平成 22 年度 神経内科 卒業試験

平成 22 年度 神経内科 卒業試験
問題 1 多発硬化症について誤っているものはどれか?
a.
病変に時間的多発と空間的多発がみられる
b.
遺伝性するタイプが知られている
c.
視神経、脳室周囲白質、脊髄に好発する
d.
男女では女性に多い
e.
有病率は本邦より欧米白人に多い
問題 2 多発性硬化症の臨床症候について誤っているものはどれか
a.
視力障害
b.
眼球運動障害
c.
筋線維束収縮
d.
膀胱直腸障害
e.
痙攣
問題 3 多発硬化症の検査で誤っているものはどれか?
a.
脳脊髄液オリゴクローナルバンド陽性
b.
通常血清抗アクアポリン 4 抗体が陽性である
c.
急性期では MRI 上、病変部は T2 強調画像で高信号を呈する
d.
通常末梢神経伝導検査で異常はみられない
e.
視覚および体性感覚誘発電位検査にて無症候性の病変が発見されることがある。
問題 4 多発性硬化症の治療で正しい組み合わせはどれか
1.再発予防にステロイドが有効である
2.急性期治療に血漿浄化療法が用いられる
3.再発予防にはインターフェロンが唯一エビデンスのある治療である
4.急性期治療には大量免疫グロブリン療法が有用である
5.急性期治療にはステロイドパルス療法が一般的である
a) 1,2,3 b) 3,4,5 c) 2,4,5 d) 1,2,4 e) 2,3,5
問題 5 CIDP で正しいのはどれか
a.治療にはステロイド、γグロブリン大量静注、血漿交換がある
b.脳神経領域は障害されない
c.脳脊髄液の細胞数増多が診断の助けとなる
d.四肢腱反射は亢進する
e.脊髄レベルに沿った感覚障害がみられる
1
30 歳の男性、X 年 X 月下旬に感冒症状および下痢があった。その 10 日後から両下肢の先に
ビリビリとしたしびれ感が出現した。翌日以降しびれの範囲が拡大し、下肢の脱力感も出
現し歩行しづらくなつた。2 日後に両手の先にもしびれが拡大し、箸が使いにくくなり、
腕の挙上もできなくなった。精査・治療希望で某病院受診した。.
問題 6 まず行うべき検査は下記のうちどれか
a. 末梢神経伝導検査
b. 脳波
c. 筋生検
d. 脳血流シンチグラフィー
e. 脳脊髓液検査 .
問題 7 治療は何をおこなうか
a. ビタミン E 大量内服
b. 大量γグロブリン療法
c. 抗生剤点滴
d. ステロイドパルス療法
e. へパリン持続点滴
問題 8 正しい記述を 2 つ選べ
a. 亜急性硬化性全脳炎(SSPE) は日和見感染症である。
b. 進行性多巣性白質脳症(PML) の病変の主座は脳幹である。
c. 亜急性硬化性全脳炎(SSPE)では、髓液風疹抗体価が上昇する。
d. 進行性多巣性白質脳症(PML) は、HIv 感染者に合併する頻度が高い。
e. 進行性多巣性白質脳症(PML)は、潜伏感染していた Jc ウイルスが活性化して発症する。
問題9 プリオン病について誤っているのはどれか。
a. 病原因子は異常プリオンというウイルスである。
b. 硬膜移植による二次感染が原因の症例は日本が最も多い。
c. 脳波検査をすると、周期性同期生放電(PSD)という波形を呈する。
d. 急速進行性の認知症、ミオクローヌス、視野異常、錐体路障害などを特徴とする。
e. 診断に有用なのは、脳波、頭部 MRI 拡散強調画像、脳脊髄液 14-3-3 蛋白検査である。
2
問題 10 孤発性 Creutzfeldt-Jakob 病は感染性があると考えられている。次のうち特に医原性感染に注意すべきハイリ
スク手技はどれか。すべて選べ。
a.
輸血
b.
骨髄穿刺
c.
眼球全摘術
d.
開頭血腫除去術
e.
膵頭十二指腸摘出術
問題 11 単純ヘルペス脳炎成人例の診断について、正しいのはどれか。2つ選べ。
a.
頭部 MRI で、後頭葉に異常信号域を高頻度に認める。
b.
発症早期から、頭部 CT で異常吸収域を高頻度に認める。
c.
髄液からの単純ヘルペスウイルス分離は高頻度に検出される。
d.
発症早期から、脳波の異常所見はほとんどの症例で認められる。
e.
発熱や意識障害が出現する前に、精神症状が先行して発症する場合がある。
問題 12 各病原体による神経系の障害部位として誤った組み合わせを選べ。
a.
Herpes simplex virus type 1
――脳
b.
Mycobacterium tuberculosis
――髄膜
c.
Human T-lymphotropic Virus
――脊髄
d.
Mycobacterium leprae
e.
Clostridium tetani
――末梢神経
――神経筋接合部
問題 13 症例は 72 歳女性。既往歴として、関節リウマチがありステロイド剤を内服中だった。本日朝は頭重感を訴えや
や食欲がなさそうにしており、元気がなかった。夕方になって帰ってきた家族が、嘔吐して居間に倒れている患者を発見、
呼びかけに応じないため救急隊を要請した。病院到着時は JCS II-200、体温 39.0 度、血圧 120/70、脈拍 90/分、
SpO2 98%(room air)、尿失禁をしている。明らかな麻痺は認めなかったが、項部硬直、jolt accentuation を認めた。
今すぐに施行しなくてもよい検査/処置はどれか。1 つ選べ。
a.
