、自伐林家の養成や林業事業者はも
とより、地域における林業担い手の育成をはじめ、将来を担う小中学生等に対
し、森林への愛着や正しい林業知識を養うための体験・学習事業を推進します。
【具体的な施策・事業】
施策・事業名
担当課
実施期間
概 要
補助事業等
ながさき森林づくり担い手対策事業
農林振興課
H22~
森林組合が直接雇用する作業員の社会保険等の事業
所負担分を助成する。
自伐林家養成塾の開催
農林振興課
H26~
地域住民等を対象に、森林整備(間伐・搬出・材利用等)
に関する研修会を行い、地域での担い手育成を推進す
る。
ながさき
森林環境税
小学生への体験プログラム事業
農林振興課
H25~
子供の頃から地場産業に触れるために、地元の地場産
業を体験できるプログラムを作成し、地域住民と協力し
て実施する。また、次世代の担い手の育成、定住Uター
ンの意識を醸成する。
ながさき
森林環境税
森林の集い事業
農林振興課
H23~
将来を担う小学生に対し、森林学習、森林体験等を実施
し森林への愛着を醸成する。
ながさき
森林環境税
ながさき森林づくり
担い手対策事業
③指標と数値目標
現状(年度)
目標(年度)
小中学生への体験プログラム数
指標
1件(H24)
5件(H29)
自伐林家養成塾開催数
0回(H24)
5回(H29)
備考
年間
20
7)木材流通効率化の促進
①現状と課題
対馬市の木材流通の現状としては、丸太は、主に伊万里
の市場で取引されており、建築用製材及びラミナ等の木材
加工品は博多港を経由し、本土製材所と取引されています。
平成23年度における木材価格は、伊万里木材市場でス
ギが平均 10,115 円/㎥(全国:12,108 円/㎥)、ヒノキが 17,896
円/㎥(全国:21,083 円/㎥)でした。価格の変動が大きい
上、その他市場と比べても価格は低迷しています。
また、対馬市が離島であることから、本土地域と比べ、
材の搬出、輸送にコストがかかり、価格面で大きなハンディキャップを負っている
現状です。よって、木材流通の効率化を更に促進するとともに島内事業所が一定の
競争力をつけられる施策の展開が急務といえます。
【スギ・ヒノキ丸太価格(全国・九州・伊万里)】
区 分
市場名
年度
平均価格(円/㎥)
全 国
H23
12,108
九 州
H23
12,165
ス ギ
H22
10,040
伊万里
H23
10,115
全 国
H23
21,083
九 州
H23
19,027
ヒノキ
H22
19,220
伊万里
H23
17,896
価格変動幅
11,600~12,700
11,260~13,140
9,800~10,500
9,375~10,750
19,700~22,300
18,250~20,075
18,480~21,540
15,466~20,383
※全国は、農林水産統計(中丸太:径 14~22cm:長 3.65~4.0m)より。
※九州は、農林水産統計の福岡、熊本、大分、宮崎、鹿児島(中丸太:径 14~22cm:長 3.65~4.0m)
の単純平均による。
※長崎材について、これまでは熊本の市況価格と伊万里木材市場商報価格の平均に出荷量比率を考慮し
たものを長崎材価格として扱ってきたが、現状としては、熊本への出荷はごく僅かと思われる(因み
に林業公社においては、スギのみ年 500 ㎥程度の出荷)ため、今年度からは伊万里木材市場商報価格
のみ表示。
②基本的施策
離島のハンデ解消のため、丸太材と建築用材等の木材加工品それぞれにおいて、
海上輸送経費に一定の助成を行い、本土事業者との競争力を強化することで生産
量の拡大による林業の活性化を図ります。
【具体的な施策・事業】
施策・事業名
木材加工品輸送コスト助成事業
ながさき森林環境税
しまの間伐促進事業
担当課
実施期間
概 要
補助事業等
農林振興課
H24~H26
離島のハンデ解消のため、建築用材、ラミナ材、チップ等
の木材加工品の本土への輸送経費に一定の助成を行
い、流通量を拡大させることで、森林整備を更に加速させ
る。
長崎県
H24~
離島から内地に計画的に出荷される間伐材の海上輸送費
に対する支援【1㎥当たり2,000円が上限】
過疎債(ソフト)
ながさき
森林環境税
③指標と数値目標
指標
現状(年度)
目標(年度)
製材用素材生産量
13,598㎥(H23)
15,000㎥(H29)
チップ生産量
18,000㎥(H23)
20,000㎥(H29)
8)海外への流通ルートの新規開拓
21
備考
ラミナ材含む
対馬市森林づくり基本計画
①現状と課題
対馬島内の木材(丸太)の海外への輸出
は、平成22年より始まり、輸出量、取引
件数ともにも年々増加傾向にあります。
平成25年1月現在におけるスギ、ヒノ
キ輸出総量は、6,000 ㎥を超える状況です。
国境の島である本市は、海外にも近い地
の利を最大限、活かしていく必要があり、
海外向けの流通ルートの新規開拓を推進する必要があります。
【対馬島内の木材(丸太)輸出状況(平成24年1月現在)】
年 度
輸出材区分
平成 22 年度
(1件)
スギ
スギ
平成 23 年度
