Expanding world, nEw possibilitiEs - Fujitsu

Expanding world,
New Possibilities
富士通株式会社 アニュアルレポート 2011
このたびの東日本大震災により
被災された皆様には心よりお見
舞い申し上げます 。皆様の安全
と一日も早い復興をお祈り申し
富士通グループとしてのお客様への約束
上げます 。
ーブランドプロミスー
には、゛
社会とお客様とともに、豊かな未来を
今回の震災において富士通グループは、社会イ
創造する゛
という想いが込められています。
ンフラの復旧支援に全力を挙げることを決意し 、
この形は
『お客様との対話』をコンセプトに、シンボルマーク
( FUJitsUロゴ)
の「 F 」からデザインしたブランドグラフィックです。
被災した自社工場の復旧と並行して、お客様の ICT
しおり等としてお使いください。
システムの復旧、
「クラウド特別ご支援プログラ
ム」の無償提供や避難所へのパソコンの提供、義援
富士通株式会社
ANNUAL REPORT 2011
金の拠出など、被災地のビジネスや生活の早期復
旧に向けてグループを挙げて取り組んでまいりま
した。ブランドプロミス
「 shaping tomorrow with
「社会とお客様ととも
you 」に込めた想いである、
に、豊かな未来を創造する」ためにも、震災からの
一日も早い復興そして新しい日本の創造をICTで支
援するため、これからもグループ一丸となり全力
で取り組んでまいります。
tHE world oF
nEw possibilitiEs
002 ページへ
クラウドビジネス
の現場から
028 ページへ
コンテンツ
MANAGEMENT
002 THE WORLD OF NEW POSSIBILITIES
̶HUMAN CENTRIC INTELLIGENT SOCIETY̶
010 連結財務ハイライト
012 経営者からのメッセージ
代表取締役会長 間塚 道義
代表取締役社長 山本 正已
014
022
社長インタビュー
代表取締役社長 山本 正已
CFO からのメッセージ
取締役執行役員専務/ CFO 加藤 和彦
FOCUs
024 特集 2012 年 3 月期経営方針
027 東日本大震災に対する富士通グループの対応について
028 クラウドビジネスの現場から ̶ 社員紹介̶
PERFORMANCE
030 事業概要
032 事業別レビューと今後の見通し
048 2011 年 3 月期の主な発表と IR 活動
050 地域別レビューとお客様事例
management
富士通の約束「 shaping tomorrow with you 」
ブランドプロミスとは、お客様へどのような価値を提供し、お客様へ何を約束す
るかを表現するものです。
富士通グループの新しいブランドプロミス
「 shaping tomorrow with you 」は、
「お客様とともに成長する」
「 長期的なパートナーシップを大切にする」
「 iCT の力
focus
で社会の未来を切り拓く」というグループ全体の声、強い想いから誕生しました。
富士通グループでは現在、100 ヵ国以上 535 社でビジネスを展開し、約 17 万人
の社員が働いています。ブランドプロミスによっ て、全世界のグループ社員一人
ひとりが実際の行動として、あらゆる事業領域に「 shaping tomorrow with you 」
を具現化していくことで、より一層、魅力ある会社を目指します。
今後も富士通グループは、真のグローバル企業として変革していくため、全世
界における「 fuJiTsu 」
ブランドの強化に取り組んでまいります。
PERFORMANCE
クラウドビジネス
の現場から
028 ページへ
The World of
NeW PossibiliTies
002 ページへ
058
研究開発
061 次世代スーパーコンピュータ出荷ストーリー
062
知的財産
コーポレート・ガバナンス向上の取り組み
コーポレート・ガバナンス
事業等のリスク
facts & fIguRes
091 財務セクション
138 財務報告に係る内部統制報告書
140
141
FACTs & FIGURES
ResPonsIBILItY
064 富士通グループの理念・指針
FUJITSU Way
066 環境活動・社会貢献活動への取り組み
070 役員紹介
072
074
087
RESPONSIBILIT Y
The World of
NeW PossibiliTies
002 ページへ
重要な連結子会社・関連会社
株主メモ
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
001
「ヒューマンセントリック・イン
テリジェントソサエティ」
で活躍
する富士通の先端テクノロジーや
ソリューション、それらに携わる
社員の声を紹介します。
マネージャー 尾林 俊文
インテリジェントテクノロジー本部
サービス開発統括部
002
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
management
世界一使いやすいスマートフォンの開発を目指して
スマートフォンの商品企画に携わっています。
「らくらくホン」など、当社がこれま
で提供してきた携帯電話で培われた技術をスマートフォンにも活かし、他社との差異
化を図っ ています。スマートフォンは生活に密着した最も人に近いアイテムなので、
「ヒューマンセントリック」に使いやすくするという考え方を重視し、使いやすさの基
本性能の向上に加え、環境や個人の特性・行動に合わせた使い勝手を追求しています。
具体的には、見る・撮るといった操作を美しく滑らかに行うための視認性、ストレスな
く自然に使用できる操作性、いつでもどこでも誰でも聞きやすくあること 、という 3
点に注力しています。例えば騒音下や移動時の通話において自動的に音量や音質を調
節するというような聞きやすさへの配慮や 、防水性と外観・デザインの両立は当社な
らではの強みです。非常に早い市場の変化にタイムリー に対応すると同
時に、その変化を作り出すことができるのが、この仕事の面白さだと感じ
ています。機能だけでなく外観・デザインの面からも 、世界一「使いやす
い」
スマートフォンの開発を目指します。
部長 林田 健
使いやすさにも機能にもこだわった防水コンパクト
スマートフォン
「ドコモ スマートフォン F12C 」
モバイルフォン事業本部
マーケティング統括部
第一プロダクトマーケティング部
クラウドビジネスとの相乗効果も期待
できる次世代スーパーコンピュータ *
(スパコン)
ICT の活用される分野が広がり、従来なかっ た
クラウド基盤を活用して新規ビジネス
を作り出す!データセンター
新しい分野でのICTの活用を進めるためには、ク
ラウド・コンピューティング * の技術が鍵となり
サービスが飛躍的に増えるにつれ、大規模で高度
ます。リアルワールドで蓄積される膨大・多様な
な計算を高速に処理できるスパコンの活躍の場は
データを、富士通のデータセンターに整備された
どんどん増えるでしょ う。スパコンで開発した
クラウド基盤に吸い上げ、可視化・分析などを行っ
CPU(中央演算処理装置)の技術を転用することで
た結果をまたリアル
サーバやストレージなど他の製品の競争力の強化
ワールドで活かすこ
や、大容量データの処理が必要となるクラウドビ
とで、ICT を活用した
ジネスとの相乗効果も期待できます。
新しいビジネスを作
* スーパ ーコンピ ュー タについては 、061 ペ ージに「次
り出します。
富士通館林システムセンター
新棟マシンルーム
世代スーパーコンピュータ出荷ストーリー 」を掲載して
います。
* クラウドビジネスに携わる社員の紹介を 028–029 ペー
ジで行っています。
世の中の多様なデータから「本当の価値」のある情報を提供し、
人が「うれしい」と感じる一歩進んだ社会の実現を目指して
私が考える「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」とは、人の行動と情報、サービスが絡み合い、人の行動に合わ
せて必要なサービスや情報を提供してくれる社会です。それが人の「うれしい」という感情につながり、さらに進むと、人々にとって
それが当たり前の社会になります。
その第一歩として、
「位置情報」に焦点をあて、新たなサービス
「 SPATIOWL(スペーシオウル)」を開発しました。これは、車両を運行
させることで収集される位置情報や様々 なセンサー から収集される大容量の位置情報を活用し 、多様なデータをリアルタイムに分
析したり 、外部情報と連携させる機能群を当社のクラウド・コンピューティングで提供するものです。これにより 、例えば 、法人企
業・団体などのお客様は、リアルタイムな渋滞情報の提供や都市計画の立案、新たな地域住民サービスの提供など、位置情報を活用し
た独自のサービスを開発し、新たな価値を創出することが可能になります。
これまでにないサービスを提供するために、新しいビジネスモデル、技術を常に模索しています。決まった道はなく、開発者とし
て非常に難しいミッションですが、人に「うれしい」と感じてもらえる一歩進んだ社会の実現に向け 、全力で取り組んでいきたいと
思います。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
003
次世代通信規格 Lte に対応した携帯基地局
富士通は、国際標準として各国で導入が期待される次世代通信規格
LTE( Long Term Evolution )対応の、高性能で低消費電力なLTE 対応携帯
基地局を提供しています。スマートフォンの台頭で今後ますます増え
ることの予想される携帯通信端末を使った大容量データ通信も、LTEで
はスピーディーに行うことができるようになり、今後、そういった特
性を活かした多彩なサービスの提供が期待されます。
LTE 無線基地局装置
長年積み重ねてきた経験やノウハウを活かす
農業クラウド
気象や土壌の状態をセンサー で管理、監視し、肥料や農薬
を投入するタイミングなどの最適化を行うことで、生産性を
大幅に向上できます。農業分野は長年積み重ねてきた経験や
ノウハウをもとに運用されているところがありましたが、
ICT を用いることで、どんどん若い世代も農業に参画して、そ
の知識を広く有効活用することが可能になります。
賢いだけじゃない!エコ効果も期待できるスマートメーター
スマートメーターとは、通信機能が備わった検針メーターのことで、従来のように電気使
用量の検針作業を人を介さずに遠隔で行うことや、さらには、家庭内の電化機器の使用電力や
使用時間帯のパターンを電力会社に送信し、最も電力が必要な時間帯に発電するなど、効率的
な発電、配電を可能にするものです。電力会社からスマートメーター を介して各家庭に電力
消費量や電気代などをリアルタイムに知らせることで、消費者側の電力消費の抑制など、エコ
な効果も期待できます。
004
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
management
膨大な情報から付加価値のある新しい情報を探し出す
1989 年から現在まで、膨大な文字や数値情報を分析してそこから有益な情報を見つけ出すデー
タマイニング技術の研究に携わってきました。2010 年からは、
「ヒューマンセントリック・イン
テリジェントソサエティ 」の実現に向け 、個人の生活、企業の活動、社会の状況をソーシャルメ
ディアやセンサーなどを用いて横断的に収集・集約・分析し、個人や個別企業では解決できない
複合的な社会問題を大局的な視点で解決する研究を進めています。例えば、生産者の作り過ぎや
消費者の買い過ぎ等による食品ロスの問題に対しては、消費者の購買行動を細かく分析し、食品
をより必要とされている場所・時間に分配することによりロスを減らすことが可能となるで
しょ う。膨大なデータを対象に分析を行っ ても 、当初から想定できた結果しか出てこないこと
も珍しくありません。その先に、付加価値のある新しい情報を導き出すことが難しさでもあり、
プレッシャーを感じる部分ではありますが、お客様に私たちの考えに賛同いただき、
「やはり富
士通の技術はすごい」といっていただくことがモチベーションにつながっています。
部長
渡部 勇
富士通研究所
ソフトウェアシステム研究所
ソーシャルソリューション研究部
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
005
これからの高齢化社会には医療クラウド
日々の体重や血圧などのデータをセンサーを用いて収集し、富
士通のクラウド基盤に蓄積していっ たそのデータをマイニング
技術を用いて分析すれば、発症の予兆を高精度に捉え、病気の発
症を未然に防ぐことも可能になります。医療機関や自治体など
と幅広く連携することで、これからの高齢化社会に対応する効果
的なヘルスケアソリューションを提供したいと考えています。
センサーを用いて Ict をより使いやすい形で提供
長年データマイニング技術の研究に携わっ ていましたが、現在はその発展
として、これまで活用されていなかった新しいデータを収集するためのセン
サー の開発と、そのデータを用いたソリューションの提案を行っ ています。
例えば、ヘルスケアの分野においては、人々の日常的な行動パターンや、体重・
心拍・体温などを含む 、様々 な生体データを収集するためのワイヤレスセン
サーを開発し、分析することで、健康状態の改善や医療に役立つ情報をタイム
リー に提示することを目指しています。また農業では、センシングされた営
農者の行動から農作業コストの導出や、環境情報と農作物の生育との関係性の
抽出を行っ ています。センサー は重要な要素技術ですが 、私たちの研究の最
終的な目的は人々 に ICT を用いたサービスをより使いやすい形で提供するこ
とです。研究成果はヒューマンセントリックな社会の様々 な分野で応用が期
待されますが 、
「こんなことが ICT でできたらいい」というビジョンを実現す
るためのデータの収集方法も含めて突き詰めて考えなければならないこと
が難しさであり、面白さだと感じています。
部長 柳沼 義典
富士通研究所
ヒューマンセントリックコンピューティング研究所
ヒューマンソリューション研究部
006
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
management
大容量データのやり取りを高速に実現!
光伝送装置
富士通は、光通信が行われる際、電気信号と光信号を変換した
り、信号の中継や方向転換などを行う光伝送装置を北米や日本の通
信市場に提供しています。通信速度が速く、大容量の情報を伝達で
き、さらに一度に情報を伝達できる距離が長い光通信は、動画をは
じめとする大容量データが個人間でも頻繁にやり取りされる昨今、
ますます不可欠な情報通信手段になっています。
光伝送装置「 FLASHWAVE 9500」
薄くて軽い!タッチパネルで操作できる
スレート型 Pc
持ち運びが簡単な軽くて薄いスレート型 PC は、タッチパネル画
面に触れるだけでアプリーケーション操作や文字入力などの直感
的な操作が可能です。今後さらに加速する通信環境や、クラウド・
コンピューティング時代に
対応するユビキタス端末とし
て、ビジネスでも家庭でも使
用が広がっています。
STYLISTIC Q550 シリーズ
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
007
The World
of New Possibilities
—Human Centric Intelligent Society—
008
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
management
富士通は「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ 」の実現を
お客様とともに目指します。
iCT がこれまで使われていなかった分野にまで広
がり、企業だけでなく個人が iCT を使いこなすこと
で生活がより豊かで安全・快適になる社会「ヒュー
マンセントリック・インテリジェントソサエティ 」
の実現を、富士通はお客様とともに目指します。ク
ラウド・コンピューティングをはじめとする
最先端の iCT を用いて、これまで十分に活用
されてこなかった人の知恵や行動、環境
変化から生み出される価値を活かす
ことにより、社会やビジネスの変
革をサポートしていきます。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
009
連結財務ハイライト
富士通株式会社および連結子会社
3 月 31 日に終了した会計年度
Point 1
2007 年
2008 年
2009 年
2010 年
売上高 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥5,100,163
¥5,330,865
¥4,692,991
¥4,679,519
海外売上高 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1,825,255
1,923,621
1,499,886
1,748,304
海外売上高比率( % ). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
35.8
36.1
32.0
37.4
営業利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
182,088
204,989
68,772
94,373
売上高営業利益率( % ). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
3.6
3.8
1.5
2.0
当期純利益(損失). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
102,415
48,107
営業活動によるキャッシュ・フロー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥ 408,765
¥ 322,072
投資活動によるキャッシュ・フロー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
Point 2
(112,388)
¥ 248,098
93,085
¥ 295,389
(151,083)
(283,926)
(224,611)
1,020
フリー・キャッシュ・フロー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
257,682
38,146
23,487
296,409
財務活動によるキャッシュ・フロー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
(234,953)
62,325
(47,894)
(405,310)
たな卸資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥ 412,387
¥ 383,106
¥ 306,456
¥ 322,301
たな卸資産の月当たり回転数(回). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
0.93
1.03
0.98
1.04
総資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
3,943,724
3,821,963
3,221,982
3,228,051
自己資本(純資産合計−新株予約権−少数株主持分)
........
969,522
948,204
748,941
798,662
( % ). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
ROE(自己資本利益率)
10.9
5.0
(13.2)
12.0
自己資本比率( % ). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
24.6
24.8
23.2
24.7
(%)
ROA(総資産利益率)
............................
2.6
1.2
有利子負債 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
745,817
887,336
883,480
577,443
(倍). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
D / Eレシオ
0.77
0.94
1.18
0.72
(3.2)
2.9
ネットD / Eレシオ
(倍). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
0.31
0.36
0.47
0.20
研究開発費 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
254,095
258,717
249,902
224,951
設備投資額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
305,285
249,063
167,690
126,481
減価償却費 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
202,825
200,509
223,975
164,844
期末従業員数(人). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
160,977
167,374
165,612
172,438
:
1 株当たり情報(円/米ドル)
Point 3
当期純利益(損失). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
49.54
¥
23.34
¥
(54.35)
¥
45.21
配当金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
6.00
8.00
8.00
8.00
自己資本 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
469.02
458.31
362.30
386.79
(注)米ドル金額は、便宜上、2011 年 3 月 31 日現在の東京外国為替市場での円相場 1 ドル= 83 円で換算しております。
Point 1
Point 2
2011 年3 月期の営業利益は1,325 億円
有利子負債の返済を進めたことによ
中間配当・期末配当ともに 1 株当たり
と、前期比382 億円の増益になりました。
り、D / Eレシオは0.57 倍と、前期末から
5 円とし、年初計画どおり、年間配当を 1
国内の ICT 需要回復の遅れはあっ たもの
0.15 ポイント改善、ネット D / E レシオ
株当たり 10 円としました。年間 10 円の
の 、構造改革効果やデバイスソリュー
は0.14 倍と、前期末から0.06 ポイント改
配当は 2001 年 3 月期以来となります。
ションを中心とした増収効果および全社
善し、ともに 、これまでで最も小さい比
的なコストダウンの推進により増益を達
率となりました。
成しました。
010
Point 3
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
連結財務ハイライト
(%)
(千米ドル)
2011 年
2011 / 2010
2011 年
¥4,528,405
–3.2
$54,559,096
1,587,363
–9.2
19,124,855
¥ 255,534
(142,108)
113,426
(166,933)
¥ 341,438
(%)
5,330.8
36.1
–40.8
–13.5
663,759
$ 3,078,723
̶
(1,712,145)
–61.7
(2,011,241)
$ 4,113,711
3,024,097
–6.3
36,434,904
821,244
2.8
9,894,506
32.0
37.4
40
200
(%)
9
204.9
182.0
35.1
6
132.5
3.8
20
100
3.6
68.7
1.5
0
2007 2008 2009 2010 2011
0
0
(3 月 31 日に終了した会計年度)
2.9
94.3
3
2.0
2007 2008 2009 2010 2011
0
(3 月 31 日に終了した会計年度)
n n売上高(左目盛り)
海外売上高比率(右目盛り)
n n営業利益(左目盛り)
売上高営業利益率(右目盛り)
総資産、たな卸資産の
月当たり回転数
自己資本、自己資本比率
(十億円)
(回)
5,000
4,000
2.0
3,943.7 3,821.9
3,221.9 3,228.0 3,024.0
3,000
6.8
2,000
27.2
1,000
1.03
0.98
1.04
1.02
0
–18.5
5,672,566
236,210
5.0
2,845,904
130,218
3.0
1,568,892
141,698
–14.0
1,707,205
0.57
0.14
2007 2008 2009 2010 2011
748.9 798.6
0.8
10.00
25.0
0.120
2.6
4.781
詳細は 092 ページへ
東日本大震災による影響額
(十億円)
期間中の固定費およびたな卸資産の廃棄損等 116 億
円をその他の収益(費用)
に損失計上しました。
0
(倍)
2.0
0
27.2
20
2007 2008 2009 2010 2011
745.8
0
(十億円)
300
883.4
254.0 258.7 249.9
224.9
236.2
1.5
1.18
200
470.8
1.0
300
0.57
0.5
0
2007 2008 2009 2010 2011
0
0.94
0.72
100
0
(3 月 31 日現在)
2007 2008 2009 2010 2011
(3 月 31 日に終了した会計年度)
n n有利子負債(左目盛り)
(右目盛り)
D / E レシオ
設備投資額
1 株当たり配当金
(十億円)
(円)
工場操業の一時休止や出荷、納入遅れによる減収影
被災した資産の復旧費用、被災した工場等の操業休止
24.7
(3 月 31 日現在)
400
響などにより、営業利益が約130 億円減少したほか、
23.2
研究開発費
0.77
396.81
24.8
有利子負債、d / e レシオ
600
0.321
24.6
n n自己資本(左目盛り)
自己資本比率(右目盛り)
577.4
$
40
(3 月 31 日現在)
900
–41.1
821.2
800
n n総資産(左目盛り)
たな卸資産の月当たり回転数(右目盛り)
887.3
26.62
60
969.5 948.2
0.4
1,200
172,336
(%)
1,200
1.6
1.2
0.93
(十億円)
400
1.8
¥
300
1,366,578
̶
5.9
(十億円)
60
4,692.9 4,679.5 4,528.4
2,000
1.02
470,823
5,100.1
1,597,518
2.9
55,092
6,000
35.8
40.5
営業利益、売上高営業利益率
(十億円)
4,000
35.1
132,594
売上高、
海外売上高比率
management
(百万円)
12
10.00
305.2
300
200
8.00
8.00
6.00
167.6
126.4
130.2
100
0
8.00
9
249.0
6
3
2007 2008 2009 2010 2011
(3 月 31 日に終了した会計年度)
0
2007 2008 2009 2010 2011
(3 月 31 日に終了した会計年度)
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
011
経営者からのメッセージ
東日本大震災により被災されました皆様には 、謹んでお見舞いを申し上げますととも
に、被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
ネットワーク化の進展やクラウド・コンピューティングの普及によって、様々 な分野で新
しい ICT の活用が広がっています。富士通は、ICT の高度な利活用を通じて、社会の抱える
様々な問題を解決し、より豊かで安心できる社会「ヒューマンセントリック・インテリジェント
ソサエティ」の実現を目指してまいります。今回の大震災を受けて、より長期的な観点から、
ICTにより社会インフラを支える企業として、グループの持てる能力を最大限に発揮し貢献
してまいりたいと存じます。
012
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
経営者からのメッセージ
management
また 、当社は 、2011 年 6 月に発表しました経営方針において 、
「テクノロジー をベース
とした、グローバルにインテグレートされたサービス企業」を目指して、
「攻めの構造改革」
「真のグローバル化の加速」
「新しいサービスビジネスの創造」の 3 つの成長テーマを定め
ました。上記の 3 つのテーマに沿った事業展開を行い、成長とともに健全な利益をあげる
ことを目標としてまいります。そして企業価値を持続的に向上させることで 、株主・投資
家の皆様のご期待に応えていきたいと考えております。皆様のご理解とご支援をお願い
いたします。
代表取締役会長
間塚 道義
代表取締役社長
山本 正已
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
013
社長インタビュー
W E HAV E A
VISION
2011 年 3 月期は 、震災の影響等もあり、厳しい事業
環境となりましたが、次期以降の成長に向け 、ビジネ
スの基盤を固めた年でした。
ネットワーク社会の高度化により、市場の複雑性と
変化のスピードは加速していますが、そうした環境の
もとで、2012 年 3 月期は、成長に向けた新しいビジネ
スの萌芽を明確にする年と位置づけています。
富士通グループは、持続的な成長に向けて 、今後も
抜本的な変革を徹底していきます。グローバルな統合
を進め、
「テクノロジーをベースとした、グローバルに
インテグレートされたサービス企業」として 、お客様
へ最大の価値を提供し続けます。
代表取締役社長
014
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
社長インタビュー
management
社長就任 1 年目の振り返り
震災の被害状況と対応
この 1 年は、次期以降の持続的成長に向け、
「ビジネス
東北地方の工場やサプライチェーンの一部で被害を受
の基盤を固めた年」となりました。震災の発生もあり、厳
けましたが、グループを挙げた懸命な復旧作業により早
しい事業環境となりましたが、構造改革や新たな事業へ
期に通常操業を再開することができました。被災地の復
の投資については、手を緩めることなく進めました。
興に向けては、ICT サービスの提供など、富士通らしい支
援を行っています。
QUESTION. 1
QUESTION. 2
016 ページへ
016 ページへ
今後の課題と対策
今後の Ict の方向性
「攻めの構造改革」
「 真のグローバル化の加速」
「 新しい
富士通は、ICTの高度な利活用により実現する豊かな社
サービスビジネスの創造」の 3 つの成長テーマを追求し
会「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエ
ます。また、海外の不採算プロジェクトの対策としては、
ティ」をビジョンとして掲げています。大容量化・複雑
5 月に新設した「アシュアランスグループ」を通じ、プロ
化するリアルワールドのデータを可視化・分析・予測・
ジェクト管理を強化します。
最適化などのプロセスを通じて実践知に変え、ビジネス
へフィ ード バック するサービ ス を、今 後、
「コ ン バー
ジェンス・サービス」
として提供していきます。
QUESTION. 3
017 ページへ
QUESTION. 4
018 ページへ
QUESTION. 5
018 ページへ
QUESTION. 6
019 ページへ
QUESTION. 7
020 ページへ
利益還元・配当政策
株主・投資家の皆様へのメッセージ
利益配分の基本方針として、安定的な配当に加え 、今
富士通は、人材とテクノロジーを大切にしながら成長
後の積極的な事業展開に備えるための内部留保の充実を
投資を継続し 、
「営業利益率 5% 、海外売上高比率 40% 、
掲げています。当期の年間配当は、着実な財務体質の改
フリー・キャッシュ・フロー 1,500 億円超/年」を、早期
善に鑑み、期初の計画どおり1 株当たり10 円とさせてい
に達成すべき業績ターゲットとして目指していきます。
ただきました。
QUESTION. 8
QUESTION. 9
021 ページへ
021 ページへ
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
015
社長インタビュー
社長就任 1 年目の振り返り
QUESTION. 1
2010 年4 月に社長に就任されて1 年が過ぎました。山本社長にとって、そして富士通にとって、2011
年 3 月期(当期)
はどのような年でしたか?
ANSWER. 1
この 1 年は、次期以降の持続的成長に向け、
「ビジネスの基盤を固めた年」となりました。震災の発生
もあり、厳しい事業環境となりましたが、構造改革や新たな事業への投資については、手を緩めるこ
となく進めました。
当期において、私が自分自身に課した最も大きな課題は、ビジネスの基盤を強化することでした。この 1
年はまさに、次期以降の持続的成長のための「基盤固め」に邁進した年といえます。
当期の市場環境については、予想以上に景気回復のペースが遅かったという印象を持っています。社長
に就任した 2010 年 4 月時点では、世界金融危機以前の水準まで景気が回復すると見ていましたが、ICT に対
する企業の投資マインドは 、総じて当初の予想を下回りました。さらに 、2011 年 3 月に発生した東日本大
震災の影響を受けて 、景気回復への期待感が損なわれる形となりました。しかし 、こうした厳しい環境の
中でも、構造改革や新たな事業への投資については、手を緩めることなく進めることができたと考えてい
ます。
まず、グループ事業構造の強化に向けた取り組みとして、2010 年 10 月に、
(株)東芝との携帯電話事業の
統合会社を発足させ、
「富士通東芝モバイルコミュニケーションズ
(株)」として事業をスタートしました。
また、ネットワーク製品の製造部門を再編するとともに、中堅民需市場向けの中核会社を立ち上げました。
さらに、
「ビジネス成長基盤への投資」として、将来を見据えた商品や新技術への投資を積極的に行いまし
た。具体的には、パブリック型クラウドサービスのグローバル展開を推進し、日本に加え、オーストラリア、
シンガポール、米国、英国、ドイツの世界6 拠点でデータセンターの整備を進めました。また、独立行政法人
* 次 世 代 スーパーコ ン
ピュータは、TOP500 リス
トにおいて世界 No.1 を獲
得しました 。詳細は、061
ページ
「次 世 代 ス ー パ ー
コンピ ュー タ出荷スト ー
リー 」をご参照ください 。
理化学研究所向けの次世代スーパーコンピュータ * の出荷を開始しました。
「新規ビジネス領域への提案」という点でも成果をあげました。例えば、米国ボーイング社との RFID を用
いた航空機の整備業務効率化サ ー ビスの共同開発 、米国キ ッ ト・カ ー ソン社と の遠隔検針システム
の共同実験な ど 、様々 な新規サービス
を積極的に展開しました。
以上のように、構造改革や将来の成長
を支える新たなビジネスへの投資を、ス
業績ハイライト
(3 月 31 日に終了した会計年度)
売上高
ピード感を持っ て進めることができた
営業利益
ことには満足しています。しかし市場環
当期純利益(損失)
境の悪化を受けて、予想したとおりの業
有利子負債
績に達せず、結果として皆様のご期待に
ネットD / Eレシオ
(倍)
(十億円)
2010
2011
4,692.9 4,679.5
4,528.4
2009
68.7
94.3
132.5
(112.3)
93.0
55.0
883.4
577.4
470.8
0.47
0.20
0.14
添えなかったことは遺憾に思います。
震災の被害状況と対応
QUESTION. 2
2011 年 3 月に発生した東日本大震災による被害状況や業績へのインパクト、復旧に向けた取り組み
について教えてください。
ANSWER. 2
東北地方の工場やサプライチェーンの一部で被害を受けましたが 、グループを挙げた懸命な復旧作
*1 iCT
提供など、富士通らしい支援を行っています。
による情報・知識の共有など
センターでも大きな被害はなく、お預かりしているお客様のデータや資産も全て無事でした。また停電時
の「情報」にネットワーク通信
「コミュニケーション性」を付
与した表現。
016
業により早期に通常操業を再開することができました。被災地の復興に向けては、iCT*1 サービスの
Information and Communication
Technology の略。
IT( Information Technology )
FUJITSU LIMITED
当社のデータセンターは徹底した地震対策を施していたため、震源地に近かった群馬県の館林システム
も自家発電装置でサービスを提供し続けることができました。しかし当社グループ全体では、震災によっ
て直接的な被害を受けた生産拠点が 7 ヵ所あり、また部品不足の影響も少なからず受けました。ものづくり
ANNUAL REPORT 2011
社長インタビュー
management
の会社として供給責任を果たすことが当社の社会的使命であると認識し 、総力を挙げて復旧に取り組みま
した。この結果、生産能力については、直接的な被害を受けた全ての拠点で、2011 年 4 月 20 日までに 100%
復旧させることができました。なお、震災による影響として、当期に営業利益が約 130 億円減少したほか、
被災した工場の復旧関係費用などで 116 億円を特別損失に計上しました。
サプライチェーンに関しては、1 次サプライヤー はマルチソース化をかなり進めていたことで影響も軽
微で済みましたが 、2 次、3 次サプライヤー への対応は十分とはいえず 、課題が残りました。特に中核とな
る部材は、今後、事業継続とコストのバランスを見ながら、在庫の適正量や調達の方法などについて、グロー
バルに見直しをかけたいと思っています。
生産体制については 、すでにパソコンやサーバ、携帯電話などの主力製品については 、国内外で相互に
バックアップできる体制をとっています。今回もこうした製品については 1 週間程度で代替ラインの立ち
東日本大震災による富士通
上げを行うことができました。このように早期に立ち上がっ たのは、以前から事業継続計画を策定し 、不
グループの対応について
測の事態に備えていたためと考えています。
は、027 ページをご参照く
ださい。
また被災地の復興に関して、富士通がなすべきことにつきましては、被災者の方々 が安心して生活でき
る環境の確保に向けて、富士通らしい方法で支援していくことだと考えています。携帯電話などの通信イ
ンフラを見ればわかるとおり、ICT はすでに重要な社会インフラの一つになっています。震災後、通信事業
*2 クラウド
クラウド・コンピューティング。
ユーザーが何らかの作業を行う
ときに、自分の目の前にあるパ
ソコンや会社のネットワーク上
にあるサーバ ではなく、イ ン
ターネット上にあるサーバに処
理をしてもらうシステム形態。
(英文表記:cloud computing )
者との二人三脚で、地震や津波によって分断された通信ネットワークの復旧に全力を尽くし、早期の復旧に
貢献しました。また今回の震災において、被災地で大きな混乱を招いていたことの一つに「情報管理」があ
ります。特にご家族などの安否確認や、支援物資供給のためのサプライチェーンに関わるものが大きく混
乱していました。こうした状況を踏まえ、富士通では、被災地復興を支援するため、避難所に多くのパソコ
ンや、ボランティアやNPO の方々に情報管理のためのクラウド*2 環境を提供しました。さらに現地に赴き、
緊急の情報管理に適した「 CRMate(シーアールメイト)」というアプリケーションを実際に使用していただ
き、被災地の皆様に非常に喜んでいただけました。
今後の課題と対策
QUESTION. 3
当期の業績を踏まえ、2012 年 3 月期(今期)
に取り組まなければならない課題と施策について教えて
ください。
ANSWER. 3
成長に向けた、新しいビジネスの萌芽を明確にする年にしていきます。具体的には 、
「攻めの構造改
革」
「 真のグローバル化の加速」
「 新しいサービスビジネスの創造」の 3 つの成長テーマを追求します。
ネットワーク社会の高度化により、市場の複雑性と変化のスピードは加速しています。そうした経営環
当期業績に関する詳しい解
説 は、022–023 ページ を
ご参照ください。
境の中で、成長に向けた新しいビジネスの萌芽を明確にする年にしていきます。
具体的には、
「 3 つの成長テーマ」に則り、全社を挙げて具体的な実行を進めます。
1 つ目は、
「攻めの構造改革」です。クラウド市場攻略のスピードアップ、ソリューションビジネス基盤の
確立に取り組むほか、事業構造強化を通じ、震災からの復興に貢献します。
2 つ目は、
「真のグローバル化の加速」です。ビジネスボリュームの着実な拡大とコスト改革を具体化する
とともに、不採算プロジェクトへの対応も強化します。
3 つ目は、
「新しいサービスビジネスの創造」です。今期も継続して、お客様とともに先進的なサービスの
開発を加速します。
厳しい経営環境の中でも先行投資の手を緩めず 、プラスを伸ばす「攻めの戦略」が経営の基本と考えて
おり 、それにより 、金融危機からの回復を確実なものとし 、持続的成長のための基盤をグロー バルに強
化します 。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
017
社長インタビュー
今後の課題と対策
QUESTION. 4
中期的に目指す方向性について教えてください。
ANSWER. 4
「テクノロジーをベースとした、グローバルにインテグレートされたサービス企業」を目指して、3 つ
の成長テーマである「攻めの構造改革」
「 真のグローバル化の加速」
「 新しいサービスビジネスの創造」
経営戦略に関する詳しい
解 説 は 、024–026ページ
「特集 2012 年3 月期経営
方針」
をご参照ください。
の実行フェーズを、さらに進化させます。
中期的には、
「テクノロジーをベースとした、グローバルにインテグレートされたサービス企業」を目指
す道筋の中で、3 つの成長テーマ
「攻めの構造改革」
「 真のグローバル化の加速」
「 新しいサービスビジネスの
創造」の実行フェーズを、さらに進化させます。
「攻めの構造改革」では、国内で圧倒的に強いポジションの確立に向け、グループの総力をサービスに結
集していきます。中期的なビジネスのボリューム拡大のために、人材やリソースのシフトも含めて営業戦
力を強化し、成長領域へ注力していきます。
「真のグローバル化の加速」では、地域に横串を通す共通機能によって、国内外の統合と、ビジネスの一体
化を進めます。
営業利益率 5% 超 早期達成へのチャレンジ
「新しいサービスビジネスの創造」では、当
社のビジョンである「ヒューマンセントリッ
ク・インテリジェントソサエティ 」の実現に
売上高構成イメージ
早期達成を目指す業績水準
(単位:十億円)
4,528.4
2 ケタ
35% 成長
既存の延長線を超え、成長軌道を
確かにするためのミニマムライン
海外 売上高構成
ビジネス 40% 超
営業利益率:5% 超
海外売上高比率:40% 超
(国内クラウド)
プラス
成長
国内
ビジネス
fCf:1,500 億円超/年
経営環境変化を踏まえ、水準は適宜見直し
(既存領域)
2011
(3 月 31 日に終了した会計年度)
人材・テクノロジー重視と
成長投資を両立
早期年度での達成を目指す
向け、将来の成長を担うビジネスモデルを具
体化していきます。
業績ターゲットとしては、既存の延長線を
超え、持続的な成長軌道を確かにするための
ミニマムラインとして、
「営業利益率 5% 超、
海外売上高比率40% 超、フリー・キャッシュ・
フロー 1,500 億円超/年」の早期達成を目指
します。富士通の強みである、人材とテクノ
ロジーを大切にしながら、グローバル市場へ
向けた成長投資を継続していくことが、この
業績水準の前提となります。ただし、経営環
境の変化と経営実績を踏まえ、業績ターゲッ
トの水準に適宜見直しを加えていきます。
QUESTION. 5
当期は欧州における不採算プロジェクトや英国政府の予算縮減などによる影響で、海外ビジネスが難
航しました。海外ビジネスを立て直すための施策を教えてください。
ANSWER. 5
海外の不採算プロジェクトへの対策としては、5 月に新設した「アシュアランスグループ」を通じ、プ
ロジェクト管理を強化します。
「 真のグローバル化の加速」としては、多国籍企業に対する、拠点をま
たがる横断的なサポートの強化や、組織再編を通じた pC サーバやストレージなどのプロダクトビジ
ネスの強化に努めます。
当期は、海外での特定の不採算プロジェクトの解約により損失を計上しました。過去、国内でも不採算プ
ロジェクトで損失を計上していましたが、2003 年以降、徹底したアシュアランス体制を組んで、プロジェ
クト管理体制を強化してきました。その結果、現在では、国内の不採算プロジェクトの数は激減し、収益性
も大幅に改善しています。
海外でも、これらの国内での取り組みを参考にしたアシュアランスの機能はありましたが、本社からそ
れを確実にサポートできていなかったことが反省点といえます。こうした状況を受けて、社長直轄の組織
として 、5 月にアシュアランスグループを新設しました。国内と海外の担当部門を一つの組織として統合
018
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
社長インタビュー
management
し 、これまで国内で培っ た不採算プロジェクトの損益管理・再発防止スキームやノウハウを共有して海外
にも展開していくことで不採算プロジェクトの再発防止に努めていきます。
また英国では、政府の予算縮減により、パブリックセクターの IT 投資抑制が今後も続くと見ていますが、
堅調な民需ビジネスの拡大と自社製品の拡販によるプロダクトビジネスの強化により補完したいと考えて
います。
これらに加え 、今期は「真のグローバル化の加速」へ向けて邁進します。2011 年 4 月に 、元富士通オース
トラリア社長のロッド・ボードレーを海外ビジネスグループの総責任者に任命しました。新しいマネジメ
ント体制のもとで、グローバルなインテグレーションを加速します。例えば、本社直轄の「グローバルビジ
ネス推進グループ」を新設し、多国籍企業に対する地域横断的なサポートを充実させ、サービスポートフォ
リオの強化を図ります。また 、日本とドイツに分散していた 、PC サーバやストレージなどの組織を一体化
しました。PC サーバではヘッドクォーター をドイツに置いて、グローバルに商品強化・拡販を進めます。
こうした施策を通して、海外ビジネスを安定的な利益と成長が望める強いビジネスへ変革したいと思っ て
います。
今後の Ict の方向性
QUESTION. 6
今後の Ict の方向性と富士通の目指す姿について教えてください。
ANSWER. 6
富士通は、iCT の高度な利活用により実現する豊かな社会「ヒューマンセントリック・インテリジェン
トソサエティ *1」
をビジョンとして掲げています。このビジョンの実現に向け、将来の成長を担う、新
*1「ヒューマンセントリッ
しいサービスビジネスを具体化していきます。
サ エ ティ 」に つ い て は、
富士通はICTの高度な利活用を通じて様々な社会的課題を解決し、より豊かな社会「ヒューマンセントリッ
ク・イ ン テ リ ジェン ト ソ
002–009 ページ に、具 体
的な個々 の取り組みにつ
いて掲載しています。
ク・インテリジェントソサエティ 」を実現していく、というビジョンを持っています。
今回の震災によって、原子力発電所の事故に端を発したエネルギーに関する問題や、生産・物流拠点の集
中によるサプライチェーンに関するリスクなどが顕在化しました。震災後、世の中全体のパラダイムが大
きく変化したと感じています。富士通にとって、こうした新しい社会の変化を踏まえて、日本の復興へ ICT
でどう貢献していくか、ということが大きな課題であると認識しています。
例えば 、医療分野での新しい ICT の活用法が挙げられます。被災地では医師の絶対数が限られており 、
高品質な医療サービスを 、広域エリアで効率的に展開することが課題になっ ています。富士通が取り組
んでいる電子カルテを複数の病院間で共有し 、また大学病院にいる専門医と被災地の出張所とを結びつ
けて遠隔医療を行うなど、新しい医療サービスの提案が ICT を駆使すれば実現できるのではないかと考え
ています。
また今後の復興に向けては 、エネルギー の効率的な利用と 、交通・医療サービスの高度化を両立する「ス
マートシティ」の構築を視野に入れる必要があります。当社としては、システム開発や運用のノウハウ・技
術力、データセンターやクラウドの技術力を活かして、スマートシティの構築に貢献できると思っていま
す。農業分野でのクラウドサービスも含めて、ICT を軸として幅広い視点で捉えなおすと、まちづくりが非
常にわかりやすいものになるのではないかと思います。
*2 ICT 市場の変化について
は、050–057 ページに、地
域ごとの ICT 市場予測グラ
フを掲載しています。
このように、ICT は様々な可能性を持っていますが、同時にグローバル市場での競争も激化 *2 していきま
す。こうした中で 、富士通の強み ―すなわち、富士通の ICT サービスが 、他のグローバルな競合企業と大き
く異なる点は、富士通がもともと「テクノロジーからスタートして発展してきた会社」だという点にあると
思います。テクノロジーをベースに、プラットフォームからサービスまで、自らの手で垂直統合し、検証し
* 垂直統合型モデル
3
ハードからソフト、サービスを
ワンストップで提供するビジネ
スモデルのこと。
た上でお客様に一括して提供する。そういっ た垂直統合型モデル *3 が富士通の強みであると思います。今
後はこうした強みを活かしながら「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」を実現し、そ
れを支えるグローバルリーダーを目指します。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
019
社長インタビュー
今後の Ict の方向性
QUESTION. 7
「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ 」の実現に向けて、現在、および今後の取り
組みについて教えてください。
ANSWER. 7
「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ 」は、例えば農業分野における iCT の活用な
ど、着実に現実のものになりつつあります。大容量化・複雑化するリアルワールドのデータを可視
化・分析・予測・最適化などのプロセスを通じて実践知に変え、ビジネスへフィードバックするサー
ビスを、今後、
「コンバージェンス・サービス」として提供していきます。
コンピュータが主役のコンピュータセントリックの時代か
農業分野での iCT 活用事例
ら、インターネットの登場によってネットワークセントリッ
クの時代へ移行し、それが今では人間的な価値を中心として、
工程管理
農業管理者
営農計画
SaaS 型
サービス
その価値観を ICT で実現する時代へ進化しようとしています。
圃場管理
見回り支援
これを当社では「ヒューマンセントリック・インテリジェント
ソサエティ 」というビジョンとして描いています。
具体的には、先進 ICT 技術の応用分野が限りなく広がってい
現場作業者
くことを示しています。以前は考えられなかったような新し
い分野への広がりは、インターネットの普及、スマートフォン
センシング
データ
センサー
圃場
• 生育状況
• 気象情報
• 土壌情報
ノウハウ
富士通データセンター
市況情報
優良事例
やタブレット端末などの高機能なユビキタス端末の登場、そ
ナレッジ
マネジメント
してクラウドサービスの進化などが影響しています。こうし
たテクノロジーの進歩が、今後の ICT の可能性を大きく広げて
GPS 携帯
います。
• 作業実績
• 施肥実績
一つの例として、農業分野でのICT 活用についてお話します。
農業分野では 、これまでは経験や勘といっ たノウハウの蓄積
をもとにして農作物を作っていました。こうしたノウハウの部分をICT で処理することで、誰でも「実践知」
として扱えるようになり、生産性を飛躍的に向上させることが可能になります。具体的な取り組みの一つ
として、宮崎県の(有)新福青果という農業法人では、気象や土壌の状態をセンサーで管理・監視し、肥料や
農薬をどのタイミングで投入すれば良いか、こうしたことを最適化する取り組みを3 年ほど前から行い、そ
の結果として生産性が数倍になったと聞いています。
このような新しい分野でのICTの活用では、クラウドの技術が鍵となります。我々のお客様が、リアルワー
ルドで蓄積するデータは 、センサー や新しいユビキタスフロントの登場により大容量化・複雑化していく
でしょう。そういったデータをクラウド基盤へ吸い上げて、可視化・分析・予測・最適化などのプロセスを
通じて実践知に変え、リアルワールドにフィードバックしていくことが、これからのビジネスを支える基
盤として重要になっていきます。富士通は、クラウド基盤やスーパーコンピュータなどの強力なバックエ
ンドシステムに始まり 、情
コンバージェンス・サービス
報統合・実行基盤、大容量
データの収集分析基盤、各
モビリティ
種アプリケーション、そし
てユーザー との 接 点 であ
るユビキタスフロントま
ダーです。この一気通貫の
ものづくり
医療、健康
ユビキタスフロント
カメラ
マイク
タグ
センサー タブレット
スマホ
Pos
予定です。
gPs
カーナビ
各種アプリ
強固な
セキュリティ
大容量データ収集分析基盤
情報統合・実行基盤
安心の
運用管理
強力なバックエンドシステム
( hpC* 、クラウド)
* HPC:High Performance Computing(ハイパフォーマンスコンピューティング)
020
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
デジタコ
モバイルウェア
加 価 値 の 高 いサービ ス を
ビス」として提供していく
重点領域
プローブ情報
お客様
コンテンツ/
サービスプロバイダー
強みを活かして、さらに付
「コンバージェンス・サー
ワークスタイル
エネルギー、環境
ディシジョン
で 、一気通貫で提供できる
世界でも数少ない ICT ベン
コミュニティ
食・農
社長インタビュー
management
利益還元・配当政策
QUESTION. 8
株主還元、配当政策についてのお考えを教えてください。
ANSWER. 8
利益配分の基本方針として、安定的な配当に加え、今後の積極的な事業展開に備えるための内部留保
の充実を掲げています。当期の年間配当は、着実な財務体質の改善に鑑み、期初の計画どおり、1 株当
たり 10 円とさせていただきました。
富士通では、利益配分の基本方針として、株主の皆様へ安定的な剰余金の配当を継続して実施すると同時
に、財務体質の強化や、中長期的な業績向上を目的とする積極的な事業展開のための内部留保の充実を掲げ
ています。そして、利益水準を勘案しつつ内部留保を十分確保できた場合には、自己株式の取得など、より
積極的な株主への利益還元を行うことを目指しています。
当期は、期初予想で 、当期純利益 950 億円、1 株当たり 10 円の年間配当を目指し 、事業活動を展開しまし
た。当期純利益は、2011 年3 月11 日に発生した東日本大震災により特別損失を計上したことや、前期にあっ
た株式売却益の影響などにより、前期を下回って550 億円となったも
のの、財務体質については着実に改善していると考えています。これ
により、年間配当につきましては、期初の計画どおり、1 株当たり 10
円とさせていただきました。なお、年間 10 円の配当は 2001 年 3 月期
1 株当たり配当金
(円)
12
10.00
以来となります。
2012 年 3 月期は 、当期純利益の目標を 600 億円と設定し 、当期純利
益ベースでの増益を重点目標として掲げています。また配当に関し
8.00
9
8.00
8.00
6.00
6
ても当期に続き 10 円の年間配当を計画しています。
* FUJITSU Way に つ い て
は、064–065 ページ を ご
参照ください。
株主の皆様のご理解とご支援に感謝するとともに、今後も引き続
き 、FUJITSU Way* の企業指針にもうたわれている企業価値の持続向
上を目指した経営に努める所存です。
3
0
2007 2008 2009 2010 2011
(3 月 31 日に終了した会計年度)
株主・投資家の皆様へのメッセージ
QUESTION. 9
株主・投資家の皆様へメッセージをお願いします。
ANSWER. 9
富士通は、人材とテクノロジーを大切にしながら成長投資を継続し、
「営業利益率 5% 、海外売上高比
率40% 、フリー・キャッシュ・フロー 1,500 億円超/年」を、早期に達成すべき業績ターゲットとして
目指していきます。
富士通は厳しい経営環境の中でも、攻めの戦略を経営の基本として、人材とテクノロジーを大切にしな
がら成長投資を継続していきます。今後、成長に向けたビジネスの萌芽を明確にし 、持続的な成長を実現
していきたいと考えています。その持続的な成長を確かにするためのミニマムラインとして、
「営業利益
率 5% 、海外売上高比率 40% 、フリー・キャッシュ・フロー 1,500 億円超/年」を早期に達成すべき目標とし
て設定しています。
2010 年に定めた富士通グループのブランドプロミス
「 shaping tomorrow with you 」は、長期的なパート
ナーシップでお客様の成功へ貢献し、ICT の力で豊かな社会を実現するという意味が込められています。富
士通は ICT の新しい可能性をリードし、お客様にとってかけがえのないパートナーであり続けることを目
指します。また同時に、株主・投資家の皆様をはじめ全てのステークホルダーの皆様にとって、ともに未来
を創造するパートナーとして信頼に足る企業グループであり続けることを目指していきます。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
021
cfo からのメッセージ
2011 年 3 月期の業績について
こうした状況の中で 、売上高は 4 兆 5,284 億円と、前期
当期における世界経済は、欧米における失業率の高止
比 3.2% の減収になりましたが、為替影響を除くとほぼ前
まりや、欧州での緊縮財政、金融システム不安などが継続
期並みです。国内は、前期から引き続き市況の回復を受け
したものの、中国を中心とした新興国での需要拡大に牽
た LSI や電子部品が堅調に推移しましたが、上半期までに
引され全体としては緩やかな回復基調で推移しました。
エコカー補助金制度が終了したことによる新車販売の減
国内経済も、雇用情勢の改善や、設備投資の持ち直しが見
少などによりオーディオ・ナビゲーション機器が減収に
られたほか、上半期を中心とした輸出の増勢が下支えと
なっ たことに加え、東日本大震災によりパソコンを中心
なり総じて緩やかな回復傾向にありましたが 、下半期に
として操業の一時休止や物流・輸送の遅延などの影響を
は経済政策効果の一巡や、円高の進行など環境の厳しさが
受けたこともあり、ほぼ前期並みとなりました。海外は
増す中、2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災の影響
9.2% の減収になりましたが、為替影響を除くと前期並み
により足もとでの景気回復の趨勢にブレーキがかかり、
です。欧州での PC サーバ、アジア向けの LSI や電子部品、
先行きの不透明感が高まっています。
北米での光伝送システムが上半期を中心として増収にな
ICT 投資については、上半期にはハードウェアを中心に
りましたが、2009 年 10 月に実施した HDD 事業の譲渡影
回復の動きもありましたが、全体としては投資に対し慎
響により前期並みとなりました。
重な姿勢が続く中、震災発生後の企業活動の停滞により投
円高の進行は第 3 四半期に入りやや底入れの兆候が見
資案件の先送りや中止なども見られ当面は厳しい状況が
られたものの、米ドルの平均レートは86 円(前期比7 円の
続くことが懸念されます。
円高)
、ユーロは 113 円(同 18 円)
、英ポンドは 133 円(同
営業利益、売上高営業利益率
(十億円)
(%)
10
250
フリー・キャッシュ・フロー
有利子負債、d / e レシオ、
ネット d / e レシオ
(十億円)
(十億円)
400
204.9
200
182.0
8
150
100
3.6
3.8
6
2.9
4
1.5
2007
2008
2009
2.0
2010
2
2011
(3 月 31 日に終了した会計年度)