頭部 CT
b.
頭部 MRI
c.
血液培養
d.
脳脊髄液検査
e.
抗生剤の投与
3
問題 14 ウェルニッケ脳症の主要な徴候の組み合わせ(07 年問 59 と同じらしい)
1.
意識障害
2.
嚥下障害
3.
求心性視野障害
4.
眼筋麻痺
5.
失調性歩行
a123 b125 c145 d234 e345
問題 15 アルコールとの関係が特にないのはどれか。一つ選べ(09 年問 10 と同じ)
a てんかん発作
b 慢性硬膜下血腫
c 小脳変性症
d 多発筋炎
e 撓骨神経麻痺
問題 16 正しい組み合わせはどれか。2 つ選べ(08 年問 37 と同じ)
a 甲状腺機能亢進症―CK 上昇
b 甲状腺機能低下症―筋肥大
c 高 Ca 血症―テタニー
d 低 K 血症―意識障害
e 副甲状腺機能低下症―痙攣発作
問題 17 誤っている組み合わせはどれか(09 年問 11 と同じ)
誤っている組み合わせはどれか
a. 側頭動脈炎
----視力障害
b. 全身性エリテマトーデス
---- 精神症状
c. サルコイドーシス
---- 顔面神経麻痺
d. リウマチ性多発筋痛症
---- 手根管症候群
e. 抗リン脂質抗体症候群
---- 脳梗塞
問題 18 正しい組み合わせはどれか
1. イソニアジド(INH)
---- 多発性ニューロパチー
2. 鉛
---- 橈骨神経麻痺
3. 砒素
---- 皮膚の色素沈着
4. 有機水銀
---- 求心性視野狭窄
a. 1,3,4 のみ
b. 1,2 のみ
c. 2,3 のみ
d.4 のみ
e. 1~4 のすべて
4
問題 19 60 歳の男性。若いころからのアルコール多飲歴があり、最近は毎日ウイスキーで 1/2 本ほど飲んでいる。今回、
肺炎にて入院となった。最終飲酒約 8 時間後から頻脈、血圧上昇、易刺激性、不眠、振戦、発汗を認めるようになっ
た。次に行う処置はどれか。
a. 離脱痙攣発作を予防するため、フェニトインを投与する
b. ジアゼパムを投与する。
c. クロルプロマジンを投与する。
d. 脳梗塞の疑いのため CT 検査を至急行う。
e. 甲状腺機能亢進症を疑い血液検査を行う。
問題 20 65 歳女性、高血圧あり。左不全片麻痺で入院。左深部感覚低下あり。挺舌で舌が右へ偏奇する。最も考
えられる病巣はどこか
a 右視床
b 右内包
c 右橋底
d 右延髄内側
e 右延髄外側
問題 21 68 歳右利き男性。既往なし。自宅で突然倒れ、入院。血栓溶解療法を行ったあとで、リハビリテーション病院
に転院となった。転院時、運動性失語と右不全片麻痺が後遺症として残った。病変部位として考えられるものはどれか
a 左前大脳動脈領域
b 左中大脳動脈上枝領域
c 左中大脳動脈下枝領域
d 左後大脳動脈領域
e 脳底動脈領域
問題 22 23 歳男性。既往歴なし。職場でデスクワークをしているときに、突然のめまいと嘔気が出現し入院。翌日の
MRI は右図のとおりである。原因として最も考えやすいものはどれか
a 心原性脳塞栓症
b アテローム血栓性脳梗塞
c 脳動脈解離
d 急性硬膜下血腫
e ラクナ梗塞
5
問題 23 次の MRI は一般になんと呼ばれている撮影法か?
a. T1 強調画像
b. T2 強調画像
c. T2*強調画像
d. FLAIR 画像
e. ADC map
問題 24 下の MRI 画像の原因疾患として、最も考えやすいものはどれか?
a. プリオン病
b. ウイルス脳炎
c. Wernicke 脳症
d. 亜急性硬化性全脳炎
e. Marchiafava-Bignami 病
6
問題 25 下の MRI 画像の原因疾患として、最も考えやすいものはどれか?
