東アジアの新たな 枠組みに向けて - 経済広報センター

経済広報センターポケット・エディション・シリーズ No.88
アセアンジャーナリスト招聘シンポジウム
東アジアの新たな
枠組みに向けて
にシンガポールで首脳会議を開催した。ここでは、二〇一五年のアセアン経済共同体に向けた最高規範であ
東アジア・コミュニティーのハブとなりつつある東南アジア諸国連合(アセアン)は、二○○七年一一月
る「アセアン憲章」が採択されるとともに、日本との関係では日・アセアン包括経済連携(AJCEP)に
ついて最終合意がなされた。
このような状況のなか、当センターは、アセアンの英字紙四社の有力ジャーナリストを日本に招聘し、日
本の経済、政治、社会について理解を深めるプログラムを実施した。それらを踏まえ、プログラム最終日には、
招聘ジャーナリストによる「東アジアの新たな枠組みに向けて」と題したシンポジウムを開催した。
ジャーナリストからは、自信を強めつつあるアセアンの視点から、AJCEPをどのように見ているのか、
また、アセアンの今後の対外戦略などについて知見が示された。さらに、アジアの視点から見た中国やイン
ドの台頭、およびアジアにおける日本の役割などについても幅広い議論が行われた。
スー・リャン・リー (
(
)
Nophakhun Limsamarnphun
)
Siew Lian Lee
ネイション紙 (The Nation)
日曜版編集長【タイ】
タイ国際開発研究所(NIDA)より修士号を取得。
現在、編集長兼記者として、主なニュース記事をすべ
て 担 当( 政 治、 経 済、 技 術、 グ ロ ー バ リ ゼ ー シ ョ ン、
アジア、アセアンやグローバルな問題などを含む)
。最
近では、日本・タイ経済連携協定に関する記事も担当。
ノパクン・リムサマルンパン
【スピーカー略歴】(敬称略、順不同)
本稿はそのシンポジウムの概要を紹介するものである。
アセアンジャーナリスト招聘シンポジウム
「東アジアの新たな枠組みに向けて」
日
時
二○○七年一二月一三日
一○時〜一二時
場
所
経団連会館
一○階
一○○二号室
講
師
以下参照
ニュー・ストレイツ・タイムズ紙 (The New Straits
報道部長【マレーシア】
Times)
一九九三年にニュー・ストレイツ・タイムズ・グルー
プに入社、ビジネスタイムズ紙記者、 The Edge
誌(マ
レーシアで最大部数を誇る英文ビジネス・投資週刊誌)
記者として株式市場と経済ニュースを担当。一九九八
年アジア危機と危機後についても報道した。ビジネス
タイムズ紙編集長を務めた後、
一八ヶ月間、 Nuance
誌
(今
は廃刊となったライフスタイル雑誌)の立ち上げに協
力。二〇〇四年よりニュー・ストレイツ・タイムズ紙
報道部長として政治・経済ニュースから自然災害や社
会トレンドまで、幅広い分野の記事を担当。インド ネ
シア・アチェ沖での津波やニアス島の地震も取材した。
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イグナシアス・ロウ (
)
Ignatius Low
【モデレーター略歴】
ストレイツ・タイムズ紙( The Straits Times
)
(たけおか・りんじ)
竹
岡
倫
示
金融担当部長【シンガポール】
国際本部 副本部長
オックスフォード大学を卒業。財務省、通貨監督省 日本経済新聞社
編集局次長 兼 アジア部長)
を経て、一九九九年にストレイツ・タイムズ紙に入社。 (当時
現在、金融担当部長としてグローバリゼーション、経 一九八○年横浜国立大学経済学部を卒業、日本経済
済 成 長、 貿 易、 企 業 動 向、 株 式 市 場、 不 動 産、 金 融、 新聞社入社。一九九二年〜一九九五年 バンコク支局長
としてタイ、カンボジア、ラオス、ミャンマーを中心
財政などを含む経済・金融関連の記事を統括している。
に ア セ ア ン 地 域 を 担 当。 東 京 本 社 編 集 局 経 済 部 次 長、
中国総局長(北京駐在)、役員直属国際本部アジア担当
ダダン・ウィジャクサナ ( Dadan Wijaksana
)
部 長、 東 京 本 社 編 集 局 ア ジ ア 部 長 兼 東 編 集 局 次 長 を 経
て、二○○八年三月より現職。
『WTO加盟後の中国経
済』(二○○二年、共著)、『中国─世界の 工「場 」から
市「場 へ
」 ─』(二○○二年、共著)など、著書多数。
ジャカルタ・ポスト紙( Jakarta Post
)
ビジネス担当
副編集長【インドネシア】
一九九八年にパジャジャラン大学を卒業(政治・社
会科学を専攻)
。一九九八年〜二〇〇一年インドネシア
ン・ オ ブ ザ ー バ ー 紙( Indonesian Observer
)記者を経
て、二〇〇一年よりジャカルタ・ポスト紙に入社。現
在、ビジネス担当副編集長として、株式市場と企業動
向、
貿易(AFTA、
WTO、
二国間FTAなどを含む)
、
マクロ経済を担当。
な投資国です。しかし、九〇年代の経済危機の
話しします。日本にとってインドネシアは重要
ら見て、どのようなメリットをもたらすかをお
(経済連携協定)について、インドネシア側か
