Cisco ASR 9000:キャリア イーサネット ネットワーク アーキテクチャの概要

ソリューション概要
Cisco ASR 9000:キャリア イーサネット ネットワーク アー
キテクチャの概要
ネ ッ ト ワ ー ク の 移 行 が 必 要 な場 合 、従 来 では そ の 初 期 段 階 と し て IP/Multiprotocol Label
Switching(IP/MPLS; マルチプロトコル ラベル スイッチング)プロトコル スイートを使用したネットワ
ークの統合を行っていました。しかし、現在では多くのサービス プロバイダーが、サービス インフラ
ストラクチャ ネットワークに対応したキャリア イーサネットを使用して物理メディアを統合したいと考
えるようになっています。これは、コスト面でのメリットがあるだけでなく、リテールおよびホールセー
ル ビジネス モデルにおける個人/企業向けの帯域幅要件の急増に対処する必要があるためです。
キャリア クラス イーサネットはすでに、IP Next Generation Network(IP NGN)とその関連サービ
スへの移行を目指す場合の基本要件になっています。この資料では、あらゆるサービスの転送を
一貫性のある方法で実現する IP NGN キャリア イーサネット デザインの重要な要素である
Cisco® ASR 9000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータについて説明します。
図1
各サービス向けに最適化されたパケット ネットワーク
概要
ネットワーク環境の劇的な変化に伴い、サービス プロバイダー ネットワークを構築するためのアプ
ローチにも変化が求められています。各サービス プロバイダーにとって、インフラストラクチャと
サービスの統合やサービス製品の統合などは共通の課題となっています。統合型キャリア イーサ
ネット インフラストラクチャを使用すれば、このような問題を解決できます。サービス プロバイダー
のお客様は、スケーラビリティに優れ堅牢なキャリア イーサネット アグリゲーションを実現する分散
型のプラットフォームを必要としており、それを使用してネットワークを確実に展開できるようにした
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ソリューション概要
いと考えています。ただし、このようなプラットフォームには、常に使用可能なサービス トランスポー
トと耐障害性が不可欠です。
Cisco ASR 9000 シリーズは、キャリア イーサネット向けに最適化された次世代型のアグリゲー
ション サービス プラットフォームであり、スケーラビリティと信頼性に優れています。また、大規模な
スイッチング容量とモジュラ型 OS(Cisco IOS®-XR)を搭載しており、包括的で柔軟なキャリア
イーサネット サービス トランスポート機能および VPN 機能を提供します。Cisco ASR 9000 シリー
ズは個人向け、企業向け、モバイル向けなど、各種のトランスポート サービスを提供するあらゆる
アプリケーションに適しています。
スケーラビリティ、信頼性、および耐用年数を向上させることで Operating Expenses(OpEx; 運用
コスト)の削減を可能にした Cisco ASR 9000 シリーズを使用することで、サービス プロバイダー
は自社のアーキテクチャや機能を強化でき、市場における新たな優位性を確立できます。
●
Cisco ASR 9000 を使用すると、イーサネットの物理/論理インターフェイスのスケーラビリティの
向上、および論理インターフェイス単位で強化されたきめ細かい Service-Level Agreement
(SLA; サービス レベル契約)の提供により、ネイティブのイーサネット ブリッジ アクセスおよび
IP/MPLS アグリゲーション ネットワークの統合を容易に実現できるようになります。また、独自
のハードウェア/ソフトウェア設計により、物理インターフェイスと論理インターフェイスの両方でス
ケーラビリティが大幅に向上します。
●
Cisco ASR 9000 シ リー ズ は 、 Broadband Forum ( 旧 呼 称 DSL Forum ) お よ び Metro
Ethernet Forum が奨励する規格上の勧告に従い、Multiplexed User-Network Interface(MuxUNI)およびその接続モデルを使用しており、アクセス ネットワークおよびデバイス間の柔軟な接
続オプションを提供しています。これにより、DSL、ケーブル、イーサネット、Gigabit Passive
Optical Network(GPON)、WiMax、Mobile Radio Access Network(RAN)、および単一の