n n営業利益(左目盛り)
売上高営業利益率(右目盛り)
022
FUJITSU LIMITED
296.4
900
257.6
ANNUAL REPORT 2011
0
2.0
887.3
745.8
883.4
600
113.4
100
0
38.1
2007
2008
1.5
1.18
0.94
200
94.3
68.7
50
0
132.5
300
(倍)
1,200
577.4
0.72
0.77
300
0.31
0.36
0
2007
2008
0.47
23.4
2009
2010
(3 月 31 日に終了した会計年度)
2011
2009
470.8
0.20
0.14
2010
2011
(3 月 31 日現在)
n n有利子負債(左目盛り)
(右目盛り)
D / E レシオ
ネット D / E レシオ
(右目盛り)
1.0
0.57
0.5
0
CFO からのメッセージ
億円減少し 、海外売上高比率は 35.1% と 、前期比 2.3 ポイ
ント低下しました。
売上総利益は、震災影響や為替影響があったものの、LSI
や電子部品などの増収効果に加え、LSI 事業の構造改革に
より減価償却費などの固定費負担が減少した影響や、
為替レート
(平均)
management
15 円)となり、為替影響により売上高が前期比で約 1,600
(単位:円)
2009 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
101
144
174
93
131
148
86
113
133
米ドル
ユーロ
英ポンド
(ご参考)1 円の為替変動による2011 年3 月期(実績)営業利益への影響額(概算)
米ドル:9 億円、ユーロ:2 億円、英ポンド:1 億円
2001 年 3 月期の退職給付会計の適用に伴う会計基準変更
当期における財務に関する取り組み結果について
時差異の償却が前期で完了した影響などにより前期比143
当社グループは、当期も引き続き「財務体質の健全化」
億円の増益になりました。販売費及び一般管理費は、クラ
を進めました。当期純利益の計上や有利子負債の圧縮に
ウドサービスなどに対する先行開発投資を進めましたが、
より、自己資本比率は 27.2% と前期比 2.5 ポイント改善し
前期に富士通テクノロジー・ソリューションズの連結子会
ました。フリー・キャッシュ・フローは 1,134 億円のプラ
社化に伴う一時的な費用負担があっ たほか、HDD 事業の
スとなりました。前期からは、1,829 億円の収入減となり
譲渡影響や為替影響により前期比238 億円減少しました。
ましたが、投資有価証券の売却による収入などの特殊要
この結果、営業利益は 1,325 億円(前期比 382 億円増)
、
因を除いたベースでは 382 億円の収入減となります。ま
営業利益率は前期比で0.9 ポイント改善し、2.9%になりま
た、転換社債 1,000 億円を満期償還したことで、有利子負
した。
債残高は 4,708 億円と前期比 1,066 億円減少しました。
その他の収益(費用)は合計で 303 億円の損失(前期比
D / Eレシオは0.57 倍と前期末から0.15 ポイント改善し、
486 億円悪化)となりました。有利子負債の減少などによ
ネット D / E レシオでは 0.14 倍と前期末から 0.06 ポイン
り金融収支は改善したものの、円高の進行に伴い為替差
ト改善となり、過去最も低い水準となりました。
損益が悪化しました。また、英国子会社が保有する関連会
2011 年6 月に経営方針を発表しました。収益や資産効率
社株式を売却したことなどにより 、有価証券売却益など
の向上を通じ、業績ターゲットの一つであるフリー・キャッ
を計上する一方、東日本大震災により被災した資産の復
シュ・フロー1,500 億円超/年の早期達成を目指します。
旧費用など損失計上があったことによります。
これらの結果、当期純利益は、550 億円(前期比 379 億
円減)
となりました。
取締役執行役員専務/ cfo
加藤 和彦
自己資本、自己資本比率
ePs(1 株当たり当期純利益(損失))、
roe(自己資本利益率)
(十億円)
(%)
60
1,200
969.5
748.9
400
24.6
24.8
(%)
30
80
49.54
948.2
800
(円)
798.6
23.2
821.2
40
40
24.7
45.21
12.0
23.34
10.9
26.62
0
0
27.2
15
6.8
5.0
20
–13.2
–40
–15
–54.35
0
2007
2008
2009
(3 月 31 日現在)
n n自己資本(左目盛り)
自己資本比率(右目盛り)
2010
2011
0
–80
2007
2008
2009
2010
2011
–30
(3 月 31 日に終了した会計年度)
n nEPS(左目盛り)
ROE(右目盛り)
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
023
1
特集 2012 年 3 月期経営方針
Realiz ing Ou r Gro up G rowt h
VISIO N
富士通グループ基本戦略
2
富士通グループの基本戦略は、グローバル・インテグレーションの実現です。その理想とする姿
に向かうため 、抜本的な改革(トランスフォーメーション)
を進めていきます。その実行の骨子と
なるのが、
「攻めの構造改革」、
「真のグローバル化の加速」、
「新しいサービスビジネスの創造」から
なる 3 つの成長テーマです。業績目標については 、経営の意思として 、早期に「営業利益率 5% 、海
3
外売上高比率 40% 」を達成したいと考えています。さらに、将来的な成長ビジョンとしては、
「営業
利益率10% 、海外売上高比率50% 」の達成を目指しています。また、成長投資を支えるためのフリー・
キャッシュ・フローの安定的な創出も重要と考えており、1,500 億円超/年の継続的な創出を目標
にしています。以下では、将来的な成長ビジョンを達成するにあたり、当社の中期に目指す方向性
についてより詳しく説明します。
グローバル・インテグレーション の実現
トランスフォーメーション
(3 つの成長テーマの実行)
1
1
攻めの構造改革
(既存ビジネス強化)
2
2
真のグローバル化
3
3
新しいサービスビジネス
の加速
の創造
グローバル人材の育成・ビジネス基盤の確立
グローバルなサービス企業
業績ターゲット
(経営の意思)
早期
達成水準
お客様への提供価値の統一
ソリューションの統合
プロダクト・サービスの統合
ビジネス基盤の統合
グローバル展開のパートナー
中期に目指す方向性
営業利益率
垂直統合
海外売上高比率
フリー・
キャッシュ・フロー
成長ビジョン
5% 超
[
10% 超]
40% 超
[
50% 超]
1,500 億円超/年
「テクノロジーをベースとした、グローバルにインテグレートされたサービス企業」を目指す道筋の中で、中期的に 3 つの成長テー
マの実行フェーズを、さらに進化させます。
「攻めの構造改革」では、国内で圧倒的・ダントツに強いポジションの確立に向け、グループの総力をサービスに結集していきます。
また「真のグローバル化の加速」に向けて、地域に横串を通す共通機能によって、国内外の統合とビジネスの一体化を進めます。さら
に、当社のビジョンである「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ 」の実現に向け、将来の成長を担う「新しいサー
ビスビジネスの創造」を具体化していきます。
024
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
特集 2012 年 3 月期経営方針
1
1
攻めの構造改革
既存SIからのリソースシフトによる、クラウドのコアビジネス
確立していきます。
化を進めます。世界 6 拠点に整備した、富士通独自のパブリック
さらに、開発中心の SI ビジネスが縮小する中、新規ビジネス領
クラウド基盤であるFujitsu Global Cloud Platform「 FGCP/S5
(エ
域やクラウドビジネスをさらに拡大させるため 、SE 機能の再定
フジーシーピー/エスファイブ)」や 、米国マイクロソフト社と
義とソリューション体制の変革を行います。ビジネスプロデュー
の協業により提供している「 FGCP/A5
(エフジーシーピー/エー
スやサービスインテグレーション、運用起点でのサービスマネ
ファイブ)」など 、新しいサービスを核としたクラウドの展開を
ジメントなどの機能へ、中期的に SE リソースのウエートシフト
通じて、ビジネスのスコープを拡げます。中期的には、富士通グ
を進めます。また、中期的なビジネスのボリューム拡大のために
ループの全事業領域を統合した新しいサービスモデルの機軸を
も、人材配置の見直しを含めた営業戦力の強化を進めます。
クラウドのコアビジネス化
■ 新規ビジネス領域
■ 既存 iCT 領域の
クラウド化
300
クラウドビジネス 中期展開指針
■ クラウドビジネス展開を通じ、変革への対応を推進。
̶サービス化、スピード革新、グローバル化
■ グループ全事業領域を統合した新しいサービスモデルの機軸を確立。
新規ビジネス領域で成長する。
■ クラウドをトリガーとした他社攻略と新ビジネス創出により、グループ全体の成長を目指す。
(十億円)
400
200
クラウドでの利益創出のスコープ
グローバルなサービスラインナップ拡充
100
2010
2011
大
BCp /
セキュリティ
ユビキタス/
ネットワーク
0
focus
クラウドビジネス 国内売上高目標
アプリ
ケーション
2013
fujitsu global Cloud Platform
(3 月 31 日に終了した会計年度)
fgCP/s5
fgCP/a5
サービス
プロダクト
(ハード/ソフト)
小
企画
構築
運用
サービス運用
従来ビジネスのスコープ
期待
利益
クラウドを核にビジネスを拡げる
2
2
サービス企画
市場を共創
実践知獲得
ボリューム獲得
コスト競争力
ソーシング拡大
集積知活用
真のグローバル化の加速
当社グループはこれまで 、各地域拠点の自主性を重んじるト
に分散していた、PC サーバ/ストレージ事業の組織の一体化を
ランスナショナルモデルに基づき 、オーストラリアでの M&A を
行っていますが、今後 PC サーバ事業のヘッドクォーターをドイ
通じた事業基盤の強化、北米子会社 3 社の統合、欧州でのサービ
ツに置き、グローバル商品の強化を進めます。さらに、アシュア
ス事業とプロダクト事業の統合など、海外ビジネス体制を強化し
ランス機能とセキュリティ機能といったビジネス共通基盤でも、
てきました。こうした取り組みにより、国内 ICT 企業で唯一のメ
国内外の組織・機能の一体化を進めます。
ジャーベンダー として 、グローバル・マーケットでプレゼンス
これらの実行施策により、グローバルビジネスを国内と同様
を発揮してきました。今後は 、従来の実績をベースとして 、グ
に、安定的な高い利益と成長が期待できる強いビジネスにしたい
ローバル・インテグレーション、すなわち国内外の一体化を加速
と考えています。
します。
まず、本社直轄の「グローバ
ルビジネス推進グループ」を新
設し、多国籍企業を当社の複数
国内外の一体化
グローバル・インテグレーションを加速
グローバルにビジネス展開されるお客様
拠点で横断的にサポートする
ことにより、サービスポート
フォリオの強化を図ります。
act • 各地域での特色
Local あるビジネス
また日本とドイツの富士通テ
クノロジー・ソリューションズ
• サービス
ビジネスの統合
日本
apaC
中国
豪州
米州
欧州
ローカル顧客のニーズに応える
サービスデリバリー機能を統合(オフショア開発・サービスデスク)
JoC アジアビジネス本部を設置(2010 / 8)
シームレスなサービスを強化・標準化
Think プロダクト
Global •ビジネスの統合
• ビジネス共通
基盤の統合
PC サーバ/ストレージ 組織を一体化
支援
アシュアランス機能・セキュリティ機能を統合
共通支援機能を統合(人事他)
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
025
特集 2012 年 3 月期経営方針
3
3
新しいサービスビジネスの創造
当社は ICT の活用により実現する豊かな社会「ヒューマンセン
ション、そしてユーザー との接点であるユビキタスフロントま
トリック・インテリジェントソサエティ」をグループのビジョン
で 、一気通貫でサービスを提供できる仕組みが新しいサービス
として掲げています。お客様がリアルワールドで蓄積するデー
では必要になります。
タは、センサーや新しいユビキタスフロントの登場により、大容
当社は、こうした新しいサービス基盤を統合して提供できる、
量化・複雑化しています。蓄積された大容量データを、可視化・
世界でも数少ないベンダー です。この一気通貫の強みを活かし
分析・予測・最適化などのプロセスを通じて実践知に変え、リア
て、さらに付加価値の高いサービスを「コンバージェンス・サー
ルワールドにフィードバックしていくことがこれからのビジネ
ビス」として、お客様に提供していきます。
スを支える重要な基盤になっていきます。特にその中でも、大容
当社はこうした「新しいサービスビジネスの創造」に向けて 、
量データの蓄積・分析を行う、BI / BA(ビジネス・インテリジェ
モビリティ、農業、医療などのドメインを定め 、実践知の蓄積を
ンス/ビジネス・アナリティクス)基盤は重要な要素です。この
集中的に行っています。図表のとおり、事例も出始めており、米
分野を強化するために、業界リーダーのSAS 社と提携を行うこと
国ボーイング社との「新しい整備業務サービス」、東京大学との
になりました。
「 IT 創薬の共同研究」、米国の電力会社であるキット・カーソン社
また、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)
やクラ
との「遠隔検針システム」などは、すでに実証段階にあります。
ウドなどの強力なバックエンドシステムを前提として 、情報統
こうした従来のICTでは実現できないより多くの先進サービス
合・実行基盤、大容量データの収集分析基盤、各種アプリケー
の開発を、様々なお客様とともにこれからも実現していきます。
先進モデル開発
米国ボーイング社
東京大学
米国キット・カーソン社
整備業務サービス
IT 創薬の共同研究
遠隔検針システム
実証実験
ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ
モビリティ
コミュニティ
食、農
牛歩ソリューション
畜産農家支援サービス
医療、健康
HumanBridge
SaaS 型
地域医療ネットワーク
ものづくり
ワークスタイル
エネルギー、環境
アークレイ
(株)
からだライフ
糖尿病患者支援サービス
持続的な成長に向けて
当社は、成長戦略のスタートラインとして、まず「国内での磐石な強さ」を確立します。ここを起
点に、
「攻めの構造改革」、
「真のグローバル化の加速」、
「新しいサービスビジネスの創造」の成長領
域へリソースをシフトし、今後も持続的に成長していくことが当社の成長シナリオになります。こ
の成長シナリオの到達点は、富士通グループがお客様とともに成長し、豊かで夢のある未来を創造
することと定義しています。この到達点に向けて、グループ内で戦略マトリクスを共有しながら、
様々な個別戦略を確実に実行していきます。
また、当社の成長シナリオの中核には、経営の基本スタンスとして、fuJiTsu Way の基本理念と、
その実践であるブランドプロミス
「 shaping tomorrow with you 」があります。
当社は、iCT の新しい可能性をリードしながら、お客様にとってかけがえのないパートナーであ
り続けることを目指すとともに、全てのステークホルダーにとって、ともに未来を創造するパー
トナーとして、信頼される企業グループであり続けることを目指します。
026
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
東日本大震災に対する富士通グループの対応について
東日本大震災に対する富士通グループの対応について
*2011 年 7 月 15 日現在の状況
2011 年 3 月 11 日に発生しました東日本大震災により被災された皆様にお見舞いを申し上げますと同時に、皆様の安全と一
日も早い被災地の復興を心よりお祈り申し上げます 。
当震災による富士通グル ープの事業活動への影響と復旧の状況、業績への影響、また 、支援活動などへの取り組み 、電力供
給不足への対応などについてご報告します 。
被災地ではなお困難な状況が続いていますが、富士通グループは、社会インフラや被災地の早期復興と、さらには新しい日
本の創造を ICT で支援するため総力を挙げて取り組んでいきます 。
東北地方の
主な当社グルー プ拠点
1
focus
fsl 岩手工場
東日本大震災で被災ま た は計画停電の影響を受け た
当社グループ製造工場の復旧状況
半導体、PC サ ー バ/ パソコン、ネ ットワー ク/携帯電
話の製造工場において 、一部建屋および生産設備の損傷
が発生したほか、電気、水道、ガス等のライフラインが停
止したことにより、工場の操業に影響が生じましたが、表
3 fim 宮城工場
4 fiT 本社工場
fsl 会津若松工場
fseT 本社工場
fim 本社・会津工場
でに全ての工場にて生産能力が 100% 復旧しました 。
業績への影響について
2
富士通 那須工場
(左下)
のとおり操業が再開され、2011 年 4 月 20 日時点ま
5
6
福島第一原子力発電所
fTN 古殿工場
2011 年3 月期は、被災した資産の復旧費用、被災した工
場等の操業休止期間中の固定費および棚卸資産の廃棄損
など 116 億円を特別損失に計上しました 。また、出荷、納
入遅れによる減収影響を中心として 、営業利益は約 130
億円減少しました 。
7
富士通 小山工場
東日本大震災で被災または計画停電の影響を受けた
当社グルー プ製造工場の復旧状況等
応援隊の派遣による、自
主なセグメント
製品等
工場名
所在地
デバイス
ソリューション
LSI(前工程)
FSL 岩手工場
岩手県胆沢郡
金ケ崎町
1
4 月 3 日から一部で操業
FSL
福島県
会津若松市
2
3 月 28 日 から 一 部 で 操
FSET
福島県
会津若松市
2
3 月 28 日 から 一 部 で 操
LSI(後工程)
FIM 宮城工場
宮城県
柴田郡村田町
3
3 月 23 日 から 一 部 で 操
LSI(テスト)
FIM 本社・
会津工場
福島県
会津若松市
2
3 月 18 日 から 試 験 工 程
FIT 本社工場
福島県伊達市
会津若松工場
本社工場
テクノロジー
PC サーバ
ソリューション、
ユビキタス
ソリューション
デスクトップ
地図
プリンタ
電源関連設備
復旧状況等
再開
業再開
業再開
業再開
の一部で操業再開
3 月 23 日から製造再開
3 月 28 日 から 生 産 能 力
100% 復旧
4
PC
3 月 23 日から一部を SFJ
で製造再開
3 月 28 日 から 一 部 を 製
造再開
3 月 22 日から製造再開
FTN 古殿工場 福島県
石川郡古殿町
モバイル
富士通
システム製品、 那須工場
携帯電話等
栃木県
大田原市
光伝送装置、
光コンポーネ
ント製品等
栃木県小山市
富士通
小山工場
お客様のシステムの復興支援のため、
被災地(仙台・青森)
に向けて出発する
カスタマーエンジニア
( CE )33 名
支援活動について
• 現地保守作業員に加えた
5
3 月 22 日から操業再開
6
計画停電を避け、操業を
継続
7
計画停電を避け、操業を
継続
(注)FSL:富士通セミコンダクター(株)
、FSET:富士通セミコンダクターテクノロジ
(株)
、FIM:富士通インテグ
レーテッドマイクロテクノロジ
(株)
、FIT:富士通アイソテック
(株)
、SFJ:
(株)島根富士通、FTN:富士通テレ
コムネットワークス
(株)
なお、上記の当社グループ製造工場は、4 月 20 日までに全ての工場で生産能力が 100% 復旧しました。
治体や病院、金融機関を
中心とした復旧活動
• 震災からの復旧、復興活
動を行う企業、自治体な
どを対象とした各種クラ
ウドサービス 12 種類の
3 ヶ月間の無償提供
• 顧客に関する情報などを
収集・管理できるSaaS 型
津波で30 メートル流された
ATM の点検の様子
ア プ リ ケーション サー
ビス
「 CRMate(シーアールメイト)
」の 2012 年 3 月期末までの
無償提供
• 被災地への緊急支援物資として、乾電池や懐中電灯、避難所に
おける携帯電話の充電、夜間のスポット照明などに有効な小型
ハイブリッド発電装置の提供
• 避難所へのインターネット閲覧環境の推進と、パソコンの提供
• 被災地支援を行っている NPO へのパソコンの無償提供
•「被災者をNPOとつないで支える合同プロジェクト(つなプロ)」
と連携し、避難所アセスメントクラウドサービスを提供
• 総額 2 億円を超える義援金
東北・関東地域における電力供給不足への対応について
富士通グル ープ節電対策委員会を設立し 、2011 年 7 月
から 9 月の最大使用電力を前年比 15% 以上削減するため、
工場での自家発電設備への切り替え・夜間シフトの導入、
従業員の勤務体系の変更、ク ー ルビズ期間の拡大、スー
パークールビズの導入、自社保有のサーバの移設など、具
体的施策に取り組んでいます 。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
027
クラウドビジネスの現場から ̶ 社員紹介 ̶
クラウド・コンピューティングとは…
ネットワークの向こう側にある、サーバ、ストレージ、ソフトウェアなどの iCT*リソースを、ネットワー
ク経由で、必要なときに必要なだけ利用する形態のことです。利用者からは見えないネットワーク
の向こう側の部分を雲(クラウド)
に例えて、クラウド・コンピューティングと呼ばれています 。昨今、
このクラウド・コンピューティングの普及が進み、様々な分野でiCT の高度な活用が広がっています。
* ICT:Information and Communication Technology の略。
富士通の豊富なクラウド人材が、
iCT の新たな可能性を広げていきます。
富士通のクラウドビジネスは 、お客様に対す
るクラウドシステムの企画・提案から、開発、運用
といったそれぞれのシーンにおいて、経験豊富
なクラウド人材の手によって推進されています。
SEや営業に加えて、お客様要件を実現するアー
キテクチャー の設計・指導ができる技術的なエ
キスパートや、ネットワークやセンシング技術を
活用し、新しい ICT 活用領域を開拓できるエキス
パートの育成を進め、富士通グループ全体でク
ラウド人材を 5,000 名まで増やす計画です。
「使いやすさ」
に磨きをかけ、世界に通用する
ミドルウェアの開発を目指す
私は、当社ミドルウェア製品の一つである統合運用管理ソフ
ト
「 Systemwalker 」
シリーズの開発を行っています。近年、クラ
ウド・コンピューティングや仮想化技術が導入され、企業の情報
システムが従来より複雑化する中、システムの運用管理を担うミ
ドルウェアの役割は一層大きくなっ ています。お客様のシステ
ム運用への負担を軽減するため、ミドルウェアの機能を充
実させることはもちろん重要ですが、導入後の「使いやす
さ」を改善することが、お客様にとってより重要なポイン
トになると考えています。今後、お客様視点に立った「使
いやすさ」
にさらに磨きをかけ、世界中のお客様に満足
いただけるミドルウェアの開発を目指します。
028
FUJITSU LIMITED
前田 隆之
大原 夕佳
ミドルウェア事業本部
サービスマネジメント・ミドルウェア事業部
第二開発部
サービスビジネス本部
クラウドビジネス推進室
ANNUAL REPORT 2011
クラウドビジネスの現場から̶ 社員紹介 ̶
ポール オマホニー
クラウドビジネスサポート本部
クラウドサービスインフラ事業部
C3 ファウンデーションサービス部
日本からグローバルにクラウド拠点のインシデントを管理
アイルランドから2008 年に来日し、富士通グループにネットワークのSEとして入社し
ました。現在は、日本で2010 年10 月に提供を開始し、2011 年6 月までにオーストラリア、
シンガポール、英国&アイルランド、米国、ドイツの5 拠点でも提供が開始されたパブリッ
ク型クラウドサービスのインシデント・マネージャー として東京でクラウドビジネスに
携わっ ています。富士通のグローバルなクラウド環境上で発生する 、通常のサービスや
オペレーションの中断や質の低下を招くインシデントに対し、日本のサポートチームと
focus
ともに対応に当たることが私の役目です。インシデントの影響を極力出さずに通常のオ
ペレーションになるべく早く戻し、適切なサービスの質や可用性を保てるよう心がけて
います。時に、日本と海外拠点では優先事項に対する考え方が違うことがあるため、双方
のバランスを見ながら最善の解決策を見つけ出すことはチャレンジングですが、できる
だけ短時間で根本的な解決策を提供できるように努めています。
新技術への知見、タイムリーなサポート力を評価され
プライベートクラウド商談を獲得
ある流通業のお客様にプライベートクラウドの提案を行
いました。お客様は、激しいビジネスの変化に柔軟に対応
できる IT 基盤の確立、運用の一元化によるコストダウンを
目的に、クラウド基盤の導入を検討されていました。同基
盤にて核となる技術への知見、タイムリー なサポート力が
高く評価され、当社製品を採用いただくことになりました。
新しい技術であっ たため、当社内にある情報を迅速
に取りまとめ 、ベストな提案をつくることに苦
労をしました。お客様との関係をグローバル
に深めるべくこの夏に英国へ赴任予定です。
海外の現場を肌で理解し 、将来的に日本と
海外との架け橋となる人材になれるよう
努めていきます。
クラウドメニューの拡充で多様なお客様のニーズに対応
2009 年に入社し、2010 年2 月に現在の部署に配属されました。富士
通のクラウドサービスの商品企画や、サービスを販売するための仕組
みづくりをはじめ、展示会やお客様先での商品説明などの販売推進が
主な担当です。具体的には、市場に合っ た商品体系や価格等をサービ
山本 隆博
流通ビジネス本部
商社・卸統括営業部
商社・卸第一営業部
ス事業部門や営業部門と相談して決めたり、設定したサービスの仕組
みが当社の販売制度に沿っ たものであるかなどを細かく確認してい
きます。その際に法務や経理、購買など多くの関係部門との調整が必
要なため、大変な部分はありますが、お客様の多種多様なニーズに応
えられるよう、富士通のクラウドサービスのメニューを拡充し、拡販
に貢献できることは大きなやりがいです。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
029
事業概要
3 月 31 日に終了した会計年度
iCT 分野において 、各種サ ービスを提供するとともに、これらを支える最先端、高性能かつ高品質
のプロダクトおよび電子デバイスの開発、製造、販売から保守運用までを総合的に提供する、トー
タルソリューションビジネスを行っています。
売上高/売上高構成比 *
3,014.3
テクノロジーソリューション
十億円
国内
1,942.1十億円
消費電力を大幅に削減した2WAYラック型サーバ
「 PRIMERGY RX200 S6 省電力モデル」
62.1%
パブリック型クラウドサービスを提供開始した
シドニー第 2 データセンター
海外
1,072.1 十億円
1,125.6
ユビキタスソリューション
十億円
海外
273.9 十億円
23.2%
タッチ パ ネ ル とキーボー
ドが融合したハイブリッド
モーション PC
「 LIFEBOOK TH シリーズ」
おサイフケータイ®& 防水対応
スマートフォン
「ドコモ スマートフォン
REGZA Phone T-01C 」
カーナビゲーション
「 AVN-Z01」
デバイスソリューション
国内
851.6 十億円
630.6
十億円
海外
国内
361.3
269.2 十億円
十億円
13.0%
ARM 社製 CortexTM-M3 コアを採用し
た 32 ビット汎用 RISC マイコン
「 FM3 ファミリ」
静止画も動画も美しく!第 6 世代「 Milbeaut
(ミルビュー )」
イメージングプロセッサ
* 売上高はセグメント間の内部売上高を含みます。
030
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
事業概要
【セグメントの一部変更】
当社グループは、今後の成長シナリオとして、
「攻めの構造改革」、
「真のグローバル化の加速」、
「新しいサービスビジネスの創造(ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティの実現)」を掲げて
います。この経営方針に基づき、2011 年 3 月期第 1 四半期より、セグメントを変更しております。また、2011 年 3 月期第 1 四半期より、
「セグメント情報等の開示に関する会計基準」
(企業会計基準第 17 号 (企業会計基準適用指針第 20 号 2008 年 3 月 21 日)
を適用しております。なお、過年度の数値については、比較のため、組替
2009 年 3 月 27 日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」
表示しております。
セグメントの主な変更点
① 海外サービス事業
当社グループは、今後の成長の基軸として、ICT インフラをワールドワイドでサポートする体制を強化し、データセンター、サービスデスクなどのサービス基盤を拡大展開してまいります。従来、海外サー
ビス事業は、
「サービス」のうち、
「ソリューション/ SI 」および「インフラサービス」に含めていましたが、
「インフラサービス」の区分に集約して表示する方法に変更しております。
② オーディオ・ナビゲーション機器、移動通信機器および自動車用電子機器
当社グループが実現を目指す
「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」において、オーディオ・ナビゲーション機器等は、パソコン/携帯電話とともに、人や組織の行動パターンから生
み出される様々 な情報や知識をセンシングするユビキタス端末あるいはセンサー として重要な製品となるものです。従来は「その他」
セグメントに含めていましたが、新セグメントでは「ユビキタスソ
リューション」に区分変更しております。
事業内容
主要製品・サービス
取り扱う主な連結子会社
サービス …IT システムのコンサルティング、構
サービス
•富士通フロンテック(株)
(株)
•富士通テレコムネットワークス
•(株)富士通 IT プロダクツ
•(株)富士通ビー・エス・シー
•(株)富士通マーケティング *1
•(株)富士通システムソリューションズ
•富士通エフ・アイ・ピー(株)
•ニフティ(株)
•(株)富士通エフサス
•(株)PFU*2
•Fujitsu Network Communications, Inc.
•Fujitsu Services Holdings PLC
•Fujitsu America, Inc.
•Fujitsu Australia Limited
•Fujitsu Technology Solutions (Holding)
B.V. など
築などを行うソリューション/ SI と、アウト
ソーシング
(情報システムの一括運用管理)
など
を中心とするインフラサービスを提供してい
ます。
システムプラットフォーム …ITシステムの基盤
となるサーバやストレージシステムなどのシ
ステムプロダクトと、携帯電話基地局や光伝送
システムなどの通信インフラを提供するネット
ワークプロダクトを提供しています。
ソリューション/ Si…システムインテグレーション
(システム
構築、業務アプリケーション)
、コンサルティング、フロント
テクノロジー( ATM 、POSシステム等)
インフラサービス…アウトソーシングサービス
(データセン
ター、ICT 運用管理、SaaS 、アプリケーション運用・管理、ビ
ジネスプロセスアウトソーシング等)
、ネットワークサービス
(ビジネスネットワーク、インターネット・モバイルコンテン
ツ配信)
、システムサポートサービス
(情報システムおよび
ネットワークの保守・監視サービス)
、セキュリティソリュー
ション
(情報システムおよびネットワーク設置工事)
システムプラットフォーム
システムプロダクト… 各種サーバ
(メインフレーム、UNIX
サーバ、基幹 IA サーバ、PC サーバ)
、ストレージシステム、
各種ソフトウェア
( OS 、ミドルウェア)
ネットワークプロダクト…ネットワーク管理システム、光伝
送システム、携帯電話基地局
ゲーション機器などのモバイルウェアにより
構成されています。
パソコンは、従来のデスクトップ型、ノート
ブック型に加え、スレート PC 、また、メガネな
しで 3D 映像を楽しめる機種や、省電力機能を
パソコン/携帯電話
パソコン
携帯電話
モバイルウェア
オーディオ・ナビゲーション機器、移動通信機器、自動車用
電子機器
強化したモデルなど、幅広いラインナップを提
供しています。
付で
(株)富士通マーケティングに商号を変更しま
した。
*2(株)PFU は、株式交換により、2010 年 4 月 1 日に当
社の完全子会社となりました。
PERFORMANCE
パソコンや携帯電話のほか、オーディオ・ナビ
*1(株)富士通ビジネスシステムは、2010 年 10 月 1 日
•(株)島根富士通
•富士通アイソテック(株)
(株)
•富士通モバイルフォンプロダクツ
•富士通東芝モバイルコミ ュ ニケ ー シ ョ ン
ズ
(株)*
•富士通周辺機(株)
(株)
•富士通テン
•(株)富士通パーソナルズ
•Fujitsu Technology Solutions (Holding)
B.V. など
(株)
は、
* 富士通東芝モバイルコミュニケーションズ
2010 年 10 月 1 日に新たに当社の連結子会社となり
携帯電話は、従来のフィーチャーフォンに加
え、
(株)
東芝の携帯電話事業を統合し、スマート
ました。
フォン
「 REGZA Phone」
の販売を開始しました。
モバイルウェアは、自宅のパソコンで簡単に最
新の地図に更新ができるカーナビをはじめ、
「ツ
ナガル」
製品で多様なニーズにお応えします。
デバイスソリューションは、LSI と電子部品か
ら構成されています。当社グループの半導体事
業会社である富士通セミコンダクター * がデジ
タル家電や自動車、携帯電話、サーバなどに搭
載される LSI を提供しています。また 、上場連
結子会社である新光電気工業、富士通コンポー
ネント、FDK などが、半導体パッケージをはじ
LSi
LSI
電子部品
半導体パッケージ、電池、機構部品(リレー、コネクタ等)
、
光送受信モジュール、プリント板
•富士通セミコンダクター(株)*
•新光電気工業(株)
•FDK(株)
(株)
•富士通コンポーネント
(株) など
•富士通エレクトロニクス
* 富士通マイクロエレクトロニクス(株)は、2010 年
4 月 1 日付で富士通セミコンダクター(株)に商号
変更しました。
めとする電子部品のほか、電池、リレー、コネ
クタなどの機構部品を提供しています。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
031
事業別レビューと今後の見通し
テクノロジーソリューション/ サービス
iT システムのコンサルティング、設計、アプリケーション開発、実装などのインテグレーションを
行うソリューション/ si と、iT システムをデータセンターなどでお預かりし、お客様に代わって一
括運用管理を行うアウトソーシングや保守サービスを中心とするインフラサービスを展開してい
ます。
* テクノロジーソリューション全体
2011 年 3 月期の業績(前期比)
(十億円)
売上高
営業利益
設備投資額 *
2,419.5
117.3
67.2
(–4.8%)
032
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
(–10.2)
(–6.8)
事業別レビューと今後の見通し
テクノロジーソリューション/サービス
クラウドビジネスの商談支援などを行う
「富士通トラステッド・クラウド・スクエア」
富士通館林システムセンター新棟
省スペース一体型・高性能POSターミナル
「 TeamPoS(チームポス)1100」
OUr STrENGTh -強み
2010 年国内 iTサービス市場シェア
(金額ベース)
n
n
n
n
n
n
富士通 13.5%
A社
10.0%
B社
9.6%
C社
8.8%
D社
7.4%
その他
50.7%
のシェアを持ち、欧州、米州、アジア・パシフィック、中国まで
幅広い国・地域でサービスを展開しています。
特にアウトソーシング分野では、日本、欧州を中心に 、世界
1
6
5
2
16 ヵ国、約 100 拠点にデータセンター を配し、お客様の ICT に
3
かかる運用負担の軽減や環境対応等、様々 なニーズに応える
PERFORMANCE
1
2
3
4
5
6
富士通のサービスビジネスは 、国内 No.1、グローバル No.3
サービスを提供しています。
4
当社が強みとする、グローバルなサービス体制や、大規模か
つ先進的なシステムを構築してきた豊富な実績、そしてそれ
(出典:Gartner, Market Share: IT Services, 2010 31
March 2011)
らを支える高い技術力は、各国政府系のシステムや、グローバ
ルに拠点を持つお客様のシステム等、国・地域・言語を越えて
様々なお客様の ICT 利活用を支えています。
2010 年世界 iTサービス市場シェア
(金額ベース)
1
2
3
4
5
6
n
n
n
n
n
n
A社
B社
富士通
C社
D社
その他
7.1%
4.5%
1
3.0%
2.8%
2.0%
80.6%
2
3
4
5
6
(出典:Gartner, Market Share: IT Services, 2010 31
March 2011)
ここに述べられたガートナーのレポート
(以下「ガートナーのレポート」
)
は、ガートナーのシンジケート購読サービスの一部として顧客向け
に発行されたデータ、リサーチ・オピニオンもしくは視点を表したものであり、事実を表現したものではありません。ガートナーの各レポー
トは、レポート発行時点における見解であり、本アニュアルレポート発行時点のものではありません。またガートナーのレポートで述べられ
た意見は、事前の予告なしに変更されることがあります。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
033
事業別レビューと今後の見通し
テクノロジーソリューション/サービス
Graph 1
2010 年世界 アウトソーシング
( iTマネジメント)市場シェア
(金額ベース)
1
2
3
4
5
6
n
n
n
n
n
n
A社
B社
C社
富士通
D社
その他
11.1%
6.8%
4.6%
1
4.4%
2
3.2%
69.9%
3
4
5
6
(出典:Gartner, Market Share: IT Services, 2010 31
March 2011)
市場動向
2010 年実績
ステムの導入や、事業継続、電力対策を
2010 年の国内 IT サービス市場は、前
意識したアウトソーシングサービスへ
年比1.6% 減の56.3 十億米ドルとなりま
のニーズが高まっています。今後、復興
g Graph 3 国内景気は回復の兆
した。 が進み企業業績の改善に伴いIT 投資の回
しを見せたものの、経済政策効果の一巡
復が期待されています。
や円高が一段と進んだことを受けて企
世界 IT サービス市場は前年比 3.5% 伸
業業績に対して慎重な見方が広がり、公
長の 604.8 十億米ドルと予測していま
共分野の投資抑制もあっ て国内 IT 投資
g Graph 2 英国政府の緊縮財政の
す。 は前年に引き続き抑制されました。
継続や欧州経済への不安が懸念されて
分野別では、システム構築の需要が前
いますが、北米や中国、オセアニアなど
年に引き続き落ち込みました。また、ア
の地域ではIT 投資が活発になると予想さ
ウトソーシングも市場規模の拡大は続
れ、市場を牽引すると見ています。
への要求が一段と強く、サービスのコモ
ディティ化に伴う価格競争の厳しさも
(十億米ドル)
800
584.0
604.8
632.8
664.1
695.9
400
200
0
ンピューティングのような新しい IT シ
いているものの、効率化、コストダウン
Graph 2
世界 iT サービス市場予測
600
一方で、震災復興に伴いクラウド・コ
2010
2011
2012
2013
2014
(出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2011)
あり、市場伸長率は緩やかなものにな
富士通の取り組み
2011 年 3 月期実績
りつつあります。
サービ ス
(ソ リュ ーション/ SI 、イ
世界 IT サービス市場は前年比 2.2% 増
ンフラサービス)の当期の売上高は 、2
g Graph 2
の584.0 十億米ドルでした。 兆4,195 億円(前期比4.8% 減)
となりま
欧州では、景気悪化に伴うIT 投資削減が
g Graph 4 為替影響を除くと1%
した。 続き、さらに英国政府の公共投資削減影
の減収です。
響もあり、市場は前年に続き減少してい
ソリューション/ Si:当期の売上高は、
ます。一方、北米市場はクラウド・コン
8,300 億円(前期比 0.7% 減)となりまし
ピューティングの広がりとともに IT 投
た。為替影響を除くと、1% の減収です。
資は回復傾向にあります。
国内の金融や社会基盤分野の一部で
大型商談があり投資回復が見られまし
2011 年見通し
Graph 3
国内 iT サービス市場予測
改商談が一巡した反動や、円高や政策効
年比1.8% 減の55.3 十億米ドルと予測し
果の反動を背景としたお客様の投資抑
(十億米ドル)
ています。g Graph 3
制、また東日本大震災により、お客様と
東日本大震災の影響を受け、製造工場
の契約や納品・検収の一部遅れなどの影
の被災や電力供給問題などによる製品・
響を受けました。
部材の供給不足からくる企業業績の先
インフラサービス:当期の売上高は 、1
行き不安や、公共分野の震災復興を優先
兆 5,895 億円(前期比 6.8% 減)
となりま
する動きから、国内のIT 市場規模は前年
した。為替影響を除くと1%の減収です。
80
60
56.3
55.3
56.6
58.0
59.5
40
20
0
2010
2011
2012
2013
2014
(出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2011)
034
た。一方、公共分野で大規模システム更
2011 年の国内 IT サービス市場は、前
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
に引き続き減少すると思われます。
事業別レビューと今後の見通し
テクノロジーソリューション/サービス
国内では 、アウトソーシングの需要
イ ン フ ラ サービ ス:ク ラ ウ ド・コ ン
が引き続き高いものの、公共分野での予
ピューティングを軸とした新しいサー
算縮減や東日本大震災の影響を受け、公
ビスの展開を進めます。
共向けサービスや保守ビジネスを中心
国内では、震災対応において自社のク
に減収となりました。また、海外は英国
ラウドサービスを活用した被災地の情
政府の緊縮財政政策の影響を受けたも
報管理システムの短期構築・提供の実現
のの、欧州大陸や北米では増収となりま
や、走行中のタクシーから収集した位置
した。
データを活用した道路交通情報サービ
営業利益は 1,173 億円(前期比 102 億
ス、ネットワーク経由で CAD システム
g Graph 5 国内で
円減)
となりました。 を利用する産業向けエンジニアリング
は減収影響に加え、クラウド関連の先行
クラウドサービスなどの提供を開始し
開発投資を進めましたが、会計基準変更
ています。これらに加え、震災以降シス
nnソリューション/ SI
nnインフラサービス
時差異の償却が前期で完了したことに
テムのバックアップや事業継続に対す
* セグメント間の内部売上高を含む
よる退職給付費用の負担減や費用削減
るお客様の意識が非常に高まっており、
により増益となりました。
データ セ ン ター を 中 心 としたア ウ ト
海外では、のれん代の一部償却完了や
ソーシングサービスの提案も活発化し
英国子会社の年金制度改定に伴う一時
ています。これら 、震災復興やクラウ
的な退職給付費用減があったものの、英
ド・コンピューティングの広がりに対
応し、新しい ICT 利活用による新サービ
ジェクトで長期サービス契約の解約に
スの提案を強化していきます。
伴い、一括費用処理したことにより赤字
海外では、従来の実績をベースに国内
となりました。
外を一体化する
「グローバル・インテグ
レーション」
を加速します。海外でのプ
今後の取り組み
ロジェクト管理体制を強化するため、社
ソリューション/ Si:国内におけるポ
長直下に国内外を担当するアシュアラ
ジションを磐石にするために、ソリュー
ン ス グ ループ を 新 設 し、不 採 算 プ ロ
ション提供機能の変革を進めてまいり
ジェクトの撲滅を図ります。また、クラ
ます。パッケージを活用した SaaS 型で
ウドの海外展開として「 Fujitsu Global
のクラウドサービスの提供、インフラ工
Cloud Platform 」を日本を含む世界 6 拠
業化によるハードウェア機器のセット
点に整備し、パブリッククラウド基盤の
アップ・納品のスピードアップにより、
提供を進めていきます。これにより、グ
システム構築の短期化と高品質化を図り
ローバルに均質なサービスを提供し、
ます。また、クラウド型システム構築に
国内、海外を問わず、全てのお客様のグ
対 応 したア プ リ ケーション フ レーム
ワークの適用拡大により、アプリケー
ローバル展開をICT の面から支援してい
きます。
(十億円)
3,000
2,419.5
2,470.1
2,541.8
1,558.5
1,706.0
889.3
911.5
835.8
830.0
2008
2009
2010
2011
1,739.5
1,589.5
2,000
1,000
0
(3 月 31 日に終了した会計年度)
Graph 5
営業利益、売上高営業利益率
(十億円)
(%)
200
12
168.6
150
143.3
127.5
117.3
5.0
4.9
6.8
100
5.5
9
6
50
3
2008
0
2009
2010
2011
0
(3 月 31 日に終了した会計年度)
n n営業利益(左目盛り)
売上高営業利益率(右目盛り)
Graph 6
設備投資額 *
(十億円)
100
80.5
86.9
80
74.0
67.2
2010
2011
60
ション開発の効率化を目指します。これ
40
らの取り組みを進めることで、標準化に
20
よる効率化を図り、システム構築のコス
0
ト削減とスピードアップを実現します。
2,628.9
PERFORMANCE
国政府向け商談の減収影響や一部プロ
Graph 4
売上高 * の主要製品別内訳
2008
2009
(3 月 31 日に終了した会計年度)
* テクノロジーソリューション全体
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
035
事業別レビューと今後の見通し
テクノロジーソリューション/システムプラットフォーム
テクノロジーソリューション/システムプラットフォーム
iCT の基盤となるシステムプロダクトとネットワークプロダクトで構成されています。システムプ
ロダクトは主に 、iT システムを構築するサーバ
(メインフレーム、uNiX 、基幹 ia サーバ、PC サーバ
など)
やストレージシステム、ミドルウェアなど、ネットワークプロダクトは、通信インフラを支え
る携帯電話基地局や光伝送システムなどが含まれています。
* テクノロジーソリューション全体
2011 年 3 月期の業績(前期比)
(十億円)
売上高
営業利益
設備投資額 *
594.8
45.5
67.2
(+1.2%)
036
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
(+19.5)
(–6.8)
事業別レビューと今後の見通し
テクノロジーソリューション/システムプラットフォーム
1WAY タワー型 PC サーバ
「 PRIMERGY TX140 S1」
基幹 IA サーバ
「 PRIMEQUEST 1800E2」
「 SPARC64 Ⅶ」
プロセッサ搭載の UNIX サーバ
「 SPARC Enterprise M3000」
OUr STrENGTh -強み
システムプロダクトは、世界でも数少ない自社製CPU を搭載
2010 年国内 サーバ市場シェア
(金額ベース)
n
n
n
n
n
n
富士通 24.4%
A社
19.6%
B社
16.6%
C社
16.4%
D社
9.3%
その他
13.7%
レーム、UNIX サーバに加え、クラウド・コンピューティング
などさらなる市場の拡大が期待される PC サーバ、さらに今後
6
1
5
も増え続ける大容量のデータを蓄積するストレージシステム
など、お客様のニーズに合わせた製品をグローバルに展開し
4
2
3
PERFORMANCE
1
2
3
4
5
6
した企業の基幹システムを支える高性能・高信頼のメインフ
ています。
ネットワークプロダクトは、当社の高い技術力、サポート力
を背景に、国内通信キャリア向け光伝送システム、携帯電話基
地局で高いシェアを持っています。また、競争が激しい北米市
(出典:IDC Japan, Japan Server Quarterly Model
Analysis, 2011 Q1)
場でも、当社の高い技術力、実績などが評価され、光伝送シス
テムでは、シェア No.1 を誇っています。
2010 年北米 光伝送市場シェア
(金額ベース)
1
2
3
4
5
6
7
n
n
n
n
n
n
n
富士通 19.8%
A社
16.4%
B社
15.3%
C社
12.6%
D社
10.7%
E社
7.7%
その他
17.5%
7
1
6
2
5
4
3
(出典:Ovum, Market Share: 1Q11 ON Global,
June 2011)
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
037
事業別レビューと今後の見通し
テクノロジーソリューション/システムプラットフォーム
Graph 1
市場動向
2010 年世界 サーバ市場シェア
(金額ベース)
1
2
3
4
5
6
n
n
n
n
n
n
A社
B社
C社
D社
富士通
その他
2010 年実績
31.8%
30.1%
14.6%
6.7%
5
4.6%
6
1
4
12.2%
3
2
(出典:IDC Worldwide Quarterly Server Tracker
2011 Q1)
Graph 2
世界 サーバ市場予測
(十億米ドル)
60
52.3
52.6
53.3
53.8
53.9
サーバ市場は、前年比7.7% 減の5.5 十億
ます。g Graph 2
米ドルとなりました。景気後退の影響が
ネットワークプロダクト:2011 年の国
残り、市場は縮小傾向となったものの、
内通信機器市場は、NGN 関連投資は一巡
前年の大幅なマイナス成長と比べると
したものの、LTE の展開が本格化し、震
下げ幅は縮小しました。メインフレー
災対応の投資も見込まれるため、市場は
ムやUNIXサーバなどは落ち込んだもの
前年より若干上回ると見込んでいます。
の、PC サーバは好調な情報サービス業
一方、北米の光伝送市場は、LTE の展
を中心に出荷が増加し、プラス成長にな
開、ネットワークのIP 化、およびデータ
りました。
トラフィック増に対応したモバイルバッ
世界サ ーバ市場は 、前年のマイナス
クホールなどのバックボーン増強に向
成長から大きく回復し 、前年比 11.7%
けた投資が 2011 年も継続すると見込ま
増の 52.3 十億米ドルと拡大しました。
れています。また、ブロードバンド振興
g
策に向けた投資も見込まれており、前年
Graph 2
ネットワークプロダクト:2010 年の国
2010
0
2011
2012
2013
2014
Graph 3
北米 光伝送市場予測
(百万米ドル)
6,000
5,403
3,987
4,465
5,673
0
2010
2011
2012
2013
2014
(出典:Ovum, ON Market Forecast: 2011–16,
June 2011)
038
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
2011 年 3 月期実績
システムプラットフォーム
(システム
ラ市場は、
(株)
NTT ドコモの LTE の投資
プロダクト、ネットワークプロダクト)
がスモールスタートであっ たことや 、
の当期の売上高は、5,948 億円(前期比
3G の投資も一巡したことで前年を下回
g Graph 4
1.2% 増)となりました。 りました。
システムプロダクト:当期の売上高は 、
北 米 の 光 伝 送 市 場 は 、データ ト ラ
3,265 億円(前期比 3.9% 増)と増収とな
フィック増への対応に向けたモバイル
りました。国内では、前期に公共分野に
バックホールなどのバックボーンへの
おいて大型商談があった反動や、大震災
投資は堅調に推移し 、前年を上回りま
により PC サーバを製造している富士通
した。
アイソテックの本社工場(福島)
が被災
し、一時的に生産が停止した影響などの
2011 年見通し
2,000
富士通の取り組み
り前年を上回りました。モバイルインフ
4,912
4,000
を上回ると見込んでいます。g Graph 3
内通信機器市場は 、NGN 関連の投資一
機器はトラフィック増対応の投資によ
(出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2011)
ものの 、欧州市場が伸び悩み 、前年比
0.6% 増の 52.6 十億ドルを見込んでい
年を下回りましたが、ルータなどの IP
20
や北米市場での投資拡大が見込まれる
シ ス テ ム プ ロ ダ ク ト:2010 年 の 国 内
巡により 、WDM などの光伝送機器は前
40
世界サーバ市場は 、中国など新興国
減収要因がありましたが、次世代スー
シ ス テ ム プ ロ ダ ク ト:2011 年 の 国 内
パーコンピュータシステムを構成する
サーバ市場は、東日本大震災による直接
専用サーバの量産による売上などで増
的な被災地のダメージと、電力不足、部
収となりました。国内サーバ市場がマ
品不足、景況悪化といった国内全体に与
イナス成長となる中、当社は多くのお客
える影響により、前年比 13.2% 減の 4.7
様のご支持をいただき、4 年連続の首位
十億米ドルと大幅な縮小が見込まれて
を獲得しました。
います。大震災を契機に、企業のコスト
海外は、各地域で PC サーバが堅調に
削減、節電志向が高まり、サーバ集約に
推移したものの、UNIX サーバの出荷が
よる台数削減の傾向が強まると見られ
伸び悩んだことや、為替の影響により減
ています。
収となりました。
事業別レビューと今後の見通し
テクノロジーソリューション/システムプラットフォーム
ネットワークプロダクト:当期の売上
PC サーバやストレージでは 、ドイツ
高は、2,682 億円(前期比 1.8% 減)と減
の FTS との業務統合により、商品仕様を
収となりました。
グローバルで統一し 、開発効率の向上
光伝送システムは、北米がモバイル
とコストダウンを進めます。販売台数の
バックホールなどのバックボーン増強
多い日本や欧州市場でさらなるシェア
に向けた投資拡大の恩恵を受けて売上
拡大を図るとともに 、成長市場である
増となるとともに、国内も前期比売上増
新興国、世界最大の市場である北米での
となったことで増収となりました。
拡販を進めるためパートナーチャネル
モバイルシステム/ネットワークソ
を開拓し 、グローバルでのシェア拡大
リューションは、スマートフォンの普
を 目 指 します。ソ フ ト ウェア では 、
及 によるト ラ フィ ック 増 に 対 応 した
PaaS( Platform as a Service )領域の新
ルータの売上増や、LTE のサービス開始
しい商品の提供、特に重点分野であるク
nnシステムプロダクト
nnネットワークプロダクト
に合わせLTE 対応基地局の導入が始まっ
ラ ウ ド に 投 資 を 集 中 します。また 、
* セグメント間の内部売上高を含む
たものの、3G への投資削減による3G 基
UNIX サーバについては、オラクル社と
地局の大幅な売上減により、減収となり
の協業によりトータルな製品力を強化
Graph 4
売上高 * の主要製品別内訳
(十億円)
800
335.7
600
337.9
ネットワークプロダクト:クラウド時
テムのコストダウンや、前期に富士通テ
代を迎え 、情報とネットワークの融合
クノロジー・ソリューションズ
(以下、
がより進む中で、ネットワークプロダ
FTS )の連結子会社化に伴う一時的な費
クトの位置づけはより一層重要なもの
20
用負担があっ たことで、増益となりま
となっています。近年、売上の減少、開
10
した。g Graph 5
発費の増加により、収益面では非常に厳
0
益体質に転換しています。次の成長ス
テージに向け、ネットワークを活用し
今後の取り組み
た新たなビジネス領域を開拓するとと
システムプロダクト:より豊かで安心
もに、グルーバルでの売上拡大を図るこ
できる社会を築く上で 、ICT の役割は拡
とで、収益の改善を目指します。光伝送
大しており、それを支えるサーバやス
システムでは、国内市場でのポジション
トレージ、ソフトウェアなど基盤製品
を向上させるとともに、北米を中心とす
314.3
326.5
2009
2010
2011
(十億円)
45.5
50
7.7
37.7
40
32.5
30
5.6
25.9
(%)
10
8
6
5.3
4.4
PERFORMANCE
ロダクトは、PCサーバ、ストレージシス
となりました。
302.0
Graph 5
ネスに貢献します。
米市場を中心とした売上拡大により、利
268.2
営業利益、売上高営業利益率
円増)
と増益になりました。システムプ
ストダウンによる粗利改善により、増益
273.1
317.1
(3 月 31 日に終了した会計年度)
想化ソリューションで 、お客様のビジ
の改革による徹底したコストダウン、北
2008
0
し 、最先端のテクノロジー と豊富な仮
国内の光伝送システムの増収効果や、コ
594.8
200
営業利益は、455 億円(前期比 195 億
しい状況が続きましたが、開発プロセス
587.4
619.1
400
ました。
ネットワークプロダクトは、北米/
673.6
4
2
2008
2009
2010
2011
0
(3 月 31 日に終了した会計年度)
n n営業利益(左目盛り)
売上高営業利益率(右目盛り)
Graph 6
設備投資額 *
(十億円)
100
80.5
86.9
80
の役割は非常に重要なものとなってい
るグローバルキャリアのアウトソーシ
60
ます。また 、ICT の柔軟な活用を可能と
ング、グローバル展開商談の獲得を目指
40
するクラウド・コンピューティングに
します。
20
ついては 、それを支える高信頼・高品
モバイルシステムは、
(株)
NTTドコモ
質のプロダクトが求められます。当社
向けLTEビジネスを確実に遂行するとと
は、長年培っ たミッションクリティカ
もに、当社の強みであるLTE 基地局や他
ル技術はもとより 、仮想化、グリーン
社 との 連 携 によるトータ ル ソ リュ ー
ICT 、セキュリティ等、最先端技術を備
ションの提供、付帯するサービスの展
えたプラットフォームを提供していき
開を行うことで 、ビジネスの拡大を目
ます。g Graph 6
指します。
0
2008
2009
74.0
67.2
2010
2011
(3 月 31 日に終了した会計年度)
* テクノロジーソリューション全体
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
039
事業別レビューと今後の見通し
ユビキタスソリューション
ユビキタスソリューション
パソコンや携帯電話のほか 、オーディオ・ナビゲーション機器などのモバイルウェアにより構成
されています。パソコンは、従来のデスクトップ型・ノートブック型に加え、スレートPC など幅広
いラインナップを、携帯電話では従来のフィーチャーフォンに加え、スマートフォンを提供してい
ます。モバイルウェアは、自宅のパソコンで簡単に最新の地図に更新ができるカーナビをはじめ、
「ツナガル」製品で多様なニーズにお応えします。
2011 年 3 月期の業績(前期比)
(十億円)
売上高
営業利益
設備投資額
1,125.6
22.6
15.5
(+0.5%)
040
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
(–18.0)
(+4.4)
事業別レビューと今後の見通し
ユビキタスソリューション
「 FMV らくらくパソコン 4」
ポータブルナビゲーション
「 EP001」
パソコンが手のひらサイズに!