(3件)
平成 24 年度
(4件)
輸出量(㎥)
ヒノキ
輸出港
輸出先
682
峰
韓国
1,659
峰
韓国
峰
小鹿
韓国
497
スギ
1,250
965
峰
佐須奈
韓国
ヒノキ
1,052
峰
韓国
出典:市資料より
②基本的施策
今後の新たなマーケットとしての可能性を大いに有する韓国、中国等、
海外への流通システムの確立を目指します。
【具体的な施策・事業】
施策・事業名
市担当部局による国際ビジネスPT
担当課
実施期間
建設課
観光物産推
進本部
農林振興課
H24~
概 要
補助事業等
韓国、中国における木材の輸出に向け、モデル住宅の整
備やそれに向けたプレカット工場の整備等の可能性を検
討する。
*市有林実績:平成23年 4,300本(韓国:スギ、ヒノキ)
未定
③指標と数値目標
指標
現状(年度)
目標(年度)
木材(丸太)輸出量
2,302㎥(H23)
3,000㎥(H29)
木材加工品輸出量
0㎥(H24)
500㎥(H29)
備考
22
9)対馬市の林産物に関する情報の発信
①現状と課題
対馬市の林産物を多くの人に買ってもらうには、安心・安全な商品として
のブランド化をはじめ、他の主要産地との差別化を図る必要がある。
そのためには、品質の良さ、安全性、ツシマヤマネコをはじめとする自然
との共生などの、林産物を産出する際のコンセプト等を、付加価値として発
信していく必要があります。
また、社会的な動向をとらえるとともに、消費者のニーズを的確にとらえ
る必要もあります。
対州そば
黄金あなご
孝行麺
②基本的施策
品質的には他の主要産地に引けをとらない本市の林産物を広く島外に発
信していくため、全国で7番目に認定(全12市町村)された環境王国とし
てのブランド力を十分に活用した情報の発信を推進します。
【具体的な施策・事業】
施策・事業名
環境王国ブランド化事業
担当課
実施期間
農林振興課
H23~
概要
補助事業等
他地域との差別化を図った販売戦略の促進
市一般財源
③指標と数値目標
23
指標
現状(年度)
目標(年度)
環境王国認定ブランド品
4品(H24)
10品(H29)
備考
対馬市森林づくり基本計画
(2)森林環境の保全
1)森林環境の保全方針の検討
①現状と課題
対馬は九州本土から隔絶された位置にあり、また数万年前までは大陸と地
続きであったことから、対馬固有の種や大陸系、日本系の動植物が混在する、
独特で多様な生態系の息づく島です。
ツシマヤマネコ等の対馬にしか見られない希少な種をはじめ、四季折々に
花をつけるヒトツバタゴ、ヤマツツジ、ヤマザクラ等の森林の植物の美しさ
は格別です。
これらの環境を保全し、資源として積極的に活用していくためには、環境
の現況を的確に把握するとともに、ゾーニングを始めとする保全と活用のた
めのルールづくりを行う必要があります。
②基本的施策
森林環境の保全のためのルールである対馬市伐採ガイドラインや環境に
配慮した道づくりのためのガイドラインの作成により、ゾーニングによる守
るべき森林ゾーンと活用する森林ゾーンを明確にするとともに樹種の設定
を行い、広く森林所有者、事業者等に周知していくともに将来的にはユネス
コMABの認定を目指します。
【具体的な施策・事業】
施策・事業名
担当課
実施期間
概 要
補助事業等
対馬市伐採ガイドライン策定事業
農林振興課
H24
希少な野生動植物の生体等の保全や貴重な樹木の保全
等のため、伐採から搬出、作業道作設等まで含んだルー
ルとして対馬市伐採ガイドラインを策定する。
市一般財源
ユネスコMAB認定事業
農林振興課
教育委員会
-
自然資源と人間の生活の密接な関係を重視した枠組みと
して、ユネスコのMABの考え方を取り入れて対馬市全域
のゾーン設定を検討する。
-
環境に配慮した道づくりガイドラインの策
農林振興課
定
H25~
環境に配慮した道づくり、既設の道路の維持管理に関する 森・川・里・海環境
ガイドラインを策定する。
保全再生基金
対馬市自然環境調査
H25~
希少種、有用または癒しをもたらす樹種等を対象に、生
森・川・里・海環境
息、生育に関する位置、分布情報を収集整理し、保全のた
保全再生基金
めの基礎データとしてとりまとめる。
農林振興課
③指標と数値目標
指標
現状(年度)
目標(年度)
森林所有者等意見交換
会開催数
0回(H24)
2回(毎年)
備考
24
2)適正な間伐の推進
①現状と課題
本市の森林面積は、63,050ha で、総面積の約 9
割を占めているが、戦後、拡大造林により大量に
植林された人工林は、全国の状況と同様に、安価
な外国材との価格競争による木材価格の低迷や林
業後継者の不足により、手入れ不足の森林や放置
されたままの森林が増加傾向にある。
未整備森林の増加により森林環境の悪化は、そ
のまま島の生態系が崩れることとなり、適正で且
つ循環できる森林整備が必要である。
②基本的施策
適正な森林整備は、本計画に掲げる森林資源の活用と森林を基本とした環
境保全の大元であり、環境に配慮した適正な森林整備を継続して実施するこ
