(2)(水質、水生生物、土壌)(PDF形式 4.8MB)

6.1-6 水 質
6.1-6.1 調査の結果の概要
1)調査項目
a 水質の状況
b 流れの状況
c 土壌特性
2)調査方法
調査の手法は、現地調査による情報の収集並びに当該情報の整理及び解析とした。
表 6.1-6-1
調査項目
水質の状況
調査の基本的な手法
基本的な手法
「水質汚濁に係る環境基準について」
(昭和 46 年 12 月環境庁
告示第 59 号)等に定める方法
「建設省河川砂防技術基準(案)調査編」(昭和 61 年 日本河
川協会)に定められた測定方法
「JIS A 1204」に定める方法
流れの状況
土壌特性(粒度組成)
3)調査地点・調査時期等
水象の特性、水の濁りの変化の特性及び有害物質の拡散の特性を踏まえて、対象事業によ
り水質に一定程度以上の変化が想定される地域とし、事業区域からの工事中・供用後の排水
放流先である井野川とした。
調査地点位置は、表 6.1-6-2 及び図 6.1-6-1 のとおりであり、水質の状況及び流れの状況
については、井野川の 3 地点、土壌特性(粒度組成)については、事業区域内の現況の代表
的な土地利用である畑と水田の 2 地点とした。
表 6.1-6-2
区分
水質の状況
・
流れの状況
土壌特性
地点番号
調査地点等
対象道路・施設等
St.1
井野川事業区域上流端
St.2
井野川事業区域中央部
St.3
井野川事業区域下流端
St.4
St.5
事業区域内(畑)
事業区域内(水田)
調査項目
SS、BOD、pH、T-N、
T-P、有害 物質(健
康 項 目 )、 流 速 、 流
量、流路断面、水温
粒度組成分析、沈降
特性
注 1)降雨時調査項目は、浮遊物質量(SS)及び流量とした。
注 2)有害物質(健康項目)は夏季の 1 回実施。
6.1-6-1
調査実施日
春季:平成 24 年 4 月 25 日
夏季:平成 24 年 8 月 30 日
秋季:平成 24 年 10 月 19 日
冬季:平成 25 年 1 月 10 日
降雨時:平成 24 年 6 月 22 日
:平成 24 年 10 月 28 日
平成 24 年 10 月 17 日
図 6.1-6-1
調査地点位置図
6.1-6-2
4)調査結果
(1)水質の状況(通常時)
ア.生活環境項目
生活環境項目の水質調査結果を表 6.1-6-3(1)に示す。
通常時の水素イオン濃度(pH)
、生物化学的酸素要求量(BOD)、浮遊物質量(SS)は、いず
れも各地点、各調査時期で環境基準を満足する値であった。全窒素(T-N)、全燐(T-P)は、
地点間による大きな差は見られなかった。
イ.健康項目
健康項目の水質調査結果を表 6.1-6-3(2)に示す。
砒素が 0.005~0.006mg/L、セレンが 0.001~0.002mg/L、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が
1.7~1.9mg/L、ふっ素が 0.09~0.16mg/L であったが、全て環境基準を満足していた。その他
の項目は、全て不検出(報告下限値未満)であった。
表 6.1-6-3(1)
項
目
水素イオン濃度(pH)
生
活
環
境
項
目
単位
-
水質調査結果(生活環境項目等)
環境基準
(C 類型)
6.5 以上
8.5 以下
生物化学的酸素要求量(BOD)
mg/L
5mg/L 以下
浮遊物質量(SS)
mg/L
50mg/L 以下
全窒素(T-N)
mg/L
-
全燐(T-P)
mg/L
-
水温
℃
-
流量
m3/s
-
そ
の
他
調査
時期
春季
夏季
秋季
冬季
春季
夏季
秋季
冬季
春季
夏季
秋季
冬季
春季
夏季
秋季
冬季
春季
夏季
秋季
冬季
春季
夏季
秋季
冬季
春季
夏季
秋季
冬季
6.1-6-3
St.1
7.9
7.6
7.8
7.8
3.3
1.0
1.2
4.7
9
8
4
4
4.4
2.5
3.8
6.4
0.3
0.2
0.1
0.3
21.0
25.4
18.8
7.2
3.218
8.836
5.035
3.086
調査地点
St.2
7.9
7.6
7.8
7.9
4.1
1.0
1.5
4.2
14
13
3
4
4.2
2.4
3.7
6.4
0.3
0.2
0.1
0.3
21.4
26.3
18.8
7.3
3.331
7.184
4.473
2.377
St.3
7.8
7.6
7.8
8.0
3.8
1.5
1.0
4.2
14
13
4
5
4.2
2.3
3.7
6.3
0.3
0.2
0.2
0.3
20.0
27.8
18.3
8.6
3.722
9.260
6.153
3.476
分析方法
JIS K 0102 12.1
ガラス電極法
JIS K 0102 21 及び
JIS K 0102 32.3
隔膜電極法
環告 59 号(S.46.12.28)
付表 8 ろ過重量法
JIS K 0102 45.2
紫外吸光光度法
JIS K 0102 46.3.1
ペルオキソ二硫酸カリウム分解
法
表 6.1-6-3(2)
調査地点
St.2
St.3
0.003mg/L 以下
<0.0003
<0.0003
<0.0003
検出されないこと
不検出
不検出
不検出
0.005
0.01mg/L 以下
<0.001
<0.001
<0.001
mg/L
0.01
0.05mg/L 以下
<0.005
<0.005
<0.005
砒素
mg/L
0.005
0.01mg/L 以下
0.006
0.005
0.005
総水銀
mg/L
0.0005
0.0005mg/L 以下
<0.0005
<0.0005
<0.0005
アルキル水銀
mg/L
0.0005
検出されないこと
不検出
不検出
不検出
PCB
mg/L
0.0005
検出されないこと
不検出
不検出
不検出
ジクロロメタン
mg/L
0.002
0.02mg/L 以下
<0.002
<0.002
<0.002
四塩化炭素
mg/L
0.0002
0.002mg/L 以下
<0.0002
<0.0002
<0.0002
1,2-ジクロロエタン
mg/L
0.0004
0.004mg/L 以下
<0.0004
<0.0004
<0.0004
1,1-ジクロロエチレン
mg/L
0.002
0.1mg/L 以下
<0.002
<0.002
<0.002
シス-1,2-ジクロロエチレン
mg/L
0.004
0.04mg/L 以下
<0.004
<0.004
<0.004
1,1,1-トリクロロエタン
mg/L
0.1
<0.1
<0.1
<0.1
1,1,2-トリクロロエタン
mg/L
0.0006
0.006mg/L 以下
<0.0006
<0.0006
<0.0006
トリクロロエチレン
mg/L
0.003
0.03mg/L 以下
<0.003
<0.003
<0.003
テトラクロロエチレン
mg/L
0.001
0.01mg/L 以下
<0.001
<0.001
<0.001
1,3-ジクロロプロペン
mg/L
0.0002
0.002mg/L 以下
<0.0002
<0.0002
<0.0002
チウラム
mg/L
0.0006
0.006mg/L 以下
<0.0006
<0.0006
<0.0006
シマジン
mg/L
0.0003
0.003mg/L 以下
<0.0003
<0.0003
<0.0003
チオベンカルブ
mg/L
0.002
0.02mg/L 以下
<0.002
<0.002
<0.002
ベンゼン
mg/L
0.001
0.01mg/L 以下
<0.001
<0.001
<0.001
セレン
mg/L
0.002
0.01mg/L 以下
0.002
0.001
<0.001
硝酸性窒素及び
亜硝酸性窒素
mg/L
0.01
10mg/L 以下
1.9
1.7
1.8
ふっ素
mg/L
0.1
0.8mg/L 以下
0.16
0.14
0.09
ほう素
mg/L
0.1
1mg/L 以下
<0.1
<0.1
<0.1
1,4-ジオキサン
mg/L
0.005
<0.005
<0.005
<0.005
カドミウム
mg/L
0.001
全シアン
mg/L
0.1
鉛
mg/L
六価クロム
項
健
康
項
目
水質調査結果(健康項目)
St.1
単位
定量
下限値
目
環境基準
1mg/L 以下
0.05mg/L 以下
6.1-6-4
分析方法
JIS K 0102 55.2
電気加熱原子吸光法
JIS K 0102 38.3
4-ピリジンカルボン酸-ピラロゾン
吸光法 不検出は<0.1
JIS K 0102 54.2
電気加熱原子吸光法
JIS K 0102 65.2.1
ジフェニルカルバジド吸光光度法
JIS K 0102 61.2
水素化物発生原子吸光法
環告 59 号(S.46.12.28)
付表 1
環告 59 号(S.46.12.28)
付表 2 不検出は<0.0005
環告 59 号(S.46.12.28)
付表 3 不検出は<0.0005
JIS K 0125 5.2
ヘッドスペ-ス GC-MS 法
JIS K 0125 5.2
ヘッドスペ-ス GC-MS 法
JIS K 0125 5.2
ヘッドスペ-ス GC-MS 法
JIS K 0125 5.2
ヘッドスペ-ス GC-MS 法
JIS K 0125 5.2
ヘッドスペ-ス GC-MS 法
JIS K 0125 5.2
ヘッドスペ-ス GC-MS 法
JIS K 0125 5.2
ヘッドスペ-ス GC-MS 法
JIS K 0125 5.2
ヘッドスペ-ス GC-MS 法
JIS K 0125 5.2
ヘッドスペ-ス GC-MS 法
JIS K 0125 5.2
ヘッドスペ-ス GC-MS 法
環告 59 号(S.46.12.28)
付表 4 固相抽出法
環告 59 号(S.46.12.28)
付表 5 第 1 固相抽出
GC-MS 法
環告 59 号(S.46.12.28)
付表 5 第 1 固相抽出
GC-MS 法
JIS K 0125 5.2
ヘッドスペ-ス GC-MS 法
JIS K 0102 67.2
水素化合物発生原子吸光法
JIS K 0102 43.2.5 及び
JIS K 0102 43.1.2 イオンクロマト
グラフ法
JIS K 0102 34.1
ランタン-アリザリンコンプレキソン吸光
光度法
JIS K 0102 47.3
ICP 発光分光分析法
環告 59 号(S.46.12.28)付表 7
(2)水質の状況(降雨時)
降雨時の水質調査結果を表 6.1-6-4 に、調査当日及び調査前日の前橋地方気象台における
時間降雨量を図 6.1-6-2 に示す。