イーサネット インターフェイス上のイーサネットなど、さまざまなアクセス テクノロジーの集約が可
能になります。サービスおよび加入者インスタンス単位でのスケーラブルで堅牢な階層型 QoS
(Quality of Service)もサポートしています。
●
Cisco ASR 9000 シリーズは、MPLS トランスポート サービスを使用したサービス インスタンス
のインテリジェントな多重化や、インターフェイスおよびネットワーク要素が同一であるセット間で
のレイヤ 2/レイヤ 3 サービスの提供により、アグリゲーション ネットワークにおける柔軟性と管
理性を強化しています。
●
Cisco ASR 9000 シリーズは、IEEE 802.3ah/IEEE 802.1ag Connectivity Fault Management
(CFM)テクノロジー、およびサービスを識別してエンドツーエンドでトラブルシューティングできる
MPLS Operations, Administration, and Maintenance(OA&M)のサポートなど、エンドツーエ
ンドでキャリア イーサネット サービスを管理できる包括的な OA&M ツールを提供しています。
●
アグリゲーション ネットワークに障害が発生した場合、Cisco ASR 9000 シリーズは、効率的な
ブロードキャスト TV および Video on Demand(VoD; ビデオ オン デマンド)配信を行うために、
配信データ上のアドミッション コントロール情報およびサービスを最小限にすることで、IPTV エク
スペリエンスを最適化します。
●
Cisco ASR 9000 シリーズは、レイヤ 2/レイヤ 3 の VPN 機能スイートおよびモジュラ型の
Cisco IOS®-XR ソフトウェアを使用しており、企業向け VPN のスケーラビリティと復元力を強化
しています。
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サービス
大半のアプリケーション環境では、ノードおよびネットワークの両レベルでキャリア クラスの要件が
満たされていなければなりません。稼働中のシステムをキャリア イーサネット ベースのネットワー
クに統合する場合も同様です。そのため、イーサネット ネットワークにもノードおよびネットワークの
両レベルで同じキャリア クラス要件を適用し、スケーラビリティ、管理性、および信頼性を確保する
ことが重要です。
図2
サービス要件
キャリア イーサネット ネットワークは、1 つのアプリケーションまたはサービスに特化した各インフラ
ストラクチャの動作を引き継ぐだけでなく、同じノード上で発生するさまざまな状況に対応するため、
各種の異なるアクセス テクノロジーおよびサービスをサポートしていなければなりません(図 2 を
参照)。つまり、各サービスで必要なすべての固有の要件を 1 つのキャリア イーサネット サービス
トランスポート インフラストラクチャでカバーする必要があります。
リテールおよびホールセール ビジネス モデルに対応した個人/企業向けサービスにはさまざまな
種類があります。
Cisco ASR 9000 シリーズは、DSL Forum TR-101 および Metro Ethernet Forum 6/10 の最も
一般的な機能モデルおよび接続モデルに基づいており、さらに、これらのモデルを Fixed WiMAX
および Ethernet To The Home(ETTH)に拡張しています。これにより、異なるアクセス テクノロ
ジー間で同じタイプの SLA を使用できるようにし、必要なすべてのサービスを実装できるようにし
ています。表 1 に、さまざまなサービス プロバイダーが使用するキャリア イーサネット ネットワーク
用のサービス定義を示します。
表1
キャリア イーサネットにおけるサービス定義
SLA タイプ
SLA の例
対象ユーザ
サービス
アクセス
個人
インターネット アクセス
イーサネット、DSL、お トランスポート
よび WIMAX
動的なアクセス帯域
幅 、セ ッシ ョン とアイ ド
ル タイムアウト、アドバ
タイズメント、後払いと
前払い(時間と量)
Voice-over-IP
イーサネット、DSL、お アプリケーション
よび WIMAX
VoIP アプライアンスの
数 、 Session Initiation
Protocol(SIP)の URL
と Public Switched
VolP テレフォニー
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対象ユーザ
サービス
アクセス
SLA タイプ
SLA の例
Telephone ( RST ) の
数、アクティブ コール、
および VolP コールの
品質
企業