a.特発性正常圧水頭症
b.特発性肥厚性硬膜炎
c.Hallevolden-Spatz 症候群
d.先天性脳梁欠損症
e.Machado-Joseph 病
問題 26 脊髄の運動・感覚路について正しいものはどれか(2 つ)。
a.錐体路線維は 99%以上が側索を下降する。
b.中心管付近の病巣で解離性感覚障害を生じる。
c.温痛覚は外側脊髄視床路を通って伝達される。
d.振動覚・位置覚は前脊髄視床路を通って伝達される。
e.臍周囲の感覚は Th7 レベルの皮神経に支配されている。
問題 27 前脊髄動脈症候群の特徴として正しいものはどれか(2 つ)。
a.発症直後は尿閉を来す。
b.運動麻痺は軽度であることが多い。
c.大動脈解離が原因となることがある。
d.振動覚・位置覚が障害されることが多い。
e.髄液検査で細胞数増多を認めることが多い。
問題 28 髄液の特徴と疾患の組み合わせとして正しいものはどれか(2 つ)。
a.日光微塵-ウイルス性髄膜炎
b.日光微塵-急性化膿性髄膜炎
c.キサントクロミー-クモ膜下出血発症直後
d.蛋白細胞解離-慢性炎症性脱髄性多発根神経炎
e.オリゴクローナルバンド陽性-視神経脊髄炎(Neuromyelitis Optica)
7
問題 29 Brown-Sequard 症候群について正しいもの2つ
a 病変の脊髄レベルで同側の筋萎縮
b 病変の脊髄レベルより下位で病変と対側の振動覚障害
c 病変の脊髄レベルより下位で病変と対側の温痛覚障害
d 病変の脊髄レベルより下位で病変と対側の運動障害(麻痺)
e 病変の脊髄レベルで横断性(病片側、対側含)の全感覚障害
問題 30 間違いを2つ
a 脊髄癆—神経梅毒
b 脊髄空洞症—脊髄腫瘍
c 亜急性連合変性症—ニコチン酸欠乏
d 脊髄性間欠性跛行—腰部脊柱管狭窄症
eHAM-HIV
問題 31 C3/4 および C4/5 の椎間板ヘルニア(頸椎症性脊髄症)と筋委縮性側索硬化症(ALS)の合併が疑われる
患者を見た場合、頸椎症の所見ではなく ALS による可能性が強いと考えられる所見はどれか? 2 つ選べ。
a
大腿四頭筋腱反射亢進
b
上腕二頭筋の腱反射亢進
c
上腕三頭筋の腱反射亢進
d
上腕二頭筋の筋委縮・線維束性収縮
e
上腕三頭筋の筋委縮・線維束性収縮
問題 32 ポリグルタミン病の特徴で原因遺伝子の CAG リピート数と発症年齢が反比例することを何というか
a RNA 干渉
b 表現促進現象
c 遺伝子不活性化現象
d 遺伝子間相補正現象
e 選択的スプライシング
問題 33 多系統委縮症であまり見られない臨床所見はどれか
a 筋固縮
b 排尿障害
c 企図振戦
d 件反射亢進
e 声門開大障害
8
問題 34 アルツハイマー病の初期~中期で認めやすいものは
a 幻覚
b 常動行動
c 人格変化
d 取り繕い行動
e 物取られ妄想
問題 35 パーキンソン病で認めにくい症状はどれか
a. 嗅覚異常
b. 抑うつ症状
c. 四肢の筋強剛
d. 眼球運動制限
e. 姿勢反射障害
問題 36 パーキンソン病の治療の副作用で認めやすいものはどの2つか
a. 眠気
b. 吃逆
c. しびれ
d. ジスキネジア
e. 舞踏アテトーゼ
問題 37 筋萎縮性側索硬化症で陰性徴候はどの2つか
a. 首下がり
b. 排尿障害
c. 眼球運動障害
d. 四肢の筋委縮
e. 筋線維束性収縮
問題 38 80 歳男性。家族歴無し。既往歴:70 歳より高血圧症。75 歳時より、人の名前や場所を忘れるようになり、そ
の後動作が緩慢になって歩行は小刻みになった。また、同時期頃から家の中に大勢の人が出入りしている、天井に人が
見えることなどを訴えるようになった。本人が見えている家に出入りする人は季節にあった服装で色もっいていた。その後
徐々に身体的障害と認知機能障害は進行し、80 歳時に誤嚥性肺炎で入院した。
上記の症例で最も考えられる疾患を予想し、その特徴的な検査所見を次の中から選べ
a.脳波で周期性同期性放電を認める。
b.脳 MRI で海馬の萎縮が著明である。
c.脳 MRI で片側頭頂業の萎縮が著明である。
d.脳血流 SPECT で後頭葉の血流低下を認める。
e.脳血流 SPECT で前頭側頭葉の血流低下を認める。
9
問題 39
表1は疫学研究で有名な久山町研究での脳卒中の死亡率・発症率である。
以下のうちで正しくないのは
a. 1970 年代は高血圧への対応が進んで脳出血の発症率が減少した。
b. 1970 年代は高血圧への対応が進んで脳梗塞の発症率が減少した。
c. 高齢化や脂質代謝障害・糖尿病の増加で近年卒中の現象が鈍化した。
d. 脳卒中の全身管理や予防対策により、死亡率が減少している。
e. rt-PA 治療の導入で 1990 年代の脳梗塞死亡率が減少した。
問題 40.
35 歳男性。3 時間前からのひどいしやっくりと飲み込みづらさ、めまいを訴え来院。既往症なし。発症半日前に 3 年ぶり
の水泳をしており、途中で左後頚部に痛みが出現していたという。右回旋性(正面。右方視)の眼振と左注視時水平眼
振、左軟ロ蓋。咽頭後壁の動きが弱く、左顔面と首から下に右半身の痛覚鈍麻を認めた。来院時の頭部 MRI T2 強調
画像を示す。
予想される病態は?
a.右内頚動脈解離による右視床・内包梗塞
b.椎骨動脈による左延髄外側梗塞
c.前大脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血
d.右視床出血
e.頚髄梗塞
10
問題 41 68 歳男性。右手に持っていた箸が上手く使えなくなり、 20 分ほどでまた右手が普通に動くようになつたとのこと
で来院。診察時所見:血圧 170/80mmHg、脈拍 90/分・整、貧血・黄疸なし。顔面を含め麻痺を認めず、感覚異常も
なかった。左類部血管雑音を認めた。頭部 MRI 画像では拡散強調画像。FLAIR 画像でも異常はなかった。頚動脈エコ
ーの結果を図 2 に示す。
行うべき対応の組み合わせは?
