手や腕がしびれたら 2012/02/28 A0040 神経圧迫、原因は多様 「首をそらすと手がしびれる。朝方に手がしびれて目が覚める」。このような症状がある場合には注意が 必要です。しびれは医学的には〝知覚障害″といいます。ジンジンしたりピリビリしたりする感覚や、触っ た感じが鈍くなり皮を 1 枚被った感じがする状態を指します。では、しびれはどうして起こるのでしょうか。 多くの場合、神経の障害で生じてくるのですが、まれに循環障害、糖尿病、慢性アルコール中毒など で生じることがあります。循環障害や糖尿病では、大部分が足に症状がでます。 手のしびれが、首を後ろにそらすと強くなるようであれば首での障害が強く疑われます。年齢による変化 けいつい によって首の骨にトゲができたり(変形性頚椎症)、椎間板というクッションが飛びだして(頚椎椎間板ヘル ニア)神経を圧迫することがあります。 手のしびれが、手首を曲げていると強くなる場合には手根管症候群という病気が考えられます。 中年以降の女性によく発症し、手首の部分で神経が圧迫されることで生じてきますが、どうして圧迫され るかはよくわかっていません。主に親指、人さし指、中指、薬指の親指側半分のしびれが夜間もしくは朝 方強くなり目が覚めます。症状が進行すると、親指の付け根の筋肉がやせてきて、ボタンを取り外しにくく なり、手の皮膚が乾燥してきます。 また、手のしびれが、肘を曲げていると強くなる場合には肘部管症候群が疑われます。これは、肘の内 側を走る神経が圧迫される病気で、原因は多様です。手の小指と薬指の小指側半分の知覚異常が生じ、 指の細かい動きがしにくくなってきます。指の開閉、すなわちパーをして次に指をそろえる動作を繰り返す ことなどがやりにくくなります。症状が進行すると手の甲の親指と人さし指の間の筋肉がやせてきて、箸も うまく使えなくなります。 これらの病気は、エックス線検査や筋電図という検査を行って診断を確実なものにしてから治療を開始 します。しびれに対する治療は、まず保存的に行います。原因となっている手首や肘に無理をかけないよ うに気をつけるとともに、ビタミン剤や炎症止めの薬を飲んで様子をみます。保存的に治療してもよくなら ず、毎日の生活で不自由があれば手術を行います。しびれだけでなく筋肉のやせがある場合も手術を行 います。筋肉のやせが進行すると治療を行っても回復が望めなくなるからです。 手にしびれを感じたら、最寄りの整形外科にご相談ください。原因を明らかにし、適切な治療を行うこと でしびれはよくなります。 腕時計で手首が圧迫さ親指と人さし指の根元がしびれたり、はさみで指の根元が強く押されて指先がし びれるなど、日常生活の中の思わぬことが原因になっていることがあります。 (京都府立医大・整形外科 藤原浩芳講師、久保俊一教授)
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