第6回 木屋川水系川づくり検討委員会 議事録 平成23年7月27日 山口県

資料-3
第6回
木屋川水系川づくり検討委員会
議事録
日
時
平成23年7月27日(水)12:30~16:30
場
所
菊川ふれあい会館(アブニール)小中ホール
目
次
1.委嘱状交付 ................................................................ 1
2.開会あいさつ .............................................................. 1
3.委員紹介 .................................................................. 3
4.「委員会設置趣意」「委員会設置運営要綱」について .......................... 5
5.会長挨拶 .................................................................. 7
6.議事 ...................................................................... 7
(1)木屋川ダム再開発(嵩上げ)事業のダム検証について ...................... 7
(2)質疑応答 ............................................................. 28
(3)木屋川水系河川整備計画の変更について ................................. 41
(4)質疑応答 ............................................................. 53
7.閉会 ..................................................................... 60
平成23年7月27日
山口県下関土木建築事務所
1.委嘱状交付
○事務局
定刻となりました。
私、本日司会を務めさせて頂きます下関土木建築事務所の松村と申します。よろしくお
願いいたします。
座らせて頂きます。
委員会の開催に先立ちまして、木屋川水系川づくり検討委員会委員の委嘱状の交付を行
います。
今回は6回目でありますが、任期が切れておりますので、改めて委員の委嘱を行います。
しかしながら、本日は、時間の都合によりまして、あらかじめ委員の皆様の席上に委嘱状
を配付させていただいております。申しわけありませんが、御了承ください。
2.開会あいさつ
それでは、ただ今より第6回木屋川水系川づくり検討委員会を開催します。
初めに、事務局より下関土木建築事務所長がご挨拶申し上げます。
○下関土木建築事務所長
下関土木建築事務所長の河野でございます。第6回木屋川水系
川づくり検討委員会の開会に当たりまして、事務局を代表して一言ご挨拶を申し上げます。
先ほど御案内がありましたとおり、委員会の皆様には、当委員会の検討委員への御就任
をお願いいたしましたところ、快く御承諾を頂き、また、本日はお忙しい中、検討委員会
に御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。本来であれば、先ほど案内がありま
したとおり、委員会開催に当たりまして、皆様お一人お一人に委嘱状をお渡しすべきとこ
ろ、本日は時間の都合もございまして、皆様のお席に予めお配りをさせていただいており
ます。どうか御了承を頂きますよう、重ねてお願いをいたします。
さて、昨年7月に発生しました豪雤災害から1年が経過いたしました。記録的な集中豪
雤により、木屋川水系流域を含め、県西部を中心に災害が多数発生いたしました。被害に
遭われた皆様には改めてお見舞いを申し上げます。
木屋川水系の治水対策としましては、平成14年3月にこの木屋川水系川づくり検討委
員会を設置いたしまして、河川整備の目標や整備項目について審議を重ねてまいりました。
委員の皆様の御指導や御助言を踏まえて、平成20年に木屋川水系河川整備計画を策定す
るに至っております。
このような状況の中、一昨年7月には山口防府地域を中心に集中豪雤が発生しました。
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また、昨年7月には下関市など県西部を中心に集中豪雤が発生し、各地で多くの災害が発
生いたしました。2年連続して発生しました局地的な集中豪雤を契機に、山口県では新た
に局地的な集中豪雤に対応した治水対策検討委員会を立ち上げ、既に策定済みとなってい
ました木屋川水系河川整備基本方針及び木屋川水系河川整備計画の治水計画について、改
めて御審議を頂きました。結果といたしまして、河川整備基本方針につきましては妥当と
の御意見を頂きましたが、河川整備計画につきましては一部変更が必要であるとの御意見
を頂きました。これを受けて、山口県では木屋川水系に関しまして、昨年の豪雤災害に対
応するため、河川整備計画を一部変更することとして作業を進めてまいりました。本日、
この変更内容(案)につきまして当委員会にお諮りし、委員の皆様からの御意見を頂きた
いと思っております。
また、河川整備計画の治水対策として位置付けしております木屋川ダム嵩上げ事業につ
きまして、国の要請により事業の検証を行う必要が生じました。山口県といたしましては、
ダム嵩上げ事業の検証について広く御意見をお聞きする機会として、この木屋川水系川づ
くり検討委員会が最も適しているものと考えました。皆様に検証内容につきまして御説明
をさせて頂きますので、忌憚のない御意見を頂きたいと思います。
以上、御審議をお願いいたしまして、簡単ではございますが、開会のご挨拶とさせて頂
きます。長時間の会議になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局
それでは、議事に入ります前に、お配りしておりますお手元の配付資料の確
認をさせて頂きます。
資料1、第6回木屋川水系川づくり検討委員会議事次第、同座席表、木屋川水系川づく
り検討委員会委員名簿、資料2、木屋川水系川づくり検討委員会設置趣意書、同設置運営
要綱、資料3、木屋川水系河川整備計画(案)、資料4、木屋川水系河川整備計画(案)
新旧対比表、資料5、木屋川の川づくり(案)、資料6、木屋川ダム再開発事業の検証に
係る検討(案)、資料7、ダム検証に係る検討に関する再評価実施要領細目、資料8、今
後の治水対策のあり方について中間とりまとめ、なお、パンフレット2枚を追加しており
ます。
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3.委員紹介
続きまして、本日出席頂いております委員の方々の御紹介をさせて頂きます。
順不同ではありますが、配席の順に紹介させて頂きます。
山口大学工学部名誉教授、斎藤隆様。
山口県文化負保護審議会委員、阿部弘和様。
元秋吉台科学博物館長、中村久様。
○中村委員
○事務局
○加藤委員
○事務局
○大賀委員
○事務局
○山野委員
○事務局
○福田委員
○事務局
○伊藤委員
よろしくお願いします。
吉田川漁業協同組合代表理事組合長、加藤全祥様。
加藤でございます。
山口県漁業協同組合王喜支店運営委員長、大賀廣様。
大賀です。よろしくお願いします。
殿敶大井堰水利組合長、山野豊様。
よろしくお願いします。
下関市豊田町林業連絡協議会会長、福田正志様。
福田です。よろしくお願いいたします。
下関市商工会青年部豊田町支部支部長、伊藤孝之様。
伊藤です。よろしくお願いします。
○事務局
下関市三豊地区自治会連合会会長、宮本忠夫様。
○宮本氏
よろしくお願いします。
○事務局
下関市豊田下地区自治連合会会長、竹永寛様。
○竹永委員
○事務局
○永井委員
○事務局
○前野委員
○事務局
○西野委員
○事務局
○山下委員
○事務局
よろしくお願いします。
長門市長、南野京右様。代理出席としまして、企画政策課長、永井武司様。
よろしくお願いします。
美祢市長、村田弘司様。代理出席としまして、建設課長、前野兼治様。
よろしくお願いします。
下関市長、中尾友昭様。代理出席としまして、建設部長、西野政次様。
よろしくお願いします。
長門市俵山大羽山自治会会長、山下哲雄様。
よろしくお願いいたします。
美祢市豊田前町5区区長、梶山正信様。
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○梶山委員
○事務局
○西田委員
○事務局
○藤野委員
○事務局
○本田委員
○事務局
○小田委員
○事務局
○金川委員
○事務局
○郷田委員
○事務局
○木戸委員
○事務局
○植村委員
○事務局
○坂本委員
○事務局
○竹谷委員
○事務局
よろしくお願いいたします。
内日地区河川愛護推進委員会代表者、西田哲男様。
よろしくお願いします。
長門市俵山発展促進協議会会長、藤野忠次郎様。
藤野でございます。よろしくお願いいたします。
埴生口川及び貞恒川下流河川愛護推進委員会代表者、本田清美様。
よろしくお願いします。
下関市豊田ホタルの里ミュージアム館長、小田尚久様。
お世話になります。
大石・西山地区ダム対策協議会会長、金川鉄夫様。
よろしくお願いします。
木屋川ダム嵩上対策協議会事務局長、郷田文一様。
どうぞよろしくお願いします。
下関市菊川地区子ども会連合会会長、木戸清次様。
よろしくお願いいたします。
山口大学経済学部教授、植村高久様。
よろしくお願いします。
山口大学監事、坂本絋二様。
坂本です。よろしく。
俵山河川漁業協同組合代表理事組合長、竹谷駿太郎様。
よろしくお願いします。
本日欠席ではございますが、紹介させて頂きます。
徳山工業高等専門学校教授、大成博文様。水産大学校長、山元憲一様。山口県土地改良
連合事業団体連合会事務局長、末成農実様。下関市王喜自治会連合会会長、米田洋様。下
関市菊川自治会連合会会長並びに下関市菊川快適環境づくり推進協議会会長、八木浩様。
以上、欠席されております。
以上で紹介を終わらせて頂きます。
なお、第1回から第5回まで会長を務めて頂きました中川山口大学名誉教授におかれま
しては、職務の御都合により、当委員会委員への委嘱を御辞退されましたことを御報告い
たします。
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また、河川整備計画の見直しに当たり、関係する下関市豊田下地区の自治連合会会長様
を新たに当委員会の委員として委嘱しましたことを御報告申し上げます。
次に、本日の委員会の事務局ですが、下関土木建築事務所、長門土木建築事務所、宇部
土木建築事務所、県庁河川課の職員と県庁の土木建築部、農林水産部、企業局及び下関市、
長門市の関係職員が出席しております。
4.「委員会設置趣意」「委員会設置運営要綱」について
ここで、木屋川水系川づくり検討委員会設置運営要綱第5条第3項により、委員の過半
数以上の25名の方が出席しており、本委員会が成立していることを御報告申し上げます。
続きまして、木屋川水系川づくり検討委員会設置趣意書並びに設置運営要綱であります
が、設置趣意書につきましては平成17年11月10日に、設置運営要綱につきましては
平成14年3月27日にそれぞれ承認されております。
今回、設置運営要綱につきまして一部変更の提案がありますので、事務局より説明しま
す。
○事務局
事務局の森田と申します。それでは、提案理由とその内容説明をさせて頂き
ます。
当会の設置運営要綱についての一部変更提案箇所は2カ所ございまして、1カ所目は第
2条、組織についてでございます。
申しおくれましたが、今、1枚紙で、ワンペーパーではございますけども、木屋川水系
川づくり検討委員会設置運営要綱(案)というペーパーが添付されていると思います。こ
れはもう提案を踏まえた文章になってございます。
それでは、続けまして説明をさせて頂きます。
1カ所目、第2条、組織についてでございます。今回、河川整備計画の変更に伴い、新
たな整備箇所の地域代表の方に委員として加わって頂くことにいたしました。このように、
今後幅広く流域の方の御意見を頂戴する可能性がございますので、要綱の第2条第1項の
「委員会は、30人以内で組織する。」となっておりましたのを「委員会は、35人以内
で組織する。」に変更させて頂きたいと思います。
それから、2カ所目は、第6条、庶務についてでございます。御承知のとおり、平成1
8年度の山口県の組織再編に伴い、豊田土木事務所は下関土木建築事務所と統合されてお
ります。このことにより、要綱第6条第1項の「委員会の庶務は、豊田土木事務所におい
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て処理する。」となっておりましたのを「委員会の庶務は、下関土木建築事務所において
処理する。」に変更させて頂きたいと思います。