1. 高血圧に対し利尿剤を投与した。
2.一過性脳虚血発作と診断し抗血小板薬を処方して同日帰宅させた。
3. 病歴の聴取と心電図、 心エコーを行ない冠動脈疾患の可能性を検討した。
4. 糖尿病・脂質代謝異常について採血を行った。
5. 抗血小板剤を投与し 1 日入院し経過を観察した。
a.1、2、3 b.2、3、4 c. 3.、4.、5 d.1、4、5 e.1、2、5
54 歳女性。夕食の準備中に突然頭痛が出現。10 分後に左上下肢に力が入りにくくなり、しびれ感を伴っていたため救
急車で来院した。来院までの間の症状に変化はなかった。意識は清明で、顔面を含む左片麻痺、左上下肢の腱反射
亢進、バビンスキー反射が左で陽性のほか神経学的に異常は認めなかった。
問題 42 この患者の頭部 CT として最も考えられる画像を図 3 の a-e から選べ。
問題 43 この病態でもっとも重要なリスクファクターは?
a.糖尿病
b.脂質代謝異常症
c.高血圧症
11
d.心房細動
e.喫煙
問題 44 78 歳男性。狭心症でアスピリン・Ca 拮抗薬を内服中。3 週間前から時々頭痛を訴えていたが様子を見ていた。
2 週間前から 1 日中頭痛が続くようになり、徐々に左下肢が引っかかって歩くようになり、更衣が一人でできなくなった。何
をするのも遅く、ボーッとしていたため認知症が疑われ、家族に連れられ来院。血圧 168/78、脈拍 64/分、体温 36.2℃、
ややぼーっとしているが日付・場所の見当識は保たれていた。左手足に皮下血腫を認め、左下 1/4 同名半盲、左不全
片麻痺を認めた。
この患者の頭部単純 CT と診断の組み合わせは次のうちどれか。
a. A-右慢性硬膜下血腫
b. A-右慢性硬膜外血腫
c. B-右髄膜腫
d. B-右硬膜外膿瘍
e. A-右くも膜下出血
12
Elizabeth Cohen の“Empowered Patient”の序文である。
問題 45 本書の表題をつけよ。
問題 46 本書を書いた目的は何か?4 点記せ。
問題 47 著者が本書を書くに至った経緯は何か?100 字以内で書け。
13
平成 22 年度 神経内科 卒業試験 解答・解説
問題 1 b
a.
○中枢神経に脱髄病変が時間的にも空間的にも発症するので再発と寛解を示す。
b.
×?アフリカ黒人には日本人よりもまれな疾患で、伝子の違いがその頻度に大きく影響していることを示している(難
病情報センターHP より)。遺伝性するタイプなるものの記載は見つけられませんでした。
c.
○病巣は側脳室周囲、視神経、脳幹、脊髄などの白質に好発する。
d.
○男性:女性=1:1.1~1.7 でやや女性に多い。
e.
○我が国は欧米に比べ少ない。(日本 2~4 人/10 万人、欧米 30~80 人/10 万人)
(参考資料:南山堂 医学大辞典、新病態整理できった内科学 7)
問題 2 c
臨床症候は麻痺、感覚障害、視力視野異常、複視、眼振、失調、構音障害、対麻痺、膀胱直腸障害などが様々
な組み合わせで出現します。詳細は教科書を参考にしてください。
a.
○一側性または両側性の球後神経炎をきたし、急速に進行して視力低下や中心暗転を伴う。日本で多く見られ
る症状の 1 つ。
b.
○脳幹障害で MLF 症候群がみられます。
c.
×ALS の下位運動ニューロン変性の症候のひとつとして線維束性収縮が認められる。
d.
○仙髄および上部の脊髄障害によって生ずる。自動性膀胱が MS ではよくみられる。
e.
○有痛性強直性痙攣
(参考資料:南山堂 医学大辞典、新病態整理できった内科学 7)
問題 3 b
a.
○oligoclonal band(+)の疾患は①中枢神経系感染症(髄膜炎、脳炎) ②脱髄性疾患(MS)
b.
×抗アクアポリン 4 抗体(+)なのは視神経脊髄炎 Neuromyelitis Optica (NMO)、MS では(-)である。
c.
○MRI では無症候性病巣を認め、多数の斑状所見が得られる。T1 強調画像で low intensity,
T2 強調画像で high intensity が大脳白質、特に側脳室周囲に認められる。
d.
○多発性硬化症は中枢神経のみ侵され、末梢神経は通常傷害されないため、末梢神経伝導速度検査で伝導
速度に異常はみられない。
e.