「 Windows®7 ケータイ F-07C 」
OUr STrENGTh -強み
パソコンは、品質に強くこだわった高付加価値製品を提供し
2010 年国内 パソコン市場シェア
(台数ベース)
n
n
n
n
n
n
n
A社
18.4%
富士通 18.4%
B社
10.9%
C社
9.1%
D社
8.8%
E社
6.1%
その他
28.2%
メイドまで、島根富士通で一貫製造しています。またデスク
トップPCは、海外より部品を調達し、国内は富士通アイソテッ
1
7
ク、海外は欧州向けを中心にドイツの富士通テクノロジー・ソ
2
6
5
携帯電話では、防水機能のついたスマートフォンや 、見やす
3
4
リューションズにおいて組立・カスタムメイドしています。
PERFORMANCE
1
2
3
4
5
6
7
ています。ノートブックPC は、設計から製造・組立・カスタム
さ・聞きやすさ・使いやすさを追求した
「らくらくホンシリー
ズ」
など、先進性の高い高品質のモバイル機器を販売していき
(出典:Gartner, Quarterly Statistics: Personal
Computers by Major Market; Worldwide by Region,
1Q11 Update 13 May 2011)
ます。モバイルウェアは、長年培った車載技術を活かし、カー
ナビゲーションをはじめ自動車用電子機器などにより、安全
安心で快適なカーライフを提供しています。
2010 年国内 携帯電話市場シェア
(台数ベース)
1
2
3
4
5
6
n
n
n
n
n
n
A社
24.6%
富士通 17.1%
B社
13.9%
C社
12.5%
D社
11.4%
その他
20.5%
6
1
5
2
4
3
(出典:IDC Japan, Japan Quarterly Mobile Phone
Tracker, 2011Q1)
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
041
事業別レビューと今後の見通し
ユビキタスソリューション
Graph 1
市場動向
国内 携帯電話市場予測
2010 年実績
(千台)
40,000
36,243
35,735 35,790
35,045
34,480
30,000
20,000
10,000
2010
0
2011
2012
2013
2014
(出典:IDC Japan, Japan Quarterly Mobile Phone
Tracker, 2011Q1)
※ 上記の数字は各年度末(3 月31 日)
時点のものです。
Graph 2
2010 年世界 パソコン市場シェア
(台数ベース)
1 n A社
2 n B社
3 n C社
4 n D社
5 n E社
6 n F社
7 n G社
8 n H社
9 n I社
10 n 富士通
11 n その他
なっています。この結果、世界パソコン
市場は 2010 年ほどの伸びは期待でき
ず、前年比 10.5% 増の 3 億 8,779 万台と
2010 年の国内パソコン出荷台数は前
予想されています。
年比 16.1% 増の 1,610 万台となりまし
携帯電話については、2011 年の国内
た。個人市場では小型低価格ノートブッ
出荷台数を 3,573 万台と、前年比減を見
ク PC は低迷しましたが、Windows®7 の
込んでおり、これはスマートフォン市
市場投入による市場活性化が寄与し増加
場が大きく拡大する反面、フィーチャー
しました。法人市場は景気回復で民間企
フォン市場が縮小するためです。
業の買い替えが進んだことにより増加
世界のカーナビゲーションシステム
しました。一方世界パソコン市場は、前
出荷台数については、世界金融危機後の
年比13.8% 増の3 億5,089 万台となりま
先進国・新興国での景気対策の効果が
した。新興国での高い伸びと、先進国で
薄れつつあるものの 、引き続き新興国
の民間企業の需要回復、Windows®7 の
での需要拡大が見込まれることから 、
投入効果も全体を押し上げました。
前年比 6.6% 増の 994 万台と予想されて
携 帯 電 話 の 国 内 出 荷 台 数 は 前 年 比
g Graph 3
います。 6.8% 増の 3,624 万台と な り ま し た 。
17.9%
13.0%
12.0%
9.7%
11
5.4%
5.4% 10
9
4.1% 8
3.2%
7
6
5
2.3%
Graph 1
g
こ れ は 2010 年 に 入 り 、
通信キ ャ リア各社か ら アンドロイド
1
2
3
4
1.6%
25.4%
(出典:Gartner, Quarterly Statistics: Personal
Computers by Major Market, Worldwide by Region,
1Q11 Update 13 May 2011)
OS 搭載のスマー トフォ ンが積極的に
富士通の取り組み
2011 年 3 月期実績
販売されていることによるものです 。
ユビキタスソリューションの当期売
世界のカーナビゲーションシステム
上高は 1 兆 1,256 億円(前期比 0.5% 増)
出荷台数は前年比 17.7% 増の 932 万台
g Graph 4
となりました。 g Graph 3 エコカー減
となりました。 パソコンについては 、国内では景気
税や補助金による新車販売台数増加、新
回復に伴いパソコンの買い替えが進み
興国での需要拡大によるものです。
ましたが 、前期に教育用パソコンの需
要が増加した反動や 、製造工場の被災
2011 年見通し
パソコンは国内個人市場では、震災に
た海外は欧州でのデスクトップ PC は堅
世界 カーナビゲーションシステム
需要動向予測
よる消費自粛ムードによる買い控え影
調でしたが 、米国やアジアなどで販売
響があり、前年比減少が見込まれます。
が伸び悩んだことで 、全世界の出荷台
(千台)
国内法人市場についても震災後、景気停
数は前期比3.7% 減の542 万台となりま
滞による投資先送りの結果、パソコンの
した。
Graph 3
15,000
12,000
9,940
10,884
11,701
12,662
リプレース延期による減少が見込まれ
携帯電話は2010 年10 月1 日に
(株)東
9,000
ます。このことから日本市場は若干の
芝の携帯電話事業を統合するための新
6,000
減少が予想されます。一方、海外では、
会 社 を 設 立 し、当 社 が 新 会 社 株 式 の
3,000
法人市場については、引き続き堅調な需
80.1%を取得しました。国内携帯電話出
要が見込まれますが、個人市場について
荷台数は統合効果やスマートフォンが
は、タブレット型端末に代表されるパソ
好調に推移し、前期比29.4% 増の670 万
コンに変わるデバイスのニーズが強く
台となりました。
9,322
0
2010
2011
2012
2013
2014
(出典:一般社団法人 電子情報技術産業協会「 AV 主要
品目世界需要動向」2011 年 2 月)
042
による操業停止影響がありました。ま
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
事業別レビューと今後の見通し
ユビキタスソリューション
モバイルウェアは、国内では上半期に
売戦略を展開します。北米では、医療、
エコカー減税や補助金により新車販売
教育などの分野でスレート PC の伸長を
が増加しましたが、下半期は補助金制度
見込んでいます。アジア・パシフィッ
の終了、単価の下落、震災影響により失
ク、中国では、中国を中心とした個人市
速し 、オーディオ・ナビゲーション機
場向けのボリューム製品の販売を強化
器売上は減少となりました。
していきます。
営業利益は226 億円で前期比180 億円
携帯電話は、使いやすさにも機能にも
g Graph 5 国内
の減益となりました。 こだわ っ た 防 水 コ ン パ ク ト ス マート
では、パソコンは前期の教育用パソコン
フォン
「 F12-C 」
や、シニア層を中心にロ
300
需要の反動や震災による影響、携帯電話
ングヒット商品となっている
「らくらく
0
ではスマートフォンやLTE 端末等、高機
ホンシリーズ」
を展開していきます。今
能品の開発投資による費用増、モバイル
後はさらにセキュリティ機能、防水機
n nPC /携帯電話
nnモバイルウェア
ウェアは補助金終了や震災による減収
能、防塵機能などを強化し、他社との差
* セグメント間の内部売上高を含む
影響がありました。一方海外では、前期
別化を図るとともに、急速に進むスマー
の私的複製補償金に関する権利団体との
トフォン化とグローバル展開に備えて、
和解に伴う一時的な費用減少の反動があ
開発体制の強化と効率化を加速します。
りましたが、グローバル製品ブランド統
モバイルウェアは、スマートフォン
合によるコストダウン効果と費用削減
と連携したカーナビゲーションシステ
により、損益改善を進めました。
ム ECLIPSE シリーズ
「 AVN-F01i 」等、ICT
を活用した車から社会と人がつながる
パソコンの国内個人向けでは、利用
(十億円)
1,500
1,206.7
1,200
376.0
325.8
900
830.6
600
2008
「 LIFEBOOK TH シリーズ」や、美しい画
質や臨場感溢れる音が体感できる液晶
1,125.6
302.5
283.1
817.1
842.5
2009
2010
2011
(3 月 31 日に終了した会計年度)
Graph 5
営業利益、売上高営業利益率
(十億円)
(%)
12
90
74.3
8
60
6.2
40.6
29.8
30
3.0
シーン に 合 わせてタッチ 操 作 とキー
ボード入力を切り替えることができる
1,119.6
676.2
高付加価値製品の販売を拡大していき
ます。
1,002.1
2008
0
2009
3.6
22.6
PERFORMANCE
今後の取り組み
Graph 4
売上高 * の主要製品別内訳
4
2.0
2010
2011
0
(3 月 31 日に終了した会計年度)
n n営業利益(左目盛り)
売上高営業利益率(右目盛り)
一体型デスクトップパソコン
「 ESPRIMO
FH シリーズ」を展開します。また「 FMV
らくらくパソコンシリーズ」
でシニアの
お客様やパソコン初心者のお客様向け
Graph 6
設備投資額
の需要を開拓していきます。法人向けで
は、パソコン電源オフ時や休止状態時に
必要以上の電力供給をカットする機能
や電力の平準化を実現するピークシフ
(十億円)
25
20
ト機能を搭載、また新開発の非接触型の
15
手のひら静脈認証を使うなど、省電力化
10
機能やセキュリティを強化することで、
5
高付加価値製品を拡販していきます。欧
0
州では、引き続き法人向けの高品質、付
19.6
17.7
15.5
11.0
2008
2009
2010
2011
(3 月 31 日に終了した会計年度)
加価値製品に重点を置き、採算重視の販
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
043
事業別レビューと今後の見通し
デバイスソリューション
デバイスソリューション
デバイスソリューションは、lsi と電子部品で構成されています。当社グループの半導体事業会社
である富士通セミコンダクター がデジタル家電や自動車、携帯電話、サーバなどに搭載される lsi
を提供しています。また、上場連結子会社である、新光電気工業、富士通コンポーネント、fdK など
が半導体パッケージをはじめとする電子部品のほか、電池、リレー、コネクタなどの機構部品を提
供しています。
2011 年 3 月期の業績(前期比)
(十億円)
売上高
営業利益
設備投資額
630.6
20.9
39.4
(+7.0%)
044
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
(+30.0)
(+7.4)
事業別レビューと今後の見通し
デバイスソリューション
静止画も動画も美しく!第 6 世代「 Milbeaut
(ミルビュー)」
イメージングプロセッサ
スマートフォンなどのモバイル機器向けの
RF パワーアンプ用の電源 IC「 MB39C326」
ARM 社製CortexTM-M3 コアを採用した新 32 ビット
マイコン
「 FM3 ファミリ」第二弾
OUr STrENGTh -強み
富士通セミコンダクター は、
「モバイル」
「 自動車」
「 映像機器」
「 ハイパフォーマンス
(産業機器)」の 4 分野
を注力分野とし、お客様の多様なニーズに対し高信頼かつ最適なソリューションを提供しています。画像、
無線、セキュリティ分野などを中心に幅広いアプリケーションで実績を誇る一方、低消費電力化を推し進
め、環境課題にも重点的に取り組んでいます。国内はもとより米州、欧州、アジア地域で開発および販売の
拠点を持ち、グローバルに活動を広げています。また、次世代スーパーコンピュータ * 用の CPU の開発に同
PERFORMANCE
社の高い技術が活かされています。
2011 年 3 月に発生した東日本大震災では、富士通セミコンダクター の東北における 5 拠点が直接被災し
ましたが、業界でも異例の早さで工場の復旧を果たしました。同社は、過去に経験した震災における教訓を
活かし、同社拠点における半導体装置の耐震対策、二社購買やマルチファブ化を含む BCP 策定、耐震・免震
のための補強工事、模擬災害訓練の実施など、災害時の早期復旧策に日頃から取り組んできました。その成
果として、今回の災害でも、装置への被害を最小限に抑えることができたほか、早い段階から縦型炉に免震
装置を採用したことなどにより、重要な部品の破損を防ぐことができました。
* 次世代スーパーコンピュータについては、061 ページに「次世代スーパーコンピュータ出荷ストーリー」を掲載しています。
大成建設開発
免震構造を採用している富士通セミコンダクター
三重工場
縦型炉に設置した免震装置
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
045
事業別レビューと今後の見通し
デバイスソリューション
Graph 1
市場動向
2011 年 3 月期 ロジック lsi 製品
アプリケーション別売上高比率
1
2
3
4
5
6
7
n
n
n
n
n
n
n
2010 年実績
AV /民生
2010 年の世界半導体市場は 2,983 億
情報機器
自動車
携帯電話
通信機器
産業機器
その他
5
6 7
1
4
3
2
減となっ た 2009 年から大幅に回復し、
g Graph 2 地
に拡大する見込みです。 これまでで最大の市場規模となりまし
域別で見ると、米州が前年比 8.2% 増 * 、
g Graph 2 2008 年の下半期から
た。 比で約 30% 縮小しましたが、以降、ス
400
300
298.3
160.0
171.5
338.3
181.9
356.6
191.7
100
0
47.9
50.1
41.1
45.4
58.0
63.0
2011
2012
46.5
43.6
38.0
53.6
2010
n米州
n欧州
域別では唯一のマイナス成長を予測して
か、自動車関連市場も順調に拡大し、
います。
2010 年の夏まで市場は順調に回復しま
製品別で見ると、メモリ
( DRAM 、フ
たが 、薄型テレビやフィーチャーフォ
ン市場は在庫増に伴う生産調整局面に
地域別にみると、日本市場は、2010
ラッシュメモリなど)
の市場規模が前年
(前年比 55.4% 増)の反動を受けて若干
のマイナス成長(前年比 2.7% 減)
* とな
る見込みですが、ロジック
(前年比5.6%
増)
(前年比11.7% 増)
* 、MOSマイクロ
*
など、その他はいずれも堅調に成長を続
48.0
ける予測です。
66.7
コポイント制度などの政府による購入
支援策が市場の回復を牽引したほか、年
2012 年以降は、2012 年は市場規模が
2013
n日本
nアジア・パシフィック
間を通じてスマートフォンが好調に推
移 し、前 年 比 21.6% 増 * と 拡 大 しまし
た。しかし、2011 年3 月の東日本大震災
で東北および関東地方を拠点とする各
社の半導体生産設備が被災したことに
より、自動車関連などを主として供給が
滞り、世界市場に大きな影響を与えまし
た。その他、全地域において年間で前年
比20% 増を超える成長率*を達成しまし
たが、特に米国やアジアでは世界金融危
機以前の市場規模を大きく超え、力強い
回復が見られました。
FUJITSU LIMITED
た東日本大震災の影響もあり、自動車向
年前半はエコカー減税・補助金、家電エ
(出典:WSTS( WORLD SEMICONDUCTOR TRADE
STATISTICS:世界半導体市場統計))
046
います。日本市場は2011 年3 月に発生し
けや家電向けなどを中心に落ち込み、地
入るなどして伸び悩みました。
200
ア・パシフィックが7.2% 増*と予測して
ト PC などが世界的に好調に推移したほ
ン、タブレット PC が堅調に推移しまし
314.4
欧州が 8.0% 増 * 、日本が 6.2% 減 * 、アジ
マートフォンや薄型テレビ、タブレッ
した。夏以降も引き続き、スマートフォ
(十億米ドル)
やスマートフォンの普及が世界的に進
むことなどに牽引され、市場規模はさら
の 1 − 3 月期は世界市場規模が前年同期
世界 地域別半導体市場予測
ドル
(前年比5.4% 増)
*と、タブレットPC
ドル
(前年比31.8% 増)
*と、前年比9.0%
始まった世界金融危機の影響で2009 年
Graph 2
2011 年見通し
2011 年の世界半導体市場は 3,144 億
ANNUAL REPORT 2011
3,383 億 ド ル(前 年 比 7.6% 増)* 、2013
年は 3,566 億ドル
(前年比 5.4% 増)と 、
緩 やかな 成 長 が 継 続 し、2011 年 から
2013 年の年平均成長率は6.1%* となる
ものと予測しています。
* 世界半導体市場統計( WSTS )2011 年春季半導体市場
予測より。
事業別レビューと今後の見通し
デバイスソリューション
富士通の取り組み
2011 年 3 月期実績
当期の売上高は、6,306 億円(前期比
商品企画から製品開発、マーケティン
グ、顧客サポートまでを実施できる体制
を整えています。今後、現地採用の技術
者を中心に人員を増強するなど、中国市
7.0% 増)となりました。国内は 8.9% の
場のニーズに密着したソリューション
g Graph 3 LSIは次
増収となりました。 の提供を強化していくとともに、中国
世代コンピュータシステム用 CPU の量
拠点をベースとした他の新興国への展
産による売上、スマートフォン市況の好
開も進めていきます。
Graph 3
売上高 * の主要製品別内訳
(十億円)
1,000
880.1
650.1
589.0
354.9
247.9
600
530.8
271.4
406.6
400
343.7
2010
2011
調に牽引された携帯電話や、自動車向け
さらに、顧客起点の商品開発にも注力
を中心とした所要回復により増収にな
していきます。マイコンでは、業界標準
0
りました。電子部品はFDKによるニッケ
である英国アーム社のプロセッサ・コ
ル水素電池事業の買収効果がありまし
ア
「 ARM CortexTM-M3」
を採用した
「 FM3
n nLSI
nn電子部品
た。海外は、LSIでアジア、欧州および米
ファミリ」の提供により、家電、セキュ
* セグメント間の内部売上高を含む
国向けともに増収になり、4.7% の増収
リティ、医療、エネルギー分野などを中
になりました。電子部品は、前期に通信
心に、特に海外市場におけるニーズに応
えていくほか、低消費電力タイプの製品
た影響があったものの、米国向けを中心
ラインナップを今後拡充する予定です。
としてパソコンなどの市場拡大に伴い
豊富な実績・ノウハウのある独自コアの
商品と合わせ、多様な顧客のニーズに合
電池事業の買収効果もありました。
わせた商品展開を行います。
営業利益は 209 億円と、前期比 300 億
また 、窒 化 ガ リ ウ ム
( GaN )基 盤 を
g Graph 4 LSI
円の改善になりました。 使っ たエネルギー効率の高いパワーデ
は全四半期を通じて黒字を達成しまし
バイスの提供を 2014 年 3 月期の本格的
た。国内で、震災による操業停止の影響
な量産を目指して開始します。シリコン
を受けましたが、2010 年 3 月期に実施
を素材とする従来のパワーデバイスと
した製造体制の再編や間接業務の効率
比べ 、電力損失を 3 分の 1 に低減できる
化により固定費を圧縮したほか、震災前
ため 、様々 な電子機器の消費電力を大
まで国内工場の稼動率が高い水準を維
幅に小さくできる技術として期待され
持していたことによるものです。電子
ています。
部品も増収効果やコストダウンの推進
40nm 以降の最先端テクノロジー に
により増益になりました。海外では、
関しては、台湾セミコンダクター・マ
LSI 、電子部品ともに、為替影響による
ニュファク チャリ ン グ・カ ン パ ニー
悪化を増収効果とコストダウンが上回
( TSMC )
に生産委託をし、ファブライト
りました。
モデルを展開していますが、40nmに続
Graph 4
営業利益(損失)
、売上高営業利益率
(十億円)
10
20.9
19.2
3.3
15
2.2
0
5
0
–11.7
–75.8
2008
–80
2009
–1.5
–9.0
2010
2011
–15
(3 月 31 日に終了した会計年度)
n n営業利益(損失)
(左目盛り)
売上高営業利益率(右目盛り)
Graph 5
設備投資額
(十億円)
150
120.9
120
90
途の 28nm テクノロジー の早期市場投
60
LSI 事業においては、新興国を中心と
入を目指して、同社とともに開発を進め
30
したグローバルなビジネス展開をさら
ています。
に進めていきます。特に、今後の成長が
(%)
30
き、次世代のハイパフォーマンス製品用
今後の取り組み
2009
(3 月 31 日に終了した会計年度)
PERFORMANCE
半導体パッケージが増収となったほか、
2008
288.5
320.0
200
デバイス事業を太陽誘電(株)へ譲渡し
630.6
800
0
42.8
2008
2009
31.9
2010
39.4
2011
(3 月 31 日に終了した会計年度)
期待できる中国市場においては、現地で
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
047
2011 年 3 月期の主な発表と IR 活動
2010年
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
テクノロジーソリューション
2010 年 4 月 1 日
2010 年 4 月 22 日
2010 年 5 月 12 日
2010 年 4 月 5 日
2010 年 4 月 23 日
2010 年 5 月 28 日
2010 年 5 月 7 日
2010 年 7 月 12 日
人工衛星を利用したアジア太平洋域災害管理
システム
「センチネルアジア STEP2」が本稼動
農業分野向けクラウドサービスを提供開始
2010 年 4 月 7 日
香川大学と富士通、特別な支援を必要とする
子ど も た ち へ の携帯電話活用の実証実験を
開始
高信頼な共通クラウド・プラッ トフォー ムを
全世界に展開
富士通トラステ ッ ド・クラウド・スクエアを
開設
カラー電子ペー パー の性能を飛躍的に向上
2010 年 4 月 21 日
(株)アマダが保守サ ー ビス革新に向けて富士
通のクラウドサービスを活用
富士通と(株)セー ルスフォース・ドットコム
がグローバルで包括的協業
インドネシア国内海底ケーブルネットワーク
の建設を完了
富士通とマイクロソフト社が戦略的協業によ
り、クラウドの世界戦略を強化
2010 年 8 月 2 日
「 JOC アジアビジネス本部」を新設し、日本のお
客様のアジアビジネス拡大を強力にサポー ト
開発品
従来品
2010 年 8 月 25 日
(株)王将フー ドサ ー ビス、手のひら静脈認証
技術を採用した入退室システムを導入
ユビキタスソリューション
2010 年 4 月 13 日
企業向けパソコン
「 ESPRIMO 」
「 LIFEBOOK 」の
ラインナップを一新
2010 年 5 月 18 日
携 帯 電 話「 docomo STYLE series TM F-07B 」
新発売
2010 年 4 月 26 日
2010 年 6 月 1 日
携 帯 電 話「 docomo PRIME
seriesTM F-06B 」新発売
2010 年 5 月 11 日
カー ナビ
「 ECLIPSE 」
2010 年夏モデルAVN3
2010 年 7 月 21 日
業界初 バーチャルなカメラ画像を確認できる
リアルタイムシミュレー タを開発
機種発売
2010 年 10 月 1 日
富士通・
(株)東芝の携帯電話事業の統合会社
発足について
携帯電話「らくらくホン 7」
新発売
デバイスソリューション
2010 年 4 月 20 日
低電圧動作可能な「 8 ビッ トマイコン 3 シリー
ズ」18 製品を新発売
2010 年 7 月 26 日
2010 年 10 月 4 日
2010 年 5 月 27 日
C ∼ Ku 帯で世界最高出力となる窒化ガリウム
HEMT 増幅器を開発
2010 年 8 月 19 日
車載向け高性能グラフィッ クス機能搭載「シ
ステムコントロー ラー LSI 」を新発売
世界最高出力のミリ波 W 帯向け窒化ガリウム
HEMT 送信用増幅器の開発に成功
2010 年 6 月 2 日
世界で初めて、次世代通信方式 LTE に
対応 マルチモ ード、マルチバンド対
応 SAW フ ィ ル ター 不 要 RF「ト ラ ン
シー バ LSI 」を製品化
その他
2010 年 4 月 15 日
「第 6 期富士通グルー プ環境行動計画」を策定
2010 年 5 月 20 日
世界初!量子ド ッ トレー ザー で毎秒 25 ギガ
ビッ トの高速デー タ通信を実現
国内初!企業活動による生物多様性への影響
と貢献度を定量評価する活動を開始
2010 年 5 月 28 日
スーパーコンピュータによる量子化学の計算
で世界初の記録を達成
ir活動
2010 年 3 月 31 日
2010 年 6 月 21 日
第 110 回定時株主総会
2010 年 7 月 29 日
2011 年 3 月期第 1 四半期連結決算説明会
2010 年 4 月 30 日
2010 年 3 月期連結および単独決算説明会
2010 年 7 月 9 日
2010 年 10 月 27 日
2011 年 3 月期第 2 四半期連結決算説明会
研究開発戦略説明会
048
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
経営方針説明会
2011 年 3 月期の主な発表とir 活動
11月
12月
2011年
2010 年 9 月 14 日
ヤマトグルー プの業務システムの一部をプラ
イベー トクラウドで構築
2010 年 9 月 21 日
トヨタ・モ ー タ ー・コ ー ポレー ショ ン・オー
ストラリアにおけるICT アウトソーシング商談
を獲得
2010 年 9 月 27 日
ICT インフラをオンデマンドで利用できるパブ
リッ ク型クラウドの商用サービスを提供開始
2010 年 9 月 28 日
「次世代スー パーコンピュー タ」を出荷開始
2010 年 11 月 15 日
フィンランド第三の都市・タンペレ市周辺8 自
治体の ICT アウトソーシング商談を獲得
2010 年 11 月 16 日
携帯電話「 docomo PRIME seriesTM F-01C 」新
発売
2月
3月
4月
2010 年 11 月 24 日
2010 年 12 月 17 日
2010 年 12 月 2 日
2011 年 2 月 9 日
中小規模システム向けブレードサーバ
「 PRIMERGY BX400」新発売
富士通とオラクル社 、新プロ
セ ッ サ を 搭 載 し た「 SPARC
Enterprise M シ リ ー ズ」を
提供
2010 年 12 月 7 日
ネッ ト ワ ー ク 事 業 の 体 質 強
化について
富 士 通 とボ ー イ ン グ 社、航 空 機 の 整 備 業 務
サービスで戦略的協業を締結
富士通とオラクル社、数十年にわたる協調関
係のさらなる強化を実施
2011 年 2 月 28 日
オーストラリアでパブリック型クラウドサー
ビスを提供開始
2010 年 12 月 15 日
ディス ク ア レ イ
「 ETERNUS DX400/DX8000
series 」が「 VMware vSphere 4.1 」の「 VAAI 」
に対応
2010 年 12 月 10 日
携帯電話「ドコモ スマートフォン REGZA Phone
T-01C」新発売
2011 年 2 月 4 日
携帯電話「 REGZA Phone IS04」新発売
2011 年 2 月 9 日
携帯電話「 docomo STYLE seriesTM F-05C」
新発売
2011 年 1 月 12 日
2011 年 2 月 24 日
2011 年 1 月 13 日
携帯電話「 docomo STYLE seriesTM F-04C」
新発売
2011 年 3 月 3 日
2010 年 11 月 4 日
新32 ビットマイコン
「 FM3 ファミリ」
の第一弾 44 製品を一挙市場投入
2011 年 2 月 3 日
6MHz 動作・昇降圧型の RF パワー アンプ用電
源 IC 新発売
2011 年 2 月 28 日
2010 年 11 月 18 日
2011 年 2 月 8 日
2010 年 11 月 9 日
2010 年 12 月 3 日
2010 年 11 月 30 日
富士通のスレー ト型パソコン 5 万台を新営業
端末として第一生命保険(株)が導入
次世代デジタルネットワーク対応テレビ向け
半導体ソリューションで台湾スカイヴィア社
と戦略提携
光スイッチの消費電力を従来の2 分の 1 に低減
2010 年 12 月 1 日
「モーダルシフトによる輸送 CO2 排出量の削減
活動」で平成 22 年度地球温暖化防止活動環境
大臣表彰を受賞
2010 年 12 月 6 日
債券投資家向け説明会
5月
個 人 向 けパ ソ コ ン
「 FMV シ
リー ズ」の 2011 年春モデル
を発表
PERFORMANCE
2010 年 11 月 22 日
携帯電話「 docomo STYLE seriesTM F-02C 」、
「 docomo SMART seriesTM F-03C 」を発売
1月
タッチ入力式の新スレー
ト型 PC「 STYLISTIC Q550
シリーズ」を提供開始
富士通 電子書籍ビジネスに参入
富士通セミコンダクター とアーム社が包括的
なライセンス契約を締結
静止画も動画も美しく!
第 6 世代「 Milbeaut( ミ
ル ビ ュ ー )」イメージン
グプロセッサ 新発売
平面状の物質なら何にで
も電源トランジスタを作
製する技術を開発
2011 年 1 月 28 日
2011 年 3 月期第 3 四半期連結決算説明会
2010 年 12 月 16 日
富士通グループの CSR 基本方針を制定
2011 年 3 月 10 日
冷却不要の直接変調レー ザー で毎秒 40 ギガ
ビットの光伝送に成功
2011 年 4 月 28 日
2011 年 3 月期連結決算説明会
2010 年 12 月 21 日
SI ビジネス勉強会
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
049
地域別レビューとお客様事例
JapaN
日本
お客様事例
へと帰還しました 。
このミッションで当社は「軌道決定システム」
「 衛星状態リア
ルタイムモニタ・異常診断システム」
「 地上デ ー タ伝送システ
ム」の開発・運用を行い、ミッションの成功に貢献しています。
「軌道決定システム」は、探査機の現在位置と速度を特定する
ためのデータ処理システムで、この軌道決定の結果に基づいて
探査機の飛行経路が修正されます。当社は「はやぶさ」の打ち上
げから地球帰還までの 7 年間にわたり 、探査機の位置速度を正
確に把握し続け 、小惑星「イトカワ」への到着、ならびに大気圏
突入軌道への精密誘導に大きく貢献しました。
「衛星状態リアルタイムモニタ・異常診断システム」は 、探査
機に搭載された各種機器の状態を伝えるデータを変換・リアル
タイム表示し、データの複雑な条件組み合わせによって自動的
イラスト:池下章裕
に異常診断を行い 、結果を運用者に通知するシステムです 。
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
小惑星探査機「はやぶさ」による世界初となる
小惑星サンプルを採取し地球へ持ち帰る
「サンプルリターン」
ミッションに成功
様々な機器に故障やトラブルが発生する中で、的確な情報を速
やかに運用チームに伝え、満身創痍の「はやぶさ」を地球へと導
くことを支援しました 。
「地上データ伝送システム」は、探査機と電波通信を行う国内
日本の航空宇宙開発政策を担う独立行政法人宇宙航空研究開
および海外の地上局群と、神奈川県相模原市にある衛星管制セ
発機構( JAXA )が 2003 年 5 月に打ち上げた小惑星探査機「はや
ンターとの間のデータ伝送を担うシステムで、
「はやぶさ」をは
ぶさ」は 、太陽系の誕生や進化を探る貴重な手がかりとなる小
じめ、相模原衛星管制センターから運用される全ての衛星運用
惑星の岩石サンプルを採取し地球に持ち帰るという世界初の
を支えています 。
ミッションに挑み、数々の困難やトラブルを乗り越えて、2010
これからも富士通は、JAXA の地上システムの開発と運用を継
年 6 月に 、小惑星「イトカワ」から採取した微粒子とともに地球
続して担い、我が国の宇宙開発技術の発展に貢献していきます。
市場動向
2011 年の国内 IT 市場成長率は、前年比 4.2% 減と見込んでいます 。g Graph 2
Graph 1
2010 年国内 IT サービス市場シェア
国内景気は、東日本大震災の影響を受け厳しい見方が広がっています 。製造ラ
(金額ベース)
インの被災による部品供給問題や電力供給問題が今後の経済活動にどの程度影響
n富士通
nA 社
nB 社
nC 社
nD 社
nその他
を与えるのか不透明な状況にあります 。また、福島第一原子力発電所問題の影響
1
2
3
4
5
6
13.5%
10.0%
9.6%
8.8%
7.4%
50.7%
は国内にとどまらず 、製品の輸出や海外からの渡航者減少などグロ ー バルに影
1
6
5
2
響を及ぼしています 。こうした背景から、企業業績に対する不安が広がり、設備
3
投資に対しても慎重になり復旧・復興を優先した投資対象の絞り込みが予想され
4
ます 。公共分野においても 、震災復興に予算を振り向けるため 、IT 関連予算は当
面縮減されていくと考えられます。
こうした影響を受け、サーバ市場は前年比で 10% を超える市場縮小を見込んで
(出典:Gartner, Market Share: IT Services, 2010 31
March 2011)
います。IT 投資の先送り懸念に加え、リスク回避の観点からデータセンター活用
の広がりや 、サー バ統合・集約の動きが加速すると想定され 、低価格化が加速す
ると見込まれます。
050
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
地域別レビューとお客様事例 日本
また通信機器市場は 、NGN 関連投資が一巡したものの 、次世代技術( LTE )の携
Graph 2
国内 IT 市場予測
帯基地局整備が本格化し、震災対応の投資も予定されているため、市場規模はわ
ずかながら拡大すると見込んでいます 。
(十億米ドル)
160
143.8
137.7
142.6
144.4
IT サービス市場も、IT 関連予算全体の縮減に伴い、前年に引き続き 1–2% の市場
144.4
縮小を想定しています 。震災影響により新規のシステム構築案件の中止や延伸が
120
見込まれ、さらにシステム運用にかかる費用の削減も想定されます 。
80
しかしながら、一方では災害対策としての事業継続( BCP )
を意識した IT システ
ム運用の見直しや、震災からの復興に向けてクラウド・コンピューティングのよ
40
2010
0
2011
2012
2013
うな新たな IT サービス利用の導入は進むと見込まれます 。また、法改正に対応し
2014
(出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2011)
たシステム更新需要も想定され、中期的には IT サービス市場は再び拡大に向かう
と予想しています。
今後の取り組み
IT サ ー ビス市場において 、圧倒的に強い存在を目指します。クラウド・コン
ピュー ティ ングが広がりを見せる中、当社の持つネ ッ トワ ー ク、サ ー バ、スト
レー ジ、ミドルウェア、アプリケー ショ ンといっ た高品質プロダクトを結集し 、
高い信頼性を持つクラウドサー ビスを提供します 。
Graph 3
売上高 * 、売上高営業利益率
サ ーバは 、今後も拡大が見込まれる PC サ ーバを中心に拡販強化を継続してい
(十億円)
(%)
4,077.1
4,229.7
4,000
3,000
2,000
4.7
3,789.9
5.7
3,400.5
10
り 、今期は中堅中小市場向けの省スペ ース、省電力型のマイクロサ ーバや 、デ ー
3,389.2
8
タセンター向け高集約ラックサーバなど、成長分野への製品投入を強化していき
6.4
6
ます 。また、プライベートクラウドの構築に必要なハードウェアやソフトウェア
4.9
4
2.8
1,000
0
2
2007
2008
2009
2010
(3 月 31 日に終了した会計年度)
n n売上高
(左目盛り)
売上高営業利益率(右目盛り)
* セグメント間の内部売上高を含む
2011
0
PERFORMANCE
5,000
きます 。高性能と低消費電力・静音を実現した PC サ ーバはシ ェアを拡大してお
をパッ ケ ー ジ化し 、プライベ ー トクラウド稼動までの期間を大幅に短縮する
「 Cloud Ready Blocks( クラウドレデ ィー ブロ ックス)」を拡販するなど 、競争力
のある製品を投入し、国内トッ プシェ アを目指します 。
ネットワークプロダクトでは、LTE の展開を加速するとともに、LTE や光アクセ
スなどのネットワークを活用したホームエリアの ICT 化など、新しいビジネス領
域への展開を目指します。
サービスでは、クラウド・コンピューティングを軸に新しいサービスの展開を
進めます 。具体的には、SaaS を活用した地域医療ネットワークサービスや、CAD
サービスなど製造業向けのエンジニアリングクラウド、走行中のタクシーから得
た情報を活用する道路交通情報サービス、スーパーコンピュータを活用したIT 創
薬の研究など、これまでにない新しいサー ビスの創造に取り組みます 。
また、パブリッククラウドのシステム基盤商品として、当社データセンターを
中核に 、独自の技術をベ ースとした「 FGCP/S5(エフジ ーシ ーピ ー/ エスフ ァイ
ブ)」や 、マイクロソフト社の「 Windows Azure platform 」を活用した「 FGCP/A5
(エフジー シー ピ ー/ エー フ ァイブ)」の商用サ ービスをグロ ー バルに開始しま
した 。これに加え、クラウド型のシステム構築フレームワーク
「 INTARFRM(イン
ター ファー ム)」を整備し、システム開発の基盤として効率化を図ります 。
また、これらクラウド・コンピューティングの広がりに伴い、アプリケーショ
ン開発に従事する SE を運用サー ビスやビジネスプロデ ュー スの機能へシフトさ
せ 、お客様との接点をこれまで以上に増やし 、新たな ICT 利活用へ向けた提案力
の強化を図っていきます。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
051
地域別レビューとお客様事例 欧州・中近東・アフリカ
EMEa
欧州・中近東・アフリカ
お客様事例
の大規模ストレージソリューションを提供しています。このソ
リューションにより、物理的なテープ技術の必要性を取り除く
とともに、災害時のデータ復旧作業を簡素化・自動化するディ
スクベースのデータ保護システムを立ち上げることが目的で
す。
「 ETERNUS CS 4000 システム」1 台と「 ETERNUS DL 1500 シ
ステム」2 台を使用すれば、最小コストで機能を最大化すること
ができます。さらに 4 年間の 24 時間 365 日ノンストップのサー
ビス契約を締結しており 、同システムの可用性・信頼性を保証
しています。BBVA グループが掲げるグローバル戦略の一環と
して 、メキシコ国内のモンテレイとメキシコシティ間で事業
バーチャルテープ
「 ETERNUS CS 」
BBVA グルー プ
データの複製を作成するために今回の投資を行っています。
富士通は BBVA グループの要望に対して柔軟性を持つ提案をし
たことで今回のプロジェクト受注に成功しました。富士通はBBVA
グループの要求に合わせて、独自の重複除外技術と効率的な圧縮
BBVa グルー プのニー ズに応じた
革新的なストレー ジシステムを提供
技術を組み合わせた特有のモデルを作成し、各情報が最適な形で
スペインの金融機関である BBVA グル ー プは 、個人・法人顧
り、将来的にコストを大幅に削減することが可能となります。
客向けに非常に多岐にわたる金融および非金融商品、サービス
BBVA グループの欧州データ処理センターのストレージシス
ストレージされるようにしました。これにより機能は無限とな
をグローバルに提供しています。BBVA グループは世界 30 ヵ国
テム長であるレドンド・プリエト氏は次のように述べています。
以上で事業を展開し 、社員数は 10 万 4 千人、顧客件数は 4,700
「このソリューションではシステムの機械的な部分における物
万件を超えます。BBVA グループは 1995 年以降、米州、特にラ
理的故障を排除し 、またディスク性能が向上するので 、バッチ
テンアメリカで事業ネットワークを拡大しており、現在メキシ
処理およびバックアップ時間を最小限に抑えることができま
コでは同国最大の金融機関となっています 。
す。さらにカートリッジがディスクに置き換えられるため 、
富士通はBBVAグループに、
「 ETERNUS CS 」を使った多重構造
カートリッジでのデータ読み込みエラーがなくなります。」
市場動向
2011 年のEMEAにおけるIT 市場は、世界金融危機から緩やかな回復を見せた前年
Graph 1
の流れを受け、前年比6.8% 増と回復基調が続くと予測されています。 g Graph 2 東
2010 年英国 IT サービス市場シェア
(金額ベース)
1
2
3
4
5
6
7
nA 社
nB 社
nC 社
nD 社
n富士通
nE 社
nその他
影響により歳出削減を行っている英国を除き、輸出を中心に景気が回復傾向にある
6.5%
5.8%
5.5%
4.9%
1
ドイツなどを中心とした西欧諸国も好調に推移すると見込まれています。当社の
2
3
4
4.3%
3.6%
69.4%
欧・アフリカは景気拡大により市場拡大が続くと期待されていますが、景気悪化の
5
7
6
主要市場である英国については、政府の歳出削減が長期化すると見込まれており、
2011 年以降も IT 投資の回復は緩やかな成長にとどまると予測されていますが、一
方、調達、シェアードサービス、オフショア、インフラ・アウトソーシング、BPO な
ど、コスト削減につながる投資分野については、今後も成長が期待されています。
(出典:Gartner, Market Share: IT Services, 2010 31
March 2011)
052
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
地域別レビューとお客様事例 欧州・中近東・アフリカ
製品別で見ると、IT サービス市場は、前年比 2.3% 増と緩やかな回復になると予
Graph 2
EMEA IT 市場予測
測されています 。しかしながら、当社アウトソーシングビジネスの最大顧客であ
る英国政府の IT 予算削減や 、競合他社との価格競争激化など 、市場環境について
(十億米ドル)
800
600
538.8
575.5
610.1
は予断を許さない状況です 。
679.4
644.8
サー バ市場は 、東欧・アフリカなどを中心に市場拡大が期待されますが 、成熟
市場である西欧諸国は、価格競争の激化などを背景に前年比若干の減少と見込ま
400
れており、EMEA 地域全体でも前年比 0.2% 増とほぼ横ばいと予測されています 。
特にハイエンドサー バ市場では 、ロ ー エンドサ ー バへの需要シフトによっ て前
200
2010
0
2011
2012
2013
年に引き続き大きな落ち込みが見込まれていますが 、当社の主要製品である PC
2014
(出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2011)
サー バやミ ッドレンジサ ーバについては 、クラウド・コンピ ュー テ ィ ングなど
新たなニーズが高まっており、市場の拡大が期待されています 。ストレージ市場
は 、サ ーバ市場と同様、前年比横ばいと見込まれています。パソコン市場は 、東
欧やアフリカが前年に続き大幅な成長が見込まれるほか、西欧諸国についても、
景気回復の影響を受けて成長すると見込まれており 、前年比 5.0% 増と予測され
ています 。
今後の取り組み
Graph 3
売上高 * 、売上高営業利益率
これまで EMEA においては、インフラサービスを中心にビジネスを拡大してき
(十億円)
(%)
900
975.6
736.3
769.9
12
849.5
3.3
300
2.0
0.1
0
–300
2007
9
シュ アランスグル ープ」と連携することで 、不採算プロジ ェ クトの撲滅を進め 、
6
EMEA 地域での収益改善を目指します。また 、日本とドイツの富士通テクノロ
3
ジー・ソリューションズ
(以下、FTS )に分散していた PC サー バ・ストレー ジなど
612.8
600
2008
2009
–0.3
–2.2
0
2010
2011
–3
(3 月 31 日に終了した会計年度)
n n売上高
(左目盛り)
売上高営業利益率(右目盛り)
* セグメント間の内部売上高を含む
た。これに対処するため、グローバルにおけるアシュアランス機能を有する「ア
PERFORMANCE
1,200
ましたが、一部において不採算プロジェクトが発生し、収益は大幅に悪化しまし
組織の一体化を行いましたが 、さらに PC サーバでは 、ヘッ ドクォーター をドイ
ツに置き、グロー バル商品の強化を図ります 。このように、グロー バルで商品や
ビジネス基盤を共通化することで、国内同様安定した高い利益と成長を望むこと
ができる強い事業体質の構築を目指します 。
地域別でみると 、英国 & アイルランド地域では 、民需ビジネス拡大により政府
公共部門中心の体質転換(顧客セグメントの最適化)
を進めるとともに、インフラ
サービスの効率化、およびクラウドビジネスの展開により事業体質の強化を図り
ます。また、現状売上構成の 7 割を占めるインフラサービスを拡大するとともに、
サー バ、ストレ ー ジなど自社製品の拡販、アプリケ ー シ ョ ンやネッ トワ ー クソ
リューショ ンの強化により、製品ポー トフォリオの拡充を図ります 。
欧州大陸は 、市場の成熟度・売上規模等をベ ー スに 、
「ドイツ」
「 西欧」
「 新興市
場」の 3 つに分類し 、アカウントマネジメント、各ビジネスの専属営業の導入、マ
ルチチャネルの拡販など営業体制の強化により 、ビジネスの拡大を目指します 。
また 、PC サ ーバや PC に強い FTS の特長を活かし 、プロダクトビジネス、保守など
基盤となるビジネスを強化することで、安定的な成長と利益拡大を目指します 。
北欧は 、地域内の調達業務、サー ビスデスクの統合等により効率を高め 、利益
率改善を図ります 。また、グローバル企業をターゲットとしたプロジェクトチー
ムを編成し、営業力を強化することで、北欧市場でのさらなるシェア拡大を目指
します 。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
053
地域別レビューとお客様事例 米州
The americas
米州
お客様事例
セントルイス・カレッ ジ・オブ・ファー マシー では 、入学し
た学生全員にパソコンを支給するので、丈夫で何年もの使用に
耐える高信頼の製品が必要です 。当社のタブレ ッ ト PC である
「 LIFEBOOK® T シリーズ」は、長年富士通のお客様である同大学
に、大きさ、重さ、フルサイズのキーボードに加え、豊富な機能
や頑丈な構造、脱着式バ ッテリ ー、価格、そしてなによりも富
士通の品質とサービスに対する高い評判を評価され、採用して
いただきました 。
セントルイス・カレッジ・オブ・ファーマシーのCIO でIT 部門
のバイス・プレジデントである F. Chad Shepherd 氏からは 、
「大学の内容についていくために 、学生たちはパソコンをとて
も酷使するので 、信頼性が高く 、そして最先端の技術を搭載し
たパソコンは我々にとってとても重要なのです 。過去数年にわ
スレート PC「 STYLISTIC Q550」
写真:Jennifer Silverberg
たり、富士通のタブレット PC は、そのような我々の要求を満た
す、もしくはそれ以上のものを提供し続けてくれました 。現在
セントルイス・カレッジ・オブ・ファーマシー
は、他社の製品にはない優れたエンタープライズ向けの性能を
薬科大学の学生に
高信頼のパソコンを「投与」
備えた Windows OS 搭載のスレ ー ト PC「 STYLISTIC Q550」に興
味を持っ ています 。既存のネッ トワー クにそのままつながる
1864 年に設立されたセントルイス・カレッジ・オブ・ファー
機能や 、長時間の授業にも対応できる 8 時間持つ脱着式バッテ
マシーは、米国において最も古い歴史を持つ大規模な薬科大学
リー、指紋認証を用いた高いセキュリティも備えています 。こ
の一つです。6 年間の課程は、一般教養および科学、そして薬学
うした特長は、より生産的で実りの多い大学生活の実現のため
博士号を取得できるプロフェッ シ ョ ナルプログラムにより構
に我々 がコンピ ュー タを最大限に活用することを可能にして
成されています 。現在、25 の州から 1,200 人を超える学生が同
くれると考えています 。」との感想をいただいています 。
課程で学んでいます 。
市場動向
2011 年の米州 IT 市場は前年比 10.1% 増と大幅な成長に転じた 2010 年は下回る
Graph 1
2010 年北米 メトロWDM 市場シェア
ものの 、成長基調は継続し 、前年比 7.4% 増と比較的高い成長が見込まれていま
(金額ベース)
す。米国では製造業をはじめ小売や運輸などの分野で景気が上向きつつある一
n富士通
nA 社
nB 社
nC 社
nその他
方、労働市場の回復ペースは鈍く、中小企業を中心とした経営環境の厳しさが継
1
2
3
4
5
28.7%
17.4%
16.6%
14.8%
22.5%
続しています 。g Graph 2
5
1
2011 年の米州 IT サービス市場は前年比 4.6% 増と 、2010 年の前年比 3.9% 増の
成長に続く緩やかな伸びが予測されています。企業の投資活動が活発化し始めて
4
3
2
おり、特に「仮想化」や「クラウド・コンピューティング」をキーワードとする回復
が見込まれています。それらに加え、スマートフォンの利用拡大などにより新し
い市場の枠組みが生まれ、既存ベンダーの市場のポジショニングに再定義を促す
(出典:Ovum, Market Share: 1Q11 ON Global,
June 2011)
054
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
ことにより、前年に続き企業による M&A 活動は活性化すると考えられています。
地域別レビューとお客様事例 米州
ハードウェア市場は総じて大きく回復した 2010 年からは減速し、プロダクト
Graph 2
米州 IT 市場予測
ごとにまだら模様が見られるものの 、引き続き全体としての成長基調は継続す
ると見込まれています 。サー バ市場全体では 、前年比 9.4% 増と大幅な回復を達
(十億米ドル)
1,000
800
666.7
715.7
763.4
成した 2010 年からは落ち込みますが 、前年比 2.5% 増の成長が見込まれていま
843.3
804.6
す。ハイエンドサ ー バ市場に関しては前年比 6.1% 増と比較的堅調に回復した
600
2010 年から落ち込み 、13.0% 減と大幅に縮小する予測です 。ミ ッ ドレンジサ ー
400
バ市場は前年比 27.7% 増と前年をさらに超える大きな成長が見込まれ、ローエン
200
ドサーバ市場についても前年比4.1% 増と引き続き伸長する見通しです 。ストレー
2010
0
2011
2012
2013
ジ市場は 、前年比 19.8% と大きく回復した 2010 年からは縮小するものの 、前年
2014
(出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2011)
(米州:北米および南米)
比 5.2% 増と堅調な成長が予測されています 。パソコン市場では 、タブレッ ト PC
のコンシューマー向けに加え企業での展開が進むと見られており、前年比 8.9%
増と成長に転じた 2010 年からは落ち込むものの、前年比 1.8% 増と緩やかな回復
は続く見込みです 。通信機器市場は、前年比 6.8% 増と、前年に続く成長が見込ま
れています 。
今後の取り組み
当社は 、2009 年 4 月に北米子会社 3 社を統合して富士通アメリカを設立し 、米
Graph 3
売上高 * 、売上高営業利益率
州におけるビジネスの中核としての強化を行ってきましたが、2011 年も引き続
(十億円)
(%)
450
442.3
365.2
293.8
300
1.9
298.4
0.6
0
0.9
6
り 、コンサルテ ィングおよびアプリケ ー ショ ンサ ー ビスの立て直しを図ると同
4
時に 、プロダクトビジネスの拡大に向け 、販売体制強化とチャ ネル整備に取り組
2
みます。また、POS( Point of Sale )
やセルフチェックアウトシステム関連サービ
0
–0.4
2007
まず、北米においては、営業活動の強化とインセンティブプランの見直しによ
2.0
150
–150
8
469.9
2008
2009
2010
(3 月 31 日に終了した会計年度)
n n売上高
(左目盛り)
売上高営業利益率(右目盛り)
* セグメント間の内部売上高を含む
2011
–2
PERFORMANCE
600
き米州ビジネスの変革に向けて様々 な施策を打っ ていきます。
スなど、主に北米の小売業界向けのお客様にこれまで提供してきたサービスを、
他の地域へ横展開していきます 。デー タセンタ ー ビジネスに関しては 、国内で
2010 年10 月に開始したクラウド・プラットフォーム展開を米国でも進め、2011
年 5 月にサービスを開始しました 。今後、
(株)セー ルスフォース・ドッ トコムや
マイクロソフト社とのパートナーシップを活用し、クラウドビジネスの拡大に努
めていきます 。南米では、引き続きブラジルを中心にシステムプラットフォーム
や手のひら静脈認証装置のビジネスを進める一方で、欧州・日本のお客様の中南
米事業展開を支援すべく、サービス事業も含め他の諸国へのビジネス拡大を図り
ます 。
北米の光伝送システムは 、デー タトラフ ィッ ク増に対応したモバイルバ ッ ク
ホー ルなどのバ ッ クボー ン増強に向けた投資が 2011 年も継続すると見込まれ
ており、メトロ WDM を中心に売上を拡大することで、No.1 シェアの維持を目指
します 。また、グローバルキャリアのアウトソーシング、グローバル展開商談の
獲得を目指します 。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
055
地域別レビューとお客様事例 アジア・パシフィック、中国
apaC, China
アジア・パシフィック、中国
お客様事例
る富士通のサポートチームの人員も年々増強されてきました。
また、マネー ジドサー ビス、ハー ドウェア・ソフトウェアの
ソリ ュー シ ョ ンと関連サー ビスも提供しています 。これらの
契約下において 、FAL は具体的には以下のような業務を実施し
ています。
・210 以上のサーバで構成される同警察のメインデータセンターの構築
と保守
・Unix サー バと Wintel サー バで構成される開発テスト用デー タセン
ターの構築とマネジメント
・メインデータセンタ ー において運用している主要なアプリケー ショ
ンの緊急時バックアップのための施設構築とマネジメント
・デスクトップ PC 、ノートブック PC 、サーバ、スイッチと SAN ストレー
ジなどの IT 機器の提供
オー ストラリア・ヴィクトリア州警察
富士通オーストラリアの力をフルに用いて
警察業務をサポー ト
2010 年 4 月にはヴ ィ クトリア州警察から SAP をベ ー スとし
た新しい人事、給与、ネ ッ ト求人システムの運用を委託され 、
FAL はこのシステムのサポー トと強化も行っ ています。
オーストラリア・ヴィクトリア州警察のミッ ショ ンは、500
また 、最近では 、FAL のコンサルテ ィ ング・グルー プがヴ ィ
以上の同州における拠点をベースとして、法律に則った警察業
クトリア州警察の抱える多くのデスクト ッ プ PC の消費電力を
務の執行を 24 時間 365 日行うことにより、540 万人を超える住
削減するためのアドバイスも行っ ています。
民に安全な社会を提供することです。
現 在 では 150 名 以 上 の FAL
富士通オーストラリア
(以下、FAL )
は、15 年以上にわたって、
のスタ ッ フが警察内のシステ
IT プロダクト、サ ービス、アプリケー シ ョ ンなど FAL の力をフ
ムへアクセスし 、全ての部門
ルに活用してヴィクトリア州警察の業務を支えてきました 。
が一丸となってヴィ クトリア
この間、FAL はヴィ クトリア州警察に対して 、警察業務に関
州警察のニ ー ズに迅速に 、か
連するアプリケー シ ョ ンのみならず 、数々 の組織運営のため
つプロフェッショ ナルに応え
のアプリケーション・サポートを提供してきており、中核とな
ています。
市場動向
2011 年の中国 IT 市場の成長率は 、短期的に は東日本大震災に よ る景気へ の
Graph 1
中国 IT 市場予測
影響は あ る も の の 、積極的財政政策継続に よ り約 18% 増が見込ま れ て お り 、
2010 年から 2014 年までの年平均成長率で見ても 、約 16% 増と高成長が続くと
(十億米ドル)
250
195.2
200
170.2
150
106.4
125.3
146.9
す。
「物聯網(ウーリエンワン)」
( Internet of Things )
というコンセプトのもと、
環境保護・省エネ、交通 ITS 、遠隔医療、スマー トグリッ ドなど 、様々 な社会イン
50
2010
2011
2012
2013
2014
(出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2011)
(中国:香港を含む)
056
おいては、新エネルギー・素材、省エネ・環境、バイオ・医療、先端製造業と並び、
情報ネッ トワー ク分野を戦略的に発展させ 、育成すべき分野と位置づけていま
100
0
見られています 。 g Graph 1 2011 年よりスタートした「第 12 次五ヵ年規画」に
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
フラ整備のため政府主導による大型資金投入が計画されています。
地域別レビューとお客様事例 アジア・パシフィック、中国
中国を除く APAC の IT 市場の 2011 年成長率は、約 15% 増になると見込まれてい
Graph 2
APAC IT 市場予測
ます 。 g Graph 2 東日本大震災が一時的に部材調達や生産活動に下振れ影響を与
えるおそれがありますが、中長期的には経済発展に伴いインフラ整備が進み、成
(十億米ドル)
250
200
150
136.8
156.6
174.2
長企業での IT 投資が進むことから、2010 年から 2014 年までの年平均成長率で約
215.0
193.8
12% 増と高成長が続くと見られています 。アセアン諸国では政府による大規模
なインフラ投資が計画されており、個人消費や設備投資が拡大していく中で、必
100
要とされる政府と民間企業の IT 投資の拡大が続きます。インドは公共投資や個人
50
消費を中心とする内需、輸出産業としてのソフトウェアサービス等の外需が高い
2010
0
2011
2012
2013
経済成長をもたらすと考えられています 。こうした背景から IT 投資意欲も拡大
2014
(出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2011)
( APAC:日本、中国、香港を除く)
しており、2010 年の約 5% 増から 2011 年は約 13% 増、2010 年から 2014 年まで
の年平均成長率は約 12% 増と高い成長が見込まれています。オセアニア地域で
は 、短期的にはオ ー ストラリア新政府の財政削減方針や洪水の影響、さらに
ニュージーランドで発生した地震の影響で IT 投資の遅れが見込まれますが、その
後は IT サービスを中心に拡大基調が続くと予想されます 。
今後の取り組み
中国においては 、当社のコアビジネスであるテクノロジ ー ソリュー シ ョ ンを
Graph 3
売上高 * 、売上高営業利益率
拡大するほか 、新しいビジネスを育成します 。具体的には 、日系企業や外資系企
(十億円)
(%)
807.1
6.0
855.0
750
4.5
656.0
505.4
500
405.1
2.6
250
0
1.4
2007
3.0
2.7
1.7
1.5
1.0
2008
2009
2010
(3 月 31 日に終了した会計年度)
n n売上高
(左目盛り)
売上高営業利益率(右目盛り)
* セグメント間の内部売上高を含む
2011
0
客様ビジネス拡大を優れた IT インフラで支えていきます。また、PC サーバやスト
PERFORMANCE
1,000
業向けサービスビジネスのさらなる拡大と中国地場ビジネスへの展開を進め、お
レー ジを中心としたプラットフォー ムビジネスを既存顧客中心に拡大していく
一方で、携帯電話等の新規ビジネスを立ち上げ、新たな顧客層に向けた拡販を行っ
ていきます 。さらに 、グロー バルで急成長しているクラウド市場でのシ ェ ア拡
大を狙い、データセンターへの投資を積極的に行うことで、クラウドをベースに
したソリューショ ンビジネスを展開していきます 。
アセアン地域では、今まで現地顧客と並行して、日系のグローバル企業向けビ
ジネスを開拓してきましたが 、欧米のグロ ー バル顧客も開拓対象に加え 、専門
チー ムを作り商談を発掘していきます 。また 2011 年 3 月に本稼動したクラウド
サー ビスを提供する基盤となるサー ビス指向プラッ トフォー ムやクラウド専門
のマー ケティング部門の構築を通じて 、クラウドビジネスを本格的に立ち上げ 、
成長戦略の柱として強化します 。
東アジア地域では 、サ ー バや POS 等のプラッ トフォー ムビジネスが中心です
が、現地企業とのパートナーシップによる食品・流通向けや医療・農業向けのク
ラウドサービスを推進し、サー ビスビジネス化へ強力にシフトしていきます 。
インドでは従来のオフショ アリソ ー スの拡充による欧米からのビジネス拡大
に加え、富士通テクノロジー・ソリュー ショ ンズをインドの IT インフラビジネス
の推進主体として、スケールと経営品質両面でビジネスの改善を図っており、PC
サー バをはじめとするシステムプロダクトの拡販を積極的に行っ ていきます 。
オセアニア地域では、富士通のクラウドサービスを市場全体で展開し、ICT 市場
における優位性をさらに高めるべく 、マ ー ケッ トシ ェ ア拡大を狙います 。また
業種別では現在政府系ビジネスに強みを持っ ていますが 、今後はネ ットワ ー ク
や金融分野等にビジネスの裾野を広げていきます 。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
057
研究開発
富士通の研究開発のミッション
お客様の新たな価値の創造や、快適で安心できるネットワーク社
・新しいビジネスの創出を促進する
会づくりに貢献し、豊かで夢のある未来を世界中の人々に提供する
・先端技術を生み出し、蓄積する
ことを基本方針として 、次世代のサー ビスやサ ー バ、ネッ トワー
ク、電子デバイスや材料に至る先端技術の研究開発を推進します 。
研究開発費、
売上高研究開発費比率
(%)
258.7
254.0
9
249.9
224.9
236.2
200
4.9
5.3
5.2
4.8
100
0
2008
2009
2010
2011
ソリューション
ソリューション
3 n デバイス
ソリューション
3
2007
1 n テクノロジー
2 n ユビキタス
6
5.0
・社会的な責任を負う
セグメント別研究開発費
(十億円)
300
・グローバルにバリューチェーンを構築する
4 n その他/
消去または全社
4
47.8%
20.8%
合計
236.2
3
(十億円)
16.0%
15.4%
1
2
(2011 年 3 月期)
0
(3 月 31 日に終了した会計年度)
n n 研究開発費(左目盛り)
売上高研究開発費比率(右目盛り)
2011 年 3 月期における先端研究の主な成果
(1)データセンター の高効率化に向け て、
サー バ内のデータ伝送距離を約 1.7 倍
延伸できる高速送受信回路、ストレー ジの
リアルタイム重複除去技術を開発
クラウド・コンピューティングを支えるデータセンター
では 、多数のプロセ ッ サを接続した大規模で高性能なサー
バが求められています。大規模、高性能サ ー バを実現する
ためには、サーバ内でデー タを伝送するプリント板上の配
線距離を長くする必要がありますが、伝送速度が毎秒 10 ギ
ガビット以上と高速になると、信号のひずみが大きくなり、
データを正しく伝送することが困難になります。
大規模マルチプロセッササーバ
この問題に対し 、大きな信号ひずみの補正を可能とする
新しい信号処理アルゴリズムを用いた高速送受信回路を開
発しました。これまで 70cm 程度だっ たサー バ内の伝送距
プリント配線板
コネクタ
高速送受信回路を搭載した
集積回路(プロセッサなど)
バックプレーン
高速信号配線
性能なサー バシステムが実現可能になります 。
高速送受信回路を搭載した
集積回路(クロスバ IC など)
また 、デ ー タセンタ ー では 、ストレ ー ジを有効活用して
プリント配線板
コネクタ
サーバのバックプレーンで利用される高速送受信回路
058
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
離を約 1.2m まで延伸できるようになり 、より大規模で高
大容量のデータを格納する必要があります。このため、デー
タの保存と同時に重複するデータを除去するソフトウェア
技術を開発しました 。特定の OS に依存せず利用できるた
め、重複の多い仮想システムに有効で、データセンターのス
トレー ジのコストと電力を低減できます。
本技術の一部は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構( NEDO )
委託の「グリーン IT プロジェクト ストレージシステム向け省電力技術の開発」
の成果です。
研究開発
(2)クラウド・コンピューティングの特長を活かした
分散データ保管技術、クラウド間データセキュリティ
技術を開発
(4)冷却不要の直接変調半導体レーザーで
毎秒 40 ギガビットの光伝送に成功
クラウド・コンピューティングサービスや高精細な映像
クラウド上で 、多量のデータを効率良く書き込むことが
配信サービスなど、ネットワークを流れるデータ量が急増
できる分散キーバリューデータストア方式では、データが
しています。これまで 、大容量データを高速に伝送する光
複数のサーバに分散しているため、集計やデータの一貫性
通信システムでは、レー ザー光源を冷却するために多くの
維持が難しく 、処理に時間がかかる課題がありました。そ
電力を消費していました。今回、冷却が不要で毎秒 40 ギガ
こで、従来方式と比べ、集計処理で最大約 8 倍の高速化が可
ビッ トで動作する直接変調半導体レーザー を開発し 、光伝
能な技術を開発しました 。これにより、アクセスログのデー
送に成功しました。冷却が不要なため、消費電力を従来の 2
タ分析を短時間で処理できるなど 、クラウドサ ー ビスの新
分の1 以下に削減でき、次世代の省エネ型高速データ伝送の
しい応用が期待できます 。
実現に向け大きく前進しました 。
また、社外のクラウドを安全に利用するためのセキュ リ
テ ィ技術として 、デー タの機密レベルや機密情報の内容ま
で考慮して、データのやり取りを制御できるクラウド情報
(5)静止画も動画も美しく!第 6 世代「 Milbeaut
(ミルビュー )」イメージングプロセッサ発売
ゲートウェイ技術を開発しました 。データの機密部分を秘
近年、デジタルカメラ等の AV 機器のハイビジョン化に伴
匿・加工し 、外部のクラウドに実デー タを渡さずにサ ー ビ
い、画像の一層の高画質化が要求されています 。このため、
スを利用することが可能になり 、異業種間での協業や分業
毎秒約8 コマの高速連写と、高精細なフルハイビジョン動画
など新たなクラウド活用の促進につながります 。
の撮影が可能なイメージングプロセッサ
「 MB91696AM 」を
(3)携帯電話の受話音声の品質を向上する
「ぴったりボイス」技術を開発
当社は 、周囲の雑音に合わせて携帯電話の受話音声を自
PERFORMANCE
開発しました 。当社独自の「 Milbeaut( ミルビュー )」画像処
理技術を進化させるとともに 、H.264 フル HD コ ー デ ッ ク
エンジンの全面最適化により、静止画、動画ともに画質と処
理性能の向上を実現しています 。
然で聞き取りやすくする「スーパーはっきりボイス 3」等を
実用化しています 。このたび 、さらに受話音声の品質を向
上する音声強調技術を開発しました 。
「新幹線乗車中」、
「歩
(6)DNA 素材の人工抗体を用いて毒素タンパク質の
高速検出技術を開発
行中」、
「走行中」等、人の動きや周辺環境を検知して最適な
当社では 、DNA を素材に用いた独自のタンパク質計測技
音質と音量に調整します。この技術は、2010 年 11 月に発売
術を開発しています 。当期は、新開発の人工抗体技術を食中
した当社製携帯電話「 docomo PRIME seriesTM F-01C 」等に
毒の原因となる黄色ブドウ球菌の毒素タンパク質に適用し、
「ぴっ たりボイス」として搭載しました 。
従来の 100 分の 1 の時間で検出する技術を名古屋大学と共
同開発しました 。また 、タンパク質の量や大きさの変化を
高速・高精度に光計測する世界初の技術をドイツのミ ュ ン
ヘン工科大学と共同開発しました 。これらの技術により 、
食品の出荷検査での測定精度の向上と迅速化が可能となり、
食の安全を促進できます 。
新幹線のデッキ
歩行中
走行中
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
059
研究開発
人にやさしい未来のために
豊かで安全な社会の実現のために
いま、ここで、あなたへの情報提供
社会を知り 社会に働きかける
会社
トピックス
クラウド
サービス
家
仮想社会
人 間 を 中 心 とした ICT を 通 じて 、
実 世 界 に 新 たな 価 値 を 創 出 する
「ヒューマンセントリック・インテ
リジェントソサエティの実現」
• クラウドデバイス
• センシング・アクチュエーション など
発見
• ソーシャ ルインテリジェンス
• ソーシャ ルイノベー ショ ン など
信頼と発展
グリーンなシステムの実現のために
感動
未来のビジネスと社会を
支えるために
仮想システムの効率的な構築
クラウドサービス間の連携
我々 は人・物・情報をつなぐことで
仮想システム
価値を生み出し、その価値で人々に「感
動」
「 発見」
「 信頼と発展」を提供する 、
クラウド
サービス
クラウド
サービス
ヒュ ー マ ン セ ン ト リッ ク・イ ン テ リ
• サービス運用管理
• 大容量イベント・データ処理 など
ジェントソサエティの実現に向けた先
端技術を開発していきます。
現実社会
リソー スプ ー ル
• サーバアーキテクチャー
• データセンター ネットワーク など
未来の夢を支えるために
• セキュ リティ
• フロントエンドメディ ア処理
• 環境・エネルギー など
• ものづくり基盤
• ネットワーク
• ソフトウェ ア開発基盤
受賞情報
「平成 23 年度科学技術分野の文部科学大臣表
「次世代スーパーコンピュータ
『京(けい)』* 向
「オンデマンド仮想システムサービス * 」が「日
彰」において「科学技術賞」を 2 部門で同時受賞
け超高性能 CpU『 SparC64TM VIIIfx 』」が 、
「日
刊工業新聞社十大新製品賞 本賞」
「 日経優秀製
富士通グルー プは 、
「平成 23 年度科学技術
本産業技術大賞 文部科学大臣賞」を受賞
品・サー ビス賞 最優秀賞 日本経済新聞電子
分野の文部科学大臣表彰」において 、
「金融機
独立行政法人理化学研究所と富士通は 、共
版賞」を受賞
関向け手のひら静脈認証技術の開発」で 5 名が
同で開発に取り組んできた「次世代スー パ ー
富士通は、クラウドサービス
「オンデマンド
科学技術賞(開発部門)
、
「 DNA 材料で構築する
コ ン ピュ ー タ
『京(けい)』向 け 超 高 性 能 CPU
仮想システムサービス」に関して、日刊工業新
新しいタンパク質検出技術の研究」で 3 名が科
『 SPARC64TM VIIIfx 』」で 、日刊工業新聞社が主
聞社より「 2010 年(第 53 回)十大新製品賞 本
催する日本産業技術大賞 文部科学大臣賞を受
賞」、日本経済新聞社より「 2010 年日経優秀製
賞しました。
品・サー ビス賞 最優秀賞 日本経済新聞電子
*「京」は、理化学研究所が2010 年7 月に決定した「次世
版賞」を受賞しました。
学技術賞(研究部門)を受賞しました。
代スーパーコンピュータ」の愛称です。
*「オ ン デ マ ン ド 仮 想 シ ス テ ム サービ ス」は Fujitsu
Global Cloud Platform「 FGCP/S5」に改称しました。
2012 年 3 月期に向けた先端研究の方針
富士通グルー プの将来を見据えた戦略的研究開発への取
特に 、
「 1. 全社骨太テー マ」では次の 4 つのテー マを推進し
り組み、ビジネスセグメント事業戦略と研究戦略の整合、事
ます 。
業のポートフォリオ変化に応じたリソースシフトの強化の
ため 、全社最適化のグローバル視点から先端研究のフレ ー
ムワークを、以下の 3 つに分類し、トップダウン重視の研究
テー マ設定と戦略的な研究投資を行います 。
1. 全社骨太テ ー マ:富士通グルー プに必要な中長期の
将来技術
2. 事業戦略テ ー マ:ビジネスセグメントがコミ ッ トし
た事業化を目指した短中期の技術
3. シ ー ズ指向テ ー マ:現在の事業に特定できない技術
の芽、未知領域に対する中長期の技術
(1)ヒューマンセントリッ クコンピュー ティ ング
実世界型アプリと業種系アプリのデータを連携させ、組み合わ
せて分析することで価値を生むコンバージェンスサービスを
実現します。
(2)インテリジェ ントソサエティ
複雑化する社会問題を解決し 、個別の企業や業界を越えて 、社
会や企業に新しい「価値」と「知識」を供与する社会基盤を実現し
ます。
(3)クラウドフュー ジョン
クラウド間、および 、既存システムとの容易な連携により 、情
報をつなげ、共有することで ICT 適用分野を拡大させ、新市場創
生を実現します 。
(4)次世代グリー ンデータセンター
給電・冷却の最適化や、光ネットワークの採用を行い、省電力と
同時に運用の省力化も実現するデータセンターを構築します。
060
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
研究開発
次世代スーパーコンピュータ出荷ストーリー
TOP500リストで世界 No.1 を獲得!
