2008年度(平成20年度) SpaceWireユーザー会 第2回国際SpaceWire会議(奈良、2008) ー はじめに ー 高橋忠幸 日本スペースワイヤユーザー会 内容 1. はじめに I. SpaceWireとは II. SpaceWireユーザー会とは 2. スペースワイヤを用いた新しい衛星 アーキテクチャ研究とJAXA の活動 SpaceWireとは? 一番興味をそそられる点は Space Wire ポート だ。SF みたいに聞こえるかもしれないが、この信 じられないほど薄いソケットこそ Space Cube が 装備する秘密兵器のうち最も重要なものだ。 これこそ Space Cube が宇宙で実際に使用するインターフェイスで、NASA や ESA[欧州 宇宙機関]、JAXA[日本宇宙航空研究開発機構]の共通仕様なのだ。 各種センサーや処理装置を Space Cube に接続するのに使われるほか、何やら難しげで聞 き慣れない、まるでバトルスターギャラクティカかスターウォーズにでも出てきそうな Downlink Telemetry Sub-Systems[下り回線遠隔測定サブシステム]という装置にも 使われるそうだ。また、Space Wire はそれぞれ異なる機関が設計したモジュールや電子 部品を接続する際の共通インターフェイスとしても利用される http://www.pcpro.co.uk/blogs/2008/08/27/a-real-space-oddity-arrives-at-pc-pro/ 訳 http://maclalala2.wordpress.com/2008/09/06/世界最小のコンピュータ-space-cube/ JAXA Missions using SpW Technologies SDS-1/SWIM TOPS (Planetary Telescope) ASTRO-H (X-ray Astronomy) Bepi Colombo/MMO NASA Missions using SpW Technologies LRO JWST System Designing 次世代型衛星システム SpaceWireユーザー会 2005年9月5日 • SpaceWireユーザー会の目的 ‒ SpaceWire Working Groupの一環として革新的な宇宙機を開発する上で障害になっている ことを、協力して解決するしくみを産学官連携して構築し、宇宙へのしきいを下げることによ り、国民に幅広い参加の機会を提供する。 ‒ SpaceWireインタフェース導入を支援することにより、SpaceWireインタフェース規格の普 及を促進する。 • ユーザー会の運営 ‒ ‒ ‒ ‒ e-mail及びISAS高橋研での会合により運営する。新規加入登録は既存会員の総意による。 IPの利用に当たっては、必要に応じて提供者とのNDAを締結する。 主査 高橋 忠幸/能町 正治 幹事 高島 健 /檜原 弘樹 • ユーザー会設立メンバーは次の通りとする 大事な合意事項 ‒ 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部 1。各メンバーの持つ知財を最大限尊重する ‒ 住友重機械工業株式会社 2。国際的な広い視野を持ち、みんなのため ‒ 明星電気株式会社 に将来を見据えて技術開発を行うプレイヤー ‒ NEC東芝スペースシステム株式会社 ‒ NECソフト株式会社 の集まりとする。 ‒ NECエレクトロニクス株式会社 ‒ 三菱重工業株式会社 ‒ 日本飛行機株式会社 ‒ 将来的にHR5000 (JAXA開発320MIPS級64bit MPU)ユーザー会機能を備えることがあ る。 2007/06/28 第2回SpW System Designing 次世代型衛星システム 国際的な体制 SpW Working Group Constitution Space Wire 国際委員会 Steering committee ESA (Chair) JAXA/ISAS NASA Ph. Armbruster T. Takahashi(高橋) G. Rakow Project representative M. Nomachi(能町) R. Schnurr Coordinates/Approves PID allocations and supporting documents Configuration management of in-preparation and published protocols. Steering committee supported by: SpW Standard(s) Editor UoD (S. Parkes) SpW Working group contributors/participants: • Agency projects representatives • Representatives from Industry • Experts 2004年 System Designing 次世代型衛星システム SpaceWire Working Group – ESA – JAXA – NASA - ROSCOSMOS The next SpW WG meeting (#12) will be held at Estec on the 17th and 18th of February 2009. The main focus of the meeting shall be the reviewing of SpaceWire-RT