Team 研究者 CVD 三好 減圧沸騰噴霧を用いた CVD 成膜の新気化技術の構築 一也 松田 太一 羽根田 拓哉 2002 研究概要 研究背景および目的 面反応によって所望の薄膜を形成する技術であ る.そのため,膜厚および膜質の均一性,段差皮 Susceptor 膜性に優れ,再現性と生産性が高く,半導体製造 における絶縁体や金属膜の形成,セラミックコー ティングにも用いられる. CVD 法の原料化合物には,液体材料が多く使 用される.従来の成膜技術では,輸送ラインを通 pinj pst pamb Φ18 Φ27 Φ54 pbv Pressure 材料ガスを反応室へ輸送し,気相反応あるいは表 pamb Tamb Region A Region B Region C Z=85 (Chemical Vapor Deposition)法がある.この方法は, Injector Injection quantity Q=0.013[g] 10 現在注目されている薄膜形成技術に CVD Liquid Vapor ΔT T’ Tamb (=Tl ) Temperature Parameters Degree of decompression : pbv = pst -pamb (Superheated temperature : ΔT=Tamb -T’ Distance from nozzle tip : Z pst : Saturated vapor pressure pamb: Ambient pressure pinj : Injection pressure Tamb: Ambient temperature Tl : Liquid temperature Fig.1 Conceptual image and parameters in this study じて原料ガスを反応室に供給するため,その一部 が気相分解し,形成された粒子状物質が膜質の低下や輸送ラインの定期的な洗浄,交換という問題を引き起こ す.この問題を改善するために,気化器を反応容器内に直接取り付け,減圧沸騰噴霧を用いて液体材料をウエ ハへ直接噴射し,完全気化させて成膜する方法を提案する.Fig.1 にその概念的なイメージを示す. 本研究では,この手法の実現を目的とし,空間的な濃度分布とその均一性を追求する.つまり,シャドウグ ラフ撮影法から透過光減衰量を算出し, 平均輝度値 I と輝度値の標準偏差値 Sa を用いて,基板上での空間的な 噴霧密度の均一性を示した. 減圧沸騰噴霧を用いた CVD 液体材料における新気化供給法のコンセプト 液体を飽和蒸気圧以下まで減圧した雰囲気場に噴射することで,過熱液中に生じた気泡核は蒸気気泡として 急速に成長し,液体が蒸気化される.これによって液体噴流が分断・破断され,最終的に液滴分散流となる. この現象を減圧沸騰噴霧という.この方法を利用し,噴射装置を気化器として基板上へ噴霧蒸気を均等に分散 させることで,薄膜形成が可能となる. 実験装置および実験条件 Pressure gage Fig.2 に本研究で用いた実験装置の概略を示 す.本装置は,枚葉式 CVD 装置を対象とし,真 空容器の上部に液体噴射装置を配置し,真下に N 2 Control circuit Pressure gage Injector 設置した基板に垂直に噴射する形式である.噴 孔から基板までの距離は 85mm 一定とした.本 可能であり,噴霧を広域に分散させる理由から, 100 180 φ 160 研究では,噴射圧による正確な噴射量の制御が φ 130 P.C. 電子制御式のピントル型噴射弁を用いた. Liquid 実際の CVD 成膜材料は,比較的蒸気圧が低く, 在し,非常に危険である.そこで,気化特性に Exhaust Liquid tank Constant volume vessel Vacuum pump 優れた n-pentane(沸点 309K)を代替試料として Fig.2 Schematic diagram of injection and experiment apparatus 気化が困難である.また,毒性が強い材料も存 Susceptor 用いた.また,各実験において,噴射量 Q は 0.013g 一定とし,容器内部の雰囲気圧力 pamb を主な変数に設定 した. シャドウグラフ撮影法による減圧沸騰噴霧の測定 Fig.3 にシャドウグラフ撮影法で得られた各 pamb に関する噴射終了直後(tinj=8.0ms)の噴射画像を示す.pamb =50,70,100kPa では,噴霧は半径方向にほとんど広がらず,噴霧軸方向に伸びる.5kPa 以下では,微粒化 と蒸気化が大きく進行し,噴霧は半径方向に大きく拡散する.この条件では,減圧沸騰の影響が顕著に現れ, 液膜流は確認されない.さらに 1kPa では,より顕著な減圧沸騰噴霧の影響で,噴孔付近で目測が困難なほど 透過光減衰量を利用した基板上での噴霧濃度の 均一性の評価 基板上での噴霧濃度の空間的な均一性を評価するた め,噴孔から噴射軸方向への距離 75mm∼85mm に関し Distance from nozzle tip Z [mm] 噴霧密度の均一化が生じた.これは,減圧沸騰噴霧による噴霧の微粒化から起こる体積膨張に起因する. 20 0 20 0 60 て,Fig.1 に示すように,ノズルの中心から半径方向に pamb=100[kPa] 70[kPa] 50[kPa] 30[kPa] 20[kPa] 3[kPa] 1[kPa] 領域 A,B,C の3領域に分割した.また,Fig.3 で得られ た画像を 0 から 255 の輝度値に変換して透過光減衰量 を算出し,平均輝度値 I と輝度値の標準偏差値 Sa を求 めた.pamb=1,5kPa における I ,Sa の噴射開始からの pamb= 15[kPa] 5[kPa] 10[kPa] Fig.3 Spray Pattern taken by shadowgraph photography 時系列変化を Fig.4,5 に示す.1kPa の場合,各領域で の I は,噴射開始後 12ms でほぼ同値になり,その後減 40 に現れ,領域 A の I が他の領域に比べ著しく高い.ま た,各領域とも噴射開始後 9ms で最大となる.以上の 結果より,1kPa では 5kPa に比べ,噴射後中心から半 20 10 pamb=5[kPa] 0 5 10 15 20 Time after injection start [ms] I : Average luminosity I(i) : Luminosity A(i) : Total number of pixels with luminosity I(i) n : Total number of luminosity ∑ ( I (i ) A (i)) I = i =1 n ∑ A((ii ) i =1 ・減圧沸騰噴霧を用いた間欠噴霧による過熱型減圧 16 20 Injection stop 16 pamb =1[kPa] Injection stop 12 Sa 12 Standard deviation of luminosity Sa 20 8 8 4 4 pamb =5[kPa] 0 0 0 5 10 15 20 Time after injection start [ms] ・減圧沸騰噴霧モデルによる気相貫通度の計算 熱の影響 30 Fig.4 Relation between average of transmitted light intensity and time after injection start 今後の予定 ・ 減圧沸騰噴霧を用いた縦型 CVD によるサセプタ加 Injection stop 0 n 抑制され,噴霧の濃度分布が 5kPa に比べ均一である. ・成膜実験による成膜特性の評価. pamb=1[kPa] Region A Region B Region C この結果から,1kPa では基板上での噴霧密度の変化が る噴霧縦断面の蒸気濃度分布の評価. 10 0 5 10 15 20 Time after injection start [ms] さらに 1kPa の場合,Sa は全領域で比較的同値である. ・LIF 法と Mie 散乱光撮影の同時分離可視化計測によ 20 0 径方向に素早い噴霧濃度の均一化が確認できる. CVD の試作. 30 Average luminosity I Average luminosity I 少する.一方 5kPa では,各領域における I の差が顕著 40 Injection stop Region A Region B Region C n Sa = ∑ ( I(i) - I )2 i =1 n 0 5 10 15 20 Time after injection start [ms] Sa : Standard deviation of luminosity I : Average luminosity I(i) : Luminosity n : Total number of luminosity Fig.5 Relation between standard deviation and time after injection start
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