6 月調査は、調査前日の 23 時から調査当日の 7 時まで継続的に降雨があり、6 時に時間降
水量がピーク(11.5mm/時)となった。SS は 27~63mg/L であった。流量、流速ともに通常時
より大幅に増加していた。
10 月調査は、調査当日の 8 時から 10 時まで降雨があり、その後、15 時から 23 時まで継
続的に降雨があり、18 時に時間降水量がピーク(2.5mm/時)となった。SS は 6~25mg/L で
あった。
表 6.1-6-4
項
目
単位
環境基準
(C 類型)
水質調査結果(降雨時)
調査時期
6月
水素イオン濃度(pH)
生
活
環
境
項
目
-
6.5 以上
8.5 以下
10 月
6月
浮遊物質量(SS)
mg/L
50mg/L 以下
10 月
6月
透視度
cm
-
10 月
そ
の
他
6月
3
流量
m /s
-
降水量 (mm)
10 月
St.1
7.2
7.4
7.5
7.6
7.6
7.5
63
32
28
7
6
22
11
19
20
>100
>100
67
35.410
16.348
13.323
5.639
5.545
8.664
1 回目
2 回目
3 回目
1 回目
2 回目
3 回目
1 回目
2 回目
3 回目
1 回目
2 回目
3 回目
1 回目
2 回目
3 回目
1 回目
2 回目
3 回目
1 回目
2 回目
3 回目
1 回目
2 回目
3 回目
調査地点
St.2
7.3
7.5
7.5
7.7
7.7
7.5
51
37
27
7
5
16
12
17
21
>100
>100
64
19.810
13.802
12.212
4.897
5.258
8.561
St.3
7.4
7.5
7.6
7.7
7.6
7.6
45
30
29
6
6
25
18
19
21
>100
>100
55
18.602
17.690
16.360
6.845
6.468
17.187
分析方法
JIS K 0102 12.1 ガ
ラス電極法
環告 59 号
(S.46.12.28) 付表
8 ろ過重量法
14
12
10
8
6
4
2
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 1
2
3
4
5
6
7
8
2012年6月21日
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
2012年6月22日
降水量 (mm)
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 1
2012年10月27日
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
2012年10月28日
出典:気象庁ホームページ
図 6.1-6-2
前橋地方気象台における時間降水量(上:6 月調査、下:10 月調査)
6.1-6-5
(3)土壌特性
ア.土質試験結果
土質試験結果を表 6.1-6-5 に、粒径加積曲線を図 6.1-6-3 に示す。
土性は St.4(畑)が細粒分質砂、St.5(水田)が砂質細粒土であり、シルト分が 30.0~35.6%
を占めていた。
各地点の密度は 2.553~2.645g/cm3 で、中央粒径は St.4(畑)が 0.0861mm、St.5(水田)
が 0.0499mm であった。
表 6.1-6-5
試料名
測定項目
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
土性
土質試験結果
単位
g/cm3
%
%
%
%
%
%
%
%
mm
mm
mm
mm
%
密度
粗礫分(19~75mm)
中礫分(4.75~19mm)
細礫分(2~4.75mm)
粗砂分(0.850~2mm)
中砂分(0.250~0.850mm)
細砂分(0.075~0.250mm)
シルト分(0.005~0.075mm)
粘土分(0.005mm 以下)
10%粒径
30%粒径
50%粒径
60%粒径
礫含有量(2.0mm~)
St.4
St.5
細粒分質砂
(SF)
2.553
1.0
1.8
5.1
26.7
16.9
30.0
18.5
0.0145
0.0861
0.1860
2.8
砂質細粒土
(FS)
2.645
1.8
16.1
25.7
35.6
20.8
0.0135
0.0499
0.0905
0.0
St.4
St.5
図 6.1-6-3
粒径加積曲線
6.1-6-6
イ.SS の沈降試験結果
SS の沈降試験結果を表 6.1-6-6 及び図 6.1-6-4 に示す。
時間の経過とともに SS 濃度が低下していく様子がわかる。St.4(畑)、St.5(水田)とも
沈降の傾向はほぼ同じであった。
票 6.1-6-6
経過時間
(分)
0
1
2
5
10
30
60
120
240
480
1,440
2,880
土砂の沈降速度試験結果
St.4
St.5
SS
SS
沈降速度
SS
SS
沈降速度
[mg/L]
残留率
[cm/分]
[mg/L]
残留率
[cm/分]
1,900
390
350
250
170
95
73
55
39
25
12
7
42.50
21.25
8.50
4.25
1.42
0.71
0.35
0.18
0.09
0.03
0.01
0.205
0.184
0.132
0.089
0.050
0.038
0.029
0.021
0.013
0.006
0.004
1,900
480
430
300
210
93
67
46
38
25
13
9
St.4
42.50
21.25
8.50
4.25
1.42
0.71
0.35
0.18
0.09
0.03
0.01
St.5
0.5
0.5
y = 0.041x0.5027
0.4
0.4
0.3
0.3
SS残留率
SS残留率
0.253
0.226
0.158
0.111
0.049
0.035
0.024
0.020
0.013
0.007
0.005
0.2
0.1
0.5199
y = 0.0444x
0.2
0.1
0.0
0.0
0.01
0.1
1
沈降速度(cm/分)
SS 残留率=0.041×沈降速度
10
100
0.5027
図 6.1-6-4
0.01
0.1
1
沈降速度(cm/分)
10
SS 残留率=0.0444×沈降速度
SS 残留率-沈降速度曲線
6.1-6-7
100
0.5199
6.1-6.2 予 測
1)工事による影響(土工)
(1)予測内容
切土・盛土・掘削等及び工事に伴う排水による水の濁り(浮遊物質量)とした。
(2)予測地域及び予測地点
予測地域は、切土・盛土・掘削等及び工事に伴う排水により水質の変化が想定される地域と
し、事業区域からの工事中の雨水排水放流先の井野川とした。
調整池から、井野川への排水箇所は 4 箇所であることから、予測地点は、図 6.1-6-1 に示
した調査地点のうち、排水箇所の最下流に位置する St.3 とした。
(3)予測時期
予測時期は、切土・盛土・掘削等及び工事に伴う排水により水の濁りが最大となる時期とし
て、工事期間中の降雨時とした。
(4)予測方法
ア.予測手順
予測手順は、図 6.1-6-5 に示すとおりである。
工事中に発生する濁水については、仮設水路を設けて調整池に導き、土粒子を十分に沈殿
させた後、上澄み水を井野川に放流する計画である。
そこで、工事中の降雨により発生する濁水の影響予測は、濁水防止対策(調整池の設置)
の効果を踏まえて定量的に行った。
工事計画の概要
(造成面積、調整池の諸元)
雨水流出係数の設定
降雨強度の設定
濁水流出量の算定
土壌沈降試験結果(SS 残留率)
SS 除去効果
SS 流出負荷濃度の設定
調整池排水口での SS 濃度の算定
井野川の降雨時の現況濃度
井野川合流後の SS 濃度の算定
図 6.1-6-5
予測手順(工事による影響( 土工 ))
6.1-6-8
●
図 6.1-6-6
予測地点
排水経路図
イ.予測式
①
濁水流出量の算定
工事中の降雨による濁水流出量の算定は、以下に示す合理式を用いた。
Q=f1・
I・A1
(1,000×60×60)
ここで、Q
I
:濁水流出量[m 3 /s]
:平均降雨強度(mm/h)
f1:造成区域の雨水流出係数(=0.9)
A1:流域内の造成面積(m 2 )
出典:面整備事業環境影響評価技術マニュアル(建設省、平成 11 年 11 月)
②
限界沈降速度(表面負荷率)の算定
仮設調整池における限界沈降速度の算定は、以下に示す式を用いた。
υ 0 =Q/A
ここで、υ 0 :限界沈降速度[m/s]
Q :濁水流出量[m 3 /s]
A
:調整池の湛水面積[m 2 ]
6.1-6-9
③
SS 除去効果の推定
②で求めた限界沈降速度以上の速度で沈降する土粒子は調整池内において、流下する間
に沈殿除去されるものと考えられる。
計画地は調整池を除く大部分の範囲で盛土が行われるが、盛土材の搬入元が現時点では
未定であることから、現地盤と同等の土質であると想定し、その沈降速度試験結果から求
められる SS 残留率-沈降速度曲線から SS 残留率を求め、100%から SS 残留率を引いたも
のを SS 除去率とした。
④
井野川合流後の SS 濃度の算定
除去率控除後の流出濁水負荷が下流の井野川に合流した時点の SS 濃度を、以下に示す完
全混合式により、算出した。
C=
C 0 Q 0 +C 1 Q 1 +C 2 Q 2 +C 3 Q 3 +C 4 Q 4
Q 0 +Q 1 +Q 2 +Q 3 +Q 4
ここで、C
:合流後の SS 濃度[mg/L]
C0
:井野川の SS 濃度[mg/L]
C 1~4
Q0
:1 号~4 号仮設調整池からの放流水の SS 濃度[mg/L]
:井野川の流量(m 3 /min)
Q 1~4
:1 号~4 号仮設調整池からの放流水の流量[m 3 /min]
(5)予測条件
ア.造成面積、調整池の諸元
図 6.1-6-6 に示すとおり、計画地内を 4 つの排水区域に分割し、それぞれの区域に調整池
を計画している。排水区域ごとの流域面積、調整池の諸元を表 6.1-6-7 に示す。調整池及び
既設の綿貫工業団地敷地以外の大半は盛土による造成を行うことから、ここでは、流域面積
がすべて造成面積に該当することとした。
表 6.1-6-7
排水区域
排水区域
排水区域
排水区域
排水区域ごとの造成面積、調整池の諸元
区域
A(1 号仮設調整池)
B(2 号仮設調整池)
C(3 号仮設調整池)
D(4 号仮設調整池)
流域面積
10.59ha
7.55ha
8.44ha
17.85ha
調整池の湛水面積
2,700 m2
2,410 m2
1,380 m2