○視覚誘発電位(VEP)、体性感覚誘発電位(SEP)は診断的意義があるが異常がみられないものもある。
(参考資料:新病態整理できった内科学 7 year note)
問題 4 e
【解説】 多発性硬化症の治療は急性憎悪期の治療、再発防止及び進行防止の治療、急性期及び慢性期の対症
療法、リハビリテーションからなる。
多発性硬化症の初発時あるいは再発時の急性期にはできるだけ早くステロイド療法を行う。これにはメチルプレドニゾロ
ンなどのステロイド大量点滴静注療法(パルス療法と呼ぶ)が推奨される。
今日多発性硬化症の再発を確実に防止する方法はまだない。唯一本邦で認可されているインターフェロンβが再発率
14
を有意に減少させることが二重盲検法で確かめられた。
多発性硬化症の再発を促進する因子として知られるストレス、過労、感染症などを回避するよう患者の指導に努める。
(※YN には再発予防として IVIG や免疫抑制薬が書いてありますが、エビデンスはまだないようです)
問題 5 a
【解説】 b ギランバレーと同じく脳神経領域も障害(顔面神経麻痺等)
c 半数以上で髄液蛋白上昇がみられる(蛋白細胞解離)
d 下位運動ニューロンの障害だから腱反射は減弱~消失
e 運動神経障害
問題 6
e(問題6~8は過去問と同じにつき解説割愛)
問題 7 b
問題 8 d, e
問題 9 a
【解説】:プリオン蛋白はウイルスではありません。
問題 10 c・d
【解説】:2009 年の問題 17 の解説を転載。
プリオン病感染予防ガイドラインが 2008 年に出されており、編集責任者は黒岩教授です。ガイドラインによりますと、侵襲
的医療行為は概ねリスクがあって、その中でもとくに以下のハイリスク手技が挙げられています。
◎脳外科手術・整形外科手術・・・硬膜の切開・穿刺する場合、松果体・下垂体・神経節自体に接触する場合、髄
液の漏出を伴う場合
◎眼科手術・・・視神経・網膜に接触する場合
また、孤発性 CJD・遺伝性 CJD では脳・脊髄・網膜などが高感染性組織として挙げられており、BSE による変異型
CJD では血液やリンパ組織についても感染性を有するとされています。
問題 11 d.e
a 神経放射線学的所見にて側頭葉・前頭葉(主として,側頭葉内側面・前頭葉眼窩・島
回皮質・角回を中心として)などに病巣を検出する。
c 髄液からのウイルス分離は稀である。PCR は血清で行う。
e 発熱・嘔吐・髄膜刺激徴候などの身体症状より先に、急性意識障害(覚醒度の低下,
幻覚・妄想,錯乱などの意識の変容)など、亜急性の人格変化や見当識障害で発症するものもある。
b.d 以下、参考文献の記載の抜粋である。
単純ヘルペス脳炎本邦例 99 例の脳波および CT 所見を分析したところ、脳波異常は全経過中 99%検出さ
15
れ、CT 異常は全経過中 81%の症例で認められた。発症早期における脳波および CT 所見の異常検出頻
度の分析では、脳波の方が CT よりも異常を高頻度に検出していた。脳波と CT との関連についての分析で、
脳波異常の方が CT 異常 より先に検出された例が多かった。
これらより、早期から頭部 CT で異常吸収域が検出されることは少なく、脳波のほうでは早期からほとんど症例で異常
が認められるといっていいのではないかと思います
参考文献:日本神経感染症学会 単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン
問題 12 e
a HSV1 は主に口唇ヘルペス、ヘルペス口内炎、ヘルペス角膜炎、単純ヘルペス脳炎を
起こします。脳炎は側頭葉に好発します。
b 結核菌は結核性髄膜炎を起こします。当然髄膜に炎症を生じています。
c HTLV-1 は成人 T 細胞性白血病の原因となる。キャリアの一部は HAM(HTLV1associated myelopathy)と呼ばれる病態を発症し、慢性の痙性脊髄症を発症する。
d らい菌はハンセン病の原因菌となる真正細菌で、抗酸菌に属する桿菌である。宿主の
細胞内で増殖し、特に末梢神経に親和性が高い。
e 破傷風菌はテタノスパスミンという破傷風毒素を産生する。この毒素は神経筋接合部
から神経終末膜を介して取り込まれる。毒素は逆行性輸送されて脊髄前角に到達し、細胞膜を通過しシナプス
前膜を通りさらに上位の中枢へ運搬される。そこで抑制性シナプスを遮断し痙性麻痺を引き起こす。
よって、障害部位は神経筋接合部ではなく上位ニューロンです。
問題 13 b
診断は髄膜炎です。意識障害・発熱・嘔吐・髄膜刺激徴候あり。Jolt Accentuation とは首を左右に振ることで頭痛
が増強した場合に陽性とする。また、参考までに、Neck Flexion Test は顎を胸につけるように首を曲げようとしても首が痛
くて曲がらない場合を陽性とする。いずれも感度の高い髄膜刺激徴候である。頸部硬直がないからといって髄膜炎は否
定できないが、この 2 つの徴候がないならば髄膜炎は否定できる、らしい。
治療方針としては、髄膜炎を疑った場合採血と血液培養を 2 セットとる。また脳脊髄液の検査を行いたいが、頭蓋内
占拠性病変があった場合脳ヘルニアを起こす危険性が高いので、頭部 CT を施行し異常所見がなければ脳脊髄液を