Initial Protocol Definition. Agenda (B) Proceedings of previous Meetings and Workshops Eleventh Working Group meeting, ESA/ESTEC (Leeuwenhorst Conference Centre), 10th and 11th of June 2008, SpW-WGMtg11-Proceedings Tenth SpaceWire Working Group meeting, ESA/ESTEC, 20th, 21st and 22nd of February 2008, SpW-WG-Mtg10-Proceedings First International SpaceWire Conference, Dundee 17-18-19 of September, Proceedings and Inter Agency Meeting 9B MoM Ninth SpaceWire Working Group meeting, ESA/ESTEC, 26th and 27th of April 2007, SpW-WG-Mtg9-Proceedings Eighth SpaceWire Working Group meeting, 17th (PM) and 18th (all day) of January 2007, SpW-WG-Mtg8-Proceedings Seventh SpaceWire Working Group meeting (SpW Steering Committee only during MAPLD), 26th and 27th of September 2006: SpW-WG-Mtg7-Proceedings Sixth SpaceWire Working Group meeting, 18th and Friday the 19th of May 2006: SpW-WG-Mtg6-Proceedings Fifth SpaceWire Working Group Meeting, 15th (PM), 16th and 17th of November 2005: SpW-SnP-WG-Mtg5-Proceedings Fourth SpaceWire Working Group Meeting, 19th (PM), 20th and 21st (AM) of July 2005: SpW-SnP-WG-Mtg4-Proceedings Third SpaceWire Working Group Meeting, 15th, 16th, 17th(AM) of February 2005: SpW-SnP-WG-Mtg3-Proceedings Second SpaceWire Working Group Meeting, 10th PM, 11th , 12th (AM) of November 2004: SpW-SnP-WG-Mtg2-Proceedings First SpaceWire Working Group Meeting, 15th and 16th (AM) of September 2004: Mtg1-SpW-SnP-WG-Mtg1-Proceedings 8 メーカーは、宇宙機関と一緒の場合に限り参加可能(希望者は高橋まで) スペースワイヤ標準を用いた 次世代ネットワーク型衛星アーキテクチャ研究 第2回SpaceWire国際会議主催 2008年11月4-6日 奈良新公会堂 国際会議ホームページ( http://spacewire2008.astro.isas.jaxa.jp/) 大阪大学、JAXA主催、ESA、NASA、Roscomos共催 出席者 119 人 (12 カ国から、外国人 44人、日本人 75人) 国内か らは、JAXA、大学、衛星各社の他、USEFなどが参加、NEC, MHI(名 誘), 三菱電気はブースを出展。 9 スペースワイヤ標準を用いた 次世代ネットワーク型衛星アーキテクチャ研究 第2回SpaceWire国際会議主催 2008年11月4-6日 奈良新公会堂 国際会議ホームページ( http://spacewire2008.astro.isas.jaxa.jp/) 大阪大学、JAXA主催、ESA、NASA、Roscomos共催 出席者 119 人 (12 カ国から、外国人 44人、日本人 75人) 国内か らは、JAXA、大学、衛星各社の他、USEFなどが参加、NEC, MHI(名 誘), 三菱電気はブースを出展。 日本SpaceWireユーザー会 Osaka U. FAM Science 10 System Designing 2007/06/28 第2回SpW 次世代型衛星システム スペースワイヤを用いた 新しい衛星アーキテクチャ研究とJAXA の活動 11 2007/06/28 第2回SpW System Designing 次世代型衛星システム 問題意識 • いかにして衛星を簡単に、かつ高い信頼度で開 発するか。 • 衛星を完成させる過程で現われる不具合をどう したら未然に防ぐことができるか • いかにして、衛星づくりを、もう少し効率のよ いやり方で行うか? • どうしたら、衛星のコストを下げられるか (1/10)? もっと宇宙に気軽にでていきたい。 • もっと速く(10倍)衛星を作れないか めざす姿 ‒ バス機器のモジュール、ミッション機器のモジュールが、どれで も手のひらに乗るくらいに小型化され、一本のインターフェス ケーブルと、一本の電源ケーブルが出ているだけとなっている。 ‒ インターネットがモジュール内部の電子部品のレベルまでアクセ ス可能になっている ‒ ハードウェアの違いを意識しないでソフトウェアが書け、標準ミ ドルウェアを組み合わせるだけで、搭載ソフトができる。 ‒ 熱系も、姿勢系も、構造系も、モジュール化されていて、異なっ た機能を持つ衛星がモジュールを組み合わせるだけでできてしま う。 ‒ 高性能のモジュールができたときに、ソフトウェアや他の装置に 影響を与えることなく、簡単に交換できる。 平成20年度重点研究 13 めざす姿 ‒ 衛星を作り始める前に、コンピュータで、衛星の動作 をシミュレートできる ‒ 世界のどの研究者と、あるいはメーカとでも、I/Fの仕 様調整をする必要がなく、 コンセントを差し込むよう な簡便さで衛星機器を接続することができる。 ‒ 大学の研究者が普段実験している装置が、そのまま一 週間後に衛星に搭載できる。 ‒ 衛星くみ上げの際に、電源を入れっぱなしでくみ上げ られる。 平成20年度重点研究 14 Space Wire W.G meeting, Nov.11, ESTEC, T.Takahashi まずはやってみよう。。。(2002-2003) at ISAS. ガンマ線観測気球実験 Si/CdTe Compton Camera (ISAS/Osaka U./SLAC) 放球 (2003年9月3日17時37分、三陸大気球観測所 ) SpaceWire機器の自主開発。。。 SpW IP Nomachi (Osaka U.) & Ishii (MHI) Space Wire W.G meeting, Nov.11, ESTEC, T.Takahashi 2004 Passed connectivity test @ Dundee U. (the day before yesterday, Nov.9) And checked with 4Links (Nov. 10) Nomachi (Osaka U.) & Ishii (MHI) See presentation by Ishii on the web and Nomachi et al. IEEE 2004 for more detail スペースワイヤを用いた 新しい衛星アーキテクチャの研究ーこれまでの経緯ー 2005-2007 科研費補助金(高橋、能町、高島他) 新しい宇宙物理実験のための超小型衛星プラットホームの開発研究とその実証 2005-2007 JAXA先端IT公募研究(高橋、高島、笠羽他) 次世代ネットワーク型データ処理装置を用いた衛星開発技法の研究 2005 JAXA技術推進部会戦略研究制度(笠羽、 高橋、高島他) 小型宇宙機の制御・データ処理システムの開発 with NTS 2006 JAXA理事長裁量経費 (高橋、高島他) 宇宙機共通制御・データ処理プラットホームの開発 ~「プロフェッショナルによる多様な宇宙実験・利用」の共通枠組み構築~ 2007-2008 JAXA衛星新コンセプト (本間、高橋、国分、福田、山田 他) ネットワーク型次世代衛星アーキテクチャの研究、 センサー超小型化の研究 BepiColombo/MOO+小型科学衛星プロジェクト+ASTRO-H SpaceCube2 標準アーキテクチャ Space Cube = a minimum set of OnBoard Computer Space Cube Architecture Support Real Time OS, such as TRON/T-Kernel スペースワイヤ標準を用いた 次世代ネットワーク型衛星アーキテクチャ研究 英国PCマガジンONLINEから 実は1台手に入れたのだ。Linux で動く、英国でたった1台の Space Cube を・・・。実物は写 真よりずっとクールだ。PC Pro 編 集部のみんなから驚きと信じられ ないという声が出たほどだ。 http://www.pcpro.co.uk/blogs/2008/08/27/ a-real-space-oddity-arrives-at-pc-pro/ Space Cube 1 (since 2004) By Shimafuji & JAXA. Compact Space Wire based Computer : 3 SpW ports : Video & USB & Ethernet I/F : ITRON Real Time OS & Linux : Set of I/O modules for real applications on ground 19 まとめると。。。 Space Wire 高速シリアルインターフェース ‒ IEEE1355をベースにESAが宇宙標準として策定 ‒ さらに使いやすいように改良、あいまいさの明確化 ‒ 組み込み機器間の柔軟な接続をめざす ‒ 欧米の宇宙機関、宇宙メーカが参加 ‒ JAXA(ISAS)も積極的に議論に参加 (with 阪大、NTS/MHI 他) 2003年頃から Space Wireを 基本とした衛星 アーキテクチャの検討 開始 プロセッサ Space Wire SpaceWire センサー等 機器 メモリ まとめると。。。 