XAFS - SPring-8

目 的
Nb酸化物は誘電特性に優れており、各種能動
体デバイスの材料として使用されている。
Nb酸化物は、熱処理により誘電特性が変化する
ことが知られているが、その原因については解明
されたとは言い難い。
我々はXAFS分析を用いて局所構造を分析し、熱
処理と誘電特性との関係の調査を試みた。
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実験概要
[試料] Si基板上にスパッタ蒸着したNb金属を陽極酸化した
後、
① 250~500℃で30分熱処理した。
② ①を再陽極酸化処理した。
Nb金属
(未酸化)
①
Nb酸化物
②
250~500℃
熱処理
Si基板
再陽極酸化
処理
標準試料:Nb金属、NbO粉末、NbO2粉末、Nb2O5粉末
[実験] ・Nb-K吸収端におけるエッジジャンプを測定
・Si(111)により単色化し、Rhコートミラーにより
高次光を除去した入射X線を照射
[使用BL] SPring-8 BL16B2
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転換電子収量法(CEY)測定系
+1kV
対向電極
e-
He+
He雰囲気
e-
入射X線
試料
15
°
試料にX線が照射することにより、試料表面から発生する
電子(主としてオージェ電子)と、その電子によってイオン
化されたヘリウムイオンを電極で捕集する。
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XAFS(CEY)のセッティング
入射光
測定セル
[使用BL] SPring-8 BL16B2
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XANESスペクトルの合成
(1)各標準(金属Nb、 NbO、NbO2、Nb2O5 )の
XANESスペクトルの最大ピーク高さを1になる
に規格化した。
よう
(2)Nb酸化物のXANESスペクトルが、各標準の
XANESスペクトルの比率を変化させた合成波
一致するように、フィッティングを行った。
形と
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CEYによるNb標準試料のXANESスペクトル
1.2
吸収係数
1.0
0.8
0.6
Nb metal
NbO
NbO2
Nb2O5
0.4
0.2
0.0
18850
18900
18950
E(eV)
6
19000
19050
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XANESスペクトル合成例(熱処理前)
1.2
吸収係数
1.0
0.8
0.6
実測値
計算値
Nb2O5(比率:57%)
0.4
0.2
0.0
18850
Nb metal(比率:43%)
18900
18950
19000
19050
E(eV)
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Nb酸化物(熱処理)のXANESスペクトル
1.2
吸収係数
1.0
0.8
0.6
250℃
300℃
400℃
500℃
0.4
0.2
0.0
18850
18900
18950
19000
19050
E(eV)
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Nb酸化物(再酸化処理)のXANESスペクトル
1.2
吸収係数
1.0
0.8
0.6
250℃熱処理後再酸化
0.4
300℃熱処理後再酸化
400℃熱処理後再酸化
0.2
0.0
18850
500℃熱処理後再酸化
18900
18950
19000
19050
E(eV)
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標準スペクトルからの合成結果(1)
熱処理後の合成結果
250℃
Nb metal
90
NbO
0
0
NbO 2
Nb 2 O 5
11
300℃
44
5
22
30
400℃
36
14
40
15
500℃
34
13
44
13
(比率:%)
熱処理温度が高いほど、金属Nb成分が減少し、Nb
酸化物成分が増大する傾向が判った。
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標準スペクトルからの合成結果(2)
再陽極酸化後の合成結果
250℃
Nb metal
41
NbO
0
0
NbO 2
Nb 2 O 5
61
300℃
44
0
0
58
400℃
43
0
0
59
500℃
44
0
0
58
(比率:%)
再酸化処理後では、いずれも熱処理前の初期状態
とほぼ同じ結果となった。
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ま と め
(1)熱処理温度が高いほど、金属Nb成分が減少し、Nb
酸化物成分が増大する傾向が判った。
(2)再陽極酸化により、ほぼ最初の酸化状態になること
判った。
が
(3) 熱処理や再陽極酸化処理などによりNb酸化物の膜
厚・組成が変化が起こっている事が示唆された。
(4)これが誘電特性の変化の一因であると考えられる。
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