(加圧水型原子炉)(PDF形式:981KB)

資料2
原子炉運転期間延長に係る影響評価について(加圧水型原子炉)
平成21年3月12日
原子力安全・保安院
原子力発電安全審査課
「保全プログラムを基礎とする検査制度の導入について(新検査制度)」の実
施に伴う原子炉運転期間の延長に際しては、基本設計ないし基本的設計方針(以
下「設置許可申請書本文記載事項」という。)に則って運転期間が適切に設定さ
れていることを確認する必要がある。そのため、代表プラントにおける影響評
価を確認し、個別プラントにおいて確認すべき項目の抽出等を行い基本的考え
方を取りまとめる。
本資料は、検討の前提及び範囲、並びに電気事業者が加圧水型原子炉(PW
R)の 110 万 kW 級4ループプラントを代表プラントに選定し、運転期間を延
長した場合の影響評価をまとめたものである。
(電気事業者の評価は別添のとお
り)
1.検討の前提及び範囲
運転期間の延長において、燃料設計等の設置許可申請書本文記載事項を変更
しないことを前提条件とする。PWRにおいては、新燃料装荷体数の増加等
により運転期間の延長に対応することを考えている。(別紙1参照)
検討の範囲は、我が国のステップ 1(集合体最高燃焼度 48GWd/t)及びステ
ップ 2(集合体最高燃焼度 55GWd/t)燃料集合体を使用するPWRにおいて
運転期間を15ヶ月(原子炉起動から停止まで16ヶ月)に延長した場合を
検討の範囲とする。
2.評価方法
運転期間の延長に関し、その期間の設定の妥当性を個別プラントで確認すべ
き項目が、代表プラントの影響評価等を踏まえ考え方を整理し抽出されてい
る。(別紙2参照)
3.評価結果(別紙3参照)
(1)安全設計
燃料の機械設計への影響については、燃料棒設計への影響と燃料集合体設
計への影響の2つに分け検討が行われている。
燃料中心温度、燃料棒内圧、被覆管応力等への影響については、原子炉運
1
転期間の延長に伴い燃料棒の出力履歴等が変わることから、個別プラントに
ついて影響評価を行い妥当性を確認するとしている。なお、代表プラントで
のこれらの評価を行い評価結果に大きな影響はないとしている。
燃料集合体の強度、伸び、曲がり等への影響については、燃料の基本仕様
は変更せず、曲がりについては管理されることから、個別プラントについて
影響評価を行い妥当性を確認する必要はないとしている。
炉心の核設計への影響については、ほう素による反応度制御への影響と炉
心内出力分担及び反応度特性への影響の2つに分け検討が行われている。
ほう素による反応度制御への影響については、原子炉運転期間の延長に伴
いサイクル初期のほう素濃度が増加し、ほう素価値が低下する傾向にあるこ
とから、個別プラントについて影響評価を行い妥当性を確認する必要がある
としている。なお、代表プラントでのこれらの評価を行い必要な制御能力を
満足することを確認したとしている。
炉心内出力分担及び反応度特性への影響については、取替炉心ごとに安全
性確認項目が管理されるとともに、ドップラ係数についての変動は大きくな
いことから、個別プラントについて影響評価を行い妥当性を確認する必要は
ないとしている。なお、代表プラントでのこれらの評価を行い安全解析使用
値の範囲内にあることを確認したとしている。
熱水力設計への影響については、運転期間の延長により炉心上下部の出力
分担が変わることから、個別プラントでは軸方向出力分布について影響評価
を行いDNBR評価で用いている1.62コサイン分布を適用することの妥
N
当性を確認するとしている。また、DNBR評価に用いるFΔHについては取
替炉心ごとに管理される。なお、代表プラントでの軸方向出力分布について
の評価を行い1.62コサイン分布を適用することの妥当性を確認したとし
ている。(燃料中心温度については「燃料棒設計」で示されている。)
動特性への影響については、原子炉の制御設備及び燃料の基本仕様は変更
せず、自己制御性に関連する炉物理定数の変化は小さいことから、個別プラ
ントについて影響評価を行い妥当性を確認する必要はないとしている。なお、
参考に代表プラントでの評価を行い原子炉の安定性は維持できることを確認
したとしている。
燃料取替用水ピットの必要ほう素濃度への影響については、新燃料装荷体
数の増加に伴いサイクル初期の余剰反応度が増加することから、個別プラン
トについて影響評価を行い妥当性を確認するとしている。なお、代表プラン
トでの評価を行い燃料取替用水ピットのほう素濃度を変更する必要はないと
している。
ほう酸タンクの必要ほう酸水量への影響については、サイクル末期の炉心
2
平均燃焼度及びほう素濃度が同等であることから、個別プラントについてほ
う酸タンクの必要ほう酸水量の影響評価を行い妥当性を確認する必要はない
としている。なお、参考に代表プラントでの評価を行いほう酸タンクの必要
ほう酸水量を変更する必要はないとしている。
燃料取扱設備への影響については、燃料のウラン濃縮度等を変更しないこ
と及び使用済燃料ピットの水温の管理がなされることから、個別プラントに
ついて燃料取扱設備の未臨界性及び冷却能力に関する影響評価を行い妥当性
を確認する必要はないとしている。
(2)平常時被ばく評価
平常時の被ばくへの影響については、放射性気体廃棄物及び放射性液体廃
棄物の放出管理目標値を保安規定に基づき管理することから、個別プラント
について影響評価を行い妥当性を確認する必要はないとしている。なお、代
表プラントの放出実績は放出管理目標値に対して余裕を有しているとしてい
る。この中で放射性液体廃棄物中のトリチウムが、その他に比べ余裕が小さ
いが放出管理を適切に行うことで放出管理の基準値に基づく管理は可能であ
るとしている。
(3)安全評価
①事故時被ばく評価以外
運転時の異常な過渡変化及び被ばく評価を除く事故の解析への影響につ
いては、取替炉心の安全性確認項目は「(1)安全設計」で示されているため、
その他の安全解析に用いる値に着目し検討されている。
1) 2次冷却系の異常な減圧及び主蒸気管破断
解析では、事象発生後の炉心の歪んだ状態の出力分布を踏まえた評価が
行われている。運転期間の延長による当該出力分布への影響を確認する必
要があることから、個別プラントについて影響評価を行い妥当性を確認す
るとしている。ただし、
「2次冷却系の異常な減圧」については、プラント
過渡応答に変更がなく臨界とならないことを確認することでも良いとして
いる。なお、代表プラントで運転期間の延長による出力分布の影響を反映
した評価を行い、判断基準を満足することを確認したとしている。
2)制御棒飛び出し
解析では、評価用炉心について十分保守的な設定等を行っていることか
ら、個別プラントについて、実効遅発中性子割合及び即発中性子寿命の安
全解析に用いる値についての影響評価を行い妥当性を確認するとしている。
なお、参考に代表プラントでの評価を行い評価結果に大きな影響はないと
3
している。
なお、現行の設置許可申請書において、原子炉安全基準部会報告書「発
電用軽水型原子炉施設の反応度投入事象における燃焼の進んだ燃料の取扱
いについて」に基づく評価を実施していない個別プラントについては、同
報告書に基づく評価を行うとしている。
3) その他の解析
「2次冷却系の異常な減圧」、「主蒸気管破断」及び「制御棒飛び出し」
以外の事象については、平衡炉心の特性を基に余裕を持った安全解析に用
いる値を設定し評価が行われている。このため、個別プラントについて安
全解析に用いる値に関する影響評価を行い妥当性を確認する必要があると
している。なお、代表プラントでのこれらの評価を行い安全解析に用いる
値は余裕を持って設定されているとしている。
ただし、
「原子炉冷却材中のほう素の異常な希釈(出力運転時)」で用い
る初期ほう素濃度については、運転期間の延長に伴いほう素濃度評価値が
上昇し、安全解析に用いる値に近づくことから、取替炉心ごとに管理する
としている。
なお、現行の設置許可申請書において、原子炉安全基準部会報告書「発
電用軽水型原子炉施設の反応度投入事象における燃焼の進んだ燃料の取扱
いについて」に基づく「原子炉起動時における制御棒の異常な引き抜き」
の評価を実施していない個別プラントについては、同報告書に基づく評価
を行うとしている。
②事故時被ばく評価
事故時被ばく評価への影響については、現行の炉心内蓄積量の評価が、
運転期間の延長を踏まえても保守的になっていること、及び1次冷却材中の
放射能濃度は現行でほぼ平衡に達していることから、運転期間の延長による
影響は小さい。これらのことから、個別プラントについて影響評価を行い妥
当性を確認する必要はないとしている。なお、代表プラントでの評価を行い
炉心内蓄積量及び1次冷却材中の放射能濃度の評価結果に変化はないとし
ている。
なお、
「重大事故」及び「仮想事故」については、放射性物質の放出の想定
に変更がないことから、個別プラントについて影響評価を行い妥当性を確認
する必要はないとしている。
4
別紙1
PWRにおける運転期間延長への対応(燃料・炉心関係)
運転期間長期化を行うには?
現行炉心の燃料配置例
現行の燃料設計をそのまま使用する場合
延長した運転期間を通して、定格出力を
確保するには、新燃料体数の増加が必要。
・現行炉心:60体程度/193体の取替
・16ヶ月炉心:72体程度/193体の取替
(約20%増加)
新燃料体数を増加すると?
○ 炉心の余剰反応度が増加
○ 反応度の高い新燃料が接近して
配置されると出力ピーキングが
上昇
対応は?
○ 余剰反応度の増加は初期ほう素濃度の
上昇やガドリニア入り燃料の体数増加・
装荷位置の工夫で対応
○ 燃料装荷パターンの工夫(所定の制限
値等を満足していることを確認)で対応
16ヶ月炉心の燃料配置例
PWRにおける燃料装荷パターンの工夫
16ヶ月炉心
燃焼燃料の配置
・新燃料には隣接して
2回照射燃料を装荷
新燃料の配置
・ガドリニア入りの新燃料
を制御棒位置に装荷
を制御棒位置
装荷
取替炉心の設計に当たっては
これらを組合せ、安全性確認
項目を満足するよう燃料装荷
パターンを構築
○ここに示した燃料装荷パターンの工夫は、
現行炉心を構築する際にも配慮しているが、
運転期間の延長による新燃料体数の増加
に伴い、燃料配置の自由度が低下
新燃料の配置
・炉心最外周へ装荷
新燃料の配置
・炉心中央部へ装荷
する場合には隣接
させない
新燃料の配置
・隣接させる場合は
対角位置に装荷
別紙2
原子炉の運転期間の設定の妥当性確認項目抽出の流れ
原子炉の運転期間の設定
運転期間の延長に関連する,設置許可申請書本文及び
添付書類の記載事項を対象として評価を実施
運転期間の延長の影響
を受けない項目か?
受けない
個別プラントにおける影響評価
の対象外
:区分Ⅰ
受ける
保安規定,社内規定等に
より管理される項目か?
管理される
個別プラントにおける影響評価
の対象外
:区分Ⅱ
管理されない
添付書類において評価さ
れているが,本文記載事
項に影響を与えない項目
か?
与えない
影響の程度を代表プラントにお
いて確認
:区分Ⅲ
与える
本文記載事項を定めて
いる前提条件を確認す
ることで,所定の判断基
準を満足できることを
確認できる項目か?
確認できる
根拠となる添付書類の記載内容
の前提条件に変更はなく,
本文記
載事項に影響しないことを代表
プラントにおいて確認
:区分Ⅳ
代表プラントの確
認で十分か?
十分
確認できない
根拠となる添付書類の記載内容
の再評価により,本文記載事項
に影響しないことを代表プラン
トにおいて確認
:区分Ⅴ
十分でない
個別プラントの運転期間の設定の妥当性を
確認する際に,運転期間の延長による影響
評価を確認する必要のある項目
個別プラントの影響評価を
確認する必要のない項目
表
(1/6)
PWR における運転期間の延長に係る影響評価(16 ヶ月炉心)
原子炉の基本設計
項目
本文記載
ロ.原子炉施設の一般構造
設計に当たっては、発電所周辺の公衆に対し、
「発電用軽
(ロ) その他の主要な構造
水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針」に定め
平常運転時の被ばく
られている線量目標値を超える放射線被ばくを与えない
別紙3
影響評価項目及び区分等
4 平常時被ばく評価(区分:Ⅱ)
ように努める。
異常な過渡変化、事故
原子炉の固有の安全性並びに安全保護系の動作により、
5.1 事故時被ばく評価以外
過渡変化が安全に終止するように設計する。
5.1.2 解析結果
(1) 2 次冷却系の異常な減圧(区分:Ⅴ)
(2) 主蒸気管破断(区分:Ⅴ)
(3) 制御棒飛び出し(区分:Ⅳ)
(4) その他の事象(区分:Ⅳ)
○個別プラントについて確認する項目
・2 次冷却系の異常な減圧
・主蒸気管破断
・制御棒飛び出し(解析条件の確認)
・その他事象(解析条件の確認)
なお、「原子炉冷却材中のほう素の異常な希
釈」
(出力運転時)で用いる初期ほう素濃度につ
いては、運転期間延長に伴いほう素濃度評価値
が上昇し、評価値が安全解析に用いる値に近づ
いていることから、取替炉心毎に評価を行い、
安全解析に用いる値以下となっていることを確
認することとする。
事故時被ばく評価
燃料から放出される放射性核分裂生成物が、発電所周辺
に放散されるのを防ぐための防壁を多重に設け、万一事
故が起こった場合にも公衆との離隔との関連において発
電所周辺の公衆の安全を確保する。
5.2 事故時被ばく評価(各種事故、重大事故
及び仮想事故)
(区分:Ⅳ)
表
PWR における運転期間の延長に係る影響評価(16 ヶ月炉心)(2/6)
原子炉の基本設計
項目
影響評価項目及び区分等
本文記載
ハ.原子炉本体の構造及び設備
原子炉を安全かつ安定に制御することを目的として、次
3.2 核設計
(イ) 炉心
のような核的制限値を設定する。なお、原子炉は、高温
3.2.1 炉心特性への影響
(3) 主要な核的制限値
状態以外で臨界としない設計とする。
3.2.3 炉心特性への影響評価結果
a. 反応度停止余裕
(2) 炉心内出力分担及び反応度特性への影響評
最大反応度価値を有する制御棒クラスタ 1 本が、全引き
価結果(区分:Ⅱ)
抜き位置のまま挿入できない場合でも、以下に示す反応
度停止余裕を持つ設計とする。
高温停止状態 0.016 k/k
3.4 動特性
3.4.2 影響評価結果(区分:Ⅲ)
低温停止状態 0.010 k/k
b. 制御棒クラスタによる最大反応度添加率
制御棒クラスタが引き抜き手順上可能な最大速度で引き
抜かれても、0.00075( k/k)/s 以下とする。
c. 制御棒クラスタの最大反応度価値
制御棒クラスタが挿入限界位置から飛び出した場合、炉
心の状態に応じ、次の値以下とする。
高温全出力時 0.0012 k/k
高温零出力時 0.0087 k/k
d. 減速材温度係数及びドップラ係数
減速材温度係数は、高温出力運転状態では負になるよう
に設計する。また、ドップラ係数は負になるように設計
する。
3.5.2 ほう酸タンク(区分:Ⅰ)
表
PWR における運転期間の延長に係る影響評価(16 ヶ月炉心)(3/6)
原子炉の基本設計
項目
(4) 主要な熱的制限値
影響評価項目及び区分等
本文記載
通常運転時及び運転時の異常な過渡変化時において、安
3.3 熱水力設計
全保護系の作動等とあいまって、被覆管の焼損を起こさ
3.3.2 燃料中心温度(区分:Ⅴ)
ず、燃料中心温度をその溶融点未満とするため、次のよ
3.3.3 最小 DNBR
うな通常運転時の熱的制限値を設定する。
(1)最小 DNBR 評価に用いる入力パラメータ
a. 最小限界熱流束比(最小 DNBR)2.16
a.軸方向出力分布(区分:Ⅳ)
b. 燃料棒最大線出力密度 43.1kW/m
b.核的エンタルピ上昇熱水路係数
(区分:Ⅱ)
(3) DNB ペナルティ
a.燃料棒曲がりによる DNB ペナルティ
(区分:Ⅰ)
b.混在による DNB ペナルティ
(区分:Ⅰ)
(4) 最小 DNBR(区分:Ⅳ)
○個別プラントについて確認する項目
・軸方向出力分布の包絡性
なお、燃料中心最高温度の評価については、
燃料の機械設計・燃料設計五基準において評価
される。
3.2 核設計
3.2.3 炉心特性への影響評価結果
(2) 炉心内出力分担及び反応度特性への影響評
価結果(区分:Ⅱ)
表
PWR における運転期間の延長に係る影響評価(16 ヶ月炉心)(4/6)
原子炉の基本設計
項目
影響評価項目及び区分等
本文記載
(ロ) 燃料体
燃料集合体は、原子炉の使用期間中に生じ得る種々の因
3.1 燃料の機械設計
(4) 燃料集合体の構造
子を考慮しても、その健全性を失うことがない設計とす
3.1.3 燃料棒設計への影響評価結果
る。また、燃料集合体は輸送及び取扱い中に過度の変形
(1) 燃料設計 5 基準評価(区分:Ⅴ)
a. 燃料中心温度
b. 燃料棒内圧
c. 被覆管応力
d. 被覆管歪
e. 被覆管累積疲労
(2) その他項目の影響評価(区分:Ⅴ)
a. 被覆管の腐食及び水素吸収
b. PCI
3.1.4 燃料集合体設計への影響評価結果
(1)通常運転時及び運転時の異常な過渡変化時の
強度並びに輸送及び取扱い時の強度
(区分:Ⅰ)
(2)燃料集合体伸び及び燃料棒とノズルの間隙減少
を生じない設計とする。
(区分:Ⅰ)
(3)燃料集合体曲がり(区分:Ⅱ)
(4)燃料棒曲がり(区分:Ⅰ)
(5)フレッティング摩耗(区分:Ⅰ)
(6)支持格子の位置ずれ(区分:Ⅰ)
(7)ジルカロイ4製部材の腐食(区分:Ⅰ)
○個別プラントについて確認する項目
・燃料設計五基準(燃料中心温度、燃料棒内圧、
被覆管応力、被覆管歪及び被覆管累積疲労)
・被覆管の腐食及び水素吸収
・PCI
表
PWR における運転期間の延長に係る影響評価(16 ヶ月炉心)(5/6)
原子炉の基本設計
項目
(5) 最高燃焼度
影響評価項目及び区分等
本文記載
燃料集合体最高燃焼度 55,000MWd/t
3.2 核設計
3.2.3 炉心特性への影響評価結果
(2) 炉心内出力分担及び反応度特性への影響評
価結果(区分:Ⅱ)
ニ.核燃料物質の取扱施設及び貯蔵施設の
構造及び設備
(ロ) 核燃料物質貯蔵設備の構造及び貯蔵
新燃料貯蔵設備について記載
3.5.3 燃料貯蔵設備の未臨界性(区分:Ⅰ)
新燃料貯蔵設備は、想定されるいかなる状態においても
燃料が臨界に達することのない構造とする。
能力
(1) 新燃料貯蔵設備
(2) 使用済燃料貯蔵設備
使用済燃料貯蔵設備は、想定されるいかなる状態におい
ても燃料が臨界に達することのない設計とする。
使用済燃料ピットには、使用済燃料からの崩壊熱の除去
3.5.4 使用済燃料ピットの冷却性(区分:Ⅱ)
及び使用済燃料ピット水の浄化を行うため、使用済燃料
ピット水浄化冷却設備を設け、使用済燃料から発生する
崩壊熱の除去を行うのに十分な冷却能力を有する設計と
する。
ホ.原子炉冷却系統施設の構造及び設備
ほう素濃度 2,800ppm 以上
3.5.1 燃料取替用水ピット(区分:Ⅴ)
(ハ) 非常用冷却設備
(2) 主要な機器及び管の個数及び構造
○個別プラントについて確認する項目
(b) 燃料取替用水ピット
・燃料取替用水ピットのほう素濃度
表
PWR における運転期間の延長に係る影響評価(16 ヶ月炉心)(6/6)
原子炉の基本設計
項目
ヘ.計測制御系統施設の構造及び設備
(ハ) 制御設備
影響評価項目及び区分等
本文記載
出力運転時ほう素濃度
サイクル初期 2,100ppm 以下
(1) 制御材の個数及び構造
5.1 事故時被ばく評価以外
5.1.2 解析結果
(4) その他の事象(区分:Ⅳ)
b. ほう素
(3) 反応度制御能力
a.制御棒クラスタ
−
制御する最大過剰反応度は約 0.03 k/k とし、その場合
(左記の最大過剰反応度と反応度制御能力は代
の反応度制御能力は約 0.05 k/k とする。
表値であり制限値ではない。安全解析において
は両者の差分である反応度停止余裕(保安規定
に基づき管理する項目)を用いている。
)
b. ほう素濃度調整
3.2.3 炉心特性への影響評価結果
0.17 k/k 以上
(1)ほう素による反応度制御への影響評価結果
a. ほう素濃度調整(区分:Ⅴ)
○個別プラントについて確認する項目
・ほう素濃度調整
(ニ) 非常用制御設備
非常用制御設備は、全制御棒クラスタが挿入不能の場合
(3) 反応度制御能力
でも、原子炉を低温停止できる能力を持つようにする。
3.5.2 ほう酸タンク(区分:Ⅰ)
停止時実効増倍率 keff≦0.99
3.2.3 炉心特性への影響評価結果
負の反応度添加速度 0.00021(Δk/k)/min 以上
(1)ほう素による反応度制御への影響評価結果
b. 負の反応度添加速度(区分:Ⅴ)
○個別プラントについて確認する項目
・負の反応度添加速度
別添
原子炉運転期間延長に係る
PWR 代 表 プ ラ ン ト へ の 影 響 評 価 に つ い て
平成21年3月
電気事業連合会
目
1. は じ め に
1.1 目 的
次
・・・ ・ ・・ ・・・ ・ ・ ・・ ・ ・・・・ ・・ ・ ・・・・・ ・・・・ ・ ・・・ ・・ ・・・・・ ・ ・・・
1
・・・・ ・・・ ・・・ ・・ ・ ・・・・ ・・ ・・ ・・ ・・・・ ・・ ・・・ ・ ・・・・ ・・ ・・・ ・・・ ・
1
1.2 評 価 方 法
・・・ ・・・ ・・ ・ ・・・・ ・・ ・・ ・・ ・・・・ ・・ ・・・ ・ ・・・・ ・・ ・・・・ ・・ ・
1.3 運 転 期 間 延 長 へ の 対 応
・・・ ・ ・・ ・・・・・ ・ ・・・ ・ ・・・ ・ ・・ ・・・ ・・・ ・ ・
2. 本 文 記 載 事 項 と 影 響 評 価 項 目 の 関 連
3. 安 全 設 計 に 対 す る 影 響 評 価
3.1 燃 料 の 機 械 設 計
3.2 核 設 計
・・ ・・ ・ ・・・・・ ・・・・ ・ ・・・ ・・ ・・・・・ ・ ・・・ 1 6
・・ ・・ ・・ ・・・・ ・・ ・・・ ・・・ ・・・・ ・・・・ ・・ ・・・ ・・・ ・・ 1 8
・・ ・・・ ・・・ ・・ ・ ・・・・ ・・ ・・ ・・ ・・・・ ・・ ・・・ ・ ・・・・ ・・ ・・・・・・ ・ 4 9
・・ ・・ ・・・・ ・・・ ・ ・・ ・・・・・ ・ ・・・・ ・・・・ ・・ ・・・ ・・・ ・・ 5 6