概念の統一 Space Wire ネットワークデバイスとして、装置を定義し、記述 RMAPによりハードウェアへのアクセスを抽象化 (メモリへのアクセスへの類推で、記述可能) 試験の容易さ 試験装置の共通化 IP Core : FPGA で実装可能(専用チップがいらない) ケーブル、コネクタも種類を限ることができる (計装配線の簡略化) 単なるI/Fではなく、上位のアーキテクチャの標準化 をもたらす System Designing 次世代型衛星システム 従来の衛星システム System Designing 次世代型衛星システム スペースワイヤ化された衛星システム 衛星新コンセプト研究 「衛星新コンセプト」研究では、モジュー ル化の思想とインターフェース/計算機/プロトコール/ソフト ウェアの標準化を組み合わせて、衛星試験からミッション機器にいたるまで、統一された概念で、開発(設 計、製造、試験)を行うことをめざす。さらに、すべての機器をSpaceWire標準 (参考資料 P.18/19) を用い たネットワークの中に定義することにより、設計の共通化が可能となり、計装配線が簡略化されるととも に、試験装置の標準化が可能となって、試験の低コスト化がはかれる。 内容(1) 衛星アーキテクチャ 衛星新コンセプト 内容(2) 衛星アーキテクチャ (ネットワーク型衛星) 超小型ミッション機器 標準 標準化 部品 ネットワーク上で直接アクセス可 能なように、標準部品と統合され た超小型ミッション機器 データのやりとり 標準コンピュータ(H19) ル-タ例:本研究の成果が活用されたNeXT衛星 コンピュータ のアーキテクチャ(SDR資料より) (構成要素は、SRG衛星や小型科学衛星 シリーズに横断的に利用される) SpW標準ユーザーチップ(試作H19) 24 ル-タ- 並列ADC内蔵型 光X線共通CCD (試作H19) 本年度の活動(衛星新コンセプト) 前期の活動 1. スペースワイヤ標準を用いた次世代ネットワーク型衛星アーキテクチャ研究 1. SpaceWireを用いたネットワーク通信(SpaceCube Cube) 2. 高速SpaceWire標準プロトコルIPのオープン化 3. 標準クラスライブラリの開発と公開 4. 姿勢系へのSpaceWireの応用(姿勢系モジュール化) 5. ミッション機器へのSpaceWireの応用 6. SpaceWire国際会議主催 7. 産業化、国際競争力を意識した 衛星各メーカーとの会合(「正しい」設計をするための議論) 2. 超小型センサー開発 (CCD、ピクセル検出器用多チャンネル素子) 後期の活動(計画) 1. スペースワイヤ標準を用いた次世代ネットワーク型衛星アーキテクチャ研究 1. 標準SpaceWire DEを用いた次世代ネットワークの検討 2. 衛星搭載機器間の既存ネットワークのSpWへの統合のためのアタッチメント開 発:(SpW<->RS1553, SpW<->RS422) 3. 衛星搭載用SpaceWireバックプレーン試作: 4. 超小型センサー開発 (CCD、ピクセル検出器用多チャンネル素子) 25 SpaceCube Cube: (湯浅講演、能町講演) Space Cube(SpaceWireを3ポート持つ超小型計算機(本グループが開発))を8台(下図、四角一つが一つがSpaceCube に対応)、密につないで、パケット通信や、時刻同期、トラブル時の冗長路の確保(切り替え)などの研究を行うために、本 プロジェクトで開発。現在、様々な実験に使っている(TRONショーにも出展)。 - 8 Space Cube1 Computers - 8 SpaceWire Routers - 12 SpaceWire connections - 4 Web Cameras/ 4 液晶スクリーン Topology and Softwares Cam SpC SpW SpC LCD Web Camera side eraCam eCube c Spa LCD Image Acq. & Store e - sid LCD eCube c a Sp RMAP Interpreter Display Module Display Module Display Module Display Module RMAP Socket RMAP Socket RMAP Socket RMAP Master SpW/RMAP Library* SpW/RMAP Library* 4 5 6 SpaceWire Router 4 5 6 SpaceWire Router Frame Buffer 1 2 3 1 2 3 26 * ref. a talk given by T. Yuasa et al. in 6 November 2005年先端IT公募研究申請書より プロジェクトの目的 •宇宙機における応用を目標に、末端のハードウェアから地上まで のデータ転送を高度に抽象化し、衛星システムを、短期間で効率的 に、しかも高度の確実性をもって開発するための、新しい手段を提 供する。 •センサー、アクチュエータから、各機器のデータ処理装置、さら に衛星全体のデータ処理ユニットとを柔軟に接続するための新しい データ処理系について、またそれに対応するモジュール化された共 通機器のアーキテクチャの研究をスペースワイヤーの概念にもとづ いて行う。この概念の発展として、すべての内部機器がネットワー クのみで接続される衛星の開発技法を研究する。 •宇宙機器に要求される標準ミドルウェアを開発する これは、ユーザー会としての目的という認識。 本日のユーザー会が、皆さんの間の SpaceWire的ー有機的結合の強化に つながりますように 質問、要望シートをいつでも受けつけ ます(無記名でも構いません)
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