PLC を利用した電力使用量の遠隔読み取り、 および、LED 照明の調光システム 株式会社ブルーマウステクノロジー 2014 年 1 月 2 日 1 目次 1. PLC の説明 2. システムの説明 3. ソフトウエア操作説明 2 1.PLC の説明 1-1. PLC とは Power Line Communication の頭文字をとった用語です。 AC100V から AC240V あるいは、DC 電力ラインに 100KHz から 400KHz の搬送波を重畳して通信を行います。無線規格 ARIB に 準拠しており、弊社では、総務省の ARIB 型式指定をとっています。 1-2. PLC 搬送波の電力線への重畳 60Hzの電路 100KHz ~ 400KHz 特殊なトランスを使って、PLC の信号を電路に繋ぎます。 3 1-3. PLC の通信エネルギー とても小さなエネルギーを電路に重畳します。 このため、医療機器にも、 影響を与えることはありません。 電力線通信⇒10mW/10KHz 1.4 PLC の周波数帯 AM ラジオよりも低い周波数です。 私たちが利用して いる周波数帯域 他社が利用してい る周波数帯域 AMラジオ 60Hz 100KHz 400KHz 2MHz 4 RF-ID 30MHz 1-5. PLC で確実な通信を行う方法 次のような方法で通信を確実に行います。 1-5-1. 信号ブリッジ PLC の信号は、以下の環境ではつながりません。 A) 単相三線式の L1,L2 間。 B) 単相三線式の電灯電線路と三相三線電路 C) トランスのバンクの異なる電路 D) インバータノイズが大きい電路 E) AC/DC 電源の AC 側に力率改善用のコンデンサーがある。 F) 電路の途中にステップアップトランスなどの磁気回路がある。 このような環境下で PLC の信号をつなぐために信号ブリッジを用います。 信号ブリッジ この間を PLC 信号だけが 通過します。 電路 A AC100V か ら 240V もしくは 電路 A,B の電力エネルギー は、信号ブリッジ内のトラン スで絶縁されます。 DC ライン 電路 B AC100V か ら 240V もしくは DC ライン 5 1-5-2. データホッパー PLC の通信モジュールには、信号の受信と送信機能が備えられています。 PLC の信号強度を常に強く保つために、ところどころに、データを 転送させる機能を持たせることができます。 この機能をデーターホッピ ングといいます。 PLC 通信モジュールの組み込まれた LED 蛍光灯では、最初に、PC から ブロードキャストで照明の点滅指令をおくることで、PLC の信号がどの範 囲まで届くかを把握できます。PLC の信号が届いた LED 蛍光灯のどれか 任意の LED を数か所選び、その LED に対して、データホッピングの設定を します。 上図の赤がホッピング指定された LED です。 これにより、PC から送られた LED の調光コマンドは、どこまでも届くこと が可能です。 PLC は、データの転送速度が 2Kbps から 5Kbps 程度であるため、あまり ホッピングを多く設定しすぎると、データ同士がぶつかり合って、タイムア ウトにより、データを受け付けないことがあります。 このため、データホ ッピング設定は、なるべく必要な部分にだけ、設定します。 1-5-3. ルネサスエレクトロニクスの M16C6S1 イスラエルの YITRAN 社から通信変調の IP を入手して開発された 最新技術の PLC 通信エンジンです。変調方式は、DCSK か BPSK を用いています。 6 1-6. PLC 通信モジュールのデータシート 1-6-1. 電力線側定格 Item Unit V 電力線入力電圧 SPEC. Remarks AC100V か 周波数 50Hz、60Hz ら 240V ± ※DC も可能 10% A 消費電流 0.1A 以下 10mW/10K ARIB 認定を取得 送信出力 Hz 1mV 以下 受信感度 最大 500kbps 伝送速度 DCSK 変調方式 DCSK turbo 1.6.2 制御側定格 Item Unit 電源入力電圧 V 消費電力 W Min. Typ. 3.2 3.3 Max. Remarks 3.4 1 1-6-3. 受信特性 項目 仕様 減衰特性 100dB 以上 備考 ホワイトノイズ耐性 7dB 以上 受信方式 平衡 1-6-4. 通信仕様 項目 仕様 備考 通信方式 DCSK および DCSK TURBO 通信速度 500Kbps(DCSK TURBO) ~ 通信品質コンディシ 1.25kbps( ERM : Extremely Robust Mode) ョンに合せて自動的 にモードを選択可能 占有周波数 100K~400KHz チャンネルアクセス CSMA / CA プロトコル (Carrier Sense Multiple Access / Collision Avoidance) 再送制御 ACK/NACK 7 誤り訂正 ショートブロック誤り訂正、CRC16 対応国際規格 総務省型式指定 ARIB 第 IH-12002 号 セキュリティー とくになし. 