SLIC用電源およびRF用電源の部品点数の削減と効率の向上 − デザインノート282 Tick Houk はじめに 負出力電圧の非絶縁型電源は、誤差アンプへの帰還電圧の レベル・シフトのために、オペアンプと他の追加回路を必 要とします。SLIC (加入者線インタフェース回路) 用電源の ようなアプリケーションでは、この追加回路によりコスト が増加し、PCボードの追加スペースが必要になりますが、 システム性能は向上しません。 LTC ® 3704は高性能、シングルエンドの電流モードDC/ DCコントローラICで、NFBピンを使って負出力電圧を直接 センスすることができます。I C に内蔵されているユニ ティ・ゲインの反転アンプは、高精度バンドギャップ電圧 リファレンスと組み合わされて、−1.230Vの入力を与えま す。これは負出力電圧とグランド間の抵抗分割器に直接接 続することができます。No RSENSETM電流モード・コント ロール、プログラム可能な動作周波数(50kHz∼1MHz)、 同期機能、広い入力範囲 (2.5V∼36V) などの追加機能によ り、効率が改善され、設計がはるかに簡単になります。 LTC3704は小型10ピンMSOPパッケージで供給されま す。 フィードバックが簡単なLTC3704を使ったデュアル出力の SLIC用電源 加入者線インタフェース回路 (SLIC) 用に設計されたデュア ル出力のテレコム用電源を図1に示します。SLIC用電源へ の入力は何らかの形式のバッテリ (たとえば、鉛蓄電池やリ チウムイオン) なので、ACラインの停電 (または節電目的の 計画的停電)時にPOTS(旧式の簡単な電話システム)でも通 話時間を延長することができます。ループのインピーダン スを補償するため、出力電圧は一般にローカル・ハブ局か ら家庭やオフィスまでの加入者線の長さに比例します。複 数出力の電源を使って、ハブからの距離が異なるユー ザー・グループに電力を供給します。 このSLIC用電源はLTC3704の負帰還入力 (NFB) の利点を 利用しているので、追加のオペアンプは不要です。−24V 出力は直接安定化されており、−72V出力は−24V出力に 巻線を追加することによって得られます。 、LTCとLTはリニアテクノロジー社の登録商標です。 N o R S E N S E はリニアテクノロジー社の商標です。V E R S A - P A C は Coiltronics, Incの商標です。 GND • D1 + 4 + CC2 100pF VIN 7V TO 12V UV + = 5.4V UV – = 5.0V R2 150k 1% R1 49.9k 1% CIN 220µF 16V TPS VOUT1 –24V 200mA • T1 1, 2, 3 NFB • 6 INTVCC FREQ GATE MODE/SYNC RFB1 2.49k 1% D3 C5 10µF 25V X5R • LTC3704 RT 120k C4 10µF 25V X5R + COUT 3.3µF 100V VIN ITH CC1 1nF D2 + 5 SENSE RUN RC 82k C3 10µF 25V X5R f = 200kHz RFB2 45.3k 1% GND M1 + C1 4.7µF X5R RS 0.012Ω + VOUT2 –72V 200mA C2 4.7µF 50V X5R DN282 F01 D1 TO D3: INTERNATIONAL RECTIFIER 10BQ060 M1: INTERNATIONAL RECTIFIER IRL2910S T1: COILTRONICS VP5-0155 (PRIMARY = 3 WINDINGS IN PARALLEL) 図1.LTC3704を使ったデュアル出力のSLIC用電源。フィードバックが簡素化される。 04/02/282 この電源の−24V出力には、入力リップル電流を減らすた 電流センス抵抗を使わない、電流モードの−8.0V、1.2Aの めにSEPICタイプの構成で2次巻線を1つ使います。他方、 RF用電源 −72Vの出力には従来のフライバック・モードで他の2つ 図2に示すデザインでは、LTC独自のNo RSENSEテクノロ の巻線を使います。標準の、6巻線VERSA-PACTM変圧器 ジーの利点を利用して、外付けの電流センス抵抗を使わず (VP5-0155) が使われており、3つの巻線は並列に1次側に に、真の電流モード・コントロールを実現しています。