4-219 平成 19 年電気学会全国大会 移動型非接触給電の受電部定数による特性変化 岩田 卓也*,松下 真也 ,金子 裕良 ,阿部 茂 (埼玉大学) Characteristics Change of Contactless Power Transfer System by Pick-up Parameters Takuya Iwata, Shinya Matsushita, Yasuyoshi Kaneko, Shigeru Abe (Saitama University) I'1 - jx's 1.はじめに 非接触給電装置の二次側に並列共振コンデンサを一次側 に直列共振コンデンサを設置し、これらを適切な値にする とコンデンサを含む等価回路は理想トランスとほぼ等価に なる(1)(2)。本方式では、給電効率の最大値、その時の負荷抵 抗の値、一次二次の電圧比などの主要な特性が受電部定数 から簡単に計算できる。受電部定数(巻数比、鉄心長、二次 巻線抵抗)を変えた時の給電効率や一次二次の電圧比など の特性変化を調べたので報告する。 VIN' r1’ jx'1 V'1 jx2 I2 V2 r2 IP - jxp jx0' Z IL RL Fig.1 Detailed equivalent circuit 2.移動型非接触給電システム Fig.2 Pick-up coils (a) #1~5,7 (b) #6 Table.1 Parameter of pick-ups 図1に詳細等価回路を示す。給電線は周波数 f0=20kHz の 方形波インバータ電源で駆動し、電源と給電線の間に直列 共振コンデンサ CS を、受電部端子に並列共振コンデンサ CP を設置し、負荷は等価抵抗 RL で表す。x0, x1, x2 は励磁お よび漏れリアクタンスを、r1, r2 は巻線抵抗を、a (=N1/N2)は 巻数比を表し、一次側諸量は二次側に換算し´を付けて表す。 CP, CS を(1)式の値に決め、r1, r2 を省略した簡略等価回路 で計算すると、図1の Z, V2, IL は(2)(3)式で表され、巻数比 b の理想トランスと等価となる。 1 1 x x ' ...(1) = x p = x 0 '+ x 2 = xs ' = x1 '+ 2 0 ω0C p ω 0C s x0 '+ x2 Z = b RL 2 b = x 0 ' ( x 0 '+ x 2 ) #1 160 6 0.0105 0.044 0.33 2.06 0.086 21.6 1.55 #2 160 4 0.0104 0.028 0.33 0.94 0.086 21.7 3.44 #3 160 9 0.0104 0.083 0.34 4.30 0.082 21.7 0.73 #4 80 6 0.0104 0.029 0.34 1.18 0.048 22.0 2.75 #5 320 6 0.0107 0.083 0.32 3.60 0.157 20.8 0.86 #6 160 6 0.0106 0.026 0.35 0.47 0.073 22.3 2.55 #7 160 6 0.0104 0.082 0.33 2.32 0.086 21.5 1.47 サンプル VIN[V] V2[V] P1[W] #1 #2 #3 #4 #5 #6 #7 10.0 97.8 212 10.0 66.7 114 10.0 142 435 10.0 98.5 234 10.0 96.0 198 10.0 69.9 112 10.0 102 245 P2[W] η[%] 191 90.2 89 78.3 401 92.1 194 83.1 184 93.2 98 87.1 209 85.4 力率[%] RLm[Ω] 最大η[%] 100 100 100 100 100 99.2 100 25.1 92.3 9.48 91.0 57.5 92.7 17.6 89.2 32.8 94.0 14.0 92.9 20.2 89.8 Table.2 Calculation result ...(2) ...(3) I 2 = bI 1 ' V 2 = V IN ' b 給電効率 η は(4)式で、これが最大となる抵抗 RLm の値と、 そのときの最大効率 ηm は(5)式で近似できる。 ...(4) 1 η≅ 2 r ' ( x '+ x ) r2 R L 1 + 1 0 22 + R L x0 ' ( x 0 '+ x 2 ) 2 サンプル 長さ 巻数(1/a) r1[Ω] r2[Ω] x1[Ω] x2[Ω] x0[Ω] Cs[µH] CP[µH] 図2に受電部の形状を示す。鉄心はフェライトコア(TDK PE22 EE80×76×20)を、巻線はリッツ線(φ0.25mm×24)を 給電線は 16 並列で、二次巻線は#1~6 は 2 並列で#7 は単線 で巻いた。各種受電部の定数測定結果を表1に示す。 (2) 鉄心長 #1,4,5 は鉄心長を 80,160,320mm と変えた結 果である。x0, x2, r2 が変化する。鉄心長が増すと η は良くな るが、二次電圧 V2 に大きな変化はない。 (3) 二分割巻と集中巻 #1, 6 より集中巻きで x2 が大きく減 少し、x0 が少し減少する。また b が増加し V2 が下がる。η は RL=50Ω では下がるが、最適な RLm では上がる。 (4) 負荷抵抗 RLm 負荷抵抗 RL が最適な値 RLm と離れてい るとすると効率 η がかなり下がるので注意が必要である。 本方式では VIN に比べ V2 が大きくなる課題があるが、受 電部の数 n が増加すると、一受電部の電圧は 1/n となる。給 電線の巻数 N1 を増やす、高周波トランスを入れる等、イン バータ出力電圧と効率を上げる方法を検討したい。 4.特性計算結果 5.むすび 図 1 の 詳 細 等 価 回 路 で 入 力 電 圧 VIN=10V 、 負 荷 抵 抗 RL=50Ω で二次電圧 V2、入力電力 P1、負荷電力 P2、効率 η、 Z の力率を計算した結果を表2に示す。 (1) 巻数比 #1,2,3 は二次巻数(1/a)を 4,6,9 と変えた結果で ある。r2 が巻数に、x2 がその二乗に比例して増加する。x0, r1 に変化はないが a が変化し x0', r1'は大きくなる。#2 の η が悪いが、RL=50Ω と最適な RLm の差が原因である。二次巻 数が増すと η は良くなり、二次電圧 V2 が上がる。 非接触給電の受電部定数による特性変化を調べた。最大 効率の式とその時の等価抵抗の値は重要で、受電部の形状 や巻線方法を決めるのに役立つ。効率を上げるには、給電 線と二次巻線の抵抗を減らし、鉄心長を長くし、許容二次 電圧まで二次巻数を増やすことである。 RLm = ( x0 '+ x2 ) 2 x0 ' r1 ' r2 η = 1 1 + 2 r1 ' r2 x 0 ' ...(5) 給電効率 η は a, r1, r2, x0 で決まり、一次二次の電圧比は、 巻数比 a と b (x0 と x2 )で決まる。 3.受電部 2007/3/15 〜 17 富山 文 献 (1)藤田・金子・阿部:電学研資,SPC-06-46,pp.53-58(2006) (2)松下・及川・岩田・金子・阿部:電学研資,SPC-07-29(2007) -360(第 4 分冊) ©2007 IEE Japan
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