富士通グループの技術を結集した「ヒューマンセントリック・
インテリジェントソサエティ」を支える「京(けい)」*1
文部科学省が推進し 、独立行政法人理化学研究所(以下、理研)と
富士通が開発中で、TOP500 リストにおいて見事世界 No.1 を獲得
した次世代スー パーコンピュー タ
「京」
。2010 年 9 月に神戸の理
研 計算科学研究機構に向けた出荷が開始されました。2012 年
の完成を目指し、最終的には 800 台以上の筐体が納められる予定
です 。今後、幅広い分野での活用が期待されています 。
10 ペタフロップスの達成を目指して
約 60 メ ー トル、横約 50 メ ー トルの空の
セントリック・インテリジェントソサエ
スー パ ー コンピ ュー タとは 、極めて
マシンルー ムに設置されました 。以降、
ティ 」社会の実現に貢献していきます。
計算能力の高いコンピュータのことで、
順次残りの筐体が運び込まれ 、2012 年
*1「京」は、理化学研究所が2010 年7 月に決定した
仮想的な条件のもと、大規模で高度な演
の完成を目指して設置・調整が進められ
算 が 必 要 となるコ ン ピュ ータ シ ミュ
ています 。
レーションなどに利用されます 。富士通
豊かで安心できる社会の実現に向けて
ピュー タ開発に携わっ てきた経験と技
富士通は 、ICT の高度な活用を通じて 、
術力を活かし、世界最高水準となる10 ペ
社会の抱える様々 な課題を解決し 、より
タフロッ プス *2 の性能を備えた「京」の
豊かで安心できる社会「ヒューマンセン
開発に理研と共同で取り組んでいます 。
ト リック・ イ ン テ リ ジェン ト ソ サ エ
ティ 」を実現していくというビジョンを
高性能と省電力性を兼ね備えた
「 SPARC64
TM
VIIIfx 」の搭載
掲げています。地球温暖化や自然災害の
事前の予測・防止、新しい素材の開発、宇
「京」は、富士通セミコンダクターが製
宙現象の解明など 、幅広い分野で活躍が
造した CPU「 SPARC64TM VIIIfx 」8 万個以
期待されるスーパーコンピュータの開
上 で 構 成 さ れ て い ま す。
「 SPARC64TM
発・製造を通じて、富士通は「ヒューマン
演算の回数を示す 。
TOp500 リストで世界 No.1 を獲得!
PERFORMANCE
は 30 年 以 上 に わ た っ て ス ー パー コ ン
「次世代スーパーコンピュータ」の愛称です。
*2 10 ペタフロップス:ペタは10 の16 乗。フロップ
ス
( FLOPS ) は Floating point Operations Per
Second の略で、1 秒間に処理できる浮動小数点
2011 年 6 月 20 日にドイツ・ハンブルク
にて開催された「第 26 回国際スーパーコ
ンピューティング会議ISC 11」にて発表さ
れた「第 37 回 TOP500 リスト」において 、
「京」が第 1 位を獲得しました。2011 年 6
月現在の整備途中段階で、世界最高性能の
8.162 ペタフロップスを達成したことに
よ る も の で す。 日 本 の スー パー コ ン
ピュータがTOP500 リストで第1 位となる
のは、2004 年6 月以来のこととなります。
VIIIfx 」は 1CPU 当たり 128 ギガフロップ
スの計算能力を持ち、
「京」の完成時には
次世代テクニカルコンピューティング開発本部
システム開発統括部 第一開発部
全体で 1 秒間に 1 京回(10 ペタフロ ッ プ
天田 忠雄
ス)
の計算を可能にします。さらに、水に
よる効率的な冷却の仕組みの導入や、動
富士通グループの力を結集して世界最高性能を達成
作の必要がない回路は無駄な電力を消費
2007 年からシステム実装・装置試験のプロジェ クトリー
ダー として「次世代スパコン」プロジェクトに携わり 、今般、
しないような設計上の工夫により、処理
性能が 1 ワット当たり 2.2 ギガフロップ
スという世界最高クラスの省電力性を兼
ね備えています 。
「京」の第一号筐体を出荷開始!
スパコンの世界一を決定する TOP500 において第 1 位を獲得
することができました。チームの力を結集し、手作りの環境を組み上げて試験を実施
するところから始まり、今までにない実装構造の計算機だったため、試験場所の床の
補強や 、冷却水循環装置・空調設備の増設を行う等の施策を行い 、ここまで来ること
ができました。環境・コストの両面に配慮した機材の調達なども心がけた点の一つで
す。それらの苦労・工夫に加え 、半導体部品の作り直しや各部の不具合の修正を丹念
2010 年 9 月 28 日、石川県かほく市に
に行うことにより 、今回の成果をあげることができたことは非常に感慨深いものが
ある富士通 IT プロダクツから出荷第一号
あります。開発当初より製造・試験・物流・設置の全てのフェーズで多くの関連部門
となる 8 台の筐体を載せたトラックが神
戸の理研 計算科学研究機構に向けて出
発しました。理研に到着した筐体は、縦
の協力がありました。これからも富士通グループの力を結集して残りのスパコンの
製造・搬入・システム展開を行い 、世界最高速のスパコンを提供していきたいと思い
ます。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
061
知的財産
知的財産重視
富士通グループの社員一人ひとりの行動の原理原則を定めた「 FUJITSU Way 」の中に 、知的財産を守り尊重することを 、行動
の規範として規定しています。知的財産は事業活動を支える重要な経営資源であり、知的財産に裏づけられた技術に基づく商
品・サービスの提供によって、お客様にパートナーとして安心していただけるということを、社員一人ひとりの意識の中で徹
底することを求めています。
知的財産戦略
知的財産戦略は、事業戦略・研究開発戦略と一体に進めてこそ意味があります。
富士通では、事業部門・研究開発部門が自らの知財の状況や他社の知財の状況を把握・分析し、知的財産戦略として何をすべ
きかを設定し遂行していくことを推進しています。
事業・研究開発部門との連携
計画
企画
設計
試作
製造
ライセンスアウト
特許ポートフォリオ
事業・
研究開発部門
知的財産部門
事業化判断
アライアンス検討
販売
ライセンス交渉
産官学連携
ライセンスイン
アイディア抽出
技術動向調査
特許出願
侵害回避調査
権利活用
富士通グループ全体での取り組み
グロ ーバルにグルー プ全体で知的財産活動に取り組み 、その強化を図ると同時にグル ープ全体で活用する仕組みを作っ
ています 。また、標準化のようにグループ横断での取り組みが必要な課題については、グループ各社と定期的な連絡会など
を通じて、情報を共有化しながら施策を進めるなど、一体となっ た活動を行っ ています 。
1. 特許権
技術力を支える特許権はとりわけ重要な経営資源の一つ
移動通信における基地局切替え方法
であるという認識のもとに、日本を中心にグローバルな特
移動中でも継続的に携帯電話で通話やメールをすることがで
許ポートフォリオの構築を図っています。
きるのは、接続する基地局を順次切り替えていく * ためです 。
* 接続する基地局を切り替えること=ハンドオーバ
特許の取得・維持・活用にあたっては、富士通グループの
グローバルな事業展開に即した形になるように、研究開発、
製造や販売拠点を視野に入れて、必要な特許を必要な国(地
域)で取得し 、維持・活用を図っ ています 。また 、米国と中
国に駐在員事務所を設置し 、現地の研究あるいは開発拠点
における発明の漏れのない抽出を行っ ています 。特に 、米
国の特許取得にあたっ ては 、発明の抽出のみならず 、審査
過程全般を通じて対応する体制にし 、より効率的に質の高
い特許を取得することを図っています 。
062
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
基地局を切り替えていくために 、携帯電話からコアネ ッ ト
ワークまで様々な技術を組み合わせています 。当社では本技術
開発にあたり 、競合他社との比較における強み弱みを知財の面
からも分析し出願戦略を立て 、ビジネスと知財を一体とした出
願活動を展開し、国内外に約 80 件の特許網を構築しています 。
今回、社団法人発明協会が主催する「平成 23 年度全国発明表
彰」において「発明賞」を受賞した「 CDMA 移動通信における基地
局切替え方法の発明(特許第3479935 号)」もこの中の一件です 。
ハンドオー バ
知的財産
2. 権利の活用
富士通は、保有する技術を知的財産で支えることによっ
て 、より効果的に製品やサ ー ビスを差異化して「事業の競
争優位性を確保」しています 。また、より良い条件で他社と
の連携を図り「事業の自由度の確保」を実現しています 。さ
らに、ライセンス等の活動を通じて「事業収益の確保」をす
クラウド・コンピューティング関連技術の国際標準化
活動への参画
富士通は、クラウドサービス間の相互接続性の確保と運用効率
の向上のために、クラウド・コンピューティング技術の国際標準
化、オープン化を積極的に推進しています。クラウドサービスに
とっ て大変重要である運用管理技術および仮想化に関する国際
るよう活用されています 。例えば、活用の一つであるクロ
標準化団体DMTF*1 の役員企業を務め、CMWG*2 に参画、富士通の
スライセンスは、事業の自由度を確保するために欠かせな
クラウド技術 *3 の API を標準仕様として提案しています。
いものとして、多くの企業とクロスライセンス契約を締結
しています。主要なクロスライセンス契約の締結先は、Intel
社、International Business Machines( IBM )社、Alcatel-
Lucent USA社、Motorola社、Texas Instruments社、Microsoft
社、Samsung Electronics 社です。
2010 年には当社グループの標準化に対する貢献が認められ、富
士通アメリカのJacques Durand 氏が
「 2010 DMTF Star Award 」
を
受賞しました。
*1 DMTF:Distributed Management Task Force
*2 CMWG:Cloud Management Working Group
*3 オンデマンド仮想システムサービス
( http://fenics.fujitsu.com/outsourcingservice/saas/plat/sop/ )
相互接続性が高い
3. グローバルスタンダードへの取り組み
ルールを使う時代からルールを創り出す時代へと、技術と
標準
市場を取り巻く競争環境が変化している中で、各部門の事業
戦略とスタンダード活動を整合させることが重要であると
の 認 識 のもと、ISO 、IEC 、ITU 、IEEE 、IETF 、3GPP 、OASIS 、
富士通など標準 IF を
持つクラウド
標準 IF
独自
顧客開発の運用アプリ
OMG 、DMTF をはじめとする世界の主要な標準化団体に参画
お客様のシステム
API
オンプレミスの
クラウド
他のクラウド
IF
お客様のシステム
個別対応、勝手な改版
し、グローバルなスタンダード活動を進めています。
PERFORMANCE
4. 他社権利の尊重
他社権利の侵害は 、高額な実施料の支払いや事業機会の喪失など経済的に大きな損害をもたらします 。そればかりでは
なく、商品・サービスの提供に支障を来すことは、お客様に多大なご迷惑をおかけすることになります 。他社権利を尊重す
る風土づくりとともに、他社権利の調査ができるよう、ATMS / IR.net* を全技術者が使えるように環境を整えています 。
* 特許庁から発行される特許公報や審査経過情報を利用し、特許を検索する ASP 型のサービス 。
2010 年国内特許登録件数
1 パナソニック(株)
2 ソニー(株)
3 トヨタ自動車(株)
4 キヤノン(株)
5 (株)東芝
6 本田技研工業(株)
7 (株)デンソー
8 三菱電機(株)
9 セイコーエプソン(株)
10 シャープ(株)
11 (株)リコー
12 (株)日立製作所
13 富士通(株)
14 富士ゼロックス(株)
15 富士フイルム(株)
16 パナソニック電工(株)
17 大日本印刷(株)
18 京セラ(株)
19 オリンパス(株)
20 日本電信電話(株)
(件)
5,574
4,766
3,959
3,903
3,782
3,280
3,171
3,062
3,014
2,858
2,736
2,268
2,129
1,782
1,755
1,608
1,536
1,422
1,373
1,355
特許公報発行日 全出願人カウント
特許庁公開データによる自社調査
上記、富士通以外の富士通グループ件数は1,040 件(19 社)
富士通グループ計:3,169 件
2010 年米国特許登録件数
(件)
1 IBM Corporation
5,896
2 Samsung Electronics Co., Ltd. 4,551
3 Microsoft Corporation
3,094
4 キヤノン(株)
2,552
5 パナソニック(株)
2,482
6 東芝(株)
2,246
ソニー
(株)
7
2,150
8 Intel Corporation
1,653
9 LG Electronics, Inc.
1,490
10 Hewlett-Packard Development Company, L.P. 1,480
11 (株)日立製作所
1,460
12 セイコーエプソン(株)
1,443
13 Hon Hai Precision Industry Co., Ltd. 1,438
14 富士通(株)
1,296
15 General Electric Company
1,225
16 リコー
1,200
17 Cisco Systems, Inc.
1,115
本田技研工業
(株)
18
1,050
19 富士フイルム(株)
1,041
20 Hynix Semiconductor, Inc.
973
出願中・登録中特許 ビジネスセグメント別比率
1 n テクノロジー
ソリューション 28%
2 n ユビキタス
ソリューション 13%
3 n デバイス
4
ソリューション 22%
4 n 研究所・
コーポレート
合計
1
102,000
(件)
37%
2
3
(2011 年 3 月 31 日現在)
出願中・登録中特許 地域別比率
1
2
3
4
n 日本
n 米州
n 欧州
45%
25%
18%
n アジア・
オセアニア 12%
4
3
合計
102,000
1
(件)
2
(2011 年 3 月 31 日現在)
特許公報発行日 全出願人カウント
出典:IFI CLAIMS Patent Services 社データ
上記、富士通以外の富士通グループ件数は602 件
(10 社)
富士通グループ計:1,898 件
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
063
富士通グループの理念・指針
Fujitsu Way
富士通は、2008 年 4 月1 日に富士通グループの理念・指針であるFUJITSU Wayを改訂し、新たな FUJITSU Way を
スタートしました 。FUJITSU Way は、富士通グループが今後一層の経営革新とグローバルな事業展開を推進し
ていく上で不可欠なグループ全体の求心力の基となる企業理念、価値観および社員一人ひとりがどのように行動
すべきかの原理原則を示したものです。
下記の図に示すように、FUJITSU Way は「企業理念」、
「企業指針」、
「行動指針」、
「行動規範」の 4 つから成り立っ
ています。まず「企業理念」では、富士通グループの存在意義、社会において果たすべき役割を示し、次に「企業指
針」では企業理念の実現に向けてグループとして大切にすべき価値観を表しています。そして「行動指針」、
「行動
規範」では、それぞれ富士通グループ社員として積極的に実践すべきことと必ず厳守すべきことを掲げています。
さらに「事業方針」では、FUJITSU Way に基づき定義された中期的な事業の方向性を示しており、全ての事業を
これに基づき展開しています。
全ての富士通グループ社員が、この FUJITSU Wayを等しく共有し、日々の活動において実践することで、グルー
プとしてのベクトルを合わせ、さらなる企業価値の向上と国際社会・地域社会への貢献を目指していきます。
FUJITSU Way の体系
FUJITSU Wayは企業理念、企業指針、行動指針、行動規範の四要素から成り立っています。
fujitsu Way
企業理念
富士通グループの存在意義
企業指針
企業理念の実現に向けて富士通グループとして
大切にすべき価値観
行動指針
企業指針に基づき社員が積極的に実践すべきこと
行動規範
富士通グループの社員として厳守すべきこと
事業方針
064
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
FUJITSU Wayに基づき、富士通グループが目指す
中期的な事業の方向性
富士通グループの理念・指針
企業理念
富士通グループは、常に変革に挑戦し続け
快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献し
豊かで夢のある未来を世界中の人々に提供します
目指します
企業指針
社 会・環 境
社会に貢献し地球環境を守ります
利益と成長
お客様、社員、株主の期待に応えます
株主・投資家
企業価値を持続的に向上させます
グロ ー バル
常にグローバルな視点で考え判断します
大切にします
社
お
客
員
多様性を尊重し成長を支援します
様
かけがえのないパートナーになります
お 取 引 先
共存共栄の関係を築きます
技
術
新たな価値を創造し続けます
品
質
お客様と社会の信頼を支えます
行動指針
良き社会人
常に社会・環境に目を向け、良き社会人として行動します
お客様起点
お客様起点で考え、誠意をもって行動します
三 現 主 義
現場・現物・現実を直視して行動します
チャレンジ
高い目標を掲げ、達成に向けて粘り強く行動します
ス ピ ー ド
目標に向かって、臨機応変かつ迅速に行動します
チームワーク
組織を超えて目的を共有し、一人ひとりが責任をもって行動します
n 知的財産を守り尊重します
n 法令を遵守します
n 機密を保持します
n 公正な商取引を行います
n 業務上の立場を私的に利用しません
事業方針
RESPONSIBILIT Y
行動規範
n 人権を尊重します
n フィールド・イノベーションにより、自らの革新とお客様への価値提供を追求します
n すべての事業領域において、地球環境保護ソリューションを提供します
n グループ各社が相互に連携し、グローバルな事業展開を加速します
株主・投資家
企業価値を持続的に向上させます
富士通グループは、戦略的な事業展開と効率的な経営を行い、かつ健全な財務体質を維持しつつ、長期にわたる安定的な利益の拡大と
成長を実現することで、企業価値を継続的に向上させ、株主・投資家の期待に応えます。また、株主・投資家の皆様に、このような企業
価値向上の取り組みとその成果を理解いただけるよう、事業活動の状況や財務情報を適時・適正に開示し、経営の透明性を高めます。
富士通グループの DNA
富士通自身が富士通の株主に対して、その投資に見合う利益を還元していくことが必要です。
私たちは、投資に対する利益、富士通の企業価値への期待へ応えていく責任と義務があります。
(2007 年 黒川博昭 第十二代社長)
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
065
環境活動・社会貢献活動への取り組み
富士通グループの環境活動
「自然と共生するものづくり」を追求してきた富士通グループは、環境保全を経営の最重要事項の一つと
1935 年の創業以来、
位置づけ、FUJITSU Way の企業指針「社会に貢献し地球環境を守ります」に基づき、環境経営に取り組んでいます。
また 、あらゆる事業領域で継続的に環境活動を実践していくために 、理念と行動指針を明文化した「環境方針」、全ての環境
活動のベースとなるコンセプト
「 Green Policy 21」、2020 年をターゲットとする中期環境ビジョン
「 Green Policy 2020」を定
めるとともに、グリーン ICT による環境負荷低減プロジェクト
「 Green Policy Innovation 」と「第 6 期富士通グループ環境行動計
画」を推進しています。これらを通じて、自社グループのみならずお客様や社会の環境負荷低減に貢献しています。
富士通グループ環境方針
http://jp.fujitsu.com/about/csr/eco/approach/policy/
環境コンセプト
「 Green Policy 21」
http://jp.fujitsu.com/about/csr/eco/approach/concept/
グローバル ICT 企業として、
「自社の事業活動」と「お客様・社会」の環境負荷の低減に挑戦する
低炭素社会の実現は人類にとって 21 世紀最大のテーマの 1 つとなっています。2050 年までに世界全体の温室効果ガス排出
量を 2050 年までに半減するには、社会全体で環境に配慮した働き方や暮らし方を追求しエネルギー効率を向上させていくこ
とが必要であり、それらを様々な側面から支える ICT の重要性がますます高まっています。
富士通グループは、先進的な環境技術を開発するとともに、それらを適用した製品やサービスを世界に普及させていくとい
うグローバル ICT 企業としての使命を追求し、自社の事業活動における環境負荷低減はもちろん、お客様・社会の環境負荷低減
に広く貢献していきます。
富士通グループの環境活動体系
2007
2010
2012
2013
事業活動に伴う
環境負荷の低減
Green Policy Innovation
(2008∼2013年3月期)
第5期
富士通グループ
環境行動計画
2100
富士通グループの目指す姿
お客様の環境負荷低減プロジェクト
お客様・社会への
環境貢献
2020
第6期
富士通グループ
環境行動計画
中期環境ビジョン
環境コンセプト
Green Policy
2020
「Green Policy 21」
すべてを
グリーンにします
Green Policy
Factories
Green Policy
Solutions
Green Policy
Earth
(2011∼2013年3月期)
Green Policy
Products
Green Policy Management
(2008∼2010年3月期)
環境活動のあゆみ
1935 年 川崎工場建設時、初代吉村社長
の提言により庭園様式を取り入
れる
1938 年 川崎工場竣工
1972 年 各工場に環境管理課設置
1989 年 環境対策委員会発足
1991 年 環境技術推進センター発足
1992 年 富士通環境憲章制定
1993 年 第 1 期富士通環境行動計画策定
066
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
1997 年 国内全製造工場にて ISO14001
2008 年 中期環境ビジョン
「 Green Policy 2020」策定
2000 年 環境本部発足
2009 年 生物多様性行動指針策定
2002 年 富士通グループ環境方針制定
2010 年 第 6 期富士通グループ環境行動
認証取得完了
2006 年 海 外 グ ループ 会 社 を 含 め た
ISO14001 のグローバル統合認証
を取得
2007 年 グリーン ICT によるお客様の環境
負 荷 低 減 プ ロ ジェク ト
「 Green
Policy Innovation 」をスタート
計画策定
環境活動・社会貢献活動への取り組み
第 6 期富士通グループ環境行動計画を開始
ICT を活用した生物多様性の保全
富士通グループは、2010 年 4 月から 2013 年 3 月期までの
目標を定めた「第 6 期富士通グループ環境行動計画」を開始し
ています。
富士通グループは ICT を活用した生物多様性保全活動とし
て、2010 年 4 月に全国タンポポ分布調査を開始しました。
これは、富士通エフ・アイ・ピー の「携帯フォトシステム」
本計画では、
「 Green Policy 2020」の 3 つの目標である「お
を活用した取り組みで 、GPS 機能付き携帯電話のカメラで撮
客様・社会全体への貢献」
「 自らの変革」
「 生物多様性の保全」
影したタンポポの画像をデータベースに蓄積し、地図情報と
に基づき 、6 つの重点分野「先端グリーン ICT の研究開発の強
マッピングして閲覧・分析するというものです。富士通グ
化」
「 製品・サービスの環境価値向上とグリーン ICT の開発・
ループ社員とその家族を対象にトライアルを6 ヶ月間実施し
提供強化」
「 自らの環境負荷低減の強化」
「 環境経営基盤の強
たところ、約 1,400 枚の画像データが集まりました。
化」
「 環境社会貢献活動の推進」
「 生物多様性保全活動の推進」
このトライアルを経て、調査参加者を社員から全国の市民
を定め 、さらに具体的な活動目標として 18 項目を設定して
に拡大し、タンポポという身近な植物を通して生物多様性に
います。
関心を持っていただけるよう、2011 年 2 月に「みんなで創ろ
第6 期富士通グループ環境行動計画の初年度にあたる2011
年 3 月期は、年度目標を全て達成しています。
5 月末までに 7,700 枚以上の写真を送っ ていただき 、タンポ
ポ前線マップが完成いたしました。本調査の実施にあたり、
第6期富士通グループ
環境行動計画
Green Policy 2020
3つの目標
重点分野
先端グリーンICTの研究開発の強化(新規)
● 製品
・サービスの環境価値向上とグリーンICTの開発・提供強化
● 自らの環境負荷低減の強化 ● 環境経営基盤の強化
● 環境社会貢献活動の推進 ● 生物多様性保全活動の推進
(新規)
●
う全国タンポポ前線マップ」をスタートさせました。2011 年
お客様・社会全体
への貢献
全国からの大容量のデータ送付に対応できるよう、フレキシ
ブルにシステム増強が可能な富士通の「オンデマンド仮想シ
ステムサービス」を活用しています。
自らの変革
生物多様性の保全
タンポポ調査の仕組み
1. 携帯電話でタンポポ
情報を収集
GPS
IT サービス業界で初めて「エコ・ファースト企業」に認定
2010 年9 月6 日、富士通グルー
プは IT サービス業界で初めて「エ
コ・ファースト企業」として環境
省 から 認 定 されました。エ コ・
エコ・ファースト・マーク
ファースト制度とは 、企業の環
当社の代表取締役社長山本正已は環境大臣に対して、富士
通グループの「エコ・ファーストの約束」として、1. グリーン
ICT の提供により、お客様・社会の環境負荷を低減、2. 自らの
①情報の検索
②検索結果表示
①写真撮影
③時刻の取得
メール
サーバ
地図表示
生物情報 DB
④メール送信
RESPONSIBILIT Y
約束する制度です。
検索・閲覧
②位置情報の取得
境保全に関する行動をさらに促
進するため 、企業が環境大臣に対し、環境保全の取り組みを
2. タンポポ情報の
携帯フォトシステム
オンデマンド仮想システムサービス
事業活動における環境負荷を低減、3. 生物多様性の保全を実
現する社会づくりへの貢献を約束しました。
ま た 、2011 年 3 月に発生し た東日本大震災に よ る電力
需要の逼迫を受けて、
エコ・ファースト企業
の一員として、5 月に
「 2011 年夏の節電の約
束」を宣言しました。
完成した全国タンポポ前線マップ
環境大臣より認定を受ける山本社長
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
067
環境活動・社会貢献活動への取り組み
2011 年 3 月期の主な外部表彰(富士通グループ関連)
内容
年/月
主催
内容
IT 機器の大幅な省電力に貢献する量子ドットを用いた
グリーン IT アワード 2010 経済産業大臣賞
2010 / 10
グリーン IT 推進協議会
第 12 回グリーン購入大賞 大賞
2010 / 10
グリーン購入ネットワーク
富士通グループ購買部門における生物多様性保全の取
り組み
グリーン・グリッド
データセンター・アワード 2010 優秀賞
2010 / 10
グリーン・グリッド日本支部/
DatacenterDynamics 社
データセンターの継続的なエネルギートレンド監視と
省エネ WG
平成 22 年度循環型社会形成推進功労者等
環境大臣表彰
2010 / 11
環境省
事業場から排出する廃棄物量の削減を中長期的目標を
立て計画的に進め、大幅な削減を実現
第 7 回 LCA 日本フォーラム表彰 奨励賞
2010 / 12
LCA 日本フォーラム
製品開発活動および生産活動への LCA の実践
平成 22 年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰
対策技術導入・普及部門
2010 / 12
環境省
モーダルシフトによる輸送 CO2 排出量の削減活動/
先進の大学内プライベートクラウド構築によるICT 機器
のエネルギー大幅削減
2011 / 2
川崎市
「 SPARC Enterprise Mシリーズ」
、
「ファシリティキューブ」
低 CO2 川崎パイロットブランド 10
半導体レーザー
第 6 期富士通グループ環境行動計画の初年度目標を全て達成。
環境経営トップ企業を目指し、グローバルな環境活動をさらに強化していきます。
2011 年3 月期、富士通グループは18 項目からなる第6 期富
気通信連合や ICT for Energy Efficiency Forum などへ積極的
士通グループ環境行動計画を開始し、初年度目標を全て達成
に参画しました。これらの成果もあり 、2011 年 3 月期はス
しました。主な活動成果として、グリーンICTの提供拡大や温
テークホルダー の皆様から多数の表彰や評価をいただくこ
室効果ガス排出量の削減、また、新たに重点分野とした「生物
とができました。
多様性の保全」における事業活動の影響と貢献を測る定量指
標の開発が挙げられます。
将来の環境経営トップ企業を目指し、今後もグローバルな
環境活動をさらに強化していきます。
そして、環境経営のグローバル化も推し進めました。例え
まず、法令遵守を徹底し、グローバルなガバナンスを強化
ば、環境配慮製品の開発を強化するために、サーバやパソコ
していきます。そして、お客様や社会に対して約束している
ンを開発しているドイツの富士通テクノロジー・ソリュー
第 6 期富士通グループ環境行動計画の目標を確実に達成しま
ションズとグローバル規格をベースにした環境配慮設計の
す。さらに、お客様の新たな価値を創造する環境技術の開発
共通規定を策定しました。また、環境負荷低減評価手法に関
や環境ソリューションを提供するとともに、国内のデータセ
する標準化を進展させるため、国際標準化機関である国際電
ンター などで培っ た環境先進技術をグローバルに展開して
いきます。
2011 年3 月に発生した東日本大震災の影響により、社会全
体でエネルギー をこれまで以上に効率良く使用していく必
要があります。富士通グループは、これまで培ってきた環境
経営の基盤を活かして徹底した節電に取り組むと同時に、今
後も継続的に自社のエネルギー効率を向上させていきます。
また、自社での実績をもとに省エネルギーで CO2 排出量が少
ない製品やサービスの開発に積極的に取り組み、お客様に貢
献していきます。
特命顧問(環境担当)
髙橋 淳久
068
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
環境本部 本部長
竹野 実
環境活動・社会貢献活動への取り組み
社会貢献活動
富士通グループは2010 年12 月、地球と社会の持続可能な発展に貢献するため、CSR(企業の社会的責任)基本方針を制
定し 、その実践にあたり優先的に取り組むべき 5 つの重要課題を設定しました。これら課題への対応を通じて、グロー
バル ICT 企業として CSR 経営を推進していきます。
5 つの重要課題
富士通が取り組むべき 5 つの重要課題は大きく 3 つの項目に分類されます。
1. 企業活動を通じた社会的課題の解決
富士通グループは、企業活動を通じて社会の様々な課題を解決し、地球と社会の持続可能な発展に貢献します。
重要課題 1. ICT による機会と安心の提供
世界の70 億人をICTがつなぎ・支える社会の実現に貢献し、人々
に夢のある機会と安心を提供する。
重要課題 2. 地球環境保全への対応
ICT によりグローバルな環境課題の解決に貢献するとともに、
自らの環境負荷を低減する。
2. CSR 活動の基盤強化
地球と社会の持続可能な発展に貢献するため、社員がグローバルな視野をもち、生き生きと活躍できる CSR の基盤を強化します。
重要課題 3. 多様性の受容
企業と個人がともに成長できるよう 、国籍、性別、年齢、障が
いの有無、価値観に関わらず、多様な人材を受け入れ活かす。
重要課題 4. 地球と社会に貢献する人材の育成
グローバルな視点にたち、他に先駆けて社会の発展に貢献する
高い志を持った人材を育てる。
3. ステークホルダーとの対話と協力
3 つ目として 、上記 2 つの項目を多面的視点から推進するため 、従来のビジネスの枠組みを越えた、幅広いステークホルダー との関
係構築に取り組みます。
重要課題 5. ステークホルダーとの対話と協力
良き企業市民として、ステークホルダーの多様な期待と要請を
理解して企業活動を実施する。
地球と社会の持続可能な発展への貢献
社会のために
重要課題 1
企業活動を通じた社会的課題の解決
ICTによる機会と安心の提供
地球環境保全への対応
多様性の受容
重要課題 3・4
重要課題 2
人々とともに
ステークホルダーとの対話と協力
社員とともに
地球環境のために
重要課題 5
地球と社会に貢献する人材の育成
スマートフォン活用による在宅医療の実現
のクラウドシステムを活用し 、スマートフォンで患者宅訪問のスケ
ブラジルで aTM 向けの新しい生体認証ソリューションを提供
ラテンアメリカ最大の民間金融機関(3,628 支店、ATM32,015 台)
で
ある Bradesco S.A.(ブラデスコ銀行)
では、ATM に富士通の手のひら静
脈認証装置「 PalmSecure(パームセキュア)」
を搭載しています。
ブラジル国内では ATM の不正操作が社会問題となっ ており 、複数の
ジュール管理から地図情報の確認、バイタル入力、処方箋の送信まで
生体認証システムの導入を検討した結果、
「高い認証率」
「 手のひらの静
を行えるようにしました。これによって、
脈が外的な影響を受けにくい」などの特
従来比 2 倍以上の在宅患者の訪問件数と医
長が高く評価され 、富士通製のシステム
療の質の向上を実現しています。
が導入されました。この
「 PalmSecure 」
日本では高齢化に伴って独居老人の増加、医療費の高騰が課題となっ
ており、自宅療養を可能にするための環境整備が求められています。
在宅医療専門の祐ホームクリニックは 、2010 年 12 月から 、富士通
富士通は、電子カルテの国内市場シェア
は、国内外を問わず PC ログインやビルの
30% 超を有するなど、これまでも医療環境
入退室など幅広い分野で導入が進んでお
の改善に貢献してきました。今後は在宅医
り、社会の安全・安心を支えています。
RESPONSIBILIT Y
CSR活動の基盤強化
療の分野においても、民間企業の健康関連
サービスや生活支援サービスとの連携に
よる循環型経済の確立に向けて、この取り
組みを拡大していきます。
在宅患者の診察を行う医師
ブラデスコ銀行のロゴ
ブラデスコ銀行の ATM
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
069
役員紹介
(2011 年 6 月 30 日現在)
1
2
3
4
5
6
取締役
1
間塚 道義
2
代表取締役会長
1943 年 10 月 17 日生
1968 年 4 月 富士通ファコム(株)入社
1971 年 4 月 当社転社
2001 年 6 月 取締役
2002 年 6 月 執行役
2003 年 4 月 経営執行役常務
2005 年 6 月 取締役専務
2006 年 6 月 代表取締役副社長
2008 年 6 月 代表取締役会長
2009 年 9 月 代表取締役会長 兼 社長
2010 年 4 月 代表取締役会長 *
3
石田 一雄
取締役執行役員副社長
1950 年 9 月 19 日生
1974 年 4 月 当社入社
2003 年 6 月 アウトソーシング事業
2004 年
2006 年
2008 年
2010 年
2010 年
6月
6月
6月
4月
6月
本部長
経営執行役
経営執行役常務
経営執行役上席常務
執行役員副社長
取締役執行役員副社長 *
山本 正已
代表取締役社長
1954 年 1 月 11 日生
1976 年 4 月 当社入社
2004 年 6 月 パーソナルビジネス本部副本部長
2005 年 6 月 経営執行役
2007 年 6 月 経営執行役常務
2010 年 1 月 執行役員副社長
2010 年 4 月 執行役員社長
2010 年 6 月 代表取締役社長 *
4
藤田 正美
取締役執行役員副社長
1956 年 9 月 22 日生
1980 年 4 月 当社入社
2001 年 12 月 秘書室長
2006 年 6 月 経営執行役
2009 年 6 月 執行役員常務
2010 年 4 月 執行役員副社長
2010 年 6 月 取締役執行役員副社長 *
5
加藤 和彦
取締役執行役員専務
1951 年 11 月 13 日生
1976 年 4 月 当社入社
1996 年 6 月 経理部長
2001 年 6 月 取締役
2002 年 6 月 執行役
2006 年 6 月 経営執行役常務
2008 年 6 月 経営執行役上席常務/
CFO* 、*1
2010 年 4 月 執行役員専務
2010 年 6 月 取締役執行役員専務 *
6
肥塚 雅博
取締役執行役員専務
1951 年 12 月 14 日生
1974 年 4 月 通商産業省入省
2003 年 7 月 内閣審議官
2005 年 9 月 産業技術環境局長
2006 年 7 月 商務情報政策局長
2007 年 7 月 特許庁長官
2009 年 8 月 当社顧問
2010 年 4 月 執行役員専務/ CSO* 、*2
2010 年 6 月 取締役執行役員専務 *
* 現在に至る
*1 CFO:Chief Financial Officer
*2 CSO:Chief Strategy Officer
070
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
役員紹介
7
大浦 溥
8
取締役
(株)
アドバンテスト名誉顧問
1934 年 2 月 14 日生
1956 年 4 月 当社入社
1978 年 7 月 総合企画室長
1985 年 6 月 取締役
1988 年 6 月 常務取締役
(1989 年 6 月まで)
2003 年 6 月 取締役 *
1989 年 6 月 (株)アドバンテスト
2001 年
2005 年
2007 年
2010 年
9
6月
6月
6月
6月
代表取締役社長
代表取締役会長
取締役相談役
相談役
名誉顧問 *
2000 年 4 月
2004 年 4 月
2005 年 10 月
2010 年 6 月
2011 年 4 月
11
11
伊藤 晴夫
代表取締役社長
2006 年 6 月 富士電機ホールディングス
(株)
*3 代表取締役 取締役社長
2010 年 4 月 取締役相談役
2010 年 6 月 相談役 *
2007 年 6 月 当社取締役 *
10
国分 良成
取締役
慶應義塾大学教授
1953 年 11 月 1 日生
1981 年 4 月 慶應義塾大学法学部専任講師
1985 年 4 月 慶應義塾大学法学部助教授
1992 年 4 月 慶應義塾大学法学部教授 *
1999 年 10 月 慶應義塾大学地域研究センター *4
所長(2007 年 9 月まで)
2007 年 10 月 慶應義塾大学法学部長 兼
大学院法学研究科委員長 *
2010 年 6 月 当社取締役 *
2005 年 4 月
2007 年 6 月
2011 年 6 月
2011 年 6 月
小倉 正道
梅村 良
天野 吉和
監査役
山室 惠
(日本大学大学院法務研究科教授)
三谷 紘
( TMI 総合法律事務所顧問)
執行役員
執行役員副社長
執行役員
石田 一雄
飯田 春幸
藤田 正美
五十嵐 一浩
佐相 秀幸
八木 隆
生貝 健二
片山 隆教
執行役員専務
酒井 雄一
加藤 和彦
肥塚 雅博
執行役員常務
上嶋 裕和
川妻 庸男
浜場 正明
山中 明
花田 吉彦
鈴木 英彦
合田 博文
安部 豊
村上 彰彦
井上 保
小泉 慎一
下島 文明
廣野 充俊
石川 享
河部本 章
森 隆士
齋藤 邦彰
豊木 則行
大谷 信雄
1950 年 11 月 14 日生
1973 年 4 月 (株)第一勧業銀行 *5 入行
2001 年 6 月 (株)第一勧業銀行 *5 執行役員
2002 年 4 月 (株)みずほコーポレート銀行
2002 年 10 月
常勤監査役
浦川 親章
取締役
清和綜合建物(株)会長
執行役員
(株)
みずほコーポレート銀行
常務執行役員
(株)
みずほコーポレート銀行
取締役副頭取(代表取締役)
(株)
オリエントコーポレーション
代表取締役会長兼会長執行役員
当社取締役 *
清和綜合建物(株)会長 *
監査役
谷口 典彦
沖本 隆史
9
ロッド ボードレー
工藤 義一
RESPONSIBILIT Y
1992 年 4 月
10
1943 年 11 月 9 日生
1968 年 4 月 富士電機製造(株)*3 入社
1998 年 6 月 富士電機(株)*3 取締役
2003 年 10 月 富士電機システムズ(株)*3
取締役
慶應義塾大学大学院教授
カンパニー・インク日本
支社マネージャー
青山学院大学
国際政治経済学部教授
一橋大学大学院
国際企業戦略研究科教授
郵政公社社外理事
日本学術会議副会長
当社取締役 *
慶應義塾大学大学院
メディアデザイン研究科教授*
8
取締役
富士電機(株)相談役
石倉 洋子
1949 年 3 月 19 日生
1985 年 7 月 マッキンゼー・アンド・
7
安井 三也
竹田 弘康
塚野 英博
上原 三八
小野 弘之
山田 隆史
野田 敬人
川上 博矛
* 現在に至る
*3 現 富士電機(株)
*4 現 東アジア研究所
*5 現(株)みずほコーポレート銀行および
半田 清
(株)
みずほ銀行
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
071
コーポレート・ガバナンス向上の取り組み
間塚 道義
代表取締役会長
今後 、経営の透明性をより高めるとともに、株価や利益に対する取締役の
意識をこれまで以上に高め、株主価値の向上に邁進していきます 。
Q:コーポレート・ガバナンスについて 、取締役会議長
Q:経営方針説明会で海外売上高比率 40% を目指すと
であり、かつ指名委員会・報酬委員会の委員である
されていますが、外国人の取締役も必要ではあり
会長はどのようにお考えですか。
ませんか 。
グロ ー バルにビジネスを行っ ている当社のような企業
当社の指名委員会では、適切な取締役候補者について、常
は、企業としての透明性を強く求められます 。特に、ガバナ
に議論を重ねております。なお、取締役ではありませんが、
ン ス に 対 して 非 常 に 厳 しい 外 国 人 投 資 家 の 比 率 も 36%
ボードレー常務が海外ビジネスグループを統括する体制を
(2011 年 3 月 31 日時点)
に達しており、今後さらにグローバ
敷いています。また、石倉取締役、国分取締役はそれぞれグ
ルにビジネスを拡大し 、株主やお客様のさらなる信頼を勝
ロ ーバルな視点での見識や人脈を有しており 、社外取締役
ち得るためには 、コー ポレート・ガバナンスのさらなる向
という立場で、様々なアドバイスをいただいています 。
上が重要であると考えています。
Q:役員報酬制度の改定について、目的と内容について
Q:コーポレート・ガバナンス向上に向けた取り組みに
ついて教えてください。
教えてください。
グロ ー バル ICT 企業である富士通グルー プの経営を担う
取締役選任のプロセスおよび役員報酬の決定プロセスの
優秀な人材を確保するため、また、業績や株主価値との連動
透明性・客観性の向上、ならびに役員報酬体系・水準の妥当
性を高め、透明性の高い報酬制度とするため、役員報酬支給
性を確保するために 、2009 年に指名委員会、報酬委員会を
方針を改定しました 。従来の基本報酬と賞与という体系か
設置しました 。同委員会で、取締役会の構成や役員報酬制度
ら 、役職や職責に応じ 、月額で定額を支給する「基本報酬」
について議論を進めた結果、同委員会から取締役会への答
と、株主価値との連動を重視した、長期インセンティブとし
申に基づき 、後述の経営監督機能の強化と役員報酬支給方
ての「株式取得型報酬」、短期業績に連動する報酬としての
針の改定を行いました。
「賞与」から構成する体系としました 。なお、
「株式取得型報
酬」とは、自社株式取得のための報酬を支給するもので、自
Q:経営監督機能の強化について、具体的に教えてくだ
さい。
るものとしています 。また 、賞与については 、年間の連結
取締役会の構成について、社外取締役を 1 名増員し、11 名
営業利益、連結純利益を指標にしています 。これにより、株
中 4 名を社外取締役としました。また、社外監査役のうち 1
価や利益に対する取締役の意識をこれまで以上に高め 、株
名を常勤の監査役として選定することで 、常勤監査役を増
主価値の向上に邁進していきたいと考えています 。
員し 、社外役員による経営監督機能のさらなる強化を図り
ます。
072
社株式は役員持株会を通じて取得し 、在任期間中は保有す
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
コーポレート・ガバナンス向上の取り組み
社外取締役からのメッセージ
グローバルな視点での深い見識を持つ 2 人の社外取締役から、
企業価値向上に向けた取り組みについてコメントをいただきました。
かれるダボス会議で知られる)
において、長年活動を続けて
きた私の経験と私の持つ世界に広がるネットワークを活用
し、世界レベルで頻発する自然災害や各種のリスクへの対応
として 、富士通の強みであるクラウドを活用した画期的な
社会システムを構築し、それを支える「世界観」を持つ人材の
開発、登用を推進することが私の役割と考えています。
石倉 洋子
取締役
慶應義塾大学大学院教授
Q:企業価値向上に向けて、社外取締役として今後どう
いった取り組みを行いますか。
企業価値の向上には 、短期的な利益の一方的な追求より
Q:社 外 取 締 役として 、グロ ー バ ルな視 点で の 経 営
も 、企業の資産を用いて 、エネルギ ー、環境、貧困、セキ ュ
戦略、競争におけるイノベーション戦略の見識を期
リティ、教育などの世界の課題を、各国政府や NPO 、社会起
待されていますが、その役割について、ご自身はど
業家と協働して解決しようとする活動の方が 、長期的に見
のようにお考えでしょうか。
て有効であるとする「共有価値の創造」が最近では世界を
情報通信技術を駆使し、世界の「多様」かつ、これまでとは
リ ードする潮流となっ ています 。富士通の事業の広さは 、
桁違いに速いスピードで変化するニーズに応えられるイノ
この点で貢献の余地が大きいので、こうした活動を推進し、
ベーションが 、事業戦略の基盤として重要性を増していま
具体的な事例を世界に発信したいと考えています 。
す。世界のリーダー が集まる世界経済フォーラム
(1 月に開
います 。富士通の将来の成否はアジアを中心としたグロー
バル世界にあります 。富士通の将来は日本の将来でもあり
ます 。私の専門知識が、富士通を通じて日本の発展に少しで
RESPONSIBILIT Y
も貢献できればと思っています。
Q:企業価値向上に向けて、社外取締役として今後どう
国分 良成
取締役
慶應義塾大学教授
いったことに取り組まれますか。
社外取締役という立場は 、直接の利害関係がないことに
最大の強みがあります 。取締役会が上からの目線だけで経
営判断をしていたら 、その会社の未来はありません。会社
Q:社外取締役として、グローバルな視点での政治・経済
はまさに社会なのです 。企業の価値はまず内部がしっかり
の深い見識を期待されていますが、その役割につい
しているかどうかです。結局のところ 、会社の浮沈を決め
て、ご自身はどのようにお考えでしょうか。
るのは人材と個々のモチベーションです。ある映画の決め
私の専門は東アジア・中国を中心とした国際関係ですの
台詞ではありませんが 、事件は現場で起こっ ています 。取
で 、私に期待される部分は明らかです。いまや世界は欧米
締役会では、できる限り下からの目線で、素朴で大きな疑問
日を中心とした既存秩序が巨大な挑戦を受けています 。ア
を提起することを心がけています 。
ジア地域ではそうしたチャ レンジャー たちが競いあっ て
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
073
コーポレート・ガバナンス
2011 年 6 月 23 日に東京証券取引所に提出した「コーポレートガバナンス報告書」を基に記載しています。
当社のコーポレート・ガバナンスの状況は以下のとおりです。
Ⅰ コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方およびその他の基本情報
1. 基本的な考え方
富士通グループは 、企業理念、企業指針、行動指針、行動規範からなる「 FUJITSU Way 」を定め 、
「 FUJITSU Way 」の共有と実践により 、
富士通グループの持続的な成長と発展を通じた企業価値の持続的な向上を目指しております。
富士通グループの企業価値の持続的向上を実現するためには、経営の効率性を追求すると共に、事業活動より生じるリスクをコン
トロールすることが必要であり、そのためにはコーポレート・ガバナンスの強化が不可欠であるとの基本的な考え方のもと、当社の
取締役会において「内部統制体制の整備に関する基本方針」を定め、継続的に施策を実施しております。
また、当社では、経営の監督機能と執行機能の分離によって意思決定の迅速化を図ると共に、経営責任を明確にすることに努めてお
ります。監督と執行の 2 つの機能間での緊張感を高めると共に 、社外役員を積極的に任用することにより 、経営の透明性、効率性を一
層向上させてまいります。
グループ会社につきましては、富士通グループとしての全体最適を追求するため、グループ全体の価値創出プロセスにおけるそれ
ぞれの役割・位置づけを明確にし、富士通グループの企業価値の持続的向上を目指したグループ運営を行ってまいります。
2. 支配株主との取引等を行う際における少数株主の保護の方策に関する指針
───
3. その他コーポレート・ガバナンスに重要な影響を与えうる特別な事情
当社の連結子会社および持分法適用関連会社のうち、以下の会社は国内の金融商品取引所に上場しております。
〈連結子会社〉
富士通フロンテック
(株)
、
(株)
富士通ビー・エス・シー、ニフティ(株)
、新光電気工業(株)
、FDK(株)
、富士通コンポーネント
(株)
〈持分法適用関連会社〉
(株)富士通ゼネラル
上場会社につきましては、各社の自主性を尊重しておりますが、
「富士通」または「 Fujitsu 」を商号または商標に用いる場合には 、事
前に当社の承認を得ることとしております。また、役員の選出、報酬の決定は各社が行いますが、候補者や金額について事前に報告を
受けることがあります。予算の策定や修正、決算状況につきましては、当社の連結決算に影響を与えることから、合理的な範囲で報告
を受けることがあります。
Ⅱ 経営上の意思決定、執行および監督に係る経営管理組織その他のコーポレート・ガバナンス体制の状況
1. 機関構成・組織運営等に係る事項
組織形態
監査役設置会社
【取締役関係】
074
定款上の取締役の員数
15 名
定款上の取締役の任期
1年
取締役会の議長
会長(社長を兼任している場合を除く)
取締役の人数
11 名
社外取締役の選任状況
選任している
社外取締役の人数
4名
社外取締役のうち独立役員に指定されている人数
2名
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
コーポレート・ガバナンス
会社との関係(1)
氏名
属性
会社との関係 *1
a
伊藤 晴夫
他の会社の出身者
石倉 洋子
学者
國分 良成
学者
沖本 隆史
他の会社の出身者
b
c
d
○
e
f
g
h
i
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
*1 会社との関係についての選択項目
a 親会社出身である
b 他の関係会社出身である
c 当該会社の大株主である
d 他の会社の社外取締役又は社外監査役を兼任している
e 他の会社の業務執行取締役、執行役等である
f 当該会社又は当該会社の特定関係事業者の業務執行取締役、執行役等の配偶者、三親等以内の親族その他これに準ずる者である
g 当該会社の親会社又は当該親会社の子会社から役員としての報酬等その他の財産上の利益を受けている
h 本人と当該会社との間で責任限定契約を締結している
i その他
会社との関係(2)
氏名
独立
役員
伊藤 晴夫
適合項目に関する補足説明
当該社外取締役を選任している理由
(独立役員に指定している場合は、独立役員に指定した理由を含む)
伊藤晴夫氏は富士電機株式会社(2011 年 4 月 1 日に富士
電機ホールディングス株式会社より商号変更)
の相談役
であり、富士電機グループは、当社の株式の5.45% を保
有するほか 、退職給付信託財産として当社の株式の
5.75%を保有しております。また、当社は同社の株式の
9.96%を保有しており、当社の相談役が富士電機株式会
社の取締役に就任しております。同社グループと当社
の間には営業取引関係があります。
2011 年4 月8 日付で富士電機株式会社ほか4 社の連名に
より 、当社株式に係る大量保有報告書の変更報告書(報
告義務発生日 2011 年 4 月 1 日)
が関東財務局長に提出
されており、当社は当該変更報告書に基づき、富士電機
株式会社を大株主に該当すると判断しております。な
お 、当社として実質所有株式数の確認はできておりま
せん。
長年にわたる企業経営の実績と当社事業内容について
の深い見識を有しておられるため。
なお、伊藤晴夫氏は、当社の主要株主である富士電機株
式会社の相談役です。一方、当社と同社の間には営業取
引関係がありますが、その取引金額は 2010 年度におい
て約89 百万円であり、当社の売上規模に鑑みると、特別
の利害関係を生じさせる重要性はありません。同氏に
は、その他には当社との間で独立性を疑わせる事実はあ
りません。
○
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授
グローバルな視点での経営戦略および競争におけるイ
ノベーション戦略の見識を有しておられるため。
なお、石倉洋子氏は、当社の主要株主や主要な取引先の
業務執行者等であっ た経歴がないなど独立性を有して
おり、当社は、当社が国内に株式を上場している金融商
品取引所に、同氏を独立役員として届け出ております。
國分 良成
○
慶應義塾大学法学部教授
東アジアを中心としてグローバルな視点から政治・経
済に深い見識を有しておられるため。
なお、國分良成氏は、当社の主要株主や主要な取引先の
業務執行者等であっ た経歴がないなど独立性を有して
おり、当社は、当社が国内に株式を上場している金融商
品取引所に、同氏を独立役員として届け出ております。
当社は、沖本隆史氏が代表取締役会長兼会長執行役員を
務める株式会社オリエントコーポレーションの株式を
1.55% 保有しております。また、同社と当社の間には営
業取引関係があります。なお、沖本隆史氏は、2011 年 6
月 29 日開催予定の同社の株主総会をもっ て、同社の代
表取締役会長兼会長執行役員を退任される予定です。
長年にわたる企業経営の実績を有しているため。
なお 、沖本隆史氏は、株式会社オリエントコーポレー
ションの代表取締役会長兼会長執行役員です。当社と同
社の間には営業取引関係がありますが 、その取引金額
は2010 年度において約29 億円であり、当社の売上規模
に鑑みると、特別の利害関係を生じさせる重要性はあり
ません。同氏には、その他には当社との間で独立性を疑
わせる事実はありません。
沖本 隆史
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
RESPONSIBILIT Y
石倉 洋子
075
コーポレート・ガバナンス
【監査役関係】
監査役会の設置の有無
設置している
定款上の監査役の員数
5名
監査役の人数
5名
監査役、会計監査人、内部監査部門の連携状況
会計監査人である新日本有限責任監査法人は、監査役会に対し、監査計画および監査結果を報告しております。また、必要に応じて
意見交換等も行っており、連携して監査を行っております。
内部監査組織としては経営監査本部(人員数:64 名)
を設置しております。経営監査本部は 、グループ各社の内部監査組織と連携し
て、富士通グループ全体に関する内部監査を実施しております。内部監査の監査計画、監査結果については、グループ会社に関する事
項を含め、常勤監査役に対しては原則として月次で報告を行い、監査役会および会計監査人に対しては定期的(原則として四半期に一
度)
に報告を行っております。
社外監査役の選任状況
選任している
社外監査役の人数
3名
社外監査役のうち独立役員に指定されている人数
3名
会社との関係(1)
氏名
属性
会社との関係 *1
a
b
c
d
e
g
h
山室 惠
弁護士
○
○
三谷 紘
弁護士
○
○
天野 吉和
他の会社の出身者
*1 会社との関係についての選択項目
a 親会社出身である
b その他の関係会社出身である
c 当該会社の大株主である
d 他の会社の社外取締役又は社外監査役を兼任している
e 他の会社の業務執行取締役、執行役等である
f 当該会社又は当該会社の特定関係事業者の業務執行取締役、執行役等の配偶者、三親等以内の親族その他これに準ずる者である
g 当該会社の親会社又は当該親会社の子会社から役員としての報酬等その他の財産上の利益を受けている
h 本人と当該会社との間で責任限定契約を締結している
i その他
076
f
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
○
i
コーポレート・ガバナンス
会社との関係(2)
氏名
独立
役員
適合項目に関する補足説明
当該社外監査役を選任している理由
(独立役員に指定している場合は、独立役員に指定した理由を含む)
山室 惠
○
日本大学大学院法務研究科教授
法曹界における長年の経験があり 、会社法を始めとす
る企業法務に精通しておられるため。
なお、山室惠氏は、当社の主要株主や主要な取引先の業
務執行者等であっ た経歴がないなど独立性を有してお
り、当社は、当社が国内に株式を上場している金融商品
取引所に、同氏を独立役員として届け出ております。
三谷 紘
○
TMI 総合法律事務所顧問
検事、公正取引委員会の委員等を歴任され、法律のみな
らず 、経済・社会等、企業経営を取り巻く事象に深い見
識を有しておられるため。
なお、三谷紘氏は、当社の主要株主や主要な取引先の業
務執行者等であっ た経歴がないなど独立性を有してお
り、当社は、当社が国内に株式を上場している金融商品
取引所に、同氏を独立役員として届け出ております。
天野 吉和
○
―
長年にわたるグローバル企業での経営の実績と経営監
督の実績を有しているため。
なお、天野吉和氏は、当社の主要株主や主要な取引先の
業務執行者等であっ た経歴がないなど独立性を有して
おり、当社は、当社が国内に株式を上場している金融商
品取引所に、同氏を独立役員として届け出ております。
【独立役員関係】
独立役員の人数
5名
その他独立役員に関する事項
該当事項はありません。
【インセンティブ関係】
取締役へのインセンティブ付与に関する施策の実施状況
業績連動型報酬制度の導入、ストックオプション制度の導入
該当項目に関する補足説明
当社は、役員報酬を、役職および職責に応じ、月額で定額を支給する「基本報酬」と、株主価値との連動を重視した、長期インセンティ
RESPONSIBILIT Y
ブとしての「株式取得型報酬」、短期業績に連動する報酬としての「賞与」
から構成する体系としております。なお、2007 年 6 月 22 日開
催の第 107 回定時株主総会において役員退職慰労金制度を廃止することを決議いたしました。
ストックオプションの付与対象者
社内取締役、社外取締役、従業員
該当項目に関する補足説明
ストックオプション付与については、2000 年、2001 年に付与しております。
2000 年には取締役 32 名(社外取締役を含む)
、従業員 17 名に付与(2010 年 6 月 30 日に行使期間満了)
。
2001 年には取締役 32 名(社外取締役を含む)
、従業員 18 名に付与(2011 年 6 月 26 日に行使期間終了予定)
。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
077
コーポレート・ガバナンス
【取締役報酬関係】
(個別の取締役報酬の)開示状況
一部のものだけ個別開示
該当項目に関する補足説明
連結報酬等の総額が 1 億円以上の役員に限定して個別開示しております。
2010 年度における該当者の報酬等の総額および種類別の総額は以下のとおりです。
・間塚道義(代表取締役会長)
提出会社
118 百万円(基本報酬 92 百万円、賞与 25 百万円)
連結子会社
̶
合計
118 百万円(基本報酬 92 百万円、賞与 25 百万円)
(※)上記賞与の額は、2011 年 6 月 23 日開催の第 111 回定時株主総会における決議に基づいて支給される役員賞与です。
なお、2010 年度における取締役および監査役に対する報酬等の総額および種類別の総額は以下のとおりです。
・取締役
うち社外取締役
・監査役
うち社外監査役
16 名
5名
5名
3名
465 百万円(基本報酬 364 百万円、賞与 101 百万円)
28 百万円(基本報酬 28 百万円)
117 百万円(基本報酬 93 百万円、賞与 23 百万円)
28 百万円(基本報酬 28 百万円)
* 上記には、2010 年度に退任した役員を含んでおります。
* 2006 年 6 月 23 日開催の第 106 回定時株主総会において、取締役(社外取締役を含む)の報酬額は年額 6 億円以内、監査役(社外監査役を含む)の報酬額は年額 1 億円以
内と決議いただいております。当社は、この報酬額の中で、上記の表の基本報酬を支給しております。なお、2011 年度以降の監査役(社外監査役を含む)
の報酬額に
ついては 2011 年 6 月 23 日開催の第 111 回定時株主総会において年額 1 億 5 千万円以内と決議いただいております。
* 上記賞与の額は、2011 年 6 月 23 日開催の第 111 回定時株主総会における決議に基づいて支給される役員賞与です。
報酬の額又はその算定方法の決定方針の有無
あり
報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容
【役員報酬支給方針】
グローバルICT 企業である富士通グループの経営を担う優秀な人材を確保するため、また、業績や株主価値との連動性をさらに高め、
透明性の高い報酬制度とするため、以下のとおり役員報酬支給方針を定める。
役員報酬を、役職および職責に応じ 、月額で定額を支給する「基本報酬」と 、株主価値との連動を重視した 、長期インセンティブとし
