ポケットL/Cメーターキット

ポケットL/Cメーターキット
■特徴 Rev.5
・デジタル制御なので再現性がよく、調整箇所がありません。
オシロスコープなどの高価な測定器がなくても使用できます。
・ゼロ調整機能がありますので、浮遊容量をキャンセルして測定できます。
・表示更新スピードも約3回/秒と高速です。
・分解能は0.01pF単位,0.001μH単位です。
・スイッチでインダクタンス測定・キャパシタンス測定を簡単に切り替えできます。
・オートパワーオフ機能
ポケットテスターに当たり前についている、オートパワーオフ機能を内蔵しました。
・電池:006P電池1本
・消費電流:動作中 約30mA(最大70mA以下) 停止中 0.1μA以下
■測定範囲
◆コンデンサ(キャパシタ)
0.01pF~0.1pF
△浮遊容量の関係で安定して表示しないことがあります
0.1pF~1pF
△浮遊容量の関係で安定して表示しないことがあります
1pF~10pF
○正しくキャリブレーションすれば安定して測定できます。
10pF~100pF
◎安定して測定できます。
1000pF~0.01μF
◎安定して測定できます。
0.01μF~0.1μF
○安定して測定できます。誤差が3%程度になります。
0.1μF~1μF
△発振周波数が安定せず、誤差が大きくなります。
セラミック、フィルム,マイカ,積層セラミックコンデンサの測定に最適です。
電解コンデンサは容量が大きいので測定に適しておりません。
◆インダクタ
0.001μH~0.01μH △浮遊容量の関係で安定して表示できません
0.01μH~0.1μH
△浮遊容量の関係で安定して表示できません
0.1μH~1μH
○正しくキャリブレーションすれば安定して測定できます。
1μH~10μH
◎安定して測定できます。
10μH~100μH
◎安定して測定できます。
100μH~1mH
◎安定して測定できます。
1mH~10mH
○安定して測定できます。
10mH~100mH
△発振周波数が安定せず誤差が大きくなります。
スイッチング電源用インダクタ,DC-DCコンバータ用インダクタの測定に適しています。
モーターの界磁コイルなどの測定には適しておりません。
1
■部品表
▽もし不足・破損等がありましたらお手数ですがご連絡ください。⇒[email protected]
品名
半導体
記号
U2
U1
U3
TR1,TR3
TR4,TR5
TR2
D1
液晶
抵抗
半固定抵抗
クリスタル
コンデンサ
R4,R10
R3
R7,R13,
R14
R8,R15
R6,R9
R11,R12
R1,R2,R5
VR1
X1
CREF
C1
L1
C3,C7
C8,C9
C2,C4
C5,C6
スイッチ
リレー
ソケット
ピン端子
端子
基板
LX,CX
POWER
ZERO/CA
LIB.
RL1
U2
U1
CN1
CN1
名称
CPU
コンパレータ
型番・定数
ATMEL ATMEGA88
LM311(NJM311D)
数量
1
1
ダイオード
SC1602BS*B
1/4W カーボン抵抗
1/4W カーボン抵抗
1/4W カーボン抵抗
XC6202P502TB
2SC1815(2SC1213)
表示:C1815
2SA1015(2SA673)
表示:A1015
1N4007
16文字液晶
470Ω 表示:黄紫茶金
1kΩ 表示:茶黒赤金
2.2kΩ 表示:赤赤赤金
1
1
2
1
3
極性あり
モジュールは組み立て済
極性なし
極性なし
極性なし
1/4W カーボン抵抗
1/4W カーボン抵抗
10kΩ
47kΩ
2
4
極性なし
極性なし
1/4W カーボン抵抗
100kΩ 表示:茶黒黄金
10kΩ 表示:103
6.144MHz
39000pF 1%
1000pF 表示:102
47μH 表示:黄紫黒銀
3
1
1
1
1
1
0.1uF 表示:104
4
2本足銀色
基準コンデンサ
LC発振回路用
LC発振回路用
(一見抵抗のような
一見抵抗のような外形
のような外形です
外形です)
です)
極性なし
10μF 表示:10μ
22pF 表示:22
2
2
極性あり
極性なし
6ピン
2
2
レギュレータ
トランジスタ
トランジスタ
フィルムコンデンサ
マイラーコンデンサ
マイクロインダクタ
積層セラミック(水
色)
電解コンデンサ
セラミックコンデン
サ
トグルスイッチ
タクトスイッチ
G5V-5
28 ピン
8 ピン
14ピン
14ピン
2 ピン
電池スナップ
表示:茶黒橙金
表示:黄紫橙金
小型リレー
オス
メス
緑色
006P用
専用ガラス基板
1
4
備考
プログラム済マイコン
メーカー各社
1回路入りコンパレータ
低損失3端子レギュレータ
1
1
1
1
1
1
2
1
1
極性なし
L・C切り替えスイッチ
電源・校正ボタン
各色1個ずつ
5V汎用リレー
マイコン用
コンパレータ用