とが、そのまま川・里を通じ、海の環境にも影響を与え。本市の豊かな漁場
を復活させる可能性を大いに有していることから対馬市伐採ガイドライン
に基づき、適正で計画的な森林整備を強力に推進していくとともに伐採後の
取組みについても、整備箇所の特性に合った手法を実施していく。
【具体的な施策・事業】
施策・事業名
担当課
実施期間
市有林整備事業
(利用間伐及び作業道作設)
農林振興課
継続
環境保全林緊急整備事業
農林振興課
H25~
概 要
補助事業等
森林経営計画策定により毎年一定量の利用間伐及び災
害に強く且つ環境に配慮した作業道の作設により適正な
森林形態を維持する。
毎年:20ha程度の整備を計画
森林環境保全整
備事業補助金
森林の公益的機能の高度発揮をはかるため、水源涵養等
保安林やながさき水源の森などのうち、荒廃した森林を対
象とした森林整備を行う。
③指標と数値目標
25
指標
現状(年度)
目標(年度)
森林経営計画認定面積
ha(H24)
2ha(H29)
人工林間伐面積
ha(H24)
ha(H24)
作業路網延長
m(H24)
m(H24)
備考
ながさき森林
環境税
対馬市森林づくり基本計画
3)有害鳥獣対策
①現状と課題
ツシマジカ、イノシシの近年の個体数の
増加は著しく、農作物、林業被害の他、人
に危害を及ぼす事件も起きています。
特にツシマジカによる森林被害は近年に
なって急激に増加し、市内の森林に深刻な
影響を与えています。成木の皮剥害や萌芽
の食害など、樹木に対する直接的被害に加
え、近年では下層に分布する希少な植物へ
の影響も懸念されており、本市の林業を取り巻く要因の中でも最大の課題と
言えます。
対馬におけるシカによる林業被害額の推移】
【シカの食害により再生できない森林】
被害額(百万円)
600
490
500
489
H22
H23
369
400
271
300
200
495
154
118
100
118
75
69
35
0
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
<年度>
資料:対馬地区有害鳥獣対策協議会資料より
②基本的施策
対馬市の多様な生態系を保全していくためには、ツシマジカの個体数を適
正管理することが緊急の課題であるころから適正な駆除、防除、棲み分けを
計画的に実施していきます。
26
【具体的な施策・事業】
施策・事業名
担当課
実施期間
概 要
補助事業等
イノシシ捕獲報奨金事業
農林振興課
継続事業
長崎県鳥獣被害
イノシシを捕獲したものに1頭につき一万円の捕獲報奨金
防止総合対策事
を交付する。(県補助金:1頭:2,500円)
業補助金
有害鳥獣駆除事業
農林振興課
継続事業
長崎県野生鳥獣
ツシマジカを捕獲した者に1頭につき一万円の捕獲報奨金
林業被害事業補
を交付する。(県補助金:1頭5,000円)
助金
狩猟免許取得助成事業
農林振興課
H23~
新規免許を取得するものに対し、取得に係る経費を助成
する。(20,000円限度)
市一般財源
居住区域内安全対策事業
農林振興課
H25~
居住区内の安全対策のために設置する進入防止柵等の
原材料費に対し助成(補助率:9/10または1/3)
市一般財源
農林業作物等被害対策事業
農林振興課
H25~
家庭菜園等を対象とした農林業作物等被害対策のために
設置する侵入防止柵等の原材料に対し助成(補助率:1/2
又は1/3)
市一般財源
農作物被害対策事業
農林振興課
継続事業
農作物被害対策のために設置する侵入防止柵整備
国庫補助事業
③指標と数値目標
指標
林業被害額
27
現状(年度)
目標(年度)
489,000千円(H23)
250,000千円(H29)
備考
対馬市森林づくり基本計画
2)ツシマヤマネコや有用または癒しをもたらす樹木等の多様な生態系に配慮した
森林空間づくり
①現状と課題
近年の手入れ不足による森林の荒廃やシカ
の食害などにより対馬にしか見られない希少
な種の中にも絶滅のおそれが心配されるもの
が増えています。
対馬の森林を守り、次世代に引き継ぐため
に、多様な生態系に配慮した森林空間づくり、
積極的な保全が必要です。
②基本的施策
大陸と日本とのつながりを示す多様な生態系の代表といえる“ツシマヤマ
ネコ”の生活環境改善のための森林づくりをモデル的に実施するとともに、
本市ならでは重要植生や有用樹木を保全する取組みを行います。
【具体的な施策・事業】
施策・事業名
担当課
実施期間
概 要
補助事業等
対馬市重要植生保全事業
農林振興課
H25~
面的な植生を有する対馬固有種(シマトウヒレン、ツシマギ
森・川・里・海環境
ボウシ、ヒトツバタゴ等)を島の宝として後世まで残す為、
保全再生基金
防護柵の設置に際し、一定の助成を検討。
ツシマヤマネコの森林づくり事業
自然環境推
進室
農林振興課
H26~
ツシマヤマネコの生息環境改善のため、モデル地域を選
定し、間伐の促進、広葉樹の植栽、継続したモニタリング
調査等を実施する。
対馬市有用樹木保全対策事業(仮称)
農林振興課
H26~
民有林の伐採に際し、人々に癒しをもたらす山桜、ゲンカ