ホールセール
VoD
イーサネット、DSL、お アプリケーション
よび WIMAX
Set-Top Box ( STB;
セットトップ ボックス)の
数、ストリームの品質、
コン テン ツ および 充電
モデル
TV
イーサネット、DSL、お アプリケーション
よび WIMAX
STB の 数 、 TV パ ッ
ケージのタイプ、SD と
HD のコンテンツおよび
配信の品質
レ イ ヤ
3 、 VPN イーサネット、DSL、お トランスポート
MPLS 、 およ び マル チ よび WIMAX
キャスト
アクセス帯域幅、
Differentiated
services ( DiffServ; 差
別化サービス)のサ
ポート、レイヤ 3 VPN
トポロジ、およびマネー
ジド サービス(MPLS/
マルチキャスト VPN)
E-Line
イーサネット、DSL、お トランスポート
よび WIMAX
アクセス帯域幅、
DiffServ の サ ポ ー ト 、
透過性
E-LAN
イーサネット、DSL、お トランスポート
よび WIMAX
アクセス帯域幅、差別
化サービスの サポー
ト、マルチポイント トラ
ンスポートと透過性
L3 ポイントツーポイント イ ー サ ネ ッ ト お よ び トランスポート
およびポイントツーマル DSL
チポイント
ISP レベルで集約され
た帯域幅、DiffServ の
サポート 、ISP でのサ
ブスクライバ管理
L2 ポイントツーポイント イ ー サ ネ ッ ト お よ び トランスポート
およびポイントツーマル DSL
チポイント
ISP レベルで集約され
た帯域幅、差別化サー
ビ スの サ ポー ト 、透 過
的なイーサネット トラン
スポート ポ イント ツー
ポ イ ン ト およ び マル チ
ポイント(マルチキャス
ト最適化)
キャリア イーサネット ネットワークのアーキテクチャ
ネットワーク インフラストラクチャには、上記のような幅広い要件に対応するためのさまざまなテクノロ
ジーを実装する必要があります。これにより、従来は互いに異なっていた複数のネットワークを 1 つ
のアグリゲーション ネットワークに統合できます。また、それぞれ 1 つのサービスおよび機能に特化し
ていた複数のプラットフォームが 1 つのマルチサービス エッジを形成し、トランスポートは共通の IP
/MPLS ベースのキャリア イーサネット アグリゲーションおよび分散ネットワークを統合します。
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図3
マルチサービス ネットワークのアーキテクチャ
IP NGN キャリア イーサネット デザインの中核を形成するのは、マルチサービス対応の IP/MPLS
ベース イーサネット アグリゲーション ノードおよび配信ノードです。これは、IP NGN アーキテク
チャのネットワーク レイヤとなります(図 3 を参照)。このようなインフラストラクチャ コンポーネント
は、すべてのサービスで必要なキャリア クラス要件を満たすうえで重要になります。また、このアー
キテクチャでは、統合によって Capital Expenses(CapEx; 資本コスト)と運用コストの両面でのメ
リットがもたらされることが不可欠です。
アグリゲーション ノードの機能
IP NGN キャリア イーサネット デザインは、さまざまな物理トポロジ(通常はリング内またはハブア
ンドスポーク構成内)に展開されたアグリゲーション ノードおよび配信ノードで構成されます。
アグリゲーション ノードは、アクセス ネットワークおよびエッジ ネットワーク間で中間的なアグリゲー
ション レイヤおよび多重化レイヤを提供します。アグリゲーション ノードとしての Cisco ASR 9000
の主な機能は次のとおりです。
●
高度なイーサネット サービス インスタンス機能:アグリゲーション ノードが企業向けサービスを
直接提供する場合に、アクセス ノードおよび企業の Customer Premises Equipment(CPE; 宅
内装置)を接続します。
◦ ポートの分類:タグなし、802.1Q、802.1Q および IEEE 802.1ad タグ付きイーサネット フレー
ムの範囲とリスト
◦ カプセル化変換と書き換え:802.1Q または QinQ /IEEE 802.1ad タグのプッシュ、ポップ、お
よび変換
◦ 同じアクセス インターフェイスにおける企業向けと個人向けの両サービス(サービス分類、ス
ケジューリング、ポリシング、およびマーキング)に対応した入力/出力階層型 QoS ポリシー
◦ レイヤ 2 および レイヤ 3 トラフィックの ACL フィルタによるセキュリティ、MAC アドレス制限、
ブローキャスト、マルチキャスト、および不明なユニキャストのストーム制御
●
