事例発表資料 中川物産株式会社

E3販売事業の取り組みについて
中川物産株式会社
はじめに~
石油の国内需要が頭打ちとなる中、今後の生き残り策を考える場合、よりニッチ且つ収益性の高い事業
への積極展開を図ることが必要不可欠と考えられます。また、環境問題が喫緊の課題となっている昨今
において、最も温室効果ガスを発生させる「石油」という商材を扱う弊社にとって、また東日本大震災に端
を発したエネルギー構造の抜本的な構造見直し議論を受けて、その削減に向けた取組を行うことは、企
業の社会的責任を考えた場合、当然の活動といえるでしょう。
今回ご案内させて頂く「E3ガソリン」はこれらのベクトルにまさにベストマッチした商品ともいえます。
弊社では今後も魅力的な商材を求めて皆様とともに歩んでまいります。
当社の概要
商号 : 中川物産株式会社
本社所在地 : 名古屋市港区潮見町37番地の23
発足年月日 : 昭和46年12月18日
創業者 : 中川信男'現 中川物産株式会社 会長(
資本金 : 1,200万円
売上高 : 1,750億円'2010年10月期( 決算期 : 10月31日
代表者 : 代表取締役 中川秀信
監査法人 : 優成監査法人
従業員数 : 52名'除:関係子会社(
主要仕入先 : コスモ石油'株(、S-OIL CORPORATION.、太陽石油'株(、三菱商事'株(、他 各位
主要供給先 : SS小売、官公庁、海外大口需要家など
営業拠点 : 名古屋、東京、大阪、ソウル、シンガポール
油槽所 : 北海道(5KT)、横浜(1KT)、名古屋(172KT)、大阪(34KT)、神戸(2KT)、Onsan(20KT)
直営SS数 : <国内> 12SS <韓国> 15SS
主要取引銀行 : 三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行
関連子会社 : エヌホールディングス'株( ・・ グループ持株会社
丸中興産'株( ・・ 油槽所管理
丸中運輸'株( ・・ 石油製品陸上輸送
C&S Energy Co.,Ltd. ・・ 海外製品のトレーディング
CS Maritime Co.,Ltd. ・・石油製品海上輸送
他 各社
Nakagawa Bussan Co.,Ltd.
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沿革 : 昭和42年 中川商会として石油販売を開始
昭和46年 中川商会を法人化し中川物産㈱設立
昭和58年 丸中興産㈱買収、油槽所(現、中川運河油槽所)事業開始
昭和62年 コスモ石油㈱名古屋油槽所を取得(現、当社名古屋油槽所)
平成08年 石油製品輸入業を取得し石油製品の輸入を開始
平成09年 軽油輸入元売資格を取得
平成11年 トーメンエネルギー㈱の全株式を買収(平成23年売却(
平成15年 大阪桜島油槽所を開所 / 石油製品の輸出を開始
平成16年 自社ブランドSS「N-OIL」マークSSを開所
平成17年 東邦ガス㈱の遊休タンクを借受け、名古屋第二油槽所として開所
平成19年 外航タンカー2隻を建造 / 韓国におけるSS事業開始
平成21年 テロ特措法に基づく海上自衛隊給油活動向け燃料の納入開始
平成22年 海賊対処法に基づくアデン湾での海自艦艇への燃料納入開始
危険物施設初の「曲がりボーリング工法」による本社油槽所の耐震対策完了
平成23年 バイオエタノール混合ガソリン(E3)の販売開始
海賊対処法に基づくジブチ共和国の海自航空隊基地建設工事受注
オンサンタンクターミナル㈱設立、12年5月稼働予定(100KT(
特色 : 積極的な営業展開
・ 石油輸入業、輸入元売資格など、他社に先駆け取得
高い官公庁向け販売実績
・ 防衛省、各自治体交通局、病院、国立大学、海上保安部、都道府県他多くの
官公庁向け納入実績保有。特に海上自衛隊への納入実績はシェアNO.1。
安定供給
・ これら、公共性の高い事業体への納入には安定供給が不可欠となりますが、当社は
国内屈指の自社流通網を完備し安定供給に努めています。
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E3ガソリン開始の経緯
取組みへの一般的課題
当社の環境
•揮発油税法上、課税済みの
揮発油に新たに別の揮発油
を混合すると二重課税となる
ため、混合には所謂「未納税
ガソリン」の調達が必須。
•しかしながら、未納税ガソリ
ンの国内調達は税法体系の
構成上、国内精製会社から
の調達は困難。'輸入除く(
•直接混合方式の場合、蒸気
圧値が上昇するため、'3%
で約5~7kpa(低蒸気圧
のガソリン調達が必要。
•タンク等自社インフラ保有
•輸入ガソリンによる低蒸気圧
品を確保
•ガソリンスタンドの販売網も
保有
懸念事項
•ETBE方式との共存可能性
•品質面での不安
•コスト&リスク懸念
•大規模な直接混合が可能な
資格・設備を兼備
日本各地での先行的な取り組みによる実証、裏付けが後押し
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コスト削減&リスク低減への取り組み
エタノール調達関連コスト
• 数量面/価格面から中南米産を選択
→ 輸送コストは飲料用との併積で解決
• 国内ファシリティ乏しく、韓国タンクへ一時貯蔵
→ 二次輸送コストは石油輸入時の自社舶使用により
解決
エタvsガソリン価格差
• エタノール価格は固定価格在庫のため、国内ガソリン
市況との乖離で在庫リスクが生じる。