・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・ ・・・ ・・・・ ・ ・ ・・・・ ・・ ・・・・ ・・・・ ・・ ・・ ・・・・ ・ 6 1
4. 平 常 時 被 ば く 評 価
5. 安 全 評 価
8
・ ・・・ ・・・ ・・・・ ・・ ・・ ・ ・ ・・・・ ・・ ・・・ ・ ・・・・ ・・ ・・ ・・・・ ・ 4 5
3.5 設 備 影 響 評 価
3.6 ま と め
7
・・ ・・・ ・・・ ・・ ・ ・・・・ ・・ ・・ ・ ・ ・・・・・・ ・ ・・・ ・・・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・ 3 7
3.3 熱 水 力 設 計
3.4 動 特 性
・・ ・・・・ ・ ・・・ ・・ ・・・・・ ・ ・・・
4
・ ・ ・・・・ ・ ・・・ ・・ ・ ・・・・・ ・・・・ ・ ・・・ ・・ ・・・・・ ・ ・・・・ 6 2
・・・ ・ ・・ ・・・ ・ ・・・・ ・ ・・・ ・・ ・ ・・・・・ ・・・・ ・ ・・・ ・・ ・・・・・ ・ ・・・ 6 5
5.1 事 故 時 被 ば く 評 価 以 外
・・・・ ・・ ・・・・・ ・ ・・・・ ・・・・ ・・ ・・・ ・・・ ・・ 6 5
5 . 2 事 故 時 被 ば く 評 価 ( 各 種 事 故 、 重 大 事 故 及 び 仮 想 事 故 ) ・・ 1 0 8
5.3 ま と め
・・ ・・・ ・・・・・ ・ ・・・・ ・・ ・・ ・・ ・・・・ ・・ ・・・ ・ ・・・・ ・・ ・・・・ ・・ ・ 11 3
1. は じ め に
1.1 目 的
「 保 全 プ ロ グ ラ ム を 基 礎 と す る 検 査 の 導 入 に つ い て( 新 検 査 制 度 )」
の 実 施 に 伴 い 、原 子 炉 の 運 転 期 間( 定 期 検 査 が 終 了 し た 日 か ら 次 回 定
期 検 査 を 開 始 す る た め に 原 子 炉 を 停 止 す る ま で の 期 間 )の 延 長 を す る
場 合 は 、基 本 設 計 な い し 基 本 的 設 計 方 針( 原 子 炉 設 置 許 可 申 請 書 本 文
記載事項)に則して、その期間を設定することを検討している。
運 転 期 間 の 延 長 を 行 う 場 合 に は 、原 子 炉 に 装 荷 す る 新 燃 料 の 数 が 増
加 す る こ と な ど に よ り 、原 子 炉 施 設 の 特 性 に 変 化 が 生 じ る 可 能 性 が あ
る こ と か ら 、こ の 場 合 に お い て も 原 子 炉 施 設 の 特 性 が 原 子 炉 設 置 許 可
申請書本文に適合したものであることを確認する必要がある。
P WR プ ラ ン ト は 、 設 計 さ れ た 時 代 に よ り 、 様 々 な 型 式 が 存 在 す る
が 、炉 心 ・ 燃 料 に 係 る 基 本 的 設 計 方 針 及 び 安 全 審 査 に お い て 確 認 し て
い る 評 価 項 目 、評 価 方 法 は 同 等 で あ る 。こ の た め 、運 転 期 間 を 延 長 す
る 場 合 の 影 響 ( 図 1 . 1 -1 参 照 ) は 、 原 子 炉 の 型 式 、 燃 料 の 種 類 に よ ら
ず、その影響の傾向は変わらない。
本 書 に お い て は 、代 表 的 に 高 燃 焼 度 ス テ ッ プ 2 燃 料( 燃 料 集 合 体 最
高 燃 焼 度 5 5 , 0 0 0 M Wd/ t ) を 使 用 す る 1 7 行 1 7 列 型 4 ル ー プ プ ラ ン ト
の う ち か ら 代 表 プ ラ ン ト を 選 定 し 、 15 ヶ 月 運 転 ( 原 子 炉 起 動 か ら 停
止 ま で 1 6 ヶ 月 。 以 下 「 1 6 ヶ 月 炉 心 」 と い う 。) ま で 運 転 期 間 を 延 長
し た 場 合 で も 、基 本 設 計 な い し 基 本 的 設 計 方 針 に 則 し た 運 転 が 可 能 で
あ る こ と を 示 す と と も に 、1 4 行 1 4 列 型 2 ル ー プ 、 1 5 行 1 5 列 型 3 ル
ー プ 、17 行 17 列 型 3 ル ー プ 、17 行 17 列 型 4 ル ー プ に お い て 、 ス テ
ッ プ 1 ( 集 合 体 最 高 燃 焼 度 4 8 , 0 0 0 M Wd/ t ) 及 び ス テ ッ プ 2 ( 集 合 体
最 高 燃 焼 度 5 5 , 0 0 0 MWd / t ) 燃 料 集 合 体 を 用 い て 運 転 期 間 の 延 長 を 行
う場合に個別プラントで確認すべき評価項目を選定することを目的
とする。
な お 、本 検 討 に お い て 炉 型 な ら び に 使 用 す る 燃 料 を 限 定 し た 検 討 を
行 っ て い る が 、他 の 炉 型 で 運 転 期 間 を 延 長 す る 場 合 、ま た 他 の 燃 料 を
-1-
使 用 す る 場 合 に お い て も 、本 書 と 同 様 の 詳 細 な 評 価 を 行 う こ と で 、運
転期間を延長する場合に基本設計ないし基本的設計方針に則した期
間を設定していることを示すことが可能である。
-2-
運転期間の延長
新燃料装荷体数の
増加
サイクル初期の
余剰反応度の増加
ほう素濃度(ほう
素価値)の変化
燃料取替用水ピット、
ほう酸タンクへの影響
核設計への影響
サイクル燃焼度の
増加(燃料の炉内
滞在期間の変化)
炉心内出力分担の
変化
・上下部出力分担
の増加
・水平方向出力分
担の変化
炉心内出力分布
の変化
熱水力設計への影響
燃料の機械設計への影響
反応度特性の変化
-3-
減速材温度係数
等の変化
動特性への影響
崩壊熱の変化
運転時の異常な過渡変化、
事故解析への影響
1 次冷却材中放
射能濃度の変化
燃料取扱設備への影響
炉心内蓄積量の
変化
事故時被ばく評価への
影響
平常時被ばく評価への
影響
稼働率の増加
図 1.1-1
運転期間の延長による影響
1.2 評 価 方 法
運 転 期 間 の 延 長 に 関 し 、そ の 期 間 の 設 定 の 妥 当 性 を 評 価 す る た め の
考 え 方 を 図 1 . 2 -1 に 示 す 。
原 子 炉 設 置 ( 変 更 ) 許 可 申 請 書 ( 以 下 「 許 可 申 請 書 」 と い う 。) の
本 文 及 び 添 付 書 類 の 記 載 事 項 を 対 象 と し て 、運 転 期 間 が 変 更 と な っ た
場 合 に 影 響 を 受 け る 可 能 性 の あ る 項 目 を 抽 出 し ( 図 1 . 1 -1 参 照 )、 以
下 の 考 え 方 に 則 り 、そ の 影 響 を 分 類 ・ 評 価 し 、運 転 期 間 の 延 長 を 行 っ
た 場 合 で も 、基 本 設 計 な い し 基 本 的 設 計 方 針 に 則 し た 運 転 期 間 が 設 定
されているかどうかを評価する。
(1 ) 許 可 申 請 書 の 記 載 事 項 を 対 象 と し て 、 運 転 期 間 が 変 更 と な っ た 場
合に影響を受ける可能性のある項目を抽出する。
(2 ) 代 表 プ ラ ン ト で の 影 響 評 価 に よ る 確 認 の 結 果 、 運 転 期 間 の 延 長 の
影響を受けない項目については、個別プラントにおける評価は行
わ な い 。( 図 1 . 2 -1 中 の 区 分 Ⅰ に 該 当 )
(3 ) 運 転 期 間 の 延 長 の 影 響 を 受 け る 項 目 で あ っ て 、 保 安 規 定 、 社 内 規
定等により、管理される項目については、個別プラントにおける
影 響 評 価 は 行 わ な い 。( 図 1 . 2 -1 中 の 区 分 Ⅱ に 該 当 )
(4 ) 運 転 期 間 の 延 長 の 影 響 を 受 け る 項 目 で あ っ て 、 添 付 書 類 に お い て
評価されているが許可申請書本文記載事項に影響を与えない項目
については、代表プラントの影響評価を基に、個別プラントにお
いて影響評価を確認すべき項目を抽出する。
( 図 1 . 2 -1 中 の 区 分 Ⅲ
に該当)
(5 ) 運 転 期 間 の 延 長 の 影 響 を 受 け る 項 目 で あ っ て 、 許 可 申 請 書 本 文 記
載事項を定めている前提条件を確認することで、期間の設定の妥
当性を確認できる項目については、代表プラントの影響評価を基
に 、個 別 プ ラ ン ト に お い て 影 響 評 価 を 確 認 す べ き 項 目 を 抽 出 す る 。
( 図 1 . 2 -1 中 の 区 分 Ⅳ に 該 当 )
(6 ) 運 転 期 間 の 延 長 の 影 響 を 受 け る 項 目 で あ っ て 、 評 価 を し た 上 で な
ければ期間の妥当性を確認できない項目については、個別プラン
ト に お い て 影 響 評 価 を 確 認 す べ き 項 目 と し て 抽 出 す る 。( 図 1 . 2 -1
-4-
中の区分Ⅴに該当)
-5-
原子炉の運転期間の設定
運転期間の延長に関連する、設置許可申請書本文
及び添付書類の記載事項を対象として評価を実施
運転期間の延長の影響
を受けない項目か?
受けない
個別プラントにおける影響評
価の対象外
:区分Ⅰ
受ける
保安規定、社内規定等に
より管理される項目
管理する
個別プラントにおける影響評
価の対象外
:区分Ⅱ
管理しない
添付書類において評価
されているが、本文記載
事項に影響を与えない
項目か?
与えない
影響の程度を代表プラントに
おいて確認
:区分Ⅲ
与える
本文記載事項を定めて
いる前提条件を確認す
ることで、所定の判断
基準を満足できること
を確認できる項目か?
確 認 で きる
根拠となる添付書類の記載内
容の前提条件に変更はなく、本
文記載事項に影響しないこと
を代表プラントにおいて確認
:区分Ⅳ
代表プラントの
確認で十分か?
十分
確認できない
根拠となる添付書類の記載内
容の再評価により、本文記載
事項に影響しないことを代表
プラントにおいて確認
:区分Ⅴ
十分でない
個別プラントの運転期間の設定の妥当性
を確認する際に、運転期間の延長による
影響評価を確認する必要のある項目
図 1.2-1
評価フロー
-6-
個別プラントの影響
評価を確認する必要
のない項目
1.3 運 転 期 間 延 長 へ の 対 応
運 転 期 間 の 延 長 を 行 う 場 合 に は 、こ れ ま で の 運 転 期 間 よ り も 長 期 に
わたり、原子炉の反応度を維持する必要がある。
具 体 的 に は 、サ イ ク ル 末 期 の 反 応 度 を 確 保 す る た め に 、新 燃 料 装 荷
体 数 を 増 加 さ せ る 。こ の 影 響 に よ り 、サ イ ク ル 初 期 に お い て は 余 剰 反
応 度 が 増 加 す る 方 向 と な り 、ま た 反 応 度 の 高 い 新 燃 料 が 隣 接 し て 配 置
さ れ る と 出 力 ピ ー キ ン グ が 高 く な る こ と が 考 え ら れ る 。こ の 余 剰 反 応
度 に つ い て は 、ほ う 素 濃 度 を 上 昇 さ せ る こ と 及 び ガ ド リ ニ ア 入 り 燃 料
の 装 荷 体 数 や 装 荷 位 置 を 工 夫 す る こ と で 制 御 す る こ と が で き る 。ま た 、
出 力 ピ ー キ ン グ に つ い て は 、燃 料 装 荷 パ タ ー ン の 工 夫( 所 定 の 制 限 値
等を満足していることを確認)で対応することができる。
本 評 価 に お い て は 、 現 行 炉 心 と 16 ヶ 月 炉 心 の よ う に 運 転 期 間 の 差
が 小 さ く 、余 剰 反 応 度 等 に も 大 き な 差 が な い た め 、こ の 燃 料 装 荷 パ タ
ー ン の 差 か ら 生 じ る 炉 心 特 性 の 差 は 、現 行 炉 心 で も 運 転 履 歴 が 異 な る
炉心を構成する場合に現れる炉心特性の差と大差ないものになった
と考えられる。
す な わ ち 、 16 ヶ 月 炉 心 程 度 で は 、 現 行 炉 心 と 同 様 の 設 計 の 考 え 方
に よ っ て 取 替 炉 心 を 構 成 す る こ と が で き る こ と を 意 味 し て お り 、運 転
期間延長が重要な影響を与えないと考えることができる。
こ の こ と か ら 、運 転 期 間 の 延 長 に あ た っ て は 、現 行 設 計 の 燃 料 を 使
用して対応することとしており、2 項以降にその影響について示す。
-7-
2. 本 文 記 載 事 項 と 影 響 評 価 項 目 の 関 連
設 置 許 可 申 請 書 本 文 と 本 文 に 関 連 す る 事 項 に つ い て 、運 転 期 間 の 延
長 に よ り 影 響 を 受 け る 可 能 性 の あ る 記 載 事 項 を 抽 出 し 、そ れ ら の 事 項
と 本 書 に お け る 評 価 と の 関 連 を 示 し た も の が 表 2 -1 で あ る 。 ま た 、本
書 で 検 討 す る 運 転 期 間 延 長 の 範 囲 で は 燃 料 仕 様 の 変 更 は 行 わ な い 。代
表 プ ラ ン ト の 現 行 の 燃 料 材 の 種 類 、燃 料 集 合 体 の 構 造 を 表 2 -2 に 示 す 。
-8-
表 2-1 運転期間の延長による設置変更許可申請書本文記載事項への影響(1/6)
原子炉の基本設計
影響評価項目
項目
本文記載
ロ.原子炉施設の一般構造
設計に当たっては、発電所周辺の公衆に対し、
「発電用軽水型 4 平常時被ばく評価
(ロ) その他の主要な構造
原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針」に定められている
平常運転時の被ばく
線量目標値を超える放射線被ばくを与えないように努める。
異常な過渡変化、事故
原子炉の固有の安全性並びに安全保護系の動作により、過渡変 5.1 事故時被ばく評価以外
化が安全に終止するように設計する。
5.1.2 解析結果
(1) 2 次冷却系の異常な減圧
(2) 主蒸気管破断
(3) 制御棒飛び出し
(4) その他の事象
事故時被ばく評価
燃料から放出される放射性核分裂生成物が、発電所周辺に放散 5.2 事故時被ばく評価(各種事故、重大事故
-9-
されるのを防ぐための防壁を多重に設け、万一事故が起こった
場合にも公衆との離隔との関連において発電所周辺の公衆の
安全を確保する。
及び仮想事故)
表 2-1 運転期間の延長による設置変更許可申請書本文記載事項への影響(2/6)
原子炉の基本設計
影響評価項目
項目
本文記載
ハ.原子炉本体の構造及び設備
原子炉を安全かつ安定に制御することを目的として、次のよう 3.2 核設計
(イ) 炉心
な核的制限値を設定する。なお、原子炉は、高温状態以外で臨 3.2.1 炉心特性への影響
(3) 主要な核的制限値
界としない設計とする。
3.2.3 炉心特性への影響評価結果
a. 反応度停止余裕
(2) 炉心内出力分担及び反応度特性への影響評
最大反応度価値を有する制御棒クラスタ 1 本が、全引き抜き位
価結果
置のまま挿入できない場合でも、以下に示す反応度停止余裕を
持つ設計とする。
3.4 動特性
高温停止状態 0.016 k/k
3.4.2 影響評価結果
低温停止状態 0.010 k/k
b. 制御棒クラスタによる最大反応度添加率
制御棒クラスタが引き抜き手順上可能な最大速度で引き抜か
- 10 -
れても、0.00075( k/k)/s 以下とする。
c. 制御棒クラスタの最大反応度価値
制御棒クラスタが挿入限界位置から飛び出した場合、炉心の状
態に応じ、次の値以下とする。
高温全出力時 0.0012 k/k
高温零出力時 0.0087 k/k
d. 減速材温度係数及びドップラ係数
減速材温度係数は、高温出力運転状態では負になるように設計
する。また、ドップラ係数は負になるように設計する。
3.5.2 ほう酸タンク
表 2-1 運転期間の延長による設置変更許可申請書本文記載事項への影響(3/6)
原子炉の基本設計
影響評価項目
項目
(4) 主要な熱的制限値
本文記載
通常運転時及び運転時の異常な過渡変化時において、安全保護
系の作動等とあいまって、被覆管の焼損を起こさず、燃料中心
温度をその溶融点未満とするため、次のような通常運転時の熱
的制限値を設定する。
a. 最小限界熱流束比(最小 DNBR)2.16
3.3 熱水力設計
b. 燃料棒最大線出力密度 43.1kW/m
3.3.2 燃料中心温度
3.3.3 最小 DNBR
(1) 最小 DNBR 評価に用いる入力パラメータ
a.軸方向出力分布
b.核的エンタルピ上昇熱水路係数
- 11 -
(3) DNB ペナルティ
a.燃料棒曲がりによる DNB ペナルティ
b.混在による DNB ペナルティ
(4) 最小 DNBR
3.2 核設計
3.2.3 炉心特性への影響評価結果
(2) 炉心内出力分担及び反応度特性への影響評
価結果
表 2-1 運転期間の延長による設置変更許可申請書本文記載事項への影響(4/6)
原子炉の基本設計
影響評価項目
項目
本文記載
(ロ) 燃料体
燃料集合体は、原子炉の使用期間中に生じ得る種々の因子を考 3.1 燃料の機械設計
(4) 燃料集合体の構造
慮しても、その健全性を失うことがない設計とする。また、燃 3.1.3 燃料棒設計への影響評価結果
料集合体は輸送及び取扱い中に過度の変形を生じない設計と (1) 燃料設計 5 基準評価
する。
a. 燃料中心温度
b. 燃料棒内圧
c. 被覆管応力
d. 被覆管歪
e. 被覆管累積疲労
(2) その他項目の影響評価
a. 被覆管の腐食及び水素吸収
- 12 -
b. PCI
3.1.4 燃料集合体設計への影響評価結果
(1)通常運転時及び運転時の異常な過渡変化時の
強度並びに輸送及び取扱い時の強度
(2)燃料集合体伸び及び燃料棒とノズルの間隙減少
(3)燃料集合体曲がり
(4)燃料棒曲がり
(5)フレッティング摩耗
(6)支持格子の位置ずれ
(7)ジルカロイ4製部材の腐食
表 2-1 運転期間の延長による設置変更許可申請書本文記載事項への影響(5/6)
原子炉の基本設計
項目
(5) 最高燃焼度
影響評価項目
本文記載
燃料集合体最高燃焼度 55,000MWd/t
3.2 核設計
3.2.3 炉心特性への影響評価結果
(2) 炉心内出力分担及び反応度特性への影響評
価結果
ニ.核燃料物質の取扱施設及び貯蔵施設の構造 新燃料貯蔵設備について記載
及び設備
(ロ) 核燃料物質貯蔵設備の構造及び貯蔵能力
3.5.3 燃料貯蔵設備の未臨界性
新燃料貯蔵設備は、想定されるいかなる状態においても燃料が
臨界に達することのない構造とする。
(1) 新燃料貯蔵設備
(2) 使用済燃料貯蔵設備
使用済燃料貯蔵設備は、想定されるいかなる状態においても燃
料が臨界に達することのない設計とする。
- 13 -
使用済燃料ピットには、使用済燃料からの崩壊熱の除去及び使 3.5.4 使用済燃料ピットの冷却性
用済燃料ピット水の浄化を行うため、使用済燃料ピット水浄化
冷却設備を設け、使用済燃料から発生する崩壊熱の除去を行う
のに十分な冷却能力を有する設計とする。
ホ.原子炉冷却系統施設の構造及び設備
(ハ) 非常用冷却設備
(2) 主要な機器及び管の個数及び構造
(b) 燃料取替用水ピット
ほう素濃度 2,800ppm 以上
3.5.1 燃料取替用水ピット
表 2-1 運転期間の延長による設置変更許可申請書本文記載事項への影響(6/6)
原子炉の基本設計
項目
ヘ.計測制御系統施設の構造及び設備
(ハ) 制御設備
影響評価項目
本文記載
出力運転時ほう素濃度
サイクル初期 2,100ppm 以下
(1) 制御材の個数及び構造
5.1 事故時被ばく評価以外
5.1.2 解析結果
(4) その他の事象
b. ほう素
(3) 反応度制御能力
a.制御棒クラスタ
−
制御する最大過剰反応度は約 0.03 k/k とし、その場合の反応 (左記の最大過剰反応度と反応度制御能力は代
度制御能力は約 0.05 k/k とする。
表値であり制限値ではない。安全解析において
は両者の差分である反応度停止余裕(保安規定
に基づき管理する項目)を用いている。
)
- 14 -
b. ほう素濃度調整
3.2.3 炉心特性への影響評価結果
0.17 k/k 以上
(1)ほう素による反応度制御への影響評価結果
a. ほう素濃度調整
(ニ) 非常用制御設備
非常用制御設備は、全制御棒クラスタが挿入不能の場合でも、
(3) 反応度制御能力
原子炉を低温停止できる能力を持つようにする。
停止時実効増倍率 keff≦0.99
3.5.2 ほう酸タンク
負の反応度添加速度 0.00021(Δk/k)/min 以上
3.2.3 炉心特性への影響評価結果
(1)ほう素による反応度制御への影響評価結果
b 負の反応度添加速度
表 2-2
17 行 17 列 型 高 燃 焼 度 ス テ ッ プ 2 燃 料 の 主 要 仕 様 値
項
1
目
高燃焼度ステップ2燃料
燃料材
二酸化ウラン焼結ペレット
(一 部 ガ ド リ ニ ア を 含 む )
ペレット
ウ ラ ン 235 濃 縮 度
約 4.8wt%以 下
(ガ ド リ ニ ア 入 り 燃 料 は 約 3.2wt%以 下 )
約 10wt%以 下
ガドリニア濃度
理 論 密 度 の 約 97%
(ガ ド リ ニ ア 入 り 燃 料 は 約 96%)
ペレット初期密度
2
燃料棒
被
覆
材
ジルコニウム基合金
燃料棒外径
約 9.5mm
被覆管厚さ
約 0.6mm
約 3.7m
燃料棒有効長さ
3
燃料集合体
配
17 行 17 列
列
約 13mm
燃料棒ピッチ
264 本
燃料棒本数
20 本 又 は 16 本
ガドリニア入り燃料集合体の
ガドリニア入り燃料棒本数
24 本
制御棒案内シンブル本数
1本
炉内計装用案内シンブル本数
55,000MWd/t
集合体最高燃焼度
- 15 -
3.