4,010 m2
イ.雨水流出係数
造成面積全てを裸地面と想定し、雨水の流出係数は、
「大規模宅地開発に伴う調整池技術基
準(案)」に基づき、0.9 とした。
6.1-6-10
ウ.降雨強度
降雨強度は、降雨時の現地調査日(平成 24 年 6 月 22 日)における、計画地周辺の気象庁
アメダス観測所(前橋、藤岡、伊勢崎)の時間雨量で最大であった 15.5mm/h(伊勢崎 6 時台)
とした。
エ.SS 流出負荷濃度
造成地(裸地)から発生する SS 流出負荷濃度は、「土質工学における化学の基礎と応用」
(1985 年、土質工学会)に示される造成工事に伴って発生する濁水濃度 200~2,000mg/L を
参考として、安全側を考慮し、2,000mg/L と設定した。
(6)予測結果
ア.濁水流出量
排水区域ごとの濁水流出量は、表 6.1-6-8 に示すとおり、0.293~0.692m3 /s となる。
表 6.1-6-8
濁水流出量
Q[m3/s]
排水区域A
排水区域B
排水区域C
排水区域D
0.410
0.293
0.327
0.692
排水区域ごとの濁水流出量
造成区域からの
流出係数
f
0.9
降雨強度
r[mm/時]
造成区域の裸地面積
a[ha]
15.5
10.59
7.55
8.44
17.85
イ.限界沈降速度(表面負荷率)
排水区域ごとの限界沈降速度は、表 6.1-6-9 に示すとおり、1.21×10-4 ~2.37×10-4 m/s と
なる。
表 6.1-6-9
排水区域A
排水区域B
排水区域C
排水区域D
排水区域ごとの限界沈降速度
限界沈降速度
u0[m/s]
1.52×10-4
1.21×10-4
2.37×10-4
1.72×10-4
濁水流出量
Q[m3/s]
0.410
0.293
0.327
0.692
6.1-6-11
調整池の湛水面積
A[㎡]
2,700
2,410
1,380
4,010
ウ.SS 除去率
排水区域ごとの SS 除去率は、イ.で求めた限界沈降速度と、図 6.1-6-7 に示す SS 残留率-
沈降速度曲線に基づき、SS 残留率を求め、100%から SS 残留率を引いたものを SS 除去率と
した。表 6.1-6-10 に示すとおり、SS 除去率は 95.1~96.5%となる。
表 6.1-6-10
排水区域A
排水区域B
排水区域C
排水区域D
排水区域ごとの SS 除去率
限界沈降速度
u0[m/s]
1.52×10-4
1.21×10-4
2.37×10-4
1.72×10-4
SS残留率
[%]
3.9
3.5
4.9
4.2
SS除去率
[%]
96.1
96.5
95.1
95.8
St.4
St.5
0.5
0.5027
y = 0.041x
0.4
0.4
0.3
0.3
SS残留率
SS残留率
0.5
0.2
0.1
0.5199
y = 0.0444x
0.2
0.1
0.0
0.0
0.01
0.1
1
沈降速度(cm/分)
10
SS 残留率=0.041×沈降速度
0.5027
図 6.1-6-7
100
0.01
0.1
1
沈降速度(cm/分)
100
10
SS 残留率=0.0444×沈降速度
0.5199
SS 残留率-沈降速度曲線
エ.調整池排水口における SS 濃度
SS 除去率から求められる調整池排水口における SS 濃度は、表 6.1-6-11 に示すとおり、70
~98mg/L となる。
表 6.1-6-11
排水区域A
排水区域B
排水区域C
排水区域D
調整池排水口における SS 濃度
放流水のSS濃度
[mg/L]
78
70
98
83
SS流出負荷量
[mg/L]
6.1-6-12
2,000
SS除去率
[%]
96.1
96.5
95.1
95.8
オ.井野川合流後の SS 濃度
時間雨量 15.5mm/h の降雨時における、計画地由来の濁水が井野川に合流した時点の SS 濃
度は、表 6.1-6-12 に示すとおり、現況の 45mg/L から 48mg/L に増加する。
表 6.1-6-12
井野川合流後における SS(浮遊物質量)濃度の予測結果
放流水
井野川
合流後 SS 濃度
C
流量 Q1 SS 濃度 C1 流出量 Q0 SS 濃度 C0
[mg/L]
[m3/s]
[mg/L]
[mg/L]
[m3/s]
排水区域A
0.410
78
排水区域B
0.293
70
15.5
18.6
45
48
排水区域C
0.327
98
排水区域D
0.692
83
注)井野川の流量及び SS 濃度は、降雨時現地調査結果における St.3 の最大値を示す。
降雨強度
[mm/h]
2)工事による影響(コンクリート工事)
(1)予測内容
コンクリート工事に伴う排水の pH とした。
(2)予測地域及び予測地点
予測地点は、橋梁工事が予定されている地点とした。
(3)予測時期
予測時期は、橋梁工事が行われる時期とした。
(4)予測方法
工事中に実施するアルカリ排水防止対策に基づき、定性的に予測を行った。
(5)予測結果
コンクリート打設時におけるアルカリ排水は、硬化前のコンクリートに水が接触して生じ
るが、橋梁工事にあたり、橋脚周辺は仮締切工により水部と分断した後に施工するほか、で
きる限りコンクリート二次製品を使用することにより、コンクリート打設を少なくする、コ
ンクリート養生部を保護シート等で被覆するなどの対策を行うことから、アルカリ排水の発
生は少なく、河川への影響は小さいものと予測する。
6.1-6-13
3)供用による影響(排水の発生)
(1)予測内容
供用後の施設の稼働に伴う排水の BOD(生物化学的酸素要求量)とした。
(2)予測地域及び予測地点
予測地域は、供用後の施設の稼働に伴う排水により水質の変化が想定される地域とし、事
業区域からの排水放流先の井野川とした。
専用汚水管から、井野川への排水箇所は 4 箇所であることから、予測地点は、調査地点の
うち図 6.1-6-8 に示した排水箇所の最下流に位置する St.3 とした。
●
図 6.1-6-8
予測地点
汚水排水計画及び排出口位置図
(3)予測時期
予測時期は、供用後の事業活動が概ね定常状態に達する時期として、工事完了後 1 年(平
成 31 年度)とした。
6.1-6-14
(4)予測方法
ア.予測手順
予測手順は、図 6.1-6-9 に示すとおりである。
事業計画の概要
(立地企業の諸元)
計画汚水量の算定
排水水質(BOD)濃度の設定
専用汚水管排水口での BOD 濃度の算定
井野川の現況濃度
井野川合流後の BOD 濃度の算定
図 6.1-6-9
予測手順(供用による影響(施設の稼働に伴う排水))
イ.予測式
①
井野川合流後の BOD 濃度の算定
計画地から排出される汚水が下流の井野川に合流した時点の BOD 濃度を、以下に示す
完全混合式により、算出した。
C=
C 0 Q 0 +C 1 Q 1
Q 0 +Q 1
ここで、C
:合流後の BOD 濃度[mg/L]
C0
:井野川の BOD 濃度[mg/L]
C1
Q0
:放流水の BOD 濃度[mg/L]
:井野川の流量(m 3 /min)
Q1
:放流水の流量(m 3 /min)
(5)予測条件
ア.計画汚水量
給水計画で算定した1日最大給水量を基本に、「下水道施設基準」(下水道協会)に基づい
て算定した。1日最大汚水量及び計画時間最大汚水量を表 6.1-6-13 に示す。
表 6.1-6-13
区分
工業排水
生活排水
計
計画汚水量
計画汚水量
1日最大汚水量 時間最大汚水量
4,900 m3/日
292 m3/時間
3
240 m /日
14 m3/時間
3
5,140 m /日
306 m3/時間
6.1-6-15
イ.排水水質
計画地内で発生する工場排水については、水質汚濁防止法及び群馬県の生活環境を保全す
る条例による基準を満たすよう処理施設を設け、高次処理した後、処理水は、区画道路等に
設置する専用汚水管にて井野川に直接放流する計画である。なお、計画に変更が生じ、下水
道に接続する場合には、下水道法による基準を満たすように措置を講じることとする。生活
排水については、全て下水道に接続することとなるため、下水道法による基準を満たすよう
に措置を講じることとする。
BOD 排水濃度は、水質汚濁防止法及び群馬県の生活環境を保全する条例に基づく排水基準
25mg/L(日平均排水量が 30m 3 以上の事業場)と設定した。
(6)予測結果
計画地からの排水が井野川に合流した時点の BOD 濃度は、表 6.1-6-14 に示すとおり、現況
の 4.2mg/L から 4.7mg/L に増加するが、増加分は 0.5mg/L にとどまった。
表 6.1-6-14
地点番号
St.3
井野川合流後における BOD(生物化学的酸素要求量)濃度の予測結果
放流水
流量 Q1
BOD 濃度 C1
[m3/s]
[mg/L]
0.085
25
井野川
流出量 Q0 BOD 濃度 C0
[mg/L]
[m3/s]
3.476
4.2
合流後 BOD 濃度
C
[mg/L]
4.7
注)放流水の流量は、時間最大汚水量から算出した。
井野川の流量及び BOD 濃度は、現地調査結果における St.3 の最大値を示す。
6.1-6-16
6.1-6.3 環境保全措置
1)工事による影響(土工)
切土・盛土・掘削等及び工事に伴う排水による水の濁り(浮遊物質量)を予測した結果、合
流後の浮遊物質量の濃度が現況(合流前)と同程度と予測された。
また、本事業の実施にあたっては、可能な限り放流先の水の濁りを低減させるために、さ
らに、以下の環境保全措置を講ずることとする。
表 6.1-6-15
保全措置の種類
実
施
内
容
実 施 期 間
効果及び変化
副次的な影響等
工事による影響(土工)に対する環境保全措置
低減
造成後の裸地については、速
やかな転圧、緑化を施すこと
により、濁水発生を抑制する。
工事実施期間中
濁水の発生量を抑制できる。
粉じんの発生を抑制できる。
低減
工事の進捗にあわせ、調整池
に流下する前に、適切な場所
に仮設沈砂池を設置する。
工事実施期間中
濁水の発生量を低減できる。
なし。
低減
調整池内の堆積土砂は、計画
的に撤去を行い、下流への土
砂の流出防止に努める。
工事実施期間中
濁水の発生量を低減できる。
なし。
2)工事による影響(コンクリート工事)
本事業の実施にあたっては、可能な限り水の汚れを低減させるために、以下の環境保全措
置を講ずることとする。
表 6.1-6-16
保全措置の種類
実
施
内
容
実
施
期
間
効果及び変化
副次的な影響等
工事による影響(コンクリート工事)に対する環境保全措置
低減
橋 脚周 辺は仮 締切 工
に より 水部と 分断 し
た後に施工する。
