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スポージャーとして名寄せ登録する
必要がある。これは、名寄せ登録と
同時に、それに絡む個別貸倒引当金
を登録することによって債務者毎の
引当割合が算出され、さらには引当
割合に応じてリスクウエイトが決定
するためである。
この作業については、各J A毎に
支店担当者に整備させるか本店で一
括整備するかの違いはあるが、十二
月末、三月末の仮査定の精度を高め、
あらかじめBIS元帳の整備を行う
ことにより決算整理期間中の負荷を
軽減することが可能と思われる。
ポ イ ン ト
個別貸倒引当金の入力を正確に行
わなければならない理由は、リスク
アセットを算出する際にオンバラン
ス簿価︵総資産︶から控除できるた
め、その分信用リスクアセット︵分
母︶が減少するためである。
個別貸倒引当金の入力方法は定め
られているため、定められた方法以
外の入力を行なえば正しく反映され
な い た め 注 意 が 必 要。︵ 詳 し く は マ
ニュアルを参照︶
2.OAソフトでの作業
BIS元帳でのデータ整備が終了
した後、OAソフトにデータを取り
込み①BIS元帳で管理していない
データを入力するとともに、必要に
応じてBIS元帳で入力したデータ
を修正し、②自己資本︵コア資本︶、
③オペレーショナルリスクを入力し
て自己資本比率を算出する。
︻①の留意事項︼
BIS元帳で管理していないデー
タでOAソフトに入力が必要なもの
︵信用リスクアセット明細入力︶
( 現
)金
1
2 預 金︵J A S T E M で 管 理
( )
していないもの︶
3 共済約款貸付金
( )
( 外
)部出資
4
5 有価証券
( )
6 他事業資産のうち延滞エク
( )
スポージャーではないもの︵個
別貸倒引当金がなければ入力の
必要は無し︶
ポ イ ン ト
①適用されるリスクウエイトは、信
用リスクアセット明細入力時の入
力項目﹁相手方当事者区分﹂で全
て決まるため、明細に合った﹁相
手方当事者区分﹂を選択する必要
がある。
②預金の未収利息についても預金と
同 様 の リ ス ク ウ エ イ ト︵ 二 十%︶
を適用できるため、預金のリスク
アセット明細の未収利息の欄に入
力する。
③共済約款貸付の未収利息について
も本体と同様のリスクウエイト
︵0 %︶ を 適 用 で き る た め、 約 款
貸付金をまとめ入力する際の未収
利息の欄に入力する。
④外部出資については、出資先に応
じてリスクウエイトが違うため注
意が必要。
特に、中金︵普通出資、新劣後︶、
共 済 連 に 対 す る 出 資 に つ い て は、
五年間の経過措置適用後はリスク
ウ エ イ ト 二 百 五 十 % と な る た め、
入力する際の
﹁相手方当事者区分﹂
に注意する。
経過措置の対象となる﹁相手方
当 事 者 区 分 ﹂ は、﹁ H ・ 3・
以前﹂に出資しているものに限ら
れるため、毎期外部出資の入力を
す る 際 に は 注 意 が 必 要。 よ っ て、
今後、中金、共済連に対して増資
がある場合は、増資前の金額には
﹁ H ・3・ 以 前 ﹂ と、 増 資 分
の 金 額 に は﹁ H ・ 4・ 以 降 ﹂
というように﹁相手方当事者区分﹂
を分けて入力する必要がある。
⑤時価のあるその他有価証券につい
ては、B/S計上額が時価評価後
の金額であり、自己資本比率の算
出上は評価損益を考慮しないこと
となっている。よって、アセット
明細入力時、簿価の欄には有価証
券 調 書 の﹁ 償 却 後 帳 簿 価 額 ﹂ を、
評 価 損 益 の 欄 に は﹁ 評 価 差 損 益 ﹂
の額を入力する。
絆 2014 . 9
16
自己資本比率算出
における留意点
平成二十五年度決算から、バーゼ
ルⅢに伴う新たな自己資本比率規制
が始まった。
これに伴い、本会では三月、五月
に決算対象J A向けの研修会を開催
した。概ね大きな混乱もなく自己資
本比率が算出されたが、今後の事務
効率化のため作業段階での留意事項
と、問い合わせが多かった事項等に
ついて解説する。これは、担当者以
外の役席者についても検証する際の
チェック項目として参考にしていた
だきたい。なお、掲載内容は告示を
もとに本県に該当する事項のみを掲
載している。
1.BIS元帳の整備
自己資本比率算出において重要と
なるのが、J ASTEM内で管理し
ているBIS元帳の整備である。
BIS元帳で意識して作業しなけ
ればならないのが、同一人に対する
債権のうち①貸出金に三ヵ月以上の
延 滞 が あ る 場 合、 ② 他 事 業 与 信 に
三ヵ月以上の延滞がある場合のいず
れか一方でも該当すれば、同一人す
べての債権をBIS元帳に延滞エク
26
31
26
26
31
31
︻②の留意事項︼
信用リスクアセット明細入力︵分
母︶が終了したら、
次に自己資本︵コ
ア資本︶の入力を行う。このコア資
本入力は、バーゼルⅢになってから
新たに追加された画面であるが、主
な入力項目と留意点は表1のとおり
である。なお、入力した内容はエク
セル表で出力できるため出力帳票の
以下の項目をチェックすることで検
証 が 可 能 と な る。
︵入力金額は全て
正の値での入力︶
〈表1〉
入力項目(画面項番)
入力の留意事項と入力によって得られる値