安全設計に対する影響評価
現行燃料を使用して運転期間の延長を行う場合、必要な運転期間を確
保するために新燃料装荷体数を増加して、サイクル燃焼度を増加する必
要 が あ り 、 こ れ に よ っ て 図 1.1-1 に 示 す よ う な 影 響 が 考 え ら れ る 。
こ う し た 影 響 を 踏 ま え 、現 行 17 行 17 列 型 高 燃 焼 度 ス テ ッ プ 2 燃 料( 集
合 体 最 高 燃 焼 度 55,000MWd/t) を 装 荷 し た 4 ル ー プ 炉 心 ( 表 3-1 参 照 )
に つ い て 、 16 ヶ 月 炉 心 に お け る 核 設 計 や 燃 料 の 機 械 設 計 な ど へ の 影 響 を
評価した結果を示すとともに、運転期間延長による影響評価に関し、個
別プラントで確認が必要となる項目の有無について検討した結果を以下
に示す。
- 16 -
表 3 -1
原子炉及び炉心の主要仕様
炉心熱出力
約 3 , 4 11 M W
1次冷却材全流量
約 60.1×106kg/h
原子炉容器入口 1 次冷却材温度
約 289℃
原子炉容器出口 1 次冷却材温度
約 325℃
原子炉圧力
約 15.4MPa[gage]
炉心有効高さ
約 3.66m
炉心等価直径
約 3.37m
炉心全ウラン量
約 91t
冷却回路数
4
- 17 -
3.1
燃料の機械設計
3.1.1
燃料の機械設計への影響
運 転 期 間 を 延 長 す る 場 合 、前 項 に 示 し た よ う に 炉 心 内 出 力 分 布
が 影 響 を 受 け 、燃 料 棒 の 出 力 履 歴 も 変 化 す る た め 、燃 料 の 機 械 設
計に与える影響の程度を以下のとおり確認した。
3.1.2
燃料棒設計コードの適用性について
燃 料 の 機 械 設 計 で は 、運 転 期 間 中 に 生 じ う る 種 々 の 因 子 を 考 慮
し て 、燃 料 の ふ る ま い( 挙 動 )を 評 価 し 、燃 料 の 健 全 性 に 問 題 が
な い こ と を 確 認 し て い る 。燃 料 棒 設 計 コ ー ド( 高 燃 焼 度 用 F I N E
コ ー ド 、 高 燃 焼 度 用 F PAC コ ー ド ) で は 、 ペ レ ッ ト や 被 覆 管 等
の 燃 料 ふ る ま い に つ い て 、燃 焼 度 や 照 射 量 で 整 理 し て 適 切 に モ デ
ル化しており、現在の高燃焼度ステップ 2 燃料相当の高燃焼度
ま で の 適 用 性 は 、国 内 外 の P W R 実 機 プ ラ ン ト や 試 験 炉 で 取 得 さ
れ た 照 射 デ ー タ に 基 づ き 確 認 さ れ て い る 。ま た 、検 証 を 実 施 し た
照 射 デ ー タ の 一 部 に は 、 16 ヶ 月 炉 心 を 超 え る 運 転 期 間 を 経 験 し
たものが含まれている。
運 転 期 間 を 延 長 す る 場 合 で も 、使 用 す る 燃 料 仕 様 及 び 最 高 燃 焼
度 を 変 更 す る も の で は な く 、 16 ヶ 月 程 度 の 運 転 期 間 の 延 長 で あ
れ ば 燃 料 が 経 験 す る 照 射 条 件( 出 力 履 歴:燃 焼 に 伴 う 燃 料 棒 の 線
出 力 密 度 の 変 化 )は 現 行 炉 心 と 大 き く 変 わ ら ず 、コ ー ド の 適 用 範
囲 と な る 燃 焼 度 や 照 射 量 範 囲 を 超 え る こ と は な い 。よ っ て 運 転 期
間 に 応 じ て 適 切 に 評 価 条 件( サ イ ク ル 長 さ 等 )を 設 定 す る こ と で
燃料のふるまいを評価できることからこれらの燃料棒設計コー
ドを適用することができる。
- 18 -
3.1.3
燃料棒設計への影響評価結果
(1 ) 燃 料 設 計 5 基 準 評 価 ( 区 分 : Ⅴ )
表 3 . 1 -1 に 評 価 に 用 い た 現 行 の 高 燃 焼 度 ス テ ッ プ 2 燃 料 の 仕 様
を 示 す と と も に 、表 3 . 1 -2 ∼ 6 に 1 6 ヶ 月 炉 心 に お け る 燃 料 設 計 5
基準の評価結果を示す。
a. 燃 料 中 心 温 度
運 転 期 間 を 延 長 し て も 、運 転 期 間 中 の 出 力 は 、従 来 か ら 燃 料 中
心 温 度 評 価 に 用 い て い る 線 出 力 密 度 に 包 絡 さ れ る た め 、変 更 す る
必 要 は な く 、ま た 燃 料 中 心 温 度 は ペ レ ッ ト と 被 覆 管 の ギ ャ ッ プ が
大きい寿命初期で厳しくなる傾向にも変わりはないため、表
3 . 1 -2 の と お り 、 運 転 期 間 の 延 長 が 評 価 結 果 に 与 え る 影 響 は 小 さ
い 。ガ ド リ ニ ア 入 り 燃 料 に つ い て も 、ガ ド リ ニ ア の 燃 焼 は 時 間 で
は な く 燃 焼 度 依 存 で あ る た め 運 転 期 間 の 延 長 が 、評 価 結 果 に 与 え
る影響は小さい。
b. 燃 料 棒 内 圧
燃 料 棒 内 圧 は 核 分 裂 生 成 ( FP) ガ ス の 蓄 積 が 主 要 因 で あ り 、
高 出 力 、高 燃 焼 度 に な る ほ ど 厳 し く な る が 、運 転 期 間 延 長 に よ っ
て 多 少 出 力 履 歴 は 変 動 す る も の の 、最 高 燃 焼 度 は 変 更 し な い た め 、
表 3 . 1 -3 の と お り 運 転 期 間 の 延 長 が 評 価 結 果 に 与 え る 影 響 は 小
さい。
c. 被 覆 管 応 力
被 覆 管 応 力・歪 は 、ペ レ ッ ト と 被 覆 管 の 機 械 的 相 互 作 用 が 主 要
因 で あ り 、ペ レ ッ ト と 被 覆 管 が 接 触 し た 以 降 に 、高 出 力 と な り ペ
レ ッ ト 熱 膨 張 が 大 き く な る ほ ど 厳 し く な る 。ペ レ ッ ト と 被 覆 管 の
接 触 時 期 は 、運 転 期 間 延 長 に よ る 出 力 履 歴 の 違 い に よ り 多 少 変 化
するものの、異常な過渡変化時の出力は大きく変わらないため、
表 3 . 1 -4 の と お り 運 転 期 間 の 延 長 が 評 価 結 果 に 与 え る 影 響 は 小
さい。
- 19 -
d. 被 覆 管 歪
被 覆 管 応 力 に お け る 考 察 と 同 様 な 理 由 に よ り 、表 3 . 1 - 5 の と お
り運転期間の延長が評価結果に与える影響は小さい。
e. 被 覆 管 累 積 疲 労
被 覆 管 累 積 疲 労 は 、被 覆 管 に 生 じ る 応 力 が 大 き い ほ ど 、繰 り 返
し 回 数 が 多 い ほ ど 厳 し く な る 。前 述 の と お り 被 覆 管 応 力 に 対 す る
運 転 期 間 延 長 の 影 響 は 小 さ い 。ま た 繰 り 返 し 回 数 は 、表 3 . 1 -8 に
示 す と お り 、年 あ た り で 定 義 し た 回 数 を も と に 、経 験 サ イ ク ル 数
を 考 慮 し て 評 価 し て お り 、1 サ イ ク ル 当 た り の 繰 り 返 し 回 数 、経
験 サ イ ク ル 数 は 表 3 . 1 -9 に 示 す と お り 、そ れ ぞ れ 運 転 期 間 の 延 長
に 応 じ て 変 化 す る も の の 、最 高 燃 焼 度 は 変 更 し な い た め 、表 3 . 1 -6
のとおり運転期間の延長が評価結果に与える影響は小さい。
以 上 に 示 し た よ う に 、運 転 期 間 延 長 に よ っ て 最 高 燃 焼 度 、炉 心
出 力 等 は 変 更 し な い た め 、運 転 期 間 の 延 長 が 評 価 結 果 に 与 え る 影
響 は 小 さ い が 、燃 料 棒 の 出 力 履 歴 が 多 少 変 動 す る た め 、個 別 プ ラ
ントにおいても同様に確認を行うこととする。
(2 ) そ の 他 項 目 の 影 響 評 価 ( 区 分 : Ⅴ )
その他の確認項目として、被覆管の腐食及び水素吸収並びに
P CI ( ペ レ ッ ト − 被 覆 管 相 互 作 用 ) に つ い て 、 そ れ ぞ れ 表 3 . 1 -7
及 び 図 3 . 1 -1 ∼ 2 に 示 す 。
a. 被 覆 管 の 腐 食 及 び 水 素 吸 収
運 転 期 間 の 延 長 に 伴 い 、サ イ ク ル 末 期 に お い て 炉 心 上 下 部 の 出
力 分 担 が 相 対 的 に 大 き く な る 傾 向 が あ り 、被 覆 管 の 腐 食 及 び 水 素
吸収については被覆管表面温度が高くなる炉心上部で厳しくな
る こ と か ら 、運 転 期 間 を 延 長 し た 炉 心 に お い て は 、腐 食 及 び 水 素
吸 収 が 増 加 す る 傾 向 が 考 え ら れ る 。こ の た め 、そ の 影 響 の 程 度 を
確 認 し た 。 16 ヶ 月 炉 心 に つ い て 、 炉 内 滞 在 期 間 中 に 生 じ る 腐 食
に よ る 被 覆 管 肉 厚 の 最 大 減 肉 量 を 評 価 し た 結 果 、被 覆 管 の 機 械 的
- 20 -
健 全 性 の 観 点 か ら 目 安 と し て い る 10%減 肉 以 下 で あ る こ と を 確
認 し た 。ま た 、被 覆 管 の 最 大 水 素 吸 収 量 を 評 価 し た 結 果 、延 性 が
確 保 さ れ て い る こ と が 確 認 で き て い る 約 8 0 0 p pm よ り 小 さ い こ
と を 確 認 し た ( 表 3 . 1 -7 )。
運転期間の延長に伴って評価に用いる燃料棒の出力履歴が多
少 変 動 す る た め 、個 別 プ ラ ン ト に お い て も 同 様 に 確 認 を 行 う こ と
とする。
b . P CI
P CI は 、運 転 期 間 延 長 に よ り 、サ イ ク ル 末 期 に お い て 炉 心 上 下
部 の 出 力 分 担 が 大 き く な る 等 の 影 響 を 受 け る た め 、そ の 影 響 の 程
度 を 確 認 し た 。 そ の 結 果 、 図 3 . 1 -1 及 び 図 3 . 1 -2 に 示 す と お り 、
P CI 評 価 結 果 に 問 題 が な い こ と を 確 認 し た 。
燃 料 の PCI 破 損 は 、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時 に 生 ず る 最 大
線 出 力 密 度 及 び 線 出 力 密 度 変 化 幅 に つ い て 同 時 に PCI 破 損 し き
い 値 を 超 え た 場 合 に 起 こ る 可 能 性 が あ る こ と が 知 ら れ て い る 。運
転 期 間 延 長 に よ り 、サ イ ク ル 末 期 に お い て 炉 心 上 下 部 の 出 力 分 担
が 大 き く な り 、軸 方 向 出 力 分 布 が 影 響 を 受 け 、出 力 ピ ー キ ン グ は
変 動 す る が 、 16 ヶ 月 炉 心 で は そ の 程 度 は 大 き く な く 、 評 価 結 果
も大きく異ならない。
し か し 、運 転 期 間 延 長 に よ る 影 響 の 程 度 は 、プ ラ ン ト 毎 に 異 な
るため、個別プラントにおいても同様に確認を行うこととする。
3.1.4
燃料集合体設計への影響評価結果
(1 ) 通 常 運 転 時 及 び 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時 の 強 度 並 び に 輸 送 及 び
取扱い時の強度(区分:Ⅰ)
運 転 期 間 を 延 長 し て も 使 用 す る 燃 料 の 仕 様 は 変 更 し な い 。ま た 、
運 転 期 間 延 長 に 伴 い 、集 合 体 評 価 で 重 要 と な る 炉 内 で の 使 用 条 件
( 負 荷 荷 重 等 )や 、輸 送 ・ 取 扱 い 時 の 条 件 は 変 わ ら な い た め 、通
常運転時及び運転時の異常な過渡変化時の強度や輸送及び取扱
い時の強度に関する評価結果も変わらない。
- 21 -
し た が っ て 、本 評 価 項 目 に つ い て 、あ ら た め て 評 価 を 行 う 必 要
はない。
これらの考慮事項のほかに、以下の項目についても、運転期間
延長の影響の有無について検討した。
(2 ) 燃 料 集 合 体 伸 び 及 び 燃 料 棒 と ノ ズ ル の 間 隙 減 少 ( 区 分 : Ⅰ )
燃料集合体伸び及び燃料棒とノズルの間隙減少は、制御棒案内
シンブルの照射成長に加え、燃料棒伸びと制御棒案内シンブルの
照射成長の差及び支持格子の燃料棒拘束力に応じて制御棒案内シ
ンブルに加わる引張力による照射クリープ変形により生じるため、
時間ではなく、照射量依存となることから、運転期間を延長して
も、燃料仕様及び最高燃焼度を変更しないため、大きく傾向が異
なることはないと考えられる。
したがって、本評価項目について、あらためて評価を行う必要
はない。
(3 ) 燃 料 集 合 体 曲 が り (区 分 : Ⅱ )
燃料集合体曲がりは、炉心内の流動条件、燃料集合体内の照射
量分布の違いによる燃料棒伸び及び燃料棒拘束力低下の相違など
により発生するものと考えられる。したがって、運転期間を延長
して、サイクル燃焼度が大きくなると、燃料集合体の曲がりは大
きくなる傾向が考えられる。
一方、燃料集合体は炉心内(バッフル板で囲まれている)にお
いて変形しうるスペースが限られており、上下部ノズルが上下部
炉心板に固定されていること、隣接集合体又はバッフル板との接
触力(曲がりに対する反力)が作用することから、上記で述べた
ような変形には限度があり、曲がりはある程度の大きさに達する
とそれ以上は曲がりにくくなる傾向となる。また、サイクル毎で
の装荷位置が異なることにより、燃料集合体の曲がりが一部相殺
- 22 -
さ れ る こ と か ら 図 3 . 1 -3 に 示 す 燃 料 集 合 体 曲 が り の 実 績 か ら 確 認
できるように、サイクルを経験する毎に曲がり量が単純に累積さ
れ る よ う な 傾 向 も 認 め ら れ て い な い が 、P W R 電 気 事 業 者 が 自 主 的
に管理を行っていくこととしている。
したがって、本評価項目について、あらためて評価を行う必要
はない。
(4 ) 燃 料 棒 曲 が り (区 分 : Ⅰ )
燃料棒曲がりは燃料棒が照射により伸びる際、支持格子による
燃料棒拘束力により燃料棒に曲げモーメントが発生し、照射クリ
ープにより曲がりが進行するものと考えられる。一方、支持格子
による燃料棒拘束力は照射により緩和するため、燃料棒曲がりは
照射とともに飽和する傾向となる。
この燃料棒曲がりは燃料寿命中に累積するものであり、運転期
間を延長した場合にサイクル燃焼度が増加しても最高燃焼度に変
更はないことから、寿命末期の燃料棒曲がりは同等となるものと
考えられる。
したがって、本評価項目について、あらためて評価を行う必要
はない。
なお、燃料棒曲がりについては、当該サイクル中に燃料棒間の
閉塞が生じないよう、取替炉心毎に定期事業者検査において確認
を実施している。
(5 ) フ レ ッ テ ィ ン グ 摩 耗 (区 分 : Ⅰ )
フレッティング摩耗は、燃料寿命中に累積するものであり、運
転期間を延長した場合にサイクル燃焼度が増加しても最高燃焼度
に変更はないことから、寿命末期までの炉内滞在期間に変更はな
く、フレッティング摩耗も同等となるものと考えられる。
したがって、本評価項目について、あらためて評価を行う必要
はない。
- 23 -
(6 ) 支 持 格 子 の 位 置 ず れ (区 分 : Ⅰ )
炉内に異なる設計の燃料集合体が共存する場合には、構造的差
異に起因する構造的、核的及び熱水力的影響を評価し、それらの
影響が無視できる程度のものであることを確認する必要がある。
支持格子の位置ずれ量評価においては、新燃料と最終サイクル
照射燃料間の位置ずれが最大となる。支持格子の寿命期間中の移
動量は燃料のタイプによって異なる。支持格子が制御棒案内シン
ブルに固定されているA型燃料では、制御棒案内シンブル伸びに
追従して移動するのに対し、支持格子が制御棒案内シンブルに固
定されていない(最上下部支持格子を除く)B型燃料では、燃料
棒伸びに追従して移動する。燃料棒伸びは制御棒案内シンブル伸
びより大きいことから、B型燃料はA型燃料よりも支持格子移動
量が大きい。このため、あらかじめB型燃料の支持格子位置をA
型燃料より下げておくことにより、寿命期間中の位置ずれ量が小
さくなるようにしている。この結果、支持格子位置ずれ量は、A
型燃料と B 型燃料が隣接した場合よりもB型燃料同士が隣接した
場合の方が大きくなる。寿命末期の位置ずれ量は最高燃焼度制限
で決まるため、1サイクルあたりの支持格子移動量が小さい方が
位 置 ず れ 量 が 大 き く な る( 図 3 . 1 -4 参 照 )。運 転 期 間 を 延 長 す る と
1サイクルあたりの照射期間が長くなり、支持格子移動量が大き
くなるため、支持格子の位置ずれ量は小さくなる方向となり、現
行 評 価 を 逸 脱 す る こ と は な い ( 図 3 . 1 -4 参 照 )。
したがって、本評価項目について、あらためて評価を行う必要
はない。
(7 ) ジ ル カ ロ イ 4 製 部 材 の 腐 食 ( 区 分 : Ⅰ )
ジルカロイ4製部材(炉内計装用案内シンブル、制御棒案内シ
ンブル等)の腐食は、燃料棒の腐食とは異なり、非発熱体の腐食
であることから、運転期間延長による燃料棒の出力履歴の変動の
- 24 -
影響は小さく、またこの腐食は燃料寿命中の炉内滞在期間に応じ
て累積するものであり、運転期間を延長しても、現行炉心と比べ
炉 内 滞 在 期 間 は 表 3 . 1 -9 に 示 す と お り 同 等 以 下 と な る た め 、 寿 命
末期の腐食、水素吸収は同等以下となるものと考えられる。
したがって、本評価項目について、あらためて評価を行う必要
はない。
- 25 -
表 3.1-1
評価に用いた高燃焼度ステップ 2 燃料の仕様
項目
燃料仕様
ペレット
材
料
二酸化ウラン又は
ガドリニア入り二酸化ウラン
濃縮度
二酸化ウラン
4.8wt%
ガドリニア入り二酸化ウラン
3.2wt%
ガドリニア濃度
10wt%
初期密度
二酸化ウラン
97%TD
ガドリニア入り二酸化ウラン
96%TD
ペレット直径
8.19mm
ペレット長さ
11.5mm(A 型燃料)
9.2mm(B 型燃料)
71,000MWd/t
ペレット最高燃焼度
被覆管
材
MDA 又は ZIRLOTM (A 型燃料)
料
NDA(B 型燃料)
外
径
9.50mm
厚
さ
0.57mm
0.17mm
被覆管-ペレット間隙(直径)
燃料集合体
3,856mm(A 型燃料)
燃料棒全長(端栓とも)
3,862mm(B 型燃料)
- 26 -
表 3.1-2(1)
燃料中心最高温度評価結果(A 型燃料 16 ヶ月炉心)
燃料
線出力密度
燃焼度
燃料中心最高温度
(kW/m)
(MWd/t)
(℃)
59.1
二酸化ウラン燃料
0
43.1
ガドリニア入り
44.3
二酸化ウラン燃料
33.4
10,000
制限値
判定
約 2,220(約 2,220)
<
約 1,800(約 1,800)
<
約 2,040(約 2,040)
<
約 1,680(約 1,680)
<
(℃)
2,580
2,440
* 括弧内は現行炉心の評価結果を示す。
表 3.1-2(2)
燃料中心最高温度評価結果(B 型燃料 16 ヶ月炉心)
燃料
線出力密度
燃焼度
燃料中心最高温度
(kW/m)
(MWd/t)
(℃)
59.1
二酸化ウラン燃料
0
43.1
制限値
判定
約 2,170(約 2,170)
<
約 1,750(約 1,750)
<
(℃)
2,580
ガドリニア入り
44.3
15,000
約 1,900(約 1,900)
<
2,430
二酸化ウラン燃料
33.4
25,000
約 1,540(約 1,540)
<
2,400
* 括弧内は現行炉心の評価結果を示す。
表 3.1-3(1)
条件/時期
通常運転時
寿命末期
燃料棒内圧評価結果(A 型燃料 16 ヶ月炉心)
設計比 *
燃料
判定
判定基準
≦
1
0.73(0.71)
二酸化ウラン燃料
ガドリニア入り
0.55(0.54)
二酸化ウラン燃料
* 設計比とは評価値と基準値の比。なお、括弧内は現行炉心の評価結果を示す。
表 3.1-3(2)
条件/時期
通常運転時
寿命末期
燃料棒内圧評価結果(B 型燃料 16 ヶ月炉心)
設計比 *
燃料
判定
判定基準
≦
1
0.74(0.72)
二酸化ウラン燃料
ガドリニア入り
0.60(0.59)
二酸化ウラン燃料
* 設計比とは評価値と基準値の比。なお、括弧内は現行炉心の評価結果を示す。
- 27 -
表 3.1-4(1)
被覆管応力評価結果(A 型燃料 16 ヶ月炉心)
燃料
設計比 *
二酸化ウラン燃料
0.78(0.81)
条件/時期
運転時の
ガドリニア入り
異常な過渡変化時
判定
判定基準
≦
1
0.64(0.65)
二酸化ウラン燃料
* 設計比とは評価値と基準値の比。なお、括弧内は現行炉心の評価結果を示す。
表 3.1-4(2)
被覆管応力評価結果(B 型燃料 16 ヶ月炉心)
燃料
設計比 *
二酸化ウラン燃料
0.58(0.58)
条件/時期
運転時の
ガドリニア入り
異常な過渡変化時
判定
判定基準
≦
1
0.52(0.49)
二酸化ウラン燃料
* 設計比とは評価値と基準値の比。なお、括弧内は現行炉心の評価結果を示す。
表 3.1-5(1)
燃料
設計比 *
二酸化ウラン燃料
0.38(0.39)
条件/時期
運転時の
被覆管歪評価結果(A 型燃料 16 ヶ月炉心)
ガドリニア入り
異常な過渡変化時
判定
判定基準
≦
1
0.32(0.33)
二酸化ウラン燃料
* 設計比とは評価値と基準値の比。なお、括弧内は現行炉心の評価結果を示す。
表 3.1-5(2)
条件/時期
運転時の
異常な過渡変化時
被覆管歪評価結果(B 型燃料 16 ヶ月炉心)
燃料
設計比 *
二酸化ウラン燃料
0.26(0.26)
ガドリニア入り
判定
判定基準
≦
1
0.24(0.22)
二酸化ウラン燃料
* 設計比とは評価値と基準値の比。なお、括弧内は現行炉心の評価結果を示す。
- 28 -
表 3.1-6(1)
条件/時期
寿命末期
被覆管累積疲労評価結果(A型燃料 16 ヶ月炉心)
燃料
設計比 *
二酸化ウラン燃料
0.22(0.21)
ガドリニア入り
判定
判定基準
≦
1
0.09(0.10)
二酸化ウラン燃料
* 設計比とは評価値と基準値の比。なお、括弧内は現行炉心の評価結果を示す。
表 3.1-6(2)
条件/時期
寿命末期
被覆管累積疲労評価結果(B型燃料 16 ヶ月炉心)
燃料
設計比 *
二酸化ウラン燃料
0.06(0.07)
ガドリニア入り
判定
判定基準
≦
1
0.03(0.03)
二酸化ウラン燃料
* 設計比とは評価値と基準値の比。なお、括弧内は現行炉心の評価結果を示す。
- 29 -
表 3.1-7(1)
被覆管の腐食及び水素吸収量確認結果(A 型燃料 16 ヶ月炉心)
条件/時期
燃料
確認結果*
腐食
約 9.2%(約 8.4%)
寿命末期
判定
目安
10%
≦
水素吸収量
約 650ppm(約 580ppm)
800ppm
* 括弧内は現行炉心の評価結果を示す。
表 3.1-7(2)
被覆管の腐食及び水素吸収量確認結果(B型燃料 16 ヶ月炉心)
条件/時期
燃料
確認結果*
腐食
約 8.5%(約 8.3%)
寿命末期
判定
目安
10%
≦
水素吸収量
約 710ppm(約 700ppm)
* 括弧内は現行炉心の評価結果を示す。