イツツジ等の樹木または、ケヤキ等の有用樹木を残す行 森・川・里・海環境
保全再生基金
為に対し
保全面積若しくは保全樹木本数により一定の助成を行う。
国、県の補助制度
活用予定
③指標と数値目標
指標
ツシマヤマネコの森林づく
り事業モデル地域数
対馬固有種保全のため
の防護柵設置延長
現状(年度)
目標(年度)
0地域(H24)
3地域(H29)
0m(H24)
45,000m(H29)
備考
毎年5,000m
28
3)森・川・里・海が一体となった環境改善事業
①現状と課題
森林の生態系の持つ役割は、森林内だけにとどまるものではありません。
特に水の循環については、土砂災害を防ぎ、徐々に河川へと水を供給する保
水機能や、浄化作用、浄化を通じて作られる適度なミネラルを含む水の下流
側水生生物の好適生息環境の形成への貢献など、森林が大きな役割を担って
いることが指摘されています。
対馬では森林から海までの距離が短いことから、森林での施業が直に、沿
岸部の漁業に影響することが考えられます。
そこで、対馬の森・川・里・海を一連の繋がりのある系ととらえ、一体と
なった環境改善事業を行う必要があります。
②基本的施策
森林と河川、里、沿岸環境の一体的な環境保全策の実施と海環境の環境浄
化の関係性把握のための施策をモデル地域の設定により展開していきます。
なお、モデル地域における環境改善結果により市内全域での取組みの可否
を検討していきます。
【具体的な施策・事業】
施策・事業名
対馬市森・川・里・海環境改善事業
担当課
農林振興課
環境政策課
地域再生推
進本部
実施期間
H25~H29
概 要
補助事業等
森の恵みが川・里を通じ海に流れ海環境が改善されること
の実証実験を行う。
公募により森林から海まで流域において、森林分野では
適正な間伐を、川・里分野ではEM等による生活排水の浄
国、県の補助制
化を、沿岸部分では藻場生成、EMだんご等の投入を実施
度
し、実施後の経過についてモニタリングを実施し、その効
活用予定
果を検証する。
H25:実施地域、団体公募
H26:事業実施
H27~H29:モニタリング
③指標と数値目標
指標
実施モデル地域数
29
現状(年度)
目標(年度)
0地域
2地域(H29)
備考
対馬市森林づくり基本計画
第4章 重点プロジェクト
1.重点プロジェクトについて
本計画で定める大きな2つの施策の方向性において、特に重点的に取り組むプロ
ジェクトは、以下のとおりとする。
2.重点プロジェクト
施策の方向性
プ ロ ジ ェ ク ト 名
循環型適正間伐促進プロジェクト
森林資源の活用
森林資源を活用した新規産業化プロジェクト
多様な生態系に配慮した森林空間づくりプロジェクト
森林環境の保全
森・川・里・海が一体となった環境改善プロジェクト
30
第5章 計画の実現に向けて
1.計画の推進体制
(1)対馬市森林づくり委員会
対馬市森林づくり条例第 17 条に規定された、森林づくり委員会を定期的に開
催し、計画の進捗状況の協議、調査、提言及び評価を行います。
(2)庁内連絡調整会議
計画に基づく施策・事業等の進捗状況についての連絡、調整を行うための庁
内会議を設置します。
(3)国、県との連携
対馬市単独では解決できない課題については、国、県の関係機関等との調整
や連携を図りながら推進します。
2.計画の進行管理
計画の進行管理は、PLAN(計画の策定)、DO(計画の推進)、CHECK(点検・
評価)、ACTION(改善・見直し)の、PDCA サイクルで行っていきます。
進行管理にあたっては、毎年、事業の進捗状況を年次報告としてとりまとめ、
森林づくり委員会に報告します。
31
対馬市森林づくり基本計画
参考
資料編
(1)策定の経緯
開 催 月 日
開 催 場 所
第1回委員会
平成24年6月12日(火)
市役所別館大会議室
第2回委員会
平成24年9月5日(水)
市役所別館大会議室
第3回委員会
平成24年9月26日(水)
市役所別館大会議室
第4回委員会
平成24年10月18日(木)
市役所別館大会議室
第5回委員会
平成24年11月19日(月)
市役所別館大会議室
第6回委員会
平成25年1月18日(月)
市役所別館大会議室
第7回委員会
平成25年3月19日(火)
対馬市交流センター会議室
備 考
第8回委員会
≪第1回委員会≫
日
時:平成24年6月12日(火)15時30分~17時
場
所:対馬市役所別館大会議室
会議内容
・委嘱状交付
・会長・副会長選出
・計画策定の意義、目的及び本年度取組み内容について
・本年度スケジュールについて
≪第2回委員会≫
日
時:平成24年9月5日(火)14時分~17時
場
所:対馬市役所別館大会議室
会議内容
・第1回会議内容及び公開状況について
・実施計画及びスケジュールについて
【委託事業採用企画の内容説明】
・森林資源の有効活用及び環境保全のための具体的施策について
・その他(次回以降のスケジュール等)
32
≪第3回委員会≫
日
時:平成24年9月26日(水)13時30分~17時
場
所:対馬市役所別館大会議室
会議内容
(1)第2回会議内容及び公開状況について