採取する。そして、血液培養の結果が出るまでの間にも治療の行わないと予後が悪い。そこで起因菌の同定が行われる
までは、年齢などを考慮して起因菌となりやすい菌を考慮した抗菌薬を投与する。それに関しては QB やイヤーノートを参
照してください。
経過で神経症状が発症した場合に頭部 MRI を施行することはあると思いますが、診断・治療開始までの初期治療の
時間内で MRI のような時間のかかる検査は行わないと思います。
参考文献:日本神経感染症学会 細菌性髄膜炎の診療ガイドライン
16
問題 14 c
【解説】:
ウェルニッケ脳症(Vit.B1 の欠乏)…第3,4脳室、中脳水道周辺の急性壊死
突然の意識障害(せん妄)、小脳障害(失調性歩行)、
眼球運動障害、精神症状(Korsakoff 症候群:健忘、失見当識、作話)
year note J-163
問題 15 d
【解説】:
○ a、アルコール性てんかんと呼ばれる病態が存在し、アルコール離脱症状のひとつである。
○ b アルコール多飲者は脳萎縮があり、転倒しやすく慢性硬膜下血腫を生じやすい。
○ c アルコール性小脳変性症では,持続性の下肢・体幹の小脳性失調失調がみられる。
× d.多発筋炎とは関連が特にないと思います。アルコール性ミオパチーは存在する(1、横紋筋融解によるもの。2.下痢、
嘔吐による低 K 血症によるもの。)が、全く病態が違う。
○ e アルコール性ニューロパチーと呼ばれる病態が存在する。末梢神経障害を示し、感覚・運動障害が四肢末端に強
く、左右対称に起こるのが普通である。
year note K-19 アルコール関連身体障害、 K-20 アルコール離脱症状
問題 16
b、e
【解説】:
×a 甲状腺機能低下症では CK 上昇がみられる。
○b 甲状腺機能低下症では筋肥大をきたす。
×c 低カルシウム血症でテタニーをきたす。
×d 低カリウム血症では神経学的症状はみられず、意識障害を来たさない。
○e 副甲状腺機能低下症では痙攣発作がみられる。
year note D-28 D-33 D-46 神経内科卒業試験 2010 本試験
問題 17 d
【解説】(2009 年過去問より)
手根間症候群は、アクロメガリ(先端巨大症)の合併が多い。
a.
正しい。網膜中心動脈が傷害され、失明にいたる。50%にリウマチ性多発筋痛症の合併。
b. CNS ループスのこと。
e.
正しい。動静脈の血栓症が見られる。
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問題 18 e
【解説】
1.イソニアジド(INH)の主な副作用は
①多発性ニューロパチー(N:Neuro)
②肝障害(H:Hepato)
です。神経障害は Vit.B6 欠乏によるものなので、Vit.B6 の投与を行います。
2.その通り。他に貧血や鉛顔貌
3.慢性症状として見られる。急性症状は消化管症状(吐き気、嘔吐、下痢、激しい腹痛)。
4.後頭葉の障害によって求心性視野狭窄をきたします。KB にもたびたび出てくるヤマです。
問題 19 b
【解説】
大酒家が断酒後数時間から数十時間で頻脈、血圧上昇、不眠、振戦、発汗を認めることから、アルコール離脱症が最
も疑われる。
a. アルコール離脱けいれんの予防には,抗けいれん薬はほとんど価値がない。
b. 催眠作用、抗不安作用、抗痙攣作用を示し、アルコールの離脱症状に対して有効である。
c. 抗精神病薬はハロペリドールが用いられる。
d. 症状から脳梗塞は考えにくい。
e. 症状のキーワードは似てますが…年齢、性別、経過からいって違うでしょう。
問題 20 d
Dejerine 症候群(延髄傍正中症候群、延髄内側症候群)
舌下神経交代性片麻痺とも言われ、対側の運動麻痺に触覚・深部感覚の障害、同側の舌下神経麻痺をみる。
問題 21 b
中大脳動脈 上行枝の閉塞
o 上腕症候群: 手または手と腕の脱力
o 前頭弁蓋部症候群: Broca 失語を伴う顔面筋力低下
中大脳動脈 下行枝の閉塞
o Wernicke 失語
o 上 1/4 半盲
http://suuchan.net/pukiwiki/index.php?%C3%E6%C2%E7%C7%BE%C6%B0%CC%AE
問題 22 a
小脳梗塞の原因としては、心房細動が最も考えられます。脳底動脈解離については、頭痛を訴えていないため否定的
と考えました。
18
問題 23 d
信号強度が灰白質>白質で、自由水が低信号なので FLAIR 像だと思います。
一応調べたのですが、なにかご存知の方はメールください。
問題 24 Wernicke 脳症
視床、第三脳室、第四脳室周囲に異常信号がみられる
問題 25 特発性正常圧水頭症
髄液吸収障害による脳室の拡大がみられる
問題 26 b, c
a:交叉する錐体路線維の割合は 70~90%です
b,c,d:温痛覚は外側脊髄視床路を、深部覚は後索を上行します。温痛覚に関する線維は中心管付近を走行する
ので、中心管付近の障害では深部覚・触角は正常だが温痛覚が障害されるため、解離性感覚障害となる。
e.臍は Th10
問題 27 a, c
a:膀胱は神経支配の非常に強い臓器であるため、神経因性膀胱となる。
b:病初期には穂トンの対麻痺または四肢麻痺をきたします。