- 30 -
800ppm
表 3.1-8
サイクル条件
疲労解析に用いる運転モードとその内訳
繰り返し
回数
考慮した運転条件
運転期間を延長した
場合の影響(16 ヶ月炉心)
稼働率の上昇に伴い、1年当たりの起
動及び炉停止の回数は減少する方向
となるが、安全側に従来同様 3 回/年
冷態停止状態から
温態停止状態
3 回/年
起動・停止
としている。運転期間延長の影響は、
運転期間を考慮し、評価におけるサイ
クル当たりの繰返し回数を 3 回/年×
16/12 → 4 回/サイクル(16 ヶ月)とす
ることで適切に考慮している。
毎日(365 日)の負荷追従運転による出
力変動を考慮しても、390 回/年の設
定値は十分保守的である。運転期間延
0%出力から
100%出力
390 回/年
負荷追従を含む
長の影響は、運転期間を考慮し、評価
運転時出力変化
におけるサイクル当たりの繰り返し
回数を 390 回/年×16/12 → 520 回/
サイ クル (16 ヶ月 )とす るこ とで 適切
に考慮している。
過去の運転時の異常な過渡変化実績
は十分 小さく 、24 回/年(月 あた り 2
回)の設定値は十分保守 的である。さ
0%出力から
異常な過渡変化時
24 回/年
異常な過渡変化にお
らに運転期間延長の影響は、運転期間
ける原子炉トリップ
を考慮し、評価におけるサイクル当た
りの繰り返し回数を 24 回/年×16/12
→ 40 回/サイクル(16 ヶ月)とするこ
とで適切に考慮している。
- 31 -
表 3.1-9
炉内滞在期間の比較
16 ヶ月炉心
現行炉心
炉内滞在期間
燃料集合体数
炉内滞在期間(月) 燃料集合体数
1 サイクル経過
13 ヶ月
60
16 ヶ月
72
2 サイクル経過
26 ヶ月
60
32 ヶ月
72
3 サイクル経過
39 ヶ月
60
48 ヶ月(4.0 年*)
49
4 サイクル経過
52 ヶ月(4.3 年*)
13
−
−
*:参考のため炉内滞在期間が最大のものを年に換算した数値を示している。
- 32 -
70
16 ヶ 月 炉 心 に お け る 出 力 変 化
現行炉心における出力変化
最最大線出力密度[kW/m]
大 線 出 力 密 度 [kW/m]
60
PCI 破 損 し き い 値
50
40
30
20
10
0
0
10000
20000
30000
40000
50000
60000
70000
80000
60000
70000
80000
局
所 燃 焼 度 [MWd/t]
局所燃焼度[MWd/t]
線出力密度変化幅[kW/m]
線 出 力 密 度 変 化 幅 [kW/m]
40
30
20
10
0
0
10000
20000
30000
40000
50000
局局所燃焼度[MWd/t]
所 燃 焼 度 [MWd/t]
図 3 . 1 -1
P CI 評 価 結 果
( 最 大 線 出 力 密 度 ( P m a x に 着 目 し た 整 理 ))
- 33 -
70
16 ヶ 月 炉 心 に お け る 出 力 変 化
現行炉心における出力変化
最大線出力密度[kW/m]
最 大 線 出 力 密 度 [kW/m]
60
PCI 破 損 し き い 値
50
40
30
20
10
0
0
10000
20000
30000
40000
50000
60000 70000
80000
60000 70000
80000
局
所 燃 焼 度 [MWd/t]
局所燃焼度[MWd/t]
線
出 力 密 度 変 化 幅 [kW/m]
線出力密度変化幅[kW/m]
40
30
20
10
0
0
10000
20000 30000
40000
50000
局
所 燃 焼 度 [MWd/t]
局所燃焼度[MWd/t]
図 3 . 1 -2
P CI 評 価 結 果
( 線 出 力 密 度 変 化 幅 ( P に 着 目 し た 整 理 ))
- 34 -
ボウ(mm)
図 3.1-3(1) 燃料集合体曲がり(A 型燃料)
20
17型ステップ1燃料
17型ステップ2先行照射燃料(ジルカロイ-4管)
17型ステップ2先行照射燃料(ジルカロイ-4管+NDA管)
17型ステップ2先行照射燃料(NDA管)
ボウ(mm)
燃料集合体曲がり(mm)
15
17型ステップ1ジルカロイグリッド先行照射燃料
17型ステップ2本格燃料(NDA)
10
5
0
0
10000
20000
30000
40000
集合体平均燃焼度(MWd/t)
図 3.1-3(2) 燃料集合体曲がり(B 型燃料)
- 35 -
50000
60000
16 ヶ月炉心
現行炉心
最終サイクル
照射燃料
新燃料
4CY
EOC
最終サイクル
照射燃料
新燃料
3CY
55GWd/t
※2
4CY
EOC
※2
BOC
位置ずれ量
(EOC)※3
位置ずれ量
(EOC)※3
3CY
BOC
※1
位置ずれ量
(BOC)※3
1CY
1CY
位置ずれ量
(BOC)※3
EOC
※2
※2
1CY
EOC
0GWd/t
BOC
1CY
BOC
・照射初期から照射末期までの支持格子移動量は、現行炉心と 16 ヶ月炉心で差異はない
(※1)
・1 サイクルあたりの支持格子移動量が現行炉心に比べ 16 ヶ月炉心では増加(※2)
・新燃料と最終サイクル照射燃料の支持格子の位置ずれ量は現行炉心に比べ 16 ヶ月炉心
では減少(※3)
なお、上図においては、位置ずれの概念を説明するために、支持格子の軸方向の中心位
置を表現している。
図 3.1-4
支持格子の位置ずれ概念図
- 36 -
3.2 核 設 計
3.2.1 炉 心 特 性 へ の 影 響
運転期間を延長する場合、必要な運転期間を確保するための新
燃 料 装 荷 体 数 の 増 加 や 、 サ イ ク ル 燃 焼 度 の 増 加 に よ り 、 図 1 . 1 -1
に示すように、
・サイクル初期の余剰反応度の増加
・炉心内出力分担の変化
・反応度特性の変化
等の現象が炉心特性に影響を与えることが考えられるため、以下
のとおり評価を行った。
(1 ) ほ う 素 に よ る 反 応 度 制 御 へ の 影 響
運転期間を延長すると、サイクル初期のほう素濃度の増加に伴
い、サイクル初期のほう素価値が低下する傾向となるため、設置
許可申請書本文記載事項のうち、
・制 御 設 備 と し て の ほ う 素 に よ る 反 応 度 制 御 能 力( 出 力 運 転 時
ほう素濃度、ほう素濃度調整)
・非 常 用 制 御 設 備 と し て の ほ う 素 に よ る 反 応 度 制 御 能 力( 停 止
時実効増倍率、負の反応度添加速度)
が 影 響 を 受 け る 。 そ こ で 、 こ れ ら の う ち 、「 ほ う 素 濃 度 調 整 」 と
「 負 の 反 応 度 添 加 速 度 」 に つ い て 、 代 表 プ ラ ン ト に お い て 、 16
ヶ 月 炉 心 に お け る 影 響 の 程 度 を 評 価 し た 結 果 を 3 . 2 . 3 (1 )に 示 す 。
な お 、「 出 力 運 転 時 ほ う 素 濃 度 」 は 異 常 な 過 渡 変 化 と し て 評 価
する事象のうち「原子炉冷却材のほう素の異常な希釈」事象の初
期 条 件 と な っ て お り 、 ま た 、「 停 止 時 実 効 増 倍 率 」 に つ い て は ほ
う酸タンクのほう酸水に要求される停止能力を表すものである
こ と か ら 、 そ れ ぞ れ 5 . 安 全 評 価 の 表 5 . 1 . 1 -1 及 び 3 . 5 設 備 影 響 評
価 の 表 3 . 5 -2 の と お り 、代 表 プ ラ ン ト に お い て 、1 6 ヶ 月 炉 心 に お
ける影響の程度を評価した。
- 37 -
(2 ) 炉 心 内 出 力 分 担 及 び 反 応 度 特 性 へ の 影 響
運 転 期 間 を 延 長 す る と 、炉 心 中 央 部( 軸 方 向 )で の 燃 焼 の 進 行
が進むことによるサイクル末期における炉心上下部の出力分担
や 、新 燃 料 装 荷 体 数 の 増 加 に よ る 炉 心 水 平 方 向 の 出 力 分 担 へ の 影
響 及 び 減 速 材 温 度 係 数 等 の 反 応 度 特 性 へ の 影 響 が 考 え ら れ る 。そ
こ で 代 表 プ ラ ン ト に お い て 、 16 ヶ 月 炉 心 に お け る そ れ ら へ の 影
響 の 程 度 を 評 価 し た 結 果 を 3 . 2 . 3 (2 ) に 示 す 。
ま た 、キ セ ノ ン に よ る 出 力 分 布 の 空 間 振 動 に つ い て は 、運 転 期
間 を 延 長 し た 16 ヶ 月 炉 心 に お い て も 、サ イ ク ル 末 期 で は 軸 方 向
振 動 が 起 こ る 可 能 性 が あ る が 、制 御 グ ル ー プ の 制 御 棒 ク ラ ス タ を
操 作 し て 、ア キ シ ャ ル オ フ セ ッ ト を 適 正 な 範 囲 に 維 持 す る こ と に
よ り 、容 易 に 避 け る こ と が で き る と と も に 、た と え 振 動 が 生 じ て
も そ れ を 検 出 し 、制 御 グ ル ー プ の 制 御 棒 ク ラ ス タ の 操 作 に よ っ て
容易に抑制できることは現行炉心と同様である。
3.2.2 三 次 元 核 設 計 コ ー ド の 適 用 性 に つ い て
三 次 元 核 設 計 コ ー ド ( P HO EN I X -P / AN C、 改 良 N U L I F シ ス テ
ム)は、国内先行照射燃料装荷炉心や海外高燃焼度炉心を含む
P WR 実 機 プ ラ ン ト 及 び 臨 界 実 験 等 の 広 範 囲 な 実 測 デ ー タ と の 比
較によって、炉心設計への適用性検証が行われており、その検証
結果をもって高燃焼度ステップ 2 燃料を装荷した炉心を含む
P WR に 対 す る 核 設 計 手 法 と し て の 信 頼 性 が 確 認 さ れ て い る 。ま た 、
検 証 を 実 施 し た 海 外 高 燃 焼 度 炉 心 に は 、1 6 ヶ 月 炉 心 を 超 え る 運 転
期間の炉心が含まれている。
運転期間を延長する場合でも、三次元核設計コードの妥当性が
確認されている燃料仕様及び最高燃焼度の範囲内であるため、こ
れらの三次元核設計コードを適用することができる。
3.2.3 炉 心 特 性 へ の 影 響 評 価 結 果
(1 ) ほ う 素 に よ る 反 応 度 制 御 へ の 影 響 評 価 結 果
- 38 -
運 転 期 間 を 延 長 し た 場 合 、ほ う 素 価 値 低 下 の 影 響 を 受 け る 設 置
許 可 申 請 書 本 文 記 載 事 項 に つ い て 、代 表 プ ラ ン ト に お い て 以 下 の
とおり制限値を満足することを確認した結果を示す。
a. ほ う 素 濃 度 調 整 ( 区 分 : Ⅴ )
ほ う 素 濃 度 調 整 に よ る 反 応 度 制 御 能 力 は 、1 次 冷 却 材 中 の ほ う
素 濃 度 が 最 も 高 く な る 燃 料 取 替 時 の ほ う 素 濃 度( 燃 料 取 替 用 水 ピ
ッ ト の ほ う 素 濃 度( 2 , 8 0 0 pp m 以 上 ))に よ っ て 表 す こ と が で き 、
設 置 許 可 申 請 書 本 文 で は 、こ の ほ う 素 濃 度 に よ る 反 応 度 制 御 能 力
を記載したものである。
現 行 記 載 値 「 0 . 1 7 Δ k/ k 以 上 」 は 、 現 行 炉 心 の サ イ ク ル 初 期 高
温全出力時(保守的にキセノン等が存在しないと仮定した状態)
で 0 か ら 2 , 8 0 0 pp m ま で に 相 当 す る 反 応 度 価 値 を 評 価 し て 得 ら れ
る値から設定したものである。
運 転 期 間 を 延 長 し た 16 ヶ 月 炉 心 に お い て は 、 サ イ ク ル 初 期 の
ほ う 素 濃 度 が 増 加( 1 , 6 5 1 ppm → 1 , 9 8 4 ppm )す る こ と で 、ほ う 素
価 値 が 低 下 す る が 、 16 ヶ 月 炉 心 で も 現 行 炉 心 と 同 様 に 0 か ら
2 , 8 0 0 ppm ま で の ほ う 素 濃 度 変 化 に 相 当 す る 評 価 を 行 っ た 結 果 、
0 . 1 7 4 Δ k/ k と な り 、 現 行 記 載 値 0 . 1 7 Δ k/ k 以 上 を 満 足 し て い る
ことが確認できた。
な お 、個 別 プ ラ ン ト に お い て も 同 様 に 制 限 値 を 満 足 す る こ と に
ついて評価を行うこととする。
b. 負 の 反 応 度 添 加 速 度 ( 区 分 : Ⅴ )
ほ う 素 濃 縮 に よ る 負 の 反 応 度 添 加 速 度 の 現 行 記 載 値
「 0 . 0 0 0 2 1 (Δ k/ k)/ m i n 以 上 」 は 、 サ イ ク ル 初 期 高 温 全 出 力 時 に
お け る ほ う 素 の 反 応 度 価 値 の 評 価 値 - 6 . 0 × 1 0 - 5 ( Δ k/ k )/ p pm に 、
保 守 的 に 見 積 も っ た ほ う 素 濃 縮 速 度 約 3 . 5 ppm / m i n を 乗 じ て 設
定したものである。
ほ う 素 濃 縮 に よ る 負 の 反 応 度 を 添 加 す る 際 に は 、1 次 冷 却 材 温
- 39 -
度 は 高 温 全 出 力 か ら 高 温 停 止 ま で の 範 囲 で 変 動 す る が 、現 行 評 価
におけるこのほう素濃縮速度の算出の際には、簡便のために、1
次 冷 却 材 の 温 度 を 常 温 と し て 、 そ の 際 の 水 密 度 1 g / cm 3 を 用 い て
評価しており、過度に保守的な条件としていた。
16 ヶ 月 炉 心 の 評 価 に お い て は 、 現 行 評 価 に 比 べ 、 よ り 現 実 に
近い温度条件の水密度を用いてほう素濃縮速度を算出すること
とし、実際の 1 次冷却材温度の変動範囲において評価結果を最
も保守的に算出するように、水密度として高温停止時の 1 次冷
却 材 温 度 2 9 1 . 7 ℃ に お け る 値 を 切 り 上 げ た 0 . 7 5 g / cm 3 を 用 い る こ
と で ほ う 素 濃 縮 速 度 を 約 4 . 7 p pm / m i n と 再 評 価 し た 。こ れ に 、運
転 期 間 を 延 長 し た 16 ヶ 月 炉 心 に お け る サ イ ク ル 初 期 高 温 全 出 力
時 の ほ う 素 価 値 約 - 5 . 8 ×1 0 - 5 ( Δ k/ k)/ pp m を 乗 じ る こ と で 、 こ の
時 の 負 の 反 応 度 添 加 速 度 が 0 . 0 0 0 2 7 ( Δ k/ k)/ m i n と な る た め 、現
行 記 載 値 0 . 0 0 0 2 1 ( Δ k/ k)/ m i n 以 上 を 満 足 し て い る こ と が 確 認 で
きた。
ま た 、 こ の 16 ヶ 月 炉 心 の 評 価 に お い て も 、 ほ う 素 価 値 の 小 さ
い サ イ ク ル 初 期・高 温 全 出 力 時 の 値 を 入 力 値 と し て 使 用 す る こ と 、
3 台中1台の充てんポンプ及び 2 台中 1 台のほう酸ポンプのみを
使用した場合を想定し評価していることの保守性は現行評価と
同様としている。
な お 、個 別 プ ラ ン ト に お い て も 同 様 に 制 限 値 を 満 足 す る こ と に
ついて評価を行うこととする。
(2 ) 炉 心 内 出 力 分 担 及 び 反 応 度 特 性 へ の 影 響 評 価 結 果 ( 区 分 : Ⅱ )
軸 方 向 出 力 分 布 、水 平 方 向 出 力 分 布 、減 速 材 温 度 係 数 等 の 反 応
度 特 性 に つ い て は 、取 替 炉 心 の 安 全 性 確 認 項 目 を 評 価 す る こ と で 、
核 設 計 上 問 題 な い こ と を 確 認 す る こ と が で き 、こ れ は 、保 安 規 定
に よ り 管 理 す る 。ま た 、ド ッ プ ラ 係 数 に つ い て は 運 転 期 間 を 延 長
した場合と比較しても炉心毎に大きく変動するものではないこ
とから、個別プラントにおいて確認する必要はない。
- 40 -
な お 、 参 考 と し て 3.2.1 に 示 し た 影 響 の 程 度 を 確 認 す る た め 、
代表プラントにおける運転期間延長に伴う燃料取替方式の違い
( 表 3 . 2 -1 、 図 3 . 2 -1 ) に よ る 燃 料 配 置 変 更 の 影 響 に つ い て 評 価
した。
この炉心内出力分担及び反応度特性への影響評価結果を表
3 . 2 -2 に 示 す 。 出 力 ピ ー キ ン グ ( 最 大 線 出 力 密 度 ) は 新 燃 料 装 荷
体 数 の 増 加 に よ り 、若 干 大 き く な っ て お り 、減 速 材 温 度 係 数 は サ
イ ク ル 初 期 の ほ う 素 濃 度 が 高 い こ と に よ り 、若 干 正 側 に な る 傾 向
が 認 め ら れ る が 、い ず れ の パ ラ メ ー タ に お い て も 重 要 な 影 響 が な
く、安全解析使用値の範囲内に入っていることが確認できた。
運 転 期 間 を 延 長 す る た め に は 、サ イ ク ル 末 期 の 反 応 度 を 確 保 す
る 必 要 が あ り 新 燃 料 装 荷 体 数 が 増 加 す る た め 、サ イ ク ル 初 期 に お
いては余剰反応度が増加する方向になるが、この余剰反応度は、
ガドリニア入り燃料の装荷体数や装荷位置を工夫することで抑
え る こ と が で き る 。 16 ヶ 月 炉 心 に お い て は 現 行 炉 心 と 比 べ て 運
転 期 間 の 差 が 小 さ く 、余 剰 反 応 度( ほ う 素 濃 度 )の 差 も 設 計 で 想
定 し て い る 変 動 範 囲 内 で あ る た め 、こ の 燃 料 装 荷 パ タ ー ン の 差 か
ら生じる炉心内出力分担及び反応度特性への影響評価結果の差
は 、現 行 炉 心 で も 運 転 履 歴 が 異 な る 炉 心 を 構 成 す る 場 合 に 現 れ る
ものと大差ないものになったと考えられる。
し た が っ て 、 16 ヶ 月 炉 心 程 度 の 運 転 期 間 の 延 長 で は 、 現 行 炉
心と同様の設計の考え方によって取替炉心を構成することがで
き る こ と を 意 味 し て お り 、各 パ ラ メ ー タ の 運 転 期 間 延 長 に よ る 変
動が重要な影響を与えないと考えることができる。
- 41 -
表 3.2-1
燃料取替方式
現行炉心
16 ヶ 月 炉 心
(平 衡 炉 心 )
(平 衡 炉 心 )
B 4.8wt%
13
−
A 4.8wt% (Gd 入 り * )
32
12
B 4.8wt%
28
37
A 4.8wt% (Gd 入 り * )
32
32
B 4.8wt%
28
40
A 4.8wt% (Gd 入 り * )
32
32
B 4.8wt%
28
40
15,500
18,300
サ イ ク ル
燃
領
域
料
3サイクル照射燃料
集
合
2サイクル照射燃料
体
装
1サイクル照射燃料
荷
体
数
新燃料
サ イ ク ル 燃 焼 度 ( MWd/t)
*
3.2wt% 2 3 5 U− 10wt% Gd 2 O 3 燃 料 棒 24 本 を 含 む 。
- 42 -
表 3.2-2
項
取替炉心の安全性確認項目評価結果
目
単
位
安全解析使用値
現行炉心
16 ヶ 月 炉 心
反応度停止余裕
% k/k
≧ 1.6
1.80
1.88
最大線出力密度※
kW/m
≦ 41.5
35.3
38.4
燃料集合体
最高燃焼度
MWd/t
≦ 55,000
54,700
54,400
F NX Y
−
≦ 1.52
1.43
1.49
減速材温度係数
(=>/=T m)
×10 - 5 ( k/k)/℃ -94∼ 8
-68∼ -6.8
-69∼ -3.9
ドップラ係数
(=>/=T f)
×10 - 5 ( k/k)/℃ -5.2∼ -1.8
-3.4∼ -2.5
-3.4∼ -2.5
落下制御棒
値
制御棒 価
落下時
N
F H
% k/k
≦ 0.25
0.15
0.15
−
≦ 1.87
1.65
1.74
−
≦ 15
7.4
6.7
−
≦ 5.0
2.1
2.2
−
≦ 25
17
15.2
−
≦ 5.0
2.2
2.2
制
御
棒
飛
び
出
し
時
FQ
高 温
サイクル 零出力
初
期 高 温
全出力
飛
び
出
し
制
御
棒
価
値
高 温
サイクル 零出力
初
期 高 温
全出力
% k/k
≦ 0.66
0.32
0.20
% k/k
≦ 0.12
0.02
0.02
高 温
サイクル 零出力
末
期 高 温
全出力
% k/k
≦ 0.87
0.66
0.55
% k/k
≦ 0.12
0.03
0.03
×10 - 5 ( k/k)/s
≦ 75
33
34
高 温
サイクル 零出力
末
期 高 温
全出力
最大反応度添加率
※
燃料ペレット焼きしまりの効果を含まない。
- 43 -
H
G
F
E
D
C
B
A
H
(M-3)B
G
F
E
D
C
B
(M-2)B
8
8
(M-1)B
(M-3)B
MA
(M-2)A
(M-2)B
(M-2)A
MA
(M-1)B
MA
(M-2)A
(M-1)B
(M-2)B
(M-1)A
(M-1)A
(M-1)A
(M-1)B
(M-2)B
MA
(M-1)A
MA
(M-1)B
MA
(M-2)B
(M-1)A
(M-2)B
(M-2)B
(M-1)A
(M-1)B
MB
MB
MA
MB
MB
MB
10
10
(M-2)A
(M-1)B
(M-2)B
MA
11
11
(M-1)A
(M-1)A
(M-1)A
(M-2)B
(M-1)A
12
12
(M-2)A
- 44 -
(M-2)A
9
9
MA
(M-2)A
(M-1)A
MA
(M-2)A
13
13
(M-2)A
(M-3)B
MA
(M-2)B
(M-1)B
MB
14
14
MB
MB
(M-1)B
MB
……領域番号(/は新燃料)
……領域番号(/は新燃料)
15
15
(M-3)B
(M-2)A
(M-2)B
(M-1)A
(M-1)B
MA
MB
:
:
:
:
:
:
:
4.8wt%
4.8wt%+Gd※
4.8wt%
4.8wt%+Gd※
4.8wt%
4.8wt%+Gd※
4.8wt%
13体
32体
28体
32体
28体
32体
28体
(3サイクル照射燃料)
(2サイクル照射燃料)
(2サイクル照射燃料)
(1サイクル照射燃料)
(1サイクル照射燃料)
(新燃料)
(新燃料)
※:3.2wt%U235-10wt%Gd2 O3 24本を含む
図 3 . 2 -1 (1 )燃 料 装 荷 パ タ ー ン ( 現 行 平 衡 炉 心 )
(M-2)A
(M-2)B
(M-1)A
(M-1)B
MA
MB
:
:
:
:
:
:
4.8wt%+Gd※
4.8wt%
4.8wt%+Gd※
4.8wt%
4.8wt%+Gd※
4.8wt%
12体
37体
32体
40体
32体
40体
(2サイクル照射燃料)
(2サイクル照射燃料)
(1サイクル照射燃料)
(1サイクル照射燃料)
(新燃料)
(新燃料)
※:3.2wt%U235-10wt%Gd2 O3 24本を含む
図 3 . 2 -1 (2 )燃 料 装 荷 パ タ ー ン ( 1 6 ヶ 月 平 衡 炉 心 )
A
3.3 熱 水 力 設 計
3.3.1
熱水力設計上の燃料の許容設計限界
熱水力設計では、通常運転時及び運転時の異常な過渡変化時に
おいて、燃料の健全性を確保するため、以下の設計基準を満足す
ることとしている。
・燃料中心最高温度は、二酸化ウラン及びガドリニア入り二酸