液晶モジュール接続用
同上
測定端子と電源端子用
電源用
オリジナル基板
▲改良のため予告なく相当品・互換品にすることがあります。その場合は数量や形状、余った部品などから推測するようお願いいたします。
■完成基板概観(使用している部品の色・外形は写真と若干異なる場合があります)
2
■組み立て
◆抵抗
抵抗は少し多いので作業性を考えて先にハンダ付けしておいてください。全ての抵抗は基板に寝かした状態
で取り付けられるようになっています。
◆IC(U1,U2)
ICはソケットを介してハンダ付けします。はじめにソケットをハンダ付けしておいてください。製作の一番
最後にICを差し込みます。ICの向きには十分に注意してください。
◆3端子レギュレータ
U3(XC6202)はトランジスタと同じ外形ですが、5Vの3端子レギュレータICです。間違えない
ように取り付けてください。
◆ダイオード(D1)
1本だけダイオードがあります。向きがありますので、注意してください。帯があるほうが基板の下になり
ます。
◆トランジスタ(TR1~TR5)
トランジスタはNPN(2SC)タイプとPNP(2SA)タイプの2種類を使います。PNPタイプはT
R2のみで他は全てNPNです。一度ハンダ付けしてしまうと取り外しが難しくなりますので、間違えないよ
うにハンダ付けしてください。トランジスタの向きは基板のシルクに合わせます。U2は3端子レギュレータ
ですので、トランジスタではありません。
◆スイッチ(LX,CX,POWER,ZERO/CALIB.)
スイッチはトグルスイッチとタクトスイッチ(プッシュONスイッチ)の2種類を使います。
トグルスイッチはLとCの切り替えに使います。基板に対してしっかり根本まで差し込んだ状態でハンダ付
けしてください。足を1箇所だけハンダ付けして、部品面から状態を確認するとよいです。操作する回数が多
いのでハンダ付けを確実に行ってください。
タクトスイッチは電源とキャリブレーション・ゼロ調整のためのものです。色の指定は特にありません。好
きな色を取り付けます。足を1箇所だけハンダ付けして、ちゃんと上を向いているか部品面から状態を確認す
るとよいです。操作する回数が多いのでハンダ付けを確実に行ってください。
◆電源
電源端子は2ピンの緑の端子台になっています。この端子台はちょうど液晶モジュールの土台となっており、
この端子台がないと液晶モジュールが固定されずフラフラしてしまいます。ケースに収めることをせず、基板
のまま裸で使われる場合はこの端子台をつけたほうがいいでしょう。電池スナップをこの端子台にねじ止めし
て使います。電源の極性は上側が-、下側が+になります。極性を間違えると壊れてしまいますのでご注意く
ださい。
◆半固定ボリューム(VR1)
液晶のコントラスト調整に使います。ハンダ付けしたら時計方向に回しきっておいてください。
◆測定端子
測定端子は汎用性・入手性を考えて電源端子と同じねじ止め端子としました。このままでも構いませんが、
リード線が挿入しにくい、毎回ねじを回さないといけないなどの不満点もあります。キットには含まれており
ませんが、市販の小型のスピーカ端子を工夫して取り付けるとより使いやすいと思います。
標準品のジョンソンターミナルが使えるように穴も設けております(ジョンソンターミナルは別売りです)
◆液晶モジュール(CN1)
液晶モジュールは完成していますので、付属の14ピン端子をハンダ付けするだけです。端子は基板にぴっ
たり接するように90°垂直につけてください。傾いてしまうと見栄えが悪くなります。
3
◆電解コンデンサ(C2,C4)
電解コンデンサは向きがあります。足が長いほうが+側です。コンデンサ表面にも-極性マーキングがあり
ます。基板のシルク印刷の極性にあわせてハンダ付けしてください。
C2の基板シルク
基板シルク印刷
シルク印刷が
印刷が間違っていました
間違っていました。
っていました。基板に
基板に向かって左
かって左が+,右
+,右が-となるように半田付
となるように半田付けしてくだ
半田付けしてくだ
さい。
さい。お詫びして訂正
びして訂正します
訂正します。C
します。C2
。C2以外は
以外は基板シルク
基板シルクの
シルクの通りです。
りです。
◆その他のコンデンサ・インダクタ
基板の指示通りにハンダ付けしてください。電解コンデンサ以外のコンデンサとインダクタには極性はあり
ません。インダクタは全体が緑色で抵抗のような外形をしています。
◆リレー(RL1)
5Vの小型リレーを使っています。基板の穴にあわせてハンダ付けしてください。
■電源について
電源は006P電池を推奨します。マンガン電池でも使えますが、保存性を考えるとアルカリ電池がお勧めで
す。電池以外で動作させたい場合はDC5.5V以上、DC12V以下の電源をお使いください。