工事実施期間中
アルカリ排水の発生
量を低減できる。
なし。
低減
で きる 限りコ ンク リ
ー ト二 次製品 を使 用
することにより、コン
ク リー ト打設 を少 な
くする。
工事実施期間中
アルカリ排水の発生
量を抑制できる。
なし。
低減
コ ンク リート 養生 部
を 保護 シート 等で 被
覆する。
低減
必要に応じ pH 中和施
設を設置する。
工事実施期間中
アルカリ排水の発生
量を低減できる。
なし。
工事実施期間中
アルカリ排水の発生
量を低減できる。
なし。
3)供用による影響(排水の発生)
施設の稼動に伴う排水による水の汚れを予測した結果、合流後の BOD 濃度は環境基準値を
下回ると予測された。
本事業の実施にあたっては、可能な限り水の汚れを低減させるために、以下の環境保全措
置を講ずることとする。
表 6.1-6-17
保全措置の種類
実
施
内
容
実 施 期 間
効果及び変化
副次的な影響等
供用による影響(排水の発生)に対する環境保全措置
低減
井野川に直接放流する場合は、立地企業に
水質汚濁防止法及び群馬県の生活環境を
保全する条例による基準を満たすよう処
理施設の設置を義務づける。
供用時
BOD 濃度を低減できる。
なし。
6.1-6-17
低減
井野川に直接放流する場合は、立地企業からの排
水について水質汚濁防止法及び群馬県の生活環
境を保全する条例による基準を満たすような基
準を設定する。その際は、排水総量も考慮する。
供用時
BOD 濃度を低減できる。
なし。
6.1-6.4 評 価
1)工事による影響(土工)
(1)回避・低減に係る評価
ア.評価方法
予測結果を踏まえ、切土・盛土・掘削等及び工事に伴う排水による水の濁りの影響が、工事
手法、保全対策等により、実行可能な範囲で回避・低減が図られているか否かを判断する。
イ.評価結果
環境保全措置として、速やかな転圧・緑化の実施、調整池への流下前に、仮設沈砂池を設
置等、水の濁りの抑制が図られることから、切土・盛土・掘削等及び工事に伴う排水による水
の濁りの影響は、実行可能な範囲で回避・低減が図られているものと評価する。
(2)基準や目標との整合性に係る評価
ア.評価方法
濁水が発生するような降雨時においては、整合を図るべき基準・目標等は存在しないが、
参考として以下の事項を目標として整合が図られているかを判断する。
・「水質汚濁防止法」の一律排水基準
・・・ SS:200mg/L(調整池出口で評価)
・「群馬県の生活環境を保全する条例」の排水基準
・・・ SS:50mg/L(調整池出口で評価)
・「水質汚濁に係る環境基準」の生活環境の保全に関する環境基準(河川:C 類型)
・・・ SS:50mg/L(合流後で評価)
イ.評価結果
各調整池の出口での SS 濃度は 70~98mg/L と予測され、200mg/L は下回ったが、50mg/L を
超過している。また、井野川合流後の濃度は 48mg/L で現況濃度の 45mg/L からの上昇はわず
かにとどまり、環境基準値(C 類型)の 50mg/L も下回っている。
環境保全措置として、速やかな転圧・緑化の実施、調整池への流下前に、仮設沈砂池を設
置等により SS 流出負荷量を抑制することにより、調整池出口での SS 濃度も低減可能と考え
られる。
なお、計画地は調整池を除く大部分の範囲で盛土が行われるが、盛土材の搬入元が現時点
では未定であることから、現地盤と同等の土質であると想定し、予測を行っている。したが
って、盛土材の搬入元が確定次第、盛土材の土質試験及び沈降速度試験を行い、調整池排水
口における SS 濃度を確認する必要がある。
また、工事中の濁水予測については、造成地から発生する濁水濃度を、安全側を考慮して
2,000mg/L に設定しているが、実際の発生濃度は不確実性を伴うことから、工事中の事後調
査において、調整池出口及び井野川の SS 濃度を測定し、期待された低減効果が得られている
かどうかの確認を行い、基準値を超過するような状況が発生した場合には、仮設沈砂池の設
置等、必要に応じ追加措置を講じる。
2)工事による影響(コンクリート工事)
(1)回避・低減に係る評価
ア.評価方法
予測結果を踏まえ、コンクリート工事に伴う排水による水の汚れの影響が、工事手法、保
6.1-6-18
全対策等により、実行可能な範囲で回避・低減が図られているか否かを判断する。
イ.評価結果
環境保全措置として、仮締切工の実施、できる限りコンクリート二次製品を使用、コンク
リート養生部を保護シート等で被覆等、水の汚れの抑制が図られることから、コンクリート
工事に伴う排水による水の汚れの影響は、実行可能な範囲で回避・低減が図られているもの
と評価する。
(2)基準や目標との整合性に係る評価
ア.評価方法
橋梁工事を実施する井野川の環境基準は C 類型であることから、以下の事項を目標として、
整合が図られているかを判断する。
・「水質汚濁に係る環境基準」の生活環境の保全に関する環境基準(河川)
・・・ pH(C 類型)
:6.5~8.5
イ.評価結果
環境保全措置として、仮締切工の実施、できる限りコンクリート二次製品を使用、コンク
リート養生部を保護シート等で被覆等、水の汚れの抑制が図られることから、コンクリート
工事に伴う排水による水の汚れの影響は、小さいものと予測されるが、定量的な影響は不明
である。したがって、工事中の事後調査において、井野川の pH を測定し、その結果、環境基
準 C 類型(6.5~8.5)との整合が図られない場合は、必要な追加措置を講じる。
3)供用による影響(排水の発生)
(1)回避・低減に係る評価
ア.評価方法
予測結果を踏まえ、施設の稼働に伴う排水による水の汚れの影響が、保全対策等により、
実行可能な範囲で回避・低減が図られているか否かを判断する。
イ.評価結果
環境保全措置として、立地企業に水質汚濁防止法及び群馬県の生活環境を保全する条例に
よる処理施設の設置を義務付ける等、水の汚れの抑制が図られることから、施設の稼働に伴
う排水による水の汚れの影響は、実行可能な範囲で回避・低減が図られているものと評価す
る。
(2)基準や目標との整合性に係る評価
ア.評価方法
排水先である井野川の環境基準は C 類型であることから、以下の事項を目標として、整合
が図られているかを判断する。
・「水質汚濁に係る環境基準」の生活環境の保全に関する環境基準(河川)
・・・BOD(C 類型)
:5mg/L 以下
イ.評価結果
予測結果は、環境基準値を下回っていることから、施設の稼働に伴う排水による水の汚れ
の影響については、基準や目標との整合が図られているものと評価する。
6.1-6-19
6.1-7 水生生物
6.1-7.1 予測条件となる調査結果
1)調査項目
a 魚類の状況
b 底生動物の状況
2)調査方法
下記の方法により、調査を行った。なお、確認した種について、表 6.1-7-1 に示す注目す
べき種及び特定外来生物等を抽出した。
表 6.1-7-1
略
文化財
種の
保存法
国 RDB
県 RDB
外来生物
注目すべき種の選定根拠
選定根拠
名称
「文化財保護法」
(昭和 25 年 5 月 30 日
号)
記号
法第 214 特
天
国内
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に 国際
関する法律」(平成 4 年 6 月 法律第 75 号)
緊急
EX
EW
CR
絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト
EN
(魚類:平成 25 年 2 月 1 日版、底生動物:平成
VU
24 年 8 月 28 日版)
NT
DD
LP
EX
EW
CR
「群馬県の絶滅のおそれのある野生生物 動物 EN
編 2012 年改訂版」
(平成 24 年 群馬県)
VU
NT
DD
「特定外来生物による生態系等に係る被害の防 特定
止に関する法律」
(平成 16 年 6 月 法第 78 号) 要注意
カテゴリー
区分
特別天然記念物指定種
天然記念物指定種
国内希少野生動植物種
国際希少野生動植物種
緊急指定種
絶滅
野生絶滅
絶滅危惧ⅠA 類
絶滅危惧ⅠB 類
絶滅危惧Ⅱ類
準絶滅危惧
情報不足
絶滅のおそれのある地域個体群
絶滅
野生絶滅
絶滅危惧ⅠA 類
絶滅危惧ⅠB 類
絶滅危惧Ⅱ類
準絶滅危惧
情報不足
特定外来生物
要注意外来生物
(1)魚類
<捕獲調査>
投網、タモ網、電撃捕漁器等の漁具を用い、捕獲を行った。捕獲後は、魚種、体長、重量
を記録した後、放流した。
(2)底生動物
<採集調査>
河川においては、早瀬において 25cm 四方のコドラート(3 回採集)による定量採集を行っ
た。また、D フレームネットやサデ網を用い、調査箇所ごとに形成されている様々な環境区
分で定性採集を行った。
水田においては、タモ網など小型の網で、水田を乱さないように注意してさらい、水中の
生物を採取した。
6.1-7-1
3)調査地点・調査期日等
調査地点は、井野川の 3 地点と水田 2 箇所とした。
なお、補足として、広沢川の 1 地点で、10 月(魚類)及び 2 月(底生動物)に調査を行っ
た。
表 6.1-7-2
区分
魚類
底生動物
(河川)
底生動物
(水田)
地点
番号
St.1
St.2
St.3
補足
St.1
St.2
St.3
補足
水田 1
水田 2
対象道路・施設等
井野川事業区域上流端
井野川事業区域中央部
井野川事業区域下流端
広沢川
井野川事業区域上流端
井野川事業区域中央部
井野川事業区域下流端
広沢川
事業区域内掘削箇所
(水田(井野川右岸)
)
事業区域内掘削箇所
(水田(井野川左岸)
)
調査地点等
調査項目
調査実施日
魚類相
春季:平成 24 年 5 月 17 日
夏季:平成 24 年 7 月 17 日~18 日
秋季:平成 24 年 10 月 25 日
※補足は秋季のみ実施
底生動物相
春季:平成 24 年 5 月 17 日
夏季:平成 24 年 7 月 17 日~18 日
冬季:平成 25 年 2 月 15 日
※補足は冬季のみ実施
底生動物相
夏季:平成 24 年 7 月 18 日・8 月 10 日
6.1-7-2
図 6.1-7-1
水生生物調査位置
6.1-7-3
(1)魚類
ア.生息確認種
確認された魚類は、表 6.1-7-3 に示す 6 目 10 科 28 種である。
捕獲個体数を見ると、オイカワが卓越しており、全体的にコイ科が優占する河川の中流域
に見られる魚類相となっていた。調査地点での違いは見られなかった。ニホンウナギ、コイ
等といった、体長 50cm を超える大型の個体も確認されており、魚類の生息にも比較的安定し