化ウランそれぞれの溶融点未満であること。
・ 最 小 D N BR は 、 許 容 限 界 値 以 上 で あ る こ と 。
運転期間延長に伴うそれぞれへの影響を以下に述べる。
3.3.2
燃料中心温度(区分:Ⅴ)
3 . 1 . 3 (1 )a . に お い て 評 価 し た と お り 、 運 転 期 間 を 延 長 し て も 、 運
転 期 間 中 の 出 力 は 、従 来 か ら 燃 料 中 心 温 度 評 価 に 用 い て い る 線 出 力
密 度 に 包 絡 さ れ る た め 、変 更 す る 必 要 は な く 、ま た 燃 料 中 心 温 度 は
ペレットと被覆管のギャップが大きい寿命初期で厳しくなる傾向
に も 変 わ り は な い た め 、表 3 . 1 -2 の と お り 運 転 期 間 の 延 長 が 評 価 結
果 に 与 え る 影 響 は 小 さ い 。ガ ド リ ニ ア 入 り 燃 料 に つ い て も 、ガ ド リ
ニアの燃焼は時間ではなく燃焼度依存であるため運転期間の延長
が評価結果に与える影響は小さい。
な お 、燃 料 中 心 温 度 に つ い て は 、上 記 の と お り 評 価 結 果 に 与 え る
影 響 は 小 さ い も の の 、燃 料 棒 の 出 力 履 歴 が 多 少 変 動 す る た め 、燃 料
棒健全性として個別プラントにおいて確認を行うこととしている。
3.3.3
最 小 D N BR
(1 ) 最 小 D N BR 評 価 に 用 い る 入 力 パ ラ メ ー タ
燃料及びプラントの仕様は変わらないことから、運転期間延長
により影響を受ける入力パラメータは以下のとおり。
a. 軸 方 向 出 力 分 布 ( 区 分 : Ⅳ )
- 45 -
1 6 ヶ 月 炉 心 で 出 現 す る 軸 方 向 出 力 分 布( サ イ ク ル 初 期 及 び 末 期
を対象に、定格出力運転時及び日負荷追従運転等による変動も考
慮 し た 場 合 の 炉 心 解 析 結 果 )に 基 づ き D N BR 評 価 を 実 施 し た 。そ
の 結 果 、 運 転 期 間 を 延 長 し て も 、 D N BR 評 価 に 使 用 す る 軸 方 向 出
力 分 布 と し て 1 . 6 2 コ サ イ ン 分 布 が 適 用 で き る こ と を 図 3 . 3 -1 の と
おり確認した。
この軸方向出力分布の包絡性については、プラント毎に異なる
ため個別プラントにおいても同様に確認を行うこととする。
b. 核 的 エ ン タ ル ピ 上 昇 熱 水 路 係 数 ( 区 分 : Ⅱ )
最 小 DNBR の 評 価 に 用 い る 核 的 エ ン タ ル ピ 上 昇 熱 水 路 係 数
N
( FΔ H) は 、 制 御 棒 の 挿 入 状 態 に 応 じ た 炉 心 内 最 大 燃 料 棒 出 力 の
炉心内全燃料棒の平均出力に対する割合として定義されており、
運転期間延長による炉心内出力分布の変化の影響を受けるパラメ
ータである。
N
こ の FΔ Hは 、 保 安 規 定 に よ っ て 管 理 す る パ ラ メ ー タ で あ り 、 個
別プラントにおいて確認する必要はない。
(2 )
熱水力設計コードの適用性について
限 界 熱 流 束 比 ( D N BR) 評 価 に お い て 、 D N B 相 関 式 に 入 力 さ れ
る 炉 心 内 局 所 冷 却 材 条 件 は 、 熱 水 力 設 計 コ ー ド ( T HI N C コ ー ド 、
改 良 CO B RA -3 C コ ー ド )に よ る サ ブ チ ャ ン ネ ル 解 析 に よ り 求 め る 。
この熱水力設計コードは、サブチャンネルを最小単位として炉
心内を分割し、質量保存則、運動量保存則及びエネルギー保存則
を解いて局所冷却材条件の分布を計算するものである。これらの
保存則は、一般的な物理法則であり、運転期間の延長によって影
響を受けるものではない。また、運転期間の延長において、プラ
ントの仕様及び熱水力設計値を変更していないため、サブチャン
ネル内の評価上の冷却材条件も変わらないことから、これらの熱
水力設計コードを適用することができる。
- 46 -
(3)
DNB ペ ナ ル テ ィ
a. 燃 料 棒 曲 が り に よ る DNB ペ ナ ル テ ィ ( 区 分 : Ⅰ )
燃 料 棒 曲 が り は 主 に 照 射 量( 燃 焼 度 )に よ る が 、3 . 1 . 4 ( 4 )で 述 べ
たように運転期間を延長しても最高燃焼度は変更しないことから、
燃 料 棒 間 隔 の 閉 塞 割 合 実 績 の 包 絡 値 及 び D N BR 評 価 条 件 は 変 更
に な ら な い 。 し た が っ て 、 燃 料 棒 曲 が り に よ る DNB ペ ナ ル テ ィ
は運転期間延長の影響を受けないため、本評価項目について、あ
らためて評価を行う必要はない。
b. 混 在 に よ る DNB ペ ナ ル テ ィ ( 区 分 : Ⅰ )
混 在 さ せ る 燃 料 の 種 類 は 運 転 期 間 に よ ら ず 、ま た D N B R 評 価 に
使 用 す る DNB 相 関 式 や 冷 却 材 条 件 は 、 運 転 期 間 を 延 長 し て も 変
更 し な い こ と か ら 、 混 在 に よ る DNB ペ ナ ル テ ィ は 運 転 期 間 延 長
の影響を受けないため、本評価項目について、あらためて評価を
行う必要はない。
(4)
最 小 DNBR( 区 分 : Ⅳ )
運 転 期 間 延 長 の 影 響 を 受 け る 入 力 パ ラ メ ー タ の う ち 、軸 方 向 出 力
分 布 に つ い て は 、1 6 ヶ 月 炉 心 に 対 し て も 現 行 の D N B 設 計 軸 方 向 出
力 分 布 ( 1.62 コ サ イ ン 分 布 ) が 適 用 で き る こ と を 個 別 プ ラ ン ト 毎
に 確 認 す る ( 3 . 3 . 3 (1 )a .)。 ま た 、 水 平 方 向 出 力 分 布 に つ い て は 、
3 . 3 . 3 (1 )b .で 述 べ た よ う に F ΔN H を 保 安 規 定 に よ り 管 理 す る と と も に 、
N
取 替 炉 心 毎 に F XY を 評 価 し 制 限 値 以 内 で あ る こ と を 確 認 し て い る 。
以 上 の こ と か ら 、本 評 価 項 目 に つ い て 、個 別 プ ラ ン ト に お い て 確 認
する必要はない。
- 47 -
*
- 48 -
1.42
1.4
-15
1.5
1.6
1.7
1.8
1.9
2.0
2.1
2.2
炉心上部での軸方向出力分担が高くなるほど DNBR は低下する傾向があるが、実炉にお
いて出現する種々の軸方向出力を用いて求めた最小 DNBR(図中の○及び●)は 1.62 コ
サイン分布(軸方向出力の最大と平均の比が 1.62)による DNBR(1.42)を上回ってい
る。本図では、DNBR 評価に軸方向出力分布として 1.62 コサイン分布を用いることは妥
当であることを示している。
図 3.3-1
-10
1.62コサイン分布によるDNBR
*
最小DNBR
注)
5
10
15
アキシャルオフセットは、炉外中性子束検出器信号の上半分(φt)
及び下半分(φb)を用いて次のように定義する。
アキシャルオフセット=(φt−φb)/(φt+φb)
0
炉心平均アキシャルオフセット(%)
サイクル末期(16ヶ月炉心)
設計軸方向出力分布による DNBR 評価の包絡性
-5
(現行炉心)
サイクル末期(13ヶ月炉心)
(現行炉心)
サイクル初期(13ヶ月炉心)
サイクル初期(16ヶ月炉心)
16ヶ月炉心
13ヶ月炉心
現行炉心
3.4 動 特 性
動 特 性 に 関 し て は 、設 置 許 可 申 請 書 本 文 記 載 事 項 に 影 響 を 与 え な い
が 、添 付 資 料 に お い て 評 価 し て い る 項 目 で あ り 、運 転 期 間 を 延 長 し た
場合の影響の程度を以下のとおり代表プラントにおいて確認した。
3.4.1
プラント動特性解析コードの適用性について
プ ラ ン ト 動 特 性 解 析 コ ー ド ( MA RV EL ) は 、 国 内 の 複 数 の 代 表
プラントにおいてその妥当性を確認している。
この解析コードにおける炉心の動特性計算は1点近似動特性方
程式に基づいており、運転期間を延長する場合でも、この炉心の
核特性を入力値に的確に反映することによりプラントの動特性を
評価できることからこのプラント動特性解析コードを適用するこ
とができる。
3.4.2
影響評価結果(区分:Ⅲ)
動特性解析は、原子炉固有の自己制御性と原子炉制御設備によ
り、設計負荷変化に対し、運転期間を通じて原子炉系の応答が安
定であることを確認することを目的としている。
運転期間延長に伴う原子炉制御設備や燃料仕様に変更はなく、
自 己 制 御 性 に 関 連 す る 炉 物 理 定 数 の 変 化 は 表 3 . 4 -1 に 示 す よ う に
小さいことから、運転期間を延長した炉心は現行炉心と同様に原
子炉系の応答が安定であると考えられるため、個別プラントにお
いて動特性の影響を確認する必要はない。
な お 、 参 考 ま で に 表 3 . 4 -2 に 示 す 解 析 条 件 を 用 い て 動 特 性 を 評
価 し た 結 果 を 図 3 . 4 -1 ∼ 3 . 4 -5 に 示 す が 、こ の 結 果 か ら も 、1 6 ヶ 月
炉心では動特性に対して重要な影響がないことが確認できる。
- 49 -
表 3 . 4 -1
炉物理定数の変動範囲
減速材温度係数
( ×10-5 k/k/ ℃ )
ドップラ出力係数
(×10-5 k/k/ % 出 力 )
表 3 . 4 -2
ケース
10% ス テ ッ プ 状
負荷減少
10% ス テ ッ プ 状
負荷増加
5% / min ラ ン プ 状
負荷増加
5% / min ラ ン プ 状
負荷減少
75%ス テ ッ プ 状
負荷減少
現行炉心
16ヶ 月 炉 心
-68∼ -6.8
-69∼ -3.9
-9.9∼ -9.6
-10.0∼ -9.7
主要動特性解析条件
減速材温度係数
ドップラ出力係数
( ×10-5Δ k/k/ ℃ )
( ×10-5Δ k/k/ % 出 力 )
現行炉心
16 ヶ 月 炉 心
現行炉心
16 ヶ 月 炉 心
可変
( -68∼ -65)
可変
( -69∼ -66)
-9.6
-9.7
可変
( -3∼ 0)
可変
( -3∼ 0)
-9.9
-10.0
可変
( -3∼ 0)
可変
( -3∼ 0)
-9.9
-10.0
可変
( -68∼ -65)
可変
( -69∼ -66)
-9.6
-9.7
可変
( -68∼ -65)
可変
( -69∼ -66)
-9.6
-9.7
- 50 -
16 ヶ月炉心
現行炉心
kon45516sd.m10
kon355sd.m10
IP=(M47*100)
105
原子炉出力
100
95
90
(%)
85
0
200
400
600
時
800
1000
1200
800
1000
1200
800
1000
1200
間 (秒)
kon45516sd.m10
kon355sd.m10
IP=M17
1次冷却材平均温度
310
308
306
304
302
(℃)
0
200
400
600
時
間 (秒)
kon45516sd.m10
kon355sd.m10
IP=(M33*0.0980665)
15.8
原子炉圧力
15.6
15.4
15.2
(MPa[gage])
15.0
0
200
400
600
時
図 3.4-1
間 (秒)
10%ステップ状負荷減少の場合(100%A90%)
- 51 -
16 ヶ月炉心
現行炉心
kon45516su.m10
kon355su.m10
IP=(M47*100)
105
原子炉出力
100
95
90
(%)
85
0
200
400
600
時
800
1000
1200
800
1000
1200
800
1000
1200
間 (秒)
kon45516su.m10
kon355su.m10
IP=M17
1次冷却材平均温度
310
308
306
304
302
(℃)
0
200
400
600
時
間 (秒)
kon45516su.m10
kon355su.m10
IP=(M33*0.0980665)
15.8
原子炉圧力
15.6
15.4
15.2
(MPa[gage])
15.0
0
200
400
600
時
図 3.4-2
間 (秒)
10%ステップ状負荷増加の場合(90%A100%)
- 52 -
16 ヶ月炉心
現行炉心
kon45516ru.m10
kon355ru.m10
IP=(M47*100)
120
原子炉出力
90
60
30
(%)
0
0
200
400
600
800
時
1000
1200
1400
1600
1800
2000
1400
1600
1800
2000
1400
1600
1800
2000
間 (秒)
kon45516ru.m10
kon355ru.m10
IP=M17
1次冷却材平均温度
310
305
300
295
290
(℃)
0
200
400
600
800
時
1000
1200
間 (秒)
kon45516ru.m10
kon355ru.m10
IP=(M33*0.0980665)
15.8
原子炉圧力
15.6
15.4
15.2
(MPa[gage])
15.0
0
200
400
600
800
時
図 3.4-3
1000
1200
間 (秒)
5%/min ランプ状負荷増加の場合(15%A100%)
- 53 -
16 ヶ月炉心
現行炉心
kon45516rd.m10
kon355rd.m10
IP=(M47*100)
120
原子炉出力
90
60
30
(%)
0
0
200
400
600
800
時
1000
1200
1400
1600
1800
2000
1400
1600
1800
2000
1400
1600
1800
2000
間 (秒)
kon45516rd.m10
kon355rd.m10
IP=M17
1次冷却材平均温度
310
305
300
295
290
(℃)
0
200
400
600
800
時
1000
1200
間 (秒)
kon45516rd.m10
kon355rd.m10
IP=(M33*0.0980665)
15.8
原子炉圧力
15.6
15.4
15.2
(MPa[gage])
15.0
0
200
400
600
800
時
図 3.4-4
1000
1200
間 (秒)
5%/min ランプ状負荷減少の場合(100%A15%)
- 54 -
16 ヶ月炉心
現行炉心
kon45516lr.m10
kon355lr.m10
IP=(M47*100)
120
原子炉出力
90
60
30
(%)
0
0
300
600
時
900
1200
1500
1200
1500
1200
1500
間 (秒)
kon45516lr.m10
kon355lr.m10
IP=M17
1次冷却材平均温度
310
305
300
295
290
(℃)
0
300
600
時
900
間 (秒)
kon45516lr.m10
kon355lr.m10
IP=(M33*0.0980665)
16.0
原子炉圧力
15.5
15.0
14.5
(MPa[gage])
14.0
0
300
600
時
図 3.4-5
900
間 (秒)
75%ステップ状負荷減少の場合(100%A25%)
- 55 -
3.5
設備影響評価
3.5.1 燃 料 取 替 用 水 ピ ッ ト ( 区 分 : Ⅴ )
16 ヶ 月 炉 心 で は 新 燃 料 体 数 の 増 加 に 伴 い サ イ ク ル 初 期 の 余 剰
反応度が増加し必要なほう素濃度が上昇することから、燃料取替
用水ピットほう素濃度への影響の程度を確認する必要がある。ま
た、燃料取替用水ピットほう素濃度への影響及び現行濃度の有す
る余裕はプラント毎に異なっているため、個別プラントにおいて
も同様に確認を行うこととする。
代 表 プ ラ ン ト に 対 す る 評 価 結 果 を 、 表 3 . 5 -1 に 示 す 。 ほ う 素 濃
度 の 評 価 値 は 上 昇 す る も の の 設 置 許 可 申 請 書 記 載 値 ( 2 , 8 0 0 ppm )
内であることを確認した。なお、取替炉心の変動分を考慮した場
合には評価値が安全解析使用値に近づいていることから、取替炉
心に対しても燃料取替用水ピットのほう素濃度要求値が設置許可
申 請 書 記 載 値( 2 , 8 0 0 ppm )を 超 過 し な い こ と を 確 認 す る こ と と す
る。
燃料取替用水ピットのほう素濃度を決定する 3 つの観点とそれ
ぞれの観点から要求される値を以下に示す。
① 燃 料 取 替 停 止 時 の 未 臨 界 性 確 保 ( 約 2 , 6 0 0 pp m )
② 原 子 炉 冷 却 材 喪 失 時 の 未 臨 界 性 確 保 ( 約 2 , 6 5 0 pp m )
③ほう素の異常な希釈(プラント起動)時の対応操作時間の余
裕 の 確 保 ( 2 , 8 0 0 p pm )
3.5.2 ほ う 酸 タ ン ク ( 区 分 : Ⅰ )
ほう酸タンクに貯蔵しておくことが必要なほう酸水量を評価す
る際には高温全出力時のほう素濃度と全制御棒クラスタ挿入不能
の場合における低温停止時のほう素濃度の差を用いているが、こ
の値はサイクル末期で大きくなる(サイクル末期の方が高温状態
か ら 低 温 状 態 に 移 行 す る 際 の 反 応 度 帰 還 が 大 き い )。サ イ ク ル 末 期
の炉心平均燃焼度やほう素濃度は運転期間を延長しても同等であ
ることから、上記のほう素濃度差に対する運転期間延長の影響は
- 56 -
小さい。
以上のことから、本評価項目について、あらためて評価を行う
必要はない。
な お 、 参 考 に 代 表 プ ラ ン ト に お け る 評 価 結 果 を 表 3.5-2 に 示 す
が、ほう酸タンクに貯蔵しておくことが必要なほう酸水量の現行
評 価 に お い て 用 い て い る ほ う 素 濃 度 差 は 、1 6 ヶ 月 炉 心 に お け る 高
温全出力時のほう素濃度と全制御棒引き抜き状態での低温停止時
( ke ff= 0 . 9 9 ) ほ う 素 濃 度 と の 濃 度 差 評 価 値 に 核 的 不 確 定 性
( 1 0 0 pp m ) 及 び 取 替 炉 心 の 変 動 分 ( 2 0 0 p pm ) を 含 ん だ 値 を 上 回
っていることから、ほう酸タンクに貯蔵しておくことが必要なほ
う酸水量の評価に変更はないことがわかる。
3.5.3 燃 料 貯 蔵 設 備 の 未 臨 界 性 ( 区 分 : Ⅰ )
燃料貯蔵設備の未臨界性は新燃料を対象に評価をしており、運
転期間変更に伴い燃料仕様を変更しないことから評価結果に変更
はない。
3.5.4 使 用 済 燃 料 ピ ッ ト の 冷 却 性 ( 区 分 : Ⅱ )
使 用 済 燃 料 ピ ッ ト の 水 温 6 5 ℃( 使 用 済 燃 料 ピ ッ ト ポ ン プ 1 台 運
転 時 )、 5 2 ℃ ( 使 用 済 燃 料 ピ ッ ト ポ ン プ 2 台 運 転 時 ) に つ い て は
それぞれ保安規定、社内規定に定めて管理することから、個別プ
ラ ン ト に お い て 確 認 を 行 う 必 要 は な い 。 な お 、 表 3.5-3 に 示 す と
おり、代表プラントの現行の使用済燃料ピットの冷却性評価にお
いて用いている崩壊熱の前提となっている燃料燃焼度及び体数は
3 サ イ ク ル 照 射 燃 料 の 燃 焼 度 が 5 5 G Wd/ t と な る 3 バ ッ チ 均 等 を 仮
定 し て お り 、 現 行 評 価 の 条 件 設 定 は 16 ヶ 月 炉 心 を 包 絡 す る 保 守
的なものとなっている。その観点からも個別プラントにおいて確
認を行う必要はない。
- 57 -
表 3.5-1
項目
燃料取替停止
燃料取替用水ピット等のほう素濃度(単位:ppm)
16 ヶ月炉心の
現行炉心の
要素
評価結果
評価結果
燃料取替停止ほう素濃度計算値
2,163
2,339
RWSP 必要ほう素濃度算出に用い
2,439*2
2,600*1
る燃料取替停止ほう素濃度
RWSP 必要ほう素濃度*5
←
2,600
臨界ほう素濃度計算値
1,963
2,237
LOCA 時未臨界 RWSP 必要ほう素濃度算出に用い
2,400*1
2,337*2
る臨界ほう素濃度*3
RWSP 必要ほう素濃度*6
←
2,650
臨界ほう素濃度計算値
1,568
1,729
RWSP 必要ほう素濃度算出に用い
起動時の希釈
2,000*1
1,829*2
る臨界ほう素濃度*4
RWSP 必要ほう素濃度*7
←
2,800
*1 平衡炉心の解析値に核的不確定性(100ppm)及び取替炉心の変動分
(300ppm)を含んだ余裕を考慮
*2
平衡炉心の解析値に核的不確定性を考慮。取替炉心の変動分は考慮して
いない。
*3
サイクル初期、全制御棒引き抜き条件
*4
サイクル初期、全制御棒挿入条件
*5
燃料取替停止ほう素濃度と RWSP ほう素濃度は、運用上の観点から同一
濃度としている。
*6
LOCA 発生後に 1 次冷却系及び蓄圧タンクのほう酸水と混合された際に、
未臨界を達成するために必要な RWSP ほう素濃度
*7
プラント起動時(初期ほう素濃度:RWSP ほう素濃度)にほう素を誤っ
て希釈した際に、原子炉が臨界になるまでに、運転員が異常状態を検知し、
これを終結させるのに十分な時間を確保するために必要な RWSP ほう素
濃度
- 58 -
表 3.5-2
ほう酸タンクのほう酸水量評価に用いているほう素濃度
(単位:ppm)
高温全出力時のほう素濃度と全制御 全制御棒クラスタ挿入不能の場合に必
棒引き抜き状態での低温停止時(
keff=0.99)ほう素濃度との濃度差評価 要なほう酸水量の評価に用いているほ
値(核的不確定性及び取替炉心による う素濃度差
変動分含む)
現行炉心
16 ヶ月炉心
1,637*1
1,672*1
1,700
*1 平衡炉心の解析値に核的不確定性(100ppm)及び取替炉心の変動分
(200ppm)を含んだ余裕を考慮
- 59 -
表 3.5-3 使用済み燃料ピット冷却性に関する崩壊熱の前提となる
燃料燃焼度・体数の考え方
(下線部が現行評価に用いている値)
照射
3 バッチ均等
現行炉心(平衡炉心)
16 ヶ月炉心(平衡炉心)
④
−
54.1
−
③
55.0
47.3
52.8
②
36.7
32.1
38.2
①
18.3
15.5
18.0
④
−
13
−
③
64.3
60
49
②
64.3
60
72
①
64.3
60
72
36.7
33.1
34.4
回数
︶
GWd/t
燃焼度
︵
体数︵体︶
平均燃焼度
(GWd/t)
- 60 -
3.6 ま と め
以上の評価結果から、安全設計に対する影響評価に関して、運転
期間の延長に伴い、個別プラントに対して確認すべき項目は以下の
とおり。
(1 ) 燃 料 の 機 械 設 計 に 関 し て
・燃料設計五基準(燃料中心温度、燃料棒内圧、被覆管応力、被
覆管歪及び被覆管累積疲労)
・被覆管の腐食及び水素吸収
・ P CI
(2 ) 核 設 計 に 関 し て
・ほう素濃度調整
・負の反応度添加速度
(3 ) 熱 水 力 設 計 に 関 し て
・軸方向出力分布の包絡性
な お 、 燃 料 中 心 温 度 の 評 価 に つ い て は 、 (1 ) 燃 料 の 機 械 設 計 ・ 燃
料設計五基準において評価される。
(4 ) 動 特 性 に 関 し て
動特性に関して、運転期間の延長に伴い、個別プラントに対し
て確認すべき項目はない。
(5 ) 設 備 影 響 評 価 に 関 し て
・燃料取替用水ピットのほう素濃度
- 61 -
4.
