2011NICE B‐グリドフ 大図們江イニシアチブ(GTI)の枠組みにおける運輸部門の活動の進展 UNDP 大図們江イニシアチブシニアプログラムオフィサー ルスラン・グリドフ 運輸部門は、GTI の枠組みの下での協力を促進するために合意された 5 つの優先的経済部門のうちの 1 つである。2007 年、この地域の運輸関連プロジェクトのいくつかが、メンバー国の協力によって促進さ れるべき「GTI プロジェクト」として特定された。2009 年、適切な運輸インフラとロジスティクスネット ワークの発展を通じて「大図們江地域(GTR)」の経済協力を支えることを目的として、GTI 運輸部会が設 立された。 GTR における主要な運輸関係者相互の協力を強化するため、2009 年から 2010 年にかけて、GTI の枠組 み内で以下の会議が開催された。 ・「GTI 運輸専門家ワークショップ」(2009 年 12 月 18 日、中国・琿春):束草∼新潟∼ザルビノ∼琿 春を結ぶ海陸輸送ルートである「北東アジアフェリー」プロジェクトの抱える課題や、 「図們江輸送 回廊」のインフラ整備などを取り上げた。 ・ 「GTI 運輸部会設立会議」及び「GTI 運輸プロジェクト推進専門家セミナー」 (2010 年 6 月 24-25 日、 韓国・釜山) :2010-2012 年の GTI 運輸協力プログラムを検討、採択した。 ・「GTI 運輸専門家会合」 (2010 年 12 月 16 日、米子): 「GTI 運輸プロジェクト」をいかに推進してい くかについて検討し、図們江事務局・UNDP に対して提案を行った。 GTI 運輸プロジェクトの 1 つである 「ザルビノ港の近代化」 の推進の一環として、図們江事務局では 2010 年 8 月から 10 月にかけてこの地域の主要な運輸関係者を対象として、ロシアのザルビノ港を経由して中 国、日本、モンゴル、韓国等の国々の間で輸送されうる潜在貨物量の推計値の提示を依頼した。この取り 組みは、ザルビノ港経由の長期的貨物取扱需要量(潜在貨物量)に対する関心を高め、関係者全員が同港 の近代化を重視することや背後圏の国境通過手続きを簡素化することなどを目的としている。 この調査の結果、ザルビノ港は相当量の貨物を扱いうること、また、コンテナや一般雑貨、穀物、石炭、 鉱石など各種の貨物を専門的に取り扱う港湾になる可能性を持つことが明らかとなった。ザルビノ港の潜 在貨物量は、2020 年までに年 3,000 万∼4,000 万トン、2030 年までに年 9,000 万∼1 億トンになると推 計される。この調査の結果は、同港がトランジット貨物輸送というニッチに特化することを明確にしてい る。他方、様々な要素や制約条件などの存在を考慮すれば、この膨大な潜在性のうち実現するのは一部に 過ぎないということも明らかである。しかしながら、控え目の推計の場合であっても、長期的にはザルビ ノ港が年間 2,000 万∼3,000 万トンを取り扱うことはできるとされており、このことは港湾整備・近代化 を加速するためのしっかりとした根拠となる。 より正確かつ整合的な形でのザルビノ港発展の将来見通しは、今後実施される予定の GTI 輸送回廊調査 プロジェクトの中で明らかになるだろう。これは「GTR 横断輸送回廊の統合運輸・インフラ整備促進計画 (調査)」と題するものである。本プロジェクトは、GTI 運輸部会の初会合で承認され、第 11 回 GTI 諮問 委員会会合(2010 年 9 月、長春)で支持を得た。本プロジェクトの目的、対象範囲、想定される成果や 実施の枠組みなどについて、GTI 運輸専門家会合で議論された。 [ERINA にて翻訳] ©ERINA
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