道病連だより2号 - 北海道函館五稜郭支援学校

北海道病弱虚弱教育研究連盟発行第 2 号 平成 22 年 12 月 22 日(事務局:北海道五稜郭養護学校)
「第49回道病研札幌大会を終えて」
北海道病弱虚弱教育研究連盟
理事長
石川
大
(北海道五稜郭養護学校長)
今年の記録的な猛暑や豪雨はまだ記憶に新しいところですが、地球温暖化が叫ばれてから、自
然の変化に対して日本全体が敏感になっているように感じるこの頃ですが、道病連の会員の皆様に
おかれましては、日頃より本道の病弱虚弱教育の充実にご尽力されていることに感謝申し上げま
す。
さて、会員の皆様のご協力のもと、9月9日(木)・10日(金)に行われました「平成22年度第49回
北海道病弱虚弱教育研究大会札幌大会」を無事終えることができました。特に主管校として種々ご
準備いただきました北海道札幌市立山の手養護学校 阿部校長先生を始め、教職員の皆様には大
変お世話になりました。お礼申し上げます。
本大会では、北海道大学大学院保健科学研究院教授 傳田健三 氏を講師としてお招きし、記念
講演ができたことや公開授業等の実践紹介とともに、病弱特別支援学級、院内学級、病院関係者
からの幅広い研究発表があったり、北海道大学情報基盤センターメディア教育研究部門助教 山本
裕一 氏のご協力を得て、研究発表、記念講演等の道病研大会の様子をインターネットを通じて情
報発信できたことなど、大変充実した内容の濃い研究大会となりました。そして、何より病弱教育に
携わる約130名の参加者が一堂に会しての熱心な研究協議、情報交換が行われ、大変有意義な
時間を過ごすことができました。
現在、病弱教育は医療の進歩とともに、小児病棟の廃止や小児科医の減少などの医療の実情や
時代の要請等に応じて刻々と変化しており、その実態は地域、学校毎に異なり、ますます多様化し
ているところです。平成23年度からは五稜郭養護学校も「函館五稜郭支援学校」と校名を変更し、
小中学部は病弱、高等部は知的障がいという複数の障害部門を持つ学校になります。
各学校・学級の実態は異なり、変化をしていきますが、病虚弱児の実態に応じ、一人一人の心身
の健康の維持向上、自己肯定感の高揚、対人関係の改善、学力の向上に向けて、今後も努力して
いかなければならないと感じます。そのため、各学校、学級等での実践の深化と道病連のますます
の活性化と会員の皆様のご活躍にご期待申し上げるところです。
《全病研参加レポート
1》
北海道五稜郭養護学校長
石川
大
平成22年11月11日(木)・12日(金)に行われた「第51回全国病弱虚弱教育研究連盟研究協
議会三重大会」に参加して来ました。紙面の都合上、概要のみ報告します。
主な日程は、1日目:全病連総会、研究発表Ⅰ(6分科会)、研究発表Ⅱ(5分科会)、オプションセ
ミナー(5セミナー)、2日目:パネルディスカッション(慢性疾患)、特別講演(文科省丹羽調査官)でし
た。
1日目の研究発表Ⅰでは、「心身症等Ⅰ」分科会に参加しました。発表は3本あり、①「精神疾患・
発達障害を併せ持つ児童の支援」(千葉県)、②「社会不安障害を有する生徒への支援チームの構
築とその応用」(和歌山県)、③「地域における精神疾患早期支援体制」(三重県)でした。
どの事例も児童生徒本人の課題を解決するため病弱特別支援学校が指導法等を改善・工夫した
事例が紹介されました。さらに、教育機関(前籍校)、医療機関、保健機関、福祉機関等が連携した
支援体制を構築することの必要性と取り組みの事例について報告がされました。心身症等を伴う児
童生徒への対応については病弱特別支援学校の指導だけでは限界があり、「地域支援」という観点
で体制を構築することが効果的であること等が紹介されました。
研究発表Ⅱでは、「個別の支援」分科会の司会進行をしました。①「読むこと書くことに課題を持つ
Aさんに対する支援」(五稜郭養護)、②「個を生かした支援の在り方を探る」(京都市)、③病弱支援
学校における ICF-CY の活用の試み」(大阪府)、④「学校生活におけるトータルな生徒支援~援助
シートの活用」(三重県)の発表がありました。
内容としては、一人一人の児童生徒の適切な実態把握から、アセスメントの仕方について、そし
て、前籍校との情報交換や関係機関との連携、指導の一貫性等について協議等が行われました。
オプションセミナーでは、「病弱教育における特別支援学校のセンター的機能を考える」(国総研:
滝川先生)に参加しました。病弱教育に関する情報の不足という課題を解決するために、支援冊子
