件以 - JRA競走馬総合研究所

~1D1~
プインパクトの走りの特
l
件以
前回、ディ
ファンにやさしい
。
ストライドが伸びるという
強い推進 力 が あ る か ら 、 体
。
プインパクトの走りに
l
II'"Æ困
l
ターだが、このチーターをは
D
し
た
それは「背骨の柔らかき」
であり、 彼 らばそれを最大 限に 生か
特徴がある
じめとしたネコ科の動物たちには大きな
るのはチ
地 上 で最も走るのが速い動物といわれ
地上最速の動物
「チーターみたい な 」 走 り
し詳しく見ていこう。
ついて、後肢の推進力 を 中 心 に 、 も う 少
今回は、ディ
をより前方に運べるのだ。
示している
ことは、後肢が生み出す推進力の強さを
かになった
徴が、そのストライド に あ る こ と が 明 ら
競馬がますます楽しくなる
l
D
馬が草食動物だからだ。
馬もひじように長い
をつり下げるために、馬の背骨は硬く丈
腸を持っているのだが、この長く重い腸
D
草から栄養を摂るために、草食動物は大
無理な話である
プインパクトの
なぜ速くて強いのか?
ディ
D
定りの秘密を探る
走り方を体得している
は背骨をぐ
きの上下動が少ないから、人が乗ること
っともそういう背骨で、硬い上に走ると
夫にできている。そのため、ネコ科の動
1
物のように曲げることができないのだ(も
タ
ムロ]
l
ターほどでなくとも、走ると
ができるのだが)。
l
ができれば、それだけ有利になる。そし
きにできるだけ後肢を前に振り出す'』と
が、チ
して後肢を着地させて前肢を伸ばすとき、
はひじ
すことができるのだ【図2T
1
てディ
l
き絞った弓の弦を離すのと同じで、これ
タ
と比較すると、後肢をずっと前に振り出
l
もっとも腰が柔ら
「ディlプインパクトは腰が柔らかいん
D
です。骨盤がぐんと沈みこんで、後肢を
前に振り出している
ように大きなストライドを獲得している
--れと同じことを馬にやれというのは
のだ{図IT
るというわけ。こうしてチ
によって前肢をより前に運ぶことができ
プインパクトは、ほかの馬たち
丸めた背骨を今度は思い切り伸ばす。引
とで後肢を可能な限り前方まで運ぶ。そ
っと曲げている。そして背骨を曲げるこ
この④の場面で、チ
|右前肢|④|(左後肢|)[右手前の場
左後肢|① l 石後肢|②j 左前肢 l③
び(着地する順番)をもう一度確認しよう。 きな消化器を持つ
前回も見たギャロップにおける脚の運
下
JRA
(JRA 簸走馬総合研究所)
さん
r
eXi0>' .04凶,'-1110 T
s
u
j
i
y
a
案内人 : 辻谷秋人
ディープインパクトのフォームは、後肢の振り幅の大きさも特長だ
100
2011 AUGUST 一一 YUSHUN
【図 1] 馬とチーターの走りを比べてみると・・・
馬
体を縮めたとき、
大きく湾曲するが、
チーターの背骨は
馬の背骨はあまり
曲がらない
プの場合
l
かければいいというわけではなくて、柔
らかすぎても駄目です。ディ
は、ちょうどいい柔らかきだったといえ
ます」
柔軟さが生み出す
後肢の雄進力
ずっと速く前に進むことができる。大き
は、ディ
角度 (A)
のときに後肢が着地するときに作り出す
l
プインパクトは後肢を
する位置は、ほぼ同じだということだ。
の馬たちに大きな違いはなかった。着地
l
プインパクトとほか
な推進力を得ることができるわけだ。
これを馬のギャロップにもう一度置き
換えてみよう。
しかし、ディ
より前方まで振り出していることが分か
後肢を前に振り出して、後肢がもっと
も前になったところで着地させるとしよ
ことになる口自転車の足蹴りで、大きく
っているから【図 2】、着地までに振り
足を振りかぶって蹴り出すのと同じだ。
戻している距離が、ほかの馬よりも長い
さほど大きなものは得られないし、むし
る」のと同じことになる。推進力自体も
ろ後ろからの動きが直接地面に伝わるた
う。これは「地面に脚を置いた状態で蹴
にストライドの距離を伸ばしているだけ
がこれである。
l
プの後肢の推進力が大きい理由
になってしまう。
め、逆に、ブレーキをかけたのと同じ状態
ディ
ではない。もっと重要なのは、これが後
プインパクトのフォームについ
l
(ディープインパクト:赤、他の馬:膏)
【図 3】テeイープインパクトの効率的な
‘キック I~ック走法 w
ディープインパクトは後肢の振り出し、
D
回にわたって検証してみた 彼の
2
て、
ディ
して、振り戻しながら地面を蹴る方が、
それよりも、後肢をより前方に振り出
これを理解するのには、自転車に跨が
ろうが、少なくとも、その一端には触れ
強さの理由はほかにもたくさんあるのだ
れん。
{図3】を見ていただきたい 後肢を振
はるかに大きな推進力を得られるだろう。
D
ばわかりやすい。脚を地面に置いた状態
振り戻し動作が大きい
り、脚で地面を蹴って進むことを考えれ
より前方へと振り出されている
という後肢の動きを図にしたものだ。こ
ディープインパクトの骨盤は大きく沈み、後肢は
り出し(①の部分)、振り戻して(②)着地
ら、
れたのではないだろうか。
の
肢の推進力の源になっているということ
この後肢の振り出しの大きさは、単純
で蹴るよりも、脚を前方に持ち上げて、
1
0
1YUSHUN- 2
0
1
1AUGUST
振り下ろす(振り戻す)勢いを使った方が
【図 2] テεイープインパクトの後肢の
位置には大きな秘密が!