最近調印された日本とインドネシアのEPA
【ダダン・ウィジャクサナ】
でも同様のプログラムが予定されています。こ
とが両国政府で合意されています。看護の分野
で、少なくとも年間一〇〇〇人が対象となるこ
シアに対して、技術インターンシップという形
発化するでしょう。例えば、日本からインドネ
ターを開放し、インドネシアへの技術支援も活
きると思います。日本側は一定のサービスセク
くてEPAであり、関税協定を越えた協力がで
後、投資自体は増えておりますが、その伸びは
れまでは、インドネシアはルーティーンワーカー
●ジャーナリストによるプレゼンテーション
鈍っています。
回の日本とのEPAという枠組みの中で、再び
インドなどからの投資が増えてきています。今
一 方 で、 シ ン ガ ポ ー ル、 マ レ ー シ ア、 中 国、
することは意義のあることだと思います。
違って準熟練工、あるいは熟練工を日本に派遣
の輸出元と認識されていましたが、今までとは
者をリクルートし、大体中間管理職でインドネ
グラムを提供しています。インドネシアの労働
日本からの投資の伸びが回復することを望んで 一方、日本の製造業各社は、次のようなプロ
います。
この協定は、FTA(自由貿易協定)ではな
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たちを雇用しています。これらの各企業のプロ
シアに戻し、インドネシアの現地企業でその人
けではなく高い専門知識も得ることができます。
待されています。技術支援においては、訓練だ
【スー・リャン・リー】
グ ラ ム がE P A に よ り フ ォ ー マ ル な も の と な り、強化されることを望みます。
ロニクス産業の二つのセクターが選ばれ、部品
置する予定です。現在、自動車産業とエレクト
ストリー・ディベロプメント・センター)を設
MIDEC(マニュファクチャリング・インダ
上などでマレーシアに大きく貢献しています。
雇用の創出、経済の発展、さらに生活水準の向
品を消費しています。また、日本からの投資は、
れてきました。マレーシアでは、多くの日本製
政策、すなわち、ルック・イースト政策がとら
製造業のセクターにおいては、
EPAにより、 マレーシアでは、かなり早い段階から、東方
を開発し、長期的にこの産業を育てていくとい
インドネシアでは、中小企業で四〇〇〇万人
今回日本を訪問して、常に頭の中に浮かんでき
は あ ま り 目 に 見 え て こ な い と こ ろ が あ り ま す。
しかし、マレーシア人にとって、日本の存在
の人たちが働いており、このEPAという枠組
たのは、日本の国としての個性、特色は何かと
うスキームです。
みのもとで、インドネシアの中小企業が、日本
いうことです。結論としては変化です。
ます。
の政府、経済界から技術支援を受けることが期
まず、私は、自由貿易信奉者であります。日
本企業は競争力を持っており、大きな発展を遂 最近、世界銀行が「 Doing Business Survey
」、
ビジネスのしやすさに関する調査を行いまし
げてきました。そこにこそ、この地域全体の希
の消費者もようやく気がつき始め、自分たちの
える影響をつぶさに見てきました。マレーシア
保護主義のマレーシアにおける、消費者に与
待しているのか、何を望んでいるのか、このよ
いは広くアセアンをどう見ているのか、何を期
の投資家、新たな投資家が、マレーシア、ある
さまざまな対策を考え始めています。長期目的
た。マレーシアもこの調査結果をもとにした、
持てる力を行使しようとしつつあります。
将来、
うなことを知ることはよいことです。それが、
望があると思います。
政治的プロセスの結果にも反映されるようにな
プレッシャーになります。プレッシャーという
いということを突きつけるものです。
のは、政府に対しても、変わらなければならな
ると希望しています。
マレーシアは多民族が存在しているため、社
会が複雑です。日本がこの地域における指導者
原理を導入すれば、ダイナミックなプロセスへ
いと思っていたのです。確かに変化は見てとれ
した。実は訪日前、日本の社会は変わっていな
的な役割を果たして、マレーシアに一層の競争 今回の訪日は、非常に興味深い経験となりま
の道筋がアセアンの中でも生まれてくると思い
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ました。しかし、変化のスピードが十分なのか
と思います。アジア、それからアセアンの人間
うな部門も支えられる資金があるということだ
るよう希望しています。
としては、確固たる決断が日本においてとられ
どうかは疑問です。
日本は豊かだからこそ選択肢があると思いま
す。そして、日本が何を選択するかは、アジア
のほかの国々にも影響してきます。日本の農業 もう一つ非常に興味を引かれたのは、ユニク
ロの銀座店です。日本の消費者も実は安い製品
人の消費行動の変化の兆しだと思います。農業
部 門 の 長 期 的 な 動 向 な ど が、 ア ジ ア の ほ か の
日本の消費者は、日本の産品にかなり高い値
部門にも同様なことが反映されていけば、そし
を求めていることもわかりました。これは日本
