第1章 計画の目的等 - 湯河原町

第1章
計画の目的等
第1章 計画の目的等
1 計画策定の背景
平成7年1月の阪神・淡路大震災では、地震により 6,434 人の尊い命が奪われました。
このうち地震による直接的な死者数は 5,502 人であり、さらにこの約9割の 4,831 人が住
宅等の倒壊によるものでした。
また、建築物被害についての建築震災調査委員会の報告では、昭和 56 年6月の建築基準
法改正以降の強化された新耐震基準 ※による建築物は倒壊に至るような大きな被害は尐な
かったという結果となっています。この傾向は、平成 16 年の新潟県中越地震においても顕
著でした。このようなことから、大規模地震による被害を減尐させるためには、特に、新
耐震基準導入以前の建築物について耐震性の向上を図ることが求められています。
本町では、都市マスタープランにおける『安全な暮らしを保障する防災まちづくり』と
いう基本方針のもと、骨格的な防災都市構造の確立、町有建築物の耐震化・不燃化、自然
災害の防止対策の推進等を目指しています。こうした対策の推進をより効果的かつ効率的
に進めることを目指して、湯河原町耐震改修促進計画(以下「本計画」という。
)を策定す
ることとしました。
※
新耐震基準
宮城県沖地震(昭和 53 年M 7.4)等の経験から、昭和 56 年 6 月に建築基準法
の耐震基準が大幅に見直されて改正施行されました。この基準を「新耐震基準」
と呼んでいます。
新耐震基準では、設計の目標として、中地震(震度5強程度)に対してはほとん
ど損傷なく建築物の機能を保持し、大地震(関東大震災程度)に対しては建築物
の構造上の主要な部分にひび割れ等の損傷が生じても、人命に危害を及ぼすよう
な倒壊等の被害を生じないこととしています。
《
阪神・淡路大震災の被害等の状況 》
■建築物被害
■死因別死者数
家屋、家具類等の倒壊
による圧迫死と思われ
るもの
焼死体(火傷死体)及び
その疑いのあるもの
その他
合
計
死者数
4,831
(88%)
550
(10%)
121
(2%)
5,502
(100%)
平成 7 年度版「警察白書」より
(新耐震基準導入前後比較)
昭和56年以前
昭和57年以降
0%
20%
40%
軽微・無被害
60%
中・小破
80%
100%
大破以上
阪神・淡路大震災建築震災調査委員会報告書(平成7年)より
-1-
第1章
計画の目的等
2 計画の位置づけ・目的
本計画は、平成 18 年 1 月 26 日に改正施行された「建築物の耐震改修の促進に関する法
律(平成7年法律第 123 号、以下「耐震改修促進法」という。)」第5条第7項に基づき、
「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針」
(平成 18 年1月 25 日、
国土交通大臣告示第 184 号、以下「基本方針」という。)及び「神奈川県耐震改修促進計画」
(以下、
「県計画」という。
)
」を勘案するとともに、湯河原町における他の計画(ゆがわら
2001 プラン後期基本計画や湯河原町地域防災計画等)との整合を図り策定するものです。
本計画は、新耐震基準導入以前の既存建築物の耐震化を図り、建築物の地震に対する安
全性の向上を計画的に促進することを目的としています。
国
県
市町村
ゆがわら 2001 プラン
後期基本計画
地震防災戦略
(中央防災会議)
湯河原町
地域防災計画
整 合
耐震改修促進法
(平成 18 年 1 月 26 日改正施行)
基本方針
湯河原町
耐震改修促進計画
神奈川県
耐震改修促進計画
(平成 18 年1月 25 日告示)
連 携
3 計画期間
国の基本方針、神奈川県耐震改修計画では、ともに建築物の耐震診断及び耐震改修の目
標の設定を平成 27 年としています。
このことから、
「湯河原町耐震改修促進計画」も、建築物の耐震診断及び耐震改修の目標
を「平成 27 年度末」とし、計画期間を平成 22 年度から平成 27 年度までの6年間と設定し
ます。
また、計画については、定期的(2年に1回程度)に計画内容を検証し、必要に応じて
適宜、目標や計画内容を見直すこととします。
計画の期間:平成 22 年度~平成 27 年度までの6年間
計画の検証:おおむね2年に1回
-2-
第1章
計画の目的等
4 湯河原町・湯河原町民の取り組み
(1)湯河原町の取り組み
