27号 - 城東テクノ

平成 19 年 1月1日(通巻 27 号)
が﹁ 住 宅 の 省 エ ネ ル ギ ー 基 準 の 解
説 ﹂に 登 場 し た こ と、 発 泡 樹 脂 系
硬質ウレタンフォーム 1 種(2 号)
の上にたまってしまう事があり
ゆるネダレス工法の存在床倍
硬質ウレタンフォーム 2 種
ポリエチレンフォーム B
ポリエチレンフォーム A
図 1 床下換気の概念図
間仕切壁
仕切壁
仕
壁
基礎パッキン(通気)
り
出される
床下空
床下空気
水蒸気がこもり始めることにな
ることです。施工中、フローリン
グを張るまでの間、 ∼ 枚は外
しておいて、換気を促すだけでも
随分と違うでしょう。
梅雨時に床下の湿度が飽和状態
品確法の構造
ネダレス工法の普及
キ ソ パ ッ キ ン グ 工 法 は、 風 下
床下換気を十分に行うことで解
決できるはずです。
の 問 題 も 繊 維 系 断 熱 材 を 使 用 し、
レスケミカルの環境下で菌が発
生してしまうのです。しかし、こ
に な り、 思 わ ぬ と こ ろ に 結 露 し、
規定に床面の水
平 耐 力 が 加 わ り、
構造用厚物合板
側と風上側の圧力差によって風
トバス区画の天井部分などから
通 気 抜 け が 起 こ っ た 場 合、 床 下
の気流を乱し、換気阻害を起こし、
ープで塞ぐとよいでしょう。
湿気が漏れっぱなしという状況
もあるので忘れないようにしま
し ょ う。 合 板 の 継 ぎ 目 も 防 湿 テ
ぐ 必 要 が あ り ま す。 特 に 階 段 裏
やユニットバス区画の天井部分
を 遮 断 せ ず に お く と、 そ こ か ら
の 間 仕 切 壁 な ど、 室 内 や 小 屋 裏
空間に通じるあらゆる隙間を塞
結露やカビの発生につながって
以上の様々な問題がからみあい、 し ま い ま す 。
春先に施工した物件はちょうど
そ こ で、 必 ず 通 気 止 め で 全 て
通気止めの大切さ
て 空 間 内 部 を 攪 拌 し、 床 下 の 換
気 を 行 っ て い ま す。 し た が っ て、
間 仕 切 壁 内 部 や 階 段 裏、 ユ ニ ッ
ス工法は、施工期間の早い段階で
床下に蓋をしてしまうことになり、 下 側 へ 床 下 空 気 を 吸 い 出 し 、 風
それ以降ベタ基礎から発散する
上 側 か ら 新 鮮 な 空 気 を 導 入、 ま
た床下空間内部の温度差によっ
で あ る こ と な ど か ら、 こ れ も、
急速に普及していきました。
こ こ で 問 題 な の は、 ネ ダ レ
根太を省略することにより天
井 高 さ を 得 ら れ る こ と、 そ し
て な に よ り も、 施 工 が 合 理 的
こ と、 平 成 年 改 訂 版 以 降 に、
公 庫 仕 様 書 に 記 載 さ れ た こ と、
15 3
を使用したいわ
す。
倍を取得できる
率が最高の
阪神・淡路大震災以降、地盤の
ベタ基礎の普及
ます。
ネダレス工法やベタ基礎の普及が勢いを増している現在、
思わぬ床下の湿気問題が浮上しています。
問題の背景と注意点について、まとめてみました。
春先に竣工した住宅のクレームの怪
断熱材の断熱材受け金物が充実
したことも影響しているのでは
ないでしょうか。
春先に竣工した物件で、梅雨時
に、押し入れのカビや壁のカビな
どの相談があります。しかも、新
これらの発泡樹脂系断熱材が
イソシアヌレートフォーム
新鮮な
空気
年目にこうしたクレー
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)
(特号、1 号)
∼
吹付け硬質ウレタンフォーム
1
不安定さに左右されない基礎形
態 は﹁ ベ タ 基 礎 ﹂で あ る と の 意 識
が 急 速 に 広 ま り ま し た。 瑕 疵 担
保責任の 年義務化もあいまって、
地盤や基礎の性能向上に取り組
10
む 工 務 店 が 増 え、 凍 結 深 度 が 関
係する寒冷地を
除 け ば、﹁ ベ タ 基
硬質ウレタンフォーム 1 種(1 号)
築
実は結露の問題を引き起こして
いる場合があります。
透湿抵抗の低い発泡樹脂系断
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)
(2 号)
2
ムが頻発するのです。どうしてそ
のような事が起きるのでしょうか。
これには、様々な問題が複合的に
硬質ウレタンフォーム 1 種(3 号)
1
関連し合っています。