段を払うようになりました。このことに非常に
て、変化を推進する要因になればよいと思いま
国々に影響を与えるのです。
興味を引かれました。アセアンやマレーシアの
す。
【イグナシアス・ロウ】
消費者は安いものを求めます。確かに所得水準
は上がっていますが、やはり、安さというのは
大事な選択要因です。なぜ日本の農業のあり方
待します。
これにより、アセアンの競争力が増すことを期
しします。
がこれほど長く続いてきたのか。日本が富を持 日本とアセアンの間でのEPAについてお話
ち続ける限り、早いペースの変化に躊躇するよ
日アセアンEPAは、日本の三○年にわたる
アセアンへの取り組みの反映であると思いま
プが前進することにもつながると思います。
す。そして、これからも継続的にアセアンと取 また、今回のEPAは、アセアンというグルー
り組んでいこうという意思表示だと思います。
○億ドルを超えており、日本のこれまでのOD
ました。アセアンに対する日本のODAは二三
のときに、八〇〇億ドル以上の支援金を拠出し
しています。日本は、アセアン諸国の経済危機
以来、一〇〇〇億ドル以上もアセアンに投資を
易相手国です。日本は、アセアンが結成されて
るために忙殺されました。
セアンの国々は、経済危機と政治危機に対応す
いました。九七年の通貨危機の後は、多くのア
こそがアセアンのハブになることを競い合って
ていました。各国がインフラを整備して、自分
し、海外からの直接投資を獲得するために争っ
競争しておりました。ほとんどが輸出国でした
日本は、アセアンにとって二番目に大きな貿 一九九七年の前は、アセアン諸国はお互いに
Aの三○%にあたります。
を取り入れるため、アセアン諸国のさまざまな
シンガポールの銀行の頭取から、東南アジアで
の経済協力は進まなかったのです。二〇〇六年、
日アセアンのEPAは、累積的な原産地規則 アセアンにおいては、これまで本当の意味で
生産拠点が認可されることになると思います。
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イの得意分野、フィリピンの得意分野、インド
まとまることは非常に重要なことなのです。タ
になっているのがアセアンです。それが一つに
が、五億人の市場、消費者を抱えて、日々豊か
弱さを持っておりますし、発展段階も違います
は結束しなければなりません。
それぞれが強さ、
ます。特に中国が台頭している中で、アセアン
を聞きました。ただし、依然強いニーズはあり
ンは経済共同体としては失敗した、ということ
ディールをまとめるのは非常に難しい、アセア
るものです。
だと思います。万人が受益する精神にもつなが
それこそがマルチラテラリズムの精神そのもの
とは、この問題を解決する一法になっています。
国にとって、日本とアセアンでFTAを結ぶこ
い国、おそらく日本がEPAを結びたがらない
例えば、カンボジア、ラオス、ベトナムなど弱
ます。ただし、バイで協定を結ぶということは、
域レベルでの貿易協議を進めることを行ってい
になります。少なくともシンガポールでは、地
Aのほうがずっとスピーディーで現実的な協定
この枠組みの延長線上に、アセアン+3、ア
ネシアの得意分野を利用して進出する計画も一
層実体性を持ってくるわけです。
セアン+6も議論されております。これこそが
六〇年先でいいのでしょうか。米ドルは今下落
もう一つ、マルチ主義は死んでいないという
次に、
金融についてお話をしたいと思います。
しつつあります。代わってユーロが基軸通貨と
ドーハ・ラウンドの停滞状況に対する答えにな
この地域で共通通貨を持つ、あるいは、金融政
して準備通貨になれるかというと、それも不確
ことを申し上げます。ドーハ・ラウンドを成功
策を相互に調整することは、夢物語のようにも
かです。やはりアジア独自の通貨単位があった
ると考えています。
思われますが、これを実現することこそが東ア
ほうがいいのではないでしょうか。
させることは大変困難ですし、二国間でのEP
ジア経済共同体としての最終形であると思いま
ときにも、各国は別々の対策をとりました。特
強化につなげたことがありました。通貨危機の
為替レートを操作して、自国の経済力の競争力
例えば過去において、アセアン各国が独自に
は、米ドルに一方的に依存する姿になっていた
かったら、今どうなっていたであろうか。結局
がビジョンを持たず、そして単一通貨を持たな
いと認識すべきだ。ヨーロッパのリーダーたち
者は、世界的な通貨を持つことは他人事ではな
あるジャーナリストは、「アジアの政策立案
にマレーシアは別の対策をとったわけで、これ
のではないか」と書いています。
す。
が現在のマレーシアとの感情的な対立につな
常にまじめに国外のことを考えるようになって
今回の訪日での一番大きな発見は、日本が非
通貨統合、あるいは金融政策の相互調整を夢
いる。そして、東アジアをパートナーとしよう
がっているのであります。
物語に終わらせていいのでしょうか。
四〇年先、
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とにもつながると思います。ソフトの面でも、
ゆる面で内向きだというイメージを払拭するこ