町では、新耐震基準導入以前の耐震性の劣る建築物を主な対象とし、その所有者や管理
者等に対して耐震診断及び耐震改修の促進について普及、啓発を図り、必要に応じて耐震
診断・耐震改修補助、情報提供その他の措置を講じていきます。
また、町が所有・管理する公共建築物については、災害時の避難場所や拠点施設として
活用されるものなどを優先的、計画的に耐震化に取り組むものとします。
(2)湯河原町民の取り組み
建築物の所有者又は管理者である湯河原町民は、自己の責任において建築物の地震に対
する安全性を確保するよう努力する必要があります。
5 対象区域及び対象建築物
本計画の対象区域は、湯河原町全域とします。
対象とする建築物は、原則として建築基準法(昭和 25 年法律第 20 号)における新耐震
基準(昭和 56 年6月1日施行)前に工事着工された、住宅及び耐震改修促進法第6条の規
定を受ける特定建築物とします。
なお、町所有の公共建築物については、建築物の公共性及び災害時における役割・機能
や不特定多数の町民が利用することを考慮し、耐震改修促進法第6条の規定外の建築物に
ついても必要に応じて本計画の対象とします。
表 耐震改修促進計画の対象建築物
区
分
種
類
住
民間建築物等
公共建築物
内
容
宅
・戸建て住宅、共同住宅(長屋住宅含む)
、寄宿舎、下宿
民
間
特定建築物
・耐震改修促進法第6条に定める特定建築物のうち、民
間が所有する建築物(「住宅」に含めた賃貸共同住宅、
寄宿舎、長屋を除く)
町
建
・町が所有・管理する公共建築物
・災害時の避難場所や拠点として活用される建築物(小・
中学校、その他施設)
有
築 物
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第1章
計画の目的等
◆特定建築物とは (耐震改修促進法第6条より抜粋)
次に掲げる建築物のうち、地震に対する安全性に係る建築基準法又はこれに基づく
命令若しくは条例の規定(耐震関係規定)に適合しない建築物で法第三条第二項の規
定(法令等適用の際限に存する建築物・敷地、建築、修繕若しくは模様替の工事中の
建築物・敷地についての適用除外)の適用をうけているもの。[表A・B参照]
一 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、老人ホ
ームその他多数の者が利用する建築物で政令で定めるものであって政令で定める
規模以上のもの
二 火薬類、石油類その他政令で定める危険物であって政令で定める数量以上のもの
の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物
三 地震によって倒壊した場合においてその敷地に接する道路の通行を妨げ、多数の
者の円滑な避難を困難とするおそれがあるものとして政令で定める建築物であっ
て、その敷地が耐震改修促進計画に記載された道路に接するもの[下図参照]
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第1章
計画の目的等
表A 特定建築物一覧表(耐震改修促進法第6条)
法
第
6
条
用
特定建築物の規模要件
指示対象となる
特定建築物の
規模要件
1,500 ㎡以上
(屋内運動場の
面積を含む)
小学校、中学校、中等教育学校の前期
課程、特別支援学校
階数2以上かつ 1,000 ㎡以上
(屋内運動場の面積を含む)
上記以外の学校
体育館(一般公共の用に供されるもの)
ボーリング場、スケート場、水泳場その他これら
に類する運動施設
病院、診療所
劇場、観覧場、映画館、演芸場
集会場、公会堂
展示場
卸売市場
百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店
舗
ホテル、旅館
賃貸住宅(共同住宅に限る。
)、寄宿舎、下宿
事務所
老人ホーム、老人短期入所施設、身体障害者福祉
ホームその他これらに類するもの
老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福
祉センターその他これらに類するもの
幼稚園、保育所
博物館、美術館、図書館
遊技場
公衆浴場
飲食店、キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダ
ンスホールその他これらに類するもの
理髪店、質屋、貸衣装屋、銀行その他これらに類