た環境であることが伺える。
なお、アユは 7 月に 1 個体確認されたのみであった。
表 6.1-7-3
魚類調査結果(季節別及び地点別確認状況)
注目種
和名
ウナギ
ニホンウナギ
EN
RDB
RDB
ウナギ
外来生物
科名
県
国
目名
調査結果
7
10
月
月
月
●
●
EN
コイ
コイ
●
●
ギンブナ
キンブナ
●
VU
CR
中
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
NT
DD
アユ
ミナミメダカ
(メダカ南日本集団)
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
VU
●
VU
●
●
●
●
●
特定
●
オオクチバス
特定
●
コクチバス
特定
●
ゴクラクハゼ
●
●
6.1-7-4
●
●
●
●
●
●
11
●
●
ブルーギル
6目
10 科
28 種
5
4
5
注)注目すべき種等の選定根拠は、表 6.1-7-1 のとおりである。
●
●
NT
要注意
●
●
●
不明)
●
●
●
要注意
トウヨシノボリ(型
●
●
ヒメダカ
カムルチー
●
●
●
カラドジョウ
アカザ
●
●
●
アユ
ドジョウ
川
●
アカザ
タイワン
部
ウグイ
ナマズ
ハゼ
部
アブラハヤ
シマドジョウ
スズキ
動
部
●
ナマズ
ッシュ
沢
●
ドジョウ
サンフィ
移
流
●
スゴモロコ類
メダカ
広
流
●
ニゴイ
ダツ
下
流
カワムツ
カマツカ
サケ
中
オイカワ
タモロコ
ナマズ
上
●
モツゴ
ドジョウ
調査地点
5
VU
コイ
ゲンゴロウブナ
調査時期
●
●
19
18
●
16
23
19
4
6
イ.注目すべき種
注目すべき種は、ニホンウナギ、ゲンゴロウブナ、キンブナ、カマツカ、ドジョウ、シマ
ドジョウ、アカザ、メダカ(ミナミメダカ)の 8 種である。ミナミメダカは秋季の中流ワン
ド・たまりのみで確認された。本環境は河川本川との行き来は可能な環境で、上流に用水路
の流れ込みがあり、用水路もしくは田圃などで生息していた個体が、用水路を移動もしくは、
流されてきたものと考えられる。
また、特定外来生物であるブルーギル、オオクチバス、コクチバスが確認されている。
表 6.1-7-4
目
名
ウ
ナ
ギ
科
名
ウ
ナ
ギ
コ
イ
コ
イ
和名
国
RDB
ニホンウ
ナギ
EN
VU
ゲンゴロ
ウブナ
EN
-
キンブナ
VU
CR
カマツカ
-
NT
ドジョウ
DD
-
シマドジ
ョウ
-
NT
アカザ
VU
-
VU
CR
ド
ジ
ョ
ウ
ナ
マ
ズ
ギ
ギ
ダ
ツ
メ
ダ
カ
ミナミメ
ダカ (メダ
カ南日本集
団)
注目すべき種
県
RDB
特徴
分布:太平洋側は北海道日高地方以南、日本海側は石狩川以南の
日本各地に分布
生息環境:主として河川の中・下流域や河口域、湖にもいる。水
温が 10℃以下になると泥に潜る。
食性:夜間に摂餌、春から秋にかけ、水生昆虫・小型魚類、貝類・
エビ類・カエル類を摂る。
繁殖:産卵は夏、マリアナ諸島西方、北緯 15 度、東経 137 度の周
辺海域で産卵する。
分布:琵琶湖原産で、現在では日本各地に放流され、自然繁殖し
ている。
生息環境:湖や池沼に生息。
食性:プランクトン植物を食べる。
繁殖:4~6 月に水草や浮遊物に産卵する。
分布:東日本を中心に太平洋側では関東地方以北、日本海側では
山形以北に分布する。日本固有の亜種。
生息環境:河川の下流域や湿地帯、湖沼に生息する。
食性:ユスリカの幼虫など水生動物を好むが、付着藻類も食する
雑食性。
繁殖:4~6 月に湖の浅瀬の水草に産卵する。
分布:岩手県、山形県以南の本州・四国・九州・壱岐島に分布す
る。
生息環境:河川の中・下流域や湖の沿岸、およびこれらに連絡す
る灌漑用水等に生息する。砂底や砂礫底のところに多い。
食性:底生藻類、小型の水生昆虫、甲殻類、藻類を食べる。
繁殖:産卵期は 4~6 月、産卵は夜間で、川の浅くて流れの緩やか
な場所で行われ、卵は砂礫底にばらまかれる。
分布:ほぼ日本全国に分布するが、北海道と琉球列島のものは天
然分布ではない可能性がある。
生息環境:河川の中・下流域、これにつながる用水路、水田、湿
地などに生息する。
食性:泥底で底生藻類と小型の半底生浮遊動物を摂餌する。
繁殖:4~7 月、水田、側溝、岸辺の浅いところで産卵する。産卵
時には雄が雌の腹部に巻きつく。
分布:日本固有種で山口県西部を除く本州と四国に広くほぼ連続
的に分布する。九州には分布しない。
生息環境:水の澄んだ川や湖にすみ、砂底を好む。
食性:底生藻類、小型の水生昆虫を食べる。動物食が主である。
繁殖:4~6 月、細流・小川・河川内の湧水のある個所に集まり、
水生植物の根や茎に 1 個ずつばらばらに産着させる。
分布:日本の固有種で、宮城県、秋田県以南の本州・四国・九州
に広く分布する。
生息環境:水のきれいな川の中流から上流下部の瀬の石の下や間
にすむ。
食性:主に水生昆虫を摂餌する。
繁殖:5~6 月、ゼリー質でおおわれた卵を瀬の石の下に卵塊とし
て産み付ける。
分布:日本国内のメダカは北陸から日本海沿いに青森県東部に渡
る「北日本集団」とそれ以外の「南日本集団」に大きく分けら
れる。
生息環境:河川下流にある水たまり、水田、水路、浅い池や湖な
ど止水域に広く生息する。
食性:動・植物プランクトンを食べる。
繁殖:4~10 月、緩流域や止水域の藻や水草に産卵する。
注)注目すべき種等の選定根拠は、表 6.1-7-1 のとおりである。
6.1-7-5
(2)底生動物
ア.生息確認種
確認された底生動物は、19 目 47 科 98 種である。
特に、
造網型のトビケラが多数採集されており、川底はかなり安定していると考えられる。
河川調査結果を見ると、種数、個体数及び湿重量とも 2 月が最も多く、春季の羽化直前で
個体が成長した状態にあるためと考えられる。上流~下流の種数について、地点間の違いは
あまり見られなかった。
また、水田調査で確認された底生動物は、右岸側 21 種、左岸側 28 種で、種構成で大きな
違いは見られなかった。少数ながら、ホウネンエビ等水田に特徴的な種も見られた。
なお、補足として井野川に流入する広沢川において、2 月に 1 回調査を行った。
広沢川は 3 面護岸の小河川で、流れの状況は全域ほぼ変化がなく、確認種数も 15 種にとど
まった。概ね井野川で見られた種であったが、ヒメドロムシ科 Dryopomorphus 属の一種は広
沢川のみで確認された。
イ.注目すべき種
注目すべき種は、トウキョウヒラマキガイ、スジエビ、コガムシの 3 種である。
トウキョウヒラマキガイは水田のみ、スジエビは河川のみ、コガムシは水田、河川ともに
確認された。
なお、2002 年版の「群馬県の絶滅のおそれのある野生生物 動物編」で要注目種に選定さ
れていたホウネンエビは、平成 24 年の改定時には選定から外れた。
6.1-7-6
表 6.1-7-5
底生動物分析結果
調査結果
調査時期
門
扁形動物門
綱
渦虫綱
目
三岐腸目
科
サンカクアタマウズムシ科
種名
5
7
・
2
上
流
中
流
下
流
広
沢
部
部
部
川
月
8
月
月
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
アメリカナミウズムシ
サンカクアタマウズムシ科
調査地点
紐形動物門
-
-
-
紐形動物門
●
●
軟体動物門
腹足綱
原始紐舌目
タニシ科
ヒメタニシ
●
●
●
基眼目
カワニナ科
カワニナ
●
●
Semisulcospira 属
モノアラガイ科
環形動物門
ヒメモノアラガイ
●
●
●
モノアラガイ科
●
●
サカマキガイ科
サカマキガイ
●
●
ヒラマキガイ科
トウキョウヒラマキガイ
●
県
外
左
岸
R
D
R
D
来
生
水
田
水
田
B
B
物
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
ヒラマキガイ科
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
マルスダレガイ目
シジミ科
Corbicula 属
●
●
●
●
●
●
ミミズ綱
オヨギミミズ目
オヨギミミズ科
オヨギミミズ科
●
●
●
●
●
●
イトミミズ目
ヒメミミズ科
ヒメミミズ科
●
●
●
●
●
●
●
ミズミミズ科
エラミミズ
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
Nais 属
●
●
●
●
●
●
クロオビミズミミズ
●
●
●
●
●
ミズミミズ科
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
-
ツリミミズ目
●
吻蛭目
グロシフォニ科
ハバヒロビル
●
無吻蛭目
イシビル科
●
グロシフォニ科
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
イシビル科
●
●
●
●
●
●
●
●
●
ホウネンエビ目
ホウネンエビ科
ホウネンエビ
軟甲綱
ヨコエビ目
マミズヨコエビ科
フロリダマミズヨコエビ
●
●
●
●
●
●
ワラジムシ目
ミズムシ科
ミズムシ
●
●
●
●
●
●
エビ目
テナガエビ科
スジエビ
アメリカザリガニ科
アメリカザリガニ
●
●
●
●
●
コカゲロウ科
ミツオミジカオフタバコカゲロウ
●
●
●
●
●
ミジカオフタバコカゲロウ
●
フタバコカゲロウ
●
●
●
●
●
●
サホコカゲロウ
●
●
●
●
●
●
フタモンコカゲロウ
●
●
●
●
●
●
シロハラコカゲロウ
●
●
●
●
●
●
●
●
カゲロウ目
(蜉蝣目)
●
ウスイロフトヒゲコカゲロウ
●
D コカゲロウ
●
ウデマガリコカゲロウ
●
シロタニガワカゲロウ
●
●
トビケラ目
(毛翅目)
●
●
●
●
●
●
●
マダラカゲロウ科
エラブタマダラカゲロウ
●
●
●
ハグロトンボ
●
●
Calopteryx 属
●
●
ギンヤンマ
サナエトンボ科
ミヤマサナエ
●
コオニヤンマ
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
トンボ科
シオカラトンボ
●
アメンボ科
アメンボ
●
●
ヒメアメンボ
●
アメンボ科
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
Hydrometra 属
●
Pseudovelia 属
●
●
●
●
●
●
●
ヒメイトアメンボ
ナガレカタビロアメンボ
●
●
アカマダラカゲロウ
