無効電力制御装置の概要について

設備紹介
無効電力調整装置の概要について
広島電力所 広島制御所 布上 健一郎
1
まえがき
操作機器は,積分満了となった時点の現状値から,目
H16年2月の基幹給電制御所の運開に伴い,制御所へ
標値にするために最適なものが選択される(図3参照)
。
110kV系の電圧調整業務が移管された。広島制御所では
220kV変電所を3箇所(広島,広島中央,黒瀬)抱えて
220kV
いる現状にあり,電圧調整に伴う監視・制御量も非常に
電圧偏差
多い。そこで,電圧調整業務の省力化を目的に,この3
変電所へ電圧無効電力制御装置(以下,VQC)を設置
タップ下げ
した。その後約1年が経過したが,数回の整定変更によ
ShR 入
SC 切
り、現状での稼動状態は良好である。本装置の概要を紹
110kV
電圧偏差
介する。
SC 入
2
概 要
不感帯
タップ上げ
ShR 切
現状電圧
(1)220kV変電所における電圧調整
連系変圧器のタップの上げ下げ,または調相器(電力
※現状電圧においてはShR 入
または SC 切を選択する
用蓄電器:SC,分路リアクトル:ShR)の入切により,
220kV電圧,110kV電圧を目標値に維持する。
図3 制御パターン(V−V制御)
(2)VQC
220kV電圧,110kV電圧および変圧器1次通過無効電
基本的な仕様については表1に示す。
力をリアルタイムに取り込み,電圧を目標値に維持する
表1 VQCの基本仕様
ための操作を自動的に行う装置である(図1参照)。
220kV 電圧
タップ 上げ下げ
VQC
110kV 電圧
入力要素
220kV電圧,110kV電圧
変圧器1次通過無効電力
サンプリング周期
0.3mS
制御方式
1次電圧−2次電圧制御(V−V)
2次電圧−無効電力制御(V−Q)
2次電圧制御 (V)
調相器 入切
1次無効電力
※上記いずれかを選択する。
整定パターン
図1 VQC概略図
平日用:4パターン
休日用:1パターン
※オートカレンダー機能により
平日・休日を自動的に切り替える。
VQCは目標値からの偏差量を積分演算し,その値が
事前に整定された積分量以上(積分満了)となったとき
に,操作出力を行う(図2参照)
。
3
あとがき
VQCの設置後,下位系の調相器についても手動制御
積分を開始
からタイマー制御に変更し,電圧調整に伴う操作は不要
となり電圧調整業務は省力化されている。しかし,自動
運用という環境下においては個人の電圧調整技術が失わ
目標値
時間
ランス等をチェックするようにしている。
不感帯
※積分満了値 ≦(
−
れる可能性があるため,電圧監視は適宜行い無効電力バ
)となったとき操作出力する
図2 積分方式のイメージ図
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エネルギア総研レビュー No.1