確率的DEAモデルにおけるウェイト付けの方法 - 日本オペレーションズ

2−E−7
1995年度日本オペレーションズ・リサーチ学会
春季研究発表会
確率的D巨Aモデルにおけるウェイト付けの方法
01604524 神戸大学
神戸大学
*森一月浩 h′10RITA Hir。Sl−i
麻野浩樹 ^S^NOHir。ki
Oj501824 神戸大学 藤井進 FUJ=St】S−‖−−1l
1 確率的DEAモデル
2 確率的変動に対する安定性
2.1 効率的DMUの安定性
多入力多山刀システム(Ⅰ〕ルlしI;l)ecisio−−Ma.1くil−g
U−−it)の棚対的な効率′性を評価する恍A(1〕aね伽−
−・般の確定的なDE人モデルでⅠ〕MUの安定性を
Ve】opment^nalysis)は、入出力データに基づいた
評価するとき、評価村象のDMUを生産可能集合か
ノンパラメトリック手法の一つとして広く使われる
ら取り除いて効率値を求める方法【1]がある。この
ようになってきた。一般的なD上:Aモデルでは、こ
ときの効率値Z・には1以下という制約がなくなる
の人出力データとして、通常得られた(正の実数)
ため、効率的なDMUに対する効率値はZ*≧1と
倍が用いられている。しかし、実際に得られるデー
なる。この値は評価対象のDMUが生産可能集合の
タでは、対象とするDMUの数が多くなると入出力
有効フロンティアからどの程度離れているかを原点
項目の侶をすべてのDMUに対して同じ条件で観
からそれぞれへの幾何学的距離の比によって表した
測することが難しくなったり、値が不安定で変わり
ものであI)、その値の大小によって効率的なDMU
やすく観測しづらい入出力項目を代表値や予測値な
どで表現したり、さらには数量化されていない客観
を順序付けている。
確率的データの構造は、ある備に確率的変動が加
的データとして与えられたりするような状況も考え
法的に加えられたものとしている。したがって、安
られる。このような不確実性のあるデータに対する
定性を測るための距離としては、確率的な距離とし
DEAモデルの一つとして、確率的変動が含まれて
てマハラノビス距離を用いるが、原点からの距離の
いるデータによる確率的DEAモデルの研究が行な
比ではなく、入出力データの実現値から生産可能集
われている【4,恥確率的変動による効率性評価へ
合までの距離を考える[恥この距離の値は入出力
の影響として効率的か非効率的かの評価を誤ること
データの信頼領域の大きさすなわち確率レベルに対
が拳ヂられる。つまり、確率的変動によって、効率
応しており、その値の大小によって効率的なDMtT
的なDMUを非効率的であると評価してしまう第1
の順序付けをした。得られる確率レベルは、DMU
種の誤りと、非効率的なDMUを効率的であると評
が効率的と評価される確率の下限値を示しているが、
価してしまう第2種の誤りが存在する【5】。
評価対象としているDMUの確率的変動しか取り上
DEAでしばしば問題となるのが最適ウェイトの
げておらず、生産可能集合を構成するDMUは便宜
一意性である。効率的と評価されるDMUに対して、
的に得られた実現備に固定していた。そのため、評
それを効率的と評価する最適ウェイトは一意には定
価対象のDMUに対する最適なウェイトは一意性に
まらず、クロス効率性などの相互評価情報を用いる
決まるものの、これは固定されている生産可能集合
場合には最適ウェイトを一意に定める方法がいくつ
のみによって決まるため、他のDMUの確率的変動
か提案されている【2,6】。最適ウェイトも当然のこ
に対する影響が表現できていない。
とながら確率的変動の影響を受ける。あるウェイト
すべてのDMUの確率的変動を同時に扱うと、評
付けによって効率的と評価されても、入出力データ
価対象のDMUだけでなく生産可能集合も変化す
が確率的に変動すればこのウェイトによって常に効
る。図1にある確率レベルにおける評価対象Dの入
率的と評価できるとは限らない。一意性のない最適
出力データの信頼領域とそのときの生産可能集合の
ウェイトの中で効率的と評価することのできる確率
有効フロンティアの最小フロンティアを例示してい
を考えることで、確率的変動に対して最も安定とな
る。ある一定の確率レベルαにおいて、評価対象と
るウェイトをユニークに決定することを考察する。
しているDMUにとって最も不利となるような入出
−260−
図1:信頼領域と最小フロンティア
図2:元のデータに対する最適ウェイト
カデータをすべてのDMUがとったときの効率値を、
αにおける最小効率倍Z♯(α)とする。効率的と評価
されるDにある確率レベルでの変動を与えたとき、
Dのデータの信頼領域と生産可能集合(点線)が接
する確率レベルが存在する。これが最小効率値が1
である最大の確率レベルp=SuP(α1Z−(凸う=1)で
ある。
c,
O
2.2 最適ウェイトの安定性
pを与える入出力データによってDEAモデルを
B・ D,ul/V
図3:確率レベルと最適ウ
ェイト
解いたときに得られる最適ウェイトは一意に決まる。
さらに、このウェイトでDMUを評価したとき、確
率pで生じるどのような確率的変動に対しても効
参考文献
率的と評価されることになり、一般のDEAモデル
[1】P・AndcrscnandN.C.PetIerSen,”^1)rOCe(111rerOr
rankingefncicnt・lJniLsindal・aenVelopmenLanal)・−
で得られた最適ウェイトの中で最も確率的に安定な
Sis¶,A′8n叩emen′・9cie−1Ce,Vol・39,Ⅰ)P・1コ61−1264
ウェイトを選択できることになる。
(1993)・
図2は図1の4つのDMUが効率的と評価される
〔2]批々木規姐DI:Åにおける修正クロス効率性による
評価法,評佃のOR研究部会資料(1991).
ためのウェイト比を表したものであり、網かけの部
トi]森田浩他確率的変動とDEA効率性日本OR学
会春季研究発表会アブストラクト軋伸275・一27(i
分がDの最適ウェイトである。図3はある確率レベ
ルでの最適ウェイトを漉い網かけで示しており、そ
(1994)・
の範囲が小さくなっていく様子を表している。確率
【1]森冊軋DEAの種準的側抑こついて,弟相川∧九1P
レベル∼)では最適ウェイトは一意に定まり、太いベ
シンポジウム論文集,Ⅰ)l−・別−−1仰い9鋸).
クトルで表されている。
[5]】)・Ⅰノ・li′eLxl礼lト1i・Ol)(汀LH肌(=しC.八′l()「(−)・,“Ago;Ll
l)rOgr∼川川一川glllel・l10(lorsl.0(・lliLHl.i(:i川()(:山i\・(:di山L
C‖V(三loI)nl(川L∼川alysis’’,仇「叩ーごr川ノ刷川南qハ和一
3 まとめ
er〃上よor川川cぶCnr叫vol・71,l)l)∴179−二i椚(199二‡)・
[6〕杉ILI学他部業体間の利互評仰情事旺を用いた調和的
な効率性評価軋日本0】t学会春季研究発表会アブ
確率的変動に対する安定性の観点から最適ウェイ
ストラクト軋Ⅰ)p・1二】l−132(1994).
トを決定した。このウェイトを用いたクロス効率倍
〔7]刀根煎,経営効率性の測定と改札口科技連山版,
などによる順序付けとの比較も検討したい。
(1993)・
−261−