(2)対馬市の林業を取り巻く現況について
(3)対馬市森林づくり基本計画骨子案について
(4)計画に計上する施策に係る意見交換
1)現在実施中の事業について
2)委員提案及び意見交換
(5)その他(次回以降のスケジュールについて)
≪第4回委員会≫
日
時:平成24年10月18日(木)14時~17時
場
所:対馬市役所別館大会議室
会議内容
(1)第3回会議内容及び公開状況について
(2)対馬市森林づくり基本計画【全体案】協議
(3)その他(次回以降のスケジュールについて)
≪第5回委員会≫
日
時:平成24年11月19日(月)13時30分~16時45分
場
所:対馬市役所別館大会議室
会議内容
(1)第4回会議内容及び公開状況について
(2)対馬市森林づくり基本計画【修正案】協議
(3)対馬市伐採ガイドライン骨格協議
(4)その他(次回以降のスケジュールについて)
≪第6回委員会≫
日
時:平成25年1月18日(月)13時30分~16時45分
場
所:対馬市役所別館大会議室
会議内容
(1)第5回会議内容及び公開状況について
(2)対馬市森林づくり基本計画【修正案】協議
(3)対馬市伐採ガイドライン内容協議
(4)その他(次回以降のスケジュールについて)
33
対馬市森林づくり基本計画
≪第7回委員会≫
日
時:平成25年3月19日(火)13時30分~16時45分
場
所:対馬市交流センター会議室
会議内容
(1)第6回会議内容及び公開状況について
(2)対馬市森林づくり基本計画【最終案】協議
(3)対馬市伐採ガイドライン内容詳細協議
(4)その他(次回以降のスケジュールについて)
34
(2)委員会名簿
番号
区分
1
学識経験者
団 体 名
氏 名
九州大学農学研究院
森林環境科学講座 教授
サトウ
住 所
ノリコ
佐藤 宣子
福岡市東区箱崎6-10-1
2
元ながさき森林環境税基金管理 ハラシマ リ エ コ
原嶋 理惠子
運営委員会委員
対馬市美津島町鶏知乙104-20
3
長崎森林管理署 厳原上級森林
事務所 首席森林官
松永 雄治
マツ ナガ
ユウジ
対馬市厳原町日吉293-2
長崎県対馬振興局林業課
松尾 尚洋
マツオ
ナオヒロ
対馬市厳原町国分1441
林業行政関係者
4
5
森林組合
対馬森林組合業務課長
6
林業公社
(社)長崎県林業公社対馬事務
所
ウエハラ
マサヤス
○上原 正康 対馬市厳原町南室22-1
ウメノ
ヨシ ヒロ
対馬市厳原町宮谷224
林業生産者
コミヤ
ノブユキ
対馬市上県町瀬田971
8
林業生産者
ウチヤマ
キヨ
9
対馬市食生活改善推進協議会 ◎小嶋 多鶴子 対馬市厳原町田渕952
コジマ
タ
ニシ ノ
西野 雄一
ユウイチ
対馬市上県町佐護棹崎公園
ソノダ
マス ヤ
対馬市上対馬町浜久須262
7
梅野 善弘
小宮 伸之
林業生産者、所有者等
タ
内山 喜代太 対馬市厳原町内山320
ズ コ
環境保護団体等関係者
10
対馬野生生物保護センター
対馬自然保護官
11
対州海運(株)上対馬営業所
森林所有者
12
NPO法人森里海再生協議会理 コマツ ツ ヨ シ
対馬市厳原町久田528-14
事、花の対馬ネットワーク会員等 小松 津代志
公募委員
35
園田 益也
13
元対馬営林署
前森林づくり条例検討委員
14
農林業
カワモト
マサハル
対馬市上県町樫滝38
ニシヤマ
マサユキ
対馬市厳原町中村224
サジキバラ ヒサノスケ
桟原 久之助 対馬市厳原町宮谷186
川本 政春
15
その他(農業)
対馬農協 営農部長
16
その他(漁業)
漁業者
17
その他(漁業)
対馬市漁業協同組合長会会長
ヘ バラ
マサオ
対馬市厳原町宮谷224
18
対馬市行政
地域再生推進本部長
ヘイ マ
トシ ロウ
対馬市厳原町国分1441
19
対馬市行政
市民生活部長
ナガサト
タイジ
対馬市厳原町国分1441
20
対馬市行政
農林水産部長
西山 雅之
ホソイ
イ
サ ヨシ
細井 尉佐義
部原 政夫
平間 壽郎
長郷 泰二
ヒ
タ
カツ
ナオキ
対馬市上対馬町古里480-2新古里団地
比田勝 尚喜 対馬市厳原町国分1441
対馬市森林づくり基本計画
(3)対馬市森林づくり条例
目次
前文
第1章
総則(第1条・第2条)
第2章
森林づくりの基本理念(第3条)
第3章
市、森林組合等関係者及び市民の責務と役割(第4条-第8条)
第4章
森林整備及び環境保全に関する基本的施策(第9条-第14条)
第5章
森林づくり基本計画(第15条・第16条)
第6章
対馬市森林づくり委員会(第17条)
第7章
基金の設置(第18条)
第8章
遵守事項(第19条-第21条)
第9章
雑則(第22条)
附則
36
本市の約9割を占める森林は、私たちの生活に多様な恵みをもたらしている。海の
環境や資源も森林の栄養分が川・里を通して海に注ぐことによって維持されており、
対馬の基幹産業である水産業と林業は森林の恵みを受けて成り立っている。
また、森林は、水源かん養、土砂流出や山地災害の防止、自然環境の保全、癒しや
安らぎの空間形成、世界的な課題である地球温暖化防止機能等、市民生活の安全や安