提案理由、それとその内容説明については以上でございます。
○事務局
今の事務局の提案につきまして、御質問がありますでしょうか。
なければ、本日をもって要綱の一部を別紙のとおり変更いたします。
続きまして、委員会の会長選出を行いたいと思います。
要綱第4条第1項により、会長は委員の互選によるとなっておりますが、委員のどなた
か御推薦がございましたらお願いいたします。
坂本委員。
○坂本委員
山口県の河川のことをこれまでずっと詳細に検討を加えてこられました斎
藤さんを会長にお願いしたいと思います。
○事務局
ただいま坂本委員から、斎藤委員の推薦がありました。皆様、いかがでしょ
うか。
〔拍
○事務局
手〕
どうもありがとうございました。
それでは、木屋川水系川づくり検討委員会の会長を斎藤委員に決定させて頂きます。
斎藤会長には会長席の方へ御移動をお願いいたします。
それでは、斎藤会長よりご挨拶をお願いいたします。
○斎藤会長
河川についてはいろいろ調べておりまして、検討してきたとこですが、木
屋川は非常に基本方針を出すときに苦労しまして、要するに国土交通省との計算の仕方が
違うということで、我々の方が正しいということを2年か3年がかりで証明しまして、
我々の意見を通したわけですけども、そういう記憶のある河川でございますが、今回、政
権が交代しまして、ダムの検証ですか、これを国土交通省から要請されまして、それの報
告書を提出しなければならないという初めてのケースでありますので、よろしく皆さんに
御審議していただいたらというふうにお願いします。お願いであいさつにかえさせて頂き
ます。
○事務局
どうもありがとうございました。
それでは、引き続き議事に移らせて頂きます。
委員会の議長は、要綱第5条第2項により会長をもって充てることとなっておりますの
で、議事進行を斎藤会長にお願いいたしたいと思います。
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斎藤会長、よろしくお願いいたします。
5.会長挨拶
○斎藤会長
要綱によりまして議長を務めさせて頂きます。皆様には、議事の進行につ
きまして、協力のほどをよろしくお願いいたします。
それでは、議事次第に沿って進めさせて頂きますが、傍聴者の皆様につきましては、受
付で配付しております傍聴要綱に従いまして、議事進行に協力を頂きますようお願いいた
します。
それでは、議事の第1番目の木屋川ダム再開発(嵩上げ)事業のダム検証について、事
務局より説明をお願いいたします。
6.議事
(1)木屋川ダム再開発(嵩上げ)事業のダム検証について
○事務局
木屋川ダム再開発事業の検証に係る検討(案)ということで説明をさせて頂
きたいと思います。河川課ダム班の藤村といいます。どうぞよろしくお願いいたします。
資料につきましては、資料の6で説明をさせて頂きます。それと本日の資料の中には国
の示しております検証の基準といたしまして、資料の7でダム事業の検証に係る検討に関
する再評価実施要領細目、それと資料の8で今後の治水対策のあり方に関する有識者会議
が取りまとめました中間取りまとめを参考にお配りしております。
それでは、まず初めにダム事業の検証についての経緯を御説明したいと思います。ちょ
っとこれ、資料の方にございませんで、スクリーンの方でごらん頂きたいと思うのですが、
まず、「木屋川ダム再開発事業」とございますけど、これは木屋川ダム嵩上げ事業につい
てが国の補助事業の正式名となります。平成21年度に実施計画調査事業として採択を受
けたばかりのものでございますが、採択に当たりましては、河川法に基づき適正に手続を
行ってきたところです。
まず、長期計画でございます木屋川水系河川整備基本方針につきましては、山口県河川
委員会におきまして意見を伺いながら、平成19年4月に策定をしております。それから、
おおむね30年の具体的、段階的な計画でございます木屋川水系河川整備計画につきまし
ては、この木屋川水系川づくり検討委員会にて5回にわたる意見を伺いながら進めており
まして、平成20年11月にようやく策定をされたものです。これらの計画の中で、治水
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及び利水対策といたしまして木屋川ダムの嵩上げを位置づけておりまして、事業を進めて
きたところでございます。
このような中で、平成21年の政権交代以降、国におきまして、できるだけダムに頼ら
ない治水対策への政策転換が進められました。平成22年9月27日には国土交通大臣の
諮問機関でございます今後の治水対策のあり方に関する有識者会議から今後の治水対策の
あり方についての中間取りまとめが出されまして、それを受けて、同年の9月28日付で、
各県に対しましてダム事業の検証に係る検討を実施するよう国から要請があったところで
す。このため、木屋川水系河川整備計画に位置づけております木屋川ダム再開発事業、嵩
上げでございますが、これにつきまして、再度皆さんの御意見を伺うために、今回委員会
を開催したものでございます。
また、木屋川においては、昨年の集中豪雤により浸水被害が発生したことから、河川整
備計画の見直しを検討する必要が生じたところであります。見直し案につきましても皆さ
んの御意見を伺うため、今回の委員会を開催したところでございます。
本来であれば、ダム事業の検証を先に行いまして、その結果を受けて整備計画の見直し
案について御意見を伺うべきところでございますが、どちらも早急な対応が求められてい
るということから、今回、この2つの案件を同時に御審議いただくこととさせて頂きまし
たので、御了承頂きたいと存じます。
なお、この検証につきましては、本川づくり委員会で決定した対応方針案をもって、山
口県事業評価委員会で審議をし、県の対応方針を決定しまして、最終的にはその対応方針
を国へ提出することとなります。
それでは、引き続き資料の方に移って、資料に従いまして説明をしていきたいと思いま
す。
まず、資料1ページでございますが、ダム事業の検証の流れを示しております。若干重
複する部分もございますが、木屋川の検証に係る検討といたしまして、まず事業の点検と
いうのがございます。事業の点検といたしまして、総事業費、工期のほか、治水計画や利
水計画など、現計画を点検いたします。なお、この治水計画については、局地的な集中豪
雤に対応した治水対策検討委員会におきまして審議済みでございます。
次に、ダムの目的別、治水として洪水調節、利水として流水の正常な機能の維持のこの
2つに対しまして、ダム以外の方策を検討し、比較評価し、最適案を評価をしていきます。
そして治水、利水の総合的な評価を行いまして、対応方針(原案)、これを決定をしてま
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いります。
ここまでにつきまして、この川づくり委員会の御意見を伺いながら、また、同時にパブ
リックコメントを、県民への意見募集でございますが、これによりまして意見を伺うこと
としております。
なお、決定した対応法案(原案)をもって、先ほど言いましたように山口県公共事業再
評価委員会にて審議を行った上で、県の対応方針案を決定します。県は、決定しました対
応方針を国土交通大臣へ報告いたしまして、国が有識者会議を経て対応方針を決定するこ
ととなります。
以上がダム事業の検証の流れについてでございます。
続きまして、2ページ目からでございますが、ここで流域の簡単な紹介をいたします。
木屋川は、長門市俵山の草添山山地に端を発しまして、木屋川ダムでできた豊田湖を経
まして、豊田盆地、田部盆地を大きく蛇行しながら南下し、下関市小月の周防灘に注ぐ、
流域面積が299.8平方km、また流路延長が43.7kmの河川でございます。
木屋川におきましては、昭和30年の現木屋川ダム完成以降になりますが、それ以降も
しばしば浸水被害が発生しておりまして、近年では平成11年6月の洪水、それから昨年
の22年7月洪水が記憶に新しいところでございます。
続きまして、現木屋川ダムは下関市の上工水等に利用されておりまして、渇水時には自
主節水が実施されております。
それから、木屋川の自然環境といたしまして、上・中流域におきましては、国の天然記
念物でございます木屋川・音信川ゲンジボタル発生地として指定をされておりまして、豊
かな自然が残っておる一方、現木屋川ダムの冷水の影響で、ゲンジボタルの生育がおくれ
ているという課題も生じております。
続きまして、基本方針と整備計画について御説明をしますが、ここは先ほどの御説明と
重複しますので、省略させて頂きます。
こちらの方で基本方針の各地点におきます流量を示しておりますが、基本方針では70
年に1回程度発生する洪水に対応する治水対策を目標としております。木屋川ダムの嵩上
げと河川改修により対応することとしております。
次に、整備計画でございます。ここでは今回変更いたします整備計画の案を示しており
ます。詳しくはまた次の議事の中で御説明をしてまいりますので、簡単にちょっと御説明
をしたいと思います。
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整備計画では、この基本方針に対しまして、当面の整備ということで、木屋川本川につ
いては11年6月洪水規模に対して安全に流下をさせる、また、ダム完成後最大でござい
ました昭和34年7月洪水、それから平成22年7月洪水規模の出水に対しては、堤防満
杯で流しまして、浸水被害の低減を図ることを目標にしております。なお、その他支川、
田部川とか、こういった支川がございますが、これは整備状況に応じまして、10年に1
回から50年に1回程度発生する洪水に対応する整備を目標としております。また、整備
区間については、木屋川ダム嵩上げ、それから旧豊田町西市下流区間、それから支川田部
川、願王寺川に加えまして、今回は昨年浸水いたしました区間を追加しております。
次に参りますが、ここでは先ほど言いました基本方針と整備計画におきます治水対策の
目標としております流量を対比しております。上段にありますのが基本方針でございます
が、上段の中の赤字につきましてがダム、今の木屋川ダムが全くなかったときの各地点の
流量をあらわしております。黒字の方がダム嵩上げによりまして洪水調節を行った後の流
量を示しております。赤字に対しまして、ダムの効果により小さくなっていることが分か
ると思います。
それから、下段の整備計画でございますが、赤字につきましては、昭和34年洪水、そ
れから平成22年7月洪水におけるダム嵩上げを行う前の、今のダムの状況におきまして、
2つの洪水の大きい方の流量が書かれております。中段の青字につきましては、ダム嵩上
げによりまして洪水調節を行った後の流量を示しております。また、一番下の黒字につき
ましては、10年に1回程度発生する洪水のときのダム嵩上げを行ったときの流量でござ
います。
このダム計画につきましては、上にあります基本方針の70年に1回程度発生する洪水
に対して位置づけておりますが、下の整備計画におきましても、このダムの効果を見込ん
だ上で必要な河川改修を行うこととしております。今回、このダム事業の検証につきまし
ては、下の整備計画の目標に対して、ダムとダム以外の対策につきまして検討することと
されております。
続きまして、木屋川ダム再開発事業の概要でございます。ダム嵩上げにつきましては、
洪水調節機能の向上と流水の正常な機能の維持や既得農水の安定化を図ることを目的とし
ておりまして、ダム高を10m嵩上げしまして、洪水調節容量と利水容量をともに増大す
るものでございます。
ダム事業の経緯も示しておりますが、これは非常に長くございまして、昭和48年に都
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市用水の開発を含みました多目的ダムといたしまして、一度実施計画調査に採択をされま
した。その後、水需要の減尐に伴いまして、利水を除きました治水目的に見直そうとした
矢先に与党三党が公共事業の見直しを発表いたしまして、平成12年には補助事業が中止
となりました。しかし、治水上嵩上げが必要であるということから、河川法の手続を経ま
して、平成21年度に再び今度は治水ダムといたしまして実施計画調査の補助事業の採択
を受けたものでございます。
次のページ以降、嵩上げのイメージ図や図面等を示しておりますが、こちらの図面でい
きますと、現ダムの上に10mを嵩上げを行うものでございます。洪水のときの最高水位
でございますが、7.5m上がります。しかし、通常ためておく水位としては20cmの
上昇となっております。
続きまして、この資料は、平成11年に浸水被害が発生しておりますが、ダムの嵩上げ
と河川改修を行うことで浸水被害をなくそうというものでございます。
16ページからが現ダムの課題をちょっと御紹介をしております。現在のダムの大きな