→ SWAP取引で回避'国内ガソリンの売りヘッジに
より価格差を¥6.5/Lで固定(
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設備概要等
本社事務所
一般ガソリン出荷施設
ブレンダー装置(新設)
E3ガソリン出荷施設
E3ガソリン貯蔵タンク
ガソリン→原料エタノールに油種変更
※ 通常のガソリン(エタノール未添加)も出荷可能な体制を
・ 平成22年度の環境省「エコ燃料実用化実証事業」に応募し採択され、本年3月末に製造設備が完成
・ 本社油槽所の1,000KLタンクを原料エタノールタンクに転換。
・ ブレンダー装置を新設し、「E3ハイオクガソリン」「E3レギュラーガソリン」を製造。
・ 特定加工業、アルコール輸入及び使用業の許可など各種許可を取得。'後述(
平成23年7月10日から供給開始
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供給実績
7月
8月
9月
10月
11月
12月
計
E3ハイオク
575
814
645
668
646
741
4,089
E3レギュラー
4,605
6,396
5,522
5,418
5,367
6,290 33,598
計
5,180
7,210
6,167
6,086
6,013
7,031 37,687
※参考CO2削減量
367.8
525.7
456.6
364.4
300.2
527.1 2,541.7
供給先-自社PBSS、系列販売店、名古屋市消防局、陸上自衛隊他
※単位 - E3:KL、CO2:トン(単純試算)
供給品質
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取得許認可等
環境省
名古屋市消防局
名古屋国税局
経済産業省
中部経済産業局
名古屋税関
・エコ燃料利用促進補助事業 補助金交付申請
・危険物製造所設置申請/完成検査申請
・屋外タンク貯蔵所変更許可申請及/完成検査申請
・移送取扱所変更許可及び仮使用承認申請/完成検査申請
・一般取扱所変更許可及び仮使用承認申請/完成検査申請
・軽微な工事届け'システム変更工事含む(
・揮発油税及び地方道路営業等開始申告事項異動申告書
・バイオエタノール等揮発油に係る課税標準の特例適用開始
・揮発油及び関税等流量計使用届出書'揮発油税流量計器差試験成績書(
・バイオ由来性に係る証明書交付申請
・アルコール使用許可申請
・アルコール輸入許可申請
・保税蔵置場に蔵置する貨物の種類変更届出書
・通関業務許可内容変更申請
・事前教示に関する照会書'関税定率の確認(
他含め 合計24件の許認可等手続き
取得許認可に関するMEMO
項目
全般
関税定率法関連
揮発油税法関連
バイオ由来証明関連
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事象・お願い等
・前例事績が尐なく対応苦慮
・エタノール輸入時の高設定の関税率'10%(
・「エタノール」燃料用エタノールのタリフ創設を。'アメリカ品取扱(
・実績混合比vs税率計算時の混合比差異
・数量/期間等、弾力的運用を。
・数量予測困難
・大阪での供給開始時、名古屋からの転送を検討中
-記載方法は?
-名古屋/大阪で同一申告時期に異なる証明書提出?
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大阪での供給計画
原料エタノールタンク
E3ガソリンローリー出荷設備
ブレンダー設備
原料ガソリンタンク
・平成24年5月末頃、完成予定
・E10を視野に、E3レギュラーに特化'ハイオクは取扱なし(
・エタノールは名古屋から陸上転送予定
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今後の課題など
排出権創出可能性検討
国内産エタノールの買い取り
LCA基準への準拠
•E3ガソリン販売に係る排出
権は基本的に使用者、つま
り消費者に帰属することに
なるため、権利化'証明化(
実務コストとリターンがコスト
倒れになってしまいます。
•この点を深耕し、店頭での
カード会員をひとつの団体
として権利化するなどのコ
ストダウンにより、消費者
に還元する仕組みを追求し
ていきたいと考えておりま
す。
•現状はコスト面・物流面から
輸入エタノールを原料として
使用しておりますが、地場
地域でのエタノール調達が
可能になるようであれば、当
社にて買い取ることで「地産
地消」の実現に取り組みた
いと考えております。
•日本版持続可能性基準に
ついて、当社は「エネルギー
供給構造高度化法」に定め
る石油事業者に該当しませ
んが、'ガソリン輸入量<60
万KLのため(、検討会等の
動向を注視し、準拠していき
たいと考えております。
終わりに・・・・
・今後も当社の「主力商品」として積極展開の方針。'アジア地域への原料エタ供給など海外へも展開予定(
・根幹となる揮発油税の特例免税措置の継続が大前提。
・先行してE3事業に取り組んでこられた関係各位のご指導、ご鞭撻に厚く御礼申し上げます。
お問い合わせ先
中川物産株式会社 業務部 TEL 052'612(1711 FAX 052'612(2345
担当:河村、三宅 [email protected] [email protected]
Nakagawa Bussan Co.,Ltd.
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