心という面からも、大きな役割を担っている。
更に、本市の森林は、対馬の象徴でもあるツシマヤマネコ等、大陸と日本のつなが
りを示す多様な動植物の生息空間として貴重であり、他地域に類を見ない照葉樹林や
落葉広葉樹林等の豊かな植生から成り立っている。それらの生息環境を保全し生物多
様性を維持することは、対馬市民の責務であり、島の宝を守ることでもある。
しかし、現状の森林に目を向けると、長引く木材価格の低迷や後継者不足等によっ
て林業としての生業が難しくなり、手入れ不足の森林や放置されたままの森林が目立
っている。一部では大面積で無秩序な伐採がみられ、土砂流出や河川環境の悪化が危
惧されている。更に、森林へのポイ捨てやゴミの不法投棄も後を絶たない。こうした
事態は、上記のような森林に期待されている多様な役割を十分に果たせないことを意
味している。
「環境王国、対馬」にとって、森林を再生し、森・川・里・海の連環を踏まえて環
境改善に努めることは喫緊の課題である。また、この課題は、林業者や森林の所有者
だけに委ねられるものではなく、対馬市民がそれぞれの立場で積極的に協力、参加す
ることが求められる課題でもある。
同時に森林を再生するためには、適切な資源の利用が不可欠であり、対馬材の活用
促進や対馬しいたけ等、林産物の生産向上をはじめ、木質チップボイラー等、再生可
能エネルギーや森林の二酸化炭素吸収機能を活用した新分野の利用、開拓等も急務で
ある。
以上、森林が環境保全・環境再生の礎となり、豊かな森林資源を生業として活用し、
同時に自然豊かな森林を対馬市の大きな財産として次世代に引き継ぐことを目的と
して、“対馬市森林づくり条例”を制定するものである。
37
対馬市森林づくり基本計画
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、森林の有する多面的な機能と可能性を再認識し、森林を育て、
森林に親しみ、森林の恵みをいただくという循環の中で、森林の保全及び資源の有
効活用のための基本的な考え方を共有するため、市、森林組合、森林事業者、森林
所有者、市民等の役割及び責任を明らかにすることで本市の豊かな森林を守り、も
って貴重な財産として後世に継承することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めると
ころによる。
(1)森林 市内に存する森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に規
定する森林(竹林を含む。)をいう。
(2)多面的機能 土砂流出、山地崩壊の防止、洪水軽減等の水源のかん養、自然
環境の保全、地球温暖化の抑止、保健休養、木材その他の林産物の生産及び供
給その他森林の有する多様な機能をいう。
(3)森林づくり 森林の有する多面的機能を持続的に発揮させるため、森林を守
り育てるとともに活用することをいう。
(4)人工林 植栽、種まき又はさし木により成立した森林(伐採跡地を含む)を
いう。
(5)天然林 人工林以外の森林をいう。
(6)森林組合 市内に所在する森林組合法(昭和53年法律第36号)に規定す
る組合をいう。
(7)森林事業者 市内において森林の施業若しくは木材その他の林産物の生産及
び加工又は流通の事業を行う者(森林組合を除く。)をいう。
(8)森林所有者 森林の土地を所有し、又は森林の土地にある木竹を所有し、若
しくは育成することができる者をいう。
(9)市民 市内に住み、若しくは勤める者又は市内に事務所を有する法人若しく
は市内で活動する団体等をいう。
(10)公共的団体 農業協同組合、森林組合、漁業協同組合、商工会等の産業経済
団体、青年団、婦人会等の文化教育事業団体等、公共的な活動を営む団体をい
う。
第2章 森林づくりの基本理念
(森林づくりの基本理念)
第3条 市、森林組合、森林事業者、森林所有者、市民等は、この条例の目的を達
成するため、適切な責務と役割分担のもとに相互の連携及び協力により、次に掲
げる基本理念に基づいて森林づくりを行うものとする。
38
(1)森林の有する多面的機能が持続的に発揮できるよう、人工林及び天然林の適
正配置をはじめ森林の利用目的に応じたゾーニングを施し、長期的な展望に立
った計画的な森林づくりを行うこと。
(2)林業が経済的に自立した産業となるよう、自然エネルギー資源としての活用
及び木造住宅の推進並びに森林の二酸化炭素吸収機能を活用した新規産業化
の推進等、多様な振興を図り、木材資源の循環利用を推進すること。
(3)森林は、島の環境改善及び再生の礎との認識を共有し、河川環境、里環境、
海環境等、島全体の環境改善のため全島での一体的な取組を連携して推進する
こと。
(4)森林を地域の活性化につながる素材と認識し、地域と一体となった森林づく
りを推進すること。
(5)前各号に掲げる基本理念が継続して行われるよう、森林づくりを担う人材の
育成を図ること。
第3章 市、森林組合等関係者及び市民の責務と役割
(市の責務及び役割)
第4条 市は、この条例の目的を達成するため、森林づくりの主体となって総合的か