c:原因としては大動脈瘤解離、大動脈瘤の手術、血栓、塞栓髄外病変による圧迫など。
d:深部感覚は後索を走る。前索を走るのは温痛覚。
e:一般的に脳脊髄液は正常です。
問題 28 a, d
a,b:日光微塵は結核性髄膜炎、真菌性髄膜炎、ウイルス性髄膜炎でみられる。細菌性髄膜炎では髄液は混濁して
いる。
c:クモ膜下出血は発症直後は強い血性を示します。キサントクロミーは出血後 2~4 時間後に見られる。
d:ミエリンを標的とする自己免疫性疾患で、髄液検査では蛋白細胞解離を示す例が多い。
e:視神経脊髄炎は視神経脊髄型多発性硬化症と同一の疾患で多発性硬化症とは異なる病態をもつ独立した疾患
である。多発性硬化症ではオリゴクローナルバンド陽性となるが、視神経脊髄炎ではオリゴクローナルバンド陰性となる。
問題 29
a,c
障害部以下で同側の錐体路障害による運動障害、深部腱反射亢進、深部感覚低下、反対側の温痛覚障害
障害髄節に一致して障害側の全感覚低下、下位運動ニューロン麻痺
問題 30
c 亜急性連合変性症はビタミン B12 欠乏症の1つ
e HAM は HTLV−1の感染による
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問題 31 b, e
【解説】:C3/C4、C4/C5 のヘルニアにて、C4、C5 の根症状に加え脊髄圧迫による C5 以下の脊髄症も起こると考えら
れる。よって、上腕二頭筋の筋萎縮・線維束性収縮、大腿四頭筋腱反射亢進、上腕三頭筋腱反射亢進は頸椎症
により説明がつく。C5 レベルについては根症状が優位に働くため上腕二頭筋腱反射は低下するので、頚髄症では説明
がつかない。
問題 32 b
過去問と一緒です。
表現促進現象
問題 33 d
a.筋固縮は錐体外路障害でみられます
パーキンソニズムです。
b.排尿障害は自律神経やられて、shydrager で見られます
c.企図振戦は見られると思います。
パーキンソニズムの振戦はみられにくいようですが、これは安静時振戦のことで、小脳症状の企図振戦は見られます。
d.腱反射亢進は錐体路障害で見られそうですが、その様な記載はなく、頻度は低いんですかね?他の選択
肢が合っているのでこれなはずです。
e.声門開大障害は錐体路障害でみられます。shydrager で見られやすく、窒息を疑ったら気管切開です。
問題 34 d.e
a.アルツハイマー病は幻覚は見ないと思われます
b.常同行動は pick 病中期との引っ掛け?
c.人格は晩期に崩壊します。
d.取り繕い行動は知能低下を否定するので初期にあるみたいです
e.もの取られ妄想は初期にあるみたいです。家族もこれに気付いて受診です。
問題 35 d
パーキンソン病では錐体外路障害による4大徴候の
1)無動,2)固縮(筋強剛),3)安静時振戦,4)姿勢反射障害
の他に、精神症状(抑うつ,認知症など),自律神経症状(便秘,脂漏性顔貌(皮脂の分泌亢進による油っぽい顔つき),排
尿障害,起立性低血圧など),嗅覚障害,Myerson 徴候(眉間を叩打し続けても瞬きたいつまでも続く)がある。小刻み
歩行やすくみ足は姿勢反射障害に分類される。
a. ○ 嗅覚をつかさどる領域の脳神経細胞の変性も一因のようです。
b. ○ 精神症状の一つ
c. ○ 4 大徴候の一つ
d. ×
e. ○ 4大徴候の一つ
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問題 36 d,e
パーキンソン病の治療薬の L-Dopa の副作用は
初期症状:悪心・嘔吐,起立性低血圧,不随意運動(口舌ジスキネジア,舞踏様運動,アテトーゼ),
(幻覚,夜間せん妄),不眠,抑うつ
長期症状:Wearing off 現象(薬効時間の短縮による症状の再現)
On and off 現象(服薬時間によらず突然の症状悪化や軽快)
その他、悪性症候群(発熱,錐体外路症状,自律神経症状,意識障害,CK・LDH 上昇)に注意。
ここでは L-Dopa の副作用と考えて解答をつくります。
a. ×
b. ×
c. ×
d. ○ 口をもごもごさせるのが口舌ジスキネジア
e. ○ 舞踏様運動なのかアテトーゼなのかよく分りませんが、どっちも副作用にあるので正解としました
問題 37 b,c
ALS では上位・下位運動ニューロン障害の他、球麻痺症状を認めます。
一方、ALS の4大陰性所見は1)他覚的感覚障害,2)眼球運動障害,3)膀胱直腸障害,4)褥瘡です。
a. × 頸部筋力低下により認める
b. ○ 4大陰性所見の一つ
c. ○ 4大陰性所見の一つ
d. × 特に上肢に強く認めます(上位運動ニューロン障害は特に下肢に強く認めます)
e. × 下位運動ニューロン障害による症状です
問題 38 d
色のついた幻覚(幻視)を思わせる文章があり、高血圧以外の
文章からは Lewy 小体型認知症と考えられる。
特に Lewy 小体型認知症では、「生々しい幻覚」を伴うことが多い。
問題 39 e
消去法で。t-PA が保険適応になったのはもっと後だと思います。
他の選択肢が絶対に違うとは言えないので。
問題 40 b
まず、所見をまとめてみましょう。
突然の回転性めまい→ 脳血管障害?
