149 - 島田療育センター

第149号
平成19年3月1日
第6回公開シンポジウム 2月12日に開催
今年のテーマは『障害者自立支援法を検証する』
2月12日(月)
、晴天の中、公開シンポジウム
目標の1つに掲げているが、就労先が殆どないこ
が開催されました。89人の方が参加されました。
となど様々な問題点を多摩市の実態を踏まえて
木実谷院長の挨拶の後、5人のシンポジストの
説明し、財源と人材の確保、連携および相談支
方が講演をされました。最初に佐藤進様の基調
講演がありました。少子高齢社会の進行に伴い、
援の大切さを話して下さいました。
足立直人様は、訪問介護ステーションの立場
2025年は、年金・医療・福祉に総額140兆円かか
から、介護保険と自立支援法の最大の違いは、
ることが予想されている(2006年総額84兆円)
。
ケアマネージャーの有無であり、自立支援法の
その中で財源の確保をどうするか。保険か税金
サービスを受ける方は自分で行政やサービス提
かという選択肢の中で、介護保険を例にあげ介
供事業所等と交渉しなければならず、居宅サー
護保険との一体化を提案して下さいました。北
ビス計画書がないこと、自立支援法から介護保
欧諸国は、障害者は「障害者」であるからでは
険に移行した方のサービスに何ら変更がなかっ
なく、
「人間」であるからこそ適正な生活水準の
たこと等を説明して下さいました。
権利を持つという共生社会であるのに対して、
自由討論では、財源は福祉目的税と介護保険
アメリカは、障害者は「障害者」であるからこ
のどちらがいいのか、福祉にお金を払うことに
そサービス受給の権利があるという競争社会の
対しての意識の変化等活発な議論がなされ、最
論理からなるという根本的な違いがあること、
後に有本副院長の挨拶で終了しました。
人を「これから障害を持つかもしれない者」と
立場は違っても、
「障害者のために」という想
分けることにより、お互いが当事者意識を持つ
いはみんな一緒です。意見の違いが出るのは当
ことの大切さも教えて下さいました。
然です。でも意見の違いがあるからといって、
小泉信治様は、障害者の立場から、2歳~21
相手の人格まで否定してしまうことは決してあ
歳まで病院で生活していたこと、退院し自立し
ってはならないことです。「公憤は大いにすべ
て8年経つこと、自立までの道筋と現在の生活の
き、但し私憤は厳禁」は初代園長の小林提樹先
様子をビデオを使い紹介して下さいました。
生が残された言葉です。相手の立場から「自立
堤愛子様は、自立支援法に変わってから自己
について」考える。それが思いやりであり、連
負担がどれだけ増え、介護してもらう時間がど
携であることをこのシンポジウムは教えてくれ
れだけ減ったか等を障害者と経営の両面から詳
ました。
しく説明し、自立支援法の問題点を指摘して下
さいました。
荒井康弘様は、支援費制度になってからの支
出は、平成14年度の1億円から平成17年度には2
億5千万円になったこと、自立支援法によるサー
ビスを受けている方は、障害者手帳所持者の1
割程度しかいないこと、短期入所制度は本当の
緊急時には使えないこと、自立支援法は就労を
(支援部部長 小沢 浩)
【職場だより】
事務部施設管理係は
こんなことをしています
施設管理係は、事務・ボイラー・外周作業を
担当し、建物と供給システムの維持管理を主な
業務としています。ボイラーの日常業務は水、
ガス、空調機の各メーターを確認し、正常に運
1度行います。
電気については年に1度、9月頃に電気工作物
の検査があり、漏電等がないかを業者に調査し
てもらいます。作業当日は、エレベーター切替
を行ったり、各部署を巡視したり、非常灯等の
不具合のチェックをします。
ガス設備や空調設備の定期点検や整備は、業
者が行います。
用されているかどうかをチェックします。外周
事務担当の日常業務は、酸素タンクのメータ
担当は植栽を中心に整備作業を行っています。
ー確認と建物の巡視です。その他、各部署での
事務担当はそれぞれの作業を統括し、業務を遂
設備の補修や照明の交換等を行います。必要が
行しています。
あれば業者に連絡し、見積書の起案をします。
ライフラインの水に関しては、毎月水質検査
を外部の業者に委託し、保健所に2ヶ月分の報告
毎月の業務として消防訓練があり、消防署へ
の届けを提出しています。消防設備は年2回の法
を行います。年度当初には検査計画書を提出し、
定点検を業者委託し、不具合が生じている所は
査察を受けて使用の安全確認を行っています。
順次改修を行っています。
(西村 邦博)
夏場だけ使用する冷却塔の減水報告も2ヶ月に
とって重要になります。
「KOMI通信」NO10
※KOMI理論における疾病論
KOMI理論において、疾病論は理論全体の骨格
を形成する重要なものとされています。理論創設