本のイメージ、つまり日本は経済を含めてあら
としているということです。これは伝統的な日
協定だと思います。
そういったコミュニケーションがあってこその
ます。どのような貿易協定を結んだとしても、
るようになれば、通訳を介さないでお話ができ
日本からは、日本食やポップカルチャーなどが
輸出されています。ここ一〇年、
二〇年の間に、 【ノパクン・リムサマルンパン】
ついて、タイの視点からお話しします。
日本は、特に東アジアに対して日本の文化を輸 二〇〇七年一一月に発効した日タイEPAに
出しました。
を勉強して、英語でコミュニケーションができ
本人は英語が苦手です。日本人が、もっと英語
ながることができるのです。残念なことに、日
ケーションが可能です。だから、東アジアはつ
の 集 合 体 で す が、 基 本 的 に 英 語 で の コ ミ ュ ニ
す。東アジアというのは、多様な国籍、多民族
への唯一の対処法は、市場原理の導入です。
きると思います。日本は高齢化が進んでいます
スなど、さまざまなサービスがタイから提供で
た、サービス貿易、例えば、観光や医療サービ
で も 恩 恵 を 受 け る こ と に な る と 思 い ま す。 ま
ずかな関税率の引き下げに過ぎませんが、それ
てはある程度恩恵を受けたと思っています。わ
ただ、一つバリアがあります。それは英語で このEPAにより、タイは鳥肉の輸出につい
ので、介護士などのサービスが提供できると思
います。日本側は、エレクトロニクス、自動車 次 に 経 済 連 携 に つ い て お 話 し た い と 思 い ま
農業について話をしてみたいと思います。私
ていて、米韓FTAが合意されました。EUと
ECです。この点、韓国は非常に積極的に動い
す。三つのレベルの経済連携が提案されていま
は日本の米市場が開放されると期待していたの
も交渉が進んでいるようです。ですから、日本
など多くの工業製品について、メリットが出て
ですが、除外されてしまいました。そのとき、
も一層努力していかないと、競争ということで
す。アセアン+3、アセアン+6、そしてAP
なぜ除外されたのか理解できませんでしたが、
は厳しい状況になるのではないかと思います。
くるでしょう。
今回日本に来て、いかに農業部門の改革が政治
さは、アメリカやEUと共通ではないかと思い
中国やインドが強大な経済力をもつ国家として
し て の 役 割 を 果 た し て も ら い た い と 思 い ま す。
的に難しい問題かよく理解しました。この難し また、日本にはアジアにおけるバランサーと
ます。いわゆる、農業団体のロビー運動が、非
台頭してくるなか、日本には、是非パワーバラ
ンスをとる役割を担ってほしいと思います。
常に強力であるということです。
日本の農業部門の問題点は、
保護主義による、
非効率、非能率、生産性の低さです。この問題
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日アセアン経済連携について見てみると、日
【竹岡倫示(モデレーター)
】
●ディスカッション
を進めているわけです。
の経済統合、共同体結成という目標に向けて歩
きて、アセアン憲章も出来上がり、二〇一五年
のは、市場開放の対象外になってしまったわけ
入っていません。米、乳製品、砂糖といったも
壁 で 輸 入 し て い な か っ た も の は、 そ の 九 割 に
放するということでしたが、今まで高い関税障
ないかと思います。AFTAについて、それぞ
アンの中で勝ち組と負け組ができているのでは
うに、AFTAを推進したことによって、アセ
業はタイに完成車の組み立てが集中しているよ
Aによってアセアン域内で、例えば、自動車産
本側は、輸入額で九割の部分について市場を開 このAFTAをわれわれから見ると、AFT
です。アセアン側も、日本側の得意とする薄型
れの国の中で、どのように評価されているのか、
【リムサマルンパン】AFT A は、タイにとっ
テレビ、鉄鋼、高級自動車などに対して関税が
東アジアの経済統合は、一貫してアセアンが
てはあまり問題ではありません。実際には中国
伺いたいと思います。
機関車の運転席に座ってリードしてきました。
とタイとのFTAの問題のほうが大きいのです。
残ったままになっています。
アセアンは一五年ぐらい前から、AFTA(ア
タイ国民のあいだでは今でも不満が残っていま
出ましたが、今マレーシアのプロトンが、非常
【 竹 岡 】 ナ シ ョ ナ ル カ ー・ プ ロ ジ ェ ク ト の 話 が
インダストリーも育ってきています。
セアン自由貿易地域)という取り組みをやって タ イ に と っ て は 特 に 農 産 品 が 不 利 に な り ま
す。このFTAは、タクシン元首相が訪中をし
す。ちなみに、日タイEPAは世論に歓迎され
に危機的な状況にあると聞いています。
たときに急いで結ばれた経緯がありますので、
ています。
動 車 メ ー カ ー を 招 致 し ま し た が、 い わ ゆ る ナ
れわれは早くから日系はじめさまざまな国の自
マレーシアともインドネシアとも違います。わ
めにお金を借りて買っているのです。