平常時被ばく評価(区分:Ⅱ)
平常時被ばく評価では、気体廃棄物中の希ガスからのγ線、液体
廃棄物中に含まれる放射性物質(よう素を除く)並びに気体廃棄物
中及び液体廃棄物中に含まれるよう素に起因する実効線量を線量評
価指針に基づき評価している。
運転期間の延長による平常時の被ばくへの影響については、放射
性気体廃棄物及び放射性液体廃棄物の放出管理目標値を保安規定に
定め、これに基づき管理することから、個別プラントにおいて運転
期間の延長による影響評価を行う必要はない。
なお、運転期間の延長による放射性気体廃棄物並びに放射性液体
廃棄物の放出量への影響は以下のとおりであり、運転期間の延長に
よっても現行の放出管理目標値に基づく管理は可能である。
運転期間を延長することに伴い、運転初期及び停止時の 1 次冷却
材中のほう素濃度を上げるため、運転期間中の 1 次冷却材抽出水量
(ほう酸回収装置での処理量)は増加し、年間平均の 1 次冷却材中
の希ガス及びよう素の濃度は上昇する。運転期間中の 1 次冷却材抽
出水量の増加量(約 2 割増加)は運転期間延長(約 3 割増加)に比
べ て 小 さ い こ と か ら 、年 間 当 た り の 1 次 冷 却 材 抽 出 水 量 は 減 少 す る 。
ま た 、 運 転 期 間 を 延 長 す る こ と に 伴 い 、 原 子 炉 施 設 の 稼 働 率 が 80%
か ら 90%に 向 上 す る 。
こ の た め 、1 次 冷 却 材 中 の 希 ガ ス 及 び よ う 素 が 空 気 中 に 移 行 し て 放
出 さ れ る 放 出 経 路 に つ い て は 、1 次 冷 却 材 中 の 希 ガ ス 及 び よ う 素 の 濃
度 上 昇 及 び 稼 動 率 向 上 に よ っ て 放 出 量 が 増 加 す る 。1 次 冷 却 材 抽 出 水
中の希ガスがほう酸回収装置で処理されて放出される放出経路につ
い て は 、1 次 冷 却 材 中 の 希 ガ ス 濃 度 の 上 昇 効 果 が 年 間 当 た り の 1 次 冷
却材抽出水量の減少効果より大きく、放出量が増加する。
放射性気体廃棄物中に含まれる希ガス及びよう素の放出量は、放
出 経 路 の 違 い に よ ら ず 増 加 し 、年 間 当 た り 合 計 で 1 割 程 度 増 加 す る 。
しかしながら、希ガス及びよう素の放出管理目標値は、評価の前
- 62 -
提となる燃料被覆管欠陥率が保守的に設定されていることもあり、
放 出 実 績 か ら み て 余 裕 が あ る 値 に 設 定 さ れ て い る 。代表プ ラ ン ト に お
け る 放 射 性 気 体 廃 棄 物 の 放 出 実 績 及 び 放 出 管 理 目 標 値 を 表 4 . 1 -1 に
示す。
放射性液体放射性廃棄物中の放射性物質の放出量(トリチウムを
除く)は、運転期間の延長に比例しない 1 次冷却材抽出水量を処理
した蒸留水の放出が大半であることから、運転期間の延長による増
加はわずかであり、年間当たりでは低減される。しかしながら、液
体廃棄物中の放射性物質の放出管理目標値は放出実績からみて余裕
がある値に設定されている。なお、被ばく評価に用いる放水口にお
ける放射性物質の濃度は、放出量を復水器冷却水量(希釈水量)で
除して求められるため、運転期間を延長することに伴う復水器冷却
水 量 の 増 加 に よ り 、放 射 性 物 質 の 濃 度 は 低 減 さ れ る 。代表プ ラ ン ト に
おける放射性液体廃棄物(トリチウムを除く)の放出実績及び放出
管 理 目 標 値 を 表 4 . 1 -2 に 示 す 。
放射性液体廃棄物中のトリチウムの放出量は、ほう素濃度の変更
及び稼動率の向上に伴い、年間当たり1割程度増加する。保安規定
に定めたトリチウムの放出管理の基準値に対する余裕は比較的小さ
いが、廃液を蒸発処理した蒸留液を 1 次系純水として再使用する等
の管理を行うことから、放出管理の基準値の範囲に留めることがで
きる。なお、被ばく評価に用いる放水口におけるトリチウムの濃度
は 、放 出 量 を 復 水 器 冷 却 水 量( 希 釈 水 量 )で 除 し て 求 め ら れ る た め 、
運転期間を延長することに伴う復水器冷却水量の増加により、トリ
チ ウ ム の 濃 度 は 低 減 さ れ る 。代表プ ラ ン ト に お け る 放 射 性 液 体 廃 棄 物
中 ト リ チ ウ ム の 放 出 実 績 及 び 放 出 管 理 の 基 準 値 を 表 4 . 1 -2 に 示 す 。
- 63 -
表 4.1-1
放射性気体廃棄物の放出実績及び放出管理目標値(代表プラント)
希ガス(Bq)
よう素(131I)(Bq)
放出実績
年間放出管理
放出実績
年間放出管理
目標値
目標値
N.D.
1.8×1010
平成 15 年度
4.1×1011
1.9×108
平成 16 年度
N.D.
6.2×109
1.0×1011
3.9×1015
平成 17 年度
N.D.
2.9×109
平成 18 年度
N.D.
2.2×109
平成 19 年度
N.D.:放出放射能濃度が検出限界濃度未満であったことを示す。
表 4.1-2
放射性液体廃棄物の放出実績及び放出管理目標値※(代表プラント)
放射性液体廃棄物中の
放射性液体廃棄物
トリチウム(Bq)
(トリチウムを除く)(Bq)
放出実績
年間放出管理
放出実績
年間放出管理
目標値
の基準値
13
N.D.
9.0×10
平成 15 年度
N.D.
9.8×1013
平成 16 年度
N.D.
6.6×1013
1.4×1011
2.9×1014
平成 17 年度
N.D.
7.7×1013
平成 18 年度
N.D.
8.9×1013
平成 19 年度
N.D.:放出放射能濃度が検出限界濃度未満であったことを示す。
※放射性液体廃棄物中のトリチウムについては、
「放出管理の基準値」という。
- 64 -
5.安全評価
5.1 事故時被ばく評価以外
16 ヶ月炉心における安全評価への影響として、解析手法及び条件への影響並びに
解析結果への影響について以下に示す。なお、
「運転時の異常な過渡変化」及び「事
故」では、解析手法、用いているパラメータの多くが共通であることから、以下で
は「運転時の異常な過渡変化」及び「事故」の両者に対する評価を一括して記載す
る。
5.1.1 解析手法及び解析条件
(1) 解析手法
運転期間延長に伴い、評価手法は変更していない。なお、運転期間延長によっ
て、熱水力的状況に変更はなく、核的状況にも大きな変化はないことから、添付
十の安全評価で使用する計算プログラムは、16 ヶ月炉心の評価に対しても使用す
ることができる。
(2) 解析条件
安全解析入力パラメータの評価値を表 5.1.1-1 に示す(取替炉心の安全性確認項
目については、
「3.2 核設計」で示したとおり)。一部のパラメータは運転期間延
長の影響を受けるが、安全解析に用いる値は余裕を持って設定されており、変更
はない。また、表 5.1.1-2 に示すパラメータについては、保守的な設定を行ってお
り、運転期間延長の影響を受けないものである。なお、運転期間延長に伴い設備
の変更はなく、設備条件の変更はない。
また、「2 次冷却系の異常な減圧」、「主蒸気管破断」及び「制御棒飛び出し」に
ついては、それぞれ事象発生後の出力分布が歪んだ状態の炉心に基づき入力条件
を設定していることから、評価結果への影響を確認する。なお、他の事象につい
ては、核計算を 1 点近似で実施している等、平衡炉心を基にした出力分布を直接
用いた評価は実施していないことから、評価に用いている安全解析に用いる値の
変更が必要がないことのみを確認する。
各事象に対する確認内容を表 5.1.1-3∼表 5.1.1-5 に示す。
- 65 -
5.1.2 解析結果
上記のとおり、解析条件が変更となるのは、「2 次冷却系の異常な減圧」、「主蒸
気管破断」及び「制御棒飛び出し」である。以下では、これらの事象についての
運転期間延長の影響を示す。
(1) 2 次冷却系の異常な減圧(区分:Ⅴ)
a. 過渡変化の原因
この過渡変化は、原子炉の高温停止中に、タービンバイパス弁、主蒸気逃がし弁
等の 2 次冷却系の弁が誤開放し、1 次冷却材の温度が低下して、反応度が添加される
事象を想定する。
b. 解析方法
プラント過渡特性解析コード MARVEL により、原子炉圧力、炉心冷却材平均温
度、蒸気流量、炉心反応度及び熱流束のプラント過渡応答を求める。さらに、事象
発生後の歪んだ状態の出力分布を核設計計算コード ANC により求め、熱水力計算コ
ード THINC−Ⅲにより DNBR への影響を解析する。
コード体系を図 5.1.2-1 に示す。
c. 解析条件及び解析結果
現行安全評価と同様の手法を用いて16 ヶ月炉心に対して評価した結果を以下に示す。
・事象の過程:図 5.1.2-2
・主要事象クロノロジ:表 5.1.2-1
MARVEL に入力する減速材密度欠損等のプラント過渡に影響する核パラメー
タは、運転期間延長の影響を評価した結果、安全解析に用いる値に変更がなかっ
たことから、MARVEL の出力であるクロノロジに変更はない。
・解析条件及び解析結果:表 5.1.2-2 及び図 5.1.2-3∼図 5.1.2-4
プラント過渡応答に関する解析条件に変更はないが、ANC により解析する事象
発生後の歪んだ状態の出力分布に基づき THINC−Ⅲの入力条件を設定している
ことから、16 ヶ月炉心を対象に評価結果への影響を確認した。ANC により熱流
- 66 -
束最大時点の出力分布を評価した結果、16 ヶ月炉心の方が現行炉心より歪みが大
きくなっており熱流束最大時 F HNが 8.40*から 10.09*に上昇した。これにより、最
小 DNBR は現行炉心の評価結果である約 3.2 から約 2.6 となるものの、判定基準
である最小 DNBR 許容限界値 1.30 を満足することを確認した。
*:THINC-Ⅲ入力値。取替炉心の変動分を考慮した余裕を含む。
上記のとおり、解析結果が影響を受け、かつ、その影響は原子炉毎に異なるこ
とから、個別プラントにおいても解析結果への影響を確認する。
ただし、現行炉心で「2 次冷却系の異常な減圧」が臨界とならないプラントは、
ANC による出力分布評価、それを用いた THINC−Ⅲの解析を行わないため、
「表
5.1.1-1 安全解析に用いる値に対する運転期間延長の影響について」の表中の以
下の項目が現行評価条件に包絡されることのみを確認する。
○実効遅発中性子割合
○即発中性子寿命
○減速材密度反応度欠損
○ほう素価値
○ドップラ出力欠損
なお、これらの安全解析に用いる値に変更がある場合は、個別プラントにおいて
も 16 ヶ月炉心に対する評価を行うこととする。
- 67 -
(2) 主蒸気管破断(区分:Ⅴ)
a. 事故の原因
この事故は、原子炉の高温停止時に、2 次冷却系の破断等により、1 次冷却材の温
度が低下し、反応度が添加される事象を想定する。
具体的には主蒸気管 1 本が瞬時に両端破断するものと考える。
b. 解析方法
プラント過渡特性解析コード MARVEL により、原子炉圧力、炉心冷却材平均温
度、蒸気流量、炉心反応度及び熱流束のプラント過渡応答を求める。さらに、事象
発生後の歪んだ状態の出力分布を核設計計算コード ANC により求め、熱水力計算コ
ード THINC−Ⅲにより DNBR への影響を解析する。
コード体系は、
「2 次冷却系の異常な減圧」と同じであり、図 5.1.2-1 に示したとお
りである。
c. 解析条件及び解析結果
現行安全評価と同様の手法を用いて16 ヶ月炉心に対して評価した結果を以下に示す。
・事象の過程:図 5.1.2-5
・主要事象クロノロジ:表 5.1.2-3
MARVEL に入力する減速材密度欠損等のプラント過渡に影響する核パラメー
タは、運転期間延長の影響を評価した結果、安全解析に用いる値に変更がなかっ
たことから、MARVEL の出力であるクロノロジに変更はない。
・解析条件及び解析結果:表 5.1.2-4 及び図 5.1.2-6∼図 5.1.2-7
プラント過渡応答に関する解析条件に変更はないが、ANC により解析する事象
発生後の歪んだ状態の出力分布に基づき THINC−Ⅲの入力条件を設定している
ことから、16 ヶ月炉心を対象に評価結果への影響を確認した。ANC により熱流
束最大時点の出力分布を評価した結果、16 ヶ月炉心の方が現行炉心より歪みが大
きくなっており熱流束最大時 F HNが 7.79*から 9.00*に上昇した。これにより、最
小 DNBR は現行炉心の評価結果である約 1.55 から約 1.32 となるものの、判定基
*:THINC-Ⅲ入力値。取替炉心の変動分を考慮した余裕を含む。
- 68 -
準である最小 DNBR 許容限界値 1.30 を満足することを確認した。
上記のとおり、解析結果が影響を受け、かつ、その影響は原子炉毎に異なるこ
とから、個別プラントにおいても解析結果への影響を確認する。
- 69 -
(3) 制御棒飛び出し(区分:Ⅳ)
a. 事故の原因
この事故は、原子炉が臨界又は臨界近傍にあるときに、制御棒駆動系あるいは圧
力ハウジングの破損等により制御棒クラスタ 1 本が炉心外に飛び出し、急激な反応
度の添加と出力分布変化を生ずる事象を想定する。
高温零出力時からの飛び出しは、反応度の添加が 1 ドルを超えるので、反応度投
入事象となる。
b. 解析方法
多次元炉心動特性解析コード TWINKLE により、炉心の平均出力の過渡応答を求
め、燃料棒過渡解析コード FACTRAN により、この平均出力に熱水路係数を乗じた
出力変化に対する熱点での燃料棒内温度上昇等を解析する。また、熱水力計算コー
ド THINC−Ⅲにより炉心における急峻なボイドの生成を求め、このボイドを考慮し
て、プラント過渡特性解析コード MARVEL により原子炉圧力の変化を求める。
コード体系を図 5.1.2-8 に示す。
なお、高温零出力のケースにおいては「発電用軽水型原子炉施設の反応度投入事
象における燃焼の進んだ燃料の取扱いについて」に示される評価手法を適用してい
る。
c. 解析条件及び解析結果
制御棒飛び出しについては、平衡炉心あるいは平衡炉心を基にした評価用炉心の
出力分布を用いて評価を行っているため、運転期間延長により評価結果がわずかに
影響を受ける。しかし、以下の(a)及び(b)に示すとおり、保守性を持たせた評価を実
施していることから、運転期間延長に伴う炉心出力分布の相違による影響は、現行
解析の保守性の範囲内と考えられる。
上記より、個別プラントにおいて確認評価を行う必要はないが、
「表 5.1.1-1 安全
解析に用いる値に対する運転期間延長の影響について」の表中の以下の項目につい
ては、個別プラントにおいても現行評価条件に包絡されることを確認する。
○実効遅発中性子割合
○即発中性子寿命
なお、これらの安全解析に用いる値に変更がある場合は、個別プラントにおいて
- 70 -
も 16 ヶ月炉心に対する評価を行うこととする。
なお、原子炉安全基準専門部会報告書「発電用軽水型原子炉施設の反応度投入事
象における燃焼の進んだ燃料の取扱いについて」(平成 10 年 4 月 13 日原子力安全
委員会了承)に基づく評価を実施していない個別プラントについては、本報告書に
基づく技術評価を行い妥当性を確認する。
(a) 高温全出力の評価について
高温全出力に対する評価においては、取替炉心の変動分も考慮して出力の高い燃
料を多く見積もり破損本数を増やす保守的な評価*を行っているため、出力分布の相
違による評価結果のわずかな差異は、現行手法の保守性に包絡される。
*:各燃料集合体を高出力、平均出力、低出力の 3 領域に分割し、高出力領域
の燃料棒は全て集合体内の最大燃料棒出力と等しいとし、平均出力領域の燃
料棒は全て集合体平均出力とし、低出力領域の燃料棒は集合体平均出力が保
存されるような出力としている。また、最大出力が発生する燃料棒の出力を
安全解析使用値となるまで引き上げる際に、他の燃料についても炉心内出力
分布の形状を保ったまま、同じ比率で引き上げており、出力を大きく引き上
げている。このように、取替炉心の変動を考慮しても保守的な手法となって
いる。
(b) 高温零出力の評価について
高温零出力における燃料棒破損本数割合評価においては、以下の①に示すように
破損本数を大きく評価する評価用炉心を作成している。また、②に示すようにドッ
プラ効果等の取り扱いにも保守性を考慮した評価を行っているため、炉心内出力分
布の相違による評価結果のわずかな差異は、現行手法の保守性に包絡される。これ
らのことから、個別プラントにおいて、影響を確認する必要はない。
① 制御棒飛び出し(高温零出力)の炉心選定について
高温零出力からの飛び出し後出力応答及び燃料過渡応答において、一般に、
飛び出し制御棒近傍に燃焼度が低い燃料が多いと、投入反応度が大となりその
周辺の燃料でエンタルピが大きくなるが、一方ペレット/被覆管機械的相互作
用(PCMI)による破損しきい値は燃焼とともに低下することから、PCMI 破
損量(並びに、PCMI 破損及び浸水燃料破裂に伴う機械的エネルギ)の評価は
- 71 -
炉心の燃焼度分布及び出力分布の影響を受け、これらはまた燃料装荷パターン
に影響される。このため燃料破損量については、飛び出し制御棒価値が大きく、
かつ燃焼の進んだ燃料のエンタルピが大となる「評価用炉心」を、平衡炉心の
燃料を仮想的に移動した多様なパターンの中から設定して評価を行っている。
さらにサイクル末期(EOC)の評価では、炉心評価による最大燃焼度を制限燃
焼度まで引き伸ばすことで、燃焼度の観点でも保守的となるよう考慮している。
② 制御棒飛び出し(高温零出力)のドップラ効果、遅発中性子割合(β)の取
り扱いについて
「制御棒飛び出し」解析で用いられる多次元炉心動特性コード TWINKLE
においては、別途核設計コードで算出されるドップラ効果を基に設定している。
ドップラ効果については、不確定性 10%を考慮した上で、さらに 10%の安全
余裕を考慮した保守的な取り扱いをしている。
また、βについては、核設計コードの評価結果に対して不確定性 6%を考慮
した上で、さらに 10%程度の安全余裕を持った値を固定値として用いている
(「表 5.1.1-1
安全解析に用いる値に対する運転期間延長の影響について」参
照)。
「発電用軽水型原子炉施設の反応度投入事象に関する評価指針」に記載され
ているそれぞれの感度として、ドップラ係数は 5%増加した場合に 4%のエン
タルピ低下、βを 5%増加した場合に 3%のエンタルピ低下との結果が示され
ているが、ドップラ効果、βに関する安全余裕はそれぞれ 10%であることから、
エンタルピとして 14%程度の余裕となり、保守性を持っている。
なお、参考として、現行安全評価と同様の手法を用いて 16 ヶ月炉心に対し
て評価した結果を以下に示す。
・事象の過程:図 5.1.2-9
・主要事象クロノロジ:表 5.1.2-5
- 72 -
・解析条件及び解析結果:表 5.1.2-6∼表 5.1.2-7 及び図 5.1.2-10∼図 5.1.2-14
表 5.1.2-6∼表 5.1.2-7 に示す解析条件に変更はないが、炉心内出力分布を用い
た解析を行っていることから、16 ヶ月炉心を対象に評価結果への影響を確認した
結果、燃料エンタルピ、燃料棒破損本数割合ともに現行炉心評価結果と同等の結
果となり、評価結果への影響が軽微であることを確認した。
- 73 -
(4) その他の事象(区分:Ⅳ)
「5.1.1 (2)解析条件」で確認したとおり、
「2 次冷却系の異常な減圧」
、
「主蒸気管
破断」及び「制御棒飛び出し」以外の事象については、解析条件の変更は不要であ
り、運転期間延長の影響はない。
個別プラントにおいては、
「表 5.1.1-1 安全解析に用いる値に対する運転期間延長
の影響について」に記載のパラメータの確認を行い、個別プラントにおいても現行
評価条件に包絡されることを確認する。なお、解析条件が変更となった場合は、当
該パラメータが関係する事象の評価を行い、運転期間延長の影響を確認する。
また、原子炉安全基準専門部会報告書「発電用軽水型原子炉施設の反応度投入事
象における燃焼の進んだ燃料の取扱いについて」(平成 10 年 4 月 13 日原子力安全
委員会了承)に基づく評価を実施していない個別プラントは、「原子炉起動時にお
ける制御棒の異常な引き抜き」について本報告書に対する妥当性を確認する。
なお、
「原子炉冷却材中のほう素の異常な希釈」
(出力運転時)で用いる初期ほう
素濃度については、運転期間延長に伴いほう素濃度評価値が上昇し、評価値が安全
解析に用いる値に近づいていることから、取替炉心毎に評価を行い、安全解析に用
いる値以下となっていることを確認することとする。
- 74 -
表 5.1.1-1
項
目
単位
安全解析に用いる値に対する運転期間延長の影響について(1/2)
安全解析
に用いる値
トリップ時の制御棒クラスタ挿
入による反応度添加曲線
図 5.1.1-1 参照
51
32.5
32.8
+2.1
0
3.6
2.1
−***
10-5(Δ
-19.4
-13.0
-13.1
-6.0
-7.3
-7.4
±10%
(相対値)
0.75
0.61
0.63
0.48
0.54
0.56
最小値
(EOC)
0.44
0.49
0.49
最大値
20
13.5
13.0
最小値
最大値
最小値
k/k)/%
出力
- 75 -
最大値
(BOC)
実効遅発中性子
割合(,eff)
16 ヶ月炉心*
不確定性**
(平衡炉心)
% k/k/
(g/cc)
最大値
減速材密度係数
ドップラ出力係数
(図 5.1.1-2 参照)
現行炉心*
(平衡炉心)
最小値
(BOC)
%
µs
即発中性子寿命
最小値
9
10.1
9.8
±6%
(相対値)
±10%
(相対値)
説明
16 ヶ月炉心は現行炉心と軸方向出力分布が異なるため、
反応度添加曲線は異なるが、安全解析に用いる反応度添
加曲線は保守的な設定となっており、運転期間延長に伴
い変更はない。
16 ヶ月炉心では、余剰反応度が増加しサイクル初期のほ
う素濃度が増加する傾向にあるため、サイクル初期の評価
値である最小値は若干小さくなっているが、安全解析に用
いる値は保守的な設定となっており、変更は必要ない。
燃料装荷パターンによる変動が小さいパラメータであること
から、現行炉心と 16 ヶ月炉心で同程度の評価結果となっ
ており、安全解析に用いる値の変更は必要ない。
燃料装荷パターンによる変動が小さいパラメータであること
から、現行炉心と 16 ヶ月炉心で同程度の評価結果となっ
ており、安全解析に用いる値の変更は必要ない。
なお、燃焼に伴い ,eff が小さいプルトニウムが生成されて
いくため、炉心平均燃焼度(下表)が大きくなると ,eff は小
さくなる方向となる。最大値はBOCの評価値であり、16 ヶ
月炉心の方が炉心平均燃焼度が小さいため、わずかに
,eff が大きい傾向を示している。最小値はEOCの評価値
であるが、炉心平均燃焼度に大きな違いはなく、ほぼ同等
の評価結果となっている。
現行炉心 16 ヶ月炉心
炉心平均燃焼度 単位
(平衡炉心) (平衡炉心)
サイクル初期
GWd/t
17.6
16.1
サイクル末期
GWd/t
33.2
34.4
燃料装荷パターンによる変動が小さいパラメータであること
から、現行炉心と 16 ヶ月炉心で同程度の評価結果となっ
ており、安全解析に用いる値の変更は必要ない。
なお、即発中性子寿命は中性子吸収物質が増加すると小
さくなる方向となるため、16 ヶ月炉心では初期ほう素濃度
が高いこと等により、わずかに小さくなる方向となっている。
*:表中の評価値(現行炉心及び 16 ヵ月炉心)は不確定性を含む。
**:計算コードの誤差として、不確定性を設定している。
***:原子炉起動時に減速材温度係数の実測値が負であることを確認するため不確定性を見込まない。
表 5.1.1-1
項
目
安全解析に用いる値に対する運転期間延長の影響について(2/2)
単位
安全解析
に用いる値
現行炉心*
(平衡炉心)
16 ヶ月炉心*
不確定性**
(平衡炉心)
原子炉起動時における制御棒
の異常な引き抜き FQ
−
5.4
3.04
3.70
+5%
(相対値)
制御棒不整
合
F
−
1.87
1.62
1.67
+10%
(相対値)
プラント起動
時希釈
低 温臨 界ほ う
素濃度
ppm
2,000
1,668
1,829
+100
初 期ほ う素濃
度
ppm
2,100
1,701
2,034
+50
ほう素価値
10-5( k/k)
/ppm
-10
-6.6
-6.4
+6%
(相対値)
減速材密度反応
度 欠 損 (@0ppm
、0.85g/cm3)
(図 5.1.1-3 参照)
%Δk/k
3.49
3.07
3.08
+10%
(相対値)
10-5( k/k)
/ppm
-7.6
-7.9
-8.0
-10%
(相対値)
%Δk/k
-0.94
-1.36
-1.49
-10%
(相対値)
10-5( k/k)
/ppm
-16
-8.0
-8.0
+6%
(相対値)
出力運転時
希釈
N
H
- 76 -
2 次冷却系
ほう素価値
の異常な減
(@100ppm、
圧/主蒸
0.85g/cm3)
気管破断
ドップラ出力欠
損(@20%)
(図 5.1.1-4 参照)
出力運転中
の非常用炉
心冷却系の
誤起動
出力運転時ほ
う素価値
*:表中の評価値(現行炉心及び 16 ヵ月炉心)は不確定性を含む。
**:計算コードの誤差として、不確定性を設定している。
説明
燃料装荷パターンに依存するパラメータであるが、
安全解析に用いる値は取替炉心毎の変動分も含め
て保守的に設定されており、16 ヶ月炉心での評価
値に対しても余裕を有しており変更は必要ない。
同上
16 ヶ月炉心では、余剰反応度が増加するのでサイ
クル初期のほう素濃度も増加する傾向にあり、その
ため、ほう素価値の絶対値も小さくなる傾向にある
が、評価結果は安全解析に用いる値以下となって