者の金井氏は、本来の看護・介護実践は、個別の
生活の処方箋を描き、生活過程を健康的に整えて
いくところに、その専門性があると述べています。
医学の視点とは異なる独自の視点となります。
金井氏は、以下の図で説明しています。
ケアの視点
医学の視点
病 気
金井氏のKOMl理論の構成がかなり明らかにな
ってきます。
(次号へ続く)
(療育部 KOMl通信員:高橋節夫)
「島田療育センターを守る会」様
から今年も多額の寄付
~32年間で約1億9800万円~
1月25日、中野サンプラザで行われた贈呈式に出
席した山川理事長、木実谷院長は、今年も「6,401,737
円」という多額の寄付を頂いてきました。この他
に、
「わいわい祭り」や「クリスマスケーキ」の寄
贈も頂いています。
「島田療育センターを守る会」は、今から32年
前、都内の遊技場を経営する有志の方々が、当時、
大変な状況にあった島田療育園の支援のために結
成されました。世話人の方々が中心になって、募
診断・治療
生活の処方箋を描き
生活過程を整える実践
金活動や店に置いた募金箱に入れられたお客様か
らの浄財を、これまで1回の休みもなく、32年の長
きにわたり支援して下さっています。
図でわかるように、看護・介護実践の方向性と
オーストラリア研修など職員の福利厚生や高額
内容が明確になり、右から左への矢印が示す内容
な備品の購入などに使わせていただいています。
の知識体系を整備することが、看護職や介護職に
本当にありがとうございます。
小林提樹先生と
島田のあゆみ(7)
支援部部長
小 沢
浩
◇ 守らなければいけないもの◇
障害児が「入院」に値するかどうかという、健康保
険基準局との繰り返される交渉の中においても、捨て
子となってしまった障害児は次々と収容されていきま
した。
昭和25年、児童相談所から3ヶ月の捨て子の全盲児の
収容依頼がありました。どこも引き取ってくれる所がな
く困り果てての連絡でした。でもその子は、年齢超過児
になれば行き場がなくなることは目にみえていました。
そのため小林先生は、行き場の保証が得られなければ受
け取れないと初めて頑強に拒否しました。何回も話し合
いを持ちましたが、児童相談所は頭を下げるばかり。小
林先生は保証を要求するだけで、ずっと平行線でした。
でも最後は小林先生が折れました。その時のことを先生
は「いい加減に妥協しても当事者がほっとするだけで、
体制作りにまでは発展しないし、私の奉仕は体制作りを
阻止していることにもなりかねないと、あえて強く拒否
したかったのであるが、子どものことを思うと結局また
負けてしまった。
」と回想しています。
当時の児童相談所は、小林先生が障害児を受け入れ
てくれたため、次々に依頼してきました。入院を依頼
するのはお役所、また強制退院させたのもお役所と、
セクショナリズムの最も悪い見本となりました。社会
や組織のセクショナリズムは衰退へと導きます。子ど
も達のための児童福祉法が、障害児を窮地に立たせる
ことになったのでした。本当に守らなければいけない
ものとは何だったのでしょう。
その子は、映画館に捨てられていたので、
「映子ちゃ
ん」と名づけられ、その後乳児院と障害棟で過ごしま
した。小林先生が島田療育園に移られてから、映子ち
ゃんは生命も危なくなるほどのひどい栄養失調になっ
てしまいました。この時の島田療育園収容の申し出も
小林先生は心を鬼にして拒否しましたが、担当の中沢
婦長が見かねて島田に職員として一緒に行くから受け
入れて欲しいと懇願し、二人で島田にやってきました。
その後、中沢婦長は島田の総婦長を務めました。
◇ 法を超えて◇
しかもその多くは捨て子でした。この子ども達にも健康
保険基準局は「入院」に適するかどうかを詰問してきま
した。小林先生は、これについては断じて譲ることがで
きませんでした。法律だけを守ろうとする役人達に憤り
を感じずにはいられませんでした。そこでこの子ども達
をどうするかを社会に訴えることにしました。それまで
は障害児とその家族のことを考え、病室に名札を掲げな
いほどの閉鎖的なやり方でしたが、それを捨て公開する
手段に転換したのでした。まず全国社会福祉大会で「児
童福祉法によって措置されない矛盾」を毎回叫びました。
幸いにも世田谷区の児童福祉士有吉迪哉氏が共鳴して
下さり、重症欠陥児の対策懇談会を作り、厚生省、都庁
等に案内状を送りました。その案内状を紹介しましょう。
「児童福祉法によればすべての児童が守られること
になっているのに、ここにその身分も守られない不幸
な子供達が居ります。それは、盲・聾・肢体不自由・
精薄などの重症な重複欠陥児で、しかも幼弱なるもの
は殊に全く捨てて顧みられない状態にあります。この
法にそぐわない盲点の現実を打開することを目標に懇
談会を開くことになったのであります。「御参考まで