ての「株式取得型報酬」、短期業績に連動する報酬としての「賞与」から構成する体系とする。
〈基本報酬〉
「基本報酬」は、すべての取締役および監査役に対して、経営監督を担う職責、および業務執行を担う職責に対する対価として、役職
および職責に応じて支給する。
〈株式取得型報酬〉
・
「株式取得型報酬」は 、業務執行を担う職責のある取締役を支給対象とし 、長期インセンティブとして 、中長期的取り組みを定性評価
し、支給額を決定する。
・
「株式取得型報酬」は、自社株式取得のための報酬を支給し、自社株式は役員持株会を通じて取得する。なお、取得株式については在任
期間中は保有するものとする。
〈賞与〉
・
「賞与」は、業務執行を担う職責のある取締役を支給対象とし、短期インセンティブとして、1 事業年度の業績を反映し、支給額を決定
する。
・
「賞与」の具体的な算出方法として、連結営業利益および連結純利益を指標とした「プロフィットシェアリング型」を導入する。ただ
し、単独決算において当期純利益がマイナスの場合は支給しない。
なお、
「基本報酬」、
「株式取得型報酬」、
「賞与」の合計額は、株主総会の決議により、取締役は年額 6 億円以内、監査役は年額 1 億 5 千万
円以内とする。
【社外取締役(社外監査役)
のサポート体制】
当社では、社外取締役および社外監査役をサポートする体制として、秘書室内に社外取締役および社外監査役担当者を設置しており
ます。また 、法務本部(取締役会事務局)
および監査役室(監査役会事務局)
においても社外取締役および社外監査役のサポートを担当
しております。担当内容としては、社外取締役又は社外監査役の求めにより、監督又は監査に必要な社内又はグループ全体の情報の提
供および説明を実施しております。なお、情報の内容によっては、サポート担当部門だけではなく、しかるべき部署の担当者が説明し
078
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
コーポレート・ガバナンス
ております。また、取締役会の議案内容等の資料を取締役会メンバー(取締役および監査役)全員が共有し、開催前に内容をより深く把
握することを目的とし、取締役会参加メンバーが資料等を閲覧することができる専用のホームページを開設しております。
以上により、社外取締役又は社外監査役が内部監査、監査役監査および会計監査と相互連携し、富士通グループ全体の業務執行状況
の監督又は監査を行うことができるよう間接的にサポートしております。
2. 業務執行、監査・監督、指名、報酬決定等の機能に係る事項(現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要)
〈現状の体制の概要〉
当社は、経営の監督機関として取締役会を設置しております。取締役会は、執行機関である代表取締役社長および経営会議の経営監
督を行います。また、取締役会は、社外取締役を積極的に任用することにより、監督機能を強化しています。執行機関のうち経営会議
は、経営に関する基本方針、戦略を討議し決定するとともに 、経営執行に関する重要事項を決定いたします。なお 、経営会議に付議さ
れた事項は、その討議の概要も含め取締役会に報告され、そのうち重要な事項については、取締役会にて決定いたします。経営会議は、
原則として月 3 回開催いたしますが、必要がある場合には随時開催いたします。
また、当社は、監査機能として監査役(会)
を設置しております。監査役は、取締役会および経営会議などの経営執行における重要な
会議に出席し、取締役会および執行機能の監査を行います。監査役による監査を支える監査役室には、監査の独立性と実効性を確保す
るため、監査役との事前協議を経て、監査役の求める適切な人材を、原則として専任で配置しております。
なお、取締役会は、社内取締役 7 名、社外取締役 4 名の合計 11 名で、監査役会は社内監査役 2 名、社外監査役 3 名の合計 5 名で構成され
ております。また、取締役の経営責任をより明確化するため、2006 年 6 月 23 日開催の株主総会決議により、取締役の任期を 2 年から 1
年に短縮いたしました。
また、内部監査組織としては経営監査本部(人員数:64 名)
を設置しております。経営監査本部は、グループ各社の内部監査組織と連
携して、富士通グループ全体に関する内部監査を実施しております。内部監査の監査計画、監査結果については、グループ会社に関す
る事項を含め、常勤監査役に対しては原則として月次で報告を行い、監査役会および会計監査人に対しては定期的(原則として四半期
に一度)
に報告を行っております。
経営監査本部は 、公認内部監査人( CIA )
、公認情報システム監査人( CISA )
、公認不正検査士( CFE )
などの資格を有する者など 、内部監
査に関する専門的な知見を有する従業員を相当数配置しております。
会計監査人である新日本有限責任監査法人は、監査役会に対し、監査計画および監査結果を報告しております。また、必要に応じて
意見交換等も行っており、連携して監査を行っております。なお、当社の会計監査業務を実施した新日本有限責任監査法人所属の公認
会計士は古川康信、持永勇一、唐木秀明、紙谷孝雄の4 名です。また、監査補助者として新日本有限責任監査法人所属の公認会計士37 名、
会計士補等 21 名、その他 31 名が監査業務に従事しております。
富士通グループにおいては、
「 FUJITSU Way 」や財務報告に係る内部統制を推進する組織であるFUJITSU Way 推進委員会が中心となっ
て、富士通グループの内部統制の整備および評価を推進しております。FUJITSU Way 推進委員会は、会計監査人および監査役による内
部統制の監査に際し、定例会などを実施し、必要な情報の提供や説明を行っ ております。また、経営監査本部が実施する内部監査に際
しても、必要な情報の提供や説明を行っております。
当社は取締役の選任プロセスおよび役員報酬の決定プロセスの透明性・客観性並びに役員報酬体系・水準の妥当性を確保するため、
RESPONSIBILIT Y
取締役会の諮問機関として、指名委員会、報酬委員会を設置しております。指名委員会は、当社の置かれた環境と今後の変化をふまえ、
経営に関し客観的判断能力を有するとともに、先見性、洞察力に優れ、人格面において秀でた者を、取締役候補者(原案)
として答申す
ることとしております。また、報酬委員会は、優秀な人材を確保することおよび業績向上に対する有効なインセンティブとして機能
させることを念頭に 、事業内容、事業規模等の類似する会社の報酬水準を勘案し 、定額報酬の水準と業績連動報酬の算定方法を取締役
会に答申することとしております。
3. 現状の体制を採用している理由
当社が現在の体制を採用しているのは 、株主総会で選任された取締役が経営の重要事項の決定に関与することによっ て経営責任を
明確にし、また、
(1)取締役による相互監視と、
(2)監査役による監査の二つによって、経営の「健全性」と「効率性」を共に堅持するため
です。委員会等設置会社が制度化された当時、当社では従来から監査役による監査が十分機能してきたものと考え、これまで監査役設
置会社制度を継続してまいりました。
現在も、経営から独立した監査役の客観的な監査が有効に機能していること、社外取締役を積極的に任用していること、ならびに指
名委員会、報酬委員会および内部監査組織を設置していることにより、経営の「健全性」を確保していると考えております。
また、一層の「効率性」を目指して、執行役員制度を採用し、経営会議を設置することにより、監督と執行の分離を行い、迅速な意思決
定および業務執行の遂行を実現していると考えております。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
079
コーポレート・ガバナンス
Ⅲ 株主その他の利害関係者に関する施策の実施状況
1. 株主総会の活性化および議決権行使の円滑化に向けての取り組み状況
補足説明
株主総会招集通知の早期発送
議決権を行使するための十分な検討期間を確保する観点から、招集通知は株主総会開催日の概ね3 週
間前に発送するよう努めております。
集中日を回避した株主総会の設定
より多くの株主様にご出席いただくため、2001 年6 月開催の定時株主総会より、株主総会の開催日に
つき、いわゆる「集中日」
を避けて開催いたしております。
電磁的方法による議決権の行使
株主総会にご出席いただけない方々 の議決権行使促進および利便性向上の観点から、2002 年 6 月開
催の定時株主総会より、電磁的方法による議決権の行使を受け付けており、また、2006 年 6 月開催の
定時株主総会より、機関投資家向け議決権電子行使プラットフォームを採用しております。
議決権電子行使プラットフォーム
への参加その他機関投資家の議決
権行使環境向上に向けた取組み
株式会社 ICJ が運用する機関投資家向け議決権電子行使プラットフォームに参加し 、機関投資家の議
決権行使環境の向上を図っております。
招集通知
(要約)
の英文での提供
より多くの株主様に株主総会の議案内容をご理解いただくため、招集通知の英訳(和文の招集通知、事
業報告に相当する内容)
を作成し、外国人株主の皆様へ送付しております。また、発送と同日に当社 IR
サイト
(ホームページ)
にて内容を公開しており、迅速、正確かつ公平な情報開示に努めております。
その他
株主総会における議決権の行使結果を明確にするため、決議通知に加え、2010 年6 月開催の定時株主
総会より、賛否の票数を含めた議決権行使の結果を当社ホームページにて公開しております。
2. IR に関する活動状況
補足説明
ディスクロージャーポリシー の
作成・公表
080
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
当社は以下のディスクロージャーポリシーを作成し、当社ホームページにて公開
しております。
【ディスクロージャーポリシー】
当社グループは、企業理念、企業指針、行動指針、行動規範からなる
「 FUJITSU Way 」
を定め、
「 FUJITSU Way 」
の共有と実践により、当社グループの持続的な成長と発展
を通じた企業価値の持続的な向上を目指しております。当社は、このような企業
価値向上の取り組みとその成果について株主や投資家等のステークホルダーの皆
様がご理解いただけるよう、適時・適正に事業活動の状況や財務情報等を開示し、
経営の透明性を高めることをディスクロージャーの基本姿勢としております。
〈基本方針〉
当社は 、金融商品取引法等の法令及び上場している証券取引所の定める規則に従
い、公平性・継続性を重視した情報開示を行います。また、法令、規則により開示
を要求されていない情報であっても、株主や投資家等のステークホルダーの皆様
の当社に対する理解を深めていただくために有効であると当社が判断したもの
に関しては、積極的に情報開示を行っていく方針であります。
〈情報開示方法〉
法令、規則により開示が要求されている情報については、それぞれ定められた方
法( TDnet 、EDINET 等)
で情報開示を行います。なお、開示後、開示資料について
は、必要に応じて、当社ホームページにも掲載いたします。また、法令、規則によ
り開示が要求されていない情報については、情報の内容に応じて、当社が適切で
あると判断する方法(プレスリリース、当社ホームページへの掲載、説明会の実施
等)
にて、適宜、情報開示を行います。
〈将来の見通しについて〉
当社の開示する情報のうち将来に関する事項については、発表時点で入手可能な
データにより記載しておりますが、様々 な外的・内的な環境変化により、これら
の見通しとは異なる結果になることがあります。当社としては、将来見通しの精
度を高めるための努力をするとともに、見通しの変化が生じる場合には適宜、情
報開示を行います。
〈沈黙期間〉
当社では、決算関連情報がその発表前に漏洩することを防ぐため、各四半期および
通期の終了日翌日から決算発表予定日までを沈黙期間とし、業績に関する問い合わ
せへの対応を控えさせていただきます。ただし、沈黙期間中に業績数値が会社予
想から大きく乖離する可能性が出てきた場合には、適宜、情報開示を行います。
代表者自身による
説明の有無
コーポレート・ガバナンス
代表者自身による
説明の有無
補足説明
個人投資家向けに定期的説明会を
開催
個人投資家向け説明会は現在開催しておりませんが、IR サイトにおいて個人投資
家向け専用サイトを設けております。また、IR サイトにはお問い合わせフォーム
を設置するなどして、個人投資家の皆様とのリレーション向上に努めております。
なし
アナリスト・機関投資家向けに定
期的説明会を開催
社長による経営方針説明会、社長およびCFOによる決算説明会、各事業責任者によ
る事業戦略説明会を定期的に開催しております。また、社長、CFO 、各事業責任者
クラスによる説明会では、必ずマスコミ向けの説明会も開催し 、報道を通じて個
人投資家の皆様にも情報が伝わるよう配慮をいたしております。
あり
海外投資家向けに定期的説明会を
開催
CFOが定期的に海外の機関投資家訪問を行っております。また、欧米にIR 担当者を
あり
IR 資料のホームページ掲載
駐在させ、決算時に関わらず常に投資家とのリレーションを持っております。な
お、日本国内で開催した IR ミーティングのプレゼンテーション資料、Q&A を英文
化して IR 英語サイトにも掲載しております。
有価証券報告書(和文)
、事業報告(和英)
、決算短信(和英)
、アニュアルレポート
(和英)
、IR ミーティング・プレゼンテーション資料(和英)
、富士通グループ社会・
環境報告書(和英)
、株主総会招集通知(和英)等の各種IR 資料を掲載しております。
IR に関する部署(担当者)の設置
IR 担当役員としては CFO がその任にあたり、IR 担当部署としては広報 IR 室を設置
その他
上記のほか、機関投資家、証券アナリスト向け説明会の資料を IR サイトに掲載する
と共に、音声を中心にストリーミングで配信しております。
しております。
3. ステークホルダーの立場の尊重に係る取り組み状況
補足説明
当社グループの理念・指針である
「 FUJITSU Way 」
では、豊かで夢のある未来を世界中の人々 に提供す
ることを企業理念としており、お客様、株主・投資家、お取引先、社員など、あらゆるステークホルダー
の期待に応えることを企業指針として定めております。
環境保全活動、CSR 活動等の実施
環境活動については、
「 FUJITSU Way 」の企業指針に
「社会・環境∼社会に貢献し地球環境を守ります
∼」
を掲げており、従来より積極的な活動を継続しております。現在は 2010 年度から 2012 年度まで
を期間とする
「第 6 期富士通グループ環境行動計画」
に基づく活動を推進中です。2006 年 3 月には、環
境マネジメントシステムの国際規格 ISO14001 において、海外連結子会社まで拡大したグローバル統
合認証を取得いたしました。
「 FUJITSU Way 」
の実践として、社内各部門において前項のステークホルダーか
CSR 活動においては、
らの期待と信頼に応えるための諸活動(「 FUJITSU Way 」
の浸透と徹底、お客様起点経営の推進等)
を実
施しております。これらの活動の詳細については、毎年、
「富士通グループ社会・環境報告書」
を発行
し、公開しております。
富士通グループは、2009 年12 月に、国連が提唱するグローバル・コンパクトに参加し、グローバルな
観点からCSR 活動を強化していくことを表明しています。また、2010 年には、ISO26000
(社会的責任
の国際規格)
が発行され、日本経団連の企業行動憲章が改訂されるなど、企業として長期的な視野で
CSR に取り組むことがますます重要となってきています。
このような状況下において、2010 年12 月、富士通グループはCSR 基本方針を制定し、優先的に取り組
むべき 5 つの重要課題(※)を設定しました。経営と一体となった CSR 活動を推進することで、地球と社
会の持続可能性な発展に貢献してまいります。
RESPONSIBILIT Y
社内規程等によりステークホル
ダーの立場の尊重について規定
(※)
http://jp.fujitsu.com/about/csr/philosophy/policies/
ステークホルダーに対する情報提
供に係る方針等の策定
情報開示に関する基本方針としては、株主や投資家、証券アナリストへの適時・適切な会社情報の開示
が健全な証券市場の根幹を成すとの認識に立って、金融商品取引法や上場している金融商品取引所の
適時開示規則に則って情報を開示しております。また、規則に該当しない場合や会社にとって不利な
情報であっ ても、投資判断に係わると判断した情報については、迅速、正確かつ公平な開示に努める
ことを基本方針としております。さらに、お客様、地域社会等のステークホルダーの立場を尊重する
上で、情報提供が必要と判断した情報についても、会社にとって不利な情報も含め、迅速、正確かつ公
平な開示に努めることを基本方針としております。
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コーポレート・ガバナンス
補足説明
その他
「お客様」にとってかけがえのないパートナーとなることを目指す
「お客様起点経営」を推進しており
ます 。社員一人ひとりが「お客様起点」で考え、日々の業務の中で実践していくために、従来より推
進している「経営品質向上活動」を社内各部門により一層徹底し、
「お客様起点」での改善を継続的に
行える組織体質づくりに取り組んでおります。具体的な活動の一つとして 、富士通お客様総合セン
ターや富士通コンタクトラインに寄せられるご意見やご指摘の中で、個別の案件ではなく、制度や
体制に関わる本質的な問題については、富士通グループで共有すべきものとして、富士通グループ
の経営者が集まる定例会の場で具体的な内容とそれに対する改善事例を情報共有しています。これ
により、
「お客様の声」
に対する意識を高め、積極的な改善活動を実施しております。
Ⅳ 内部統制システムに関する事項
株主総会
選任・解任
答申・
提案
指名
報酬
・
委員会 委員会
選任・解任
取締役会
取締役11名(うち社外取締役4名)
諮問
連携
監査役会
監査役5名(うち社外監査役3名)
監査
重要事項の
付議/報告
監督
選定・解職
選任・解任
会計監査人
報告
連携
連携
代表取締役社長
経営会議
(業務執行の決定機関)
指示
指揮/命令
重要事項の
付議/報告
内部統制部門
・FUJITSU Way 推進委員会
・リスク管理委員会
・行動規範推進委員会
・環境委員会
会計監査/
内部統制監査
(経営監査本部)
報告
FUJITSU Way
監督
内部監査部門
報告
連携
内部
監査
報告
執行役員
各ビジネスグループ、グループ各社
1. 内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備状況
【内部統制システムの基本的な考え方】
当社は、取締役会において 、以下のとおり内部統制体制の整備に関する基本方針につき決議しております(2006 年 5 月 25 日決議、
2008 年 4 月 28 日改定 *1)。
1. 目的
富士通グループは、
「常に変革に挑戦し続け、快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献し、豊かで夢のある未来を世界中の
人々に提供すること」を企業理念とすることを、富士通グループの行動の原理原則である「 FUJITSU Way 」において宣言しております。
この「 FUJITSU Way 」の実践を通じて 、グループとしてのベクトルを合わせることにより 、さらなる企業価値の向上と社会への貢献を
目指しております。
また、富士通グループの企業価値の持続的向上を図るためには、経営の効率性を追求すると共に、事業活動より生ずるリスクをコ
ントロールすることが必要であり、このためのコーポレート・ガバナンスの強化が不可欠であるとの基本認識のもと、引き続き以下
に掲げる諸施策の継続的な実施を推進してまいります。
2. 当社および富士通グループの業務の適正を確保するための体制
(1)取締役の職務執行が効率的に行われることを確保するための体制
① 当社は、経営の監督機能と執行機能を分離し、取締役会は、経営会議等の執行機能の監督および重要事項の意思決定を行う。執行機
関のうち、経営会議は、経営に関する基本方針、戦略を討議し決定すると共に経営執行に関する重要事項について決定する。経営
会議に付議された事項は、その討議の概要も含め取締役会に報告し、そのうち重要な事項については取締役会において決定する。
② 当社は経営の監督機能を強化するため、社外取締役・社外監査役を積極的に任用する。
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FUJITSU LIMITED
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コーポレート・ガバナンス
③ 取締役会は、職務執行に係わる取締役、執行役員、常務理事(以下「経営者」という。)
およびその他の職務執行組織の職務権限を
明確化し、おのおのの職務分掌に従い職務の執行を行わせる。
④ 経営者は、
「取締役会規則」、
「経営会議規程」、
「稟議規程」等に基づく適切な意思決定手続のもと、職務の執行を行う。
⑤ 経営者は、経営方針等の周知徹底を行うと共に、経営目標達成のため具体的な達成目標を設定しそれを実現する。
⑥ 経営者は、事業の効率性を追求するために、内部統制体制の継続的な整備と業務プロセスの改革を推進する。
⑦ 取締役会は、経営者およびその他の職務執行組織に毎月の決算報告/業務報告等を行わせることにより、経営目標の達成状況を
監視・監督する。
(2)取締役および社員の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制
① 経営者は、法令・定款遵守を含むコンプライアンスの基本理念として「 FUJITSU Way 」を遵守すると共に、経営者としての倫理に
基づいてグループ全体のコンプライアンスの推進に積極的に取り組む。
② 経営者は、継続的な教育の実施等により、社員に対し「 FUJITSU Way 」の遵守を徹底させると共に、グループ全体のコンプライア
ンスを推進する。
③ 経営者は、富士通グループの事業活動に係わる法規制等を明確化すると共に、それらの遵守のために必要な社内ルール、教育、
監視体制の整備を行い、グループ全体のコンプライアンスを推進する。
④ 経営者および社員は、事業活動の遂行に関連して、重大なコンプライアンス違反の恐れのある事実を認識した場合は、直ちに通
常の業務ラインを通じてその事実を取締役会および監査役会に通知する。
⑤ 経営者は、通常の業務ラインとは独立した情報伝達ルートによりコンプライアンス問題の早期発見と適切な対応を実施可能とす
るため、通報者の保護体制等を確保した内部通報制度を設置・運営する。
⑥ 取締役会は、職務の執行者から職務執行状況の報告を定期的に受け、職務の執行においてコンプライアンス違反がないことを確
認する。
(3)損失の危険の管理に関する規程その他の体制
① 経営者は 、富士通グループの事業継続性、企業価値の向上、企業活動の持続的発展を実現することを目標とし 、これを阻害する
恐れのあるリスクに対処するため、リスクごとに所管部署を定め、適切なリスク管理体制を整備する。
② 経営者は、富士通グループに損失を与えうるリスクを常に評価・検証し、重要なものについては取締役会に報告する。
③ 経営者は、上記②で認識されたリスクおよび事業遂行上想定されるその他のリスクについて、未然防止対策の策定等リスクコン
トロールを行い、損失の最小化に向けた活動を行う。
また 、リスクの顕在化により発生する損失を最小限にとどめるため、リスク管理委員会等を設置し必要な対策を実施すると共
に、顕在化したリスクを定期的に分析し、取締役会等へ報告を行い、同様のリスクの再発防止に向けた活動を行う。
④ 経営者は、上記によって捕捉できないリスク情報の収集のため内部通報制度を設け、通報者の保護体制等を確保の上、これを運
用する。
RESPONSIBILIT Y
(4)取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制
① 経営者は、その職務の執行に係る以下の文書(電磁的記録を含む。以下同じ。)
その他の重要な情報につき、社内規定に基づき、保
管責任者を定めた上で適切に保存・管理を行う。
・株主総会議事録およびその関連資料
・取締役会議事録およびその関連資料
・その他の重要な意思決定会議の議事録およびその関連資料
・経営者を決裁者とする決裁書類およびその関連資料
・その他経営者の職務の執行に関する重要な文書
② 取締役および監査役は、職務の執行状況を確認するため、上記①に定める文書を常時閲覧することができるものとし、各文書の
保管責任者は、取締役および監査役からの要請に応じて、いつでも閲覧可能な体制を整備する。
(5)富士通グループにおける業務の適正を確保するための体制
① 当社は、グループ各社の経営者に対し、富士通グループの企業価値の持続的向上を目的に、
「 FUJITSU Way 」を基本として、上記の
(1)
から(4)
に定めるグループとしての効率的かつ適法・適正な業務遂行体制の整備に関する指導・支援を行う。
② 当社は、上記①を具体化するため、グループにおける各社の役割、責任と権限、意思決定のあり方等を規定した「富士通グループ
運営指針」を始めとするグループ運営に関する共通ルール等を制定する。
③ 当社およびグループ各社の経営者は、定期的な連絡会等を通じて富士通グループの経営方針、経営目標達成に向けた課題の確認
等を行う。
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コーポレート・ガバナンス
また、富士通グループの監査役は富士通グループ監査役連絡会等を通じて、監査の視点からの富士通グループにおける課題の確
認等を行う。
④ 当社およびグループ各社の経営者は 、上記③によっ て抽出された経営目標達成に向けた課題の解決のために必要な施策につ
いて、十分な協議を行ったうえでこれを実施するものとし、必要に応じ、別途定める当社への報告または承認の手続きを得る
ものとする。
⑤ 当社の内部監査組織は、グループ各社の内部監査組織と連携して、富士通グループ全体に関する内部監査を実施し、その結果を
定期的に当社および当該グループ会社の取締役会および監査役に報告する。
グループ会社に関する事項のうち重要な事項については、当社の取締役会および監査役会に報告する。
(6)監査役の監査の適正性を確保するための体制
〈独立性の確保に関する事項〉
① 当社は監査役の職務を補助すべき社員の組織として監査役室をおき、その社員は監査役の要求する能力・知見を有する適切な人
材を配置する。
② 経営者は、監査役室の社員の独立性を確保するため、その社員の任命・異動および報酬等人事に関する事項については監査役と
事前協議の上決定する。
③ 経営者は、監査役室の社員を原則その他の組織と兼務させないものとする。ただし、監査役の要請により特別の専門知識を有す
る社員を兼務させる必要が生じた場合は、上記②による独立性の確保に配慮する。
〈報告体制に関する事項〉
① 当社およびグループ各社の経営者は、監査役に重要な会議への出席の機会を提供する。
② 当社およびグループ各社の経営者ならびに社員は、経営・業績に影響を及ぼすリスクが発生した場合、または事業活動の遂行に
関連して重大なコンプライアンス違反となる事実を認識した場合、直ちに監査役に報告を行う。
③ 当社およびグループ各社の経営者ならびに社員は、定期的に監査役に対して職務執行状況を報告する。
〈実効性の確保に関する事項〉
① 当社およびグループ各社の経営者は、定期的に監査役と情報交換を行う。
② 内部監査組織は、定期的に監査役に監査結果を報告する。
③ 監査役は、会計監査人に対して会計監査の結果等について随時説明および報告を行わせると共に定期的に情報交換を実施する。
*1 当社グループでは、Mission(目標)、Values(指針)、Code of Conduct(行動指針)を定めた「 The FUJITSU Way 」を企業および社員の行動の原理原則として位置づけ
ておりましたが、より永続的・普遍的で、かつ簡潔なメッセージ性の高い表現にすることで、全グループ会社への適用と確実な浸透を図るため、2008 年 4 月 1 日よ
り企業理念、企業指針、行動指針、行動規範からなる「 FUJITSU Way 」に改定いたしました。
【内部統制システムの整備状況】
当社は、執行担当部門を定め 、責任を持っ て内部統制体制を構築しております。また 、諸規定および業務の見直しを通じ 、より健全
な業務執行体制の整備および運用に向けて継続的に取り組んでまいります。
また、当社グループでは、企業理念、企業指針、行動指針、行動規範を定めた「 FUJITSU Way 」を、社員の行動の原理原則として位置づ
けております。
この「 FUJITSU Way 」の浸透、定着を一層加速させ、業務の適正性を確保するための体制として、経営会議直属の委員会である「 FUJITSU
「リス
Way 推進委員会」が中心となって内部統制体制の整備および評価を推進しております。そのほか、経営会議直属の委員会として、
ク管理委員会」、
「行動規範推進委員会」および「環境委員会」の3 つの委員会を設置し、事業活動の執行における健全性と効率性を追求し
ております。
各委員会の機能は以下のとおりです。
・FUJITSU Way 推進委員会
「 FUJITSU Way 」の浸透、定着を図ると共に 、金融商品取引法に対応した財務報告の有効性・信頼性に係る内部統制システム構築に
向けた全社活動である「プロジェクトEAGLE 」を推進することにより、当社グループの内部統制の整備および評価を推進しております。
このプロジェクトは専任の推進体制を整え、当社グループ全体で展開しており、財務報告上の不備の改善はもとより、グループ全体の
業務プロセス改革による業務の効率性も追求しております。
・リスク管理委員会
事業活動に伴うリスクに対し、リスク管理規程およびリスク管理ガイドラインを定め、当社およびグループ会社にリスク管理推進責
任者を配置し、相互に連携を図りながら 、潜在リスクの予防、軽減と顕在化したリスクへの対応の両側面から 、当社グループ全体のリ
スクマネジメント体制とプロセスを構築し 、その実践と継続的改善を行っ ております。重要な事項は 、経営会議や取締役会に報告し、
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対応を協議するとともに、周知徹底を行っ ております。また、大規模災害等の不測の事態の発生時にも、重要な事業を継続し、企業と
しての社会的責任を遂行するとともに 、お客様が必要とする高性能、高品質の製品やサービスの安定的な供給を実現するために事業
継続マネジメント
( BCM )
を推進しております。
・行動規範推進委員会
社会規範および社内ルールの浸透の徹底、規範遵守の企業風土の醸成とそのための社内体制/仕組みの構築を推進しております。
社員からの内部通報・相談の窓口として「ヘルプライン制度」を設け、行動規範の徹底に努めております。
・環境委員会
「富士通グループ環境方針」、
「富士通グループ環境行動計画」に基づき、当社グループ全体での環境活動の推進、強化を図っ ており
ます。
なお、
「プロジェクト EAGLE 」により財務報告の有効性・信頼性に係る内部統制システムの整備に努めました結果、新日本有限監査法
人より 2010 年度における、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効であるとの監査意見を得ております。
2. 反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方及びその整備状況
【反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方】
当社グループは 、
「 FUJITSU Way 」において 、法令および社会的に公正と認められるルールを尊重し 、遵守することを行動規範とし
て定めております。これに基づき、反社会的勢力に対しては毅然とした態度で臨み、一切関係を持たないことを基本方針としており
ます。
【反社会的勢力排除に向けた整備状況】
当社グループは、対応統括部署を定め、グループ会社共通のマニュアルを作成し、顧問弁護士や警察および外部専門機関と連携して
情報収集を行うと共に 、研修の実施等により 、職場における周知徹底を図ることで 、必要に応じて迅速な行動をとることのできる
体制を整備しております。
Ⅴ その他
1. 買収防衛策の有無
買収防衛策の導入の有無
なし
該当項目に関する補足説明
当社は、企業価値を向上させることが、結果として防衛にもつながるという基本的な考え方のもと、企業価値の向上に注力している
ところであり、現時点で特別な防衛策は導入いたしておりません。
2. その他コーポレート・ガバナンス体制等に関する事項
RESPONSIBILIT Y
当社の会社情報の適時開示に係る社内体制の状況は、以下のとおりです。
1. 会社情報の適時開示に係る社内体制
当社は、事業の単位であるビジネスグループ
(以下 BG という)毎に BG の業務、運営又は業績等に関する情報(決定事実、発生事実及び
決算に関する情報)
の適時かつ正確な把握に努め、経営情報として経営改善に役立てており 、投資者に対して重要かつ必要な情報につ
いては、以下の付議及び意思決定体制により適時に開示いたします。
(1)経営に関する重要事項については、経営会議に付議され決定されます。
経営会議に付議された事項のうちさらに重要な事項は取締役会にて決定されます。
各 BG は、決定機関である経営会議・取締役会のコントロールのもと事業を遂行しております。
(2)各 BG は、会社の業務、運営又は業績に関する重要な事項につき、定期的に又は必要に応じて経営会議又は取締役会に報告します。
各 BG 内においては 、自己の部門におけるリスクマネジメントを実行する体制を構築することに努め 、情報の集約において自己を
統制することによって、発生事実の他リスク情報についても、より適時かつ正確な情報を把握し、報告する体制の充実を図りつつ
あります。
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(3)決算、業績修正及び配当等に関する情報は 、各 BG から提供された財務情報に基づき財務経理本部でとりまとめ取締役会に報告し
ます。
上記により把握された決定事実、発生事実及び決算に関する情報は、投資者に開示するに当たり、法務本部とパブリックリレーショ
ンズ本部との連携の下に開示規則に従い、情報の内容の適時性と正確性を確認し、代表取締役社長の最終確認を経た後、適時かつ正
確に情報開示を行うこととしております。なお、決算に関する情報ならびに決定事実及び発生事実のうち財務事項に関連するもの
については、代表取締役社長の最終確認の前に、CFO(最高財務責任者)
による承認を経ております。
2. 適時開示に係る社内体制のチェック機能
(1)当社は、適時開示に係る社内体制の充実を図るため 、各 BG におけるリスク情報を把握し、報告する体制を構築、維持する組織とし
て FUJITSU Way 推進委員会、リスク管理委員会および行動規範推進委員会を設置することによって、BG におけるリスクマネジメン
トを支援、推進しております。
又、会社内の不祥事等を事前に把握する仕組みとして「ヘルプライン制度」を行動規範推進委員会に有しており 、情報開示を含む不
正について防止する方策を講じております。
(2)又、当社は、当社の内部統制の状況及び内部の発生事実(リスク情報を含む)
を監査する経営監査本部を有しております。
経営監査本部は、各 BG におけるリスクマネジメント体制の仕組み等に対する監視を継続的に実施し、子会社を含め当社グループ全
体の業務、運営又は業績等に関する情報の正確性及び適切さの維持、向上に貢献しております。
───
適時開示
代表取締役社長
最高財務責任者
決算情報、財務事項
適時開示の
パブリックリレー
法務本部
要否協議
ションズ本部
事前協議
付議
経営会議
付議
決定事実
事務部門
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付議
取締役会
報告
発生事実
各 BG
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事務部門
決算に関する情報
各 BG
財務経理本部
事業等のリスク
当社グループ
(当社および連結子会社)
の事業その他に関する
③為替動向
リスクについて 、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると
当社グループは、海外での事業拡大を進めております。そのた
考えられる主なものとしては 、以下の内容が挙げられます。ま
め米ドルやユーロに代表される為替の急激な変動は、海外ビジネ
た、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項について
スの売上及び損益に影響し、海外に提供する製品やサービスの価
も、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下に開示し
格競争力の低下等を招くおそれがあります。また、これらは、海
ております。当社グループは、これらのリスクを認識・評価した
外からの部材等の輸入や製品等の輸出に大きな影響を及ぼす可
上で、リスクの回避・軽減・移転・保有、及び万一発生した時の対
能性があります。さらに、当社グループが海外に保有する資産・
応に真摯に努める所存です。なお、以下の内容は、当社グループ
負債等についても、為替変動により資産等が目減り、または負債
の全てのリスクを網羅するものではありません。本項において
等が増大する可能性があります。
は、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証
券報告書提出日(2011 年6 月23 日)現在において当社グループが
判断したものです。
1. 経済や金融市場の動向
④金利変動
当社グループの有利子負債の中には金利変動の影響を受ける
ものが含まれています。従って、金利上昇によって支払金利や調
達コストが増加することがあります。
経済状況や金融市場の動向は 、当社グループの経営成績や財
務基盤等に影響を与えます。例えば 、次のようなリスクが存在
します。
⑤資本市場の動向
国内外の株式市場の動向は、当社グループの保有する他社株式
の評価額及び年金資産の運用状況に大きく影響を及ぼします。
①主要市場における景気動向
当社グループは、日本国内及び世界各国で、政府等の公共機関
や企業等に、ICT を活用したサービス、サーバやストレージ等の
製品、ネットワーク製品、半導体等を提供し、コンシューマ向け
にパソコンや携帯電話、オーディオ・ナビゲーション機器等を提
供しております。これらの事業の売上及び損益は、各市場の景気
従って、株式市場が低迷した場合、保有株式の評価損が発生した
り、年金資産が目減りし、会社負担が増大するおそれがあります。
2. お客様
お客様の動向は、当社グループの事業に大きな影響を及ぼしま
す。例えば、次のようなリスクが存在します。
動向に大きく左右されます。特に、当社グループの主要市場であ
る、日本、欧州、北米、中国を含むアジアにおける景気動向は、当
社グループの事業に大きな影響を与えます。
①お客様における ICT 投資動向変化のリスク
テクノロジーソリューション等の当社グループのビジネスに
おいては、日本政府、自治体、各国政府等の公共機関、情報通信事
②ハイテク市場における変動性
ICT 業界においては 、周期的な市況の変動を超えた急激な需給
業、金融業、大手製造業等のお客様との取引割合が高くなってお
ります。これらのお客様の政策や、業界の経営環境、市況変化、
業界再編の動き等は、お客様のICT 投資動向の変化につながり、当
ン等、汎用性の高い製品において、その傾向は顕著です。当社グ
社グループの売上や損益に大きな影響があります。また、お客様
ループでは、グローバルに展開するテクノロジーソリューショ
の ICT 投資計画やその見直し、及びお客様の製品やサービスの売
ン等のビジネスにおける新規事業開拓、製品の市場投入や量産開
れ行き等は、当社グループの製品やサービスの需要や価格に大き
始、生産の縮小等の決定に際しては、市場の周期性や変動性を考
な影響があります。お客様の製品やサービスの需要が低迷した
慮しておりますが、当社グループが市場の変化を的確に予想で
り、価格が下落したり、事業が縮小されたり、当社グループのお
きない場合や、市況が想定以上に大きく変動する場合が起こり得
客様の市場シェアが低下したり、お客様が ICT 投資を抑制したり
ます。その際、投資を回収できないリスクや、機会損失を被るリ
することは、当社グループの売上及び損益に悪影響を与えます。
スクがあります。また、こうした市場の変化に対応するため、当
また、海外ビジネスにおいては、英国での政府系のプロジェクト
社グループでは継続的に構造改革を行っ ておりますが 、急激な
が重要な事業となっ ています。そのため、英国政府の ICT 投資計
変化が発生した場合には、構造改革の規模が想定以上に大きくな
画の見直しや抑制があった場合、当社グループの売上及び損益に
ることがあり、それに伴う一時的な費用の発生が増大すること
影響を与えます。
RESPONSIBILIT Y
バランスの変化が起きることがあります。特に、半導体やパソコ
があります。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
087
事業等のリスク
②お客様との関係継続に関するリスク
当社グループは、お客様のかけがえのないパートナーとなり、
4. 調達先、提携等に関するリスク
当社グループの事業は 、多くのお取引先や、提携先等、他社と
ICT のライフサイクルにわたるソリューションを提供し、お客様
の関係によっ て成り立っ ています。従っ て、これらのお取引先
と長期的な信頼関係を築くことを目指しております。そのため、
等との関係に著しい変化が生じた場合には、当社グループの事業
お客様との関係継続が事業の安定にとって重要です。お客様との
に影響を及ぼします。
信頼関係が継続できない場合や、取引または契約関係が継続でき
ない場合、当社グループの売上及び損益に影響を与えます。
①調達に関わるリスク
3. 競合/業界
用しており、一部の部品、原材料等については、安定的な調達が
ICT 業界は大変競争が激しく、技術革新のスピードが速いため、
当社グループが提供する製品やサービスは、最先端の技術を使
困難であったり、供給が滞った場合の代替の調達先を確保できな
業界や競合他社の動きによって、当社グループの経営成績は大き
いリスクがあります。また、大量に調達が必要な部品、原材料等
な影響を受けます。例えば次のようなリスクが存在します。
について 、必要な量を調達できないリスクがあります。さらに
お取引先において、自然災害や事故、経営状況の悪化等により 、
①価格競争
当社に対する部品、原材料等の安定的な提供が困難になるリスク
市況環境の変化や競争激化、技術革新等は製品やサービスの価
があります。これらの場合、製品及びサービスの提供が遅れ、お
格下落につながる可能性があります。当社グループは、技術の進
客様への納入遅延や機会損失等が発生する可能性があります。ま
歩や競争激化等によるクラウドサービス等のICT サービスの低価
た、調達部品等について、為替動向や需給逼迫等により調達価格
格化、パソコンの価格競争の激化等の価格下落を想定し 、お客様
が当初見込みを上回り、製品及びサービスの利益率の悪化や、値
のニーズや他社状況を把握して、競争力のあるサービスのライ
上げによる売上の減少が起きる可能性があります。また、調達部
ンナップを拡充するとともに 、トヨタ生産システムの導入や 、
品等については、できる限り品質確保に努めておりますが、購入
サービスの工業化及び標準化、ソフトウェアのモジュール化等、
部品の不良を完全に防げる保証はありません。購入部品に不良
コストダウンに向けた取り組みや新製品や新サービス等の販売
があった場合、工程の遅延や、製品不良が発生し、機会損失、修理
拡大の努力をしておりますが、価格下落が当社グループの想定
回収費用、不良品廃却費用、お客様への賠償責任等が発生する可
を上回るリスクや、調達価格の変動等により当社グループが十分
能性があります。
なコストダウンや販売拡大を実現できないリスクがあります。
そのような場合、当社グループの売上及び損益に悪影響があり
ます。
②提携、アライアンス、技術供与に関するリスク
当社グループは、グローバルな ICT ビジネス環境における競争
力強化のため 、業務提携、技術提携、合弁等の形で 、多くの会社
②新規参入者を含めた競争
ICT 業界では、既存の競合他社に加え、新規参入者との競争も激
と共同で活動を行っ ており 、引き続きこのような活動を前向き
に活用する予定です。しかし、経営、財務あるいはその他の要因
しくなっています。現在、当社グループが競争優位性を持ってい
により、このような協力関係を成立または継続できない場合や、
る分野でも、新規参入業者を含めた競合他社との競争に晒されて
これらの協力関係から十分な成果を得られない場合には 、当社
おり、当社グループが競争力を失ったり、将来の事業において優
グループの事業に悪影響を及ぼすことがあります。また 、当社
位性を確保できないリスクがあります。
グループの製品やサービスは 、他社の許諾を受けて使用してい
る多くの特許や技術、ソフトウェア、商標等を前提としておりま
③技術開発競争
ICT 業界では技術の進歩が大変早く、新製品や新技術は急速に
陳腐化します。競争力の維持のためには、最先端の技術を開発し
す。これらの技術等について 、今後も当社グループが許容でき
る条件で 、他社からの供与や使用許諾を受けられるとは限りま
せん。
続けることが必要です。クラウドサービスやスマートフォン等
の市場拡大に対し、当社グループは技術やサービスの優位性を確
保する努力を最大限行いますが、これらの技術開発競争で他社
088
5. 公的規制、政策、税務に関するリスク
当社グループの事業活動は、グローバルに展開しているため、
に優位性を奪われた場合、シェアや利益率が低下し、当社グルー
各国・各地域の数々 の公的規制や、政策動向、税務法制や運用等
プの売上及び損益に悪影響を及ぼします。また、当社グループの
の影響を受けます。具体的には、事業展開する各国において、政
製品やサービスの価値を著しく低下させるような 、画期的な新
府の政策や、事業や投資の許可、輸出入に関する制限等のさまざ
技術や新サービス等が他社によって開発された場合、当社グルー
まな規制や 、独占禁止、知的財産権、消費者、環境・リサイクル、
プの売上及び損益に悪影響があります。
労働条件、派遣・下請、租税等に関する法令の適用を受けており
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
事業等のリスク
ます。これらの政策や規制等の強化や変更は、対応コストの増加
を抑制しております。併せて損失の引当ても適時に実施してお
により、損益に影響を与えます。また、当社グループがソリュー
ります。さらにシステム開発の工業化等、コスト競争力の強化に
ションを提供する分野には 、医療や通信、工事等、公的規制を受
も努めております。しかしながら、これらによっても、納期遅延
ける領域があります。これらの市場における規制の動向が当社
や不採算プロジェクトの発生を完全には防止できない可能性が
グループの事業へ影響を与える可能性があります。
あります。
6. その他事業遂行上のリスク
③投資判断、事業再編に関するリスク
事業遂行にあたっ て、当社グループは認識するリスクを排除
ICT 業界においては、競争力維持のため、多額の研究開発投資、
するために最大限の努力を行っ ておりますが、全てにおいて望
設備投資及び事業買収、事業再編等が必要な場合があります。こ
ましい結果を実現できる保証はありません。具体的には次のよ
れらの実施の成否は、当社グループの経営成績に重要な影響を及
うなリスクが存在します。
ぼします。当社グループでは、投資や事業再編にあたって、市場
動向やお客様のニーズ、当社技術の優位性、買収先の業績、当社
①製品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク
当社グループでは 、グローバル化、高度化した現代のネット
グループの事業ポートフォリオ等を勘案して決定しております
が 、当社グループが有望と考えた市場や技術、または買収先が 、
ワーク社会のインフラを支えており、FUJITSU Way において、品
実際には想定ほど成長しなかったり、需給悪化や価格下落が予想
質を大切にすることを企業指針の一つに掲げ、お客様と社会の信
以上に早く起きる可能性があります。また、当社グループでは、
頼を支えることを目指しております。
投資効率を検討し 、所要変動に応じて投資を複数段階に分けて
製品開発においては 、製造段階だけではなく開発設計を含め
行ったり、事前にお客様と提携する等、リスクを軽減する努力を
て品質管理の全社ルールを定め、品質の向上や、外部購入品の品
しておりますが、常に投資から十分なリターンを得られるとは
質管理強化を進めておりますが 、ソフトウェアを含む当社製品
限りません。
において、欠陥や瑕疵等が発生する可能性は排除できません。ま
た、テクノロジーソリューションにおけるシステム構築等の
④知的財産権に関するリスク
当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄
アのモジュール化や開発の標準化、セキュリティ対応の強化等に
積してまいりましたが 、当社グループ独自の技術とノウハウの
よる品質向上に努めておりますが、当社グループのサービスに
一部は 、特定の地域では法的な制約のために知的財産としての
おいて瑕疵等が発生する可能性は排除できません。特に社会シ
十分な保護が受けられない場合があります。そのため、第三者が
ステムに関しましては、2005 年11 月の東京証券取引所でのシス
当社グループの知的財産を使って類似製品等を製造、販売するの
テム障害をきっ かけとして 、システムの運用環境、ソフトウェ
を効果的に防止できない可能性があります。また、他社が、類似
ア、ハードウェアのシステム全般に係る瑕疵等について、お客様
もしくはより優れた技術を開発した場合、当社グループの知的
と協働で点検を実施し、社会システムの安定稼動のため 、品質、
財産の価値が低下する可能性があります。また、当社グループで
契約やルール等を改善する活動を継続的に行っ ておりますが 、
は他社の知的財産権を侵害することのないよう 、社内規定の整
瑕疵等が発生する可能性を完全には排除できません。このよう
備や製品出荷前のクリアランス調査の徹底等を行っ ております
な製品及びサービスの欠陥、瑕疵等が発生した場合、製品回収や
が、当社グループの製品やサービスまたは技術について、他社の
補修、システムリカバリー作業や、お客様への補償、機会損失等
知的財産権を侵害しているとされ 、使用料支払いや設計変更費
が発生し、当社グループの売上及び損益に悪影響を及ぼします。
用等が当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。ま
RESPONSIBILIT Y
サービスについては、品質管理の全社ルールを定め、ソフトウェ
た、当社グループは、従来より従業員の発明に対して、職務発明
②プロジェクト管理についてのリスク
システム開発においては、開発規模の大型化とお客様の要求の
高度化、オープン化の進展によるシステムの複雑化が進み、開発
補償を積極的に行い、今後も法令等に基づいた職務発明補償を実
施いたしますが、補償評価に対して発明者から訴訟を提起され
るリスクがあります。
の難度がますます高まっております。同時に競争の激化により、
価格低下圧力が格段に強まっております。これらに対し、お客様
⑤人材に関するリスク
との契約のあり方を見直すとともに 、営業・SE のビジネスプロ
当社グループの成長と利益は、人材に大きく依存します。従っ
セスの標準化を進め、商談発生時からプロジェクトの進行を通じ
て、優秀な技術者や SE 、管理者等、必要とする人材を採用、育成、
てリスク管理を行い、納期遅延や不採算プロジェクトの新規発生
及び流出を防止することは当社グループにとっ て重要であり 、
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
089
事業等のリスク
このような人材を採用または育成することができない場合や 、
の安定的供給等の当社グループの事業活動の継続のために、事業
優秀な人材の流出を防止できない場合、当社グループの成長や利
継続計画( BCP:Business Continuity Plan )
を策定しております。
益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、事業所における耐震対策や定期点検、防災訓練等の取り組
みを実施しております。しかし、想定外の自然災害や事故等が発
⑥環境に関するリスク
生した場合、事業所の機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の
当社グループでは、FUJITSU Wayにおいて社会に貢献し地球環
供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへ
境を守ることを企業指針の一つに掲げ、
「富士通グループ環境方
の被害等により、お客様への製品出荷やお客様の情報システムの
針」のもと、環境負荷の低減や環境汚染の発生防止等に努めてお
サポート等の停止など、当社グループの事業活動の継続に影響を
りますが 、事業活動を通じて環境汚染等が発生しないという保
及ぼす可能性があります。
証はありません。また、当社グループ工場跡地において、土壌や
2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災に対しては、発生後
地下水の調査及び浄化活動を行っていますが、今後新たな汚染が
ただちに社長を本部長とする災害中央対策本部を立ち上げ、東日
判明しないとも限りません。このような環境汚染が発生または
本を中心に当社グループの全拠点の状況確認、お客様の状況確認
判明した場合、当社グループの社会的な信用低下や、浄化処理等
等を実施するとともに、BCP を発動して重要な事業の復旧活動を
の対策費用発生等により損益に悪影響を及ぼします。
行い、お客様への製品やサービスの供給回復や社会機能の維持に
向けて、パソコンや半導体等の生産を代替拠点に一時的に移設す
⑦情報管理に関するリスク
る等の事業継続活動を実施いたしました。これらの復旧活動に
お客様やお取引先、または当社グループの個人情報や機密情報
も関わらず、大規模な余震等が発生した際には、公共インフラ停
の保護については、社内規定の制定、従業員への教育、業務委託
止、燃料不足、設備被害及びサプライチェーンへの被害等によ
先も含めた指導等の対策を実施しておりますが 、情報漏洩が全
り、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
く起きない保証はありません。万が一、情報漏洩が起きた場合、
また、東日本大震災等に伴う電力不足に対し、当社グループと
当社グループの信用は低下し、お客様に対する賠償責任等が発生
して政府や産業界の要請に的確に対応することにより企業とし
するおそれがあります。
ての責務を果たし、また、エネルギー使用のあり方を中長期的に
検討するため、社長を委員長とした節電対策委員会を設置してお
⑧格付け等当社グループの信用に関するリスク
外部の格付け機関が当社グループに対して発行する格付けは、
ります。当委員会では、政府の動向を確認しながら、当社グルー
プ全体での節電対策等を実施しておりますが 、特に夏場の電力
資金調達に大きな影響を及ぼすとともに 、お客様と取引する際
不足対策による事業活動の変化や、計画停電、予測不能な大規模
の信用情報として使われることがあります。収益計画の未達や
停電等により、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性が
財務状況の悪化等の理由によりこれらの格付けが引き下げられ
あります。
た場合、当社グループの資金調達に影響を与えるほか 、入札等、
取引参加において不利になる可能性があります。
また 、当社グループの重要な事業活動基盤の一つである社内
ネットワークにつきましては、安定した運用を行うための万全
の体制を構築しておりますが 、コンピュータウィルスの侵入等
7. 自然災害や突発的事象発生のリスク
による運用困難を完全に防げる保証はありません。
自然災害やその他の予期せぬ事態が発生した場合、当社グルー
プの経営成績や財務基盤に大きな影響を与えるおそれがありま
す。例えば、下記のようなリスクが存在します。
②地政学的リスク
当社グループが事業活動を展開する国や地域において、紛争や
テロ、政情不安、通貨危機等が発生した場合、当社の事業に大き
①地震やその他の自然災害、事故等によるリスク
な影響を与えるリスクがあります。
当社グループでは、地震や大規模な水害、火山の噴火などの自
然災害や事故、新型インフルエンザ等の感染症の流行等の発生時
にも、重要な事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行する
とともに、お客様が必要とする高性能・高品質の製品やサービス
090
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
8. 財務諸表に関するリスク
詳細については、P100
「 6. 重要な会計方針及び見積り」
をご覧
ください。
財務セクション
FACTs & FIGURES
Financial Section
092
093
102
104
105
106
107
136
5 年間の主要財務データ
経営陣による業績の検討及び分析
連結貸借対照表
連結損益計算書 連結包括利益計算書
連結株主資本等変動計算書
連結キャッシュ・フロー計算書
連結財務諸表の注記
監査報告書
FACTs & FIGURES
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
091
5 年間の主要財務データ
富士通株式会社及び連結子会社
百万円
3 月 31 日に終了した会計年度
売上高
営業利益
税金等調整前当期純利益(損失)
当期純利益(損失)
2007 年
2008 年
2009 年
2010 年
千米ドル
2011 年
2011 年
¥5,100,163 ¥5,330,865 ¥4,692,991 ¥4,679,519 ¥4,528,405
182,088
204,989
68,772
94,373
132,594
214,495
109,444
(113,314)
112,706
102,236
102,415
48,107
(112,388)
93,085
55,092
$54,559,096
1,597,518
1,231,759
663,759
:
1 株当たり情報(円、米ドル)
当期純利益(損失)
─基本的
¥
─希薄化後
配当金
自己資本
総資産
純資産
現金及び現金同等物
有利子負債
(倍)
D / Eレシオ
ネットD / Eレシオ
(倍)
設備投資額
減価償却費
23.34 ¥
19.54
8.00
458.31
(54.35) ¥
(54.35)
8.00
362.30
45.21 ¥
42.17
8.00
386.79
26.62
25.75
10.00
396.81
$
0.321
0.310
0.120
4.781
¥3,943,724 ¥3,821,963 ¥3,221,982 ¥3,228,051 ¥3,024,097
1,160,719 1,130,176
925,602
948,373
953,779
$36,434,904
11,491,314
¥ 448,705 ¥ 547,844 ¥ 528,174 ¥ 420,166 ¥ 358,593
745,817
887,336
883,480
577,443
470,823
0.77
0.94
1.18
0.72
0.57
0.31
0.36
0.47
0.20
0.14
$ 4,320,398
5,672,566
113,426
1,366,578
¥ 254,095 ¥ 258,717 ¥ 249,902 ¥ 224,951 ¥ 236,210
305,285
249,063
167,690
126,481
130,218
202,825
200,509
223,975
164,844
141,698
$ 2,845,904
1,568,892
1,707,205
フリー・キャッシュ・フロー
研究開発費
49.54 ¥
44.95
6.00
469.02
257,682
期末従業員数(人)
160,977
38,146
167,374
23,487
165,612
296,409
172,438
172,336
期中平均レート
(円)
:
米ドル
¥
ユーロ
英ポンド
海外売上高比率
117 ¥
150
222
35.8%
114 ¥
162
229
36.1%
101 ¥
144
174
32.0%
93 ¥
131
148
37.4%
86
113
133
35.1%
(顧客所在地別売上高内訳)
日本
¥3,274,908 ¥3,407,244 ¥3,193,105 ¥2,931,215 ¥2,941,042
795,877
839,719
657,073
981,622
845,485
米州
472,975
521,989
391,443
321,603
322,272
・中国
APAC(アジア・パシフィック)
556,403
561,913
451,370
445,079
419,606
売上高計
¥5,100,163 ¥5,330,865 ¥4,692,991 ¥4,679,519 ¥4,528,405
EMEA(欧州・中近東・アフリカ)
$35,434,241
10,186,566
3,882,795
5,055,494
$54,559,096
注記:
1. 米ドル金額は、便宜上、2011 年 3 月 31 日現在の東京外国為替市場での円相場 1 ドル= 83 円で換算しております。
2. 基本的及び希薄化後 1 株当たり当期純利益(損失)の計算に関しては、連結財務諸表の注記 16 をご参照下さい。
3. 2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度の 1 株当たり配当金は 、2010 年 10 月 27 日開催の当社取締役会で決議された中間配当金及び 2011 年 5 月 23 日開催の当社取締
役会で決議された期末配当金の合計であります。
4. 自己資本は、純資産合計から新株予約権及び少数株主持分を除いて算出しております。
5. 上記の設備投資額及び減価償却費には無形固定資産分を含めておりません。
092
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
経営陣による業績の検討及び分析
経営陣による業績の検討及び分析では 、2011 年 3 月 31 日に終
要約連結損益計算書
(単位:十億円)
了した会計年度(以下、
「当年度」)
における富士通株式会社(以下、
「当社」)及び当社の連結子会社(以下、当社及び当社の連結子会社
を合わせて「当社グループ」)
の連結財務諸表について論じていま
す。文中における将来に関する事項は 、2011 年 3 月 31 日現在に
おいて当社グループが判断したものであります。また 、為替影
3 月 31 日に終了した会計年度
売上高 . . . . . . . . . . . . . .