つ計画的な施策の推進に努めなければならない。
2 市は、国及び県との連携を図るとともに、他の地方公共団体、公共的団体、関係
団体等に対し、必要に応じて理解と協力を求め、森林づくりによる森林資源の有効
活用及び環境改善の推進に努めなければならない。
3 市は、森林づくりに関する情報の提供を通じて、市内外の人々がこの条例の基本
理念について、理解が得られるよう努めなければならない。
4 市は、木材の地産地消を推進し、公共建築物等における木材の利用の促進に関す
る法律(平成22年法律第36号)の趣旨に即して、公共建築物等の木造化に努め
なければならない。
5 市は、再生可能エネルギーの活用や二酸化炭素の排出権取引に関する新たな分野
において、森林資源の活用を図れるよう努めなければならない。
6 市は、市内森林の森林所有者等から売却又は譲渡の届出があった場合、事案詳細
を確認し、指導、助言等の必要な措置を講じなければならない。
7 市は、環境に配慮した森林整備をはじめ、有害鳥獣対策、多様な生態系の保護等、
本条例の目的を達成するため、必要な措置を講じなければならない。
(森林組合の責務及び役割)
第5条 森林組合は、森林管理の中核的な担い手として、市、県、関係機関等との連
携を密にし、木材その他林産物の生産及び供給を通じて、環境に配慮した森林づく
りに積極的に取組まなければならない。
2 森林組合は、環境に配慮した森林の管理が適正に行われるよう当該組合員に働き
かけるとともに、計画的に森林づくりに取組まなければならない。
3 森林組合は、市、県、関係機関等が行う森林づくりに関する各種施策に対し、協
力するよう努めなければならない。
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対馬市森林づくり基本計画
(森林事業者の責務及び役割)
第6条 森林事業者は、環境に配慮した森林づくりに関する各種施策に協力するとと
もに、事業活動を行うに当たっては、別に定める伐採ガイドラインにのっとり、生
態系の保全等、森林の多面的機能の確保に配慮するものとする。
2 森林事業者は、事業活動を行うに当たっては、ゲンカイツツジやヤマザクラ等、
人々に癒しをもたらす樹木、ケヤキやカヤ等の貴重な有用樹木の保全に配慮するも
のとする。
3 森林事業者は、市、県、関係機関等が行う森林づくりに関する各種施策に対し、
協力するよう努めるものとする。
(森林所有者の責務及び役割)
第7条 森林所有者は、森林づくりの重要性を深く認識し、自らが所有又は育成する
森林について、森林の有する多面的機能が十分に発揮されるよう努めるものとする。
2 森林所有者は、前条第2項に定める樹木の保全に努め、かつ、自然景観を損なわ
ないよう配慮するものとする。
3 森林所有者は、所有又は育成する森林の境界及び木竹の状況を把握し、その適正
な整備並びに保全の推進に極力、努めるものとする。
4 森林所有者は、森林を売却又は譲渡する場合は、事前に市長に届けるものとする。
5 森林所有者は、市、県、関係機関等が行う森林づくりに関する各種施策に対し、
協力するよう努めるものとする。
(市民の責務及び役割)
第8条 市民は、森林が対馬の貴重な財産であることを認識し、本条例に定める基本
理念にのっとり、市、県、関係機関等が行う森林づくりに関する各種施策に対し、
協力又は参加するよう努めるものとする。
2 市民は、市内で生産される木材その他の林産物を積極的に活用するよう努めるも
のとする。
第4章 森林整備及び環境保全に関する基本的施策
(森林の整備及び保全の推進)
第9条 市は、森林の適正な整備及び多様な生態系の保全を推進するため、国、県、
関係機関等と連携し、造林、保育その他の森林の施業を計画的かつ適切に実施する
ものとする。
2 市は、前項に規定する森林の適正な整備及び多様な生態系の保全を効率的に行う
ため、森林所有者、森林関係事業者等に対し、森林の施業を一体的に実施するよう
要請するものとする。
3 市、関係機関等は、今後の適正な森林整備のため、環境に配慮した林内路網の整
備及び拡充を連携して図るものとする。
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(林業及び木材産業の健全な発展)
第10条 市は、林業及び木材産業の健全な発展並びに林業の新たな産業化を図るた
め次の各号に掲げる施策を実施する。
(1)木質バイオマス燃料の利用促進のための施策の展開
(2)島の自然・風土を利用した原木しいたけ栽培の再生と振興
(3)森林の二酸化炭素吸収機能及び化石エネルギー代替機能を活用した新規産業
化の推進
(4)林業従事者等、森林整備担い手の育成
(5)公共建築物における地場産木材の利用促進
(6)対馬流域森林整備推進協定に基づく共同出荷体制の整備による木材流通効率
化の推進
(7)韓国・中国等海外への流通ルートの新規開拓
(8)有害鳥獣を有効活用した新規産業化の推進
(9)その他林業振興のために必要な各種施策の展開
(多様な生態系に配慮した森林の保全)
