目 的 Nb酸化物は誘電特性に優れており、各種能動 体デバイスの材料として使用されている。 Nb酸化物は、熱処理により誘電特性が変化する ことが知られているが、その原因については解明 されたとは言い難い。 我々はXAFS分析を用いて局所構造を分析し、熱 処理と誘電特性との関係の調査を試みた。 1 Copyright(C) SANYO Electric Co., Ltd.2006 実験概要 [試料] Si基板上にスパッタ蒸着したNb金属を陽極酸化した 後、 ① 250~500℃で30分熱処理した。 ② ①を再陽極酸化処理した。 Nb金属 (未酸化) ① Nb酸化物 ② 250~500℃ 熱処理 Si基板 再陽極酸化 処理 標準試料:Nb金属、NbO粉末、NbO2粉末、Nb2O5粉末 [実験] ・Nb-K吸収端におけるエッジジャンプを測定 ・Si(111)により単色化し、Rhコートミラーにより 高次光を除去した入射X線を照射 [使用BL] SPring-8 BL16B2 2 Copyright(C) SANYO Electric Co., Ltd.2006 転換電子収量法(CEY)測定系 +1kV 対向電極 e- He+ He雰囲気 e- 入射X線 試料 15 ° 試料にX線が照射することにより、試料表面から発生する 電子(主としてオージェ電子)と、その電子によってイオン 化されたヘリウムイオンを電極で捕集する。 3 Copyright(C) SANYO Electric Co., Ltd.2006 XAFS(CEY)のセッティング 入射光 測定セル [使用BL] SPring-8 BL16B2 4 Copyright(C) SANYO Electric Co., Ltd.2006 XANESスペクトルの合成 (1)各標準(金属Nb、 NbO、NbO2、Nb2O5 )の XANESスペクトルの最大ピーク高さを1になる に規格化した。 よう (2)Nb酸化物のXANESスペクトルが、各標準の XANESスペクトルの比率を変化させた合成波 一致するように、フィッティングを行った。 形と 5 Copyright(C) SANYO Electric Co., Ltd.2006 CEYによるNb標準試料のXANESスペクトル 1.2 吸収係数 1.0 0.8 0.6 Nb metal NbO NbO2 Nb2O5 0.4 0.2 0.0 18850 18900 18950 E(eV) 6 19000 19050 Copyright(C) SANYO Electric Co., Ltd.2006 XANESスペクトル合成例(熱処理前) 1.2 吸収係数 1.0 0.8 0.6 実測値 計算値 Nb2O5(比率:57%) 0.4 0.2 0.0 18850 Nb metal(比率:43%) 18900 18950 19000 19050 E(eV) 7 Copyright(C) SANYO Electric Co., Ltd.2006 Nb酸化物(熱処理)のXANESスペクトル 1.2 吸収係数 1.0 0.8 0.6 250℃ 300℃ 400℃ 500℃ 0.4 0.2 0.0 18850 18900 18950 19000 19050 E(eV) 8 Copyright(C) SANYO Electric Co., Ltd.2006 Nb酸化物(再酸化処理)のXANESスペクトル 1.2 吸収係数 1.0 0.8 0.6 250℃熱処理後再酸化 0.4 300℃熱処理後再酸化 400℃熱処理後再酸化 0.2 0.0 18850 500℃熱処理後再酸化 18900 18950 19000 19050 E(eV) 9 Copyright(C) SANYO Electric Co., Ltd.2006 標準スペクトルからの合成結果(1) 熱処理後の合成結果 250℃ Nb metal 90 NbO 0 0 NbO 2 Nb 2 O 5 11 300℃ 44 5 22 30 400℃ 36 14 40 15 500℃ 34 13 44 13 (比率:%) 熱処理温度が高いほど、金属Nb成分が減少し、Nb 酸化物成分が増大する傾向が判った。 10 Copyright(C) SANYO Electric Co., Ltd.2006 標準スペクトルからの合成結果(2) 再陽極酸化後の合成結果 250℃ Nb metal 41 NbO 0 0 NbO 2 Nb 2 O 5 61 300℃ 44 0 0 58 400℃ 43 0 0 59 500℃ 44 0 0 58 (比率:%) 再酸化処理後では、いずれも熱処理前の初期状態 とほぼ同じ結果となった。 11 Copyright(C) SANYO Electric Co., Ltd.2006 ま と め (1)熱処理温度が高いほど、金属Nb成分が減少し、Nb 酸化物成分が増大する傾向が判った。 (2)再陽極酸化により、ほぼ最初の酸化状態になること 判った。 が (3) 熱処理や再陽極酸化処理などによりNb酸化物の膜 厚・組成が変化が起こっている事が示唆された。 (4)これが誘電特性の変化の一因であると考えられる。 12 Copyright(C) SANYO Electric Co., Ltd.2006
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