パ 接続されています。これは高電流の要求(7Vの入力でピー ワーMOSFET両端の電圧降下はオン時間にセンスされるの ク・スイッチ電流はほとんど4Aになることがあります)を で、 「損失なし」のスイッチ電流測定方法で制御ループを実 満たすためです。LTC3704に内蔵されている5.2V LDOに 現しています。この技法により、シングルエンドの電流 より、ゲート・ドライバに安定化電源が供給されます。こ モード・コンバータで可能な最大効率が実現され、ボード のゲート・ドライバは非常に大きなパワーMOSFET (50nC のスペースが減少し、パワーMOSFETのドレインが36V ∼100nC)をドライブできます。 (SENSEピンの絶対最大定格) 以下のアプリケーションの電 源の全体的コストが低下します。この電源の出力電圧と最 LTC3704のプログラム可能な低電圧ロックアウトを利用し 大出力電流は、基本設計を修正することなしに、チップ周 て改良されたバッテリ保護 りの部品の選択によって簡単にスケーリングできることに ほとんどの鉛やリチウムイオンの化学反応では、バッテ 注目してください。 リ・セルの深い放電により、バッテリの寿命が大幅に減少 します。そのため、バッテリを監視して、バッテリ電圧が 電源の最大出力電流と入力電圧の関係および3Vと5Vの入 危険なレベルに達する前にコンバータをターンオフするこ 力電圧での効率と負荷電流の関係をそれぞれ図3と図4に示 とが重要です。図1では、LTC3704のRUNピンが、抵抗 します。 R1とR2を使ってバッテリ電圧を監視し、入力電源が5Vよ り低くなると電源をターンオフします。ノイズ耐性を上げる ため8%のヒステリシス・レベルが与えられています (UV+は 3 5.4V) 。 • • L1* 2 SENSE RUN VIN ITH 3 4 5 NFB INTVCC FREQ GATE MODE/SYNC CC1 4.7nF GND L2* 10 0 9 3 CDC 22µF X5R M1 LTC3704 RC 14.7k 1 8 7 6 f = 300kHz CIN 47µF X5R COUT 100µF X5R RFB1 2.49k 1% 5 DN182 F03 100 D1 95 CVCC 4.7µF X5R RT 80.6k 1% 3.5 4 4.5 INPUT VOLTAGE (V) 図3.−8V RF電源の最大出力電流と入力電圧 VIN = 5V 90 GND RFB2 13.7k 1% DN282 F02 D1: DIODES INC B320B L1, L2: BH ELECTRONICS BH 510-1009 M1: SILICONIX Si9426 85 EFFICIENCY (%) 1 VOUT –8V 1.2A TO 2.5A IO(MAX) (A) 2 VIN 3V TO 5V VIN = 3V 80 75 70 65 60 図2.高効率−8V RF電源 55 50 0.001 0.01 0.1 1 OUTPUT CURRENT (A) 10 DN282 F04 データシートのダウンロード 図4.−8V RF電源の効率と出力電流 http://www.linear-tech.co.jp/ds/j3704i.html お問い合わせは当社または下記代理店まで(50 音順) 東京エレクトロンデバイス株式会社 株式会社トーメンエレクトロニクス 〒 224-0045 横浜市都築区東方町 1 TEL(045)474-5114 FAX(045)474-5617 〒 108-8510 東京都港区港南 1-8-27 TEL(03)5462-9615 FAX(03)5462-9695 リニアテクノロジー株式会社 102-0094 東京都千代田区紀尾井町 3-6秀和紀尾井町パークビル 8F TEL(03)5226-7291 FAX(03)5226-0268 http://www.linear-tech.co.jp dn282f 0402 34K • PRINTED IN JAPAN LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2002
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