Cisco ASR 9000 シリーズ ルータは、IP/MPLS レイヤ 2 およびレイヤ 3 テクノロジーに基づい
て、信頼性とスケーラビリティに優れ、かつ透過的で仮想化された各サービス対応のキャリア イ
ーサネット アグリゲーション機能およびトランスポート機能を提供します。
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◦ レイヤ 2 トランスポート:(バックアップ疑似回線により冗長性を高めた)Ethernet over MPLS
(EoMPLS)疑似回線に基づくポイントツーポイント イーサネット トランスポート、疑似回線を使
用する VPLS ブリッジ トポロジである Hierarchical Virtual Private LAN Service(H-VPLS)
対応のローカル VLAN/ポートのクロスコネクトまたはマルチポイント/ポイントツーマルチポイン
ト、およびローカルに定義されたブリッジ ドメインを利用できます。また、マルチキャスト配信の
制御には、VPLS Virtual Forwarding Instances(VFI)および Ethernet Virtual Connection
(EVC; イーサネット仮想接続)ローカル ブリッジ ドメインでプロキシ レポートを使用し、
Internet Group Management Protocol(IGMP)スヌーピングをサポートします。
◦ レイヤ 3 トランスポート:マルチキャスト Connection Admission Control(CAC; 接続アドミッ
ション制御)を使用する IP ユニキャストおよびマルチキャスト エッジ
◦ MPLS Traffic Engineering Fast Reroute(MPLS TE-FRR)および H-VPLS を使用する
MPLS トラフィック エンジニアリングに基づき、MPLS トポロジを管理
●
Cisco ASR 9000 は、サービスおよび加入者単位の高度な階層型 QoS を提供します。
図4
Cisco ASR 9000 の階層型 QoS
◦ 加入者単位のスケーラブルな階層型 QoS により、入力/出力 SLA の適用をサポート
◦ 音声およびビデオ アプリケーション向けのマルチレベルの優先順位付けにより、ジッタ、遅
延、およびパケット損失を最小化
◦ 優先順位の伝搬により、トラフィック負荷が多いピーク時でもすべての階層レイヤで音声およ
びビデオのサービス完全性を保証
●
Cisco ASR 9000 は、DSL、イーサネット、GPON、ケーブル、モバイル RAN、および WiMAX
へのアクセスに対応したサービス集約機能を提供するだけでなく、業務用機器へのイーサネット
ファイバ ベースの直接アクセスもサポートします。
配信ノードの機能
配信ノードは、アグリゲーション ネットワークおよびサービス エッジ ノード間の境界ポイントであり、
Broadband Network Gateway(BNG)と Multi-Service Edge(MSE)にイーサネット ハンドオフを
提供します。また、アグリゲーション ネットワークの EoMPLS および H-VPLS トランスポート サー
ビスを集約し、IPTV サービスの中間 IP/MPLS フォワーディング ノードとして機能します。配信ノー
ドとしての Cisco ASR 9000 の主な機能は次のとおりです。
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●
エッジ BNG および MSE ノードと接続するための柔軟なイーサネット サービス インスタンス機能:
◦ 802.1Q、IEEE 802.1ad、および QinQ での分類
◦ カプセル化変換と書き換え:タグのプッシュおよびポップ
◦ 個人および企業の加入者に対する最大サービス レートの適用により、Differentiated Service
Code Point(DSCP; DiffServ コード ポイント)、マーキング/ポリシング/スケジューリングを使
用した MPLS EXP ビットと 802.1p の分類、および入力/出力 SLA の適用に基づいた QoS
をサポート
●
Cisco ASR 9000 シリーズ ルータは、IP/MPLS レイヤ 2 およびレイヤ 3 テクノロジーに基づき、
信頼性とスケーラビリティに優れ、かつ透過的で仮想化された各サービス対応のキャリア イーサ
ネット配信機能およびトランスポート機能を提供します。
◦ レイヤ 2 トランスポート:EoMPLS 疑似回線によるアグリゲーションとスイッチング、H-VPLS
(アクセス側接続回線の疑似回線によるコアでの VPLS メッシュ)、および H-VPLS によるポ
イントツーマルチポイント マルチキャスト配信(疑似回線スプリット ホライズンが有効または無
