逆相クロマトグラフィーのための配管変更 - GEヘルスケアバイオサイエンス

ÄKTAexplorer 10、ÄKTApurifier 10 シリーズ
逆相クロマトグラフィーを行う場合のご注意点
1 システム配管に関して
ÄKTAexplorer 10S、10XT、ÄKTApurifier 10 の標準配管は、内径 0.5 mm(オレンジ)となっており、ÄKTA でお使いいただく
ほとんどの水系カラムはこのままご使用いただけます(なお内径 0.5 mm(オレンジ)配管時のフローリストリクターは
FR-902 が対応します)。
例外的に、逆相クロマトグラフィーにおいてステンレスカラム(Sephasil peptide / Sephasil protein ST シリーズ、SOURCE
5RPC、SOURCE 15RPC、µRPC C2/C18 ST 4.6/100 等)をご使用になる場合のみ、システム配管の内径 0.5 mm(オレンジ)
から内径 0.25 mm(青)への変更が必要となります。
これは、これらの逆相カラムにて分離され溶出したペプチドやタンパク質のピーク体積が小さいため、配管を細くしてデ
ッドボリュームを小さくし、分離後の配管内希釈および再混合をなるべく抑えるためです。カラムごとの推奨配管、フロ
ーリストリクターの組み合わせは以下の表のとおりです。
カラム
フローリストリクター
配管
注意点
HiTrap シリーズ
HiPrep シリーズ
HiScreen シリーズ
HiLoad シリーズ
内径 0.5 mm
RESOURCE シリーズ
(オレンジ)
Superdex HR/GL シリーズ
FR-902
Superose HR/GL シリーズ
Mono シリーズ
Mini シリーズ
内径 0.25 mm
PC(SMART カラム)シリー
(青)
ズ(RPC カラムを除く)
使用用途は純度確認のみとなります。
RPC カラム
該当するカラム:
(RESOURCE RPC を除く)
- SOURCE 15RPC ST 4.6/100
- SOURCE 5RPC ST 4.6/150
- µRPC C2/C18 ST 4.6/100
- Sephasil Protein C4 5 µm ST 4.6/100
- Sephasil Protein C4 5 µm ST 4.6/250
- Sephasil Peptide C8 5 µm ST 4.6/100
- Sephasil Peptide C8 5 µm ST 4.6/250
FR-904
内径 0.25 mm
- Sephasil Peptide C18 5 µm ST 4.6/100
(青)
- Sephasil Peptide C18 5 µm ST 4.6/250
- Sephasil Protein C4 12 µm ST 4.6/250
- Sephasil Peptide C8 12 µm ST 4.6/250
- Sephasil Peptide C18 12 µm ST 4.6/250
PC(SMART)カラム
- µRPC C2/C18 PC 3.2/3
- µRPC C2/C18 SC 2.1/10
- Sephasil C8 SC 2.1/10
- Sephasil C18 SC 2.1/10
* 他社製 HPLC カラムも RPC カラムの項に入ります。
PC(SMART)カラムを使用する際は Precision column holder が必要です。
掲載されているカラムには製造終了品も含まれています。
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1-1 システム配管の変更
システム配管には、一本ずつ配管番号を記したタグがついています。
番号を確認しながら、手順に従って交換します。
(注意!!)
配管の変更に伴い UV フローセル~フラクションコレクターまでのディレイボリュームの変更も必須になりますので、下
記手順 4 を忘れず実行します。
<内径0.5 mm(オレンジ)から内径0.25 mm(青)への変更手順(ÄKTAexplorer 10の場合)>
1、H5、H7~H12*(オレンジ)を取り外します。
2、G5、G7~G11(青)を取り付けます(上図参照)。
3、FR-902(18-1121-35)を FR-904(18-1119-63)と取り替えます。
4、簡易マニュアル 17.1 ディレイボリュームの確認 の手順をご確認いただき、数値の変更をします。
* H12 は pH フローセルから FR-902 までを接続する配管ですので、内径 0.25 mm(青)配管では使用しません(pH フロ
ーセルを必ず配管から取り外してください)。次回内径 0.5 mm(オレンジ)配管へ戻すときに必要ですので保管します。
1-2 ミキサーの変更
ÄKTAexplorer 10、ÄKTApurifier 10 には、0.6 ml サイズのミキサーチャンバー(18-1118-90)が装着されていますが、グラ
ジエントの再現性を確保するために 2 ml サイズのミキサーチャンバー(18-1118-91)へ変更すると良いことがあります。
有機溶媒と超純水は混じりにくいため、特にグラジエント開始直後の部分での UV、Cond の乱れが生じやすい傾向があり
ます。ミキサーチャンバーを大きくすることで、より良く混合することが可能になります。
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1-3 ディレイボリュームの変更
ご使用機種用の「簡易マニュアル」
(~UNICORN 4.1 まで)の 12.2 章、または「はじめてお使いの方へ(UNICORN 4.12 以
降)」の 6.1.5 章をご覧頂き、内径 0.25 mm(青)配管でのディレイボリュームを確認の上、下記設定画面で変更します。
(ÄKTAexplorer 10 配管一覧)
Tubing
Length (mm)
i.d. (mm)
Location
G1
300
0.50