課題が予備放流方式を採用しているということでございます。この予備放流方式とは、通
常は左の図のように、青いところ、水がたまっておるわけですが、利水容量、木屋川でし
たら下関市の上水道等の、工水とかございますが、そういう利水のための水を蓄えており
ます。しかし、右のように、洪水が予想される場合にはあらかじめ予備放流水位まで貯め
た水を捨てまして、必要な洪水調節容量を確保しようとするものでございます。洪水に備
えてあけておく洪水調節容量と下関市の上工水のために普段は貯めておく必要がある利水
容量、これが重複しておりまして、この重複部分を予備放流容量といいます。木屋川ダム
では、洪水調節容量の約6割をこの予備放流容量が占めておるということになっておりま
す。
予備放流が多いことから、洪水期、普段保っている水位から予備放流水位まで低下させ
るのに13時間かかります。これは平成11年の実際の洪水で仮に予備放流に必要な13
時間をさかのぼってみた場合というところなんですが、仮に13時間遡りますと、実際に
は降雤もなく、また気象台が注意報を発令する前から予備放流を開始しておく必要がある
ということが分かったものでございます。
それで、予備放流が完全にできた場合はダムの治水安全度は約30年に1回程度発生す
る洪水に対応できるものですが、予備放流が全くできなかった場合は、10年に1回程度
発生する洪水に対してもダムの治水安全度は不足しているのが現状でございます。
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この予備放流に当たっては、下関市の上工水道のための利水容量を捨てることから、捨
てた分だけ洪水でまた貯め込むことで、元の水位まで確実に戻す必要がございますが、現
在の気象予測の精度では水位が確実に回復する洪水を予測することが困難な状況です。そ
のため、ダム嵩上げを前提としまして、利水者の協力を得て、あくまでも暫定的に運用水
位という水位を設定をしております。これをグラフの方で示しておるんですが、赤い実線
が期間別に本来確保しておく水位となります。これに対しまして運用水位というのが赤の
点線になりますが、本来の水位に比べまして、大きいときで3m程度水位を低下させてお
ります。渇水時には河川環境に必要な流量や既得農水等に必要な流量が確保されておりま
せんが、これは、今説明しました運用水位を設定していることにより利水容量を小さくし
ていることも助長しているものです。
あと河川環境の課題としまして、現状ではピーク発電を行っておりまして、時間帯によ
っては流水が流れないことがございます。嵩上げ後は正常流量を確保し、常にダムから流
水が放流されるということで、動植物の生息・生育環境に配慮した形がとれます。
また、現状ではダムの放流管の高さが低い位置にあるということから冷水や濁水問題が
発生しておりますが、ダム嵩上げの場合には、選択取水設備を設置することによりまして
水温や水質を選択して放流することが可能となりまして、改善が期待できるものでござい
ます。
以上、ダムの概要でございますが、続きまして、ここからダム事業の点検に入ってまい
ります。
以下のフローのとおりに点検を行っていきます。まず最初に総事業費、2番目に工期、
3番目、治水計画、この治水計画は先ほど言いましたように局地的な集中豪雤に対応した
治水対策検討委員会にて審議済みの事項でございます。4番目に利水計画、5番目、堆砂
計画、6番目、ダム計画という順番になります。
最初に、総事業費の点検でございますが、木屋川ダム再開発事業につきましては、平成
19年度に事業費を精査をしておりまして、270億円を見直しまして、400億円と見
積もっております。それによりまして河川整備計画に位置づけておりまして、平成20年
11月に整備計画が策定をされたとこです。その翌年、21年度に実施計画調査事業に採
択をされまして、現在まで環境調査のみを実施してきております。そういうことで、現時
点では精度の高いものであることから、総事業費につきましては400億を変更しないこ
とといたします。
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続きまして、工期でございます。今後、環境影響評価を経まして建設事業着手を目指す
ものでございますが、現状の県の負政状況等を踏まえまして、現時点では平成29年から
建設事業に着手しまして、平成41年度の完成を予定しております。
次に、治水計画につきましては、治水対策検討委員会の審議結果をお示ししております。
内容的には、近年の雤量データを追加して検討いたしましたが、その結果、計画規模や洪
水処理計画は妥当であるという意見を頂いております。
資料は28ページになりますが、利水計画になります。既計画におきまして、基本方針
策定時でございますが、昭和29年から平成11年までのデータを用いまして計算をして
おります。今回、平成21年度までのデータを追加いたしまして、①から⑤までの手順で
検討を行っております。
まず1番目、維持流量でございます。維持流量といいますのは、河川に必要な流量とし
て、魚類の生息や景観、それから水質など、全部で9項目ございますが、それに対しまし
て必要となる最大の流量を設定するものでございます。木屋川では、魚類の生息に対する
流量によって維持流量が設定されております。これに対しまして、ふだん水が流れている
河川のみお筋につきましては大きく改変がございません。また、流量設定の対象魚種でご
ざいましたウグイ、アユ、ヨシノボリなどの生息も確認されております。そういったこと
から、維持流量の変更は必要ないと判断をしております。
次に、2番目の水利流量でございます。農業用水や上工水などの水利権を取得して取水
をしているものについてでございますが、水利権の更新時において取水量に変更がござい
ませんことから、水利流量の変更は必要ないと判断をいたしました。
3番目に、河川の流況でございます。10年に1回程度発生します渇水時の流量として、
現在の計画では昭和29年から平成11年までの46年間の中から4番目に小さい流量を
採用しておりましたが、今回、平成21年までのデータを追加した結果、56年間という
期間になりますが、その中の5番目に小さい流量、これが10年に1回の渇水流量になり
ますが、それが大きく変化がないということから、流況についても変更する必要がないと
判断いたしました。
次に、正常流量でございます。正常流量につきましては、木屋川ダム、湯の原ダム、大
野堰、この3地点で期間に応じて流量を設定しております。正常流量といいますのは、1
番目の維持流量、2番目の水利流量、それから3番目の渇水流量、この3つから算定をさ
れておりますが、3つのどれにも変更がないということから、正常流量についても変更す
13
る必要がないと判断をしております。
最後に5番目としまして、ダムの利水容量でございます。既計画では昭和29年から平
成11年の実際の流量データを用いまして、必要な正常流量を放流するといった計算をす
るわけですが、ダムはどれだけ容量が必要であるかという計算をしておりまして、当時は
46年間の中で4番目となります赤字で書いてます昭和41年の容量を10年に1回程度
発生する渇水に対応する容量として採用しております。今回、平成21年度までのデータ
を追加した結果、この昭和41年につきましては56年間の中の5番目となりまして、安
全度とすれば11.5分の1から11.2分の1ということで、ほとんど変化がないとい
うことから、容量の変更の必要がないと判断をいたしました。
以上が利水計画でございます。
続いて、堆砂計画でございます。これはダムにたまります土砂を見込んだ容量でござい
ますが、木屋川ダムにつきましては、現在の木屋川ダムや近傍のダムの実際の堆砂量等を
参考にしまして決定をしております。工事の嵩上げの着手から完成までの20年間と嵩上
げ完成後の100年間、合わせた120年間の間にたまる土砂の容量を見込んでおります。
近年のデータを追加しましてもこの容量に大きく変更がないということから、堆砂容量を
変更する必要がないと判断をしております。
最後に、ダム計画についてでございます。現状に対しまして、ダム整備により浸水被害
が軽減されますが、ダムの整備に必要となる建設費用とダム整備による被害の軽減費用で
ある便益を比較しております。費用及び便益につきましては、過去及び将来発生するもの
を現時点における価値に換算をしておりまして、費用とすれば約250億円、便益として
は約320億円となりまして、費用対効果は約1.3という数字になります。そういうこ
とで、投資することが妥当であるということを確認しております。
以上までがダム事業の点検の説明となります。
実はこの後、同じぐらいの説明が引き続きございますが、一度ちょっと休憩を挟んでい
ただけたらと思いますので、斎藤会長、いかがでございますでしょうか。
○斎藤会長
それでは、これから5分ほど休憩に入りたいと思います。30分から再開い
たします。よろしくお願いします。
〔休
○斎藤会長
憩〕
時間が参りましたので再開いたします。
では、お願いします。
14
○事務局
それでは、引き続きダム事業の検証について説明を続けてまいります。お手
元の資料では36ページからとなります。
検証におきましては、治水と利水の目的別に検討を行います。建設費用につきましても
それぞれ目的別に分けて算出します。木屋川ダムの嵩上げ事業は400億円でございます
が、平成22年度までに6,000万円を執行しております。残事業が399.4億円と
なります。この残事業費をそれぞれの目的別に建設したときの費用などから比率を算出い
たしまして、洪水調節のための治水分の建設費用としまして246.4億円、それから流
水の正常な機能の維持などのための不特定分の建設費用としまして153億円となります。
この費用を用いまして以降の検証を行ってまいります。
続きまして、37ページです。治水対策案につきましての検討でございますが、まず、
治水対策の目標安全度は、整備計画の目標でございます。先ほど言いましたように平成1
1年6月洪水規模の出水に対しては堤防高に余裕を持って安全に流下を図りまして、また、
昭和34年7月洪水規模、それから平成22年7月洪水規模の出水に対しましては堤防満
杯で流下をさせて、浸水被害の軽減を図るものでございます。
それと、対象区間については、ダムの嵩上げによる効果が施設整備に大きく影響いたし
ます木屋川の本川のうち、湯の原ダムから木屋川ダムまでの旧豊田町の地内といたします。
続きまして、38ページでございます。検証の流れをフローで示しておりますが、国か
ら示されましたダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目に基づきまして実
施をしております。まず、国から示された26の治水対策の手法から、ダム案とダム以外
の案を立案いたします。その際に、1次選定としまして、実現性、安全度、コストの3つ
の評価から概略評価を行いまして、検討可能な対策案を選定いたします。次に、選定した
対策を単独または複合的に組み合わせた治水対策案を立案いたします。4番目ですが、国
から示された7つの評価軸によって評価を行います。最後に総合的な評価を行い、治水対
策案を決定いたします。このフローに沿って検証してまいります。
こちらの39ページは、国が示しました治水対策案の26手法となります。
40ページですが、1次選定のフローでございます。先ほど言いました26手法の治水
対策案を3つの評価軸によって選定しますが、まず、適切な箇所や施設があるか、土地所
有者等の協力が見込めるかなどの実現性の観点から、可能なものを○と、極めて実現性が
ないものを×として棄却をします。また、実現可能だが見通しが十分確保されていないも
のを△として評価をしております。次に、実現性があるものの中から、安全度の観点から、
15
目標の安全度が確保できないものは×ということで棄却をします。最後にコストでござい
ますが、実現性及び安全度がともに○となったものについて、コストの観点から、コスト
が極めて高いものについては棄却を行いまして、残ったものを選定案として選定をしてお
ります。
ここからが具体的な26手法の選定となります。
まず、ダム案でございます。これは、現計画が既設ダムを嵩上げをするという有効活用
いたしますので、新規ダム案は検討の対象外といたしまして、棄却、×としております。
下に表をつけておりますが、実現性、治水安全度の向上、コスト、こういったところで×
がつきましたのが棄却ということでございます。
続きまして、42ページですが、ダムの有効活用です。既設ダムの嵩上げ、ダム湖の掘
削などによって洪水調節機能を増強、効率化させる方策でございます。
43ページですが、ダムの嵩上げ案です。一番上がダムの嵩上げ案ですが、現在の計画
となっております。実現性では、家屋移転等が発生いたしますが、地元の同意を得て事業
を進めておりまして、実現性は高い案ということにしております。安全度の確保も可能で