効である VPLS ブリッジ トポロジ)をサポート
◦ レイヤ 3 トランスポート:IP、MPLS(IP over MPLS および IP Multicast over VPLS 疑似回
線)、およびリテール/ホールセール対応の(データ、音声、およびビデオ向け)トリプル プレー
サービスを提供する MPLS または IP マルチキャスト VPN トランスポートをサポート
◦ MPLS TE、MPLS TE-FRR、トポロジ制限付きの H-VPLS、MPLS 自律間システム テクノロ
ジー、およびアグリゲーション ネットワークおよびコア ネットワーク間の動作をセグメント化す
る EoMPLS 疑似回線スイッチングに基づいて MPLS トポロジを管理
●
アクセス ノード間または企業の VPN CPE を直接接続する必要がある場合、配信ノードの機能
がアグリゲーション ノードの機能に集約される場合があります。
個人向けサービスを提供する場合のアーキテクチャ
Cisco ASR 9000 は、レイヤ 2 および レイヤ 3 の両モードでアクセス側論理インターフェイス
(UNI)を使用できます。つまり、同じ物理インターフェイスにより、複数の レイヤ 2 インターフェイス
と レイヤ 3 インターフェイスを同時に定義することができます。DSL Forum TR-101 の推奨事項に
基づき、アグリゲーション ノードで個人向けサービスを集約する場合の接続モデルが 3 つ定義さ
れています。
●
非トランク UNI/N:1 VLAN モデルは、共有 VLAN のアクセス ノードで集約されたすべての加入
者サービスをマッピングし、すべての加入者およびサービス トラフィック用の共有 VLAN をアグ
リゲーション ネットワークに提供します。このモデルは、DSL またはイーサネット UNI を使用す
る場合に適しています。
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図5
●
個人向けサービスを提供する場合のアーキテクチャ
トランク UNI/N:1 サービス VLAN モデルは UNI 上の 各仮想回線または VLAN を使用して、特
定のサービスまたはサービス グループをマッピングします。各サービス(またはサービス グルー
プ)は共有 VLAN のアクセス ノードに集約され、アグリゲーション ネットワークに共有サービス
VLAN が提供されます。このモデルは、DSL、WiMAX、および 802.1Q タグ付きイーサネット
UNI で使用できます。
●
トランク UNI/1:1 インターネット アクセス VLAN モデルでは、異なる仮想回線または VLAN を使
用してインターネット アクセスへのマッピングを行い、IPTV 向けには共有 VLAN を使用します。
アクセス ノードは IPTV トラフィックを共有 VLAN 上で多重化し、それをインターネット アクセス
用の加入者 VLAN または TV/VoD 用の共有 VLAN 単位でアグリゲーション ネットワークに提
供します。このモデルは、DSL マルチ VC UNI または DSL およびイーサネット 802.1Q タグ付
き UNI で使用できます。
●
DSL Forum TR-101 に準拠していないアクセス ノード(主に従来の DSL アクセス ノードまたは
Very High Bit rate DSL [VDSL] 大規模/高密度アクセス ネットワーク)の場合、個人加入者のブ
リッジド/ルーテッド CPE デバイスおよびトランク UNI 間の接続は、複数の DSL 仮想回線また
はイーサネット(VDSL、PON、またはイーサネット)802.1Q タグ付きインターフェイスを使用して
行われます。これらのアクセス ノードは、加入者の UNI 仮想回線または Customer VLAN(CVLAN)を加入者またはサービス プロバイダー単位の VLAN に相互接続するか、または加入者
の UNI C-VLAN を加入者ごとに指定された回線 Service Provider VLAN(S-VLAN)にトンネリ
ングする必要があります。
個人向け High Sped Internet(HSI)サービス
個人向けのインターネット アクセス(必要に応じて VoIP テレフォニー)サービスは、加入者および
サービス識別型の IP エッジを使用する BNG 経由で提供されます。BNG は、トランスポート SLA
に 対 応 し た 動 的 なポ リシ ー 制 御 を 使 用 し て、加 入 者 の Authentication, Authorization and
Accounting(AAA; 認証、認可、アカウンティング)を実装します。アグリゲーション側の Cisco ASR
9000 からのトランスポートは、配信ノードへの疑似回線に基づいて提供されます。