ヤンマ科
●
●
●
●
カタビロアメンボ科
●
ユミモンヒラタカゲロウ
Siphlonurus 属
イトアメンボ科
●
エルモンヒラタカゲロウ
Rhithrogena 属
(半翅目)
●
●
●
サナエトンボ科
カメムシ目
NT
●
●
●
フタオカゲロウ科
(蜻蛉目)
●
●
Ecdyonurus 属
カワトンボ科
●
●
コカゲロウ科
トンボ目
●
●
Cloeon 属
ヒラタカゲロウ科
●
シマイシビル
葉脚綱
昆虫綱
●
●
Limnodrilus 属
ツリミミズ目
●
●
●
●
●
●
●
●
●
ミズムシ科
Micronecta 属
タイコウチ科
タイコウチ
シマトビケラ科
コガタシマトビケラ
●
●
●
●
●
●
●
Cheumatopsyche 属
●
●
●
●
●
●
●
ウルマーシマトビケラ
●
●
●
●
●
●
●
6.1-7-7
DD
●
二枚貝綱
ヒル綱
節足動物門
国
右
岸
●
●
調査結果
調査時期
門
綱
目
ハエ目
科
種名
5
7
・
月
8
月
月
流
部
流
部
流
部
沢
川
2
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
ヒメトビケラ科
Hydroptila 属
●
●
●
●
ヒゲナガカワトビケラ科
ヒゲナガカワトビケラ
●
●
●
●
Stenopsyche 属
●
●
●
●
カクツツトビケラ科
Lepidostoma 属
●
ヒゲナガトビケラ科
Mystacides 属
●
●
エグリトビケラ科
Limnephilus 属
-
トビケラ目(毛翅目)
ガガンボ科
Antocha 属
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
Tipula 属
●
●
●
●
●
ガガンボ科
●
ヌカカ科
ユスリカ科
Brillia 属
●
●
Cardiocladius 属
●
●
●
●
●
●
Chironomus 属
●
●
●
●
●
●
Cladotanytarsus 属
●
●
●
●
●
●
●
Cricotopus 属
●
Cryptochironomus 属
●
●
●
●
●
Demicryptochironomus 属
●
●
●
●
●
●
Diamesa 属
●
●
●
●
Eukiefferiella 属
●
●
●
●
●
●
●
●
●
Microtendipes 属
Orthocladius 属
●
●
Paratanytarsus 属
●
●
Paratendipes 属
●
●
Polypedilum 属
●
●
カモヤマユスリカ
●
Potthastia 属
●
Sympotthastia 属
Tanypus 属
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
Thienemanniella 属
●
●
●
●
●
●
ユスリカ科
●
●
ホソカ科
Dixa 属
●
ブユ科
Simulium 属
●
Tvetenia 属
●
1
0
●
●
●
●
●
●
ミズアブ科
Odontomyia 属
アシナガバエ科
アシナガバエ科
●
ゲンゴロウ科
チビゲンゴロウ
●
ゲンゴロウ科
●
トゲバゴマフガムシ
●
Berosus 属
●
Enochrus 属
コガムシ
●
●
Dryopomorphus 属
98 種
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
64
64
●
●
●
●
●
●
70
注 1)注目すべき種等の選定根拠は、表 6.1-7-1 のとおりである。
注 2)種順は基本的に「河川水辺の国勢調査のための生物リスト[平成 22 年度 河川・ダム湖統一版]」に従った。
6.1-7-8
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
ブユ科
47 科
●
●
●
ヒメドロムシ科
●
●
●
ガムシ科
物
●
●
Tanytarsus 属
(鞘翅目)
B
●
●
Rheopelopia 属
●
B
●
●
Stictochironomus 属
水
田
●
●
●
水
田
●
●
Rheotanytarsus 属
来
生
●
●
●
R
D
●
●
Rheocricotopus 属
外
R
D
●
●
●
県
左
岸
●
ヌカカ科
Prodiamesa 属
国
右
岸
●
●
Micropsectra 属
19 目
広
Psychomyia 属
Macropelopia 属
8綱
下
Hydropsyche 属
Harnischia 属
5門
中
クダトビケラ科
(双翅目)
コウチュウ目
調査地点
上
●
●
DD
17
21
2
●
68
74
77
12
表 6.1-7-6
目
科
種名
基眼目
ヒラマキ トウキョウヒ
ガイ科
ラマキガイ
エビ目
テナガエ
スジエビ
ビ科
コウチュウ目
ガムシ科 コガムシ
(鞘翅目)
国
RDB
注目すべき種の特徴
県
RDB
DD
NT
DD
種の特徴
分布:東日本から沖縄にかけて広く分布する。
形態:殻径 10mm 程度の平巻き形。扁圧され、周縁
にキール状の微隆起がある。さらに毛状の殻皮毛が
生える。
生息環境:池沼湖、水路、水田等の止水環境に生息
する。
分布:日本全土に分布する。
形態:全長 55mm、黒褐色の縞模様があり、腹部の横
縞は 7 本。第 1 脚と第 2 脚にははさみがある。
生息環境:湖沼、ため池、河川、時に汽水域にも生
息する。
食性は雑食性で、繁殖期は 3~8 月。
分布:日本全土に分布する。
形態:全長 16~18mm、触角が 7~9 節で、先端 3 節
が球稈部を形成する。小顎ひげと肢は赤褐色。
注)注目すべき種等の選定根拠は、表 6.1-7-1 のとおりである。
ウ.定量調査結果の解析
各地点の早瀬部(流速が速くて川底が石礫の箇所)で行った定量調査について、水質階級、
生活型、摂食型の各指標の集計結果・解析結果を示す。
季節別の種数、個体数は 2 月が最も多く、春の羽化期を前に昆虫類が成長していることか
うかがえる。
水質階級を見ると、個体数は os(きれい)が比較的多く ps(大変きたない)は少ないが、
種類数は αm(きたない)も多くなっている。2 月には βm(少し汚れている)の種、個体と
も増加している。
生活型をみると、掘潜型や遊泳型といった、比較的流れの緩やかな環境に見られる種の個
体数が多く、摂食型についても、河床に積もった堆積物を食べる堆積物収集者の個体数が多
いことから、礫底ながらも堆積物の多い、河床が安定した流れの緩やかな環境であることが
示唆される。2 月は造網型、濾過食者の割合も高く、流れのある環境にみられる種にとって
も生息できる環境であると考えられる。
また、生物学的水質判定として、多様度指数(Shannon-Wiener)
、汚濁指数により判定を行
った。
多様度指数はいずれも 3.5 前後と、ほとんど差のない結果となった。また、汚濁指数は、
夏季に βm(少し汚れている)となりやや悪化するが、春季及び冬季は概ね os(きれい)と
なり、比較的きれいな水質である判定結果となった。
6.1-7-9
45
2500
35
-
30
ps
25
αm
20
βm
os
15
10
5
個体数(個体/0.1875㎡)
種数(種/0.1875㎡)
40
2000
-
1500
ps
αm
1000
0
βm
os
500
0
調査場所・時期
水質階級
調査場所・時期
種類数
個体数
45
2500
種数(種/0.1875㎡)
35
個体数(個体/0.1875㎡)
40
-
30
匍匐
25
遊泳
20
造網
15
固着
掘潜
10
5
2000
匍匐
1500
遊泳
造網
1000
固着
掘潜
500
0
0
調査場所・時期
生活型
調査場所・時期
種類数
個体数
45
2500
35
個体数(個体/0.1875㎡)
種数(種/0.1875㎡)
40
-
30
濾過食者
25
捕食者
20
破砕食者
15
摘み採り食者
10
堆積物収集者
5
掃き採り食者
2000
濾過食者
1500
捕食者
破砕食者
摘み採り食者
1000
堆積物収集者
掃き採り食者
500
0
0
調査場所・時期
摂食型
調査場所・時期
種類数
個体数
図 6.1-7-2
表 6.1-7-7
指
数
多様度指数
汚濁 指数
指数 判定
下流部
定量
3.26
1.4
os
5月
中流部
定量
3.18
1.3
os
上流部
定量
3.53
1.9
βm
指標別定量調査
生物学的水質判定結果
下流部
定量
3.64
1.9
βm
7月
中流部
定量
3.68
2.0
βm
6.1-7-10
上流部
定量
3.86
1.9
βm
下流部
定量
3.67
1.3
βm
2月
中流部
定量
3.70
0.9
os
上流部
定量
3.80
1.2
os
参考)指標等の説明
水質階級
階 級
貧腐水性
β-中腐水性
α-中腐水性
強腐水性
os
βm
αm
ps
水 質
きれい
少し汚れている
きたない
大変きたない
汚濁指数の目安
~1.5
1.6~2.5
2.6~3.5
3.6~
生活型
区分
造網型
固着型
匍匐型
携巣型
遊泳型
掘潜型
特徴
シマトビケラ科、ヒゲナガカワトビケラ科に代表される、分泌絹糸を用いて捕獲
網を作る
ブユ科などに代表される、強い吸着器官または鈎着機関を持って他物に固着して
いる
ヒラタカゲロウ科、貝類などに代表される、河床などを脚で匍匐して移動する
トビケラ目に代表される、匍匐運動をするが、筒巣を持つ
カメムシ目、コカゲロウ科に代表される、移動の際に主として遊泳しながら動く
サナエトンボ科、一部のユスリカ科などに代表されるような、砂または泥の中に
潜って生活する
摂食型
区分
濾過食者
捕食者
特徴
流れてくる懸濁態有機物を網や口器など体毛で濾過する方法で栄養を得て
いる
他の動物を捕獲して食する
破砕食者
落ち葉などを粉砕して食べる方法で栄養を得ている
摘採食者
主に付着藻類を刈り取って食べる方法で栄養を得ている
堆積物収集者 底質に堆積した細粒状有機物等を集める方法で栄養を得ている
生物学的水質判定の方法
*多様度指数(Shannon-Wiener):一般的には渓流などの清水域では多くの種が見られ多様性は高く
なるが、環境が単純になっている人工水路や水質が悪化している水域では生息可能な種が限られ、
多様性は低くなる。 Shannon-Wiener による多様度指数は次のように定義される。
S :標本中の種類数
pi :i番目の種類の個体数が総個体数に占める割合
* 汚濁指数:Pantle u. Buck(1955)により提案された方法であり、ある水域において水質が清冽