あり、対策案として選定をしております。右側の表の黄色くして○を書いております。対
策案の選定のものを○という表現をしております。
それから、2番目のダム湖掘削につきましては、次の44ページで概略検討を行ってお
ります。仮に201万m 3 の容量を増大させる場合、容量として確保できる部分よりもそ
の上にある掘削量が多いということから、約2,080万m 3 の残土が発生いたしまして、
コスト的にも1,340億円と極めて高いものとなりますので、棄却をしております。
資料はまた43ページに戻りますが、その他4項目についても検討しております。現状
よりも治水安全度を低下させずに効果的な洪水調節を行うことが困難であり、利水容量に
余裕がないなど実現困難ということから、ほかの4案についても棄却をしております。
続いて、45ページでございます。遊水地、調整池の案でございます。洪水流量の一部
を貯留いたしまして、ピーク流量を低減させる方策でございます。これは実現は可能です
が、広大な田畑が必要となりまして、地権者の方の同意が必要になりまして、それに時間
を要するということから、△という評価をしております。目標安全度は確保できまして、
コストも問題ないということから、対策案としては選定をしております。
続いて46ページ、放水路、捷水路といいますが、捷水路案です。放水路というのは河
川の途中から海へ直接流すケース、また、捷水路というのは河川の途中をバイパスする方
16
策でございます。これにつきましては旧豊田町の市街地を迂回する捷水路、バイパス水路
でございますが、こちらを整備することで可能ですが、町が分断され、地元や地権者の方
の同意に時間を要するということで、実現性は△の評価をしております。しかし、安全度、
コストも○でありまして、こちらも対策案として選定をしております。
次に、5番目の河道の掘削です。河川の断面を掘り下げることで河川の流下能力を向上
させるという方策です。これも可能でございますが、漁協さん等の関係機関との調整に時
間を要するということで、実現性は△評価、安全度、コストとも○ということで、対策案
としては選定をしております。
次、48ページですが、これは引き堤でございます。川幅を横に広げまして流下能力を
向上させる方策です。これも河道の掘削と同様に選定をしております。
続いて、49ページが堤防の嵩上げになります。現在の堤防を嵩上げをいたしまして流
下能力を向上する方策でございます。こちらも先ほどと同様選定をしております。
50ページ、河道内の樹木の伐採です。これは繁茂する河道内の樹木群を伐採すること
で流下能力を向上させる方策です。これは伐採により可能ではございますが、既に河道計
画におきましては樹木なしという評価をしておりまして、目標の安全度を確保することが
できないということから、棄却をしております。
9番目、それから10番目、決壊しない堤防、決壊しづらい堤防とあります。これは、
水位が堤防高を超えるまで堤防が決壊をせず、その間に避難ができるという危機管理上効
果がある方策でございます。これらにつきましてはともにまだ研究途中の技術でございま
して、現段階では使用できないため、棄却をしております。
次に、52ページでございますが、高規格堤防です。これはスーパー堤防と言われるも
のでございますが、大規模な築堤盛り土を行い、超過洪水にも危機管理上効果がある方策
です。先ほどの7番目の堤防嵩上げ案よりも明らかにコストが高くなることから、棄却を
しております。
次の53ページです。排水機場ですが、排水の悪い低地等で強制的に内水をポンプで排
出するものです。これは小支川流域に効果がございますが、本川自体の流量低減や流下能
力の向上には寄与いたしませんので、棄却をしております。
続いて、54ページ、雤水貯留施設です。これは開発が進んだ都市部におきまして、学
校のグラウンドだとかテニスコート、こういったものを利用しまして降雤の流出を低減さ
せようという方策でございます。学校のグラウンドなどを整備することで可能でございま
17
すが、次の55ページで概略検討を行っております。仮に流域内のすべての学校のグラウ
ンドを50cm壁立てをしまして貯留効果をつくったといたしましても、本来必要な低減
量が420m 3 の低減を必要としますが、2m 3 の効果しかないと、わずかな効果しかご
ざいませんで、目標の安全度確保が困難ということから、棄却をしております。
続きまして、56ページになります。雤水浸透施設ですが、これも先ほど同様、都市部
におきまして、雤水を地中に浸透させることで流出量を抑制しようとする方策でございま
す。次の57ページでこちらも概略検討を行っておりまして、仮に流域の宅地すべてで浸
透機能を増大させる整備を行った場合、結果的には約8m 3 程度の低減効果しかございま
せんで、目標の安全度を確保することは困難ということから、棄却をしております。
続いて、58ページになります。遊水機能を有する土地の保全、それから部分的に低い
堤防の存置というのがございます。現在でも流水を低減させる効果がある土地を保全した
り存置したりという方策でございますが、今対象としてます西市の上流の沿川では、掘り
込み河道でございまして、遊水機能を有する土地は存在をいたしませんので、棄却をして
おります。
続いて、59ページです。霞堤の存置でございますが、不連続な堤防は流量低減効果が
ございまして、また、氾濫しても速やかに水が引くなどの効果がございます。しかし、西
市上流にはこの霞堤が存在いたしませんので、これについても棄却をしております。
18番目が輪中堤でございます。資料60ページですが、これは氾濫する区域から宅地
のみを堤で囲みまして、氾濫から防御する方策でございます。安全度を確保する対象区域
でございます旧豊田町の浸水地域におきましては、約700戸と多くの家屋が分散してお
りまして、これらを輪中堤で囲むことは不可能なため、この案についても棄却をしており
ます。
続いて、61ページですが、二線堤でございます。本堤が決壊しましても道路などの堤
防となるものが家屋浸水を防止できるという方策でございますが、これにつきましても浸
水地域に多くの家屋が分散しておりまして、これらに対する二線堤は不可能であり、棄却
をしております。
続いて、62ページ、樹林帯等とございます。これは堤防が決壊いたしましても破堤部
分の拡大を抑制するという方策でございます。これは氾濫を許容するものでございまして、
目標の安全度を確保することが困難なため、これにつきましても棄却をしております。
続いて、63ページ、宅地の嵩上げでございます。浸水地域の宅地の地盤を高くしまし
18
て、家屋の浸水被害を軽減する方策です。こちらも浸水区域内の家屋数が多く、市街地全
体を嵩上げするということになりまして、不可能なため、棄却をしております。次の64
ページでは、仮に浸水区域内の家屋を全て嵩上げをした場合の概略を示しておりますが、
約700戸の宅地を補償する必要がございまして、約490億円の費用がかかることとな
ります。
続きまして、65ページでございます。土地利用規制でございますが、浸水区域が既に
住居地域でございまして、土地利用を規制することは不可能でございまして、これにつき
ましても棄却をしております。
続いて、23の水田等の保全でございます。水田機能を保全しまして流出量の低減を図
る方策でございます。治水計画上、水田を含む現況の土地利用のもとで降雤が河川に流出
することを前提としておりまして、保全そのものは流量低減効果を発揮いたしません。次
のページで、仮に水田の畦畔を嵩上げすることについて概略検討しておりますが、流域内
すべての水田の畦畔の堰板を15cm高くしたケースでございます。これは降雤時に耕作
者の方が堰の調整を行ったという前提もございますが、結果的には低減効果は約30m 3
/sとわずかでございまして、目標の安全度を確保することができないということから、
棄却をしております。
続いて、68ページ、森林の保全でございますが、森林の流出抑制機能の改善につきま
しては、不確実である上、相当の年数を要します。また、流域面積に占める森林の面積が
約78%を占めておりまして、既に森林機能の効果が見込まれていることから、目標の安
全度確保ができないということで、棄却をしております。
続いて、69ページ、洪水の予測、情報の提供等、それから水害保険というのがござい
ます。どちらも氾濫を許容するものでございまして、目標とする安全度の確保が困難であ
ることから、棄却をしております。
以上、1次選定の結果をまとめておりますのが71、72ページでございます。結果的
に選定、抽出しましたのが、ダムの有効活用、遊水地、放水路(捷水路)、河道の掘削、
引き堤、堤防の嵩上げの、以上の6つの対策案となっております。なお、河道の掘削、引
き堤、それから堤防の嵩上げにつきましては、現況の河川の断面が非常に小さくございま
して、それぞれ単独案では過大な改修となるため、この3つは複合案として実施すること
といたします。
資料は73ページになりますが、治水対策案の立案となります。今ほど選定しました4
19
案につきまして、単独または組み合わせました4つの対策案を立案しております。
74ページ、まず1番目としまして、木屋川ダムの嵩上げ+河川改修案でございます。
これは現計画となりますが、木屋川ダムを10m嵩上げすることで洪水調節機能を増大さ
せ、ピーク流量を低減させるとともに、流下能力が不足する下流の区間の改修を行うもの
でございます。ダムの嵩上げによりまして、38戸の家屋と37haの耕地の補償が必要
となります。また、河川改修は鳴瀬橋付近から手洗堰付近までの約3.2kmの改修が必
要となります。75ページにありますが、これに係ります建設費は、ダム嵩上げが246
億円、河川改修が20億円、合計266億円となります。
続いて、76ページでございます。遊水地+河川改修案です。これは、西市上流に遊水
地を整備いたしまして、洪水調節によってピーク流量を低減させ、流下能力が不足する区
間の河川改修を行うというものでございます。遊水地の整備は西市から上流の沿川にある
すべての田畑が必要となりまして、また、河川改修についても湯の原ダムの上流から月招
橋の下流までと長正司橋の上流から殿敶堰までの約9.5kmの改修が必要となります。
次の77ページには遊水地のイメージを書いておりますが、全体で39戸の家屋、それか
ら69haの耕地の補償が必要となります。これに係る建設費は、遊水地が340億円、
河川改修が163億円の合計503億円となります。
続いて3番目に、捷水路(バイパス水路)+河川改修案です。これについては、西市市
街地の既に改修済みの区間の再改修を行わないように、殿敶堰付近から山本川の合流点ま
でをバイパス水路によって分水しまして、その他の区間は河川改修を行うといったもので
ございます。これでは約3kmにおいて、次の79ページがバイパス区間のイメージでご
ざいますが、約3km区間で幅が約40mのバイパス水路が必要になります。それとその
前後は河川改修が必要となりまして、全体で29戸の家屋、それと20haの耕地の補償
が必要となります。これに係る建設費は、バイパス水路が103億円、河川改修が163
億円、合計266億円となります。
続いて、4番目に河川改修単独案でございます。これは湯の原ダム上流から木屋川ダム
まで全長18.6kmに及ぶ河川改修を行うものでございます。西市市街地の改修済み区
間のまた再改修が発生いたしまして、次のページに大体市街地のイメージを示しておりま
すが、27戸の家屋、それから13haの耕地の補償が必要となります。これに係る建設
費は261億円となります。
次、82ページでございますが、立案しましたこの4案の治水対策案につきまして、7
20
つの評価軸によって評価を行ってまいります。なお、国はこの総合評価に当たりまして、
コストを最も重視することとしております。83ページに国が示しております7つの評価
軸を示しています。これに対する評価としまして、下の四角で囲っておりますが、コスト
としては定量的な評価が可能でございますので順位を付けておりますが、その他の評価と
しては○、×、△で評価をしております。○は比較案の中でも最も適した案、×が比較案
の中で最も劣る案、△は○、×評価の中間案という評価をしております。
84ページからが具体的な評価でございます。
まず、安全度の評価でございます。安全度の中でも4つの視点が1から4までございま
す。また、評価のコメントについてですが、プラス要因のものについては青字、マイナス
要因のものは赤字、また現状維持のものは黒の横バーで表現をしております。
1番の評価として、河川整備計画レベルの目標の確保については、すべての案で目標を
確保できております。
2番目の目標を上回る洪水が発生した場合でございますが、ダム嵩上げ案は70年に1
回程度発生する洪水規模まで浸水被害の軽減が図られますが、その他の案については30
年に1回程度発生する洪水よりも大きな洪水では軽減効果がございません。