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図6
HSI サービス トランスポート アーキテクチャ
複数のアクセス ノードから提供される個人向けトラフィックは、使用するアクセス ノード UNI や接続
モデルに関係なく、単一の疑似回線に集約され、アグリゲーション ネットワークおよびカプセル化さ
れた BNG 802.1Q または QinQ 間でイーサネット UNI を生成します。ノードに障害が発生した場
合、各疑似回線の保護は、バックアップ疑似回線から冗長配信ノードまでの間で行われます。必要
に応じて TE-FRR を設定すれば、中間リンクやノード障害からのリカバリを迅速に行えます。
個人向けビデオ サービス
個人向けのブロードキャスト TV/VoD(必要に応じて VoIP)サービスを提供する場合には、IP サー
ビス対応エッジを提供するアグリゲーション側の Cisco ASR 9000 を使用します。Cisco ASR
9000 は、サービス レベルのトランスポート SLA を適用しています。アグリゲーション ネットワーク
における TV および VoD のトランスポートは、次の 2 つのモデルに基づいています。
●
IP:アグリゲーション ネットワークで使用するトランスポートのデータ プレーンは IP です。コント
ロール プレーンは Interior Gateway Protocol(IGP)および Protocol Independent Multicast –
Source Specific Multicast(PIM-SSM)に基づいています。このモデルを使用すると、TV および
VoD の効率的なトランスポートをアグリゲーション ネットワークで実現できます。また、トランス
ポートおよび物理トポロジ間のアライメント機能やパス CAC でのローカル サービス インジェク
ション機能が提供されます。IGP および PIM の高速コンバージェンスに基づくソース冗長性、お
よび一貫性のある 1 秒未満の障害回復に対応した最適化メカニズムも実現します。IPTV
(VoD)トラフィックは、MPLS TE トンネル経由で送信することもできます。
●
VPLS による IP/MPLS:IPTV トラフィックは、VPLS 疑似回線(ハブアンドスポークまたはデイ
ジーチェーン接続されたリング VPLS)を使用して配信ノード側の Cisco ASR 9000 からアグリ
ゲーション ノード側の Cisco ASR 9000 に分散できます。このオプションを使用すると、IGMP ス
ヌーピングとプロキシ機能により、レイヤ 2 ネットワークの各ホップに応じて最適なマルチキャス
ト配信を行えるようになります。
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図7
HSI サービス トランスポート アーキテクチャ
インターネット アクセスおよび TV/VoD サービスは異なるトランスポート SLA (異なるセッション タ
イムアウト、アイドル タイムアウト、認可とアカウンティングの要件など)を使用しますが、これらの
サービスはクライアント側の異なる IP サブネットに基づいて提供されます。つまり、インターネット
アクセス用の IP サブネットと TV/VoD 用の IP サブネットが存在します。ブリッジド CPE デバイス
を使用する場合、これらの IP サブネットは個人向けデバイスで直接使用されますが、ルーテッド
Network Address Translation(NAT; ネットワーク アドレス変換) CPE デバイスの場合、CPE は
個人向けデバイスおよびこれらの IP サブネット間のマッピング機能を提供します。
これにより、個人向けのインターネット アクセスと TV/VoD サービス提供モデルの共存が可能にな
り、特定のネットワーク構成の一部としてアクセス ノード UNI および接続モデルを統合できます。
企業向けサービスを提供する場合のアーキテクチャ
企業向けサービスは、中央集中型の MSE、およびアグリゲーション側の Cisco ASR 9000 ノード
による MSE 機能の統合という 2 つのアーキテクチャ モデルに基づいて提供されます。
イーサネット レイヤ 2/レイヤ 3 における VPN(ポイントツーポイントおよびマルチポイント)は、多重
化された Metro Ethernet Forum(MEF 6/10)サービス(xDSL、WiMAX、およびイーサネット アク
セス)および多重化されていないイーサネット UNI(イーサネット アクセス)により提供されます。
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図8