に実例を御覧頂いて、この盲点を一緒に御検討願いた
いと存じます。
症例:14歳女児。父は戦病死、引き上げ就労母の世帯。
本児は5歳時結核性脳膜炎に罹患し、盲・聾・唖及び重
症白痴の状況になってしまった。現在寝たままで移動、
手にさわる物は全部破り又大小便の自覚なく、大便を
好んでこねるのでベッドに手足をしばりつけられてい
る。家庭における看護も不可能、しかも児童福祉法・
生活保護法・健康保険などによる収容保護も困難で、
その措置方法を得ないでいる。
」関係官庁が出席してく
れました。その場で対策を訴えましたがいい解決は得
られず、そのことを東京都の小林彰衛生局長に訴えま
した。局長は、一般世論に訴えるのがよいと読売新聞
論説委員梅田博さんへの紹介状を書いてくれました。
梅田さんは早速日赤病院の重症児達を見学しましたが、
新聞には取りあげませんでした。一般世論よりも国や
財界の人達に直接実情を訴え、法制化や資金造成が先
決と考え、水面下で関係者に救済を訴えていたからで
した。そのため朝日新聞論説委員の江原清さんを案内
し、江原さんは、
「光のない子供」という題で取りあげ
てくれました。これが新聞紙上に現れた第一号です。
その後徐々に社会へのPRが進み、そしてこの懇親会が
実を結び、国からは「法的には措置が決められないの
昭和30年、健康保険患児が退院してしまったことによ
で、適当に担当者が大目に見てやっていくことが臨時
り、常時20から25人入院していた障害児は半減してしま
に許されるであろうし、それ以外に当面の解決手段は
いました。残った者は生活保護法による幼児の入院だけ。 ない」との結論を引き出すことができました。
3月
島田の動きあれこれ
行事予定
(○数字は病棟名)
◆ “ オモチャから始まる情報機器” 「The MAGICAL
2日(金)ドライブ:永山駅周辺(②)
TOY Box in 島田療育センター」を開催
6日(火)ドライブ:多摩センター(①)
2月11日(日)
、パソコン機器の展示、操作説明・
7日(水)小 遠 足:ズーラシア(⑦)
体験、個別相談などを厚生棟研修室で実施。200名
9日(金)小 遠 足:サンリオピューロランド(③)
ほどの方達が参加。養護学校の先生達、多摩市障
10日(土)誕 生 会
害者支援センターのーま、八王子市心身障害者福
14日(水)C A P P
祉センター、パシフィックサプライ、テクノツー
ドライブ:府中競馬場(⑥)
ル、エスコアール、情報ボランティアの会(八王
15日(木)小 遠 足:よみうりランド(①)
子)等の協力で、ピコピコルーム主催で実施しま
20日(火)ドライブ:多摩中央公園(⑦)
した。
28日(水)小 遠 足:昭和記念公園(⑥)
◆ 第3回講演会「子どもの特性を生かすクラスで
29日(木)ドライブ:町田リス園(③)
ドライブ:宝野公園(⑤)
30日(金)小 遠 足:聖蹟桜ヶ丘(②)
ちょっとひと息
いや-!今年も花粉の季節がやってきた。
毎年、この時期になると憂鬱になる人も多い
のでは?自分は、20代の前半に突然に花粉症
にかかりました。今年の花粉飛散量は、暖冬
のせい?で昨年に比べ減少する見込みらしい
のですが、油断は禁物ですね。自分の症状は、
クシャミ、鼻づまりがひどく、発症してから
あらゆる対策をとってきた積もりでした。嫌
いな甜茶を飲む。鼻づまりに、コップに熱い
お湯・お茶を入れ、その湯気に近づけて深呼
吸をする。同じく鼻づまりに指圧(
「天柱」と
いうツボを)も全然効果なしでした。今や、
国民の10人に1人は苦し
んでいるという花粉症。
何かいい対策があればぜ
ひぜひ教えて下さい。
(福島 直人)
入 退 所
(1月1日~31日)
の支援」を開催
2月18日(日)
、
「軽度発達障害のある子どもたち
がよりよい社会生活をおくるために」をサブテー
マに行いました。明治学院大学心理学部の緒方明
子教授の講演「子どもの特性を生かすクラスでの
支援」の後、矢島卓郎(目白大学人間社会学部教
授)
、山本秀二(島田療育センター心理相談室室長)
両氏も加わり、事例検討と質疑応答を実施。197名
の参加者で大盛会でした。
◆ 国士舘大学体育学部学生の「介護等体験実習」
のオリエンテーションを実施
2月19日・20日、来年度、介護等体験実習受け入
れのためのオリエンテーションを厚生棟研修室を
中心に実施。約360名の学生を対象に、ミニ講義・
車椅子体験乗車などを行いました。
発行者:社会福祉法人日本心身障害児協会
島田療育センター
支 援 費 入所10名 退所 9名
住 所:東京都多摩市中沢1-31-1
緊急一時 入所12名 退所 9名
医療緊急 入所 1名 退所 2名
TEL:042(374)2071(代表)
ホームページ:http://www.shimada-ryoiku.or.jp