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)
(3 号)
礎 ﹂を 標 準 仕 様 と
する傾向が強ま
っています。
ベタ基礎の場
合、施工後もおよ
そ ∼ 年は水
2
蒸気が発散し続け、
床下の湿度を高
める事になりま
1
熱 材 の 場 合、 水 蒸 気 が 断 熱 材 を
通 過 し、 床 下 地 板 の 間 に 浸 入 し、
そ こ で 結 露 水 と な っ て、 断 熱 材
表 1 発泡樹脂系断熱材の種類と性能
シックハウス対策の影響
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)
(4 号)
平成 年、シックハウス対策で
ク ロ ル ピ リ ホ ス の 禁 止 と、 ホ ル
ロックウール
ムアルデヒドの使用が制限され
グラスウール
ました。これまで、これらの薬剤
透湿抵抗
(m・h・mmHg/g)
( 透湿率 )
発泡樹脂系断熱材の種類
によって抑えられてきた、腐朽菌、
カビ菌が、この対策により結果的
に繁殖しやすい床下環境となっ
てしまいました。
発泡樹脂系断熱材の使用増
平 成 年 省 エ ネ ル ギ ー 住 宅︵ 次
世 代 省 エ ネ ︶は、 断 熱 性 能 の よ り
一 層 の 向 上 が 示 さ れ ま し た。 そ
し て、 断 熱 材 の 厚 さ を 根 太 間 に
納めるために発泡樹脂系断熱材
を使用する事が増えていきました。
さ ら に は、 平 成 年 省 エ ネ か ら
フェノールフォーム
1
気密材として発泡樹脂系断熱材
11
8 (0.120)
10 (0.101)
278 (0.0036)
333 (0.0030)
370 (0.0027)
400 (0.0025)
400 (0.0025)
417 (0.0024)
435 (0.0023)
556 (0.0018)
588 (0.0017)
625 (0.0016)
625 (0.0016)
2083 (0.00048)
6667 (0.00015)
22222 (0.000045)
押出法ポリスチレンフォーム
2
12
11
基礎パッキン(通気)
正しいキソパッキング工法で
床下環境を整える
発行:城東テクノ株式会社 〒 573-1006 大阪府枚方市招提田近 3-15 電話 . 072-868-6611
平成 19 年 1月1日(通巻 27 号)
断熱性能と床工法
にはそれぞれの特徴を知った上で、適切な工法・納まりを選択して住宅を計画してい
かなければなりません。ここでは求められる断熱性能に適した床工法の例について
平成11年度の省エネ基準に沿って断熱材の品揃えも整い、それぞれが推奨する納
考えて見ましょう。
まりも出揃ってきました。そこで住宅としてバランスの良い性能を発揮させるため
1. 床断熱工法の種類
図 2 基礎断熱工法
現在のところ床断熱工法は、以下のように大別できます。
1) 基礎断熱工法
概要 基礎の外周部に断熱層を設け、基礎天端と土台の気密をとるなど、床下空間への外気の進入を押さえる。
気密パッキン
気密パッキン
適性 Ⅰ・Ⅱ地域など寒冷地での適用が多く、全館空調に適している。
性能の特徴
傾向 床下空間が密閉状態になので、土間コンなどからの水蒸気の蒸散、生活空間からの水蒸気の進入、外気と遮断
基礎断熱材
基礎断熱材
された床下気温が上がることなどから、水蒸気量が多くなる傾向が見られて僅かな気温差で結露が生じる可能
水平断熱補強
水平断熱補強
性がある。
対策 機械換気設備を設置するなどの床下空間の換気計画と、居住空間との防湿層を確実に設けるなどの配慮が必要。
2) 床充填断熱工法
概要 床下空間に十分な通気をとって床組み部分に断熱層を設ける。
図 3 充填断熱工法
適性 現状ではⅢ地域以南で広く用いられていて、床下空間を自然換気で良好な状態に保つことができる。
性能の特徴
傾向 床下の通気の確保、居住空間との完全な気密性確保が前提。断熱材の種類によっては指定性能を確保するには
基礎パッキン(通気)
厚みが必要となるので、通気経路を妨げない断熱材選定が求められる。
対策 間仕切壁下部や階段下の床張りなどに通気止めを確実に行うこと、特に高い断熱性が必要なⅠ・Ⅱ地域では厚
みを抑えられる断熱材を選定したい。
充填断熱材
2. 基準性能と断熱材の厚さ
平成 11 年の省エネ基準では、 表 2 省エネルギー基準による床の断熱材厚さ(平成 11 年改訂省エネ基準)
リットを塞がないように納める
床工法を選択しなければならな
い。部材と工法を上手に組み合
わせて、十分な性能を効果的に
実現することが必要になってく