であれば、そこには清い水質を好む生物が生息し、また、汚い水質であれば、その水質に耐える
ことのできる生物が生息する。従って、ある水域に生息している生物種と生息数を調べることに
より、そこの水域の汚濁状態を知ることができるというものである。汚濁階級指数既知種の個体
数(h)と汚濁階級指数(s)を用い、汚濁指数を∑(s×h)/∑h により算出する。汚濁指数は、
汚濁階級が os の種:1、βm の種:2、αm の種:3、ps の種:4 とした。
6.1-7-11
エ.河床材の状況
河床材料は、底生動物や底生魚類の生息環境の重要な要素であることから、橋梁の新設・
架け替えが計画されている 2 箇所の下流側において、河床材料調査を行った。
各地点の早瀬、平瀬、及び礫州において面格子法により 100 個の礫を拾い、礫の長軸と短
軸を計測して平均をとり粒径とした。
粒径別の分布状況を見ると、上流早瀬はピークが低く、8~128mm と広い範囲の礫が分布し
ていたが、その他は上流、下流とも概ね 32~128mm の範囲に分布していた。
下流礫州
上流礫州
50%
45%
40%
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
0%
50%
45%
40%
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
0%
~2
2~4
4~8
8~16
16~32
32~64
64~128
128~256
256~
~2
2~4
4~8
8~16
粒径(mm)
16~32
32~64
64~128
128~256
256~
32~64
64~128
128~256
256~
32~64
64~128
128~256
256~
粒径(mm)
上流早瀬
下流早瀬
50%
45%
40%
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
0%
50%
45%
40%
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
0%
~2
2~4
4~8
8~16
16~32
32~64
64~128
128~256
~2
256~
2~4
4~8
8~16
16~32
粒径(mm)
粒径(mm)
上流平瀬
下流平瀬
35%
50%
45%
40%
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
0%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
0%
~2
2~4
4~8
8~16
16~32
32~64
64~128
128~256
256~
~2
2~4
4~8
粒径(mm)
16~32
粒径(mm)
図 6.1-7-3
表 6.1-7-8
河床材料調査結果
河床材料調査結果(単位:%)
粒度階区分
細礫
中礫
中礫
中礫
中礫
大礫
大礫
巨礫
8~16
0.2~0.4cm
0.4~0.8cm
0.8~1.6cm
1.6~3.2cm
3.2~6.4cm
6.4~12.8cm
12.8~25.6cm
25.6cm~
礫州
0
0
3
12
36
45
4
0
下流
早瀬
0
0
0
15
43
37
5
0
6.1-7-12
平瀬
0
1
11
22
39
24
3
0
礫州
0
0
0
14
32
43
11
0
上流
早瀬
0
0
0
10
37
46
7
0
平瀬
0
1
17
28
31
19
4
0
6.1-7-13
図 6.1-7-4
礫調査地点位置
6.1-7.2 予 測
1)工事による影響(土工)
(1)予測内容
切土・盛土・掘削等及び工事に伴う排水による、注目すべき水生生物の生息地及び生息環境
への間接的影響の程度とした。
(2)予測地域及び予測地点
予測地域は、切土・盛土・掘削等及び工事に伴う排水により水質の変化が想定される地域と
し、事業区域からの工事中の排水放流先の井野川とした。
(3)予測時期
予測時期は、切土・盛土・掘削等及び工事に伴う排水により水の濁りが最大となる時期とし
て、工事期間中の降雨時及び橋梁の工事中から完成後しばらくの時期とした。
(4)予測方法
水質(浮遊物質量及び pH)予測結果に基づく、定性的な解析とした。
(5)予測条件
ア.濁水流入量
井野川への濁水流入量は「6.1-6 水質」で予測したとおりである。
イ.pH の変化の程度
井野川の pH の変化は、
「6.1-6 水質」で予測したとおりである。
(6)予測結果
橋梁工事で改変が行われるのは、橋脚設置箇所など限られた場所である。井野川の水生生
物相は、事業区域の上流部~下流部まで大きな違いは見られないことから、工事中は一時的
に逃避するが、工事後には回復すると予測する。
6.1-7-14
2)存在による影響(改変後の地形)
(1)予測内容
橋梁工事に伴う河床の改変による、注目すべき水生生物の生息地及び生息環境への直接的
影響の程度とした。
(2)予測地域及び予測地点
予測地点は、井野川において、橋梁工事が予定されている地点とした。
(3)予測時期
予測時期は、橋梁工事の期間とした。
(4)予測方法
既存事例の引用に基づく、定性的な解析とした。
(5)予測結果
橋脚の設置による河川流況の変化は、既存の橋脚と同様、部分的な変化にとどまると考え
られる。また、可能な限り橋脚数を少なくすることで河川流への影響を最小限にとどめるこ
とが可能であると予測する。
3)供用による影響(排水の発生)
(1)予測内容
供用後の施設の稼働に伴う排水の BOD による、注目すべき水生生物の生息地及び生息環境
への直接的影響及び間接的影響の程度とした。
(2)予測地域及び予測地点
予測地点は、排水の流入が想定される井野川とし、事業区域から排水が放流される位置と
した。
(3)予測時期
予測時期は、供用後の事業活動が概ね定常状態に達する時期として、工事完了後 1 年とし
た。
(4)予測方法
注目すべき水生生物の生息環境条件及び水質その他の環境要素の予測結果を踏まえ、事例
の引用又は解析により予測した。
(5)予測条件
事業所からの排水濃度は、「6.1-6 水質」で予測したとおりである。
(6)予測結果
BOD 濃度の予測結果は、表 6.1-6-14 に示したとおり、現況の 4.2mg/L から 4.7mg/L に増加
するが、増加量はわずかであり、底生生物に対する影響も小さいと予測する。
6.1-7-15
6.1-7.3 環境保全措置
1)工事による影響(土工)
工事に伴う排水による水生生物の生息地及びその生息環境への影響は、工事中の水質の変
化は一時的かつ最小限にとどまることから、水生生物への影響は少ないものと予測した。
さらに、本事業の実施にあたっては、可能な限り放流先の水の濁りを低減させるために、
以下の環境保全措置を講じることとする。
表 6.1-7-9
保全措置
の 種 類
実施内容
実施期間
効果及び
変
化
副次的な
影 響 等
工事による影響(土工)に対する環境保全措置
低減
低減
低減
事業区域からの排水は直接井
野川に流れ込むことのないよ
う、工事に先立ち適切な仮設調
整池を設置する。
仮設調整池内の堆積土砂につ
いては、計画的に撤去を行い、
下流への土砂の流出防止に努
める。
工事実施期間中
工事の進捗にあわせ、仮設調整
池に流下する前に、適切な場所
に沈砂池を設置する。
なお、設置箇所は公園位置を想
定する。
工事実施期間中
濁水の発生量を抑制できる。
濁水の発生量を低減できる。
濁水の発生量を低減できる。
なし。
なし。
なし。
工事実施期間中
2)存在による影響(改変後の地形)
橋梁工事に伴う河床の改変による水生生物の生息地及びその生息環境への影響は、河床が
掘削されるため、施工中は一時的に逃避するが、工事後には回復すると予測した。
さらに、本事業の実施にあたっては、可能な限り河床の改変を抑制するために、以下の環
境保全措置を講じることとする。
表 6.1-7-10
保全措置
の 種 類
実施内容
実施期間
効果及び
変
化
副次的な
影 響 等
存在による影響(改変後の地形)に対する環境保全措置
低減
低減
橋脚の数や設置位置は、河川流の変化が最小限とな
るよう設計検討する。
新設の 2 号橋は 1 箇所橋脚を設置するが、架け替え
の 1 号橋(下滝橋)については橋脚を 5 箇所から 1
箇所に減らし、影響を低減させることとする。3 号
橋については広沢川の川幅が狭いため橋脚は設置
しない。
工事実施前
工事中の水質に係る環境保全措置を
確実に実施する。
濁水の発生量及び河川流況の変化を抑制できる。
なし。
6.1-7-16
工事中
事業区域及び周辺の植物種の生育に
対する影響を軽減できる。
なし。
3)供用による影響(排水の発生)
本事業の実施にあたっては、可能な限り水の汚れを低減させるために、以下の環境保全措
置を講じることとする。
表 6.1-7-11
保全措置
の 種 類
実施内容
実施期間
効果及び
変
化
副次的な
影 響 等
供用による影響( 排水の発生)に対する環境保全措置
低減
低減
井野川に直接放流する場合は、立地企業に
水質汚 濁防止 法及 び群馬 県の 生活環 境を
保全す る条例 によ る基準 を満 たすよ う処
理施設の設置を義務づける。
供用時
井野川に直接放流する場合は、立地企業か
らの排 水につ いて 水質汚 濁防 止法及 び群
馬県の 生活環 境を 保全す る条 例によ る基
準を満たすような基準を設定する。その際
は、排水総量も考慮する。
供用時
BOD 濃度を低減できる。
BOD 濃度を低減できる。
なし。
なし。
6.1-7-17
6.1-7.4 評 価
1)工事による影響(土工)
(1)回避・低減に係る評価
ア.評価方法
予測結果を踏まえ、工事に伴う排水による対象種への影響が、工事手法、保全対策等によ
り、実行可能な範囲で回避・低減が図られているか否かを判断する。
イ.評価結果
環境保全措置として、速やかな転圧・緑化の実施、仮設調整池への流下前に、沈砂池を設
置等、水の濁りの抑制が図られ、対象種は保全されると考えられることから、切土・盛土・掘
削等及び工事に伴う排水による影響は、実行可能な範囲で回避・低減が図られているものと
評価する。
(2)基準や目標との整合性に係る評価
ア.評価方法
以下の事項を目標として、整合が図られているかを判断する。
・環境省レッドリスト記載種の保全
・群馬県の絶滅のおそれのある野生生物(動物編)の記載種の保全
イ.評価結果
環境保全措置の実施により水の濁りは抑制され、対象種は保全されると考えられることか