おり変更は必要ない。
なお、出力運転時の初期ほう素濃度については、
評価値が安全解析に用いる値に近づいていること
から、取替炉心毎に評価を行い、安全解析に用い
る値以下となっていることを確認することとする。
燃料装荷パターンによる変動が小さいパラメータで
あり、EOC の評価値であることから、現行炉心と 16
ヶ月炉心で同程度の評価結果となっており、安全解
析に用いる値の変更は必要ない。
燃料装荷パターンによる変動が小さいパラメータで
あり、EOC の評価値であることから、現行炉心と 16
ヶ月炉心で同程度の評価結果となっており、安
全解析に用いる値の変更は必要ない。
16 ヶ月炉心では、F HNが大きくなったことに伴
い、ドップラ出力欠損が大きくなる方向となる。
安全解析に用いる値は小さい値を設定している
ため、変更は必要ない。
燃料装荷パターンによる変動が小さいパラメータで
あり、EOC の評価値であることから、現行炉心と 16
ヶ月炉心で同程度の評価結果となっており、安
全解析に用いる値の変更は必要ない。
表 5.1.1-2
項
目
炉心平均評価用崩壊熱
(原子炉冷却材喪失(格
納容器内圧評価)
)
- 77 炉心高温点評価用崩壊熱
減速材密度係数
(原子炉冷却材喪失)
K(Z)カーブ
(原子炉冷却材喪失)
安全解析に用いる値のうち運転期間延長の影響を受けないものについて
説明
図 5.1.1-5 参照
包絡的な評価条件で評価しているため、運転期間延長の影響を受けない。
安全解析に用いる値は、最高燃焼度 55GWd/t とした均等 3 バッチの崩壊熱に対し構造材発熱及び余裕として 5%を
考慮して設定している。このように均等 3 バッチの崩壊熱を基にしているのは、平衡炉心のバッチ数から定めたもの
ではなく、直接的に崩壊熱に影響する炉心平均燃焼度を高く見積もるための一つの手法として採用しているものであ
る。16 ヶ月炉心においては、平衡炉心の平均燃焼度(34.4 GWd/t)が、上記手法より求めた炉心平均燃焼度(36.7GWd/t)
を下回っている。なお、3サイクル目燃料の最高燃焼度を 55GWd/t とし更にその体数を多くする条件で算出された現
行の安全解析に用いる値は保守的であり、炉心のばらつきを考慮しても適用できるものである。
・現行評価条件(1/3 燃料体数取替で全てが 55GWd/t に至ると仮定)
1/3 取替評価条件
体数
燃焼度
3 サイクル目
64.3 体
55.0GWd/t
2 サイクル目
64.3 体
36.7GWd/t
1 サイクル目
64.3 体
18.3GWd/t
平均燃焼度
−
36.7GWd/t
・16 ヶ月炉心評価条件
体数
燃焼度(平衡炉心)
3 サイクル目
49 体
52.8GWd/t
2 サイクル目
72 体
38.2GWd/t
1 サイクル目
72 体
18.0GWd/t
平均燃焼度
−
34.4GWd/t
運転時の異常な過渡変化と事故の各事象では、原子炉冷却材喪失(格納容器内圧評価)を除き、ペレット燃焼度制限
値 71GWd/t までを考慮して設定した高温点評価用崩壊熱を入力条件としており、また、運転期間延長にあたっても燃
料集合体最高燃焼度に変更はないため、解析入力条件変更は不要であり解析結果は影響を受けない。
図 5.1.1-6 参照
評価条件として、保守的に通常運転時に減速材密度係数を 0 とし、全炉心新燃料との仮想的な条件で評価しているた
め、運転期間延長の影響を受けない。
保安規定に基づき、K(Z)を満足するように FQ(Z)を管理する。
表 5.1.1-3
炉心内の反応度又
は出力分布の異常
な変化
- 78 -
炉心内の熱発生又
は熱除去の異常な
変化
原子炉冷却材圧力
又は原子炉冷却材
保有量の異常な変
化
運転時の異常な過渡変化に対する運転期間延長の影響について
事象
説明
原子炉起動時における制御棒 「表 5.1.1-1 安全解析に用いる値に対する運転期間延長の影響について」にて
の異常な引き抜き
現行評価条件に包絡されることを確認。
出力運転中の制御棒の異常な 同上
引き抜き
制御棒の落下及び不整合
同上
原子炉冷却材中のほう素の異 同上
常な希釈
(出力運転時初期ほう素濃度については、運転期間延長に伴いほう素濃度評価
値が上昇し、評価値が安全解析に用いる値に近づいていることから、取替炉心
毎に評価を行い、安全解析に用いる値以下となっていることを確認することと
する。
)
原子炉冷却材流量の部分喪失 同上
原子炉冷却材系の停止ループ 同上
の誤起動
外部電源喪失
「原子炉冷却材流量の喪失」及び「主給水流量喪失」事象に包絡される。
主給水流量喪失
「表 5.1.1-1 安全解析に用いる値に対する運転期間延長の影響について」にて
現行評価条件に包絡されることを確認。
蒸気負荷の異常な増加
同上
事象発生後の出力分布が歪んだ状態の炉心に基づき入力条件を設定しているこ
2 次冷却系の異常な減圧
とから、16 ヶ月炉心を対象に評価結果への影響を確認。
蒸気発生器への過剰給水
「表 5.1.1-1 安全解析に用いる値に対する運転期間延長の影響について」にて
現行評価条件に包絡されることを確認。
負荷の喪失
同上
原子炉冷却材系の異常な減圧 同上
出力運転中の非常用炉心冷却 同上
系の誤起動
表 5.1.1-4
原子炉冷却材の喪
失又は炉心冷却状
態の著しい変化
反応度の異常な投
入又は原子炉出力
の急激な変化
環境への放射性物
質の異常な放出
- 79 原子炉格納容器内
圧力、雰囲気等の
異常な変化
事象
原子炉冷却材喪失
原子炉冷却材流量の喪失
原子炉冷却材ポンプの軸固着
主給水管破断
主蒸気管破断
制御棒飛び出し
事故に対する運転期間延長の影響について
説明
「表 5.1.1-1 安全解析に用いる値に対する運転期間延長の影響について」にて
現行評価条件に包絡されることを確認。
同上
同上
同上
事象発生後の出力分布が歪んだ状態の炉心に基づき入力条件を設定しているこ
とから、16 ヶ月炉心を対象に評価結果への影響を確認。
「表 5.1.1-1 安全解析に用いる値に対する運転期間延長の影響について」にて
現行評価条件に包絡されることを確認。
放射性気体廃棄物処理施設の 「5.2 事故時被ばく評価」にて線量評価の入力条件となる冷却材中放射能濃度
破損
が変化しないことを確認。
蒸気発生器伝熱管破損
「表 5.1.1-1 安全解析に用いる値に対する運転期間延長の影響について」にて
現行評価条件に包絡されることを確認。
「5.2 事故時被ばく評価」にて線量評価の入力条件となる炉心内蓄積量及び冷
却材中放射能濃度が変化しないことを確認。
燃料集合体の落下
「5.2 事故時被ばく評価」にて線量評価の入力条件となる炉心内蓄積量が変化
しないことを確認。
原子炉冷却材喪失
同上
制御棒飛び出し
同上
原子炉冷却材喪失
「表 5.1.1-1 安全解析に用いる値に対する運転期間延長の影響について」にて
現行評価条件に包絡されることを確認。
可燃性ガスの発生
「5.2 事故時被ばく評価」にて評価の入力条件となる炉心内蓄積量が変化しな
いことを確認。
表 5.1.1-5
重大事故
事象
原子炉冷却材喪失
蒸気発生器伝熱管破損
仮想事故
原子炉冷却材喪失
蒸気発生器伝熱管破損
重大事故及び仮想事故に対する運転期間延長の影響について
説明
「5.2 事故時被ばく評価」にて線量評価の入力条件となる炉心内蓄積量が変化
しないことを確認。
「5.2 事故時被ばく評価」にて線量評価の入力条件となる炉心内蓄積量及び冷
却材中放射能濃度が変化しないことを確認。
「5.2 事故時被ばく評価」にて線量評価の入力条件となる炉心内蓄積量が変化
しないことを確認。
「5.2 事故時被ばく評価」にて線量評価の入力条件となる炉心内蓄積量及び冷
却材中放射能濃度が変化しないことを確認。
- 80 -
表 5.1.2-1
「2 次冷却系の異常な減圧」の主要事象クロノロジ
時刻(秒)
0
約 159
事
象
2 次冷却系の弁の誤開放
「原子炉圧力低」信号による
非常用炉心冷却設備作動限界値到達
約 174
非常用炉心冷却設備作動
約 204
臨界到達
約 292
ほう酸水が 1 次冷却材低温側配管に到達
約 293
熱流束最大、DNBR 最小
約 801
破損側蒸気発生器への補助給水ポンプ出口弁閉止
臨界未満達成
1,200
計算終了
*:MARVEL に入力する減速材密度欠損等のプラント過渡に影響する核パラメー
タは、運転期間延長の影響を評価した結果、安全解析に用いる値に変更がなか
ったことから、MARVEL の出力であるクロノロジに変更はない。
- 81 -
表 5.1.2-2
「2 次冷却系の異常な減圧」の解析条件及び解析結果
2 次冷却系の異常な減圧
解析件名
項
目
外
使用値等
乱
条
件
(蒸気の放出量)t/h
選
定 理
由
440
2 次冷却系の弁のうち最大容量を上回る値
減速材密度反応度欠損
図 5.1.1-3
冷却による反応度添加量を最大にする。
ド ッ プ ラ 出 力 係 数
(Δk/k)/%出力
図 5.1.1-4
出力上昇による反応度帰還量を最小にする
解 原
子
炉
出
力
%
高温停止状態
1 次冷却材平均温度℃
原
析
子
炉
圧
MPa[gage]
力
条 ほ う 素 濃 度 ppm
燃料取替用水ピット
ほ
う
素
価
値
件
10-5(Δk/k)/ppm
単
一
291.7
高温停止時の値
15.41
定格値
炉心の安全性確認項目における安全解析使
用値
1.6
反応度停止余裕 %Δk/k
冷却効果が最大となり反応度添加量を最大
にする
2,800
設計条件
-7.6
( 減 速 材 密 度 ほう素による負の反応度添加を最小にする
0.85g/cm2、ほう素濃度
100ppm における値)
障 高圧注入ポンプ 1 台 ほう酸水の添加に対し最も厳しい
故
熱 流 束 最 大 時 F ΔHN
左記は ANC 解析結果を基にした THINC−
8.40(現行炉心)
(取替炉心の変動分を考
Ⅲ入力値。解析に用いた炉心における制御棒
10.09(16 ヶ月炉心)
慮した余裕含む)
固着位置、FΔHN 発生位置は図 5.1.2-3 参照。
結
解
最
小
燃
料
D
中
N
B
心
温
析
結
果
原
子
炉
圧
MPa[gage]
その他
R
果
約 3.2(現行炉心)
判
定
≧1.30(W-3 相関式)
約 2.6(16 ヶ月炉心)
熱流束は最大で約 7%にとどまるので、燃料中心温度は溶融点未満
である
ほう酸水が注入され続けたとしても、高圧注
入ポンプの締切圧力を加圧器逃がし弁の設
力
過度に上昇しない
定圧力以下に設計するため、原子炉圧力は過
度に上昇することはなく、原子炉冷却材圧力
バウンダリの健全性が問題となることはない。
非常用炉心冷却設備が作動して、ほう酸水が炉心に到達し、非常用
炉心冷却設備作動信号発信から 10 分後の時点で補助給水を停止す
る操作を行うことにより、原子炉は臨界未満となり、過渡変化は安
全に終止する。
度
- 82 -
表 5.1.2-3
「主蒸気管破断」の主要事象クロノロジ
①ケースA:外部電源あり
時刻(秒)
0
事
象
主蒸気管破断発生
約2
「主蒸気ライン圧力低」信号非常用炉心冷却設備作動
限界値到達
約 10
主蒸気隔離弁閉
約 17
非常用炉心冷却設備作動
臨界到達
約 120
ほう酸水が 1 次冷却材低温側配管に到達
約 644
運転員の手動操作による破断側蒸気発生器への補助
給水ポンプ出口弁閉止
臨界未満達成
1,200
計算終了
②ケースB:外部電源なし
時刻(秒)
0
事
象
主蒸気管破断発生
約2
「主蒸気ライン圧力低」信号非常用炉心冷却設備作動
限界値到達
約 10
主蒸気隔離弁閉
約 22
臨界到達
約 29
非常用炉心冷却設備作動
約 132
ほう酸水が 1 次冷却材低温側配管に到達
約 644
運転員の手動操作による破断側蒸気発生器への補助
給水ポンプ出口弁閉止
約 2,090
3,600
臨界未満達成
計算終了
*:MARVEL に入力する減速材密度欠損等のプラント過渡に影響する核パラメー
タは、運転期間延長の影響を評価した結果、安全解析に用いる値に変更がなかっ
たことから、MARVEL の出力であるクロノロジに変更はない。
- 83 -
表 5.1.2-4
「主蒸気管破断」の解析条件及び解析結果
①外部電源有り、②外部電源なし
主
解析件名
項
目
気
管
使用値等
事
原
蒸
故
子
条
炉
出
力
破
選
件
主蒸気管両端破断
指針どおり
%
高 温 停 止
指針どおり
断
定 理 由
解
減速材密度反応度欠損
図 5.1.1-3
冷却による反応度添加量を最大にする
ド ッ プ ラ 出 力 欠 損
ppm
ほ う 素 濃 度
燃料取替用水ピット
図 5.1.1-4
出力上昇による反応度帰還量を最小にする
析 条 件
ほ
う
素
価
10-5(Δk/k)/ppm
単
一
故
2,800
設計条件
-7.6
値 (減速材密度 0.85g/cm2、
ほう素による負の反応度添加を最小にする
ほう素濃度 100ppm にお
ける値)
障
高圧注入ポンプ 1 台
反応度停止余裕 %Δk/k
1.6
運 転 員 操 作 時 間
熱 流 束 最 大 時 F ΔHN
(取替炉心の変動分を考
慮した余裕含む)
事故検知後10分
7.79(現行炉心)
9.00(16 ヶ月炉心)
結
果
ほう酸水の添加に対し最も厳しい
炉心の安全性確認項目における安全解析使
用値
事故検知後 10 分で運転員操作を開始する
左記はANC 解析結果を基にしたTHINC−Ⅲ
入力値。解析に用いた炉心における制御棒固
着位置、FΔHN 発生位置は図 5.1.2-3 参照。
判
定
炉心は著しい損傷に至ることなく、かつ、十分な冷却が可能であること。
①約 1.55(現行炉心)注1
≧1.30(W-3 相関式)
( 最 小 D N B R ) ①約 1.32(16 ヶ月炉心)
非常用炉心冷却設備の作動でほう酸水が炉心に注入され、原子炉出力は低下
( 臨 界 未 満 達 成 )
し、補助給水の停止に伴って、臨界未満になる。
原子炉圧力は過度に上昇することはなく、原子
原
子
炉
圧
力 過度に上昇しない注2 炉冷却材圧力バウンダリの健全性が問題となる
ことはない。
臨界状態が継続する間に事象が進展しないためのめやすを満足
炉心冷却能力
解
析 結 果
1.55(現行炉心)注1
臨 界 継 続 中 の 事 象 進 展 ①約
≧1.30(W-3 相関式)
①約 1.32(16 ヶ月炉心)
( 最 小 D N B R )
最大熱流束は定格出力の約 20%と小さいため、燃料中心温度は十分溶
( 燃 料 中 心 温 度 ) 融点未満である。
原子炉圧力は過度に上昇することはなく、原子
( 原 子 炉 圧 力 )
過度に上昇しない注2 炉冷却材圧力バウンダリの健全性が問題となる
ことはない。
* 臨界継続中に他の異常状態が重畳する可能性は十分小さい。
注1)外部電源がある場合の方が 1 次冷却材流量が維持され炉心がより冷却されるので、厳しい仮定となる。
注2)ほう酸水が注入され続けたとしても、高圧注入ポンプの締切圧力を加圧器逃がし弁の設定圧
力以下に設計するために、原子炉圧力が過度に上昇することはない。
- 84 -
表5.1.2-5
「制御棒飛び出し」の主要事象クロノロジ
(1) 高温全出力(サイクル初期及び末期)
時刻(秒)
0
事
象
制御棒飛び出し
約 0.05
サイクル末期 「出力領域中性子束高(高設定)」信号
トリップ限界値到達
約 0.06
サイクル初期 「出力領域中性子束高(高設定)」信号
トリップ限界値到達
約 0.6
サイクル初期及びサイクル末期
原子炉トリップ、制御棒クラスタ落下開始
5
計算終了
(2) 高温零出力(サイクル初期及び末期)
時刻(秒)
0
事
象
制御棒飛び出し
約 0.12
サイクル末期 「出力領域中性子束高(低設定)」信号
トリップ限界値到達
約 0.19
約 0.6
サイクル初期 「出力領域中性子束高(低設定)」信号
トリップ限界値到達
サイクル末期 原子炉トリップ、制御棒クラスタ落下開始
約 0.7
サイクル初期
原子炉トリップ、制御棒クラスタ落下開始
約 1.3(現行炉心)
サイクル末期
→約 1.2(16 ヶ月炉心)
燃料エンタルピ最大
約 2.0(現行炉心)
サイクル初期
→約 1.9(16 ヶ月炉心)
燃料エンタルピ最大
5
計算終了
*:「制御棒飛び出し」では炉心内出力分布を用いた解析を行っているため、経時変
化にわずかに影響がある。なお、高温全出力については、上表記載値の範囲で差
異はなかった。
- 85 -
表 5.1.2-6
「制御棒飛び出し(高温全出力)」の解析条件及び解析結果
①サイクル初期、②サイクル末期
制 御 棒 飛 び 出 し ( 高温全出力 )
解析件名
項
目
使用値等
選 定 理 由
0.12
炉心の安全性確認項目における安全解析
使用値
102
DNBR解析は 100%
事
故
条
件
( 反 応 度 添 加 量 )
%Δk/k
解 原
子
炉
出
力
%
1 次冷却材平均温度℃
析
原
子
炉
圧
力
MPa[gage]
中
性
子
寿
一
故
命
子
炉
障
圧
力
上
安全保護系の単一故障を想定するが多重
−
構成としているので機能喪失なし
果
①約 16.3
判
定
原子炉圧力は過度に上昇することはなく、原
子炉冷却材圧力バウンダリの健全性が問題と
なることはない。
①約 9(現行炉心)注1
結
そ
果
同
②約 16.9
MPa[gage]
析
最小値
9
結
解 原
使用値
②0.44
μsec
単
炉心の安全性確認項目における安全解析
①0.48
実効遅発中性子割合%
発
圧力解析は 15.62
5.0
熱水路係数 FQ
件 即
DNBR解析は 15.41
15.20
制御棒飛び出し直後の
条
DNBR解析は 307.1℃
309.3
の
他 ①約 9(16 ヶ月炉心)
16 ヶ月炉心を対象に評価した結果、現行
評価と差異はなかった。
( D N B 破 損 本 数 割 合 % ) ②約 3(現行炉心)
②約 3(16 ヶ月炉心)
注1)線量評価に使用する。
- 86 -
表 5.1.2-7
「制御棒飛び出し(高温零出力)」の解析条件及び解析結果
①サイクル初期、②サイクル末期
制 御 棒 飛 び 出 し ( 高温零出力 )
解析件名
項
目
使用値等
事
故
条
件
(反応度添加量)
%Δk/k
原 子 炉 出 力 %
①0.66
②0.87
−
293.9
−
原
子 炉 圧 力
MPa[gage]
制御棒飛び出し直後の
条
熱水路係数 FQ
件 実効遅発中性子割合%
析
結
果
15.20
圧力解析は 15.62
①15
②25
①0.48
②0.44
炉心の安全性確認項目における安全解析
使用値
最小値
即 発 中 性 子 寿 命
μsec
9
同
単
−
安全保護系の単一故障を想定するが多重
構成としているので機能喪失なし
一
故
障
結
解
由
炉心の安全性確認項目における安全解析
使用値
定格出力の 10-7
解 1 次冷却材平均温度℃
析
選 定 理
果
上
判
定
①約 282(現行炉心)
燃 料 エ ン タ ル ピ
①約 275(16 ヶ月炉心)
の
最
大
値
≦791
②約 358(現行炉心)
kJ/kg・UO2
②約 339(16 ヶ月炉心)
原子炉圧力は過度に上昇することはなく、原
原 子 炉 圧 力 ①約 16.0
子炉冷却材圧力バウンダリの健全性が問題と
MPa[gage]
②約 16.0
なることはない。
PCMI 破損及び浸水燃 ①0(現行炉心)
原子炉容器の吸収可能な歪エネルギ
料の破裂によって発生 ①0(16 ヶ月炉心)
(9.4×103)を下回る。
する衝撃圧力の持つ機 ②約 11(現行炉心)
kJ
②約 12(16 ヶ月炉心)
械的エネルギ
① 0(現行炉心)
① 0(16 ヶ月炉心)
−
PCMI 破損本数割合%
② 0(現行炉心)
② 0(16 ヶ月炉心)
- 87 -
16ヶ月平衡炉心
16
ヶ月炉心(平衡炉心)
現行炉心
(平衡炉心)
平衡炉心(現行)
1.0
1.0
安全解析に用いる値
安全解析使用値
0.9
0.9
サイクル初期
安全解析に用いる値
安全解析使用値
サイクル初期
0.8
0.8
0.7
0.7
添加反応度(全反応度に対する割合)
- 88 -
添加反応度(全反応度に対する割合)
サイクル末期
0.6
0.5
0.4
サイクル末期
0.6
0.5
0.4
0.3
0.3
0.2
0.2
0.1
0.1
0.0
0.0
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
制御棒挿入割合
図 5.1.1-1
0.7
0.8
0.9
1.0
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
制御棒挿入割合
トリップ時の制御棒クラスタ挿入による反応度添加曲線
0.7
0.8
0.9
1.0
-25
サイクル初期
平衡炉心(現行)
現行炉心(平衡炉心)
サイクル初期
現行炉心(平衡炉心)
サイクル末期
平衡炉心(現行)
サイクル末期
16 ヶ月炉心(平衡炉心)
サイクル初期
16ヶ月平衡炉心
サイクル初期
16 ヶ月炉心(平衡炉心)
サイクル末期
16ヶ月平衡炉心
サイクル末期
ドップラ出力係数(10-5Δk/k/%出力)
-20
安全解析に用いる値
安全
解析使 用値 上 限 上限
-15
サイクル初期
-10
サイクル末期
安
全解析 使用 値 下限 下限
安全解析に用いる値
-5
0
20
40
60
出力(%)
図 5.1.1-2
ドップラ出力係数
- 89 -
80
100
4
安全解析に用いる値
安全解析使用値
16ヶ月炉心(平衡炉心)サイクル末期
現行炉心(平衡炉心)サイクル末期
3
減
速
材
密
度
反
応
度
欠
損
2
(%Δk/k)
1
0
0.70
0.75
0.80
3
減速材密度 (g/cm )
図5.1.1-3
2次冷却系の異常な減圧及び主蒸気管破断の
解析に使用した減速材密度反応度欠損
- 90 -
0.85
-3.0
安全解析に用いる値
安全解析使用値
16ヶ月炉心(平衡炉心)サイクル末期
現行炉心(平衡炉心)サイクル末期
ッ
ド
-2.0
プ
ラ
出
力
欠
損
-1.0
(%Δk/k)
0.0
0
10
20
出力
図5.1.1-4
(%)
2次冷却系の異常な減圧及び主蒸気管破断の
解析に使用したドップラ出力欠損
- 91 -
30
1.0E-01
安全解析に用いる値
安全解析に用いる値
16ヶ月炉心(平衡炉心)
16 ヶ月炉心、1/3
1/3炉心取替(1/3炉心分を55GWd/t引き上げ)
崩壊熱(定格出力比)
炉心取替評価値
1.0E-02
1.0E-03
1.0E+00
図 5.1.1-5
1.0E+01
1.0E+02
1.0E+03
1.0E+04
冷却時間 [秒]
1.0E+05
1.0E+06
1.0E+07
炉心平均評価用崩壊熱曲線(原子炉冷却材喪失(格納容器内圧評価)用)
- 92 -
ステップ 2 燃料炉心 安全解析に用いる値
ステップ 2 燃料炉心 評価値
図 5.1.1-6
「原子炉冷却材喪失」評価用減速材密度係数
- 93 -
炉心データ
外
乱
MARVEL
プラント定数
ANC
冷却材温度
炉心出力分布
冷却材流量
炉心データ
の計算
プラント、熱系
初 期 条 件
原子炉出力
原子炉圧力
及 び 核 系 の
出力分布
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン
補助給水系データ
THINC−Ⅲ
非常用炉心
冷却設備データ
炉 心 熱 水 力
熱流束
シ ミ ュレ ーシ ョン
炉心データ
蒸
反
気 流
応 度
量
図 5.1.2-1
「2 次冷却系の異常な減圧」のコード体系
- 94 -
DNBR
タービンバイパス弁又は主蒸気逃がし弁の全開(高温停止状態)
主蒸気の放出
蒸気発生器圧力低下
炉心に冷水導入
反応度添加
反応度停止余裕の減少
原 子 炉 圧 力
加圧器水位低下
原子炉圧力低による非常
用炉心冷却設備作動
臨界・出力上昇
高圧注入系作動
炉心へほう酸水注入
出力低下
運転員操作により補助給水停止
未臨界
最小 DNBR≧1.30(W-3 相関式)
燃料中心温度<溶融点
原子炉冷却材圧力バウンダリにかかる圧力≦最高使用圧力の 1.1 倍
図 5.1.2-2
「2 次冷却系の異常な減圧」の事象過程
- 95 -
現行炉心(平衡炉心)
R P
N
M
1
2
16ヶ月炉心(平衡炉心)
L K
0 1
J
0
H
0
G F
0 1
E
0
D
C
B A
R P
N
M
L K
0 0
J
0
1
2
H
0
G
0
F E
0 0
D
C
B A
0
1
2 0
3
2
3 0
2
1
0
0
0
1 1
2
2
2
1 1
0
0
3
0
2
0
1 2
0
2
0 2
1
0
2
0
3
0
1
2
0 1
0
1
0
1 0
2
1
0
4
1
0
1
2 1
1
1
1 1
2
1
0
1
4
0
2
0
2 1
1
1
1
1 2
0
2
0
5 0 2
1
2
0 2
1
2
1 2
0
2
1
2 0
5 0 1
0
2
1 2
1
2
1
2 1
2
0
1 0
6 1 0
2
1
2 2
2
0
2 2
2
1
2
0 1
6 0 1
1
1
2 0
1
0
1
0 2
1
1
1 0
2 0
7 0 3
0
1
1 2
3
1
3 2
1
1
0
3 0
7 0 2
0
1
1 1
2
2
2
1 1
1
0
8 0 2
2
1
2 0
1
3
1 0
2
1
2
2 0
8 0 2
1
1
2 0
2
2
2
0 2
1
1
2 0
9 0 3
0
1
1 2
3
1
3 2
1
1
0
3 0
9 0 2
0
1
1 1
2
2
2
1 1
1
0
2 0
10 1 0
2
1
2 2
2
0
2 2
2
1
2
0 1
10 0 1
1
1
2 0
1
0
1
0 2
1
1
1 0
11 0 2
1
2
0 2
1
2
1 2
0
2
1
2 0
11 0 1
0
2
1 2
1
2
1
2 1
2
0
1 0
12
1
0
1
2 1
1
1
1 1
2
1
0
1
12
0
2
0
2 1
1
1
1
1 2
0
2
0
13
0
2
0
1 2
0
2
0 2
1
0
2
0
