粒子画像流速測定法(PIV)を用いた 室内気流測定方法に関する基礎的研究 T07K663C 指導教員 角間隆之 赤林伸一教授 研究背景 流速の計測方法の一つである粒子画像流速測定法(PIV)は、 従来の熱線風速計などによる計測と異なり、流れに対し非 接触で、多数の空間位置での気流速度情報を同時に得られ る利点がある。 現在一般的に利用されているPIVシステムは30cm×30cm程 度の比較的狭い範囲を対象として利用されており、室内気 流分布をPIVで測定した例は少ない。 実大室内環境を対象として非定常気流分布を詳細に計測す るためには、およそ3m×3mの範囲の計測が必要である。 研究目的 実大室内環境をPIVで測定する基礎段階として縮尺模型内 部のPIV測定を行い、気流速度分布を明らかにする。 更に、実大空間を測定する際の問題点等を検討することを 目的とする。 PIVの概要 PIVは流れの中に微細なトレーサ粒子を混入させ、その動 きを画像として撮影し、個々の微粒子あるいは微粒子群の 移動距離と撮影間隔から速度ベクトルを推定する方法の総 称である。 PIVの概要 時刻t+Δt 時刻t 探査範囲 検査領域 図 PIVの概要 ■本研究で用いたPIVシステムは2時 刻の画像間での局所的な濃度パ ターンの類似性を相互相関により 求めそのピークが生じる画像位置 から移動量を定めることで流速ベ クトルを算出する。 PIV測定の概要 表1 測定対象領域 排気口 吹出口 排気口 case1 B b case2 B a case3 A a case4 C a 吹出口 a 排気用ダクト 実験条件 吹出用縮流ダクト A 140 b 風向 B 200 400 40 40 c C 400 600 図1 模型の詳細 単位[mm] PIV測定の概要 カメラ レーザー (2W) レーザー レーザー (1W) ソフトウェア ハイスピードデジタルCCDカメラk-Ⅱ Green Laser Sheet (LD励起Nd:YAG/YVO 4レーザー、波長532nm、 出力1W、変調可能な連続光) DPGL-2W (波長532nm、出力2W、出力可変の連続光) カメラ制御 Ditect k-Ⅱ Software PIV解析 Ditect Dipp-Flow リターン用フレキシブルダクト 排気用ダクト レーザーシート 吹出用縮流ダクト 角丸ダクト 可視化領域 風向 給気ダクト 金属粉供給装置 DC電源 高速度CCD カメラ レーザー電源 及び 制御装置 DCファン(送風用) モニター PC 図2 実験装置の概要 ■給気口側にDCファン を設置し、模型内に 空気を送り込むこと で気流を作り出す。 ■DCファンの電圧を変 化させ給気口から流 入する風速を変化さ せる。 ■金属粉供給装置を使 用してトレーサとな る金属粉を模型内に 供給する。 PIV測定の概要 実際の長さと画像上の長さの換算値(キャリブレーション 値)は0.94mm/pixelとなる。熱線風速計で吹出口付近の流速 を計測することにより、測定可能最大流速を設定する。 表2 測定可能最大流速 フレームレート 測定間隔 [fps] [ms] 50 100 200 20 10 5 表3 測定対象領域 画像サイズ 測定時間 測定間隔 検査領域 探査範囲 測定可能最大流速[m/s] 探査範囲[pixel] 5 10 15 20 0.23 0.47 0.70 0.94 0.47 0.94 1.40 1.87 0.94 1.87 2.81 3.74 PIV測定のパラメータ 600mm×400mm 640pixel×480pixel 10s 5ms(200fps) 23pixel×23pixel ±10pixel×±10pixel 測定結果 図 可視化画像(case1) 測定結果 0 図 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5 [m/s] 流速ベクトルの時間的変化(case1) 測定結果 0 400 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5 [m/s] 300 排気口 b 給気口 B 200 Y[mm] 100 0 0 100 300 400 X[mm] 流速ベクトル分布(case1) 200 図3 500 600 測定結果 0 400 40 80 120 160 200 [%] 60 40 300 排気口 b 200 40 20 給気口 B 200 40 40 100 Y[mm] 60 80 80 100 200 0 0 100 200 図5 300 400 X[mm] 乱れの強さ(case1) 500 600 測定結果 図 可視化の様子(case4) 測定結果 0 図 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5 [m/s] 時系列ベクトル分布(case4) 測定結果 0 400 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5 [m/s] 排気口 a Y[mm] 300 200 100 給気口 C 0 0 100 300 400 X[mm] 流速ベクトル分布(case4) 200 図4 500 600 測定結果 0 400 排気口 a 40 180 80 300 60 Y[mm] 80 120 160 200 [%] 20 40 80 200 40 100 180 20 0 0 100 200 図6 300 400 X[mm] 乱れの強さ(case4) 500 給気口 C 600 まとめ ①case1では、上下対称に速度ベクトルが分布し、排気口 b付近に流速約0.1m/sの渦が形成される。乱れの強さは 200%を超える領域が見られる。 ②case4では模型の壁に沿って速い気流が分布し、模型全 体に渦が形成される。乱れの強さは全体に小さい。 ③case1、case4ともに流速が速い領域では、乱れの強さが 小さく、隅角部において乱れの強さが大きくなる。
© Copyright 2024 ExpyDoc