企業向けサービスを提供する場合のアーキテクチャ
中央集中型の MSE による企業向けサービス提供モデル:
中央集中型の MSE を使用した企業向けサービス アーキテクチャでは、サービス関連のネットワー
ク フォワーディング機能およびトランスポート SLA の適用機能をエッジ ネットワーク経由で MSE
ノードに配置します。MSE を使用すると、MPLS VPN サービス用の IP Virtual Route Forwarding
(VRF)インスタンス内にある加入者の QinQ または 802.1ad(多重化されたイーサネット アクセス
UNI 向け)および QinAny(多重化されていないイーサネット アクセス UNI 向け)サービス インスタ
ンス、イーサネット回線サービス用の EoMPLS 疑似回線、およびイーサネット LAN サービス用の
VPLS がマッピングされます(注:QinAny は、特定の S-VLAN ID に一致するサブインターフェイス
またはサービス分類を定義しますが、C-VLAN は含みません。このモデルは、多重化されていない
リモートの UNI トランスポートに適しています)。
図9
企業向けサービスを提供する場合の中央集中型トランスポート アーキテクチャ
アグリゲーション ネットワークでは、EoMPLS 疑似回線に基づいたトランスポート サービスが提供
されます。EoMPLS 疑似回線では、同一または異なるアクセス ノードからの複数の加入者サービ
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ス インスタンス(QinQ および QinAny)が 1 つの EoMPLS 疑似回線にマッピングされ、アグリ
ゲーション ネットワークおよび MSE 間のイーサネット インターフェイスで終端されます。
企業向けの分散型サービス提供モデル:
企業向けサービス アーキテクチャに基づいた分散型アグリゲーション ノードでは、アグリゲーショ
ン ノードのレイヤ 2/レイヤ 3 および VPN 機能を統合することにより、サービス関連のネットワーク
フォワーディング機能とトランスポート SLA の強化機能をアグリゲーション ネットワークに配置しま
す。アグリゲーション ノードは、加入者のイーサネット ポート、802.1Q、QinQ/802.1ad(多重化され
た Ethernet to the Building [ETTB] アクセス ネットワーク UNI 用)および QinAny(多重化されて
いない ETTB アクセス ネットワーク UNI 用)サービス インスタンスを、レイヤ 2/レイヤ 3 VPN トラ
ンスポート インスタンスにマッピングします。
レイヤ 3 VPN サービスのアグリゲーション ネットワークで使用するトランスポートは、MPLS およ
び マルチキャスト VPN に基づいており、VRF フォワーディング インスタンスにマッピングされる加
入者サービス インスタンスです。
図 10
企業向けサービスを提供する場合の分散型トランスポート アーキテクチャ
イーサネット回線サービスで使用するトランスポートは、EoMPLS 疑似回線に基づいています。加
入者サービス インスタンスは、他のサービス インスタンスまたは EoMPLS 疑似回線に対してロー
カルまたはリモートで相互接続されます。イーサネット LAN サービスのトランスポートを有効にする
には、疑似回線トランスポートを使用して、アグリゲーション ノードのブリッジ ドメイン機能で指定さ
れた加入者サービス インスタンスを、VPLS コア メッシュを形成している配信ノード側から H-VPLS
インスタンスに接続します。配信ノードは、アグリゲーション ネットワークおよびコア ネットワーク間
の自律間システム、複数のセグメントからなる疑似回線、および VPLS 自動検出に基づいて、
MPLS Network Node Interface(NNI)インターフェイスを実装します。
ホールセール向けサービスを提供する場合のアーキテクチャ
ホールセール向けサービス モデルは、個人および企業向けのアクセスをリテール サービス プロバ
イダーに提供します。このモデルは、Layer 2 Tunneling Protocol version 2(L2TPv2)および
MPLS VPN に基づき、レイヤ 3 ハンドオフを実装するインターネット アクセス ホールセールを含む
よう定義されています。BNG は、ローカルに設定されたポリシー、またはセッション許可プロセス内
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でポリシー決定レイヤから取得したリモート ネットワーク フォワーディング ポリシーに基づいて、
Point-to-Point over Ethernet(PPPoE)および IP over Ethernet(IPoE)加入者セッションを、対応