1-6-5. その他 Item Unit Min. Typ. 使用温度 ℃ -20 85 使用湿度 % 20 80 保存温度 ℃ -40 100 保存湿度 % 20 90 保証期間 年 2 耐用年数 年 10 適合規則 Max. Remarks 電波法(ARIB1.0) 8 2.システムの説明 2-1. 概要 AC100V USB PLC-USB パソコン USB ドライバーが 必要 LED 12 本(調光可) 信号ブリッジ 電力計1 単相 3 線 別の 電力計2 単相 電線路 電力計6 9 100/200V 2-2. パソコン 2-2-1. USB ドライバーをインストールします。 PLC-USB 変換箱には、FTDI 社製の USB 用 IC を用いています。 このため、USB ドライバーをパソコンにインストールする必要が あります。 以下の手順で、ドライバーをインストールします。 USB デバイスドライバーをインストールする(Windows 7 ) ⇒CDM 2.08.30 WHQL Certified (32bit).zip 1. FTDI 社より提供されている 最新バージョンのドライバーが Windows 7 に対応しています。 Windows 7 では始めて FTDI-USB 機器を接続するときにデバイスドライバーの場所を要求して こないため、ドライバーがインストールされない状態になったままになります、そこで USB 機器に 対して手動でドライバーのインストールを行う必要があります。次回以降の FTDI-USB 機器は自 動でインストールされます。 2. PLC-USB 変換箱(FTDI 社製チップ搭載)を PC へ USB 接続する 3. FTDI 社製チップ搭載の機器を始めて接続するとこのようなメッセージが表示される 10 4. デバイスドライバーが未指定の機器を調べる 5. 未指定機器のプロパティーを開く 11 6. デバイスのプロパティを開く 12 2-2-2. アプリケーションをパソコンにコピー 「電力計アプリ」をパソコンにコピーします。 中身は、以下のようになります。 2-3. PLC-USB 変換箱 PC から USB ポートを使って、コマンドを送ります。 AC100V から 240V または、DC ラインで使えます。 USB ポートから電源供給を 受けており、AC ラインは、PLC 信号の重畳のみを行います。 USB ポートには、5V 250mA 以上の電源供給能力が必要です。 サイズ:123×83×25mm ケーブル:電源側 1800mm USB 側 420mm USB2.0 電源コード 13 2-4. PLC による通信機能付き LED 蛍光灯 2-4-1. LED 蛍光灯概要 PLC 通信モジュールが LED 蛍光管内部に組み込まれた LED 蛍光灯です。 各々の LED 蛍光灯には、アドレスが記されています。 0001 から連続で 000C までのアドレスがついた LED 蛍光灯を設置しています。 アドレスは、16 進表記で、A=10、B=11、C=12 です。 調光は、7 段階で、以下のように明るさと、消費電力が変わります。 消費電力 1m 直下照度 全光束 (W) (lx) (lm) 7:最大 23.0 420 2100 6 21.0 390 1950 5 16.5 310 1550 4 14.0 260 1300 3 11.0 200 1000 2 7.5 130 650 1:最小 4.5 72 360 0:消灯 1.2 0 0 照度設定 14 2.4.2 LED 蛍光灯のアドレス 会議室を上から見て、以下のようなアドレス割り当てになっています。 窓3 0006 000C 入口 3 0005 000B 000A 0004 窓2 入口 2 0009 0003 0008 0002 入口 3 窓1 0001 0007 PLC による LED 蛍光灯の制御では、ネット ID とアドレスを用いています。 ネット ID は 蛍光灯入口1 蛍光灯入口 2 蛍光灯入口 3 199 です。取り付けた装置のアドレスは以下の通り。 0001 0002 0003 0004 0005 0006 蛍光灯窓 1 蛍光灯窓 2 蛍光灯窓 3 15 0007 0008 0009 000A 000B 000C 2.4.3 既存蛍光灯から LED 蛍光灯への取り換え 既存の蛍光灯は安定器(バラスト)が入っています。 AC100V/200V 安定器 放電型蛍光灯 AC100V/200V 2 つの端子の 一方に接続でよい。 ⇔ LED 蛍光灯は極性なし 16 2.5 電力計 2.5.1 構成 電力測定機としてパナソニックの KW2G を用いています。 詳細については、KW2G のデータシートをご覧ください。 サイズ:(mm) 130×40×25 構成のブロックダイヤグラムは以下のようになります。 