13
0
1
2
0 1
0
1
0
1 0
2
1
0
0
1
2 0
3
2
3 0
2
1
0
14
0
0
1 1
2
2
2
1 1
0
0
0 1
0
0
0 1
0 ・・照射回数
15
0 0
0
0
0
0 0 ・・照射回数
14
15
新燃料
0 新燃料
: 60 体
制御棒挿入位置
新燃料
0 新燃料
: 72 体
制御棒挿入位置
1 回照射燃料
1 1回照射燃料
: 60 体
固着制御棒位置
1 1回照射燃料
1 回照射燃料
: 72 体
固着制御棒位置
2 回以上照射燃料 : 73 体
2 2回以上照射燃料
FΔHN発生位置
2 回以上照射燃料 : 49 体
2 2回以上照射燃料
FΔHN発生位置
図 5.1.2-3
「2 次冷却系の異常な減圧」及び「主蒸気管破断」時の炉心状態
一般的に 16 ヶ月炉心では新燃料装荷体数が現行炉心に比べて多くなることから、
停止余裕確保のために制御棒位置にガドリニア入り新燃料を多数装荷している。平
衡炉心においても上図のとおり、固着位置になりやすい位置(K6 及びそれに対称な
位置)にもガドリニア入り新燃料が装荷されている。また、制御棒を 1 本固着させ
るとその位置あるいは周辺でFNΔHが発生する可能性が高いが、16 ヶ月炉心ではガド
リニア入り新燃料が装荷されている K6 が固着位置となり、さらにその周辺にも反
応度の高い 1 回照射燃料が 5 体装荷されていることから、FNΔHは K6 に発生し、そ
の値も高くなっている(通常運転時サイクル末期のFNΔHもこの位置に発生している)。
一方、現行炉心では、同じ位置 K6 が固着制御棒位置であるものの 2 回照射燃料
であるため、その近くのより反応度の高いガドリニア入り新燃料 L5 にFNΔHが発生し
ている。この L5 は隣に 2 回照射燃料が 4 体装荷されていることから、FNΔHもそれ
ほど大きくならなかった。
上記のように、16 ヶ月炉心では、制御棒固着位置にガドリニア入り新燃料が装荷
されやすい傾向があることから、主蒸気管破断時のFNΔHが現行炉心に比べて大きく
なりやすい傾向となっている。
- 96 -
図5.1.2-4
2次冷却系の異常な減圧
*:MARVEL に入力する減速材密度欠損等のプラント過渡に影響する
核パラメータは、運転期間延長の影響を評価した結果、安全解析に
用いる値に変更がなかったことから、MARVEL の出力である上図に
変更はない。
- 97 -
主
蒸 気 管 の 両 端 破 断
蒸気流量急増
蒸気発生器圧力低下
1 次冷却材温度低下
原子炉圧力低下
主蒸気ライン圧力低
炉心に冷水導入
反応度停止余裕の減少
主蒸気隔離弁
全 閉
非常用炉心
冷却設備作動
蒸気放出緩和
臨 界
熱流束増大
炉心へほう酸水注入
運転員操作により補助給水停止
未 臨 界
炉心は著しい損傷に至ることなく、かつ、十分な冷却が可能であること
(最小 DNBR≧1.30)
(W-3 相関式)
原子炉冷却材圧力バウンダリにかかる圧力≦最高使用圧力の 1.2 倍
臨界継続中の事象進展なし
原子炉冷却材圧力バウンダリにかかる圧力≦最高使用圧力の 1.1 倍
燃料中心温度<溶融点
最小 DNBR≧1.30
図5.1.2-5
「主蒸気管破断」の事象過程
- 98 -
図 5.1.2-6
主蒸気管破断−ケースA(外部電源あり)
*:MARVEL に入力する減速材密度欠損等のプラント過渡に影響する核パラメ
ータは、運転期間延長の影響を評価した結果、安全解析に用いる値に変更が
なかったことから、MARVEL の出力である上図に変更はない。
- 99 -
図 5.1.2-7
主蒸気管破断−ケースB(外部電源なし)
*:MARVEL に入力する減速材密度欠損等のプラント過渡に影響する核パラメ
ータは、運転期間延長の影響を評価した結果、安全解析に用いる値に変更が
なかったことから、MARVEL の出力である上図に変更はない。
- 100 -
TWINKLE
事 故 条 件
(反応度添加)
空間依存動特性
入力データ
FACTRAN
中性子束
燃料エンタ
ルピ
核、熱系の空間
燃
時間依存動特性
料
棒
系
シミュレーション
シミュレーション
炉心データ
炉心データ
初期条件
熱
THINC−Ⅲ
流
炉
心
熱
水
力
DNB 本数
束
シミュレーション
ボイド量
MARVEL
プラント定数
プラント及び熱系の
原子炉圧力
シミュレーション
初
期
条
件
図 5.1.2-8
「制御棒飛び出し」のコード体系
- 101 -
燃料温度
制御棒クラスタ 1 本飛び出し
炉心内に過度の反応度添加
出力分布の歪み
中性子束急増
熱水路係数の増加
燃料棒温度上昇
原子炉圧力上昇
中性子源領域中性子束高原子炉トリップ
(零出力)
※
※
出力領域中性子束変化率高原子炉トリップ
反応度帰還効果(ドップラ、減速材)
出力領域中性子束高
中性子束急減
原子炉トリップ
低設定−零出力
高設定−全出力
制御棒クラスタ落下
燃料エンタルピ≦963kJ/kg・UO2 から
融点低下分相当のエンタルピを差し引いた値
原子炉冷却材圧力バウンダリにかかる圧力≦最高使用圧力の 1.2 倍
PCMI破損及び浸水燃料の破裂によって発生する衝撃圧力の持つ機
械的エネルギにより、原子炉容器の健全性が損なわれないこと。
※解析結果を厳しくするように解析では仮定していない
図5.1.2-9
「制御棒飛び出し」の事象過程
- 102 -
<16 ヶ月評価用炉心 EOC、HZP>
16ヶ月炉心(平衡炉心)(サイクル末期)
R P
N
M
1
L K J H G F E D
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
16ヶ月高温零出力時制御棒飛び出し評価用炉心(サイクル末期)
C
B A
R P
N
M
1
L K J H G F E D
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
C
B
2
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
2
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
3
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅰ
3
Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅰ
4
Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ
4
Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ
A
5 Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
5 Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
6 Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ
6 Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ
7 Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ
7 Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ
8 Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅰ
8 Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅰ
9 Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ
9 Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ
10 Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ
10 Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ
11 Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
11 Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
12
Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ
12
Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ
13
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅰ
13
Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅰ
14
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
14
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
15
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
15
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
制御棒飛び出し位置
Ⅰ 燃焼度≦35GWd/t
: 84 体
84
Ⅱ 35GWd/t<燃焼度≦50GWd/t : 60 体
60
Ⅲ 50GWd/t<燃焼度
49
: 49 体
<現行評価用炉心
EOC、HZP>
現行炉心(平衡炉心)(サイクル末期)
R P
1
N
M
L K J H G F E D
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
現行高温零出力時制御棒飛び出し評価用炉心(サイクル末期)
C
B A
R P
1
N
M
L K J H G F E D
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
C
B
2
Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅰ
2
Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅰ
3
Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ
3
Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅰ
4
Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅰ
4
Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ
A
5 Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ
5 Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ
6 Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅰ
6 Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ
7 Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ
7 Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅰ
8 Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ
8 Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅱ
9 Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ
9 Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅰ
10 Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅰ
10 Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ
11 Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ
11 Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ
12
Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅰ
12
Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ
13
Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ
13
Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅰ
14
Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅰ
14
Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅰ
15
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
15
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
制御棒飛び出し位置
Ⅰ 燃焼度≦35GWd/t
: 88 体
88
Ⅱ 35GWd/t<燃焼度≦50GWd/t : 68 体
68
Ⅲ 50GWd/t<燃焼度
37
: 37 体
図 5.1.2-10
制御棒飛び出しの評価用炉心
- 103 -
16ヶ月炉心
13ヶ月炉心
現行炉心
2.0
中性子束 定格出力に対する割合
1.5
(
1.0
0.5
)
0.0
0
1
2
時
図 5.1.2-11
3
4
5
間 (秒)
制御棒飛び出し−サイクル初期高温全出力
*:
「制御棒飛び出し」では炉心内出力分布を用いた解析を行っているため、経時
変化にわずかに影響がある。
- 104 -
16ヶ月炉心
13ヶ月炉心
現行炉心
2.0
中性子束 定格出力に対する割合
1.5
(
1.0
0.5
)
0.0
0
1
2
3
4
5
時 間 (秒)
図 5.1.2-12
制御棒飛び出し−サイクル末期高温全出力
*:
「制御棒飛び出し」では炉心内出力分布を用いた解析を行っているため、経時
変化にわずかに影響がある。
- 105 -
16ヶ月炉心
13ヶ月炉心
現行炉心
2
1000
10
0
800
中性子束
燃料エンタルピ
中性子束 定格出力に対する割合
10
10
-2
600
10
-4
400
(kJ/kg・UO2)
燃料エンタルピ
10
-6
200
ピーク出力部
燃料エンタルピ
10
-8
0
1
2
3
4
5
0
時 間 (秒)
図 5.1.2-13
制御棒飛び出し─サイクル初期高温零出力
*:
「制御棒飛び出し」では炉心内出力分布を用いた解析を行っているため、経時
変化にわずかに影響がある。
- 106 -
(
)
16ヶ月炉心
13ヶ月炉心
現行炉心
2
1000
10
0
800
中性子束
10
-2
10
-4
10
-6
10
-8
600
400
(kJ/kg・UO2)
燃料エンタルピ
ピーク出力部
燃料エンタルピ
0
1
2
燃料エンタルピ
中性子束 定格出力に対する割合
10
200
3
4
5
0
時 間 (秒)
図 5.1.2-14
制御棒飛び出し−サイクル末期高温零出力
*:
「制御棒飛び出し」では炉心内出力分布を用いた解析を行っているため、経時
変化にわずかに影響がある。
- 107 -
(
)
5.2 事故時被ばく評価(各種事故、重大事故及び仮想事故)(区分:Ⅳ)
5.2.1 解析手法及び解析条件
(1) 解析手法
運転期間延長に伴い、評価手法は変更していない。なお、運転期間延長によっ
て、評価対象核種の変更はないことから、添付書類十の線量評価で使用する計算
プログラムは、16 ヶ月炉心の評価に対しても使用することができる。
(2) 解析条件
事故時被ばく評価においては、炉心内蓄積量、冷却材中放射能濃度に対して、
運転期間を入力条件としている。しかし、以下に示すとおり、炉心内蓄積量の評
価に用いている運転期間の条件は、16 ヶ月炉心の条件を包絡するものである。ま
た、冷却材中放射能濃度は増減両方の効果があるものの、現行炉心でほぼ平衡に
達していることから、線量評価の解析入力条件の変更は不要である。個別プラン
トにおいても同様であることから、個別プラントにおいて確認をする必要はない。
a. 炉心内蓄積量
事故時被ばく評価(「原子炉冷却材喪失」、「制御棒飛び出し」等)で用いる炉
心内蓄積量は運転期間等を入力条件として設定しているが、16 ヶ月炉心(最大
36,000 時間、1/3 燃料取替)は現行炉心の評価で考慮している保守的な運転期間
の設定(最大 40,000 時間、1/4 燃料取替)に包絡されている。
なお、運転期間延長に伴う影響は以下のとおりである。
・ 運転期間の延長
1 サイクルあたりの運転期間の延長により、長半減期核種(例:Kr-85 半減
期 10.7 年)は 1 サイクルで燃料棒中に蓄積される放射能量が増加する。た
だし、短半減期核種(例:Xe-138 半減期 14.2 分)はサイクル初期で平衡状
態に達しているため運転期間の延長による影響はない。
・ バッチ数の変更
現行評価では燃料を 1/4 ずつ取り替えていく場合の平衡炉心を仮定している
が、16 ヶ月炉心では燃料を 1/3 ずつ取り替えていく場合の平衡炉心を仮定す
- 108 -
るため、燃焼の進んだ燃料の割合が低下し、長半減期核種では炉心内蓄積量
が低下する。ただし、短半減期核種では 1 サイクルで既に平衡状態に達して
いるため、バッチ数の変更による影響はない。
一方、事故時被ばく評価に使用する現行炉心と 16 ヶ月炉心の炉内滞在時間に
ついては以下のとおりである。
(現行炉心)
取替燃料集合体平均燃焼度 × 装荷ウラン量
炉心熱出力
50,000(MWd / ton ) × 91(ton ) × 24(hr / day )
=
3,411(MW )
取替燃料の平均炉内滞在時間=
=約32,000(hr )
これを基に現行炉心の運転期間(13 ヶ月)とバッチ数(4 バッチ)を考慮して
評価上、10,000、20,000、30,000、40,000 時間の 4 サイクル平衡運転を仮定し
ている。これは、10,000 時間燃焼した 1 サイクル目燃料が 1/4、20,000 時間燃焼
30,000 時間燃焼した 3 サイクル目燃料が 1/4、
40,000
した 2 サイクル目燃料が 1/4、
時間燃焼した 4 サイクル目燃料が 1/4 ずつ炉内に存在するとして、炉心内蓄積量
を求めているものである。この場合の炉内平均滞在時間は以下のとおりである。
(10,000+20,000+30,000+40,000)/4=25,000 時間
(16 ヶ月炉心)
取替燃料集合体平均燃焼度 × 装荷ウラン量
炉心熱出力
49,000(MWd / ton ) × 91(ton ) × 24(hr / day )
=
3,411(MW )
取替燃料の平均炉内滞在時間=
=約31,400(hr )
ここで 16 ヶ月炉心の運転期間(16 ヶ月)とバッチ数(3 バッチ)を考慮して
評価上、12,000、24,000、36,000 時間の 3 サイクル平衡運転を仮定している。
これは、12,000 時間燃焼した 1 サイクル目燃料が 1/3、24,000 時間燃焼した 2
サイクル目燃料が 1/3、36,000 時間燃焼した 3 サイクル目燃料が 1/3 ずつ炉内に
存在するとして、炉心内蓄積量を求めているものである。この場合の、炉内平均
- 109 -
滞在時間は以下のとおりである。
(12,000+24,000+36,000)/3=24,000 時間
なお、参考として、仮に最高運転時間を現行と同じく 40,000 時間とした 3 バ
ッチの場合の結果をあわせて表 5.2.1-1 に示すが、評価上支配的となる短半減期
核種の炉心内蓄積量がほぼ平衡に達しているため評価値に変化はなかった。この
場合の炉内平均滞在時間は以下のとおりである。
(13,333+26,667+40,000)/3=26,667 時間
b. 冷却材中放射能濃度
事故時被ばく評価(「蒸気発生器伝熱管破損」、「放射性気体廃棄物処理施設の
破損」)で用いる冷却材中放射能濃度は、冷却材保有水量、冷却材浄化系の性能
等を考慮し、燃料被覆管欠陥率 1%*を想定し評価している。加えて、運転期間
等を入力条件として設定しているが、現行炉心でほぼ平衡に達している。
なお、運転期間延長に伴う影響は以下のとおりである。
*:国内PWRにおける実績は十分に低いため変更不要
・ 運転期間の延長
1 サイクルあたりの運転期間の延長により、長半減期核種では 1 サイクル
で燃料棒中に蓄積される放射能量は増加し、1 次冷却材中放射能濃度が増加
する。ただし、短半減期核種では既に平衡状態に達しているため運転期間の
延長による影響はない。
・ バッチ数の変更
現行炉心では燃料を 1/4 ずつ取り替えていく場合の平衡炉心を仮定してい
るが、16 ヶ月炉心では燃料を 1/3 ずつ取り替えていく場合の平衡炉心を仮定
するため、燃焼の進んだ燃料の割合が低下し、長半減期核種では 1 次冷却材
中放射能濃度が低下する。ただし、短半減期核種では 1 サイクルで既に平衡
状態に達しているため、サイクル末期で炉心内の全ての燃料棒中の蓄積量は
同じとなり、バッチ数の変更による影響はない。
・ 1 次冷却材の希釈割合の変更
- 110 -
サイクル初期のほう素濃度の上昇により 1 次冷却材の希釈割合が低下し、
長半減期核種では 1 次冷却材中放射能濃度が増加する。ただし、よう素や希
ガスの短半減期核種では放射性崩壊による減衰に比べて影響が小さいため、
評価結果に与える影響は軽微である。
なお、参考として、16 ヶ月炉心を対象として評価した結果を表 5.2.1-2 に示す
が、評価上支配的となる短半減期核種の 1 次冷却材中放射能濃度がほぼ平衡に達
しているため評価値に変化はなかった。
また、
「重大事故」及び「仮想事故」については、大きな保守性を持った評価を行
っており、放射性物質の放出に変更は無いことから、個別プラントにおいて影響評
価を行い妥当性を確認する必要はない。
- 111 -
表 5.2.1-1
炉心内蓄積量評価結果
現行炉心
16 ヶ月炉心*1
よう素
約 3.10×1019 Bq
約 3.10×1019 Bq
希ガス*2
約 4.25×1019 Bq
約 4.25×1019 Bq
*1
16 ヶ月炉心において最高運転時間を 40,000 時間 3 バッチとしたケース
*2
γ線エネルギ 0.5MeV 換算
表 5.2.1-2
1 次冷却材中放射能濃度評価結果
評価項目
現行炉心
16 ヶ月炉心
よう素
約 2.80×105 Bq/g
約 2.80×105 Bq/g
希ガス※
約 1.69×106 Bq/g
約 1.69×106 Bq/g
※ γ線エネルギ 0.5MeV 換算
- 112 -
5.3 まとめ
以上のとおり、運転期間延長が安全評価に与える影響を評価した結果、個別プラ
ントにおいては以下の項目について確認を行う必要がある。
(1)2 次冷却系の異常な減圧
ただし、現行炉心で「2 次冷却系の異常な減圧」が臨界とならないプラントは、以
下の項目が現行評価条件に包絡されることのみを確認する。
○実効遅発中性子割合
○即発中性子寿命
○減速材密度反応度欠損
○ほう素価値
○ドップラ出力欠損
なお、これらの安全解析に用いる値に変更がある場合は、個別プラントにおいて
も 16 ヶ月炉心に対する評価を行うこととする。
(2)主蒸気管破断
(3)制御棒飛び出し
−以下の項目が現行評価条件に包絡されることを確認する。
○実効遅発中性子割合
○即発中性子寿命
なお、これらの安全解析に用いる値に変更がある場合は、個別プラントにおいて
も 16 ヶ月炉心に対する評価を行うこととする。
−原子炉安全基準専門部会報告書「発電用軽水型原子炉施設の反応度投入事象にお
ける燃焼の進んだ燃料の取扱いについて」(平成 10 年 4 月 13 日原子力安全委員
会了承)に基づく評価を実施していない個別プラントについては、本報告書に基
づく技術評価を行い妥当性を確認する。
(4)その他事象
−個別プラントにおいては、
「表 5.1.1-1 安全解析に用いる値に対する運転期間延長
の影響について」に記載のパラメータの確認を行い、個別プラントにおいても現
行評価条件に包絡されることを確認する。なお、解析条件が変更となった場合は、
当該パラメータが関係する事象の評価を行い、運転期間延長の影響を確認する。
- 113 -
−原子炉安全基準専門部会報告書「発電用軽水型原子炉施設の反応度投入事象にお
ける燃焼の進んだ燃料の取扱いについて」(平成 10 年 4 月 13 日原子力安全委員
会了承)に基づく評価を実施していない個別プラントは、「原子炉起動時におけ
る制御棒の異常な引き抜き」について本報告書に対する妥当性を確認する。
なお、
「原子炉冷却材中のほう素の異常な希釈」
(出力運転時)で用いる初期ほう
素濃度については、運転期間延長に伴いほう素濃度評価値が上昇し、評価値が安全
解析に用いる値に近づいていることから、取替炉心毎に評価を行い、安全解析に用
いる値以下となっていることを確認することとする。
- 114 -