3番目の視点でございます。段階的な安全度の発揮でございますが、ダムが完成するま
で効果は発揮しませんが、河川改修は一連の区間整備することで段階的に効果を発揮しま
す。しかし、完成までの期間としては、ダム嵩上げは約20年、その他の案は100年を
超える工期を要します。
それから4番目、効果のある範囲でございますが、ダムや遊水地はその対策の下流区間
すべての区間で安全度が向上いたします。しかし、その他の案は対策区間以外では安全度
の向上がございません。
こういった評価をいたしまして、以上の安全度に関しましては、ダム嵩上げ案が○と、
最も適した案と評価をいたしました。
次に、85ページでございますが、コストの評価です。コストは、完成するまでに必要
となる費用、それから完成後50年間分の維持管理費、それからダムの中止に伴って発生
する費用の合計で評価をいたします。合計を見ますと、一番下のところでございますが、
ダム嵩上げ案が273億円、次いで河川改修単独案が280億円、3番目にバイパス水路
案285億円、最後に遊水地案525億円と、ダム嵩上げ案が最も安価となりますが、3
位までにつきましては約10億円程度の差でございまして、精度等を考慮いたしますとほ
21
ぼ同等と評価をしております。
続いて、86ページです。実現性になります。4つの視点がございますが、1番目、土
地所有者等の協力の見通しですが、ダム嵩上げ案については38戸の家屋補償と100h
aを超える用地補償がございますが、地元の同意を得て事業を進めておりまして、実現性
は高いものと評価をしております。他案については、家屋補償や用地買収が発生いたしま
すが、治水対策が変更となりまして、土地所有者との調整に見通しがつかないものとして
おります。
2番目の視点ですが、その他関係者との調整の見通しです。ダム案は利水者やその他関
係者との調整を行っておりますが、他案につきましては今後調整が必要となります。
3番目と4番目の法整備、それから技術上の観点からの見通しでございますが、これら
はどの案も問題なく実現可能でございます。
以上の実現性に関しまして評価をしますと、やはりダム案が最適であると評価をしてお
ります。
続いて、87ページです。これは持続性ということでございます。これはどの案も適切
な管理を行うことで維持できますので、全ての案を○という評価をしております。
5番目の柔軟性でございますが、これは、地球温暖化に伴う気象変化や社会環境の変化
など、将来の不確実性に対する柔軟な対応という評価でございます。治水安全度を基本方
針レベルまで引き上げる場合を想定をいたしますと、ダムの嵩上げ案の場合は、今回の対
策箇所の新たな用地買収を伴う再改修というのは発生いたしませんが、その他の案につい
ては、今回整備する護岸等の再びまた再改修をするといった新たな用地補償が発生いたし
ます。このため、柔軟性に関しましてはダム案が○と、最適という評価をいたしました。
続いて、88ページ、地域社会への影響です。3つの視点がございまして、事業地及び
その周辺への影響については、ダム案につきましては家屋移転や営農農地の補償が発生い
たしますが、生活再建対策、これは水源地域特別措置法による対応でございますが、その
実施によりまして影響を軽減できるということに対しまして、その他の案は、遊水地案に
つきましては62haの営農農地が消失いたしまして、また、バイパス水路では約40m
幅の新たな水路によりまちづくりに制約を与えるなど、影響が大きいと評価をいたしまし
た。
2番目の視点の地域振興に対しての効果といたしましては、ダム嵩上げ案は、周辺道路
整備により観光資産の利用向上や過疎化対策といったものに寄与いたしますが、その他案
22
は効果がないと評価をしております。
3番目の地域間の利害の公平性の確保につきましては、ダム嵩上げ案ではダムの上流と
下流で利益の不公平が発生いたしますが、生活再建策によりまして配慮が可能でございま
す。その他の案につきましては、遊水地で不均衡が発生する以外は不公平は発生いたしま
せん。
以上から、地域社会への影響に関しましては、ダム案を最適の○と評価をしております。
最後に、環境への影響についてです。現状と比べますと、ダム嵩上げ案は流況や水質の
改善が期待できますが、その他の案は現状と変わりありません。また、生物や自然環境へ
の影響につきましては、どの案も影響を与えますが、魚類やホタルなどにつきましては、
改変延長が一番小さなダム案が比較案の中では影響が最も小さいと評価をしております。
それから、景観や自然との触れ合いの場につきましては、河川改修案は親水護岸など整備
の仕方によっては利用促進が期待できると評価をしております。
以上から、環境への影響に関しては、ダム案が最適である、○という評価をしておりま
す。
次の90ページで以上をとりまとめております。コスト的には、2の遊水地+河川改修
案を除けば、その他の案はほぼ同等となります。しかし、安全度や実現性など、それ以外
の評価軸を踏まえて評価をいたしますと、最適な治水対策案は木屋川ダム嵩上げ+河川改
修案であると評価をいたしました。
以上が治水対策案の検討結果でございます。
引き続き利水対策案の検討に移りますが、検討の流れにつきましては治水とほぼ同じで
ございますので、重複するところは省略しながら説明をしていきたいと思います。
資料は92ページになりますが、利水対策案の目標安全度は、10年に1回程度発生す
る渇水にもダム下流で既得農業用水や動植物の生息・生育のために必要な流量を補給する
ものでございまして、それに必要なダムの容量は373万m 3 でございます。なお、これ
は現在の木屋川ダムでは241万m 3 が不足していることになりまして、これを1日の放
流量で評価しますと、約1日に4万5,000m 3を補給することとなります。
93ページの検討のフローにつきましては、治水対策と同様でございますので省略いた
します。
94ページが国が示します利水対策案の方策、利水対策の場合は17手法がございます。
この17手法につきまして、95ページでございますが、治水対策と同様に1次選定を行
23
います。
96ページからが具体的な1次選定になります。
まず、ダム案につきましては、治水対策と同様、対象外といたします。
2番目に、河口堰でございます。河川の下流部で堰を設置することで水源とする方策で
ございますが、河口部に建設することは可能でございますけど、河口堰単独では目標の安
全度を確保することができないため、複合案として選定をしております。
98ページ、湖沼の開発でございますが、これは湖沼に堰を設けて水源とする方策でご
ざいますが、流域に自然的で規模が大きい未利用の湖沼が存在をしておりませんので、こ
れについては棄却をしております。
4番目の流況の異なる河川で余剰水を融通するという流況調整河川ということでござい
ますが、これについては、本川下流の大野を基準点で考えますと、その上流の河川間で流
況調整をすることによっても効果がないということから、棄却をしております。
資料99ページ、河道外貯留施設でございます。これは河道外に河川水を導入し貯留す
ることで水源とする方策です。広大な耕地が必要となりますが、可能でございますので、
選定をしております。
続いて、ダムの再開発としまして、現木屋川ダムの嵩上げ案がございます。これについ
ては選定をしております。
次のページでございますが、ダム湖掘削につきましては、多量の土砂が、残土が発生い
たしまして、約1,140億円という膨大な費用がかかることから、棄却をしております。
続いて、102ページでございますが、他用途ダム容量の買い上げというのがございま
す。既存の治水容量やその他容量を買い上げて水源とする方策でございますが、既存の木
屋川ダム、それから湯の原ダム、この利水容量に余剰はございませんで、転用可能な容量
がございません。そういうことから、この案についても棄却をしております。
103ページは水系間導水でございます。水量に余裕のある隣接の水系から導水をする
ことで水源を確保するという方策です。木屋川に隣接します流域で余剰水がございません
ので、これについては棄却をしております。
104ページです。地下水取水でございますが、これは井戸の新設によりまして水源と
する方策でございます。ただ、1日に4万m 3 を超えるような取水をするんですが、この
場合に河川水に影響がない箇所で確保できるかというのが不確実でありまして、また、安
定的な取水というのは困難であるということから、棄却をしております。
24
10番目、ため池でございます。これは、流域内にありますため池の総貯水容量は35
0万m 3 でございますが、これに余剰水がございませんことから、棄却をしております。
106ページは海水の淡水化でございます。海水を淡水化をしまして、ダム地点まで約
20kmの導水を行う必要がございます。これを概略評価として概算工事費を出しました
が、約430億円と非常に高いことから、棄却をしております。
続いて、108ページ、水源林の保全でございますが、土壌の保水機能を期待するもの
でございますが、保水機能の改善は不確実である上、相当の年数を要します。また、流域
に占める森林の面積が約8割と、既に現状の森林機能の効果は見込まれておりまして、目
標の安全度を確保することが困難なため、棄却をしております。
続いて、109ページ、ダム使用権の振り替えについては、既存のダムに係る水利権の
更新がされておりまして、水利権量の変更が発生しておりませんので、棄却をしておりま
す。
14番目の既得水利権の合理化についても、既得水利権は現在の農地利用面積に基づき
まして算定されておりまして、既に合理化がされておりまして、棄却をしております。
15番目の渇水調整の強化でございますが、木屋川では渇水時には自主節水が実施され
ておりまして、さらなる強化は困難であることから、棄却をしております。
110ページの16番目、節水対策でございます。これは、利水者の意向に依存するも
のでございまして、その効果を定量的に見込むことが困難であるため、棄却をしておりま
す。
111ページ、雤水・中水対策、これは雤水や再生水の利用促進によりまして河川水の
需要抑制を図る方策でございますが、節水対策同様の理由で、棄却をしております。
以上、17手法につきまして、1次選定をまとめたものが112ページからになります。
結果的には河口堰、それから河道外貯留施設、ダムの再開発、この3案を選定しておりま
す。
この選定した3つの利水対策案から単独または複合案として3つの対策案を立案をして
おります。
資料は116ページになります。1番が木屋川ダム再開発、現在の嵩上げ案でございま
すが、不特定容量を241万m 3 ほど増大するものでございまして、これに係ります経費
は153億円となります。
118ページ、2番目に河道外貯留施設でございます。木屋川沿川の田畑に河道外貯留
25
施設を整備するものでございますが、比較的大きな容量が確保できる地点で田畑をため池
と同じように整備をする案でございます。これは湯の原ダムから木屋川ダムまでの区間の
56haの耕地の補償が必要となりまして、これに係る建設費は291億円となります。
続いて、119ページの3番目、河口堰+河道外貯留施設です。河口に河道堰を設けた
上で、不足分について河道外貯留施設で対応するものです。これは119ページにござい
ますように、河口から吉田堰までの約4.5kmが河口堰による湛水区間となります。ま
た、121ページのように、河道外貯留施設としては、湯の原ダムから上流の約25ha
の耕地の補償が必要となります。これに係る建設費用は、河口堰が116億円、河道外貯
留施設が109億円の合計225億円となります。
次に、立案しました3つの利水対策案について、国の示します6つの評価軸により評価
を行っております。評価の仕方は治水と同様でございます。
まず、123ページ、目標という評価でございます。
1番の必要容量につきましては、すべての案で確保が可能でございます。
2番目の指標、段階的な効果については、ダム嵩上げ案は完成するまで効果を発揮いた
しませんが、その他の案は段階的に安全度が向上いたします。
3番目の効果の及ぶ範囲でございますが、ダムより下流で補給可能でございますが、河
道外貯留案のみはダム下流から河道外貯留施設までの区間で補給ができません。
4番目の水質に関してでございますが、ダム案については現状より改善が期待できます
が、その他の案は富栄養化の可能性がございます。
以上の目標に関してでございますが、ダム嵩上げ案が最適の○と評価をしております。
続いて、124ページ、コストでございます。利水も建設費用と50年間の維持管理費
用の合計で評価をしておりますが、合計のところを見ていただきまして、ダム嵩上げ案が
最も安価となります。
次に、125ページ、実現性です。土地所有者の協力の見通しについては、ダム嵩上げ
案は、先ほどの治水と同じように地元の同意を得て事業を進めておりまして、実現性は高
いものと評価をしております。その他の案につきましては、利水対策が変更となりまして、