Pump P-900A (inner) to mixer (left)
G2
300
0.50
Pump P-900B (outer) to mixer (right)
G3
150
0.50
Mixer to on-line filter
G4
460
0.50
On-line filter to injection valve pos. 7
G6
620
0.50
Column valve V2 (port 1) to column valve V3 (port 1)
A3
150
1.6
SV-903A (IN) to Pump P-900A
Standard tubing
B3
150
1.6
SV-903B (IN) to Pump P-900B
A11-A18
1250
1.6
Buffer vessels A11-A18 to buffer valve V6 (port 1-8)
A1
750
1.6
Buffer valve V6 (Center port) to SV-903A (NO)
A2
2000
1.6
Buffer vessels A2 to SV-903A (NC)
B1
1800
1.6
Buffer vessels B1 to SV-903B (NO)
B2
1800
1.6
Buffer vessels B2 toSV-903B (NC)
W1
1300
0.75
Injection valve (port 4) to waste
W2
1300
0.75
Injection valve (port 5) to waste
W3
1000
0.75
Outlet valve (port 1) to waste
F3
1000
0.50
Outlet valve (port 3, flow through)
(参考;パーツごとの内部容積)
Component / capillary
Volume (µl)
Valve PV-908
7
Valve IV-908
27
Valve INV-907
9
Valve FV-903
113
Flow cell UV-900, 2 mm
1
Flow cell UV-900, 10 mm
4
Conductivity flow cell
24
pH flow cell
100
Accumulator (Frac-950)
40
Union 1/16” male / 1/16” male (0.25 mm i.d.)
1.8
Union 1/16” male / 1/16” male (0.5 mm i.d.)
7
Flow restrictor FR-902
5
Capillary i.d. 0.25 x 100 mm
4.9
Capillary i.d. 0.50 x 100 mm
19.6
Capillary i.d. 0.75 x 100 mm
44.2
Capillary i.d. 1.0 x 100 mm
78.5
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2 実験上の注意
2-1 移動相の準備
イオン交換クロマトグラフィーや疎水性相互作用クロマトグラフィーのように水系のバッファー同士の混合をする場合
と異なり、逆相クロマトグラフィーでよく用いる水・有機溶媒の混合では、システム内にて溶媒種類により吸熱反応や発
熱反応が起きるため温度変化による気泡発生が起きやすい環境と言えます。
これを防ぐため、開始溶液を調製する際には、超純水の脱気を十分行う必要があります
開始液; アスピレータで脱気する場合は、循環水が温まった状態では脱気の効率が悪いため、クラッシュアイスを混
ぜた状態で、密栓した脱気容器に入れた超純水を最低 20 分程度陰圧状況にして脱気します。TFA などの揮発性の
イオンペア試薬は、脱気後なるべく使用直前に加えてよく攪拌します。
有機溶媒; 減圧することで揮発してしまうため、基本的に何も処理せず使用します。ただし有機溶媒を 5%程度混ぜ
るときには、上記のように十分脱気を行った水を使用し静かに注ぎ、良く攪拌します。
TFA; 揮発性のため直前に添加します。少量サイズのバイアル入りのものを購入し、毎回 1 本を開封し、かならずド
ラフト内にて操作し、残ったものは廃棄します。
2-2 システム準備
ポンプ内の溶液交換を高流速にて行うポンプウォッシュ動作中に、ポンプ内に細かい気泡が発生することがあります。下
記の手順にて、ポンプウォッシュ前後にパージ操作を行うことをお勧めいたします。
1、上述のように準備した移動相をそれぞれインレットチュービングにセットし、A、B ポンプ各 2 箇所についてパージ操
作を行います。
2、Manual ↓ Pump ↓ PumpWashExplorer * →(使用インレットを選択)→
Execute
* 機種およびコンポーネントの組合せにより、ポンプウォッシュのコマンドが異なります。
3、ポンプウォッシュ終了後、再度 1 の手順にて 4 箇所すべてのポンプヘッドについてのパージを行います。
2-3 カラムを使用しないブランクランを行う場合
カラムにかかる高圧を想定し、高圧を発生するためのリファレンスキャピラリー(28-9507-50、Reference capillary 2)を
用いて、実際に使用する流速でのブランクランを行い、接続部各所からの液漏れの有無、グラジエント再現性をチェック
します。
室温に関する注意点
窓際、エアコン送風口付近などの温度の変わりやすい場所で逆相を行うのは望ましくありません。温度が一定しないと、
再現性が得られ難くなります。また、長時間にわたる連続ランをする際には、空調にも注意が必要です(一定の時刻で自
動停止する施設など)。実験が終了するまでは、環境温度が一定になるよう留意ください。
GE ヘルスケア・ジャパン株式会社
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Revised 2011/10/19
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