電池がなくなってくるとキャリブレーションができなくなります。キャリブレーション時にリレーが動作しな
くなったら交換してください。(そのまま使用するとおかしな値が表示されてしまいます)
■使い方
電池の極性を間違えないように繋いでください。極性は基板に印刷されています。
POWER スイッチを押します。そうすると液晶にタイトルとC1,L1の値が一瞬表示されます。POWER ス
イッチを長く押しておけばC1,L1の値を目で確認できます。何も表示されない場合は液晶のコントラストを
右に回して濃くしてください。
一番最初にお
一番最初にお使
にお使いになるには自己校正
いになるには自己校正・
自己校正・ゼロ調整
ゼロ調整が
調整が必要です
必要です。
です。自己校正の
自己校正の項を参照してはじめに
参照してはじめに自己校正
してはじめに自己校正・
自己校正・ゼ
ロ調整を
調整を必ず行ってください。
ってください。行わないと正
わないと正しく組
しく組み立てられていても全
てられていても全く測定が
測定が行えません。
えません。
自己校正・ゼロ調整は一回行えば(電池を外しても)記憶しています。毎回行う必要はありませんが、pF単
位・μHの細かい測定を行う場合はそのつど自己校正・ゼロ調整すると正確に測定できます。
電源を切るにはもう一度 POWER スイッチを押してください。
◆キャパシタンス(コンデンサ)の測定:
1.LX・CXスイッチを両方OFF(左に倒す)にします。液晶上段に"Ready."と出るまで待ちます。
2.CXスイッチだけをON(右に倒す)にします。
3.測定端子にコンデンサを取り付けます。
4.コンデンサの容量とその時の発振周波数を表示します。
※理論的にはコンデンサを接続していないときは0.00pF ですが、実際は浮遊容量などの影響で最大1pF
程度を示します。これは不良ではありません。表示している最小単位0.01pF というのは大変小さい容量で
すので、ちょっとした周辺の状況によって変化します。
本機を金属板の上に置いて測定したり、測定中の端子に手を近づけたりするだけで、0.1pF は簡単に変化
してしまいます。またコンデンサの足を短くして測定した場合と、長いままで測定した場合でも変化します。そ
れだけ微妙な変化も測定値に影響するのです。
◆インダクタンス(インダクタ)の測定:
1.LX・CXスイッチを両方OFF(左に倒す)にします。液晶上段に"Ready."と出るまで待ちます。
2.LXスイッチだけをON(右に倒す)にします。
3.測定端子にインダクタを取り付けます。
4.インダクタの容量とその時の発振周波数を表示します。
※インダクタを取り付けていない状態(オープン)時は内部 LC 発振回路が閉じていないため、発振周波数が0
Hz になります。(時定数の関係で0~数 Hz を表示します)この時の計算式は分母が0になるのでインダクタン
スの計算ができません。そのため、液晶には Set An Inductor という表示がでます。
4
※測定値は0.01pF,0.001μH 単位で表示しますが、精度としては表示値のほぼ±1%です。つまり
表示値の上位約3桁が有効桁となりますのでご注意ください。
※CXとLXの両方のスイッチを ON にしないでください。壊れることはありませんが、両方とも ON にすると
測定ができなくなります。両方のスイッチをONにすると Check L/C SW.のメッセージが出ます。
※より正確に測定するには測定物から手を離してください。手で持ったまま測定すると自分の手の容量が加算さ
れてしまいます。
※表示される周波数の表示ステップは設計上約3Hzステップとなります。
◆オートパワーオフ
本機にはオートパワーオフ機能がありますので、10分間何も操作しない状態(ボタン操作をしない,スイッ
チ切り替えを行わない)が続くと自動的に電源が切れます。
■測定原理
内部に LC 発振回路を持っており、未知のコンデンサを並列に(未知のインダクタを直列に)挿入することで
発振周波数が下がります。その周波数変化を計算することで未知のコンデンサ(インダクタ)を測定するという
方法です。
LC 発振回路の L と C の容量が正確に解れば、正確な測定値を得ることができます。L と C の容量は基準コン
デンサ CRef を並列に挿入することで求めることができます。これにより理論上、測定精度は基準コンデンサに
のみ依存し、それ以外の L と C の誤差は影響しないことになります。
できるだけ誤差の少ない基準コンデンサを用いることで本機の精度を保つことができます。本機では1%の基
準コンデンサを使っているため、測定精度をほぼ1%で測定することができます。
小さい容量については経由するスイッチの容量などが無視できなくなり、若干誤差が出てきます。
■自己校正
本機には内蔵インダクタ・コンデンサの自己校正機能が備わっています。自己校正をすることで、測定誤差を