土地所有者の調整に見通しがつかないと評価をしております。
2番目の関係する河川使用者の同意の見通しについては、ダム嵩上げ案は利水者との調
整を行っておりますが、その他の案は調整が必要となります。
3番目の関係者との調整の見通しについても同様でございます。
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4番目、事業期間については、ダム嵩上げ案は約20年後に完成いたしますが、その他
の案は90年から100年かかります。
5番、6番の法制度や技術的な観点につきましては、どの案も問題ございません。
以上の実現性に関しましては、ダム嵩上げ案が最適の案と評価をしております。
続いて、126ページでございます。持続性については、治水同様、どの案も適切な管
理で確保できますので、全ての案が○評価でございます。
地域社会への影響については、ダム嵩上げ案は、治水対策と同様、影響があるものの、
生活再建策の実施によって軽減ができ、地域振興に対しても寄与するが、その他の案は、
地域への影響が大きいのですが、地域振興には寄与しないという評価をしております。
以上から、地域社会への影響に関しては、ダム嵩上げ案が○と、最適という評価をして
おります。
最後に、127ページ、環境への評価でございます。水量的にはどの案も改善いたしま
すが、水質は、ダム嵩上げは選択取水の設置によりまして改善が期待できますが、その他
の案は富栄養化の可能性がございます。また、河口堰は周辺の地下水の上昇、これは湿地
化でございますが、その可能性もございます。自然環境に関してはどの案も影響を与える
ものでございます。あとCO 2 の排出貟荷という項目がございまして、ダム嵩上げ案は、
ゲートレス化というのを行いますので、使用電力が削減できます。ということで、排出貟
荷も軽減をするんですが、その他の案は新たな使用電力が発生いたしまして、排出貟荷が
逆に増大いたします。
以上から、環境への影響に関しましては、ダム嵩上げ案が最適であるという評価をして
おります。
以上をまとめたのが128ページでございます。コスト的にもダム嵩上げ案が最も安価
でございまして、その他の評価軸を踏まえて評価をいたしましても、最適な利水対策案は
ダム嵩上げ案と評価をいたしました。
最後になります。総合評価でございます。今、2つの目的別に評価をしてまいりました
が、治水対策案につきましてはダム嵩上げ+河川改修案が最適と評価をいたしました。ま
た、利水対策案につきましても木屋川ダム嵩上げ案が最適と評価をいたしました。治水、
利水双方の観点から総合的に評価をいたしまして、木屋川ダム嵩上げ+河川改修案の組み
合わせによる整備が最適であると評価をしております。
以上、非常に長くなりましたが、木屋川ダム再開発事業の検証に係る検討案の説明を終
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わらせて頂きます。御審議のほどをよろしくお願いいたします。
(2)質疑応答
○斎藤会長
どうもありがとうございました。
ただいままでの事務局の説明について、何か御意見を頂きたいですが。
どうぞ。
○植村委員
質問なんですが、35ページのコストベネフィット、便益の算出方法につ
いて御説明頂きたい。
分かりますか。もう一度。35ページのところで費用便益の分析があるんですが、便益
の算出方法についてちょっと御説明頂きたい。
○事務局
今、35ページの資料にございますように、河道が現在の状態でございまし
て洪水が起きますと、浸水被害が生じます。それをダムができることで軽減をできるとい
ったところを便益として評価をしております。
○植村委員
それは現在の資産の分布状態というものを前提にした計算ということです
か。それとも過去の被害というものから推測したものなのか。
○事務局
資産につきましては、現在の時点の資産という評価をしております。
○斎藤会長
よろしゅうございますか。
○植村委員
100年という単位ということでよろしいですか。将来的な便益の。要す
るにダムができてから100年という。
○事務局
ダムが完成してから50年間分の便益を見込んでおります。
○斎藤会長
将来の便益を考えるかちゅうことだったんじゃないでしょうかね。
○植村委員
期間を50年としてる根拠は。
○事務局
50年でございます。
○植村委員
○事務局
何で50年なわけですか。
この算定につきましては、国の示しております基準によって50年間という
ことになっておりまして、それに基づいてやっております。
○斎藤会長
ほかに御意見は。
○木戸委員
一つお伺いします。今、木屋川ダムが昭和25年ですか、これで着手され
て、昭和30年に完成しております。それで、今現在もう60年ぐらいたってますよね。
これに嵩上げということは、旧本体はコンクリートもやはり劣化することだろうし、安全
性の問題ですが、何年ぐらいをめどに考えられとるんでしょうか。
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○事務局
県内にあるダムは、向道ダムが錦川水系で既に80年以上たっておりますけ
れど、いまだコンクリート性能等に問題があるという形になっておりません。木屋川ダム
につきましても、今、表面上は汚れたりということで、ちょっとみすぼらしい面もありま
すが、私どもとしては、ダム機能本体に何ら支障になるというふうには考えておりません。
その上で、安全性もきちんとこの環境調査等を含めた上で、嵩上げ事業について進めてま
いる所存です。以上です。
○斎藤会長
よろしいですか。
ほかに。
いろんな方面から御意見を出して頂きたいんですけども。前半は、今までの要するに木
屋川の事業ですか、それのいきさつ、経過を説明されて、後半に説明しました検討ですね、
ダム事業の検討をしなければいけなくなってきたというので、河川改修も同時に検討して
おるわけですけども、その検討方法ですか、評価方法なりに何か御意見があったら。例え
ば別に考えることのある方法があるんじゃないかとか、そこら辺を出して頂きたいんです
けども、どうでしょうか。
○藤野委員
私、俵山の発展協を預かっておりますけども、調整池ですね、これは湯の
原と西市ですか、木屋川のダムの間に調整池を設ける場合という、こういう検討ですか。
○事務局
そのとおりです。
○藤野委員
調整池はすばらしいことじゃあるけれども、事実上それだけの用地は無い
わね。確保できんわね。そういう工法が検討されたということやね、これ。
○事務局
実現性というのも当然大切なファクターではあるんですが、まずはこの検証
の進め方がダムに予断を持たない、要はダムを前提とせずにいろいろな方策を最初から検
討しなさいと、そういう中で遊水地として可能性があるとすれば、湯の原ダムから上流区
間に田畑が広がっておりますので、事務局の案といたしまして、そのような形であれば貯
留効果が望めるということで検討させていただいております。ですので、これを本当に始
めるかどうかというのはちょっと別の問題にはなりますが、今おっしゃったように、実現
性という意味では、皆様の営農地を頂く形になりますので、非常に難しい可能性はあるか
とは思います。以上です。
○藤野委員
要するにダムに頼らずやるという他の方法としては調整池という方法もな
いことはないよと、ただし、こういうふうな、先ほど申しますように、貴重な耕地もほと
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んどつぶさにゃならんよと、一時借りにゃいかんよと。一時貯めちょくんですね、あれは。
○事務局
そうですね。
○藤野委員
○事務局
貯めちょくと。洪水時に。
はい。
○藤野委員
なるほど。そういうことも検討に一応してみたと。したがって、最終的に
はダムの今嵩上げが一番ベターだと、率直に言えばそういうことですね。
○事務局
事務局の評価としてはそのような形で評価をしているということでございま
す。
○藤野委員
はい、分かった。ありがとうございました。
○斎藤会長
よろしゅうございますか。
何ていうんですかね、これ、コンクリートより人という考え方ですかね、これに基づい
て国土交通省の方から要請が出てきましたので、その要請はなるべく、ダムは今までむだ
じゃないかというのが、何かあちこちのあれでダム反対のあれが出てきまして、それは無
駄だからという反対があったので、そこで全部のダム事業を再点検せえということですね。
ほかに何か。
○植村委員
平成22年の7月の洪水というか被害の件に関してなんですけども、資料
3の13ページによりますと、これは木屋川ダムの流量はあんまり多くなくて、しかしな
がら豊厚橋最大流量が非常に大きいという形になってるんですが、これはダムより下流の
方に雤がたくさん降ったという、そういう理解でよろしいでしょうか。
○事務局
これについてはまた後ほど整備計画の変更の中で説明もありますけれど、平
成22年7月洪水につきましては、ダム上流ではそれほど大きな雤量の降雤がなくて、ど
ちらかというとダムの影響がなかなか難しい下流側で降った雤が合流したことで浸水被害
が起こったということで、治水対策検討委員会の方に諮りまして、そのような評価をいた
だいておるところでございます。
○植村委員
○事務局
後で御説明いただけるわけですね、この辺に関しては。
はい。
○植村委員
わかりました。
○斎藤会長
どうぞ。
○中村委員
中村ですが、先ほどどなたか申されましたですね、今から50年とかいう
単位、これは最終的にはどうなるか分かりませんが、その間に、この前もちょっと出たと
30
思いますが、今言われたように、今のダムのもとが嵩上げして本当に、先日の原発じゃな
いですが、大丈夫、大丈夫と言ってああいうようなことになりましたから、本当にあれで
いいのかなと、ちょっと最近、この資料が来てからどうかなと思うようになったんですが、
本当にあのコンクリートの基礎は今から例えば50年たったとしても大丈夫なんですかね。
またあれから10m上げてばっさり崩れたら、10m分の高さの洪水が起こりますからね。
どうもあやふやな気がしますが、その辺を。
○事務局
先ほどもお話を差し上げておりますが、現時点で例えば東北で起きました大
震災でもかなりのガル数のあった、影響のあったダムが幾つかありますが、それでも、当
然お聞きになったことはないと思うんですけど、大きな被害には至らず、多尐天端の道路
とかにおいてひび割れが起こったという程度で報告を受けております。基本的には国交省
の示すやり方に沿いまして、また国交省の専門家の意見も取り入れながら、設計等、丁寧
に行っております。また、嵩上げにつきましては、先ほども御質問がありましたように、
ダム自身の安全点検も含め、それから今後の綿密な地質調査等も含めまして、より安全な
ように調査、設計をしてまいる所存です。以上です。
○中村委員
今ちょっと言われたんですが、今のダムの点検はされるわけですか、嵩上
げのときには。
○事務局
点検というか、今のコンクリートの状況とかを調査したりということは……。
すみません。今、実は既にダムのコンクリートの強度とか調査をしておりまして、性能的
には問題ないという結果が出ております。
○斎藤会長
計算で出すわけですけど、計算のもとになっとるのは何かというと、過去
のデータですね。降雤量とか時間の分布ですね、そういうやつを、過去のやつから災害に
なるだろうというやつを、過去50年とか60年の間のデータを、降雤のデータを引っ張
り出して、それから確率で出すわけですね。ですから、確率で出すというのは、確率がか
みますから、私はあんまり好きじゃないんですよ。やっぱり確率ちゅうのは、次の年、何
年に1回の確率の雤が降るかなんかは絶対わかりませんもんね。
というのは、私も河川委員会の方で関係したときに、確率の、普通、正規分布確率した
ランダム現象で出てくるわけですから、これは計算上で、何万回かの乱数が発生すれば、
コンピューターの性能の一つのあれになるような、そういうようなやつで、性格がわかっ
とるやつで出てくるんですけども、この降雤のやつの確率ちゅうのはどの式を使うべきか
って、今、7つか8つの式使って出したりするんですよね。だけどどれが本当かというの
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は、要するに分布を出すときの特性というんですか、降雤の特性とか確率性というよりは、
何で決まるのかという理屈がなくて、ただ結果がこうだからこういう式で出しますという
ことで出してますから、そこら辺がかなり、何ていうんですかね、やはり安全度を考えて
ということがあって。それで、絶対に安全な川をつくるといったら、それは絶対できない
はずですね。これ、100年とか1,000年とかの間には大きなやつが出てくるわけで
すから。錦帯橋が流されたのは70年ぐらいの間隔で流されてますから、そういうことを
考えまして、大体もうそういう大きな川に対しては絶対大丈夫だということはできないと