ほとんどが関税です。われわれは税金を払うた
おります。国外の車を買う場合の値段は、その
マレーシア経済に対する重い岩のようになって
さて、自動車産業についてのタイの政策は、 【リー】個人的な見解ですが、プロトンは現在、
ショナルカー・プロジェクトを持ちませんでし
ほかの国に比べてうまくいったということが言
たのだと思います。そういう意味で、タイは、
からこそ、外資も進出しようという意欲がわい
かなければならないと思います。
てメリットが出るような形で政府が応援してい
価格にして、自分たちのパフォーマンスに対し
くないならそれで良いのですが、競争力のある
た。ナショナルカー・プロジェクトがなかった プロトンに関しては、外国メーカーと組みた
えます。
自動車産業のいわゆるサポーティング・
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関税が即時撤廃されたら、マレーシア人は、
状況です。
関税がなくなれば、もっと別のことにも消費が
うになります。日本にとっても農産品に関する
勝ち組になり、インドネシアが負け組になって
じていません。それはほとんどの場合、タイが
に、AFTAについては、タイは問題を全然感
多くの可処分所得を手に入れることができるよ しかし、リムサマルンパンさんも言ったよう
できるようになると思います。
いるからです。
インドネシアではどういうふうに受けとめられ
結果としてタイに集まりました。このことは、
動車メーカーが欲しかったはずです。それが、
機械の分野でも同じです。
はなく、例えばエレクトロニクス、鉄鋼、電機
います。これは自動車産業だけに言えることで
産業の育成を怠ってきたことに原因があると思
【竹岡】アセアン域内では、どの国も昔から自 これは、政府が十分な準備をせず、特に部品
ているのでしょうか。
ブランドですが非常にいい車で、ジャカルタで
て、正面からぶつかって競争をしているという
ます。そして、エレクトロニクスも発展してい
に自動車産業などの製造業が非常に発展してい
インダストリー育成プログラムが適用される予
機機械などの部品産業にこのサポーティング・
つ、グランドリヴィナ(
の ブ ラ ン ド 名 で 行 っ て い ま す。 そ の う ち の 一
自動車は、自動車の組み立てを少なくとも三つ
【ウィジャクサナ】インドネシアとタイは、特 例を挙げてみましょう。インドネシアで日産
組み立てが行われています。しかし、ほとんど
定です。
【 竹 岡 】 ア セ ア ン は 二 ○ ○ 七 年 一 一 月 に、 ア セ
)という
Grand Livina
の部品はタイから輸入されています。日産自動
み立ては行われているけれども、部品はタイか
アン憲章を採択しました。この地域の中には、
車の他のブランドでも同じで、ジャカルタで組
ら来ているのです。インドネシアでも一部部品
格差の大きさや多様性が、大きな障害になると
経済力、あるいは政治制度については、いろい
さて、今回の日本とインドネシアのEPAの
指摘されています。その意味で、東アジアの統
は作っていますが、価格競争力がなく、タイ産
枠組みの中で、インドネシアでは幾つかのプロ
合が進んでいく上で、アセアンは一種のひな形
ろな国があり、東アジアの統合を考えるときに、
グラムが実施されようとしております。政府も
になると私は思います。
に比べると品質も劣るのです。
意欲を持って弱点に対処をし、部品産業の育成
ティング・インダストリーの育成も含まれてい
問題等いろいろな議論がありました。このアセ
憲章がつくられる過程では、多数決原則、人権
を図ろうというわけです。
このなかには、
サポー 二〇一五年の共同体結成に向けて、アセアン
ます。主に自動車産業、エレクトロニクス、電
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アン憲章をジャーナリストとして、どのように
な価値だと思います。
ンを聞いたとき、随分タイトなスケジュールだ
【ロウ】私が最初にアセアン憲章のタイムライ
きるだけ早く進めることです。彼らが自由貿易
への対応です。ラオス、カンボジアの開発をで
セアンで実現するためのキーポイントは、格差
われわれ自身が本当の意味での経済統合をア
と驚きました。アセアンでは、これまで物事は
に耐えられるような、ひいては通貨統合に耐え
評価されているか伺いたい。
ゆっくり進めてきたのですが、時代が変わった
くためには、富める国と貧しい国のギャップを
られるような、インフラを緊急に整備すること
私自身、アセアン憲章は非常に貴重なものだ
埋めていかなければなりません。シンガポール
のかもしれませんし、あるいは緊急性があると
と思っています。なぜなら、現実性のある形で
の観点からいいますと、これこそがプライオリ
です。アセアンを真の共同体として実現してい
新しい時代を描き、アセアン諸国間の結束力を
ティーだと思います。
いうことかもしれません。
象徴しているからです。アセアンの歴史をみる
と、最初はライバル関係であり、いろいろな経 また日本には、意欲的にアセアンに投資をし
ると思います。一番発達したシンガポールやマ
す。実際の統合は、幾つかの段階を経て行われ