水平性眼振・めまい→ 前庭神経の障害
回転性眼振→ 脳幹障害
嚥下障害、左軟口蓋・咽頭後壁の障害→ 球麻痺(左Ⅸ、Ⅹ障害)
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精神症状
左顔面痛覚鈍麻→ 左Ⅴ障害
首から下右半身痛覚鈍麻→ 左外側脊髄視床路障害
以上より、選択肢からも左 Wallenberg 症候群が疑われる。という目で、画像を見ると‥
延髄外側に高吸収域がみられます。(たぶん‥)
ちなみに、椎骨動脈動脈解離による Wallenberg 症候群というのがあり、若年者の脳梗塞や原因不明の脳梗塞の原因
として重要で、解離のため発症に先行して頭痛や頸部痛がみられるそうです。
a. ×視床の障害では全感覚障害がみられる。内包障害で錐体路症状。
b. ○Wallenberg 症候群では同側 Horner 症候群が有名ですが、網様体は延髄の内側にあるので障害されないことも
あるのでは?また、球麻痺は Wallenberg 症候群では舌下神経は障害されにくい。同側の小脳運動失調も大
事。
c. ×頭痛や項部硬直がみられる。画像からも疑われない。
d. ×鼻側変視、対側片麻痺、視床痛、対側知覚鈍麻。
e. 脳神経障害があるので×
問題 41 c
TIA です。一過性脳虚血症状を呈するが、24時間以内に解除され脳梗塞に至らないもの。
症状:一過性黒内症、めまい、片麻痺、感覚障害、失語、失認
治療:入院して経過観察が重要!!降圧薬、抗血小板薬(アスピリン、クロビドグレル、シロスタゾール)、抗トロンビン薬。
外科的治療は、ステント、バイパス、頸動脈内膜剥離術。
発症には、アテローム硬化と血栓が重要。アテローム硬化のリスクファクターは、高血圧、DM、高脂血症、肥満、運動不
足、喫煙、アルコール多飲など。
問題では、右上肢の一過性片麻痺が起こっています。画像はよくわかりませんが、ドップラーから内頸動脈の狭窄がみら
れると思われます。
1. ×急性期の治療としては、抗血小板薬がまず選択される。優先性は低い?
2. ×帰宅させてはいけない!
3. ○TIA では病歴の聴取は重要。また、TIA の患者は冠動脈疾患のリスクが高い。
4. ○
5. ○入院が重要!
問題 42 d
問題 43 c
【解説】
発症が活動中の突発性であるため、脳卒中(脳出血か心原性脳梗塞)が考えられます。この鑑別ですが、急性期の脳
梗塞は頭部 CT では通常異常が認められないので、CT で出血性脳卒中を否定する必要があるみたいです。とういうわけ
で CT を見てみると、全部脳出血の選択肢です。なので診断は脳出血!? それで意識清明とか気になりますが、症状
から錐体路障害と考え、もっとも関係がありそうなのは被殻出血。ということで d。ちなみに a は橋出血、b は小脳出血、c
は視床出血(ていうか左だし)、e は皮質下だと思います。脳出血の最大のリスクファクターは高血圧です。
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問題 44 a
【解説】 3 週前からの頭痛だし、慢性経過であることと画像が合致するのは a なのでは。
※作成者の英語力、読解力、日本語力はかなり怪しいのをご承知の上で参考にして下さい。
問 45、表題って The Empowered Patient を自分なりに訳せってことでいいんでしょうか。 「力をもった患者」ではよく分か
らないので、empower(法的な権限を与える)という単語のニュアンスを出して、「正当な医療を受けることができる患者」く
らいでどうでしょうか。
もしくは、(You can be) the empowered patient と補って「あなたも最善の医療を受けられる」としてもいいかもしれません。
問 46、xiii ページの最終パラグラフに作者が本書を執筆した理由が書いてあります。
“I’m writing this book so that you, too, won’t have to suffer. (中略)Just as Suze Orman taught so many of us
to take control of our finances, I can teach you how to do the same thing for your medical care. You do have the
power to get the best medical care for you and the people you love.”
とあり、「スーズ・オーマンが自分の財力をコントロールする方法を教えたのと同じように、自分の医療をコントロールする方
法をワイが教えたるわ!」と意気込んでいて、その具体的な方法というのが続いて箇条書きになっている 4 つのことです。
つまり、答えとしては
・ 投薬ミスや感染によって病院に殺されないようにするために(私は)どうしているのか。
・ 病気を誤診されたとしたら、それをどうやって知るのか。
・ どうしたら最良の医師にかかるのを確実にできるのか。
・ 医師に診察してもらう短い時間を最大限活用するためにどうしているのか。
これらの答えを読者に伝えるため。
とすればよいでしょう。ちなみに、下線部のところを一言に反映したものが“the empowered patient”だと思うので、この文
が問 45 のヒントになるのではないでしょうか。
問 47、この内容で 100 字は短いのでバッサリと要約する必要があり、難しいです。
NICU に入院した筆者の三女は、安全を確認されて治療と検査の終了が決まった。しかし、翌日も処置は変わらず継続
されており、筆者の必死な主張により追加の処置はなくすことができたが、筆者は医療への不信感を強めた。(100)
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