B / S 計上額から、リスクアセット明細で登録され
た資産を差引いた額が、
「その他の資産(リスクウ
エイト100%)」として計算される。
(4)
(B / S 計上額)
個別貸倒引当金
B / S 計上額とリスクアセット明細上の個別貸倒引
当金に差異が無いかチェックする。差異がある場合
はリスクアセット明細の登録内容に間違いがあるた
め修正が必要。(項番18でチェック)
(5)
(B / S 計上額)
一般貸倒引当金
(8)
(B / S 計上額)
債務保証見返
(10)
(B / S 計上額)
繰延税金資産
B / S 計上額を入力する。
(37)∼(50)
純資産の入力
B / S 計上額を項目ごとにそのまま入力する。
(H24
年度までは剰余金処分案の内容も考慮する入力方法
であったが今年度からは B / S 計上額をそのまま
入力すること)
(51)外流出予定額
剰余金処分案に記載の「出資配当金」「事業分量配
当金」の合計額を入力する。
(52)処分未済持分
B / S 計上額を入力する。
(72)
(B / S 計上額)
土地の再評価額と再評価直前 経過措置の適用により10年間で資本不算入となる項
の帳簿価額の差額の45%相当 目であるため、毎期末の45%相当額を入力する。
額
(86)
(B / S 計上額)
無形固定資産(のれん、MSR
無形固定資産に計上している額を入力。
以外で旧告示で控除項目でな
かったもの)
(88)税効果相当額
(109)評価性引当(総額)
注記表に記載の評価性引当金を入力する。
(140)繰延税金負債(総額)
注記表の繰延税金負債合計額を入力する。さらに再
評価に係る繰延税金負債も計上している場合は、そ
の分も加算して入力する。
会計上は再評価に係る繰延税金負債は、繰延税金資
産と相殺できないが、自己資本比率の計算上は相殺
できるため。
(141)繰延税金負債(一時差異 決算において、その他有価証券について繰延税金負
その他有価証券評価差額金) 債を計上した場合に入力する。
注記表に記載の繰延税金資産小計からその他有価証
券にかかる繰延税金資産を控除した額を入力する。
(99)繰延税金資産(一時差異 そ 繰延税金資産、繰延税金負債の入力については、コ
の他)
ア資本の一定額を超える繰延税金資産を計上した場
合、超えた部分をコア資本から控除するため、超過
の有無を判定するための入力でもある。
2 )
新 し いO A ソ フ ト を ダ ウ ン
(
ロードして新規に過去三年分の
オペリスク相当額を入力する場
合は、必ず前々年から入力する
こ と。︵ こ の 順 序 で な い と 正 し
く計算されない︶
(98)繰延税金資産(一時差異 そ 決算において、その他有価証券について繰延税金資
の他有価証券評価差額金)
産を計上した場合に入力する。
3.検証作業
以上で自己資本比率算出に伴う一
連 の 作 業 は 終 了 と な る が、 入 力 し
た結果が正しく反映されているか
ど う か を チ ェ ッ ク す る 必 要 が あ る。
チェックに関しては、本会が提供し
ているチェック表を用いて計算する
無形固定資産のうちソフトウエアに関するものは、
税効果分を勘案した金額をコア資本から控除するこ
とが許容されているため、B / S 計上額の無形固定
資産のうちソフトウエアの額に実効税率(定着後)
を乗じた額を入力する。
︻③の留意事項︼
オペレーショナルリスク相当額の
入力にあたっては次の点に注意する
必要がある。
1 )
信用事業以外の勘定科目に
(
ついては、各事業の雑費、雑収
入が対象となる。
特に、勘定科目が細分化され
ていない加工事業、利用事業な
どは勘定残高そのもの︵直接収
益含む︶で入力してはならない。
その中の実質的な雑費、雑収入
の残高のみを拾い入力する必要
がある。
(3)(B / S 計上額)
総資産の額
ことになるが、各J Aの会計処理に
よりチェック方法が異なることから
次の点に留意のうえ検証作業を行う
ことになる。
1 チ
(
)ェックするのは次の項目
OAソフトから出力される付表
1の﹁オンバランス簿価計﹂と﹁オ
ンバランス簿価調整額﹂
2
( チ
)ェックする際の留意点
従来は、付表1の﹁オンバラン
ス 簿 価 計 ﹂ を チ ェ ッ ク す る 場 合、
貸借対照表資産計+貸倒引当金+
外部出資等損失引当金 債務保証
見返が﹁オンバランス簿価計﹂と
一致していたが、今回から繰延税
金資産、負債に係る規制が働くこ
とから、次の項目が計上されてい
れば、その分が不一致となる仕組
みとなっている。これは、会計上
と自己資本比率算出上で計算方法
に違いがあるためである。
①その他有価証券評価差額に係
る繰延税金資産
②その他有価証券評価差額に係
る繰延税金負債
③再評価に係る繰延税金負債
上記①∼③に絡むチェック方法は
パターン化して、今後の新BIS研
修会等で説明する予定である。
このように、新BIS規制につい
ては年々複雑化していくとともに年
一回の作業であるため、担当者のみ
ならず役席者︵役席者が担当であれ
ば他の検証者︶も概要を理解したう
えで検証体制を構築することが肝要
である。
︵中央会経営対策部︶
−
絆 2014.9
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