の活用やテレビ会議システムを活用した授業実践等から病弱特別支援学校のセンター的機能につ
いて紹介されました。
2日目のパネルディスカッションでは「慢性疾患のある児童生徒の教育的ニーズに応じた指導と
支援の充実に向けて」と題し、全国調査の結果からの考察について報告されました。その中で、病
弱特別支援学校と前籍校、院内学級、病院等との連携など、ここでも地域というの視点から支援体
制の必要性について示されていました。
特別講演は、文科省丹羽調査官から「病気の子どもの実態に応じた教育~分析的な観点と総括
的な観点を適切に活用して」と題し、子どもの実態について分析的に情報を収集することは重要とし
ながら、一人の子どもとして何が課題であるか、必要な支援は何かという総括的な観点による子ども
の見方も重要であるとお話がありました。その他にも、専門性についても授業研究や校内研究など
日常の実践を大切にし、教育の質を高めていただきたいとのことでした。
大会当日は天候に恵まれ気温も20℃前後あり、とても快適でしたが、北海道に戻ってからの寒さ
に、今でも、伊勢志摩の温暖な気候に憧れております。
《全病研参加レポート
2》
北海道五稜郭養護学校
教諭
石川
るみ子
平成22年11月11日~12日まで、三重県で行われた第51回全国病弱虚弱教育研究連盟研究
協議会に参加してきました。今回の大会では、270人にも及ぶ多くの先生方や関係者が集まり、日
頃の研究発表や活発な意見交換がなされる中、充実した研修をすることができました。
分科会は、「自立活動」と「個別の支援」の2つに参加しました。
「自立活動」の分科会では、病弱教育としての自立活動のねらいは何なのか、内容、手立て、評
価などのついても明確にする必要があることを改めて考えさせられました。
また、「個別の支援」の分科会では、不登校傾向の児童生徒についての、支援の方法や関係機関
との連携について、本校でも参考にしたい例がいくつもありました。
オープンセミナーでは、子どもが健康に育つために医療と教育がどのように連携したら良いか、ま
た、子どもの発達論などにも触れて講演を聞くことができました。
今回の大会に参加し、「児童生徒個々のニーズに応じた、生きる力を育む病弱教育の在り方」~
効果的支援の充実に向けたより良い連携・協働を求めて~という大会テーマにあるように、関係機
関とのより良い連携について考え、学ぶことができたのが一番の収穫でした。
伊勢志摩ロイヤルホテル
夫婦岩(伊勢市二見町江)
<平成22年度第49回北海道病弱虚弱教育研究大会が終了しました>
大会主題
「一人一人の病状や学力に応じた教育内容の充実と、心豊かにたくましく生きる力
を育む指導法の研究」
期
日
平成22年
9月
9日(木) ~ 10日(金)
会
場
北海道札幌市立山の手養護学校
講
演
「子どものうつ病と発達障害」
北海道大学大学院
保健科学研究院
傳田 健三
氏
分科会協議の様子
分 科 会
第1分科会(準ずる教育・重複障害教育)
テーマ「確かな学力や生きる力を身につけるための指導のあり方」
第2分科会(心身症等)
テーマ「特別な配慮を必要とする児童生徒一人一人に応じた指導のあり方」
第3分科会(関係機関との連携・支援)
テーマ「児童生徒一人一人のニーズに応じた支援・連携のあり方」
道病研(札幌大会)は、レポート発表や分科会協議、授業見学・病院見学、記念講演、心
身症研究発表、全病研報告、そして交流会と2日間に日程で行われました。 記念講演「子
どものうつ病と発達障害」は、子どものうつ病を理解していくうえで大変参考になる内容でし
た。また、それぞれのレポート発表や協議の内容も、様々な視点から行われた研究内容で
ありました。また、今回の研究会は北海道大学の協力を得て、テレビ会議システムを使用
し、遠方の会員や会場でもリアルタイムで視聴できる画期的な大会となりました。会場となっ
た札幌市立山の手養護学校のみなさんありがとうございました。そして、ご苦労さまでした。
★★★★★
詳しくは、道病研HPをご覧下さい! ★★★★★
http://www.goryoukakuyougo.hokkaido-c.ed.jp/doubyouren/index.html
※五稜郭養護学校のホームページからリンクできます。
☆平成23年度第50回道病研(函館大会)の日程及び会場校
平成23年9月中の予定
北海道函館五稜郭支援学校
☆平成23年度第52回全病研(和歌山大会)の日程及び会場
平成23年11月9日(水) <前日>、10日(木)・11日(金)<当日>
コガノイベイホテル