売上原価 . . . . . . . . . . . . .
売上総利益 . . . . . . . . . . .
販売費及び一般管理費 . .
響は、米国ドル、ユーロ、英国ポンドを対象に前年度の平均円
営業利益 . . . . . . . . . . . . .
レートを当年度の外貨建取引高に適用して試算しております。
その他の収益(費用). . . .
税金等調整前当期純利益. .
法人税等 . . . . . . . . . . . . .
1. 経営成績の分析
少数株主利益(損失). . . .
事業環境
当年度における世界経済は 、欧米における失業率の高止まり
や、欧州での緊縮財政、金融システム不安などが継続したものの、
中国を中心とした新興国での需要拡大に牽引され全体としては
緩やかな回復基調で推移しました。国内経済も、雇用情勢の改善
や設備投資の持ち直しが見られたほか、上半期(2010 年4 ∼ 9 月)
を中心とした輸出の増勢が下支えとなり総じて緩やかな回復傾
向にありましたが、下半期(2010 年 10 月∼ 2011 年 3 月)
には経
済政策効果の一巡や、円高の進行など環境の厳しさが増すなか、
2011 年3 月11 日に発生した東日本大震災の影響により足もとで
の景気回復の趨勢にブレーキがかかり、先行き不透明感が高まっ
当期純利益 . . . . . . . . . . .
2010 年
4,679.5
3,436.4
1,243.1
1,148.7
94.3
18.3
112.7
15.7
3.8
93.0
増減率
(%)
前年度比
2011 年
4,528.4 (151.1)
(3.2)
3,270.9 (165.4)
(4.8)
1,257.4
14.3
1.2
1,124.8
(23.8)
(2.1)
132.5
38.2
40.5
―
(30.3) (48.6)
102.2
(10.4)
(9.3)
48.1
32.4 205.4
―
(1.0)
(4.8)
55.0
(37.9) (40.8)
(ご参考)財務指標
(単位:十億円)
3 月 31 日に終了した会計年度
2010 年
売上高 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
前年度比
2011 年
4,679.5 4,528.4
[1,748.3] [1,587.3]
[37.4%] [35.1%]
2.0%
2.9%
12.0%
6.8%
[ 海外売上高 ] . . . . . . . . . . . . . .
[ 海外売上高比率 ] . . . . . . . . . . .
売上高営業利益率 . . . . . . . . . . .
ROE(自己資本利益率). . . . . . .
(151.1)
[(160.9)]
[(2.3%)]
0.9%
(5.2%)
(注)自己資本:純資産残高 – 新株予約権 – 少数株主持分
:当期純利益÷{(期首自己資本+期末自己資本)÷2}
ROE(自己資本利益率)
ております。
ICT( Information and Communication Technology )投資につ
りオーディオ・ナビゲーション機器が減収になっ たほか 、東日
いては、上半期にはハードウェアを中心に回復の動きもありま
本大震災によりパソコンを中心として操業の一時休止や物流・輸
したが、全体としては投資に対し慎重な姿勢が続くなか、震災発
送の遅延などの影響を受けました。海外は 9.2% の減収になりま
生後の企業活動の停滞により投資案件の先送りや中止なども見
したが、為替影響を除くと前年度並みです。欧州での PC サーバ、
られ当面は厳しい状況が続くことが懸念されます。
アジア向けの LSI や電子部品、北米での光伝送システムが上半期
を中心として増収になりましたが、2009 年10 月に実施したHDD
売上高
事業の譲渡影響により前年度並みになりました。
当年度の売上高は4 兆5,284 億円と、前年度比3.2% の減収にな
海外売上高比率は 35.1% と、前年度比 2.3 ポイント低下しまし
りましたが、為替影響を除くとほぼ前年度並みです。国内は、ほ
た。光伝送システムなど米州向けは増加しましたが、為替影響や
ぼ前年度並みになりました。前年度から引続き市況の回復を受
HDD 事業を譲渡した影響などにより EMEA(欧州・中近東・アフ
けた LSI や電子部品が堅調に推移しましたが、上半期までにエコ
リカ)
やAPAC(アジア・パシフィック)
・中国向けが減少しました。
カー補助金制度が終了したことによる新車販売の減少などによ
売上高
営業利益、売上高営業利益率
(十億円)
6,000
(十億円)
5,100.1
5,330.8
4,692.9
(%)
250
4,679.5
4,528.4
4,000
10
204.9
200
182.0
8
150
100
3.8
68.7
50
0
2007
2008
2009
2010
(3 月 31 日に終了した会計年度)
2011
0
132.5
6
2.9
4
94.3
2.0
2
1.5
2007
2008
FACTs & FIGURES
2,000
3.6
2009
2010
2011
0
(3 月 31 日に終了した会計年度)
n 営業利益(左目盛り)
売上高営業利益率(右目盛り)
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
093
経営陣による業績の検討及び分析
当年度の米国ドル及びユーロ、英国ポンドの平均為替レートは
その他の収益(費用)
、当期純利益、包括利益
それぞれ 86 円、113 円、133 円と、前年度に比べて米国ドルが 7
その他の収益(費用)
は合計で303 億円の損失でした。有利子負
円、ユーロが 18 円、英国ポンドが 15 円の円高となりました。米
債の減少などにより金融収支(受取利息、受取配当金及び支払利
国ドルとの為替レートの変動により約400 億円、ユーロとの変動
息)
は 56 億円のマイナスと前年度比 26 億円改善しましたが、円
で約 800 億円、英国ポンドとの変動で約 400 億円売上高が前年度
高の進行に伴い為替差損益が 110 億円の損失と前年度比 68 億円
比で減少しております。この結果、当年度は為替レートの変動に
悪化しました。また、英国子会社が保有する関連会社株式を売却
より前年度比で約 1,600 億円の売上高の減少影響がありました。
したことなどにより投資有価証券売却益93 億円をその他の収益
に計上しました。一方、東日本大震災により被災した資産の復旧
売上原価、販売費及び一般管理費並びに営業利益
費用、被災した工場等の操業休止期間中の固定費及びたな卸資産
当年度の売上原価は3 兆2,709 億円で、売上総利益は1 兆2,574
の廃棄損等 116 億円を災害による損失としてその他の費用に計
億円、売上総利益率は 27.8% になりました。売上総利益は、震災
上したほか、資産除去債務に関する会計基準の適用に伴う適用初
影響や為替影響があったものの、LSI や電子部品などの増収効果
年度の過年度費用相当額41 億円をその他の費用に計上しました。
に加え、LSI 事業の構造改革により減価償却費などの固定費負担
東日本大震災により 、LSI 、PC サーバ/パソコン、ネットワー
が減少した影響や 、2000 年度の退職給付会計の適用に伴う会計
ク/携帯電話等の製造工場において、一部建物及び生産設備の損
基準変更時差異の償却が前年度で完了した影響などにより前年
傷が発生したほか 、電気、水道、ガス等のライフラインが停止し
度比 143 億円の増益になりました。また、売上総利益率は、前年
工場の操業に影響が生じましたが、2011 年 4 月 20 日までに全て
度比で 1.2 ポイント改善しました。
の製造工場で生産能力が 100% 復旧しております。
販売費及び一般管理費は 1 兆 1,248 億円と、前年度比 238 億円
減少しました。前年度にFujitsu Technology Solutions (Holding)
B.V.の連結子会社化に伴う一時的な費用負担があったほか、HDD
事業の譲渡影響や為替影響がありました。販売費及び一般管理費
のうち、研究開発費については 2,362 億円と、前年度比 112 億円
増加しました。LTE*1 の商用サービスが開始された携帯電話基地
局関連の開発費は減少しましたが、クラウドサービスやスマート
・LSI
富士通セミコンダクター(株) 岩手工場(岩手県
胆沢郡金ヶ崎町)
など 5 工場
・PC サーバ/パソコン
富士通アイソテック
(株)
本社工場(福島県伊達市)
・ネットワーク/携帯電話等
フォンなどの開発投資を促進しました。研究開発費の売上高に対
富士通(株) 那須工場(栃木県大田原市)
、小山工
する比率は、前年度の 4.8% から当年度は 5.2% となりました。
場(栃木県小山市)
* Long Term Evolution の略称。第 3 世代携帯電話方式(3G )のデータ通信規格
1
を更に進化させた次世代の高速なデータ通信規格。
この結果、営業利益は 1,325 億円と 、前年度比 382 億円の増益
になりました。また、営業利益率は 2.9% と、LSI 事業の構造改革
効果や全社的にコストダウンを推進した効果などにより前年度
からは 0.9 ポイント改善しました。
当社グループは、為替変動による損益影響を極力低減すべく努
めておりますが、当年度は、為替レートの変動により前年度比で
約 240 億円の営業利益の減少影響がありました。当年度の 1 円の
為替レート変動による営業利益への影響額は、米国ドルが約 9 億
円、ユーロが約 2 億円、英国ポンドが約 1 億円となりました。
094
(東日本大震災により被災等の影響を受けた主な製造工場)
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
・電源装置等 富士通テレコムネットワークス
(株) 古殿工場
(福島県石川郡古殿町)
当期純利益は550 億円と、前年度比379 億円の減益になりまし
た。営業利益は前年度比382 億円の増益となりましたが、前年度
にはファナック株式会社などの投資有価証券売却益 896 億円を
その他の収益に計上していた影響などにより 、税金等調整前当
期純利益は1,022 億円と、前年度比104 億円の減益になりました。
一方、法人税等については 481 億円と、前年度比 324 億円増加し
ました。法人税等の税金等調整前当期純利益に対する負担比率は
前年度の 14% から当年度は 47% になりました。前年度は投資有
価証券売却益の計上に伴い繰延税金資産の回収可能額が増加し、
経営陣による業績の検討及び分析
評価性引当金を取崩したことにより税負担が軽減されていたこ
セグメント情報は 、従来、製品・サービスの種類及び販売方法
とによります。また、少数株主利益は10 億円の損失と、自動車関
等の類似性を考慮して、
「テクノロジーソリューション」、
「ユビ
連機器の開発・製造・販売会社の業績悪化により前年度比 48 億
キタスプロダクトソリューション」、
「デバイスソリューショ
円悪化しました。
ン」、
「その他」に区分しておりましたが、当年度より、経営組織
の形態、製品・サービスの特性及び販売市場の類似性に基づき、
当社グループは、収益性や事業における投下資本の運用効率を
複数の事業セグメントを集約した上で、
「テクノロジーソリュー
経営上の重要な指針としております。当年度の当期純利益を自
ション」、
「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリュー
己資本で除して算定した ROE(自己資本利益率)
は 6.8% と 、前年
ション」の 3 つを報告セグメントとしております。また、報告セ
度からは 5.2 ポイント低下しました。
グメントに含まれない事業セグメントとして 、次世代スーパー
コンピュータ事業、当社グループ会社向け情報システム開発・
その他の包括利益は円高の進行に伴い為替換算調整勘定がマ
ファシリティサービス事業及び当社グループ従業員向け福利厚
イナスとなったことなどにより 152 億円のマイナスになりまし
生事業等を「その他」の区分に含めて表示しております。セグメ
た。当社グループは、サービスビジネスを中心にグローバルな事
ント情報に係る主な変更点は以下のとおりであります。
業展開をしていることから 、主として海外子会社の純資産額の
為替変動がその他の包括利益に計上されます。また 、前年度に
ファナック株式会社の株式を売却した結果、その他有価証券評価
(オーディオ・ナビゲーション機器、移動通信機器及び自動車用
電子機器)
差額金に株価変動が与える影響は限定的なものとなりました。
当社グループが実現を目指す「ヒューマン・セントリックなイ
その他の包括利益と少数株主損益調整前当期純利益をあわせ
ンテリジェント・ソサエティ 」において、オーディオ・ナビゲー
た包括利益は 387 億円のプラスになりました。
ション機器等は、パソコン/携帯電話とともに、人や組織の行動
パターンから生み出される様々 な情報や知識を収集・活用する
2. セグメント情報
ユビキタス端末あるいはセンサーとして重要な製品となるもの
事業の種類別セグメント情報
です。従来、オーディオ・ナビゲーション機器等は、
「その他」
セ
セグメントの一部変更
グメントに含めていましたが、新セグメントでは「ユビキタスソ
当社グループは 、今後の成長シナリオとして 、
「真のグローバ
リューション」に区分変更しております。なお、当該変更にあわ
ル化の加速」と「新しいサービスビジネスの創造(ヒューマン・セ
せて、
「ユビキタスプロダクトソリューション」から「ユビキタス
ントリックなインテリジェント・ソサエティ *2 の実現)」を掲げ
ソリューション」にセグメント名称を変更いたしました。
ています。この経営方針に基づき、当年度よりセグメントを変更
しております。また、当年度より、日本において新しく適用され
(光送受信モジュール、プリント板)
た「セグメント情報等の開示に関する会計基準」
(企業会計基準第
グループ会社の管轄部門の変更等に伴い、従来、
「ユビキタスプ
17 号 2009 年3 月27 日)及び「セグメント情報等の開示に関する
ロダクトソリューション」に含めていた光送受信モジュールの開
会計基準の適用指針」
(企業会計基準適用指針第 20 号 2008 年 3
発・製造・販売子会社と、
「その他」に含めていたプリント板の製
月 21 日)
を適用しております。
造子会社を、新セグメントでは、
「デバイスソリューション」に区
* 誰もが複雑な技術や操作を意識せずに、ICT(Information and Communication
Technology )が創出する価値の恩恵を享受できる社会。
分変更しております。
2
企業活動や生活の場、そして社会の様々な場に浸透する多様な情報端末やセ
ンシング技術、高速大容量の無線ネットワーク技術が 、人や組織の行動パ
ターンなどから生み出される膨大な情報を収集し、今まで見えなかった人の
行動やものの動きを見える化します。クラウド基盤やスーパーコンピュー
タなどの ICT インフラを活用して情報分析を行い 、有効なデータを提供する
ことで、新たな価値やビジネスモデルの提供が可能となります。企業活動は
もとより 、医療、地球環境、エネルギー問題といっ た社会全体の課題に対す
る新しい発見と、高度なヒューマン・インターフェースにより、多くの人に
ICTの恩恵を提供できる人間中心の豊かな社会が実現すると考えております。
(前年度に事業譲渡した HDD 事業)
従来、
「ユビキタスプロダクトソリューション」に含めていま
したが、比較のための前年度の数値については、
「その他」に含め
て表示しております。
FACTs & FIGURES
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
095
経営陣による業績の検討及び分析
セグメント別の売上高及び営業利益の状況
退職給付会計の適用に伴う会計基準変更時差異の償却が前年度で
当年度のセグメント別の売上高(セグメント間の内部売上高を
完了した影響や携帯電話基地局などの開発費がピークアウトし
含む)及び営業利益は以下のとおりです。なお、当年度よりセグ
たことにより増益になりました。海外では 、英国 ICL PLC(現、
メントを変更しているため、比較、分析に用いた当年度に対応す
Fujitsu Services Holdings PLC )取得時に計上したのれんの償却
る前年度の数値は、新セグメント区分に合わせて、組替表示して
が前年度で完了した影響や英国子会社での退職給付費用の負担
おります。
減があっ たものの、英国で政府向け商談の減収影響や一部プロ
(単位:十億円)
3 月 31 日に終了した会計年度
売上高 . . . .
テクノロジー
ソリューション 営業利益 . . .
売上高 . . . .
ユビキタス
ソリューション 営業利益 . . .
売上高 . . . .
デバイス
ソリューション 営業利益 . . .
その他、
消去又は全社
連結
売上高 . . . .
営業利益 . . .
売上高 . . . .
営業利益 . . .
2010 年
3,129.3
153.5
1,119.6
40.6
589.0
(9.0)
(158.6)
(90.8)
4,679.5
94.3
2011 年
前年度比
増減率
(%)
3,014.3 (114.9) (3.7)
162.8
9.2
6.0
1,125.6
5.9
0.5
22.6
(18.0) (44.3)
630.6
41.5
7.0
―
20.9
30.0
―
(242.2) (83.6)
―
(73.9)
16.9
4,528.4 (151.1) (3.2)
132.5
38.2
40.5
テクノロジーソリューション
「テクノロジーソリューション」は 、プロダクト・ソフトウェ
ア・サービスが一体となっ た総合的なサービスをお客様に最適
な形で提供しています。情報通信システムの構築などを行うソ
リューション/ SI 、アウトソーシングや保守サービスを中心と
するインフラサービス、ICT の基盤となる、サーバやストレージ
システムなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送
システムなどの通信インフラを提供するネットワークプロダク
トにより構成されています。
売上高は 3 兆 143 億円と、前年度比 3.7% の減収になりました
が、為替影響を除くとほぼ前年度並みです。国内は 1% の減収で
す。次世代スーパーコンピュータシステムを構成する専用サー
バなどの量産による売上増はありましたが 、携帯電話基地局が
LTE 商用サービスの本格展開前の端境期に入った影響を受けたほ
か、下半期に入り金融分野の一部で ICT 投資の回復が見られたも
のの円高や政策効果の反動を背景とした顧客の投資抑制が継続
した影響を受けました。また、東日本大震災により顧客との契約
ジェクトにおける採算悪化などがありました。
ユビキタスソリューション
「ユビキタスソリューション」は、当社グループが実現を目指す
「ヒューマン・セントリックなインテリジェント・ソサエティ」に
おける人や組織の行動パターンから生み出される様々 な情報や
知識を収集・活用するユビキタス端末あるいはセンサーとして、
パソコン/携帯電話のほか、オーディオ・ナビゲーション機器や
移動通信機器、自動車用電子機器により構成されています。
売上高は 1 兆 1,256 億円と、ほぼ前年度並みになりましたが 、
為替影響を除くと 3% の増収です。国内は 4.6% の増収です。携帯
電話は統合効果やスマートフォンの好調により販売台数が増加
しました。一方で、パソコンは前年度に教育用パソコンの需要が
増加した反動や、製造工場の被災による操業停止影響がありまし
た。また 、モバイルウェアのオーディオ・ナビゲーション機器
も 、エコカー補助金制度終了に伴う新車販売台数の減少影響や 、
震災影響により減収になりました。海外は 10.3% の減収になり
ましたが、為替影響を除くとほぼ前年度並みです。パソコンは、
欧州でデスクトップパソコンが堅調に推移しましたが 、米国及
びアジア向けが伸び悩みました。モバイルウェアは前年度並み
になりました。
営業利益は 226 億円と 、前年度比 180 億円の減益になりまし
た。国内では 、携帯電話についてフィーチャーフォン *3 の低価
格化が進んだほか 、スマートフォンなどの開発投資を促進しま
した。パソコン、モバイルウェアは震災などによる減収影響があ
りました。海外では、パソコンで前年度に私的複製補償金に関す
る権利者団体との和解に伴う一時的な費用減少の反動がありま
したが、コストダウンや費用の効率化で補いました。
*3 携帯情報端末( PDA )の機能や、パソコンのようなカスタマイズの自由度を備
えたスマートフォンと区別される、一般的な携帯電話端末。
や納品・検収などに一部遅れが生じました。海外は 8.1% の減収
になりましたが、為替影響を除くとほぼ前年度並みです。英国で
当社と株式会社東芝の携帯電話事業を統合するために設立さ
は、政府の緊縮財政政策の影響を受けたものの、欧州大陸でのイ
れた新会社は 、2010 年 10 月 1 日に株式会社東芝の携帯電話事業
ンフラサービスや PC サーバ、米国での光伝送システムなどは堅
調に推移しました。
営業利益は 1,628 億円と、前年度比 92 億円の増益になりまし
た。国内では、携帯電話基地局などの減収影響があったものの、
096
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
を譲り受け、新会社の株式の80.1%を当社が取得して事業を開始
しました。なお、当社の携帯電話事業は、これまでどおり富士通
本体において継続いたします。
経営陣による業績の検討及び分析
デバイスソリューション
ます。所在地別の損益情報は当社グループの事業管理において
「デバイスソリューション」は、最先端テクノロジーとして、デ
重要な項目であるとともに、株主、投資家の皆様に当社グループ
ジタル家電や自動車、携帯電話、サーバなどに搭載される LSI の
の損益概況をご理解頂くための有益な情報であると考えており
ほか、半導体パッケージをはじめとする電子部品により構成さ
ます。
れています。
売上高は6,306 億円と、前年度比7%の増収になり、為替影響を
(単位:十億円)
除くと 11% の増収です。国内は 8.9% の増収です。LSI は、次世代
3 月 31 日に終了した会計年度
スーパーコンピュータシステム用 CPU の量産による売上や、携
日本
帯電話及び自動車向けを中心とした所要回復により増収になり
ました。電子部品はニッケル水素電池事業の買収効果がありま
した。海外は 4.7% の増収になり 、為替影響を除くと 13% の増収
です。LSI はアジア、欧州及び米国向けとも増収になりました。
電子部品は、前年度に通信デバイス事業を太陽誘電株式会社へ譲
渡した影響があっ たものの 、米国向けを中心としてパソコンな
どの市場拡大に伴い半導体パッケージが増収となっ たほか 、電
池事業の買収効果もありました。
営業利益は 209 億円と 、前年度比 300 億円の改善になりまし
た。国内では、LSI が震災による操業停止の影響を受けましたが、
売上高 . . . .
営業利益 . . .
EMEA
売上高 . . . .
(欧州・中近東・
営業利益 . . .
アフリカ)
2010 年
2011 年
3,400.5 3,389.2
166.3
215.7
前年度比
(11.3)
49.4
増減率
(%)
(0.3)
29.7
975.6
(2.6)
849.5 (126.0) (12.9)
―
(18.4) (15.8)
営業利益 . . .
293.8
1.8
298.4
2.6
APAC・中国
売上高 . . . .
(アジア・
パシフィック) 営業利益 . . .
505.4
12.9
405.1
11.0
米州
消去又は全社
連結
売上高 . . . .
売上高 . . . .
営業利益 . . .
売上高 . . . .
営業利益 . . .
4.5
0.8
1.6
46.9
(100.2) (19.8)
(1.9) (15.1)
(496.0) (414.0)
81.9
(84.1) (78.3)
5.7
4,679.5 4,528.4 (151.1)
94.3
132.5
38.2
―
―
(3.2)
40.5
製造体制の再編と間接業務の効率化により固定費を圧縮したほ
か、震災前まで国内工場の稼動率が高い水準を維持していたこと
から、改善になりました。電子部品も増収効果やコストダウンの
日本
売上高は3 兆3,892 億円と、ほぼ前年度並みになりました。LSI
推進により増益になりました。海外では LSI 、電子部品ともに 、
や電子部品が伸長したほか、携帯電話は株式会社東芝との統合効
為替影響による悪化を増収効果とコストダウンが上回りました。
果がありましたが、前年度にHDD 事業を譲渡した影響に加え、東
日本大震災に伴う減収影響がありました。システムインテグレー
その他、消去又は全社
ションは顧客の投資抑制が継続しており伸び悩みました。営業
「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメン
利益は 2,157 億円と、前年度比 494 億円の増益になりました。退
トであり、次世代スーパーコンピュータ事業、当社グループ会社
職給付費用の負担減や、LSI 事業の構造改革効果、採算性が悪化し
向け情報システム開発・ファシリティサービス事業及び当社グ
ていた HDD 事業を譲渡した影響などによります。
ループ従業員向け福利厚生事業等が含まれております。2009 年
10 月 1 日に事業譲渡した HDD 事業に係る前年度の数値について
は、当該区分に含めて表示しております。
eMea(欧州・中近東・アフリカ)
売上高は 8,495 億円と、前年度比 12.9% の減収になりました
また、事業セグメントとして識別されないものは、基礎的試験
が、為替影響を除くとほぼ前年度並みです。欧州大陸ではドイツ
研究等の戦略費用及び親会社におけるグループ経営に係る共通
を中心に PC サーバなどが伸長しましたが、HDD 事業譲渡による
費用であります。
売上減のほか、サービス事業で英国政府の緊縮財政政策の影響を
営業利益は 739 億円の損失と、前年度比 169 億円の改善になり
受けました。営業利益は 184 億円の損失と、前年度比 158 億円の
ました。2009 年 10 月に採算性が悪化していた HDD 事業を譲渡
悪化となりました。英国 ICL PLC(現、Fujitsu Services Holdings
した影響や 、前年度において次世代スーパーコンピュータシス
PLC )取得時に計上したのれんの償却が前年度で完了した影響は
テムについて将来見込まれる損失額を引当計上した影響があり
ありましたが、英国サービス事業で政府向け商談の減収影響や、
ました。
一部の長期サービス契約の解約に伴い初期コスト等の一括費用
処理をしたことなどによります。なお 、英国子会社では前年度
所在地別の損益情報
当社グループは 、成長市場である海外における売上高の拡大
と収益力向上を経営上の重要な課題の一つであると考えており
末の退職給付債務の増加に伴い当年度の退職給付費用が増加しま
したが、年金制度改訂により負担増を上回る一時的な利益の計上
がありました。
FACTs & FIGURES
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
097
経営陣による業績の検討及び分析
米州
負債残高は 2 兆 703 億円と 、前年度末から 2,093 億円減少しま
売上高は2,984 億円と、前年度比1.6%の増収になり、為替影響
した。有利子負債残高は 4,708 億円と 、2010 年満期転換社債
を除くと 8% の増収です。光伝送システムが好調を持続し伸長し
1,000 億円を主として手許資金にて満期償還したことなどによ
たほか、LSI や電子部品、オーディオ・ナビゲーション機器が上
り前年度末から 1,066 億円減少しました。また、年金の積立不足
半期を中心に増収となりました。サービス事業は、カナダの政府
額を穴埋めするため、会社から年金基金への掛金拠出額を増額し
向けは堅調でしたが、米国の民需向けが伸び悩みました。営業利
たことなどにより退職給付引当金が前年度末から 248 億円減少
益は26 億円と、前年度比8 億円の増益になりました。光伝送シス
しました。有利子負債の返済を進めたことにより、D / E レシオ
テムの増収効果などによります。
は0.57 倍と前年度末から0.15 ポイント改善し、ネットD / Eレシ
オは 0.14 倍と前年度末から 0.06 ポイント改善しました。D / E
・中国
aPac(アジア・パシフィック)
レシオ及びネット D / E レシオともに、これまでで最も小さい比
売上高は 4,051 億円と 、前年度比 19.8% の減収になりました。
率となりました。
営業利益は 110 億円と 、前年度比 19 億円の減益になりました。
HDD 事業の譲渡影響などによります。
純資産は9,537 億円と、前年度末から54 億円増加しました。株
式会社PFUの完全子会社化などに伴い少数株主持分が171 億円減
3. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
少したほか 、円高の進行により為替換算調整勘定を中心にその
資産、負債及び純資産の状況
他の包括利益累計額が154 億円減少しましたが、当期純利益の計
当年度末の総資産残高は 3 兆 240 億円と 、前年度末から 2,039
億円減少しました。流動資産は 1 兆 7,606 億円と 、前年度末から
上により株主資本が 380 億円増加したことによります。自己資
本比率は 27.2% と、前年度末から 2.5 ポイント増加しました。
1,113 億円減少しました。社債の償還に手許資金を充てたほか、
東日本大震災の影響により第4 四半期(2011 年1 ∼ 3 月)
の売上水
退職給付の未認識債務残高 *4 は、国内制度が 3,152 億円と年金
準が低かっ たことに加え 、海外サービスにおける減収影響など
資産の運用悪化などで前年度末から386 億円増加しましたが、海
があり売上債権が減少しました。たな卸資産は 3,414 億円と、前
外制度については 743 億円と前年度末から 357 億円減少しまし
年度末から 191 億円増加しました。次世代スーパーコンピュー
た。また、当年度末時点のオペレーティング・リース取引に係る
タシステムの量産及び出荷が本格化したほか、パソコンや携帯電
未経過リース料は前年度末からは124 億円減少し、856 億円とな
話を中心に震災の影響もありました。資産効率を示す月当たり
りました。
回転数は前年度比 0.02 回悪化し 1.02 回となりました。投資及び
*4 未認識債務残高の主なものは未認識数理計算上の差異であります。数理計算
上の差異とは、年金資産の期待運用収益と実際の運用成果との差異、退職給
付債務の数理計算に用いた見積数値と実績との差異及び見積数値の変更等に
より発生した差異をいい、このうち費用処理されていないものを未認識数
理計算上の差異といいます。当社グループは、発生した数理計算上の差異に
ついて、従業員の平均残存勤務期間にわたり費用処理しております。
長期貸付金は3,728 億円と、前年度末から412 億円減少しました。
投資債券の償還などによります。有形固定資産は 6,386 億円、無
形固定資産は2,519 億円と、前年度末からそれぞれ240 億円、272
億円減少しました。新規投資の水準が減価償却の範囲内に収まっ
たほか、欧州子会社を中心に円高が進んだことに伴う換算影響な
どによります。
総資産、総資産回転率
自己資本、自己資本比率
(十億円)
(回)
5,000
4,000
2.0
3,221.9
1.32
1.37
3,228.0
3,024.0
1.45
1.45
1.33
1.8
2008
2009
2010
2011
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
798.6
600
1.0
(3 月 31 日現在)
098
748.9
821.2
35
1.6
1.2
2007
40
948.2
900
1.4
1,000
0
(%)
1,200
969.5
3,943.7 3,821.9
3,000
2,000
(十億円)
24.6
24.8
300
0
2007
2008
24.7
27.2
23.2
2009
30
25
2010
2011
20
(3 月 31 日現在)
n 総資産(左目盛り)
総資産回転率(右目盛り)
n 自己資本(左目盛り)
自己資本比率(右目盛り)
総資産回転率:売上高÷{(期首総資産残高+期末総
資産残高)÷ 2}
自己資本比率:自己資本(純資産残高−新株予約権−
少数株主持分)
÷総資産残高
経営陣による業績の検討及び分析
要約連結貸借対照表
(単位:十億円)
3 月 31 日現在
2010 年
2011 年 前年度末比
流動資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
投資及び長期貸付金 . . . . . . . . . .
有形固定資産 . . . . . . . . . . . . . . .
無形固定資産 . . . . . . . . . . . . . . .
資産合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1,871.9
414.1
662.7
279.2
3,228.0
1,760.6
372.8
638.6
251.9
3,024.0
(111.3)
(41.2)
(24.0)
(27.2)
(203.9)
1,560.0
719.6
2,279.6
1,507.8
562.5
2,070.3
(52.2)
(157.1)
(209.3)
負債の部
流動負債 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
固定負債 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
負債合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
純資産の部
株主資本 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他の包括利益累計額 . . . . . . .
少数株主持分 . . . . . . . . . . . . . . .
純資産合計 . . . . . . . . . . . . . . . . .
負債純資産合計 . . . . . . . . . . . . . .
現金及び現金同等物の期末残高 . . .
有利子負債の期末残高 . . . . . . . . . .
ネット有利子負債の期末残高 . . . . . .
自己資本 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
865.8
903.9
(67.1)
(82.6)
149.6
132.4
948.3
953.7
3,228.0 3,024.0
420.1
358.5
577.4
470.8
157.2
112.2
798.6
821.2
38.0
(15.4)
(17.1)
5.4
(203.9)
(61.5)
(106.6)
(45.0)
22.5
(注)現金及び現金同等物の期末残高:現金及び預金+有価証券 – 満期日が 3 ヶ月
を超える預金及び有価証券
有利子負債の期末残高:社債及び借入金(流動負債)+社債及び借入金(固定
負債)
ネット有利子負債の期末残高:有利子負債の期末残高– 現金及び現金同等物
の期末残高
自己資本:純資産残高 – 新株予約権 – 少数株主持分
(ご参考)財務指標
たな卸資産 . . . . . . . . . . .
[たな卸資産回転率 ] . . . .
[たな卸資産の
月当たり回転数 ] . . . . . .
株主資本比率 . . . . . . . . .
自己資本比率 . . . . . . . . .
D / Eレシオ. . . . . . . . . . .
ネットD / Eレシオ . . . . . .
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,555 億円のプ
ラスになりました。前年度からは 398 億円の収入減になりまし
資産の部
3 月 31 日に終了した会計年度
キャッシュ・フローの状況
(単位:十億円)
2010 年
322.3
[14.88 回 ]
2011 年
341.4
[13.65 回 ]
前年度比
19.1
[(1.23 回 )]
[1.04 回転 ] [1.02 回転 ] [(0.02 回転 )]
26.8%
29.9%
3.1%
24.7%
27.2%
2.5%
0.72 倍
0.57 倍
(0.15 倍 )
0.20 倍
0.14 倍
(0.06 倍 )
(注)たな卸資産回転率:
売上高÷{(期首たな卸資産残高+期末たな卸資産残高)÷ 2}
たな卸資産の月当たり回転数:売上高÷期中平均たな卸資産残高 * ÷ 12
株主資本比率:株主資本÷総資産残高
自己資本比率:自己資本÷総資産残高
D / E レシオ:有利子負債の期末残高÷自己資本
ネット D / E レシオ:
(有利子負債の期末残高 – 現金及び現金同等物の期末残高)÷自己資本
* 期中平均たな卸資産残高は第1 四半期末、第2 四半期末、第3 四半期末及び
期末たな卸資産残高の平均残高を使用しています
た。たな卸資産が、次世代スーパーコンピュータシステムの量産
及び出荷の本格化や震災の影響により増加したほか、前年度に実
施した欧州サービス事業の再編に伴う費用やドイツで権利者団
体と和解したパソコンに課される私的複製補償金を当年度に支
払ったことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,421 億円のマイナスに
なりました。投資有価証券の売却による収入や前年度に実施し
た HDD 事業の譲渡に係る株式の最終譲渡による収入がありまし
たが 、アウトソーシングサービスを中心とした設備投資により
有形固定資産の取得で 1,222 億円支出したほか、無形固定資産の
取得で596 億円支出しました。前年度からは1,431 億円の支出増
となりました。前年度にはファナック株式会社の自己株式買付
けに伴う同社株式の売却など投資有価証券の売却収入1,168 億円
のほか 、Fujitsu Technology Solutions (Holding) B.V. 及び FDK
株式会社の連結子会社化に伴い両社が保有していた現金及び現
金同等物が加算されたことによる収入 504 億円や 、HDD 事業な
どの譲渡に伴う収入 175 億円がありました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フロー を合わせた
フリー・キャッシュ・フロー は 1,134 億円のプラスになりまし
た。前年度からは 1,829 億円の収入減となり、投資有価証券の売
却による収入などの特殊要因を除いたベースでは 382 億円の収
入減になりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,669 億円のマイナスに
なりました。2010 年11 月満期普通社債500 億円の償還に必要な
資金は、2010 年 10 月に普通社債 500 億円を発行し資金調達しま
したが、2010 年満期転換社債 1,000 億円については主として手
許資金で満期償還いたしました。また、前年度から増配となった
期末及び中間配当金の支払い 231 億円や、株式会社 PFU の完全子
会社化に伴う同社の少数株主からの株式買取による支出 94 億円
などがありました。前年度には社債 3,000 億円を償還したこと
などにより、前年度からは 2,383 億円の支出減になりました。
フリー・キャッシュ・フロー
(十億円)
400
300
296.4
257.6
200
0
38.1
2007
2008
FACTs & FIGURES
113.4
100
23.4
2009
2010
2011
(3 月 31 日に終了した会計年度)
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
099
経営陣による業績の検討及び分析
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は 3,585 億円と 、前
5. 連結子会社数
当年度末における連結子会社数は、国内子会社が 198 社、海外
年度末からは 615 億円減少しました。
子会社が 337 社の合計 535 社となり、前年度の 540 社から 5 社減
当社グループは、資金需要に応じた効率的な資金調達を確保す
るため、手許流動性を適切な水準に維持することを財務活動上の
重要な指針としております。手許流動性は、現金及び現金同等物
少しました。
当年度末における持分法適用関連会社数は、前年度に比べ 5 社
減少し 15 社となりました。
と、複数の金融機関との間で締結したコミットメントライン契約
に基づく融資枠のうち未使用枠残高の合計額であります。当年
6. 重要な会計方針及び見積り
度末の手許流動性は 5,613 億円で、現金及び現金同等物を 3,585
当社グループの連結財務諸表は、日本の金融商品取引法の規定
億円、コミットメントライン未使用枠を円換算で 2,027 億円保有
及び日本において公正妥当と認められる会計処理基準に準拠し
しております。
ております。連結財務諸表の作成にあたっ ては 、期末における
当社は、グローバルに資本市場から資金調達するため 、ムー
資産、負債、偶発資産及び偶発債務並びに会計期間における収益、
ディーズ・インベスターズ・サービス
(以下、ムーディーズ)
、ス
費用に影響を与える仮定及び見積りを必要としておりますが、
タンダード & プアーズ
(以下、S&P )及び株式会社格付投資情報セ
実際の結果と異なる場合があります。経営陣は、以下の会計方針
ンター(以下、R&I )
から債券格付けを取得しております。当年度
の適用における仮定及び見積りが連結財務諸表に重要な影響を
末現在における格付け(長期/短期)は 、ムーディーズ:A3
(長
与えると考えています。
期)
、S&P:A −(長期)
、R&I:A +(長期)/ a–1
(短期)
であります。
収益認識
要約連結キャッシュ・フロー計算書
3 月 31 日に終了した会計年度
Ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー . . . .
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー . . . .
Ⅰ+Ⅱ フリー・キャッシュ・フロー . . . . . . . .
[ 特殊要因を除く] . . . . . . . . . . . . . . . . .
Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー . . .
Ⅳ 現金及び現金同等物の期末残高 . . . .