思いますけどね。
○中村委員
せっかくですので、ついでにですけど、ちなみに、あの前に、今のダムの
前に新規に10m高いダムをつくるとやっぱり何百億ですよね。これはあくまでもちなみ
にですけど。
○事務局
ダムの前にダムを、ダムというのが専門的にいうとダムサイトと申しまして、
両側が狭まったところにうまくコンクリートを置くことがコンクリートを節約するという
形になります。今の木屋川ダムの前は随分開けてますので、もし仮に大きなダムをつくる、
10mと同じ嵩上げのダムをつくろうと思ったら、もう相当な大きな、400億ではとて
も済まないような費用になることは間違いないと思います。
○福田委員
すみません、初めて出ましたのでよく内容を把握していないかもしれません
が、私はやっぱり豊田町に住んでおりまして、このことにこだわっちゃいけないのかなと
も思いますが、昨年の7月15日はうちの家も床下に入るかな、入らないかなというとこ
ろまで来ました。で、やはりちょっとこだわりたくなるんですよね、これが。昨年の、先
ほどちょっと話が出てましたけど、日野川といいますか、山陽小野田側がすごい雤で、ざ
っと、高山の貯水池ですかね、あれがふえて私の方の家にだっと押し寄せたということで、
反対側はそうでもなかったという感じなんですよね。木屋川の放水を止められてやっと家
の水位が下がってきたと。それまでは高山の水位と木屋川が合流してどんどん上がってき
たという形であったんですが、それを考えると、あの上に嵩上げということで、先ほどか
ら予備放水とかいろいろ話がありましたが、この辺の形がうまくいくのかどうかというの
が非常に心配なんですよね。一気に降った場合には本当に、予備放水を完璧にできておれ
ばオーケーなんでしょうが、できてない場合の状況となるとどういうふうになるかと、こ
の辺が非常に心配で、ゲートの状況なんていうのは嵩上げをするときに変えられるんかど
うかと、この辺もちょっと気がかりなとこなんですが。
32
○事務局
そうですね、新たに出られた委員の皆様にはなかなか掴みづらいとこもある
かと思いますが、木屋川嵩上げの一番大きな利点は、予備放流を解消することであります。
要は、先ほど藤村の方がお話ししましたように、今の木屋川ダムは利水者との共同で容量
をお互いに持ち分を持ちながらにしておりますので、夏季の洪水期のときにはそれを一旦
利水者の了承のもと、ざあっと流して洪水調節の容量を持とうというのが大きな主題とな
っておりますが、これがなかなか、雤の予報というのが今の3時間後の降水量でも70%
以下という状況、6時間後になればもう0.5%ぐらいしかないというふうに言われてお
ります。そういった将来の降雤というのが今これだけ発達した中でもなかなか見えない中
で、予備放流という形をずっととっていくというのはなかなか難しいという観点がござい
まして、今はダムを嵩上げして、ダムの容量を900万m 3 から1,750万m 3 と2倍
以上にして容量を持たせて、まず安全に保とうというのが大きな主題になります。
2つ目がございまして、今の木屋川ダムはゲート操作、ゲートが鋼鉄製のゲートがつい
てますが、新しい嵩上げダムというのはゲートがつきません。単純に言うと大きな穴があ
いてて、そこに水がたまっていったらじゃあっと流れていくと。私ども、自然調節方式あ
るいは坊主ダムとかって呼んだりしますけれど、一切人間の手が加わらずに、流れる量が
水位が高まることによって多くなるという方式をとりますので、今度は逆にあけたり閉め
たりということができないんですけれど、大きな容量を持って、なおかつ絞った形の放流
をしますので、人間の手が加わらずに自然な形で調節ができるというのが大きな利点とな
っております。
私どもとしては、この2つの点がとても大きな利点になっているというのがありますの
で、評価側ですけれど、事業の方は進めていきたいというのが実情でございます。
○斎藤会長
よろしゅうございますか。
この間の22年の災害は、あれですね、ダムの下流の本川と日野川の合流点、あの間に
強烈な雤が降ったんですよね。それがちょうど両方のピークが重なっちゃったもんですか
ら、がっと上がっちゃったんですね。だから集中豪雤と呼んどるわけですけども、ちょっ
と特殊なやつですけども、実際にここで用いるやつは、そのときに、雤の分布があるんで
すけども、あのときよりも余計、強く降っとる部分を持ってきて計算して、安全なように
計算して出しております。
ただ、放流の問題が今のダムじゃどうしようもないんですね。正式に言えば10時間前
ぐらいから放流しなきゃいけん。だけど放流してしまって後降らなかったときには渇水が
33
起こるわけですよね。それが一つあります。
○八木委員
一つよろしいですかね。
○斎藤会長
はい。
○八木委員
私も初めての参加で、また前後がよくわかってなくて、こんな質問してい
いのかどうかよくわからないんですけど、ただ、今の放流の問題も含めまして、私ども下
流の方におる、菊川町の方に現実におる人間といたしまして、昨年のあの大洪水も、現実
には流れる量の放水と、それから吸収される、周防灘の方へ流れていく、その関係の中で
も随分たまってきたんだろうという気がしてならないんですけども、そうしますと、今の
26手法の中で、実際に工事が行われる判断としての中で、例えば木屋川の中にもう現実
に広くなった河川の中にも州ができちゃって、木立が立ち、何ていいますかね、随分砂が
溜まってる状況の中での流れというのは随分堰き止められてるような気がしてしようがな
いんですけども、そういった工事そのものが現実の工期の流れからしたら判断としてはこ
んなのは関係ないと、目的とする安全度の確保が困難だというような、いわゆるマイナス
の表現でしか判断されてないという、その辺がちょっとよく理解ができないもんで、ちょ
っとその辺を教えて頂けたらと思いまして。ですから、あくまでも流量をどんどんどんど
ん流せばある程度放水も可能だろうし、そしたら、何ていいますかね、嵩上げの部分はあ
る程度、嵩上げは絶対必要かと思いますけれども、木屋川から湯の原へ来て、湯の原から
また流れてくるいう、どこかで流量というのが非常にやっぱり止まっているような気がし
てしようがないので、そこをちゃんとやるための予算立てとか、それから工期自身も全然
そういうものが盛られてないということは、ちょっと不思議だなと。やっぱりその辺も河
川としての位置づけでぴしっとある程度流れるようにしてもらうと、それは非常に大事な
ことじゃないかなと思ってるんですけども、その辺の判断をちょっと教えていただけたら
と思います。
○斎藤会長
○事務局
事務局、いかがですか。
今ちょっと言われましたのは、例えば50ページにございます河道内の樹木
の伐採とか、こういう川の中にたくさん木が生えてるということかなと思いますが、確か
に今、流れに対しては非常に阻害をしているということで、いいことではないということ
であります。先ほど言いましたのは、河川の計画上は木が当然ないものとして計画を立て
ておることから、この目標の安全度は木を切ったとしても確保できないという表現をして
おりますけど、つまりはこれは通常の維持管理上は適切に管理をいたしまして、こういう
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木は伐採するとか、堆積した土砂は掘削するとか、そういった適切な管理のもとに今計画
が成り立ってるということでございまして、先ほどの目標安全度が確保できないというの
は、あくまでも河道計画上は考慮されてますので、確保できませんといった表現をしてお
ります。
○八木委員
そういう意味はある程度理解できるんですけど、ただ現実に、昨年そうや
って起こった、70分の1のレベルの判断なのか、100分の1の判断なのか、10分の
1の判断なのか、1分の1なのかというのをものすごく、気候の変動の激しい、温暖化の
現象も含めて、ことしもまた大雤が降るかも分からんとか、いろいろそういう危険がすぐ
迫ってるという位置づけの中では、この辺も大きな原因をなしているのではないかという
ような気がして。昨年の7月14、15の大雤で洪水になりました、菊川町は。だけど来
年また、再来年はまたそういう可能性が、こういう木立とか、そういうことの整理のない
ことによって起きてるという、その辺の一応下流側の住人にとっては非常に危険度合いが
あるので、これは大きなポイントとは若干話がずれた形になってるかもしれませんけども、
非常に洪水という部分では同じ意味合いを持つんじゃないだろうかと思って主張させてい
ただいております。
○斎藤会長
それは、整備計画の変更がありまして、区間が想定してる区間外で被害に
遭ったとこの対応を変更で、次のあれで議論していただこうと思うんですね。
ほかにございませんか。
どうぞ。
○藤野委員
今質問があった、だから要はダムの嵩上げのみならず、下流についても河
川改修、組み合わせというふうになっておるわけでありますから、ダムの嵩上げをすると
同時に、やはりそういうとこの、これは撤去する、浚渫といいますかね、そういうものを
する必要があるところはやっていき、洪水にも対応できるようなことで一応河川改修と、
こういう組み合わせなんですね。そういうことでやりたいという私はこの計画だと思うん
ですね。
それで、今、上流の、私も上流ですが、ただ、先ほど意見がありましたように、ダムの
嵩上げ、嵩上げいうて我々の土地をつぶして、下流は何一つ、木がいっぱい生えちょって
何ら手を施そうとしないと、これはどういうことかと、理解得られんよという話が一時出
たんです。しかし、ずっとやはり皆さんとこういうふうな協議会を進める中で、私もきょ
うが初めてですけどね、初めてですけども、その経緯を読んでみましたら、なるほどなと。
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ダムの嵩上げをすると同時に、今の下の下流についても河川改修の必要性があるところは
部分的に改修をし、それをセットにして何とか洪水対策でも考えていこうという考え方、
総合的にはそういう考え方だと思うんですね。だから全くダムの嵩上げばっかりの話じゃ
ないんですね。そういうふうに理解するが、これは間違いないですか。
○事務局
間違いございません。そのとおりでございます。
○藤野委員
わかりました。
○斎藤会長
どうぞ。
○金川委員
私、大石・西山地区ダム対策協議会として、地元の代表で今日は来ておる
わけでございますが、このダム嵩上げについて、私どもの方に行政から、ダム下流の住民
の皆さん方の生命と負産を守るためにぜひ必要だから協力してくれということで、私ども
の方に説明に来られるわけなんです。ところが私どもの方に下流の皆さん方から、危機感
というものが私どもの方には全然伝わってないんです。これは残念と思うんです。だから
結局私どもの地権者の中にも、何で我々が下流のために犠牲にならにゃいけんか。危機感
というものが全然伝わってないんです、私どもに。これは残念と思うんです。
そしてもう1点は、先ほども言ったように、行政の方から下流の住民の生命と負産を守
るためにという説明に来られるんですが、地権者に対しての説得力というものが、これは
大変失礼ですが、こういうものがありません。したがって、今後この事業が前に進むので
あれば、担当者はせめて5年ぐらいはおって頂きたい。二、三年で人事異動でかわられる。
そういうことで、私どもの方ではその都度その都度やっぱりいろいろ混乱を招くわけなん
です。したがって、今後やっぱり5年ぐらい、そして立派な人が来られて、僕はダムと心
中するよというぐらいの気持ちで私どもと話を持っていって、そうするとやっぱり地元と
してのコミュニケーションがとれる。行政との信頼関係も出る。そうでないと、今のよう
な状況じゃったら、なかなかどうして私どもも、結構地権者といったら大変なんです、こ
れ。このあたりをよろしくお願いします。
○郷田委員
それでは、ちょっと今、金川さんと同じように、地域、地元住民の協議会
なんですけども、今までの過去の経緯、先ほど河川課の藤村さんから説明ありましたよう
に、私ども三豊地区は、もう23年前ぐらいからこのダムの立ち退きの話があるわけです。
当初は多目的ダム、そして12年前ぐらいからちょっと変わりまして、今度は治水ダム、
かなりやっぱり地域は今、御存じかと思いますけども、豊田湖の湖畔公園というのがあり
ます。これも大型バスがせっかく公園がありながら、これ県立公園なんですけど、せっか
36
くの公園がありながら大型バスも入らないというようなことで、いろんな面でやっぱり三
豊地区は、何ていうか、阻害の部分が随分出てきてます。発展も全然前向きな発展の、目
的はあってもできないというような状況が20何年続いてきてます。
ですからこの辺は、せっかくこうして今日下流の方も出席されておりますので、この資
料も、私ずっと長いこと携わって、10何年携わってきました、事務局長に。それで、こ
の資料はもうこれで私はええというふうに思います。過去5年間ずっと審議されてできた