最小にすることができます。製作した一番最初は必ず自己校正が必要です。毎回校正する必要はありませんが、
10pF以下、1μH以下の測定を行う場合は、そのつど校正することをお勧めします。
1.LXとCXスイッチを両方ともOFF(左に倒す)にします。
2.発振周波数が安定すると Ready と表示されます。周波数が不安定な場合はしばらく待ってください。
3.CALIB.スイッチを押します。
4.Calibrating...の表示が数秒表示されます。
5.C1とL1の容量が一瞬表示されます。C1とL1の容量を確認したい場合は CALIB.スイッチを押し続けて
いると離すまで表示し続けます。
6.通常動作に戻ります。
※この操作は回路のC1とL1の容量を算出するものです。C1,L1の容量はCREFから計算されます。
※自己校正中は基板上のリレーが動作します。自己校正中にリレーが動作しない場合は半田付け、部品の向きを
疑ってください。リレーが動作しないと正しく測定できません。
■ゼロ調整
測定する場合は本機自身の内部容量・浮遊容量があるため、完全な0μH/0pFにはなりません。この容量
をキャンセル(オフセット)できる機能を持っています。
◆インダクタンス
1.LXスイッチのみをONにします。
2.測定端子をショートします。端子を引き伸ばしている場合はその状態にして先端をショートしてください。
(できるだけインダクタを測定している状況に近くするのがポイントです)
3.発振周波数が安定するまで待ってください。
4.ZEROボタンをしばらく押します。
5.L0 Calibrated と表示されれば完了です。
5
◆キャパシタンス
1.CxスイッチのみをONにします。
2.測定端子をオープンにします。端子を引き伸ばしている場合はその状況のまま、コンデンサを取り付けな
い。
(できるだけコンデンサを測定している状況に近くするのがポイントです)
3.発振周波数が安定するまで待ってください。
4.ZEROボタンをしばらく押します。
5.C0 Calibrated と表示されれば完了です。
上記操作と自己校正を交互に何度かやるとより高確度で調整できます。
ゼロ調整をすると、その状態を0.000μH/0.00pFとして記憶されます。これで内部容量をキャン
セルして測定ができます。ゼロ調整は記憶されますので、電源を切っても、電池をはずしても覚えています。
ゼロ調整をすると、表示がマイナス値になることがありますが使用上問題ありません。
■測定端子
測定端子は汎用性を考慮して、一般的な2P端子にしています。リードがあるコンデンサ・インダクタはさ
ほど問題ありませんが、チップ部品・足が短い部品の測定には不向きです。チップ部品用の端子は一般的では
ないので、市販のスピーカ端子や、ICソケットなどを加工して自作してみてください。
この測定器の使いやすさは測定端子にかかっていると思います。端子を工夫することで、より便利な測定器
になると思います。
■応用編
本機の精度は基準コンデンサCRefによって決まります。C1とL1の容量は計算で求まりますので、逆
にいうとLC発振回路のL1とC1の容量はいくつでも構わないのです。本機では1000pFと47μHと
していますが、発振できる範囲の容量であれば変更することができます。より温度係数の小さいコンデンサ、
インダクタをお持ちであればそれに交換するとさらに精度のよいL/Cメーターにすることができます。
1
現在の発振周波数は
2π L1 ⋅ C1
=約 734kHz となっていますが、最大 1MHz 程度まで発振させることができ
ます。周波数を高くすれば測定分解能が高くなりますが、回路の安定度が下がります。使用するインダクタの
Qによっても変化します。L1,C1の値の変化させると、ちょっとしたチューニングができるので、実験し
てみてください。
■使用上の注意
LXまたはCXのスイッチがONのままで電源を入れると、測定値がずれることがあります。この場合は一度
LXとCXのスイッチを両方OFFにして発振周波数が安定するまで待ってから、LxあるいはCxのスイッチ
を切り替え測定を行ってください。測定物を挿入していない状態のLC発振回路の周波数が記憶しているものと
ずれてしまっているからです。
実装されているコンデンサ・インダクタの測定はできません。基板から取り外して測定する必要があります。
充電されているコンデンサは測定できません。充電されているコンデンサを測定すると危険な場合があります
ので、必ず放電しているコンデンサを測定してください。
Copyright (c) 2005-2006 Strawberry Linux Co.,Ltd.
2005年6月26日 第1版
2005年7月25日 第2版
2005年8月 2日 第3版
2006年3月22日 第 4 版
2006年11月27日 第5版
6