ないというのは非常に厳しいと思っておりま
と思います。共同体作りの期間として一〇年も
けですから、早急にことを進めるのは良くない
化的、歴史的その他さまざまな多様性があるわ
多くの情報を伝えていません。アセアンには文
コミのほうも、初期段階であるという理由から
く分かっていないと思います。メディア、マス
だできたばかりで、ほとんどのタイの国民はよ
【リムサマルンパン】実は、アセアン憲章はま
るかについて、伺いたいと思います。
が、中国の台頭をどういうふうに受けとめてい
ていけないということが根底にあると思います
いと、投資の受け入れなどの面で中国に対抗し
かと思います。アセアンは結束を強めていかな
いでいるのは、中国の台頭があるためではない
がありました。それだけ、アセアンが結束を急
めるタイムラインの短さに驚かれたというお話
す。先ほどロウさんから、アセアン憲章をまと
国から圧力を受けているのではないかと感じま
います。私たちの目から見ると、アセアンは中
【竹岡】次に、中国に焦点を当ててみたいと思
てもらい、そのようなインフラ整備に協力して
レーシアなどが先陣を切って、それにタイとイ
【リー】中国については、マレーシアは非常に
済危機を経て育ってきました。ですから、アセ
ンドネシアが続き、それから、ラオス、カンボ
懸念をしていますが、一方で、外国企業は、中
いただきたいと思います。
ジアなどが追随するという形を踏んでいくべき
国では製品の知財保護が十分でないという理由
アン憲章の一番の大きな価値は、シンボリック
だと思います。
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地であり巨大な消費市場だと見ています。シン
の山と見ています。
で、ペナンなどに工場を建てています。マレー
【ウィジャクサナ】以前インドネシアでは、看
【リムサマルンパン】
中国というのは大きなチャ
ガポールから見れば中国は巨人なわけですが、
板なども含めて中国語が禁止されていました
レンジでもあるし、大きなチャンスでもあると
シアは、知財の保護の面で安心できるのだと思
が、今はそのような規制はありません。中国系
考えております。タイにとっては現段階では、
彼らをコンペティターとして見るのではなく宝
インドネシア人向けの中国語テレビチャンネル
得るものよりも失うもののほうが多いと思いま
います。
も 出 て き て い ま す。 ま た、 二 四 時 間、 中 国 語
す。ただ、五年先、一〇年先にはいろいろなメ
つの間にか、変わっていることに気づきます。
【ロウ】シンガポールは、中国は貴重な仕向け
うことなのかもしれません。
ことでありますし、逆に弱点が露わになるとい
間で持つことは、インドネシアにとって幸運な
う役割を果たさなければならないのか。皆さん
【 竹 岡 】 東 ア ジ ア の 経 済 統 合 で、 日 本 が ど う い
あるのでしょうが、世界でのお金の出し手がい
の中で、原油高をはじめとする資源高の影響も
といってもサブプライム問題だと思います。そ
【 竹 岡 】 最 近 の 経 済 界 の 話 題 と い い ま す と、 何
リットがでてくる可能性があると思います。
ニュースを流しているチャンネルもあります。
今や中国は、
台頭しつつある経済の巨人です。
欧米の金融機関が窮したときにお金を出した
のお話の中でも、やはり農業部門が問題だと思
より緊密な経済的関係をインドネシアと中国の
のは中東、あるいはシンガポールの政府系ファ
) で す。 ま だ、 お 金 を 出 し て い な い
Holdings
け れ ど も、 出 す 力 を 持 っ て い る 国 と し て、 中
ので、農業問題はそれほど重要なものではあり
日本と競合する農産品をあまり作っていません
ンドのテマセック・ホールディングス(
国 が あ り ま す。 中 国 の 外 貨 準 備 高 は お そ ら く
ません。
Temasek います。
【 ウ ィ ジ ャ ク サ ナ 】 イ ン ド ネ シ ア は そ も そ も、
二〇〇七年末に一兆五〇〇〇億ドル近くになる
シアは、好むと好まざるとにかかわらず、資本
ンド、
特に中国、
中東諸国、
シンガポール、
マレー
たが、基本的には、ソブリン・ウエルス・ファ
【ロウ】最近、マッキンゼーの報告を読みまし
【リムサマルンパン】日本の農業改革のひとつ
ます。
対して自由化しろと言える立場にはないと思い
せん。したがって、インドネシアは日本政府に
を政府が決定するので、全く自由化されていま
それから、インドネシアでは、農産品の価格
の提供者に将来なっていくのだろうということ
の現象だと思いますが、日本も農産品を海外に
と思います。
でした。
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アセアンジャーナリスト招聘シンポジウム「東アジアの新たな枠組みに向けて」
アセアンジャーナリスト招聘シンポジウム「東アジアの新たな枠組みに向けて」
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経済広報センター
ポケット・エディション・シリーズ
経済広報センター