ら、切土・盛土・掘削等及び工事に伴う排水による水の濁りによる影響は、基準や目標との整
合が図られているものと評価する。
2)存在による影響(改変後の地形)
(1)回避・低減に係る評価
ア.評価方法
予測結果を踏まえ、改変後の対象種への影響が、保全対策等により、実行可能な範囲で回
避・低減が図られているか否かを判断する。
イ.評価結果
環境保全措置として橋梁の橋脚の数や設置位置が検討され、対象種は保全されると考えら
れることから、地形の改変に伴う河床及び河川流の変化による影響は、実行可能な範囲で回
避・低減が図られているものと評価する。
(2)基準や目標との整合性に係る評価
ア.評価方法
以下の事項を目標として、整合が図られているかを判断する。
・環境省レッドリスト記載種の保全
・群馬県の絶滅のおそれのある野生生物(動物編)の記載種の保全
イ.評価結果
環境保全措置の実施により水質への影響は抑制され、対象種は保全されると考えられるこ
とから、供用に伴う排水による河床及び河川流の変化の影響については、基準や目標との整
6.1-7-18
合が図られているものと評価する。
3)供用による影響(排水の発生)
(1)回避・低減に係る評価
ア.評価方法
予測結果を踏まえ、供用に伴う排水による対象種への影響が、保全対策等により実行可能
な範囲で回避・低減が図られているか否かを判断する。
イ.評価結果
環境保全措置として法令・条例を満たすよう排水処理施設の設置を義務付けることにより
対象種は保全されると考えられることから、供用後の排水による影響は、実行可能な範囲で
回避・低減が図られているものと評価する。
(2)基準や目標との整合性に係る評価
ア.評価方法
以下の事項を目標として、整合が図られているかを判断する。
・環境省レッドリスト記載種の保全
・群馬県の絶滅のおそれのある野生生物
動物編の記載種の保全
イ.評価結果
環境保全措置の実施により水質への影響は抑制され、対象種は保全されると考えられるこ
とから、
供用に伴う排水による影響は、基準や目標との整合が図られているものと評価する。
6.1-7-19
6.1-8 土壌
6.1-8.1 調査結果の概要
1)調査項目
a 土壌汚染物質濃度
2)調査方法
調査の手法は、現地調査による情報の収集並びに当該情報の整理及び解析とした。
表 6.1-8-1
調査項目
土壌汚染物質濃度
調査の基本的な手法
基本的な手法
「土壌の汚染に係る環境基準について」
(平成3年8月 23 日
環境庁告示第 46 号)に定める方法
3)調査地点・調査期日等
対象事業の実施により、土壌中の汚染濃度の一定程度以上の変化が想定される地域及び汚
染土壌の攪乱が想定される地域とし、調査地点位置は、図 6.1-8-1 のとおり、事業区域内の
現況の代表的な土地利用である畑と水田の 2 地点とした。
また、調査は適切な時期に 1 回実施した。
表 6.1-8-2
区分
土壌汚染の
状況
地点番号
調査地点等
対象道路・施設等
St.1
事業区域内(畑)
St.2
事業区域内(水田)
調査項目
土壌汚染物質濃度
6.1-8-1
調査実施日
平成 24 年 10 月 17 日
図 6.1-8-1
調査地点位置図
6.1-8-2
4)調査結果
土壌分析結果を表 6.1-8-3(1)に示す。
溶出量試験で鉛、砒素、セレン、ふっ素、含有量試験で鉛及びその化合物、ふっ素及びそ
の化合物、砒素、銅が検出された。その他の物質は不検出であった。また、St.1 の溶出量試
験で、砒素及びふっ素が環境基準値をやや上回っていた。
砒素及びふっ素の土壌全量分析結果を表 6.1-8-3(2)に示す。
砒素は 17mg/kg、ふっ素は 120mg/kg であり、自然由来の汚染と判断する際の含有量(全量
分析)の上限値の目安を大きく下回っている。土地利用も畑地であって、有害物質を発生さ
せるような施設の立地はないことから、自然由来の汚染と考えられる。
表 6.1-8-3(1)
土壌分析結果
分析結果
St.1
St.2
カドミウム
mg/L
0.01mg/L 以下
<0.001
<0.001
全シアン
mg/L
検出されないこと
不検出
不検出
有機燐
mg/L
検出されないこと
不検出
不検出
鉛
mg/L
0.01mg/L 以下
0.005
<0.001
六価クロム
mg/L
0.05mg/L 以下
<0.005
<0.005
砒素
mg/L
0.01mg/L 以下
0.015
0.002
総水銀
mg/L
0.0005mg/L 以下
<0.0005 <0.0005
アルキル水銀
mg/L
検出されないこと
不検出
不検出
PCB
mg/L
検出されないこと
不検出
不検出
ジクロロメタン
mg/L
0.02mg/L 以下
<0.002
<0.002
四塩化炭素
mg/L
0.002mg/L 以下
<0.0002 <0.0002
1,2-ジクロロエタン
mg/L
0.004mg/L 以下
<0.0004 <0.0004
1,1-ジクロロエチレン
mg/L
0.02mg/L 以下
<0.002
<0.002
シス-1,2-ジクロロエチレン
mg/L
0.04mg/L 以下
<0.004
<0.004
1,1,1-トリクロロエタン
mg/L
1mg/L 以下
<0.1
<0.1
1,1,2-トリクロロエタン
mg/L
0.006mg/L 以下
<0.0006 <0.0006
トリクロロエチレン
mg/L
0.03mg/L 以下
<0.003
<0.003
テトラクロロエチレン
mg/L
0.01mg/L 以下
<0.001
<0.001
1,3-ジクロロプロペン
mg/L
0.002mg/L 以下
<0.0002 <0.0002
チウラム
mg/L
0.006mg/L 以下
<0.0006 <0.0006
シマジン
mg/L
0.003mg/L 以下
<0.0003 <0.0003
チオベンカルブ
mg/L
0.02mg/L 以下
<0.002
<0.002
ベンゼン
mg/L
0.01mg/L 以下
<0.001
<0.001
セレン
mg/L
0.01mg/L 以下
0.002
0.001
ふっ素
mg/L
0.8mg/L 以下
0.91
0.16
ほう素
mg/L
1mg/L 以下
<0.1
<0.1
カドミウム及びその化合物 mg/kg 150mg/kg 以下※
<1.5
<1.5
六価クロム化合物
mg/kg 250mg/kg 以下※
<2.5
<2.5
シアン化合物
mg/kg 50mg/kg 以下※
<0.5
<0.5
水銀及びその化合物
mg/kg 15mg/kg 以下※
<0.15
<0.15
セレン及びその化合物
mg/kg 150mg/kg 以下※
<1.5
<1.5
鉛及びその化合物
mg/kg 150mg/kg 以下※
8.7
4.7
砒素及びその化合物
mg/kg 150mg/kg 以下※
<1.5
<1.5
ふっ素及びその化合物 mg/kg 4000mg/kg 以下※
100
52
ほう素及びその化合物 mg/kg 4000mg/kg 以下※
<40
<40
砒素
mg/kg 15mg/kg 以下(田に限る)
0.2
0.3
銅
mg/kg 125mg/kg 以下(田に限る)
10
12
注 1)環境基準の※印は、土壌汚染対策法に基づく土壌含有量基準を表す。
注 2)網掛けは、基準値を上回っていることを表す。
項
目
単位
環境基準
溶出量試験
含有量試験
表 6.1-8-3(2)
項目
土壌分析結果(全量分析)
分析結果
単位
自然由来上限値の目安
素
mg/kg
39
17
ふっ素
mg/kg
700
120
砒
St.1
参考:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン
(改訂第 2 版)(平成 24 年 8 月、環境省)
6.1-8-3
6.1-8.2 予 測
1)工事による影響(土工)
(1)予測内容
土壌中の汚染発生の可能性及びその程度とした。
(2)予測地域及び予測地点
調査地域と同様とする。
(3)予測時期
工事の実施期間とした。
(4)予測方法
対象事業による土砂の掘削・移動等の状況に把握し、事例の引用又は解析とした。
(5)予測結果
一部に砒素及びふっ素が環境基準をやや超過する区域があるが、自然由来と考えられる。
また、事業計画では切土量 163,000m 3 に対して盛土量 304,000m 3 であり、土砂の場外搬出は
行わない方針である。したがって事業区域からの土壌汚染の拡散の恐れはない。
6.1-8-4
6.1-8.3 環境保全措置
1)工事による影響(土工)
切土・盛土・掘削等及び工事に伴う排水による土壌汚染を予測した結果、一部に砒素及びふ
っ素が環境基準をやや超過する区域があるが、自然由来と考えられ、また土砂の場外搬出は
行わない方針であるため、事業区域からの土壌汚染の拡散の恐れはない。
なお、やむを得ない事情により土砂の場外搬出を行う場合には、以下の環境保全措置を講
じることとする。
表 6.1-8-4
工事による影響(土工)に対する環境保全措置
保全措置の種類
実
施
内
容
実 施 期 間
効果及び変化
副次的な影響等
低減
事業区域外に土砂を搬出する場合には、土壌汚
染物質濃度の調査を行い、基準値を超過しない
ことを確認したうえで搬出する。
工事中
汚染土壌の拡散を防止できる。
なし。
6.1-8-5
6.1-8.4 評 価
1)工事による影響(土工)
(1)回避・低減に係る評価
ア.評価方法
予測結果を踏まえ、切土・盛土・掘削等及び工事に伴う土壌汚染の影響が、工事手法、保全
対策等により、実行可能な範囲で回避・低減が図られているか否かを判断する。
イ.評価結果
土砂の場外搬出は行わない方針であるため、土壌汚染の拡散の恐れはないが、やむを得な
い事情により土砂の場外搬出を行う場合においても、環境保全措置として、土壌汚染物質濃
度の調査を行い、調査結果に基づき適切な手段にて搬出することにより汚染土壌の拡散防止
が図られることから、切土・盛土・掘削等及び工事に伴う土壌汚染の影響は、実行可能な範囲
で回避・低減が図られているものと評価する。
(2)基準や目標との整合性に係る評価
ア.評価方法
以下の事項を目標として、整合が図られているかを判断する。
・「土壌の汚染に係る環境基準」の基準値
イ.評価結果
予測結果は環境基準値をやや超過している区域があるが、自然由来と考えられる。また土
砂の場外搬出は行わない方針であるため、事業区域からの土壌汚染の拡散の恐れはない。や
むを得ない事情により土砂の場外搬出を行う場合においても、環境保全措置として、土壌汚
染物質濃度の調査を行い、調査結果に基づき適切な手段にて搬出することにより、搬出土は
基準との整合が図られるものと評価する。
6.1-8-6