(単位:十億円)
2010 年
2011 年
前年度比
295.3 255.5
(39.8)
1.0 (142.1) (143.1)
296.4 113.4 (182.9)
[111.6] [73.3] [(38.2)]
(405.3) (166.9) 238.3
び電子デバイス製品については顧客に納品した時点で売上を計
358.5
ります。将来、コストが増加した場合には、損失の追加計上が生
420.1
(61.5)
(注)特殊要因を除くフリー・キャッシュ・フロー は 、投資有価証券の売却によ
る収入、事業譲渡による収入及び子会社株式の取得による収入を除いたも
のであります。
当年度の設備投資額は 、前年度の 1,264 億円から 3.0% 増の
1,302 億円となりました。テクノロジーソリューションでは、横
浜データセンター開設をはじめとして国内データセンターの拡
充を図ったほか、海外でもオーストラリアなどでデータセンター
設備の拡充を行い、672 億円を投資しました。ユビキタスソ
リューションでは、パソコン、携帯電話の新機種対応に向けた設
備投資やオーディオ・ナビゲーション製造設備などで 155 億円
を投資しました。デバイスソリューションでは、LSI の製造設備
や電子部品の増産用設備などで 394 億円を投資しました。
FUJITSU LIMITED
上しております。また、受注制作のソフトウェアについては、工
事進行基準により収益を認識しております。
プロジェクトの見積コストが収入見込額を上回るものについ
ては、回収可能額を厳格に査定し、回収不能額を損失計上してお
じる可能性があります。
たな卸資産
たな卸資産は、取得原価で計上しておりますが、期末における
4. 設備投資
100
システム製品(受注制作のソフトウェアを除く)
については、検
収基準で売上を計上しております。パソコン、その他周辺機器及
ANNUAL REPORT 2011
正味売却価額が取得原価より下落している場合には 、当該正味
売却価額で計上し、取得原価との差額を原則として売上原価に計
上しております。また 、営業循環過程から外れて滞留するたな
卸資産については 、将来の需要や市場動向を反映して正味売却
価額等を算定しております。市場環境が予測より悪化して正味
売却価額が著しく下落した場合には 、損失が発生する可能性が
あります。
経営陣による業績の検討及び分析
有形固定資産
繰延税金資産
有形固定資産の減価償却費は、ビジネスごとの実態に応じた回
繰延税金資産については、繰越欠損金及び一時差異に対して適
収期間を反映した見積耐用年数に基づき、主として定額法で算定
正な残高を計上しております。将来の業績の変動により課税所
しております。将来、技術革新等による設備の陳腐化や用途変更
得の見込額が増減した場合には、残高が増減する可能性がありま
が発生した場合には、現在の見積耐用年数を短縮させる必要性が
す。また、将来、税制改正により実効税率が変更された場合には、
生じ、償却負担が増加する可能性があります。
残高が増減する可能性があります。
また、事業環境の急激な変化に伴う生産設備の遊休化や稼動率
低下のほか 、事業再編などにより 、保有資産から得られる将来
キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、減損損失が発生
する可能性があります。
製品保証引当金
当社グループが販売する製品には、契約に基づき一定期間無償
での修理・交換の義務を負うものがあり、過去の実績を基礎とし
て算出した修理・交換費用の見積額を製品の販売時に引当金とし
ソフトウェア
て計上しております。当社グループは開発、製造、調達の段階に
ソフトウェアの減価償却について、市場販売目的のソフトウェ
おいて品質管理の強化を推進していますが 、見積額を上回る製
アは見込有効期間における見込販売数量に基づく方法、また、自
品の欠陥や瑕疵等が発生した場合には、追加で費用が発生する可
社利用ソフトウェアについては利用可能期間に基づく定額法を
能性があります。
採用しております。事業環境の変化等により、販売数量が当初販
売計画を下回る場合や利用可能期間の見直しの結果耐用年数を
短縮させる場合には、償却負担が増加する可能性があります。
工事契約等損失引当金
受注制作のソフトウェア及び工事契約のうち 、期末において
採算性の悪化が顕在化しているものについて 、損失見込額を引
のれん
当金として計上しております。当社グループはビジネスプロセ
のれんについては、連結子会社が取得したものを含め、買収し
スの標準化を進め、専任の組織によるチェック体制を構築し、商
た事業の超過収益力に応じ均等償却しております。当初見込ん
談発生時からプロジェクトの進行を通じてリスク管理を行い、不
だ回収期間の中途において、買収事業の収益力が低下した場合や
採算プロジェクトの新規発生を抑制していますが 、将来、プロ
買収事業の撤退や売却等があった場合には、臨時の損失が発生す
ジェクトの見積コストが増加した場合には、損失の追加計上が生
る可能性があります。
じる可能性があります。
投資有価証券
退職給付債務
満期保有目的の債券については、償却原価法により評価し、そ
従業員退職給付費用及び債務は、種々 の前提条件(割引率、退
の他有価証券のうち時価のあるものについては 、期末の市場価
職率、死亡率、期待運用収益率等)
により算出されております。ま
格等に基づく時価法、時価のないものについては移動平均法に
た、発生した数理計算上の差異については、従業員の平均残存勤
よる原価法で評価しております。その他有価証券のうち時価の
務期間にわたり費用処理しております。実績が前提条件と異な
あるものについては、時価の変動により投資有価証券の価額が
る場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付費用及び債務
変動し、その結果純資産が増減します。また、その他有価証券に
に影響する可能性があります。
ついて、時価又は実質価額が著しく下落した場合には、回復する
見込みがあると認められる場合を除き 、減損しております。将
来、時価又は実質価額が著しく下落し、回復見込みが認められな
い場合には、減損する可能性があります。
電子計算機買戻損失引当金
当社グループで製造したコンピュータの一部は、日本電子計算
機株式会社( JECC )等のリース会社に販売した上で、賃貸してお
ります。当該リース会社との間にはコンピュータの買戻し特約
が付されており、買戻時の損失発生見込額を販売時点で引当金と
して計上しております。将来、顧客の利用動向が変化した場合に
は、引当金の追加又は戻入が必要となる可能性があります。
FACTs & FIGURES
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
101
連結貸借対照表
富士通株式会社及び連結子会社
百万円
3 月 31 日現在
注記
2010 年
2011 年
千米ドル
(注記 2)
2011 年
資産
流動資産
現金及び現金同等物
短期投資
売上債権
貸倒引当金
たな卸資産
その他
12、13
12、13
12、15
12
3
9
流動資産合計
¥
420,166
7,794
921,349
(15,924)
322,301
216,294
1,871,980
¥
358,593
6,101
877,069
(14,781)
341,438
192,207
1,760,627
$ 4,320,398
73,506
10,567,096
(178,084)
4,113,711
2,315,746
21,212,373
投資及び長期貸付金
関係会社
12
8、9、12、13
その他
投資及び長期貸付金合計
有形固定資産
119,530
801,744
1,629,060
21,924
2,572,258
(1,909,523)
662,735
建物及び構築物
機械及び装置・工具器具及び備品
建設仮勘定
減価償却累計額控除
有形固定資産合計
6
その他
無形固定資産合計
資産合計
添付の注記は、これらの連結財務諸表の一部です。
102
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
452,193
4,040,217
4,492,410
117,481
817,816
1,492,627
16,413
2,444,337
(1,805,695)
638,642
1,415,434
9,853,205
17,983,458
197,746
29,449,843
(21,755,361)
7,694,482
5
ソフトウェア
のれん
37,532
335,338
372,870
4、5、7
土地
無形固定資産
36,770
377,353
414,123
139,546
93,945
45,722
279,213
135,118
80,083
36,757
251,958
1,627,928
964,855
442,856
3,035,639
¥ 3,228,051
¥ 3,024,097
$ 36,434,904
連結貸借対照表
百万円
3 月 31 日現在
千米ドル
(注記 2)
注記
2010 年
2011 年
2011 年
7、12
5、12
12、15
12
9
¥ 220,457
29,790
626,986
334,458
26,728
25,429
24,575
93
271,537
1,560,053
¥ 225,554
24,470
604,264
323,144
23,617
25,254
21,392
125
259,988
1,507,808
$ 2,717,518
294,819
7,280,289
3,893,301
284,542
304,265
257,735
1,506
3,132,386
18,166,361
356,986
39,509
206,404
23,514
3,585
5,550
84,077
719,625
2,279,678
245,269
26,775
181,572
16,320
2,207
6,363
84,004
562,510
2,070,318
2,955,048
322,590
2,187,614
196,627
26,590
76,663
1,012,097
6,777,229
24,943,590
負債、純資産
負債
流動負債
社債及び借入金
リース債務
仕入債務
未払費用
未払法人税等
製品保証引当金
工事契約等損失引当金
役員賞与引当金
その他
9
流動負債合計
固定負債
社債及び借入金
リース債務
退職給付引当金
7、12
5、12
8
電子計算機買戻損失引当金
製品保証引当金
リサイクル費用引当金
その他
9
固定負債合計
負債合計
純資産
株主資本
資本金
10
資本剰余金
利益剰余金
自己株式
株主資本合計
324,625
235,985
307,964
(2,723)
865,851
324,625
236,437
343,072
(214)
903,920
3,911,145
2,848,639
4,133,397
(2,578)
10,890,603
16,006
2,300
(85,495)
(67,189)
13,564
2,817
(99,057)
(82,676)
163,422
33,940
(1,193,458)
(996,096)
53
149,658
76
132,459
915
1,595,892
948,373
953,779
11,491,314
¥3,228,051
¥3,024,097
$36,434,904
その他の包括利益累計額
その他有価証券評価差額金
繰延ヘッジ損益等
為替換算調整勘定
その他の包括利益累計額合計
新株予約権
少数株主持分
純資産合計
負債純資産合計
FACTs & FIGURES
契約債務及び偶発債務
11
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
103
連結損益計算書
富士通株式会社及び連結子会社
百万円
3 月 31 日に終了した会計年度
売上高
千米ドル
(注記 2)
注記
2010 年
2011 年
2011 年
19
¥4,679,519
¥4,528,405
$54,559,096
3,436,412
1,148,734
4,585,146
94,373
3,270,923
1,124,888
4,395,811
132,594
39,408,711
13,552,867
52,961,578
1,597,518
営業費用
売上原価
販売費及び一般管理費
営業利益
17
19
その他の収益(費用)
受取利息
受取配当金
支払利息
持分法による投資利益
その他
17
税金等調整前当期純利益
法人税等
当年度引当額
4,239
3,778
(16,321)
2,805
23,832
18,333
112,706
2,723
3,398
(11,728)
3,804
(28,555)
(30,358)
102,236
32,807
40,940
(141,301)
45,831
(344,036)
(365,759)
1,231,759
27,059
(11,283)
15,776
96,930
35,057
13,122
48,179
54,057
422,373
158,097
580,470
651,289
9
法人税等調整額
少数株主損益調整前当期純利益
少数株主利益(損失)
当期純利益
¥
3,845
93,085
¥
(1,035)
55,092
円
1 株当たり金額
基本的 1 株当たり当期純利益
希薄化後 1 株当たり当期純利益
1 株当たり配当金
16
16
$
(12,470)
663,759
米ドル
(注記 2)
¥45.21
42.17
8.00
¥26.62
25.75
10.00
$0.321
0.310
0.120
2010 年
2011 年
2011 年
¥ 96,930
¥ 54,057
$ 651,289
(35,793)
(2,934)
4,153
228
(34,346)
¥ 62,584
(2,495)
63
(11,989)
(846)
(15,267)
¥ 38,790
(30,060)
759
(144,446)
(10,193)
(183,940)
$ 467,349
¥ 59,847
2,737
¥ 40,954
(2,164)
$ 493,422
(26,072)
連結包括利益計算書
富士通株式会社及び連結子会社
百万円
3 月 31 日に終了した会計年度
少数株主損益調整前当期純利益
千米ドル
(注記 2)
その他の包括利益
その他有価証券評価差額金
繰延ヘッジ損益
為替換算調整勘定
持分法適用会社に対する持分相当額
その他の包括利益合計
包括利益
(内訳)
親会社株主に係る包括利益
少数株主に係る包括利益
添付の注記は、これらの連結財務諸表の一部です。
注:富士通グループは 2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度より 、日本において新しく適用された「包括利益の表示に関する会計基準」
(企業会計基準第 25 号)
を適用
しております。
104
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
連結株主資本等変動計算書
富士通株式会社及び連結子会社
百万円
株主資本
2009 年 3 月31 日 残高
その他の包括利益累計額
株主資本合計
繰延ヘッジ
損益等
¥ 51,661
¥ 5,212
為替換算
調整勘定
資本金
資本剰余金
利益剰余金
¥ 324,625
¥ 236,612
¥ 223,797
¥ (2,133) ¥ 782,901
999
999
999
(12,399)
(12,399)
(12,399)
93,085
93,085
93,085
(22,691)
(22,691)
(22,691)
22,101
21,474
21,474
2,482
2,482
在外子会社の会計処理の
変更に伴う増減
自己株式
その他
有価証券
評価差額金
¥ (90,833)
新株予約権
少数株主持分
純資産合計
¥ 26
¥ 176,635
¥ 925,602
変動額
剰余金の配当
当期純利益
自己株式の取得
自己株式の処分
(627)
連結範囲の変動
2,482
株主資本以外の項目の
変動額(純額)
変動額合計
2010 年 3 月31 日 残高
(35,655)
̶
¥ 324,625
(590)
(2,912)
5,338
27
(26,977)
(60,179)
(627)
83,168
81,951
(35,655)
(2,912)
5,338
27
(26,977)
21,772
¥ 235,985
¥ 307,964
¥ (2,723) ¥ 865,851
¥ 16,006
¥ 2,300
¥ (85,495)
¥ 53
¥ 149,658
¥ 948,373
(20,672)
(20,672)
(20,672)
55,092
55,092
変動額
剰余金の配当
当期純利益
55,092
自己株式の取得
自己株式の処分
452
(145)
(145)
(145)
2,654
3,106
3,106
持分法の適用範囲の変動
720
720
720
土地再評価差額金の取崩
(32)
(32)
(32)
株主資本以外の項目の
変動額(純額)
変動額合計
2011 年 3 月31 日 残高
̶
452
35,108
¥ 324,625
¥ 236,437
¥ 343,072
(2,442)
517
(13,562)
23
(17,199)
38,069
(2,442)
517
(13,562)
23
(17,199)
5,406
¥ (214) ¥ 903,920
¥ 13,564
¥ 2,817
¥ (99,057)
¥ 76
¥ 132,459
¥ 953,779
2,509
(32,663)
千米ドル(注記 2)
2010 年 3 月31 日 残高
(米ドル換算)
$3,911,145
$2,843,193
$3,710,410
$(32,807) $10,431,941
$192,843
$27,711
$(1,030,060)
$639
$1,803,108
$11,426,182
(249,061)
(249,061)
(249,061)
663,759
663,759
663,759
変動額
剰余金の配当
当期純利益
自己株式の取得
自己株式の処分
5,446
(1,747)
(1,747)
(1,747)
31,976
37,422
37,422
持分法の適用範囲の変動
8,675
8,675
8,675
土地再評価差額金の取崩
(386)
(386)
(386)
株主資本以外の項目の
変動額(純額)
変動額合計
2011 年 3 月31 日 残高
(米ドル換算)
̶
5,446
422,987
$3,911,145
$2,848,639
$4,133,397
(29,421)
6,229
(163,398)
276
(207,216)
(393,530)
458,662
(29,421)
6,229
(163,398)
276
(207,216)
65,132
$ (2,578) $10,890,603
$163,422
$33,940
$(1,193,458)
$915
$1,595,892
$11,491,314
30,229
添付の注記は、これらの連結財務諸表の一部です。
FACTs & FIGURES
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
105
連結キャッシュ・フロー計算書
富士通株式会社及び連結子会社
百万円
3 月 31 日に終了した会計年度
注記
営業活動によるキャッシュ・フロー( A )
税金等調整前当期純利益
営業活動により増加したキャッシュ・フローへの
税金等調整前当期純利益の調整:
減価償却費
減損損失
のれん償却額
引当金の繰入額(取崩額)
受取利息及び受取配当金
支払利息
持分法による投資損失(利益)
固定資産廃棄損
投資有価証券売却損益
売上債権の(増加)減少額
たな卸資産の(増加)減少額
仕入債務の増加(減少)額
その他
2011 年
2011 年
¥ 112,706
¥ 102,236
$ 1,231,759
231,741
2,902
23,317
(29,831)
(8,017)
16,321
(2,805)
10,535
(89,657)
48,937
18,793
(23,047)
15,773
327,668
8,969
(17,879)
(23,369)
295,389
207,767
1,579
15,610
(45,500)
(6,121)
11,728
(3,804)
7,309
(9,366)
25,687
(22,706)
(1,718)
13,361
296,062
6,893
(11,179)
(36,242)
255,534
2,503,217
19,024
188,072
(548,193)
(73,747)
141,301
(45,831)
88,060
(112,843)
309,482
(273,566)
(20,699)
160,976
3,567,012
83,048
(134,687)
(436,650)
3,078,723
(114,525)
9,177
(58,825)
(23,662)
116,814
17,549
50,416
4,076
1,020
(122,267)
6,861
(59,693)
(16,029)
35,120
4,214
715
8,971
(142,108)
(1,473,096)
82,663
(719,193)
(193,120)
423,132
50,771
8,614
108,084
(1,712,145)
296,409
113,426
1,366,578
(80,861)
82,047
(326,605)
25
(22,691)
(13,842)
(43,383)
(405,310)
7,373
63,739
(174,142)
24
(145)
(23,187)
(40,595)
(166,933)
88,831
767,939
(2,098,096)
289
(1,747)
(279,361)
(489,096)
(2,011,241)
現金及び現金同等物の期末残高
(983)
(109,884)
528,174
1,876
¥ 420,166
(8,091)
(61,598)
420,166
25
¥ 358,593
(97,482)
(742,145)
5,062,241
302
$ 4,320,398
キャッシュ・フローを伴わない投資活動及び財務活動:
ファイナンス・リース取引に係る資産の取得額
¥ 20,580
¥ 13,171
$
営業活動から得た現金
利息及び配当金の受取額
利息の支払額
法人税等の支払額
営業活動により供給された現金
投資活動によるキャッシュ・フロー( B )
有形固定資産の取得
有形固定資産の売却
無形固定資産の取得
投資有価証券の取得
投資有価証券の売却
事業譲渡による収入
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入
その他
投資活動により供給(使用)
された現金
A+B(※)
財務活動によるキャッシュ・フロー
短期借入金の増加(減少)額
長期借入及び社債の発行
長期借入金の返済及び社債の償還
自己株式の売却による収入
自己株式の取得による支出
配当金の支払額
その他
財務活動により使用された現金
為替相場変動の現金及び現金同等物に対する影響額
現金及び現金同等物の減少額
現金及び現金同等物の期首残高
新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額
18
18
添付の注記は、これらの連結財務諸表の一部です。
※「経営陣による業績の検討及び分析」におきまして、A + B をフリー・キャッシュ・フローとしております。
106
千米ドル
(注記 2)
2010 年
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
158,687
連結財務諸表の注記
富士通株式会社及び連結子会社
1. 主要な会計方針
( a )連結財務諸表の作成の基本となる事項及び連結の基本方針
富士通株式会社(以下、
「当社」)及び連結子会社(以下、当社と併せて「富士通グループ」)
の連結財務諸表は 、日本の金融商品取引法の
規定及び日本において一般に公正妥当と認められた会計処理基準に準拠して作成しております。当連結財務諸表の作成にあたり、日
本国外の利用者の便宜を図るため、一部組替えを行っております。
富士通グループの連結財務諸表は、当社及び重要性の低い一部の子会社を除く全ての子会社を連結したものであります。
企業買収は、パーチェス法により処理しております。買収価額のうち 、被買収企業の純資産の公正価値を超過する部分はのれんと
して認識しております。
関連会社に対する投資勘定は、重要性の低い一部の関連会社を除き、持分法を適用しております。
富士通グループの海外連結子会社は国際財務報告基準( IFRS )
を適用しておりますが、
「連結財務諸表作成における在外子会社の会計
処理に関する当面の取扱い」
(実務対応報告第18 号 2006 年 5 月 17 日)
に基づき、日本基準との主要な差異については連結決算手続きに
おいて修正を行っております。
〈 2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度における会計処理基準の変更について〉
当社及び国内連結子会社は 2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度より、日本において新しく適用された「資産除去債務に関する会計
基準」
(企業会計基準第 18 号 2008 年 3 月 31 日)及び
「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」
(企業会計基準適用指針第 21 号 2008
年3 月31 日)
を適用しております。上記会計基準等の適用に伴い、2011 年3 月31 日に終了した会計年度の営業利益は531 百万円(6,398
千米ドル)減少し、適用初年度の期首において新たに負債として計上した資産除去債務と有形固定資産の帳簿価額に加算された除去費
用との差額をその他の収益(費用)に 4,113 百万円(49,554 千米ドル)費用計上した結果、税金等調整前当期純利益は 4,644 百万円
(55,952 千米ドル)減少しております。
富士通グループは 2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度より、日本において新しく適用された「企業結合に関する会計基準」
(企業会
計基準第 21 号 2008 年 12 月 26 日)
、
「連結財務諸表に関する会計基準」
(企業会計基準第 22 号 2008 年 12 月 26 日)及び「企業結合会計基
準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」
(企業会計基準適用指針第 10 号 2008 年 12 月 26 日)
を適用しております。
( b )現金同等物
現金同等物は、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から
3 ヶ月以内に償還期限の到来する短期の投資からなっております。
( c )外貨換算
外貨建金銭債権債務は、決算日の為替相場により円貨に換算しております。
海外の連結子会社の財務諸表項目の換算において、資産及び負債は決算日の為替相場により円貨に換算し、収益及び費用は期中平均
の為替相場により換算しております。また 、その結果生じた換算差額は「為替換算調整勘定」としてその他の包括利益累計額に計上し
ております。
( d )収益認識
システム製品(受注制作のソフトウェアを除く)
については顧客の検収に基づいて売上を計上しております。パーソナルコンピュー
タ、その他周辺機器及び電子デバイス製品については顧客に納品した時点で売上を計上しております。また、受注制作のソフトウェア
(ソフトウェアの開発契約)
については工事進行基準で売上を計上しております。
( e )市場性のある有価証券
「投資及び長期貸付金」などに含まれる市場性のある有価証券については、満期保有投資(満期まで保有する明確な意思と能力を持つ
債券)又は売却可能有価証券(「株式」
及び「満期保有投資に区分しなかった債券」)
に区分しております。
満期保有投資は取得額の償還額に対する差額を満期までの期間にわたっ て増額又は減額する償却原価で評価し 、売却可能有価証券
FACTs & FIGURES
は時価で評価しております。なお、売却可能有価証券の売却の際の原価については、移動平均法で算出しております。
売却可能有価証券を時価評価したことによる未実現評価損益は、税効果を考慮後、その他の包括利益累計額に含めております。
( f )貸倒引当金
貸倒引当金は、債権の貸倒れによる損失に備えるため、回収可能性を検討して十分な金額を計上しております。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
107
連結財務諸表の注記
( g )たな卸資産
商品及び製品は、主に移動平均法による原価法で計上しております。
仕掛品は、主に個別法又は総平均法による原価法で計上しております。
原材料及び貯蔵品は、主に移動平均法による原価法で計上しております。
なお、収益性の低下したたな卸資産については、帳簿価額を切下げております。
( h )有形固定資産及び減価償却
有形固定資産(更新及び追加投資を含む)
は 、取得価額により計上しております。維持費、修繕費及び少額の更新、改良に要した支出
は、発生時の費用として処理しております。
減価償却費は、ビジネスごとの実態に応じた回収期間を反映した見積耐用年数に基づき、定額法で計算しております。
また、資産ごとにその利用可能性を考慮した上で、必要に応じて減損しております。減損損失累計額については、各資産の金額から
直接控除しております。
( i )無形固定資産
のれんについては、連結子会社が取得したものも含めて 、買収した事業の超過収益力に応じ 、20 年以内の期間で均等償却しており
ます。
市場販売目的のソフトウェアについては 、販売可能な有効期間における見込販売数量に基づく方法、自社利用ソフトウェアについ
ては、利用可能期間に基づく定額法を採用しております。
その他の無形固定資産については、各々の資産ごとに見積られた耐用年数に基づき、均等償却しております。
( j )リース取引
借手のファイナンス・リース取引については、売買処理によっております。
借手のオペレーティング・リース取引については、賃貸借処理によっております。
( k )製品保証引当金
契約に基づき保証期間内の製品を無償で修理・交換する費用の支出に備えるため、過去の実績を基礎として算出した修理・交換費用
の見積額を製品の販売時に計上しております。
( l )工事契約等損失引当金
受注制作のソフトウェア及び工事契約のうち、採算性の悪化が顕在化したものについて、損失見込額を計上しております。
( m )役員賞与引当金
役員に対する賞与の支出に備えるため、支給見込額を計上しております。
( n )退職給付
当社及び大部分の連結子会社は、退職給付制度を採用しております。
主要な確定給付型の退職給付制度の費用は、年金数理による予測単位積増方式により評価しております。
〈 2010 年 3 月 31 日に終了した会計年度における会計処理基準の変更について〉
当社及び国内連結子会社は、2010 年 3 月 31 日に終了した会計年度より、
「「退職給付に係る会計基準」の一部改正(その 3)」
(企業会計
基準第 19 号 2008 年 7 月 31 日)
を適用しております。当該変更による営業利益、税金等調整前当期純利益への影響はありません。
( o )電子計算機買戻損失引当金
富士通グループで製造したコンピュータの一部は、日本電子計算機株式会社( JECC )等のリース会社に販売した上で、顧客に賃貸して
おります。この販売契約のもとでは、一定期間経過後、顧客がコンピュータを返品した場合、富士通グループが当該コンピュータを買
戻す旨の特約が付されております。この取引については、過去の実績に基づき、買戻し時の損失発生見込額を販売時点で見積り、引当
金として計上しております。
108
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
連結財務諸表の注記
( p )リサイクル費用引当金
PC リサイクル制度に基づき、販売した家庭用パソコン回収時のリサイクル費用負担に備えるため、発生見込額を引当金として計上し
ております。
( q )法人税等
税務上と財務会計上の資産及び負債の認識時点の相違により生ずる一時差異について 、主に資産負債法により税効果を認識してお
ります。
( r )1 株当たり当期純利益
基本的 1 株当たり当期純利益は、期中の普通株式の加重平均株式数に基づいて算定しております。
希薄化後 1 株当たり当期純利益は、新株予約権の行使や転換社債の転換による新株式発行に伴う普通株式の希薄化を考慮した後の加
重平均株式数に基づいて算定しております。
( s )デリバティブ取引
主に外貨建債権債務の為替相場変動リスク及び金利相場変動リスクを軽減する目的でデリバティブ取引を行っ ております。ヘッジ
手段としては先物取引、先渡取引、オプション取引、スワップ取引、及びこれらの要素を2 つ以上含む複合取引を利用しています。デリ
バティブ取引は時価で評価され、未実現損益の変動はその他の収益(費用)
として認識されています。ただし、ヘッジ会計の要件を満た
す場合には、ヘッジ手段の時価評価に伴う損益は、ヘッジ対象に係る損益が認識されるまで繰り延べております。
2. 米ドルによる表示
当社及び国内の連結子会社は、円建で記帳しております。連結財務諸表及びその注記に米ドルで表示されている項目は、2011 年 3 月
31 日現在の為替相場(1 米ドル= 83 円)で日本円を米ドルに換算したものであります。米ドルによる表示は利用者の便宜を図って付し
たものであり、円建の資産及び負債が上記の為替相場又はその他の為替相場で米ドルに換金または決済された 、あるいは決済され得
るということを示しているものではありません。
3. たな卸資産
2010 年及び 2011 年 3 月 31 日現在のたな卸資産勘定の内訳は、以下のとおりであります。
百万円
3 月31 日現在
商品及び製品
仕掛品
原材料及び貯蔵品
たな卸資産合計
千米ドル
2010 年
2011 年
2011 年
¥145,646
100,904
75,751
¥322,301
¥150,685
112,995
77,758
¥341,438
$1,815,482
1,361,386
936,843
$4,113,711
たな卸資産の期末残高は収益性の低下に伴う簿価切下後の金額であります。
2010 年及び 2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度における簿価切下額はそれぞれ、29,840 百万円、22,545 百万円(271,627 千米ド
ル)
であり、売上原価に含まれております。
FACTs & FIGURES
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
109
連結財務諸表の注記
4. 有形固定資産
土地、建物及び構築物、機械及び装置・工具器具及び備品、建設仮勘定の増減内容は以下のとおりであります。
3 月31 日に終了した会計年度
土地
期首残高
新規取得
減損損失
為替換算調整
その他増減
2010 年
百万円
千米ドル
2011 年
2011 年
¥112,834
45
443
(194)
7,288
¥119,530
¥119,530
1,505
1,255
(525)
(1,774)
¥117,481
$1,440,120
18,133
15,120
(6,325)
(21,374)
$1,415,434
¥264,842
29,952
24,660
1,177
(121)
4,297
¥273,133
¥273,133
29,101
23,095
25
(2,375)
1,105
¥277,844
$3,290,759
350,614
278,253
301
(28,614)
13,313
$3,347,518
¥279,838
96,027
140,158
856
(685)
13,982
¥248,148
¥248,148
105,626
118,603
299
(3,706)
(4,262)
¥226,904
$2,989,735
1,272,602
1,428,952
3,602
(44,651)
(51,349)
$2,733,783
¥ 21,924
60,640
$ 264,145
730,602
期末残高
¥ 15,514
82,627
413
82
(75,886)
¥ 21,924
(571)
(65,580)
¥ 16,413
(6,880)
(790,120)
$ 197,747
期末残高合計
¥662,735
¥638,642
$7,694,482
期末残高
建物及び構築物
期首残高
新規取得
減価償却費
減損損失
為替換算調整
その他増減
期末残高
機械及び装置・工具器具及び備品
期首残高
新規取得
減価償却費
減損損失
為替換算調整
その他増減
期末残高
建設仮勘定
期首残高
新規取得
減損損失
為替換算調整
他勘定への振替
̶
̶
5. リース取引
資産に計上されている借手のファイナンス・リース取引について、2010 年及び2011 年3 月31 日現在における取得価額、減価償却累
計額、期末残高、借手の最低リース料総額は以下のとおりであります。
百万円
3 月31 日現在
取得価額
減価償却累計額
期末残高
最低リース料総額(借手)
1 年内
1 年超 5 年内
5 年超
計
110
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
千米ドル
2010 年
2011 年
2011 年
¥142,392
88,293
54,099
¥108,165
68,637
39,528
$1,303,193
826,952
476,241
31,315
36,760
9,054
¥ 77,129
25,611
24,353
7,630
¥ 57,594
308,566
293,410
91,928
$ 693,904
連結財務諸表の注記
借手のオペレーティング・リースに係る未経過リース料の期末残高は以下のとおりであります。
百万円
千米ドル
3 月31 日現在
2010 年
2011 年
2011 年
1 年内
1 年超 5 年内
5 年超
¥20,868
45,950
31,375
¥98,193
¥19,368
42,692
23,637
¥85,697
$ 233,349
514,362
284,783
$1,032,494
百万円
千米ドル
2010 年
2011 年
計
6. のれん
のれんの増減内容は以下のとおりであります。
3 月31 日に終了した会計年度
期首残高
増加
償却
為替換算調整等
期末残高
¥93,945
1,883
15,610
(135)
¥80,083
¥46,508
69,258
23,317
1,496
¥93,945
2011 年
$1,131,867
22,687
188,072
(1,627)
$ 964,855
7. 短期借入金、社債及び長期借入金
2010 年及び 2011 年 3 月 31 日現在の社債及び借入金の内訳は以下のとおりであります。
短期借入金
3 月31 日現在
短期借入金は、主として銀行からの借入金であります。加重平均利率は、
2010 年 3 月31 日現在で1.24%
2011 年 3 月31 日現在で1.24%であります。
有担保
無担保
短期借入金合計( A )
2010 年
¥
̶
¥
百万円
千米ドル
2011 年
2011 年
̶
$
̶
49,885
¥49,885
54,148
¥54,148
652,386
$652,386
百万円
千米ドル
2010 年
2011 年
2011 年
長期借入金及び社債
3 月31 日現在
a )長期借入金
長期借入金は、主として銀行及び保険会社からの借入金であります。加重平均利率は、
2010 年 3 月31 日現在、2010 年満期分から2020 年満期分で1.43%であります。
2011 年 3 月31 日現在、2011 年満期分から2020 年満期分で1.30%であります。
有担保
¥
89
無担保
147,269
長期借入金合計
¥147,358
¥
̶
136,375
¥136,375
$
̶
1,643,072
$1,643,072
FACTs & FIGURES
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
111
連結財務諸表の注記
3 月31 日現在
2010 年
百万円
千米ドル
2011 年
2011 年
b )社債
当社が発行した社債
有担保
無担保
2010 年償還無担保転換社債型新株予約権付社債
2011 年償還無担保転換社債型新株予約権付社債 *1,2
利率 3.0% 、2018 年償還無担保社債
利率 1.05% 、2010 年償還無担保社債
利率 1.49% 、2012 年償還無担保社債
利率 1.73% 、2014 年償還無担保社債
利率 0.307% 、2013 年償還無担保社債
利率 0.42% 、2015 年償還無担保社債
̶
¥
¥
̶
$
̶
̶
100,000
30,000
1,204,819
361,446
̶
̶
60,000
40,000
20,000
30,000
722,891
481,928
240,964
361,446
̶
̶
̶
200
2,409
1,205
$3,377,108
100,000
100,000
30,000
50,000
60,000
40,000
連結子会社が発行した社債
有担保
無担保
〔国内子会社〕
ゼロクーポン、2013 年償還無担保転換社債型新株予約権付社債
ゼロクーポン、2015 年償還無担保転換社債型新株予約権付社債
̶
̶
̶
社債合計
¥380,200
200
100
¥280,300
長期借入金及び社債合計
¥527,558
170,572
356,986
¥416,675
171,406
245,269
$5,020,180
2,065,132
2,955,048
¥577,443
220,457
356,986
¥470,823
225,554
245,269
$5,672,566
2,717,518
2,955,048
1 年以内に返済期限の到来するもの( B )
(C)
1 年以内に返済期限の到来するものを除く
社債及び借入金
社債及び借入金(流動負債)
( A+B )
社債及び借入金(固定負債)
(C)
̶
転換社債型新株予約権付社債に関しては、日本において一般に公正妥当と認められた会計原則に従い、社債に対応する額と転換権に
対応する額とに区分せず、全額を負債として計上しております。
*1 本新株予約権付社債の利率につきましては以下のとおりであります。
なお、2011 年償還無担保転換社債型新株予約権付社債は、2011 年 5 月 31 日に全額満期償還しております。
2009 年 5 月 27 日まで
2009 年 5 月 28 日以降
1.60%
0.00%[ 1.75% ]
2011 年償還無担保
転換社債型新株予約権付社債
[ ]内は、2011 年 5 月 18 日までの 10 連続取引日の株価の加重平均値
が 900 円を下回り、償還する場合
*2 2011 年 3 月 31 日現在における主な新株予約権付社債の新株予約権の内容
発行日
2011 年償還無担保転換社債型新株予約権付社債
2007 年 8 月 31 日
発行すべき株式
普通株式
新株予約権の発行価額(円)
無償
株式の発行価格(円)
900
100,000
発行価額の総額(百万円)
新株予約権の行使により発行した株式の発行価額の総額(百万円)
̶
新株予約権の付与割合( % )
100
2009 年 5 月 28 日∼ 2011 年 5 月 24 日
新株予約権の行使期間
2011 年 3 月 31 日以降の社債及び長期借入金の償還又は返済予定額は、以下のとおりであります。
3 月31 日に終了する会計年度
2012 年
2013 年
2014 年
2015 年
2016 年以降
合計
112
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
百万円
千米ドル
¥171,406
77,321
54,126
43,682
70,140
¥416,675
$2,065,132
931,578
652,121
526,289
845,060
$5,020,180
連結財務諸表の注記
2011 年 3 月 31 日現在、富士通グループは 202,748 百万円(2,442,747 千米ドル)の特定融資枠(コミットメントライン)契約を締結し
ており、全額未使用であります。
2010 年及び 2011 年 3 月 31 日現在、短期借入金及び長期借入金の担保として差入れている主な資産は、以下のとおりであります。
百万円
3 月31 日現在
有形固定資産
千米ドル
2010 年
2011 年
2011 年
¥3,403
¥2,563
$30,880
日本の慣行では、銀行からの借入(短期借入を含む)
は通常、銀行取引約定に基づいて行われます。この取引約定に基づき、銀行から
要請があれば借手は担保を差入れ、あるいは保証人を立てる(あるいは状況に応じて担保又は保証人を追加する)
こととなっておりま
す。また、この約定取引では担保に供された資産は、当該銀行に対する現在及び将来の全ての債務を担保することになっております。
さらに 、返済期限が到来した債務もしくは債務不履行となっ た債務と 、債務者の銀行預金を相殺することができるという権利を当該
銀行が有していることが規定されております。
8. 年金及び退職金制度
国内においては、当社及び大部分の国内の連結子会社が、就業規則に基づく定年以前で退職する従業員の全てを対象とする、外部拠
出を行わない退職一時金制度を採用しております。従業員は主として勤務期間及び退職時の給与水準に基づく退職金を受給すること
ができます。
また、当社及び大部分の国内の連結子会社は、実質的に全ての従業員を対象とした会社及び従業員が拠出する確定給付型年金制度(以
下、
「制度」)
に加入しております。その会社及び従業員が拠出する主な制度は、富士通企業年金基金として、従業員の退職にあたり、勤
務期間、給与水準、制度への加入期間に基づく退職一時金または 60 歳から支給開始される年金またはその両方を支給することとして
おります。この制度に加入する当社及び国内の連結子会社及びその従業員による掛金は 、独立した機関である富士通企業年金基金へ
拠出されます。
当社及び一部の国内の連結子会社が加入していた富士通厚生年金基金は 、代行部分について 、2004 年 3 月 23 日に将来分支給義務免
除の認可を、2005 年 9 月 1 日に過去分返上の認可を厚生労働大臣から受けました。これに伴い、厚生年金保険法に基づく厚生年金基金
制度から確定給付企業年金法に基づく確定給付企業年金制度へ移行し、あわせて、年金制度の一部について改訂を行いました。
海外の連結子会社に関しては 、その従業員を対象とする確定給付型もしくは確定拠出型の退職給付制度を採用しております。確定
給付型退職給付制度の主要なものは、Fujitsu Services Holdings PLC(その連結子会社を含む。以下、
「 FS 」)及び Fujitsu Technology
Solutions (Holding) B.V.(その連結子会社を含む)が採用する確定給付型プランであります。FS の確定給付型プランでは、主にプラン
への加入期間及び給与水準に連動した年金給付を支給することとしております。なお、FS は 2001 年 3 月 31 日に終了した会計年度に確
定給付型プランの新規加入を停止し、それ以降に加入する従業員に対しては確定拠出型プランを設けております。また、2011 年3 月31
日に終了した会計年度より、確定給付型プランに加入する従業員を対象として、将来勤務に対して発生する給付について確定拠出型プ
ランへの移行を開始しており、2012 年 3 月 31 日に終了する会計年度に完了します。
国内制度及び海外制度、それぞれの「退職給付債務及び年金資産」及び「退職給付費用の内訳」は、以下のとおりであります。
<国内制度>
退職給付債務及び年金資産
百万円
3 月31 日現在
退職給付債務
年金資産
積立状況
退職給付引当金
2011 年
千米ドル
2011 年
¥(1,268,623)
934,673
(333,950)
¥(1,280,145)
905,592
(374,553)
$(15,423,434)
10,910,747
(4,512,687)
378,619
(102,041)
(57,142)
¥ (114,514)
398,681
(83,413)
(55,194)
¥ (114,479)
4,803,386
(1,004,976)
(664,988)
$ (1,379,265)
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
FACTs & FIGURES
未認識数理計算上の差異
未認識過去勤務債務(債務の減額)
前払年金費用
2010 年
113
連結財務諸表の注記
2006 年 3 月 31 日に終了した会計年度に当社及び一部の国内の連結子会社が加入する富士通企業年金基金において、年金制度の一部
改訂を行ったことにより過去勤務債務(債務の減額)
が発生しております。
退職給付費用の内訳
百万円
3 月31 日に終了した会計年度
2010 年
勤務費用(従業員掛金控除後)
利息費用
期待運用収益
退職給付積立不足償却額:
会計基準変更時差異の費用処理額
数理計算上の差異の費用処理額
過去勤務債務の費用処理額
その他 *1
¥ 39,191
30,155
(23,243)
16,290
42,953
(18,591)
̶
退職給付費用
86,755
(86)
¥ 86,669
退職給付制度終了に伴う損益
合計
千米ドル
2011 年
¥ 38,931
31,550
(26,651)
2011 年
$ 469,048
380,121
(321,096)
̶
37,355
(18,633)
353
62,905
1,266
¥ 64,171
̶
450,060
(224,494)
4,253
757,892
15,253
$ 773,145
*1 確定拠出年金への掛金支払額であります。
上記の退職給付費用以外に、2010 年及び 2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度で、それぞれ 15,939 百万円、1,279 百万円(15,410 千
米ドル)
の割増退職金を支給しております。
退職給付債務等の計算の基礎に関する事項
3 月31 日現在
2010 年
2011 年
割引率
期待運用収益率
数理計算上の差異の処理方法
過去勤務債務の処理方法
会計基準変更時差異の処理方法
2.5%
2.9%
2.5%
2.9%
定額法(従業員の平均残存勤務期間)
定額法(10 年)
定額法(10 年)
定額法(従業員の平均残存勤務期間)
定額法(10 年)
̶
2001 年 3 月 31 日に終了した会計年度において、当社の会計基準変更時差異相当額については、一括償却しております。当該処理に
対する追加拠出資産として、当社は、保有する有価証券を退職給付を目的とした信託に拠出いたしました。
<海外制度>
「 従業員給付」に従
FS は、2006 年 3 月 31 日に終了した会計年度より国際財務報告基準( IFRS )を採用し、国際会計基準第 19 号( IAS19)
い会計処理しております。この会計処理基準の変更にあたり、IFRS 第1 号「国際財務報告基準の初度適用」を適用し、2005 年3 月31 日に
終了した会計年度の期首の未積立退職給付債務を退職給付引当金に計上しました。また、その他の海外子会社は 2009 年 3 月 31 日に終
了した会計年度より IFRS を採用し、IAS19 に従い会計処理しております。なお、IFRS 第 1 号適用以降に発生する数理計算上の差異につ
いては、遅延認識しており、未認識数理計算上の差異の費用処理にあたっては、回廊アプローチを適用しております。
退職給付債務及び年金資産
百万円
3 月31 日現在
2010 年
退職給付債務
年金資産
積立状況
未認識数理計算上の差異
前払年金費用
退職給付引当金
114
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
2011 年
千米ドル
2011 年
¥(592,144)
390,251
(201,893)
¥(534,999)
395,927
(139,072)
$(6,445,771)
4,770,205
(1,675,566)
110,060
(57)
¥ (91,890)
74,321
(2,342)
¥ (67,093)
895,434
(28,217)
$ (808,349)
連結財務諸表の注記
退職給付費用の内訳
百万円
3 月31 日に終了した会計年度
2010 年
勤務費用(従業員掛金控除後)
利息費用
期待運用収益
退職給付積立不足償却額:
数理計算上の差異の費用処理額
過去勤務債務の費用処理額 *1
その他 *2
¥ 8,044
29,781
(26,003)
$ 96,916
358,807
(313,289)
(151)
5,838
(13,322)
9,774
14,112
112
¥ 14,224
70,337
(160,506)
117,759
170,024
1,349
$ 171,373
7,557
19,785
(2)
¥ 19,783
退職給付制度終了に伴う損益
計
2011 年
¥ 8,396
28,786
(24,803)
̶
退職給付費用
千米ドル
2011 年
*1 主に FS において 、物価に応じて給付額が変動する方式のほかに定額給付とする方式を導入し、退職時に選択可能とすることなどにより、過去勤務債務(債務の減
額)
が発生しました。なお、当該発生額については、即時認識しております。
*2 確定拠出年金への掛金支払額であります。
退職給付債務等の計算の基礎に関する事項
3 月31 日現在
2010 年
2011 年
割引率
期待運用収益率
数理計算上の差異の処理方法
主に5.6%
主に7.8%
定額法(従業員の平均残存勤務期間)
主に5.6%
主に7.2%
定額法(従業員の平均残存勤務期間)
9. 法人税等
富士通グループは所得に対して種々の税金を課せられております。2010 年及び 2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度における日本
の法定実効税率は、約 40.6% であります。
税金費用の内訳は以下のとおりです。
百万円
3 月31 日に終了した会計年度
当年分
繰延税金
税金費用
2010 年
¥27,059
(11,283)
¥15,776
千米ドル
2011 年
2011 年
¥35,057
13,122
¥48,179
$422,373
158,097
$580,470
2010 年及び 2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度における法定実効税率と実効税率との差異は以下のとおりであります。
3 月31 日に終了した会計年度
2010 年
2011 年
法定実効税率
税率の増加(減少)
:
評価性引当額の増減
のれん償却額
税額控除
税務上損金不算入の費用
税務上益金不算入の収益
持分法による投資利益に対する税効果
その他
40.6%
40.6%
(38.0%)
8.4%
(1.3%)
2.7%
(0.5%)
(1.0%)
3.1%
14.0%
7.6%
6.2%
(4.1%)
3.5%
(1.8%)
(1.5%)
(3.4%)
47.1%
実効税率
FACTs & FIGURES
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
115
連結財務諸表の注記
2010 年及び 2011 年 3 月 31 日現在における繰延税金資産及び繰延税金負債の主要な内訳は以下のとおりであります。
3 月31 日現在
2010 年
繰延税金資産:
退職給付引当金
繰越欠損金
減価償却超過額及び減損損失等
未払賞与
たな卸資産
投資有価証券評価損
製品保証引当金
電子計算機買戻損失引当金
連結会社間内部利益(たな卸資産及び固定資産)
その他
繰延税金資産小計
控除:評価性引当額
繰延税金資産合計
繰延税金負債:
退職給付信託設定益
その他有価証券評価差額金
税務上の諸準備金
その他
繰延税金負債合計
繰延税金資産の純額
百万円
千米ドル
2011 年
2011 年
¥ 152,967
142,631
64,696
41,907
23,977
12,725
4,959
8,825
2,950
66,567
522,204
(261,079)
261,125
¥ 150,851
145,132
54,591
43,489
23,081
9,615
6,250
6,056
5,688
57,224
501,977
(256,153)
245,824
$ 1,817,482
1,748,579
657,723
523,964
278,084
115,843
75,301
72,964
68,530
689,446
6,047,916
(3,086,181)
2,961,735
¥(110,617)
(10,558)
(3,444)
(7,448)
(132,067)
¥ 129,058
¥(110,617)
(9,639)
(2,245)
(8,944)
(131,445)
¥ 114,379
$(1,332,735)
(116,133)
(27,048)
(107,759)
(1,583,675)
$ 1,378,060
連結貸借対照表に含まれる繰延税金資産の純額は以下のとおりであります。
百万円
3 月31 日現在
2010 年
流動資産その他
投資及び長期貸付金その他
流動負債その他
固定負債その他
繰延税金資産の純額
¥ 76,308
83,279
(5)
(30,524)
¥129,058
2011 年
¥ 76,666
72,093
(50)
(34,330)
¥114,379
千米ドル
2011 年
$ 923,687
868,590
(602)
(413,615)
$1,378,060
日本において、当社及び国内 100% 子会社は連結納税制度を適用しております。
税務上の繰越欠損金は、国内は 7 年間、海外は米国は 20 年間、英国は無期限に繰り越すことができます。繰越欠損金の実現可能性は、
繰越期限までに十分な課税所得を稼得できるか否かにかかっております。これらの繰越欠損金に対しては、確実に回収が見込まれる
金額を超える部分について評価性引当金を計上しております。
10. 株主資本
2010 年及び 2011 年 3 月 31 日現在における授権株式数及び発行済株式数は以下のとおりであります。
普通株式(無額面)
3 月31 日現在
授権株式数
発行済株式数
116
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
2010 年
2011 年
5,000,000,000
2,070,018,213
5,000,000,000
2,070,018,213
連結財務諸表の注記
11. 契約債務及び偶発債務
2011 年 3 月 31 日現在、有形固定資産購入に係る契約債務額は、7,585 百万円(91,386 千米ドル)であります。
2011 年3 月31 日現在の保証債務残高は、合計で2,927 百万円(35,265 千米ドル)であります。そのうち主なものは、従業員の住宅ロー
ンに関する保証額 2,904 百万円(34,988 千米ドル)
であります。
12. 金融商品
1. 金融商品の状況に関する事項
(1)金融商品に対する取組方針
富士通グループは、
『富士通グループ財務規定』に基づいて財務活動を行い、事業活動における資金需要に基づき、主に銀行借入や社
債発行により資金を調達しております。一時的な余剰資金は、事業活動に必要な流動性を確保した上で安全性の高い金融資産にて運用
しております。デリバティブ取引については、ヘッジ目的のみに利用し、投機目的及びトレーディング目的では行っておりません。
(2)金融商品の内容及びそのリスク
営業債権である売上債権は、顧客の信用リスクに晒されております。また、製品の輸出に伴い一部の営業債権は外貨建てであり、為
替の変動リスクに晒されております。有価証券は、主に資金運用を目的とした譲渡性預金や取引先企業との取引関係の維持・強化を目
的として政策的に保有する株式等のその他有価証券であり 、株式については市場価格の変動リスクや出資先の財政状態の悪化リスク
に晒されております。
営業債務である仕入債務及び未払費用は、概ね 1 年以内の支払期日であります。また、部材の輸入に伴い一部の営業債務は外貨建て
であり、為替の変動リスクに晒されております。借入金、社債及びファイナンス・リース取引に係るリース債務は、運転資金及び設備
投資等の資金の調達を目的としたものであります。このうち一部は変動金利であるため、金利の変動リスクに晒されております。
デリバティブ取引は、主に外貨建ての営業債権債務に係る為替の変動リスクに対するヘッジ取引を目的とした先物為替予約取引、外
貨建てのキャッシュ・フロー に係る為替の変動リスクに対するヘッジ取引を目的とした通貨スワップ取引、借入金及び社債に係る支
払金利の変動リスクに対するヘッジ取引を目的とした金利スワップ取引を利用しております。
(3)金融商品に係るリスク管理体制
①信用リスクの管理
富士通グループは、製品の販売、サービスの提供にあたり、与信管理の基準及び手続きに従い、回収リスクの軽減を図っております。
営業債権については、営業部門から独立した部門が取引先の信用状況を審査し、取引先別に回収期日及び残高を管理し、円滑かつ確実
な回収を図っております。
デリバティブ取引は、取引先の選定にあたり、信用リスクを考慮しております。
当期の連結決算日現在における最大信用リスク額は、信用リスクに晒される金融資産の貸借対照表価額により表わされております。
②市場リスクの管理
富士通グループは、外貨建ての営業債権債務について、通貨別に把握された為替の変動リスクに対して、先物為替予約等の取引を利
用しており、外貨建てのキャッシュ・フローに係る為替の変動リスクを抑制するために、通貨スワップ等の取引を利用しております。
また、借入金及び社債に係る支払金利の変動リスクを抑制するために、金利スワップ取引を利用しております。
有価証券については、定期的に時価や出資先の財務状況を把握するとともに、出資先との関係を勘案して保有状況を継続的に見直し
ております。
デリバティブ取引については、デリバティブ取引に関する管理規定に基づき、最高財務責任者( CFO )
が承認した方針に従い財務部門
FACTs & FIGURES
が個別の取引を実施し、管理台帳への記録及び契約先との取引残高の照合を行っております。また、財務部門は、実施した取引の内容・
取引残高の推移を、CFO 及び経理部門責任者に報告しております。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
117
連結財務諸表の注記
③資金調達に係る流動性リスクの管理
富士通グループは、資金収支予測を作成し、資金需要を把握しております。また、資金調達方法の多様化を進めることにより流動性
リスクを軽減しております。
(4)金融商品の時価等に関する事項についての補足説明
金融商品の時価には、市場価格に基づく価額のほか、市場価格がない場合には合理的に算定された価額が含まれております。当該価
額の算定においては変動要因を織り込んでいるため、異なる前提条件等を採用することにより、当該価額が変動することもあります。
また、
「 14. デリバティブ取引」におけるデリバティブ取引に関する契約額等については 、その金額自体がデリバティブ取引に係る市
場リスクを示すものではありません。
2. 金融商品の時価等に関する事項
2010 年及び 2011 年 3 月 31 日における連結貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額については、次のとおりであります。なお、時
価を把握することが極めて困難と認められるものは、次表には含めておりません。
(注 2 参照)
百万円
2011 年 3 月31 日現在
流動資産
(1)現金及び現金同等物
(2)短期投資
(3)売上債権
貸倒引当金 *1
投資及び長期貸付金
(4)関係会社
(5)
その他
資産計
流動負債
(1)社債及び借入金
(2)
リース債務
(3)仕入債務
(4)未払費用
固定負債
(5)社債及び借入金
(6)
リース債務
負債計
デリバティブ取引 *2
①ヘッジ会計が適用されていないもの
②ヘッジ会計が適用されているもの
デリバティブ取引計
118
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
連結貸借
対照表計上額
¥ 358,593
6,101
877,069
(14,781)
862,288
時価
¥
358,593
6,101
差額
¥
̶
̶
千米ドル
連結貸借
対照表計上額
時価
差額
$
̶
̶
$ 4,320,398
73,506
10,567,096
(178,084)
10,389,012
$ 4,320,398
73,506
10,389,012
̶
520,060
1,038,843
16,341,819
294,361
862,288
̶
18,733
86,224
1,331,939
43,165
86,224
1,356,371
24,432
24,432
225,699
1,038,843
16,047,458
225,554
24,470
604,264
323,144
225,554
24,470
604,264
323,144
̶
̶
̶
̶
2,717,518
294,819
7,280,289
3,893,301
2,717,518
294,819
7,280,289
3,893,301
̶
̶
̶
̶
245,269
26,775
1,449,476
252,083
26,983
1,456,498
6,814
208
7,022
2,955,048
322,590
17,463,565
3,037,145
325,097
17,548,169
82,097
2,507
84,604
[ 3,646]
[ 3,646]
9
[ 3,637]
9
[ 3,637]
̶
̶
̶
̶
[ 43,928]
[ 43,928]
108
[ 43,819]
108
[ 43,819]
̶
294,361
̶
̶
̶
連結財務諸表の注記
百万円
2010 年 3 月31 日現在
流動資産
(1)現金及び現金同等物
(2)短期投資
(3)売上債権
貸倒引当金 *1
投資及び長期貸付金
(4)関係会社
(5)
その他
資産計
流動負債
(1)社債及び借入金
(2)
リース債務
(3)仕入債務
(4)未払費用
固定負債
(5)社債及び借入金
(6)
リース債務
負債計
デリバティブ取引 *2
①ヘッジ会計が適用されていないもの
②ヘッジ会計が適用されているもの
デリバティブ取引計
連結貸借
対照表計上額
時価
差額
¥ 420,166
7,794
905,425
̶
16,601
103,553
1,453,539
37,518
103,553
1,474,456
20,917
220,457
29,790
626,986
334,458
220,457
29,790
626,986
334,458
̶
̶
̶
̶
356,986
39,509
1,608,186
368,365
39,753
1,619,809
11,379
244
11,623
[ 1,557]
[ 67]
[ 1,624]
[ 1,557]
[ 67]
[ 1,624]
¥
̶
̶
¥ 420,166
7,794
921,349
(15,924)
905,425
̶
20,917
̶
̶
̶
*1 主に売上債権に対応する一般貸倒引当金を控除しております。
なお、貸倒引当金は、売上債権及び短期貸付金等に対する控除科目として一括掲記しております。
[ ]で示しております。
*2 デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務となる項目については、
(注 1)金融商品の時価の算定方法
流動資産
(1)現金及び現金同等物、
(2)短期投資、並びに(3)売上債権
これらは短期間で決済されるため、時価は帳簿価額と近似していることから、当該帳簿価額によっております。
投資及び長期貸付金
(4)関係会社及び(5)
その他
これらの時価について、株式は取引所の価格によっており、債券は取引金融機関から提示された価格又は取引所の価格によっております。
流動負債
(1)社債及び借入金、
(2)
リース債務、
(3)仕入債務、並びに(4)未払費用
これらは短期間で決済されるため、時価は帳簿価額と近似していることから、当該帳簿価額によっております。
固定負債
(5)社債及び借入金、
(6)