するホールセール L2TP トンネルまたは MPLS VPN VRF インスタンスにマッピングします。BNG
からのレイヤ 3 ハンドオフを使用するインターネット アクセス ホールセールでは、アグリゲーション
ネットワーク上の同じ EoMPLS 疑似回線トランスポートをリテール インターネット アクセス サービ
スと共有する場合があります。
必要に応じて、MPLS VPN ハンドオフを使用するインターネット アクセス ホールセールをトリプル
プレー サービスに拡張できます。アグリゲーション ノードは、ISP TV および VoD サービス インス
タンス(共有 VLAN)を MPLS およびマルチキャスト VPN に接続します。同じ ISP に対応する
BNG インターネット アクセスの PPPoE および IPoE セッションは、同じ MPLS およびマルチキャ
スト VPN に接続されます。アグリゲーション ノードの IP エッジ機能を使用すると、多数のアクセス
ノードに関連する複雑な ISP アドレス管理を最適化できます。
図 11
ホールセール向けサービスを提供する場合のアーキテクチャ
(TV ブロードキャスト用の)ポイントツーポイントおよびポイントツーマルチポイント配信サポートに
対応したイーサネット ビット ストリーム ホールセールを使用すると、レイヤ 2 トランスポートおよび
ハンドオフを使用したホールセール サービスを提供できる場合があります。イーサネット ビット スト
リーム ホールセール サービスは DSL アクセスに対応しており、マルチキャスト配信をサポートしま
す。イーサネット ビット ストリーム ホールセールのトランスポートを使用すると、個人および企業向
け DSL UNI モデル(DSL アクセス ノード経由の共有 VLAN および加入者 VLAN)をすべて統合
できます。
ポイントツーポイント サービス向けのトランスポートでは、EoMPLS 疑似回線、 QinQ ベースのリ
テール サービス プロバイダーを利用するイーサネット インターフェイス、アクセス ノードを識別する
S-VLAN、およびリテール サービス プロバイダーの DSL UNI モデルと接続設定を反映した VLAN
が使用されます。ポイントツーポイント トランスポート サービス向けのリテール サービス プロバイ
ダーに対応したピアリング ポイントは、配信ノード レベルに配置することも、コア ネットワーク経由
で別のアクセス ポイントに拡張することもできます。
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ソリューション概要
まとめ
キャリア イーサネット アグリゲーション ネットワークでは、有線、モバイル、リテール、およびホール
セールの各サービスに対応した帯域幅、スケーラビリティ、信頼性、およびマルチサービス機能が
これまで以上に必要になってきています。Cisco ASR 9000 シリーズは、このような需要に対応で
きる拡張性およびスループットを提供します。また、Cisco IP NGN キャリア イーサネット デザイン
の一部として、さまざまなテクノロジーを柔軟に選択できるようになっています。複数のビジネス モ
デルをサポートする Cisco ASR 9000 シリーズを使用すれば、サービス プロバイダーは将来の品
質面および数量面での必要に応じて、容易に製品を拡張できるようになります。
Cisco ASR 9000 シリーズ向けのサービス
シスコでは、ライフサイクル サービス アプローチを通じて、サービス プロバイダーのお客様が IP
NGN を導入、運用、および最適化できるようにするための包括的なサポートを提供しています。シ
スコの Cisco ASR 9000 アグリゲーション サービス ルータ向けのサービスを活用すれば、確実な
サービス展開を保証するサービスや実証済みの実例が提供され、十分な Return on Investment
(ROI; 投資回収率)、適切な運用効率、最適なパフォーマンス、およびハイ アベイラビリティを実現
できるようになります。これらのサービスは、Cisco ASR 9000 の導入および実装後のサポート向
けに特別に開発されており、ベスト プラクティスや優れたツール、プロセス、およびラボ環境が含ま
れています。シスコのサービス チームはお客様ごとの固有の要件に対応し、お客様の収益源であ
る既存のサービスを損なうことなく新しいネットワーク サービスを迅速に市場に投入できるようにし
ます。
シスコが提供するサービスの詳細については、シスコ製品の販売代理店までご連絡いただくか、次
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