る。
相当する断熱材の例
0.05 ∼ 住宅用グラスウール 10K 相当
0.046
∼ 住宅用グラスウール 16K 相当
B 0.045
0.041 ポリスチレンフォーム B 種
住宅用グラスウール 24K・32K 相当
∼ 高性能グラスウール 16K・24K 相当
0.040
C
0.035 住宅用ロックウール(マット・フェルト等)
押出ポリスチレンフォーム 1 種
ビーズ発泡ポリスチレンフォーム特号
∼
D 0.034
0.029 押出ポリスチレンフォーム 2 種
0.028 押出ポリスチレンフォーム 2 種
E
以下
A
Ⅵ地域
これを基礎パッキンの換気ス
熱伝導率
W/(m・k)
Ⅲ・Ⅳ・
Ⅴ地域
表に示す厚みが必要になる。
断
熱
区
分
3.3
Ⅱ地域
どによって、それぞれ最低でも
(熱抵抗値)
Ⅰ地域
がある。断熱材の種類や性能な
断熱材の厚さ
(mm)
ー
3.3 2.2
断熱材の種類
表 -2 のような断熱材の性能規定
165 165 110
ー
150 150 100
ー
135 135
90
ー
115 115
75
ー
65
ー
95
硬質ウレタンフォーム
95
図 4 根太工法
大引の上に 45 × 45 また
は 45 × 60 程度の材で根太
組みを行い、その上に床下
地を張る。
伝統的な床組だが、表 -1
のような断熱材を充填する
には根太材の成が不足する
ケースが出てくる。
大引の間隔を詰めて直接
床下地を施工する工法で、
工程の簡素化や天井高さを
確保するなどのメリットが
ある。大引の成は 105 程度
なので、Ⅰ・Ⅱ地域において
繊維系の断熱材は納まりき
らないことになる。
住宅の床工法は従来からの根太工法と最近多くなったネダレス工法がある。根太は通常 45 × 45、45 × 60 など
の部材が使われるが、材成に収まる断熱材は 65mm 程度までの繊維系断熱材で、それ以上の厚みの断熱材になると
大引の成までかかってくる。これを収めるのが床断熱工法の主眼となる。
図 -6 ∼ 8 に省エネ基準の各地域における標準的な床工法例を挙げるので、これからの計画の参考にして頂きたい。
防湿フィルム
間仕切壁
仕切壁
仕
壁
図 7 Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ域 床断熱納まり
(ネダレス工法)
断熱材によって
は二層になる
図 5 ネダレス工法
3. 標準的な床断熱の納まり
図 6 Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ域 床断熱納まり(根太工法)
根太
45×45又は45×60
大引
土台
大引
換気スリットを
塞がない配慮
基礎パッキン(通気)
図 8 Ⅰ・Ⅱ地域 床断熱納まり(ネダレス工法)
防湿フィルム
防湿フィルム
発泡系又は吹込み断熱材
基礎パッキン(通気)
フローリング
通気止
繊維系断熱材
基礎パッキン(通気)
フローリング
ネダレス合板
基礎パッキン(通気)
フローリング
ネダレス合板
メッシュ又は防風透湿シート
繊維系断熱材
繊維系断熱材
凍結深度以上
土間:防湿フィルム0.1t
の上砂押え
Ⅲ地域以南で在来型の根太工法を用いる場合は、根
太間隔に合わせた幅の断熱材を用いることも可能だ。
根太材成に繊維系断熱材厚が納まるケースはないので、
断熱材を圧縮しない位置に断熱材受けを取付ける。
Ⅲ地域以南では繊維系断熱材を用い、ネダレス床の場合
は大引間に断熱材受けを設けて断熱材を施工する。床下空
間と室内の防湿が重要なので、防湿フィルムと間仕切壁下
部や階段下などの通気止めを確実に配置する。
建築基準法の耐震性能や省エネ性能などの改正に伴って、木造軸組住
宅にも工法や納まりに変化が出てきています。本来は住宅建築全体の性
能アップのための工法変化ですが、建材の扱い方や施工精度などによっては後々の
苦情につながる問題が起きかねないのが現状です。
寒地では必要な断熱材の厚さを考慮しなければならない。
基礎断熱により外周部布基礎からの輻射冷却を防ぎつつ、
床下換気に十分配慮して断熱材の中の湿気を排湿する。
建材のカタログ性能も全体がバランス良く計画され、性能を発揮するしくみを理解し
た上で施工しなければ、全体としての性能が得られません。建材それぞれは年々進歩し
ていきます。高性能な建材を上手に使いこなすことが望まれています。
次回は
「建築基準法と増改築」
について考えてみたいと思います。
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