ポケット・エディション・シリーズ
に日本の農家が改革に同意しないこともあるよ
輸出しようという機運が出てきています。確か
改めて感じました。
通れないと、スピーカーの方々のお話を伺って、
としたら、やはり農業の開放というのは避けて
No・
「エネルギー・環境問題で重要性高まる多国間協力」
日本経済研究センター会長兼日本経済新聞社論説顧問
小島
明
(文責
国際広報部主任研究員
藤原俊也)
うですが、ただこれも、徐々にではありますけ
れども、変わっていくのではないかと感じまし
た。
【竹岡】私は、日本の農業が衰退するとすれば、
それは安い輸入品のためというよりも、後継者
不足のほうが大きいと思っています。
日本の農業も、相手が門戸を開いてくれるわ
けですから、もう少し自信を持って自分たちも
門戸を開く。そこに活路を見いだすこともでき
るのではないかと最近感じています。
今日のタイトルであります、
「東アジアの新
たな枠組みに向けて」という意味で、日本が東
アジアの経済統合に何か役目を果たしていける
経済広報センター
ポケット・エディション・シリーズ
※当センターホームページでバックナンバー全文を
ご覽いただけます。
( http://www.kkc.or.jp
)
◆二〇〇五年発行
No・
「日中関係は今後どうあるべきか」
慶應義塾大学東アジア研究所長・法学部教授
国分良成
No・
「日本の行方について
─ドイツジャーナリストが見る日本の政治・経済の展望」
(ドイツジャーナリスト・シンポジウムより)
No・
「日本企業のイノベーション
─新たなる成長事業を創出するために」
ハーバード大学ビジネススクール教授
クレイトン・M・クリステンセン
No・
「EUは新しい
〝スーパーパワー〟
と成り得るか?」
EPC調査担当役員
フレーザー・キャメロンほか
◆二〇〇六年発行
62
No・
「ドイツ経済の行方─総選挙後の経済政策とEUへの影響」
(ドイツ経済に関するシンポジウムより )
63
No・
「ハードパワーとソフトパワー
─ アジアにおける勢力均衡を確保するために」
マサチューセッツ工科大学政治学・フォードインターナショナル教授
経済広報センター客員研究員
リチャード・J・サミュエルズ
64
No・
「東アジアにおける
日本・アセアン連携の重要性を考える」
フィリピン開発研究所所長
ジョセフ・T・ヤップほか
20
アセアンジャーナリスト招聘シンポジウム「東アジアの新たな枠組みに向けて」
アセアンジャーナリスト招聘シンポジウム「東アジアの新たな枠組みに向けて」
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経済広報センター
ポケット・エディション・シリーズ
経済広報センター
ポケット・エディション・シリーズ
No・
「ドイツは過去とどう向き合ってきたか?」
フリージャーナリスト
熊谷
徹
No・
「向上する債権国日本の海外収益力」
日本経済研究センター会長兼日本経済新聞社論説顧問
小島
明
No・
「EU拡大のなかでの中東欧市場の変化と魅力」
(中東欧に関するシンポジウムより)
No・
「今後のEU拡大と多様性─ヨーロッパとイスラーム」
駐日欧州委員会代表部副代表・公使
ミヒャエル・ライテラーほか
No・
「企業価値を高める企業経営とイノベーション」
(米国ビジネススクール教授招聘シンポジウムより)
◆二〇〇七年発行
No・
「中国経済の現状と展望について」
中国社会科学院世界経済政治研究所所長
(前中国人民銀行通貨政策委員会委員)
余
永定
No・
「東アジアの経済統合と日米に与える影響」②
〜パネルディスカッション
(ブルッキングス研究所との共催シンポジウムより)
No・
「米国の経験から何を学ぶか
─ グローバルな視点から見る企業経営への展望─」
(米国ビジネススクール教授・シンポジウムより)
No・
「中国経済のサステナビリティ
〜 地域格差、環境の視点から考える〜」
中国社会科学院低発達経済研究センター主任
袁
鋼明ほか
◆二〇〇八年発行
No・
「道州制で日本を変える」
No・
「分岐点に立つ世界経済
〜サブプライム問題と日本への影響」
みずほ総合研究所専務執行役員チーフエコノミスト
杉浦
哲郎
No・
「中国
〝経済大国〟
へのシナリオ
〜第一一次五ヶ年規画の目指すもの〜」
清華大学公共管理学院教授
同大学国情研究センター主任
胡
鞍鋼
No・
「アジアにおける日韓の役割」
(韓国ジャーナリスト・シンポジウムより)
No・
「
『京都議定書』目標達成に向けて
─みんなで止めよう温暖化─」
No・
「グローバリゼーションをどう生きるか
─英国ジャーナリストの見た日本と英国─」
(英国ジャーナリスト・シンポジウムより)
No・
「東アジアの経済統合と日米に与える影響」①
(ブルッキングス研究所との共催シンポジウムより)
No・
「東アジア共同体をいかに構築するか」
No・
「 グローバル化のもとでのわが国のEPA戦略を探る
─持続的成長の実現に向けて─」
No・
「 米国国民はどのような大統領を選択するか
─米国選挙に見る社会・国民の深層変化─」
ブルッキングス研究所シニア・フェロー
トーマス・E・マン
No・
「気候変動とエネルギー問題に