リース債務
社債の時価について 、市場価格のあるものは市場価格に基づき 、市場価格のないものは元利金の合計額を当該社債の残存期間及び信用リスクを加味した利率で割
り引いた現在価値により算定しております。借入金及びリース債務の時価については、元利金の合計額を新規に同様の借入、又はリース取引を行った場合に想定
される利率で割り引いた現在価値により算定しております。
(注 2)時価を把握することが極めて困難と認められる金融商品
「金融商品に関する会計基準」
(企業会計基準第10 号)
及び
「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」
(企業会計基準適用指針第19 号)
に基づき、非上場株式は、市場価格
がなく、かつ将来キャッシュ・フローを見積ること等ができず、時価を把握することが極めて困難と認められるため、
「投資及び長期貸付金」
には含めておりません。な
お、
「投資及び長期貸付金」
に含めなかった非上場株式の2010 年及び2011 年3 月31 日における連結貸借対照表計上額はそれぞれ、50,781 百万円、47,404 百万円(571,133
千米ドル)
であり、内、関係会社株式:20,169 百万円、18,799 百万円(226,494 千米ドル)
、その他:30,612 百万円、28,605 百万円(344,639 千米ドル)
であります。
FACTs & FIGURES
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
119
連結財務諸表の注記
13. 市場性のある有価証券
「投資及び長期貸付金」の「その他」などに含まれる市場性のある有価証券の主な内訳は、以下のと
2010 年及び2011 年3 月31 日現在、
おりであります。
3 月31 日現在
売却可能有価証券
取得原価
連結貸借対照表計上額(時価)
未実現評価損益
百万円
千米ドル
2010 年
2011 年
2011 年
¥182,655
208,776
¥ 26,121
¥74,355
97,025
¥22,670
$ 895,843
1,168,976
$ 273,133
なお、満期保有投資については、金額が僅少であるため記載を省略しております。
14. デリバティブ取引
1. ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引
<通貨関連>
市場取引以外の取引
2011 年 3 月31 日現在
取引の種類
為替予約取引等
買建
米ドル
ユーロ
その他
売建
米ドル
ユーロ
その他
スワップ取引
受取ポンド
支払ポンド
その他
合計
120
FUJITSU LIMITED
百万円
契約額等
契約額等の
うち 1 年超
¥48,517
22,270
1,088
¥5,462
1,550
137
¥(3,667)
599
(6)
12,709
10,781
2,775
̶
̶
̶
15,223
18,994
11,458
̶
̶
̶
ANNUAL REPORT 2011
千米ドル
契約額等
契約額等の
うち 1 年超
¥(3,667)
599
(6)
$584,542
268,313
13,108
$65,807
18,675
1,651
$(44,181)
7,217
(72)
$(44,181)
7,217
(72)
(178)
(132)
(50)
(178)
(132)
(50)
153,120
129,892
33,434
̶
̶
̶
(2,145)
(1,590)
(602)
(2,145)
(1,590)
(602)
(282)
108
(38)
¥(3,646)
(282)
108
(38)
¥(3,646)
183,410
228,843
138,048
̶
̶
̶
(3,398)
1,301
(458)
$(43,928)
(3,398)
1,301
(458)
$(43,928)
時価
評価損益
時価
評価損益
連結財務諸表の注記
2010 年 3 月31 日現在
取引の種類
為替予約取引等
買建
米ドル
ユーロ
その他
売建
米ドル
ユーロ
その他
オプション取引
買建
ドルプット
売建
ドルコール
スワップ取引
受取ポンド
支払ポンド
その他
合計
百万円
契約額等
契約額等の
うち 1 年超
¥44,928
22,007
2,686
¥14,687
4,294
465
¥ (501)
550
6
¥ (501)
550
6
28,579
5,407
4,911
5,118
2,583
(1,604)
(17)
(67)
(1,604)
(17)
(67)
̶
評価損益
̶
1,737
<23>
<̶>
1,737
<(23)>
<̶>
17,820
27,753
14,896
時価
47
24
(8)
15
̶
̶
̶
̶
(456)
392
101
¥(1,557)
(456)
392
101
¥(1,557)
1. 時価の算定方法は、主に契約を締結している金融機関から提示された価格によっております。
2. 為替予約取引等の一部の取引については、契約で定められた受渡額に対応する時価と当該受渡額との差額を時価として表示しております。
3. 為替予約取引等の一部の契約には付帯条項があり、為替レートの変動によって契約額、契約期間が変動する可能性があります。
4. 契約額等の< >内の金額はオプション料であり、それに対応する時価及び評価損益を記載しております。
2. ヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引
( i )通貨関連
2011 年 3 月31 日現在
該当事項はありません。
2010 年 3 月31 日現在
百万円
デリバティブ取引の種類等
主な
ヘッジ対象
契約額等
契約額等の
うち 1 年超
為替予約取引
売建
米ドル
売上債権
¥4,758
̶
主な
ヘッジ対象
契約額等
契約額等の
うち 1 年超
時価
借入金
¥2,798
¥1,937
¥9
主な
ヘッジ対象
契約額等
契約額等の
うち 1 年超
時価
借入金
¥3,625
¥2,772
¥10
時価
¥(77)
( ii )金利関連
2011 年 3 月31 日現在
デリバティブ取引の種類等
金利スワップ取引
支払固定・受取変動
百万円
2010 年 3 月31 日現在
デリバティブ取引の種類等
契約額等
時価
$33,711
$23,337
$108
百万円
FACTs & FIGURES
金利スワップ取引
支払固定・受取変動
千米ドル
契約額等の
うち 1 年超
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
121
連結財務諸表の注記
15. 連結貸借対照表の補足情報
2010 年及び 2011 年 3 月 31 日現在の関係会社との営業債権債務残高は以下のとおりであります。
百万円
3 月31 日現在
千米ドル
2010 年
2011 年
2011 年
¥24,546
7,681
¥22,891
8,248
$275,795
99,373
円
米ドル
2010 年
2011 年
2011 年
¥45.21
42.17
¥26.62
25.75
$0.321
0.310
百万円
千米ドル
2010 年
2011 年
2011 年
当期純利益
普通株主に帰属しない金額
¥93,085
¥55,092
$663,759
普通株式に係る当期純利益
希薄化による影響
93,085
3,101
¥96,186
55,092
1,499
¥56,591
663,759
18,060
$681,819
2,058,748
222,222
2,280,970
2,069,731
127,549
2,197,280
売上債権
仕入債務
16. 1 株当たり当期純利益の計算
3 月31 日に終了した会計年度
基本的 1 株当たり当期純利益
希薄化後 1 株当たり当期純利益
3 月31 日に終了した会計年度
希薄化後当期純利益
̶
̶
̶
千株
基本的加重平均株式数
希薄化による影響
希薄化後加重平均株式数
17. 連結損益計算書の補足情報
「販売費及び一般管理費」に計上されている2010 年及び2011 年3 月31 日に終了した会計年度の研究開発費は、それぞれ224,951 百万
円及び 236,210 百万円(2,845,904 千米ドル)
であります。
2010 年及び 2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度の「その他の収益(費用)」の「その他」の内訳は、以下のとおりであります。
百万円
3 月31 日に終了した会計年度
投資有価証券売却益
持分変動利益
為替差損
2011 年
2011 年
¥ 89,657
¥ 9,366
2,368
$ 112,843
28,530
̶
(4,205)
負ののれん発生益
事業譲渡益
災害による損失
固定資産廃棄損
資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額
減損損失
退職給付制度の移行に伴う損失
事業構造改善費用
その他
千米ドル
2010 年
̶
2,211
̶
(3,923)
̶
(2,902)
̶
(47,406)
(9,600)
¥ 23,832
(11,063)
(133,289)
1,220
14,699
(11,645)
(5,477)
(4,113)
(1,579)
(1,266)
(140,301)
(65,988)
(49,554)
(19,024)
(15,253)
(6,366)
¥(28,555)
(76,699)
$(344,036)
̶
̶
̶
̶
投資有価証券売却益
(株)
の自己株式買付けに伴う株式の
2010 年 3 月 31 日に終了した会計年度において発生した投資有価証券売却益は、主にファナック
売却に係るものであります。
122
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
連結財務諸表の注記
2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度において発生した投資有価証券売却益は、主に英国子会社が保有する関連会社株式の売却に係
るものであります。
持分変動利益
2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度において発生した持分変動利益は、中国の関連会社(南通富士通微電子股份有限公司)の公募増
資に伴うものであります。
負ののれん発生益
2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度において発生した負ののれん発生益は、主に(株)PFU の完全子会社化に伴うものであります。
事業譲渡益
2010 年 3 月 31 日に終了した会計年度において発生した事業譲渡益は、主に通信デバイス事業( SAW デバイス等)の譲渡に係るもので
あります。
災害による損失
2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度において発生した災害による損失は、東日本大震災により被災した資産の復旧費用、被災した
工場等の操業休止期間中の固定費及びたな卸資産の廃棄損等であります。当該損失には、災害損失引当金繰入額 4,876 百万円(58,747
千米ドル)
が含まれております。
資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額
2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度において発生した資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額は、会計基準の適用に伴う期首差
額で、主として賃借建物の原状回復義務に係るものであります。当該期首差額は、適用初年度の期首において新たに負債として計上し
た資産除去債務と有形固定資産の帳簿価額に加算された除去費用との差額であり 、主として過年度に帰属する減価償却費相当額であ
ります。
減損損失
富士通グループは、原則として、事業用資産については経営管理上の事業区分を基準としてグルーピングを行っており、遊休資産に
ついては個別資産ごとにグルーピングを行っております。
2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度において発生した減損損失は、主に売却が決定した賃貸不動産に係るものであります。
退職給付制度の移行に伴う損失
2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度において発生した退職給付制度の移行に伴う損失は、国内の連結子会社における確定拠出年金
制度への移行に伴う費用であります。
事業構造改善費用
2010 年 3 月 31 日に終了した会計年度において発生した事業構造改善費用は 、海外事業における欧州子会社の再編に伴い、英国・ア
イルランド地域や 、ドイツ、オランダなど欧州大陸地域で実施した人員合理化に係る費用 26,301 百万円、及び LSI 事業の前工程製造体
制の再編や間接業務の効率化などに伴う人員再配置に係る費用 21,105 百万円であります。
18. 連結キャッシュ・フロー計算書の補足情報
2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度
2010 年3 月31 日に終了した会計年度にHDD 事業を譲渡したことに伴う受取対価27,845 百万円のうち、2011 年3 月31 日に終了した
FACTs & FIGURES
会計年度に 4,214 百万円(50,771 千米ドル)
の収入がありました。なお、2010 年 3 月 31 日に終了した会計年度には、23,631 百万円の収
入がありました。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
123
連結財務諸表の注記
2010 年 3 月 31 日に終了した会計年度
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入
Fujitsu Technology Solutions (Holding) B.V.(以下、FTS )の株式の取得に伴うものが42,912 百万円、FDK(株)の株式の取得に伴うも
のが 7,504 百万円であります。株式の取得により新たに FTS を連結したことに伴う連結開始時の資産及び負債の内訳並びに 2010 年 3
月 31 日に終了した会計年度における FTS 株式の取得価額と FTS 取得のための収入(純額)
との関係は以下のとおりであります。
百万円
2010 年
流動資産
固定資産
のれん
流動負債
固定負債
少数株主持分
取得した純資産
持分法投資評価額
FTS 株式の取得価額
FTS 株式の取得価額
うち、当会計年度以外の支出
FTS 株式取得に係る当会計年度の支出
FTS の現金及び現金同等物
差引:FTS 取得による収入(純額)
¥ 276,694
79,047
62,468
(256,679)
(101,797)
(193)
59,540
4,974
54,566
(54,566)
788
(53,778)
96,690
42,912
事業譲渡による収入
主に HDD 事業の譲渡に伴う収入であります。HDD 事業の譲渡により減少した資産及び負債の内訳並びに 2010 年 3 月 31 日に終了し
た会計年度における事業譲渡の受取対価と事業譲渡による収入(純額)
との関係は以下のとおりであります。
百万円
2010 年
流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
事業譲渡により減少した純資産
事業譲渡の受取対価
事業譲渡の受取対価
うち、当会計年度以外の収入
事業譲渡に係る当会計年度の収入
譲渡した子会社の現金及び現金同等物
差引:事業譲渡による収入(純額)
¥ 44,152
15,645
(28,231)
(3,721)
27,845
27,845
27,845
(4,214)
23,631
(8,142)
15,489
19. セグメント情報
1. 報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、最高経営意思決定機関が、経営資
源の配分の決定及び業績評価のために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、ICT( Information and Communication Technology )分野において、各種サービスを提供するとともに、これらを
支える最先端、高性能かつ高品質のプロダクト及び電子デバイスの開発・製造・販売から保守運用までを総合的に提供するトータルソ
リューションビジネスを営んでおります。当社は、経営組織の形態、製品・サービスの特性及び販売市場の類似性に基づき、複数の事
業セグメントを集約した上で、
「テクノロジーソリューション」、
「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の3 つを
報告セグメントとしております。各報告セグメントの事業の管理体制並びに製品及びサービスの種類は以下のとおりであります。
124
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
連結財務諸表の注記
(1)
テクノロジーソリューション
プロダクト・ソフトウェア・サービスが一体となった総合的なサービスを顧客に最適な形で提供するため、グローバルな戦略立案や
コストマネジメントなどの事業管理を推進するための製品・サービス別のビジネスグループと 、営業と顧客を担当する SE を一体化し
た業種・地域別のビジネスグループによる複合型の事業管理体制をとっております。
当該報告セグメントは、情報通信システムの構築などを行うソリューション/ SI 、アウトソーシングや保守サービスを中心とするイ
ンフラサービス、ICT の基盤となる、サーバやストレージシステムなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送システムなど
の通信インフラを提供するネットワークプロダクトにより構成されています。
(2)
ユビキタスソリューション
営業部門も含め製品別に独立した事業管理体制をとっております。
当該報告セグメントは、当社グループが実現を目指す「ヒューマン・セントリックなインテリジェント・ソサエティ 」
(誰もが複雑な
技術や操作を意識せずに、ICT が創出する価値の恩恵を享受できる社会)
において、人や組織の行動パターンから生み出される様々な情
報や知識を収集・活用するユビキタス端末あるいはセンサーとして、パソコン/携帯電話のほか、オーディオ・ナビゲーション機器や
移動通信機器、自動車用電子機器により構成されています。
(3)
デバイスソリューション
営業部門も含め製品別に独立した事業管理体制をとっております。
当該報告セグメントは、最先端テクノロジーとして、デジタル家電や自動車、携帯電話、サーバなどに搭載される LSI のほか、半導体
パッケージをはじめとする電子部品により構成されています。
2. 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、
「 1. 主要な会計方針」における記載と概ね同一であります。
事業セグメントの利益は、営業利益をベースとした数値であります。当社グループの資金調達(金融費用及び金融収益を含む)及び
法人税等は当社グループ全体で管理しており、事業セグメントに配分しておりません。
セグメント間の取引は独立企業間価格で行っております。
3. 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報
百万円
報告セグメント
3 月31 日に終了した会計年度
テクノロジー
ソリューション
ユビキタス
ソリューション
デバイス
ソリューション
計
その他
¥2,927,651
¥1,013,056
¥545,729
¥4,486,436
¥32,738
86,735
3,014,386
162,881
1,481,119
112,586
1,125,642
22,679
332,121
84,871
630,600
20,976
434,718
284,192
4,770,628
206,536
2,247,958
116,218
116,690
14,991
79,974
20,578
20,675
46
184
消去又は全社
連結計
2011 年
売上高
外部顧客への売上高
セグメント間の
内部売上高又は振替高
売上高計
営業利益(損失)
資産
その他の項目
有形固定資産及び
無形固定資産の増加額
減価償却費
のれんの償却額
のれんの未償却残高
44,837
60,941
573
(75)
181,633
198,306
15,610
80,083
¥
49,766
82,504
(7,222)
37,707
1,376
2,014
̶
̶
9,231
(333,958)
(324,727)
(66,720)
738,432
6,902
7,447
̶
̶
¥4,528,405
̶
4,528,405
132,594
3,024,097
189,911
207,767
15,610
80,083
FACTs & FIGURES
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
125
連結財務諸表の注記
百万円
報告セグメント
3 月31 日に終了した会計年度
テクノロジー
ソリューション
ユビキタス
ソリューション
デバイス
ソリューション
計
その他
¥3,061,504
¥1,005,531
¥510,615
¥4,577,650
¥ 94,925
67,859
3,129,363
153,590
1,536,068
114,153
1,119,684
40,682
362,678
122,258
120,401
22,181
15,235
21,527
消去又は全社
連結計
2010 年
売上高
外部顧客への売上高
セグメント間の
内部売上高又は振替高
売上高計
営業利益(損失)
資産
その他の項目
有形固定資産及び
無形固定資産の増加額
減価償却費
のれんの償却額
78,462
589,077
(9,028)
448,319
36,934
75,550
1,136
̶
260,474
4,838,124
185,244
2,347,065
174,427
217,478
23,317
¥
54,910
149,835
(27,200)
23,986
6,944
(315,384)
(308,440)
(63,671)
857,000
3,637
5,037
7,242
9,226
̶
̶
¥4,679,519
̶
4,679,519
94,373
3,228,051
185,306
231,741
23,317
千米ドル
報告セグメント
3 月31 日に終了した会計年度
テクノロジー
ソリューション
ユビキタス
ソリューション
デバイス
ソリューション
計
その他
$35,272,903
$12,205,494
$6,575,048
$54,053,445
$394,434
1,045,000
36,317,903
1,962,421
17,844,807
1,356,458
13,561,952
273,241
4,001,458
1,022,542
7,597,590
252,723
5,237,567
3,424,000
57,477,445
2,488,385
27,083,832
599,590
994,024
(87,012)
454,301
1,400,216
1,405,904
180,614
963,542
247,928
249,096
554
2,217
2,188,349
2,389,229
188,072
964,855
16,578
24,265
消去又は全社
連結計
111,217
$54,559,096
2011 年(米ドル換算)
売上高
外部顧客への売上高
セグメント間の
内部売上高又は振替高
売上高計
営業利益(損失)
資産
その他の項目
有形固定資産及び
無形固定資産の増加額
減価償却費
のれんの償却額
のれんの未償却残高
540,205
734,229
6,904
(904)
̶
̶
$
(4,023,590)
(3,912,373)
(803,855)
8,896,771
83,157
89,723
̶
̶
̶
54,559,096
1,597,518
36,434,904
2,288,084
2,503,217
188,072
964,855
(注)1. 2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度より「セグメント情報等の開示に関する会計基準」
(企業会計基準第 17 号)及び「セグメント情報等の開示に関する会計基
準の適用指針」
(企業会計基準適用指針第 20 号)
を適用しております。なお、2010 年 3 月 31 日に終了した会計年度の数値については比較のため、組替表示して
おります。
当該会計基準等の適用に伴い、従来、
「その他」に含めていたオーディオ・ナビゲーション機器等を「ユビキタスソリューション」に区分変更、当該変更にあわ
せてセグメント名称を「ユビキタスプロダクトソリューション」から「ユビキタスソリューション」に変更いたしました。また、従来、
「ユビキタスプロダクト
ソリューション」に含めていた光送受信モジュールの開発・製造・販売子会社と、
「その他」に含めていたプリント板の製造子会社を、
「デバイスソリューショ
ン」に区分変更しております。なお、HDD 事業は従来「ユビキタスプロダクトソリューション」に含めておりましたが、2009 年 10 月に事業譲渡したことから、
2010 年 3 月 31 日に終了した会計年度の数字は「その他」の区分に含めて表示しております。
2.「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、次世代スーパーコンピュータ事業、当社グループ会社向け情報システム開発・ファシ
リティサービス事業、当社グループ従業員向け福利厚生事業等及び HDD 事業(注 1 参照)
が含まれております。
3. 営業利益(損失)における「消去又は全社」には「全社費用」及び「セグメント間取引消去他」が含まれており 2010 年及び 2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度に
発生した金額はそれぞれ、全社費用:64,013 百万円、68,341 百万円(823,386 千米ドル)
、セグメント間消去取引他:–342 百万円、–1,621 百万円( –19,530 千
米ドル)
であります。
なお、
「全社費用」は主に報告セグメントに帰属しない基礎的試験研究費等の戦略費用及び親会社におけるグループ経営に係る共通費用であります。
4. 資産における「消去又は全社」には「全社資産」及び「セグメント間取引消去他」が含まれており2010 年及び 2011 年 3 月 31 日現在の金額はそれぞれ、全社資産:
963,360 百万円、840,672 百万円(10,128,578 千米ドル)、セグメント間消去取引他:–106,360 百万円、–102,240 百万円( –1,231,807 千米ドル)であります。
なお、
「全社資産」は主に余資運用資金、譲渡性預金や取引先企業との取引関係の維持・強化を目的として政策的に保有する株式、繰延税金資産であります。
「企業結合に関する会計基準」
(企業会計基準第 21 号)及び「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用
5. 2011 年3 月31 日に終了した会計年度より、
指針」
(企業会計基準適用指針第 10 号)
を適用しております。当該会計基準等の適用前に実施した企業結合に係る負ののれんは、のれんの償却額及びのれんの
未償却残高に含めて表示しております。
126
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
連結財務諸表の注記
4. 関連情報
(1)製品及びサービスごとの情報
外部顧客への売上高
3 月31 日に終了した会計年度
テクノロジーソリューション
サービス
システムプラットフォーム
ユビキタスソリューション
パソコン/携帯電話
モバイルウェア
デバイスソリューション
LSI
電子部品
その他
全社他
合計
百万円
千米ドル
2010 年
2011 年
2011 年
¥2,492,375
569,129
¥2,385,345
542,306
$28,739,096
6,533,807
705,496
300,035
733,035
280,021
8,831,747
3,373,747
274,260
236,355
94,925
6,944
¥4,679,519
280,868
264,861
32,738
9,231
¥4,528,405
3,383,952
3,191,096
394,434
111,217
$54,559,096
百万円
千米ドル
(注)製品及びサービスの内容の詳細は「事業概要」
(30 ページ)
をご参照下さい。
(2)地域ごとの情報
①売上高
3 月31 日に終了した会計年度
国内(日本)
海外
EMEA
米州
APAC・中国
海外計
合計
2010 年
2011 年
2011 年
¥2,931,215
62.6%
¥2,941,042
64.9%
$35,434,241
981,622
321,603
445,079
1,748,304
¥4,679,519
21.0%
6.9%
9.5%
37.4%
100.0%
845,485
322,272
419,606
1,587,363
¥4,528,405
18.7%
7.1%
9.3%
35.1%
100.0%
10,186,566
3,882,795
5,055,494
19,124,855
$54,559,096
百万円
千米ドル
②有形固定資産
3 月31 日現在
国内(日本)
海外
EMEA
米州
APAC・中国
海外計
合計
2010 年
2011 年
2011 年
¥547,358
¥531,438
$6,402,868
63,058
17,847
34,472
115,377
¥662,735
54,064
16,586
36,554
107,204
¥638,642
651,373
199,831
440,410
1,291,614
$7,694,482
(注)1. 海外の各区分に属する主な国又は地域
(1)
EMEA(欧州・中近東・アフリカ)................イギリス、ドイツ、スペイン、フィンランド、スウェーデン
(2)米州 ........................................................米国、カナダ
(3)
・中国 ..........オーストラリア、シンガポール、タイ、台湾、韓国、ベトナム、フィリピン、中国
APAC(アジア・パシフィック)
2. 個別に区分して開示すべき重要な国はありません。
3. 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
4. 有形固定資産は当社グループ拠点の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
(3)主要な顧客ごとの情報
百万円
3 月31 日に終了した会計年度
NTTグループ
FACTs & FIGURES
売上高
千米ドル
2010 年
2011 年
2011 年
¥509,729
¥528,327
$6,365,386
関連するセグメント名 .............................................主にテクノロジーソリューション、ユビキタスソリューション
(注)NTT グループには、日本電信電話株式会社、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、株式会社
エヌ・ティ・ティ・ドコモ、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ等が含まれております。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
127
連結財務諸表の注記
20. 関連当事者との取引
2010 年及び 2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度
(関連当事者との取引)
重要な取引がないため記載を省略しております。
(重要な関連会社に関する注記)
該当事項はありません。
21. ストック・オプション等関係
1. ストック・オプションに係る 2011 年 3 月 31 日で終了した会計年度における費用計上額及び科目名
売上原価
6 百万円
販売費及び一般管理費
15
72 千米ドル
181
上記の費用計上額は、連結子会社の富士通フロンテック
(株)
が付与したストック・オプションに係るものであります。2007 年 3 月
(企業会計基準第 8 号)及び
31 日に終了した会計年度より日本において新しく適用された「ストック・オプション等に関する会計基準」
「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」
(企業会計基準適用指針第 11 号)
が適用され 、会社法施行日(2006 年 5 月 1 日)
以後に付与したストック・オプションについて費用計上しております。なお、会社法の施行日より前に付与した当社のストック・オプ
ションについては、会社法施行日以後に条件変更を行っていないため、費用計上しておりません。
2. ストック・オプションの内容、規模及びその変動状況
(1)富士通(株)
( i )2000 年 6 月 29 日定時株主総会決議
付与対象者の区分及び人数
取締役 32 名
従業員のうち取締役に準ずる職責を持つ経営幹部 15 名
ストック・オプション数
普通株式 1,305,000 株
付与日
2000 年 8 月 1 日
権利確定条件
定めておりません
対象勤務期間
定めておりません
権利行使期間
2000 年 8 月 1 日∼ 2010 年 6 月 29 日
株数
3 月31 日に終了した会計年度
2010 年
2011 年
期首現在未決済残高
付与
失効
権利行使
275,000
200,000
75,000
200,000
期末現在未決済残高
200,000
200,000
̶
円
米ドル
2010 年
2011 年
2011 年
¥3,563
¥3,563
$42.93
期末現在行使可能残高
3 月31 日に終了した会計年度
権利行使価格
128
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
̶
̶
̶
̶
̶
連結財務諸表の注記
( ii )2001 年 6 月 26 日定時株主総会決議
付与対象者の区分及び人数
取締役 32 名
従業員のうち取締役に準ずる職責を持つ経営幹部 18 名
ストック・オプション数
普通株式 1,360,000 株
付与日
2001 年 8 月 1 日
権利確定条件
定めておりません
対象勤務期間
定めておりません
権利行使期間
2001 年 8 月 1 日∼ 2011 年 6 月 26 日
株数
3 月31 日に終了した会計年度
2010 年
2011 年
期首現在未決済残高
付与
失効
権利行使
385,000
310,000
75,000
90,000
期末現在未決済残高
310,000
310,000
220,000
220,000
円
米ドル
2010 年
2011 年
2011 年
¥1,450
¥1,450
$17.47
̶
̶
期末現在行使可能残高
3 月31 日に終了した会計年度
権利行使価格
̶
̶
(2)富士通フロンテック
(株)
(当社連結子会社)
( i )2008 年 7 月 23 日取締役会決議
付与対象者の区分及び人数
取締役(社外取締役を除く) 4 名
経営執行役(取締役兼務を除く) 8 名
ストック・オプション数
普通株式 28,500 株
付与日
2008 年 8 月 11 日
権利確定条件
取締役及び経営執行役のいずれの地位をも喪失した日
対象勤務期間
権利確定日を合理的に予測することが困難なため、対象勤務期間はないものとみなしており
ます。
権利行使期間
2008 年 8 月 12 日∼ 2038 年 8 月 11 日
株数
3 月31 日に終了した会計年度
期首現在未決済残高
付与
失効
権利行使
2010 年
2011 年
28,500
26,800
1,700
26,800
26,800
̶
̶
期末現在未決済残高
期末現在行使可能残高
̶
3 月31 日に終了した会計年度
2010 年
権利行使価格
行使時平均株価
公正な評価単価(付与日)
¥ 1
960
924
̶
̶
̶
̶
円
米ドル
2011 年
2011 年
¥
1
$ 0.01
924
11.13
̶
̶
( ii )2009 年 7 月 28 日取締役会決議
取締役(社外取締役を除く) 4 名
FACTs & FIGURES
付与対象者の区分及び人数
経営執行役(取締役兼務を除く) 10 名
ストック・オプション数
普通株式 33,100 株
付与日
2009 年 8 月 13 日
権利確定条件
取締役及び経営執行役のいずれの地位をも喪失した日
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
129
連結財務諸表の注記
対象勤務期間
権利確定日を合理的に予測することが困難なため、対象勤務期間はないものとみなしております。
権利行使期間
2009 年 8 月 14 日∼ 2039 年 8 月 13 日
株数
3 月31 日に終了した会計年度
期首現在未決済残高
付与
失効
権利行使
期末現在未決済残高
期末現在行使可能残高
2010 年
2011 年
̶
33,100
33,100
̶
̶
̶
̶
̶
33,100
33,100
̶
3 月31 日に終了した会計年度
権利行使価格
公正な評価単価(付与日)
̶
円
米ドル
2010 年
2011 年
2011 年
¥ 1
876
¥ 1
876
$ 0.01
10.55
( iii )2010 年 7 月 28 日取締役会決議
付与対象者の区分及び人数
取締役(社外取締役を除く) 5 名
経営執行役(取締役兼務を除く) 12 名
ストック・オプション数
普通株式 38,600 株
付与日
2010 年 8 月 13 日
権利確定条件
取締役及び経営執行役のいずれの地位をも喪失した日
対象勤務期間
権利確定日を合理的に予測することが困難なため、対象勤務期間はないものとみなしております。
権利行使期間
2010 年 8 月 14 日∼ 2040 年 8 月 13 日
株数
3 月31 日に終了した会計年度
2010 年
期首現在未決済残高
付与
失効
権利行使
̶
̶
̶
̶
期末現在未決済残高
̶
期末現在行使可能残高
̶
3 月31 日に終了した会計年度
権利行使価格
公正な評価単価(付与日)
2011 年
̶
38,600
̶
̶
38,600
̶
円
米ドル
2010 年
2011 年
2011 年
¥̶
¥ 1
588
$0.01
7.08
̶
3. ストック・オプションの公正な評価単価の見積方法
2009 年 3 月 31 日に終了した会計年度において付与された、富士通フロンテック(株)のストック・オプションについての公正な評価
単価の見積方法は以下のとおりであります。
(1)使用した評価技法
ブラック・ショールズ式
(2)主な基礎数値及び見積方法
株価変動性 *1
39.031%
予想残存期間 *2
4.628 年
予想配当 *3
14 円/株
無リスク利子率 *4
0.958%
*1 2003 年 12 月 26 日から 2008 年 8 月 11 日まで(4.628 年間)の株価実績に基づき算定しております。
*2 過去の取締役の就任期間及び付与対象者の就任日から割当日までの経過年数等から、割当日以降の予想残存勤務年数を見積り、それを予想残存期間として見積っ
ております。
*3 2008 年 3 月期の配当実績によっております。
*4 予想残存期間に対応する期間に対応する国債の利回りであります。
130
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
連結財務諸表の注記
2010 年 3 月 31 日に終了した会計年度において付与された、富士通フロンテック(株)のストック・オプションについての公正な評価
単価の見積方法は以下のとおりであります。
(1)使用した評価技法
ブラック・ショールズ式
(2)主な基礎数値及び見積方法
株価変動性 *1
38.233%
予想残存期間 *2
4.623 年
予想配当 *3
16 円/株
無リスク利子率 *
4
0.664%
*1 2004 年 12 月 28 日から 2009 年 8 月 13 日まで(4.623 年間)の株価実績に基づき算定しております。
*2 過去の取締役の就任期間及び付与対象者の就任日から割当日までの経過年数等から 、割当日以降の予想残存勤務年数を見積り 、それを予想残存期間として見積っ
ております。
*3 2009 年 3 月期の配当実績によっております。
*4 予想残存期間に対応する期間に対応する国債の利回りであります。
2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度において付与された、富士通フロンテック(株)のストック・オプションについての公正な評価
単価の見積方法は以下のとおりであります。
(1)使用した評価技法
ブラック・ショールズ式
(2)主な基礎数値及び見積方法
株価変動性 *1
32.825%
予想残存期間 *2
4.724 年
予想配当 *3
16 円/株
無リスク利子率 *
4
0.311%
*1 2005 年 11 月 21 日から 2010 年 8 月 13 日まで(4.724 年間)の株価実績に基づき算定しております。
*2 過去の取締役の就任期間及び付与対象者の就任日から割当日までの経過年数等から 、割当日以降の予想残存勤務年数を見積り 、それを予想残存期間として見積っ
ております。
*3 2010 年 3 月期の配当実績によっております。
*4 予想残存期間に対応する期間に対応する国債の利回りであります。
4. ストック・オプションの権利確定数の見積方法
将来の失効数の合理的な見積りは困難であるため、実績の失効数のみ反映させる方法を採用しております。
22. 企業結合等
2011 年 3 月 31 日に終了した会計年度
重要な事項がないため記載を省略しております。
2010 年 3 月 31 日に終了した会計年度
〔パーチェス法の適用〕
■ Fujitsu Technology Solutions (Holding) B.V. の連結子会社化
(1)被取得企業の名称及びその事業の内容、企業結合を行った主な理由、企業結合日、企業結合の法的形式並びに結合後企業の名称
及び取得した議決権比率
( i ) 被取得企業の名称及びその事業の内容
被取得企業の名称
Fujitsu Siemens Computers (Holding) B.V.
事業の内容
情報システムの開発、製造、販売、保守
FACTs & FIGURES
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
131
連結財務諸表の注記
( ii ) 企業結合を行った主な理由
当社とドイツSiemens AGは1999 年10 月1 日に両社の欧州における情報システム事業を統合し、合弁会社Fujitsu Siemens
Computers (Holding) B.V. を設立して情報システムの開発、製造、販売、保守事業を行ってきましたが、近年の ICT 市場に
おける新たな競争状況の発生とインフラサービス分野などを中心としたビジネス機会の拡大が見込まれることから、同
社を連結子会社化いたしました。これにより当社グループは、欧州最大の ICT 市場であるドイツにおいて拠点を確立する
ことでプロダクトビジネスのグローバル展開を推進するとともに 、欧州のサービス事業の柱である英国子会社 Fujitsu
Services Holdings PLC との連携を更に強化することでお客様により高い付加価値を提供し、インフラサービスでの成長
機会を追求し、海外ビジネスの収益力強化を図ります。
( iii )企業結合日
2009 年 4 月 1 日
( iv )企業結合の法的形式並びに結合後企業の名称
企業結合の法的形式
株式取得
結合後企業の名称
Fujitsu Technology Solutions (Holding) B.V.
( v ) 取得した議決権比率
取得前
50%
取得後
100%
(2)連結財務諸表に含まれている被取得企業の業績の期間
2009 年 4 月 1 日から 2010 年 3 月 31 日まで
(3)被取得企業の取得原価及びその内訳
取得原価
54,566 百万円
現金 53,740 百万円、取得に直接要した支出額 826 百万円
(4)発生したのれんの金額、発生原因、償却方法及び償却期間
のれんの金額
62,468 百万円
発生原因
取得原価が企業結合時における時価純資産を上回っ たため 、その差額をのれんとして認識してお
ります。
償却方法及び償却期間
10 年間で均等償却
(5)企業結合日に受け入れた資産及び引受けた負債の額並びにその主な内訳
流動資産
276,694 百万円
固定資産
79,047
資産合計
355,741
流動負債
256,679 百万円
固定負債
101,797
負債合計
358,476
(6)取得原価のうち研究開発費等に配分され費用処理された金額及びその科目名
販売費及び一般管理費
4,639 百万円
■ FDK(株)
の第三者割当増資引受けによる連結子会社化
(1)被取得企業の名称及びその事業の内容、企業結合を行った主な理由、企業結合日、企業結合の法的形式並びに結合後企業の名称
及び取得した議決権比率
( i ) 被取得企業の名称及びその事業の内容
132
FUJITSU LIMITED
被取得企業の名称
FDK(株)
事業の内容
電子部品及び電池並びにその応用製品の製造、販売
ANNUAL REPORT 2011
連結財務諸表の注記
( ii ) 企業結合を行った主な理由
(東証第 2 部上場)
は 、市場環境の変化に対応すべく 、パワー と高周波分野の製品を基軸として 、強みとする素材
FDK(株)
技術に立脚した製品展開を強力に推進するため事業構造改革を進めてまいりましたが、2008 年度後半からの世界同時不
況の影響もあり 、2008 年度第 3 四半期(2008 年 10 月∼ 12 月)
において多額の損失を計上し債務超過となりました。当社
は、FDK(株)
の製品の購買等の取引に加え、財務的支援などを行っております。FDK(株)
の債務超過継続により生じうる
同社の事業活動への重大な悪影響を回避することが、筆頭株主、債権者及び取引先である当社の企業価値維持の観点から
最善の策であると判断いたしました。第三者割当増資引受けによる FDK(株)
の子会社化により、同社の事業構造改革を確
実なものといたします。
( iii )企業結合日
2009 年 5 月 1 日
( iv )企業結合の法的形式並びに結合後企業の名称
企業結合の法的形式
株式取得
結合後企業の名称
FDK(株)
( v ) 取得した議決権比率
取得前
39.80%
取得後
64.64%
(2)連結財務諸表に含まれている被取得企業の業績の期間
2009 年 4 月 1 日から 2010 年 3 月 31 日まで
(3)被取得企業の取得原価及びその内訳
取得原価
11,000 百万円
(現金 11,000 百万円)
(4)発生したのれんの金額、発生原因、償却方法及び償却期間
のれんの金額
2,914 百万円
発生原因
取得原価が企業結合時における時価純資産を上回っ たため、その差額をのれんとして認識してお
ります。
償却方法及び償却期間
5 年間で均等償却
(5)企業結合日に受け入れた資産及び引受けた負債の額並びにその主な内訳
流動資産
29,943 百万円
固定資産
18,432
資産合計
48,375
流動負債
46,113 百万円
固定負債
14,078
負債合計
60,191
〔共通支配下の取引等〕
■株式交換による連結子会社の完全子会社化
(1)結合当事企業の名称及びその事業の内容、企業結合の法的形式、結合後企業の名称並びに取引の目的を含む取引の概要
( i ) 結合当事企業の名称及びその事業の内容
結合当事企業の名称
FACTs & FIGURES
当社、当社の連結子会社である(株)富士通ビジネスシステム
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
133
連結財務諸表の注記
事業の内容
(株)
富士通ビジネスシステム
コンサルティングからネットワーク構築、ソフトウェア開発、システムの運用・保守・工事までの一貫したサービスの
提供
( ii ) 企業結合の法的形式及び結合後企業の名称
株式交換
結合当事企業の名称変更はありません。
( iii )取引の目的を含む取引の概要
お客様の多様なICT 活用に関わるニーズにタイムリーに対応し、国内中堅市場向けのプラットフォームやICTソリューショ
ンを含むテクノロジーソリューション事業体制を強化するため 、2009 年 8 月 1 日に(株)富士通ビジネスシステム
(以下、
FJB )の株主が有する普通株式を当社に移転させ 、FJB の株主に対して当社が発行する株式を割当交付いたしました。これ
に伴い、FJB(東証第 1 部上場)
は当社の完全子会社となり、2009 年 7 月 28 日をもって上場廃止となりました。
(2)実施した会計処理の概要
上記株式交換は少数株主との取引に該当するため、追加取得した子会社株式に対応する持分を少数株主持分から減額し、追加
投資額との間に生じた差額については、のれんとして処理しております。
(3)子会社株式の追加取得に関する事項
( i ) 取得原価及びその内訳
取得原価
21,464 百万円
当社株式 21,449 百万円、取得に直接要した支出額 15 百万円
なお、当社株式は全て自己株式であります。
( ii ) 株式の種類別の交換比率及びその算定方法並びに交付株式数及びその評価額
株式の種類及び交換比率
(株)
富士通ビジネスシステムの普通株式 1 株に対し、当社の普通株式 3.50 株を割当交付。
交換比率の算定方法
第三者算定機関から提出された株式交換比率案の算定についての専門家としての分析結果及び助言を慎重に検討し、当
事会社間で決定いたしました。
交付株式数及び評価額
42,983,290 株
21,449 百万円
(4)発生した負ののれんの金額、発生原因、償却方法及び償却期間
負ののれんの金額
6,816 百万円
発生原因
企業結合時の時価純資産が取得原価を上回っ ているため 、その差額を負ののれんとして認識して
おります。
償却方法及び償却期間
5 年間で均等償却
〔事業分離〕
■ HDD 事業の譲渡
(1)分離先企業の名称、分離した事業の内容、事業分離を行った主な理由、事業分離日及び法的形式を含む事業分離の概要
( i ) 分離先企業の名称
ドライブ事業
メディア事業
(株)東芝
昭和電工(株)
( ii ) 分離した事業の内容
事業の内容
134
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
HDD の設計、開発、製造、販売等
連結財務諸表の注記
( iii )事業分離を行った主な理由
HDD 事業においては 、世界的な価格競争の激化や需要の減少など厳しい事業環境が続いておりました。これまで当社グ
ループが蓄積してきた技術力や開発力を(株)東芝及び昭和電工(株)
の独自技術と融合することで 、厳しい事業環境に耐
えうる事業体として維持・発展をさせるため事業分離を行いました。
( iv )事業分離日
ドライブ事業
2009 年 10 月 1 日
メディア事業
2009 年 7 月 1 日
( v ) 法的形式を含む事業分離の概要
ドライブ事業
当社は、ドライブ事業の譲渡にあたり東芝ストレージデバイス
(株)
(以下、TSDC )
を設立しまし
た。2009 年 10 月 1 日に、会社分割(簡易吸収分割)
により当社がドライブ事業に関して有する
権利義務をTSDCに承継させるとともに、TSDC 株式を(株)東芝に譲渡いたしました。また、
(株)
山 形 富 士 通 からド ラ イ ブ 事 業 を 承 継 した 会 社 及 び Fujitsu (Thailand) Co., Ltd. 、Fujitsu
Computer Products Corporation of the Philippines の HDD 製造拠点 3 社は TSDC の子会社とな
り、当社の海外拠点における HDD 販売部門は一部地域を除き、原則として各地域の
(株)東芝の
販売拠点に統合されました。
なお、円滑な事業移管を考慮して 2010 年 12 月末までは当社が 19.9% の TSDC 株式を保有しま
すが、その後は(株)東芝が TSDC を完全子会社とする予定です。
メディア事業
当社は、メディア事業の譲渡にあたり新会社(昭和電工HD 山形(株))
を設立し、
(株)山形富士通
が営むメディア事業を新会社に承継させた上で 、当社が保有する新会社の全株式を昭和電工
(株)
に譲渡いたしました。
(2)実施した会計処理の概要
( i ) 移転損益の金額
事業譲渡の受取対価と 、譲渡した事業に係る資産及び負債の譲渡直前の適正な帳簿価額による純資産との差額はありま
せん。
( ii ) 移転した事業に係る資産及び負債の適正な帳簿価額並びにその主な内訳
流動資産
44,152 百万円
固定資産
15,645
資産合計
59,797
流動負債
28,231 百万円
固定負債
3,721
負債合計
31,952
(3)事業の種類別セグメントにおいて、分離した事業が含まれていた事業区分
ユビキタスプロダクトソリューション
(4)2010 年 3 月 31 日に終了する会計年度の連結損益計算書に計上されている分離した事業に係る損益の概算額
売上高
82,228 百万円
営業損失
(9,793)
なお、売上高は事業セグメント間の内部売上高 2,331 百万円を含めて表示しております。
FACTs & FIGURES
23. 後発事象
重要な事項はありません。
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ANNUAL REPORT 2011
135
監査報告書
下記の監査報告書は英文の連結財務諸表に添付された監査報告書の日本語訳であります。
136
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ANNUAL REPORT 2011
監査報告書
FACTs & FIGURES
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ANNUAL REPORT 2011
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財務報告に係る内部統制報告書
下記の「財務報告に係る内部統制報告書」は、英文のアニュアルレポートに添付された「 MANAGEMENT S REPORT ON
INTERNAL CONTROL OVER FINANCIAL REPORTING 」の日本語訳であり、2011 年 6 月23 日付で当社が金融庁に提出した内
部統制報告書とは、一部文言が異なっております。
1. 財務報告に係る内部統制の基本的枠組み
当社の代表取締役社長山本正已及び取締役執行役員専務加藤和彦は、富士通グループの連結財務諸表についての財務
報告に係る内部統制の整備及び運用に関する責任を有しております。富士通グループは、日本の金融庁が定めた基準である
「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定
について
(意見書)」
(企業会計審議会公表)
に準拠し、財務報告に係る内部統制を整備及び運用しております。
内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達
成しようとするものであります。内部統制には、統制実施者の判断の誤りや不注意、または複数の担当者による共謀による
不正等を含む固有の限界があり、したがって、財務報告の虚偽記載を完全には防止または発見することができない可能性
があります。
2. 評価の範囲、基準日及び評価手続
当社グループは、当会計年度の末日である2011 年3 月31 日を基準日として財務報告に係る内部統制の評価を実施してお
り、評価に際しては、日本において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しました。
当社グループの評価においては、当社並びに連結子会社及び持分法適用会社を対象に、財務報告の信頼性に及ぼす影響
の重要性の観点から、必要な範囲を財務報告に係る内部統制の評価範囲として定めました。評価範囲内においては、財務
報告の信頼性に重要な影響を及ぼす虚偽記載リスクと、それらのリスクを合理的なレベルまで低減する統制上の要点を識別
した上で、各統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価しております。
138
FUJITSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
財務報告に係る内部統制報告書
全社的な内部統制及び決算・財務報告プロセス統制については、連結財務諸表に及ぼす金額的及び質的影響の重要性を
考慮した上で、連結対象会社 125 社及び持分法適用会社 1 社を評価対象として定めました。
業務プロセス統制については、上記の全社的な内部統制の評価結果を踏まえた上で、当年度の連結対象会社の売上高合
計(グループ会社間取引消去前)
に対して概ね 2 / 3 を占める事業拠点(23 事業拠点)
を、評価対象とすべき「重要な事業拠
点」
として選定しました。
重要な事業拠点においては、事業目的に大きく関わる勘定科目を売上高、売掛金及び棚卸資産とし、原則として当該勘定
科目に至る全ての業務プロセスを評価対象としました。ただし、これらの業務プロセスの中でも金額的及び事業目的との関
連性の観点で重要性の乏しい業務プロセスは評価対象外としました。また、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務
プロセスについては、個別に財務報告への影響を勘案して、評価範囲に加えました。
ITに係る全般統制については、重要な事業拠点の評価対象業務プロセスにおいてITによる自動化統制が運用されている
システムを評価対象とし、当該システムをIT 基盤ごとに評価を実施しました。
3. 評価結果
上記の方針に基づき評価を実施した結果、2011 年 3 月31 日における、富士通グループの財務報告に係る内部統制は有効
であるとの結論に至りました。
FACTs & FIGURES
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ANNUAL REPORT 2011
139
重要な連結子会社・関連会社
(2011 年 3 月 31 日現在)
連結子会社(535 社)
持分法適用関連会社(15 社)
日本
日本
上場会社
上場会社
新光電気工業株式会社
株式会社富士通ゼネラル
ニフティ株式会社
富士通コンポーネント株式会社
株式会社富士通ビー・エス・シー
富士通フロンテック株式会社
FDK 株式会社
非上場会社
株式会社島根富士通
株式会社 PFU*1
富士通アイソテック株式会社
株式会社富士通 IT プロダクツ
富士通エフ・アイ・ピー株式会社
株式会社富士通エフサス
富士通エレクトロニクス株式会社
株式会社富士通研究所
株式会社富士通システムソリューションズ
富士通周辺機株式会社
富士通セミコンダクター株式会社 *2
富士通テレコムネットワークス株式会社
富士通テン株式会社
富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 *3
株式会社富士通パーソナルズ
株式会社富士通マーケティング *4
富士通モバイルフォンプロダクツ株式会社
EMEA
非上場会社
Fujitsu Services Holdings PLC
Fujitsu Technology Solutions (Holding) B.V.
米州
非上場会社
Fujitsu America, Inc.
Fujitsu Network Communications, Inc.
APAC・中国
非上場会社
Fujitsu Australia Limited
*1 株式会社 PFU は、株式交換により、2010 年 4 月 1 日に当社の完全子会社とな
りました。
*2 富士通マイクロエレクトロニクス株式会社は 、2010 年 4 月 1 日付で富士通セ
ミコンダクター株式会社に商号を変更しました。
*3 富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社は 、2010 年 10 月 1 日に
新たに当社の連結子会社となりました。
*4 株式会社富士通ビジネスシステムは 、2010 年 10 月 1 日付で株式会社富士通
マーケティングに商号を変更しました。
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ANNUAL REPORT 2011
非上場会社
富士通リース株式会社
株主メモ
(2011 年 3 月 31 日現在)
資本金
324,625 百万円
発行可能株式総数
5,000,000,000 株
発行済株式の総数
2,070,018,213 株
株主数
193,421 名
所有者別出資比率の状況
金融機関・証券会社 その他法人
27.18%
13.53%
外国人
個人・その他
36.16%
23.13%
なお、2011 年 6 月 6 日付でシティグループ証券株式会社より、当社株式
に係る大量保有報告書の変更報告書(報告義務発生日 2011 年 5 月 31
日)
が関東財務局長に提出されておりますが、当社として実質所有株式
数の確認ができておりません。当該変更報告書の内容は以下のとおり
です。
592
0.03
合計
592
0.03
5. 2011 年 4 月 8 日付で富士電機株式会社ほか 4 社の連名により 、当社株式
に係る大量保有報告書の変更報告書(報告義務発生日 2011 年4 月1 日)
が関東財務局長に提出されておりますが、当社として実質所有株式数の
確認ができておりません。当社は、当該変更報告書に基づき、主要株主
に該当すると判断し、2011 年 4 月 8 日付で臨時報告書を関東財務局長に
提出しております。当該変更報告書の内容は以下のとおりです。
発行済株式
総数に対する
所有株式数 所有株式数の
(千株)
割合( % )
ステートストリートバンクアンド
トラストカンパニー
(常任代理人 香港上海銀行東京支店)
114,623
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社
(信託口)
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社
(信託口 9)
朝日生命保険相互会社
SSBT OD05 OMNIBUS ACCOUNT̶TREATY CLIENTS
(常任代理人 香港上海銀行東京支店)
富士通株式会社従業員持株会
株式会社みずほコーポレート銀行
計
5.54
105,322
95,957
5.09
4.77
4.64
95,257
4.60
48,051
41,389
2.32
2.00
40,411
38,407
32,654
710,828
1.95
1.86
1.58
34.34
(注)1. 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)
、日本トラスティ・サー
ビス信託銀行株式会社(信託口)
及び日本トラスティ・サービス信託銀行
株式会社(信託口 9)
の所有株式数は、各行の信託業務に係るものです。
2. 富士電機システムズ株式会社及び富士電機ホールディングス株式会社
の所有株式のうち、それぞれ98,775 千株、2,707 千株は退職給付信託と
してみずほ信託銀行株式会社に信託され、資産管理サービス信託銀行株
式会社に再信託された信託財産であり、議決権の行使については、それ
ぞれ各社の指図により行使されることとなっ ております。なお 、富士
電機ホールディングス株式会社及びその連結子会社は、当社株式を、退
職 給 付 信 託 財 産 として 所 有 する 株 式(119,112 千 株)を 含 め 、合 計
231,872 千株(発行済株式総数に対する所有株式数の割合11.20% )所有
しております。
3. 株式会社みずほコーポレート銀行の所有株式のうち、212 千株は退職給
付信託としてみずほ信託銀行株式会社に信託され、資産管理サービス信
託銀行株式会社に再信託された信託財産であり 、議決権行使について
は 、株式会社みずほコーポレート銀行の指図により行使されることと
なっております。
4. 2010 年 6 月 7 日付でシティグループ証券株式会社ほか 2 社の連名によ
り 、当社株式に係る大量保有報告書の変更報告書(報告義務発生日 2010 年5 月31 日)が関東財務局長に提出されておりますが、当社として
当事業年度末日における実質所有株式数の確認ができておりませんの
で、上記大株主の状況には含めておりません。なお、当該変更報告書の
内容は以下のとおりです。
氏名又は名称
シティグループ証券株式会社
シティグループ・グローバル・マーケッツ・リミテッド
合計
保有株券等
の数(千株)
株券等保有
割合( % )
210,581
10.17
3,404
0.16
13,574
0.66
富士オフィス & ライフサービス株式会社
富士電機リテイルシステムズ株式会社
富士電機システムズ株式会社
̶
̶
4,235
0.20
231,795
11.20
富士電機デバイステクノロジー株式会社
本社事務所所在地:〒 105-7123
東京都港区東新橋一丁目 5 番 2 号
汐留シティセンター
TEL:03-6252-2220(代表)
株 主 名 簿 管 理 人:三菱 UFJ 信託銀行株式会社
〒 100-8212
東京都千代田区丸の内一丁目 4 番 5 号
上 場 証 券 取 引 所:国内:東京、大阪、名古屋
海外:ロンドン
独 立 監 査 人 :新日本有限責任監査法人
お 問 い 合 わ せ 先:ご質問などは下記までご連絡ください。
富士通株式会社 広報 IR 室
TEL:03-6252-2173
FAX:03-6252-2783
下記サイトからもお問い合わせいただけます。
URL:http://pr.fujitsu.com/jp/ir/
株券等保有
割合( % )
111,323
5.10
450
0.02
2
0.00
111,776
5.12
FACTs & FIGURES
シティグループ・グローバル・マーケッツ・インク
富士電機株式会社
合計
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 98,753
富士電機ホールディングス株式会社
保有株券等
の数(千株)
氏名又は名称
大株主の状況
富士電機システムズ株式会社
株券等保有
割合( % )
シティグループ証券株式会社
(注)富士電機ホールディングス株式会社およびその連結子会社が退職給付信託とし
て信託銀行に信託している当社株式 119,112 千株は、
「その他法人」に含めてお
ります。
株主
保有株券等
の数(千株)
氏名又は名称
上記保有株券等の数には、新株予約権付社債券の保有に伴う保有潜在株
式の数が合計で 111,111 千株含まれております。
本アニュアルレポートに記載されている会社名・商品名は各社の商標または登録商標です。
FUJiTSU LIMITED
ANNUAL REPORT 2011
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富士通株式会社
〒105-7123 東京都港区東新橋 1-5-2 汐留シティセンター
電話:03-6252-2220
(代表)
jp.fujitsu.com
富士通株式会社 アニュアルレポート 2011
見やすさへの配慮
本冊子は、富士通が開発したソフトウェア
「 Color Selector(カラー
セレクター )」でチェックし、文字や図表がより多くの人にとって見
やすいように、アクセシビリティの高い色の組み合わせを使用して
います。
環境への配慮
●
有害物質の使用量や排出量が少ない「水なし印刷」技術を使用し
ています。
TM
TM
●
森林保全につながるFSC ( Forest Stewardship Council )
「 森林
認証紙」を使用しています。
●
VOC(揮発性有機化合物)を含まない「植物油インキ」を使用してい
ます。
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