第11条 市は、ツシマヤマネコをはじめとする大陸と日本とのつながりを示す多様
な生態系を後世に引き継ぐため、環境に配慮した森林整備を推進するとともに、関
係機関等と広く連携を図るものとする。
2 市は、ゲンカイツツジやヤマザクラ等、人々に癒しをもたらす植物の生息域の面
的な保全を推進するとともに、関係機関等と広く連携を図るものとする。
3 市は、森林の現状に即し、森・川・里・海の連環した環境を保全するため、河川
環境に特別に配慮した森林整備及び保全を進めていくものとする。
4 市は、公共機関が行うインフラ整備に対し、多様な生態系に配慮した森林の保全
を図るため、必要に応じ協議の場を設けることができる。
5 市は、多様な生態系に配慮した森林の保全を図るための指針として対馬市伐採ガ
イドラインを別に定めるものとする。
(有害鳥獣対策)
第12条 市は、森林への有害鳥獣被害を抑制するため、必要な措置を講じるよう努
めなければならない。
(市民参加の森林づくり活動の推進)
第13条 市は、森林づくりに対する市民の理解を一層深めるため、必要な情報提供
を行うとともに、次世代を担う青少年等に対し、教育機関等と連携しながら自然体
験活動や森林学習の機会を定期的に提供し、森林を大切にする心の醸成に努めるも
のとする。
(市民等への支援)
第14条 市は、市民、森林事業者、森林づくり活動団体等が行う森林づくりに対し、
必要な支援を行うよう努めるものとする。
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対馬市森林づくり基本計画
第5章 森林づくり基本計画
(森林づくり基本計画)
第15条 市長は、この条例の目的を具体的に推進するため、森林整備及び保全に関
する取組方針並びに取組事業、実施期間、目標等を網羅した概ね10年間の森林づ
くりに関する基本的な計画(以下「森林づくり基本計画」という。)を定めるもの
とする。
2 森林づくり基本計画は、おおむね5年ごとに見直すものとするが、市長が特に必
要と認める場合は、その都度、見直すことができる。
3 市長は、森林づくり基本計画の策定及び見直しに当たっては、対馬市森林づくり
委員会の意見聴取をはじめ、広く意見を反映できるよう必要な措置を講じなければ
ならない。
4 市長は、森林づくり基本計画の策定及び見直しをしたときは、これを公表しなけ
ればならない。
(実施施策の公表)
第16条 市長は、森林の状況及び森林づくり基本計画に基づき実施された施策の進
捗状況等について、これを公表しなければならない。
第6章 対馬市森林づくり委員会
(対馬市森林づくり委員会)
第17条 この条例の基本理念に基づき、対馬ならではの各種森林施策を推進するた
め、対馬市森林づくり委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、次に掲げる事項について協議、調査、提言及び評価を行う。
(1)森林づくり基本計画に関すること。
(2)森林づくりに関する基本的な事項に関すること。
(3)前2号に掲げるもののほか、市長が必要と認めること。
3 前2項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し、必要な事項は、市長
が別に定める。
第7章 基金の設置
(基金の設置)
第18条 市は、森林づくりに関する各種の施策等を推進し、連環する森・川・里・
海が一体的に行う環境再生のための取組に資するため、地方自治法(昭和22年法
律第67号)第241条第1項の規定に基づき、対馬市森・川・里・海環境保全再
生基金を設置する。
2 前項に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
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第8章 遵守事項
(立入調査)
第19条 市長は、この条例の目的に必要な調査のため、職員を森林に立ち入らせる
ことができる。
2 前項の規定により立入調査を行う場合は、事前に森林所有者に立入年月日等を通
知しなければならない。なお、職員は、身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示
しなければならない。
(関係法令の遵守等)
第20条 何人も、森林に立ち入る際には、関係法令を遵守するとともに地域の社
会慣習を尊重し、森林環境の保全に努めなければならない。
(採取等の禁止)
第21条 森林法により定める者を除き、何人も、森林に立ち入り、みだりに動植
物等を採取したり、ごみを捨てたりしてはならない。また、森林所有者の許可な
く蜂洞等、個人の工作物を持込んではならない。
第9章 雑則
(委任)
第22条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。
附 則
この条例は、平成24年4月1日から施行する。
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