するサービス業を営む店舗
工場(危険物の貯蔵場又は処理場の用地に供する
建築物を除く。
)
車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場
を構成する建築物で旅客の乗降又は待合の用に
供するもの
自動車車庫その他の自動車又は自転車の停留又
は駐車のための施設
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
階数1以上かつ 1,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
階数2以上かつ 1,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
階数2以上かつ 1,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
階数2以上かつ 500 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
750 ㎡以上
2,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
学校
第
1
号
途
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
郵便局、保健所、税務署その他これらに類する公
益上必要な建築物
階数3以上かつ 1,000 ㎡以上
2,000 ㎡以上
第
2
号
危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築
物
政令で定める数量以上の危険
物を貯蔵し、又は処理するすべ
ての建築物
500 ㎡以上
第
3
号
地震によって倒壊した場合においてその敷地に
接する道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な避難
を困難にするおそれがあり、その敷地が都道府県
耐震改修促進計画に記載された道路に接する建
築物
一定の高さ以上の建築物
(P4参照)
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第1章
計画の目的等
表B 特定建築物(耐震改修促進法第6条第2号)
危険物の種類
①
イ
ロ
ハ
ニ
ホ
ヘ
ト
チ
リ
ヌ
ル
ヲ
ワ
カ
危険物の数量
火薬類(法律で規定)
火薬
爆薬
工業雷管及び電気雷管
銃用雷管
信号雷管
実包
空包
信管及び火管
導爆線
導火線
電気導火線
信号炎管及び信号火葥
煙火
その他火薬を慣用した火工品
その他爆薬を慣用した火工品
10t
5t
50 万個
500 万個
50 万個
5万個
5万個
5万個
500km
500km
5万個
2t
2t
10t
5t
危険物の規制に関する政令別表第三の類別
の欄に掲げる類、品名の欄に掲げる品名及び
性状に応じ、それぞれ同表の指定数量の欄に
定める数量の十倍の数量
②
消防法第2条第7項に規定する危険物
③
危険物の規制に関する政令別表第4備考第
可燃性固体類 30t
6号に規定する可燃性個体類及び同表備考
可燃性液体類 20m3
第8号に規定する可燃性液体類
④
マッチ
300 マッチトン(※)
⑤
可燃性のガス
2万m3
⑥
圧縮ガス
20 万m3
⑦
液化ガス
2,000t
⑧
毒物及び劇物取締法第2条第 1 項に規定す
毒物 20t
る毒物又は同条第2項に規定する劇物(液体
劇物 200t
又は気体のものに限る)
※ マッチトンは、並型マッチ(56×36×17mm)で 7,200 個、約 120kg
-6-
第1章
計画の目的等
表 役場関係施設の耐震化状況
番号
施設名称
構造
建築年
床面積
耐震性
分 類
1
2
第一庁舎
第二庁舎
RC
RC
S37
S55
(㎡)
1,836
1,849
3
4
5
6
第三庁舎
分庁舎
旧中学校校舎(教育委員会)
保健センター
RC
RC
RC
RC
H6
S54
S37
S60
2,027
2,559
1,872
839
○
7
8
9
浄水センター管理棟
図書館
湯河原美術館
RC
RC
RC
S58
S53
S32
7,126
1,710
2,987
○
その他
その他
その他
10
ヘルシープラザ
RC
H1
3,430
○
その他
構造
建築年
耐震性
分 類
○
消防庁舎