電力計 計測電源 KW2G 電圧 RS485 PLC 通信 ノイズ ドライバー モジュール フィルター AC100V=> DC5V 電源 17 2.5.2 取り付け場所 合計 6 か所に取り付けています。 1. 引込電灯1(100A ブレーカの 2 次側) 2. 引込電灯2(75A ブレーカの 2 次側) 3. 2 階の電灯盤内(20A ブレーカ、2L-1 の会議室分岐) 4. 室外機 PAC1(100A ブレーカの 2 次側) 5. 室外機 PAC2(100A ブレーカの 2 次側) 6. 室外機 PAC3(50A ブレーカの 2 次側) 2.5.3 電力計の PLC アドレス ネット ID は 199 です。 それぞれのアドレスは以下の通り。 引込電灯1 0067 室外機 PAC1 006A 引込電灯2 0068 室外機 PAC2 0065 2 階の電灯盤内 0069 室外機 PAC3 0066 18 3. ソフトウエア仕様 3-1. 照明の調光 ① ② ③ ⑤ ⑥ ➆ ⑧ 19 ④ ① のボタンを押すとその部屋のレイアウトを表示します。 ② 蛍光灯に見立てたボタンで、調光を行いたい蛍光灯と同じ位置にあるボタンを 押すと調光画面が表示されます。 ③ このスライダーを動かすと現在表示されている部屋のすべての蛍光灯を同時に 調光できます。 ④ MAX は現在表示されている部屋の蛍光灯をすべて全点灯させたときの電力量 を表示します(予測値です、実測値ではありません)。 NOW は現在の点灯状態での電力予測量を表示します。 ⑤ POWER のコンボボックスで調整したい値を選択して SET ボタンを押すと ECO 調光を行います。 (LED 数が 100 本以上の時に有効です) ⑥ ライダーを動かすことで選択した蛍光灯を調光することができます。 隣のプラス、マイナスのボタンでも同じく調光できます。 ⑦ 現在選択している蛍光灯の PRIORITY を設定。Low に設定すると⑤の ECO 調 光を行ったときに調光される蛍光灯になります。 High に設定するとその蛍光灯は ECO 調光を行っても調光されることはなく なります。 (100 本以上の LED の時に効果がわかります。 ) ⑧ 蛍光灯の初期点灯値を設定。壁のスイッチや電源を切って再度、電源を入れた ときに自動的にここで設定した明るさで点灯します。 消費電力 1m 直下照度 全光束 (W) (lx) (lm) 7:最大 23.0 420 2100 6 21.0 390 1950 5 16.5 310 1550 4 14.0 260 1300 3 11.0 200 1000 2 7.5 130 650 1:最小 4.5 72 360 0:消灯 1.2 0 0 照度設定 20 3-2. 電力量の測定 ① 目標デマンド電力。⑭で設定した数値を表示します。 ② 本日の積算電力量を表示(kwh)します。 ③ 15 分毎に計測している積算電力量を4倍して1時間で使用するであろう電力 量を算出して表示します。 これが①の【目標デマンド電力】を超えると赤文字表示となります。 ④ 30 分毎に計測している積算電力量を2倍して1時間で使用するであろう電力 量を算出して表示します。 これが①の【目標デマンド電力】を超えると赤文字表示となります。 ⑤ 週の積算電力量を表示(kwh~Mwh) ⑥ 月の積算電力量を表示(kwh~Mwh) ⑦ 年の積算電力量を表示(kwh~Mwh) ⑧ WEB アプリを導入の際にここに入力して保存したテキストが WEB ページに 表示されます。(今回は使用しません) ⑨ 電力計選択は複数の電力計を設置している場合に使用します。電力計選択のコ ンボボックスで選択した電力計のデータを表示します。 21 ⑩ グラフ表示選択では日、週、月、年、毎のグラフ表示を選択できます。 ⑪ 電力値を設定ボタンの左側のテキストボックスに設定したい値を入力し、電力 値を設定ボタンを押すと電力計の値が入力した値に変更されます。 ⑫ 本アプリでは自動的に5分おきに電力の積算量を取得して表示を更新していま すが、手動取得を行うと好きなタイミングで電力の積算量を取得できます。 ただし、PLC のデータ通信速度は 2Kbps 程度なので、データの取得には 多少時間がかかることがあります(おおむね 5 秒以内) ⑬ データ初期化を行うと、今までのログをすべて削除して、電力計の数値も「0」 に初期化します。確認の画面が出ますので、間違って初期化することはありま せん。 ⑭ 目標デマンド電力設定で入力した数値が①に表示されます。 ⑮ 【前へ】 【次へ】ボタンでは今表示しているグラフの表示での前後データを表示 します。 例えばグラフ表示選択の月を選択した状態で【前へ】ボタンを押すと前の月の データがグラフに表示されます。 ⑯ 画面で電力計の名称を変更できます。 ⑰ グラフで積算電力量を表示します。⑨で選択した電力計の⑩で選択したグラフ 間隔で表示されます。 前日のデータがある場合は前日のデータを現在のデータに重ねて折れ線グラフ で表示します。 22
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