米国はどう対処するのか」
(米国シンクタンカー招聘シンポジウムより)
No・
「中国の台頭と向き合う」
(MITとの共催シンポジウムより)
No・
「東アジアの新たな枠組みに向けて」
(アセアンジャーナリスト招聘シンポジウムより)
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アセアンジャーナリスト招聘シンポジウム「東アジアの新たな枠組みに向けて」
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経済広報センター
ポケット・エディション・シリーズ
経済広報センター
ポケット・エディション・シリーズ
(財)経済広報センター
ポケット・エディション・シリーズの発刊に際して
経済広報センターは、土光敏夫氏(第四代経済団体連合会会長)のイニシャティブによって一九七八年に設立
された財団法人です。当時国内では、企業の存在意義、あり方が厳しく問われ、また海外では、台頭してきたア
ジアの経済パワー、すなわち日本の動向に注目が集まっておりました。そこで、日本企業の考え方、行動、社会
における存在意義などを広く内外にお伝えし、相互理解のチャネルとなるという志の下に、政府から独立した民
間非営利組織として当センターが設立されました。
現在当センターは、経済界の政策提言や意見を社会にお伝えすることに力を入れております。そのような活動
を支える基礎として、国内ではビジネスパーソン、消費者、ジャーナリスト、教育者、有識者との対話の機会を
数多く設け、また、海外からは、多くのジャーナリスト、研究者、経済人、教育者を日本に招き、あるいは海外
諸都市において日本の経済人、研究者による講演会やシンポジウムを開催するなどして、日本に関する理解の深
化に努めております。
幸い、これら対話・講演・シンポジウムは、知識、情報、知見という観点からして深い内容となっており、会
員各位から、当センター関係者のみが知るにとどめず、広く公共の財産として共有するに値するものであるとの
ご指摘をいただきました。
そこでこれからは、内外における対話や講演会やシンポジウムの記録をまとめ、
「経済広報センター・ポケッ
ト・エディション・シリーズ」として、逐次刊行することといたしました。会員の皆様のみならず、各界の方々
に広くご愛読いただければ幸いでございます。
このポケット・エディション・シリーズをより良いものとしていくために、各位のご教示を賜われば、幸甚に
存じます。
一九九九年一二月 財団法人 経済広報センター
発 行 2008 年 5 月 23 日
発 行 所 財団法人 経済広報センター
東京都千代田区大手町1−6−1 大手町ビル
TEL:03(3201)1411 FAX:03(3201)5590
編集・発行人 田中 秀明
印 刷 株式会社 大巧
財団法人 経済広報センター
経済広報センター ポケット・エディション・シリーズ No.88
経済広報センターは、財団法人として三八業界団体、一五
八企業の賛助を得て、経済界の広報活動を展開しておりま
す。
会長は御手洗冨士夫氏(日本経団連会長)
、副会長は、立石
信雄氏(オムロン相談役)
、
櫻井孝頴氏(第一生命保険相談役)
、
張富士夫氏(トヨタ自動車会長)
、
勝俣恒久氏(東京電力社長)
、
古川一夫氏(日立製作所社長)がつとめております。
活動は次の四つの柱で展開しております。第一に、経済界
の情報や提言を広く国の内外へ発信し、政策形成プロセスに
ッセージを多角的に受信し、経済界の活動にフィードバック
おける議論を活性化するための広報活動、第二に、社会のメ
する広聴活動、第三に、豊かな知識社会を創造するための教
育界との対話、第四に、会員企業・団体の広報活動の支援な
ど、各種サービスの提供です。
これからも皆様方のご意見を伺いながら、各界の方々にご
参加いただく活動を幅広く展開していきたいと考えておりま
す。
(本シリーズの緑色は国内広報活動、青色は
)
海外広報活動に関するものです
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アセアンジャーナリスト招聘シンポジウム「東アジアの新たな枠組みに向けて」
アセアンジャーナリスト招聘シンポジウム「東アジアの新たな枠組みに向けて」
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会館
千代田線
大手町駅
KDDI
●
NTT
半蔵門線
大手町駅
読売新聞
三菱東京
UFJ銀行
日経
新聞
●
大手町ビル ★
(財)
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● 都営三田線
大手町駅
逓信
博物館
産経新聞
● 丸の内線
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●
丸の内線 ●
東京駅
東西線
大手町駅
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JR
東京駅
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