消防庁舎
○
○
消防庁舎
消防庁舎
消防庁舎
消防庁舎
その他の一般庁舎
その他の一般庁舎
○
その他の一般庁舎
その他の一般庁舎
その他の一般庁舎
その他
表 消防関係施設の耐震化状況
番号
施設名称
床面積
11
12
消防本部
奥湯河原分署
RC
RC
S52
S53
(㎡)
1,034
176
13
14
15
16
第一分団
第二分団
第三分団
第四分団
S
S
RC
S
H4
H12
S48
S54
128
139
102
114
17
18
19
第五分団
第六分団
第七分団
RC
S
RC
S45
S45
S45
107
120
96
消防庁舎
消防庁舎
消防庁舎
20
第八分団
S
S49
85
消防庁舎
21
第九分団
W
S46
87
消防庁舎
構造
建築年
表 保育園の耐震化状況
22
みやのうえ保育園
S
S52
床面積
(㎡)
612
23
24
25
26
おにわ保育園
まさご保育園
たちばな保育園
八雲保育園
RC
S
RC
S
H8
S55
S49
S50
801
691
696
671
番号
施設名称
耐震性
分 類
社会福祉施設等
○
社会福祉施設等
社会福祉施設等
社会福祉施設等
社会福祉施設等
※SRC:鉄骨鉄筋コンクリート構造、RC:鉄筋コンクリート構造、S:鉄骨構造、W:木造
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第1章
計画の目的等
表 会館等の耐震化状況
番号
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
施設名称
観光会館
宮上会館
宮下会館
門川会館
城堀会館
文化福祉会館
中央区民会館
福浦会館
川堀会館
鍛冶屋会館
構造
建築年
RC
RC
RC
RC
RC
RC
RC
RC
RC
RC
S38
S48
S56
S56
S55
S46
S53
S52
S58
S52
構造
建築年
RC
RC
RC
RC+S
RC
RC
RC
RC
RC
RC
RC
RC
RC
RC
RC
S51
S49
S47
S47
S43
S46
S45
S44
S58
S62
S62
S58
S57
S57
S40
構造
建築年
RC
RC
RC
RC
RC
RC
RC
SRC
RC
S61
H10
S46
S48
S50
S63
S46
H9
S51
床面積
(㎡)
2,112
449
528
579
920
1,325
299
573
856
888
耐震性
○
分 類
集会場等
集会場等
集会場等
集会場等
集会場等
集会場等
集会場等
集会場等
集会場等
集会場等
表 教育施設(学校)の耐震化状況
番号
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
施設名称
湯河原小学校A棟
湯河原小学校B棟
湯河原小学校C棟
湯河原小学校渡り廊下
湯河原小学校体育館
吉浜小学校北棟
吉浜小学校中棟
吉浜小学校南棟
吉浜小学校体育館
東台福浦小学校校舎棟
東台福浦小学校屋内運動場棟
湯河原中学校特別教室棟
湯河原中学校教室棟
湯河原中学校体育館棟
旧中学校体育館
床面積
(㎡)
2,854
2,905
2,300
433
1,256
1,796
1,796
1,763
1,038
3,212
1,845
3,579
6,590
2,396
2,205
耐震性
分 類
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
学校
学校
学校
学校
学校
学校
学校
学校
学校
学校
学校
学校
学校
学校
学校
耐震性
分 類
○
○
その他
その他
賃貸共同住宅等
賃貸共同住宅等
賃貸共同住宅等
その他
その他
その他
その他
表 その他施設の耐震化状況
番号
52
53
54
55
56
57
58
59
60
施設名称
海浜公園管理棟
総合運動公園管理棟
孫込住宅1号棟
孫込住宅2号棟
孫込住宅3号棟
こごめの湯
万葉公園レストハウス
美化センター(衛生組合)
収集事務所(衛生組合)
床面積
(㎡)
618
678
814
814
814
1,333
441
2,786
366
○
○
※SRC:鉄骨鉄筋コンクリート構造、RC:鉄筋コンクリート構造、S:鉄骨構造、W:木造
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