資料で、22年度が追加されて、これで私はええと思います。ですから今後は、今、これ
をずっと全部見させていただいて、工程表も出てます。これで現地の人間が目に見えて進
み始mなというのはまだ五、六年先ですよね。叩き台の準備はあるでしょうけど。この辺
をこの工程どおりにスムーズに進んでいくように、下流の皆さん方もどんどん声を上げて、
早うやってくれというような方向でせんと、今の協議会も私ずっと携わって会議をしてま
いりますけども、いろんな面で、私は推進協議会だというふうに認識しておりますけども、
地域の感情的な部分からいいますと、するんならする、せんのならせん、はっきりしてく
れというのが現状でございます。ですから、せっかくこうしていい案が出てきたら、でき
るだけ早期着工ができるように、皆さんの御協力を頂きながら、地域の住民の代表として
のお願いになりますけども、この辺を頭に入れて頂いて、早く進んでいくように御尽力い
ただけたらと思います。
○斎藤会長
はい。
○木戸委員
25ページなんですが、これ工程が平成21年から平成41年と、20年
かかりますね。この間また相当な雤も降るかも分かりません。ですから、これも考えの中
の一環としてはいいですが、支川の田部川、それから豊田へ行くと日野川ですか、阿座上
川とかありますね。あの辺の河川改修の方が先決問題じゃないかと思います。要は田部川
についても堆積土砂が、堰が3カ所ぐらい川にあります。そして豪雤になりますと冠水し
ますので、その堰を全部下げて、もう川下におる人は地面から40cmぐらいのとこまで
の水位が流れています。もう危険を感じます。堆積土砂が2mから3mぐらい、石ころば
っかりが転がって、ヨシが生えたりして、木屋川の合流点のところは豪雤のときはやっぱ
り主流の方が優先で流れていきますし、支川の川はもう全然水が行かんのですよ。ですか
ら、川の掘削というんですか、洗掘っていうんですか、そういう方をちょっと力を入れて、
護岸、形態に対しても草じゃなくてブロック張りとか2面張りぐらいを考えていただいて、
要は河川改修を私は要望します。
37
○斎藤会長
河川改修は早くやると思うんですね。ただ、それもこの後で整備計画案で
変更を了承していただいて初めて着工できますので。
工程表、これ、ダムなんかちゅうのは調査とか、環境の影響の調査ですね、これ結構時
間がかかりまして、それとあとダムの設計、これは結局21年に整備計画ができ上がった
わけですけども、それから始めてるという、まず先に準備したらダムありきの議論かちゅ
うて非難されますので、やっぱりやるんだったらこういう計画で、ダムを含めて河川改修
やりたいということをやってきたわけですので。
ただ、今回、ダム検証を国土交通省の要請で出さなければいけないんですね。その点に
ついて、今までのいきさつと検証を事務局から報告されておりまして、これについて何か、
対策の考え方ですか、例えば組み合わせが別な組み合わせはないのかとか、そういうこと
を、それから評価の方法が、例えば事業費とか、そういうものは計算でできるんですけど
も、環境の影響なんかといったら、環境に影響あります言うけども、それがはっきり言っ
てどの方法によっての環境が一番悪いのか、一番いいのかという評価の方法がほとんどで
きないですね。できないけどもしょうがないから提案した案の中で評価するということを
とってきとるわけですけども、そこら辺がちょっと曖昧な差があるんじゃないかというこ
とで、例えばこれを国土交通省に持っていって、この点はどうなんかと突っ込まれたらち
ょっと困るので、そこら辺を何か、事務局から説明されたことに対して疑問を持たれたと
ことか、もう尐し新しい考え、別な考え方がないかなというようなことを出していただけ
ればと思うんですけども。
一応あれですかね、余りそこら辺についての評価が出ておりませんけども、時間もあり
ますので、質疑応答はそろそろ終了したいと思います。次の河川整備の案がありますので
……。
もう1個ですか。
○小田委員
今、会長さんの方で、議事の進行で、次、事務局の方からの御説明がある
かもしれませんけど、ちょっと一つだけ申し述べたいことがあるのでいいでしょうか。
○斎藤会長
はい。
○小田委員
それは、ちょっと視点を、私自身がほかの視点からですけど、ページ数で
いいますと89ページでございます。89ページに各対策案における環境への影響の評価
というのがあります。この中で、1の木屋川ダム嵩上げ+河川改修、あと遊水池とか河川、
いろいろありますが、4項目ありますが、評価の○がついておるのは1の木屋川ダム嵩上
38
げプラス河川改修でございます。具体的には、ここで私がちょっと思いますのは、この河
川改修につきましての工法でございますね、どんな工法で対応されるんだろうかというこ
とをちょっとお聞きしたいなと思った。
と申しますのは、この中で非常に嵩上げすることによって水質の改善とか、これは水質
の改善、それからこれは何といいますか、それから水温も尐し上がるんじゃないかという
こと、水質改善、それとかいろいろあると思いますが、その中で、ダムの建設によって今
の淡水魚とかゲンジボタルですね。ゲンジボタルに対して影響を与えると書いてあります
が、他案に比べては影響は小さいと書いてあります。確かにそうだろうと思います。その
中で、特に環境との関係でございますが、ゲンジボタルはいわゆる音信川と俵山、それか
ら木屋川流域、菊川は含まないですけど、木屋川流域が国の天然記念物に指定されておる
ところでございます。これは本格的に指定されたのは、昭和23年の10月に国から天然
記念物として指定されておりまして、地域挙げて保護活動をしておるところでございます
が、幸い現状では動植物の良好な生息、生育ですか、繁殖等の環境が大変よく保存されて
おると思っております。また、とりわけ豊田では、市民の皆様方が年に2回ぐらい河川の
大掃除をみんな出てされておりますし、非常に環境の保全に努力されておる。そのお陰で
しょうか、今年も大変ゲンジボタルなんかは非常にたくさん出ました。農家の人があんま
り出たからことしはお米が尐しとれなくなるんじゃないかと、何かホタルが余計出ると悪
年と言われることを言われておるようでございますけど、そのぐらい非常に発生量が多く
なりました。これは実際、町内の小学校、中学校の子供たちのホタル情報員の観察により
まして、定点観測しておるわけでございますが、それによっても非常に発生数が増加して
おります。
また、いろいろな、いわゆる文化庁のレッドデータブックに載っております淡水魚の絶
滅種に指定されておるアカザ、オヤニラミ等々も幸い大分復帰しておると、多く見られる
ようになったということは何かミュージアムの学芸員の調査によっても如実にはっきりと、
明確に出ておるところでございます。
そういうふうに水際の植生物の保全、それからそういう維持が大変よくされとると思い
ますが、実際これから20年間にわたって工事をされる場合に、現在のように、何ていい
ますか、工事をされる場合に沈殿池をつくって水を浄化するということ、それから複数の
河川を導水をつくってできるだけ汚れが本流の中へどんどん流れないようにするとか、そ
れからまた、一番大事なのはここのあれだと思います。工期が非常に限定されると思いま
39
す。1年の間で。この前も大井でナカワタ?の工事をやられましたですが、ホタルの発生
期間中は工事をやめておられました。そういうふうに限定されますから、その辺がまたい
ろいろ河川改修されるにつきまして、その辺の対応が非常に工事をされる場合に難しいか
なと思っておるところでございます。
これはどうしても文化庁の方に工事の申請を行政の方でされると思いますから、そのと
きにその裏づけとしての回復処置とか等々出てくるのでございますが、その辺につきまし
て、評価のところに留意点でも何か、これから工事される場合に、そういうことにつきま
しても継続して対応していただけるのかなということをちょっとお聞きしたかったんです。
以上です。ありがとうございました。
○事務局
実際の工事のこととも関係があると思うんですが、基本的には後ほど整備計
画の変更のところでまた詳しく話すとは思いますけれど、そういった天然記念物等のホタ
ルとか、環境に配慮した工事の施工方法、ちょっと具体的にどのようなというのは今私の
方で御明示ができませんけれど、そういったことについては検討は進めていきながらやっ
ていくようになると思います。
それから、こちらの今のダム検証の方の河川改修費の中には、一応そういった濁水処理
でありますとかそういったものを、非常に簡易なものですけれど、評価をいたしまして、
費用として入れておるところでございます。以上でございます。
○斎藤会長
一応ここで質疑応答を終わらせることにいたしまして、事務局では、本日
いただいた御意見、これを集約した上で、後日行われますパブリックコメントよりの意見
を両方とも集約しまして、次回に最終的な対応方針案を示すということのようですので、
次回も熱心な議論をお願いいたします。
まだ発言したいという人がございますれば、全議事終了後に発言してもらいたいと思い
ます。
それでは次に、木屋川水系河川整備計画の変更について、事務局より説明をお願いいた
します。
○事務局
すみません、ちょっと早いんですが、一旦休憩を挟ませていただきましょう。
○斎藤会長
そうですか。そしたら……。
○八木委員
これ、「案」が消えたんですか、どういうふうになるんですか。
○事務局
○八木委員
いや、その「案」はついたままになります。
このまま、ついたままですか。
40
○事務局
○八木委員
○事務局
○斎藤会長
○事務局
はい。
結論がどうだこうだじゃないんですね。
ええ。
5分間休憩ですか。そしたら15分に始めますか。
私の時計は今6分なんですが、あちらの時計でいくと14分ぐらいから始め
たいと思いますので、5分ほど休憩をお願いいたします。
〔休
憩〕
(3)木屋川水系河川整備計画の変更について
○斎藤会長
時間が来ましたので再開させて頂きます。
では、事務局、説明の方をお願いいたします。
○事務局
それでは、木屋川水系河川整備計画(案)について説明いたします。河川課
の松田と申します。よろしくお願いいたします。
冒頭話がありましたが、木屋川水系河川整備計画については、平成14年3月に第1回
川づくり検討委員会を開催し、平成18年1月までに5回の委員会を開催し、平成20年
11月に策定をしております。このたび平成22年7月洪水による浸水被害がありました
ことから、見直すこととしました。また、ダム事業の検証と並行して進めていくこととし
ていますが、ダムの嵩上げを盛り込んだ内容となっています。
整備計画案の本文は資料の3で、資料の4が既往の整備計画との新旧対比表ですが、本
日の説明は、本文の内容をわかりやすいように編集した資料5の木屋川の川づくり(案)
で説明いたします。資料5と前のスライドを併せてご覧下さい。また、スライドの右下に
資料5の木屋川の川づくり(案)の対応するページを表示していますので、画面が見えに
くい場合はお手元の資料で御確認ください。
本日の説明は、ここに示した1から5の項目について行います。河川整備計画について、
流域と河川の概要、木屋川の川づくりに関する目標、整備の内容、川の維持管理について
御説明いたします。
最初に、河川法の改正の流れについて説明いたします。
明治29年、昭和39年、平成9年と順次改正されておりまして、現在では治水、利水、
環境の総合的な河川制度の整備がなされています。
続いて、川づくり資料の2ページをご覧下さい。現在の河川法では、河川計画について
長期的な方針である河川整備基本方針と中期的な計画である河川整備計画の作成が義務づ
41
けられています。木屋川の河川整備計画では、おおむね30年を対象期間とし、木屋川水
系において県が管理している本川や支川などすべてを対象としております。
なお、河川整備計画は、川づくり検討委員会により関係住民や学識経験者の意見を聞き
策定することとなっています。本日の木屋川水系川づくり検討委員会が意見聴取の場に当
たります。また、後ほどまた説明しますが、明日から2週間、関係土木事務所と市役所で
本日の資料の縦覧を行い、意見聴取を行うこととしております。
続いて、川づくり資料の3ページをご覧下さい。河川整備計画のポイントについて書い
ております。治水、利水、河川環境の整備と保全について総合的に判断し、整備計画を実
施していくというふうになっております。
続いて、川づくり資料の4ページをご覧下さい。整備計画の見直しの流れについて御説
明いたします。
木屋川水系では、平成19年度に河川整備基本方針、平成20年度に河川整備計画を策
定済みでしたが、昨年7月の洪水では、既往の河川整備計画の目標流量としていた平成1
1年6月洪水の規模やダム完成後最大であった昭和34年7月の洪水規模を上回りました。
また、既往の整備計画での整備の対象区間外でも浸水被害が発生しました。このため河川
整備計画を見直すこととしました。
ここで、昨年、一昨年と2年続けて山口県では局所的な集中豪雤が発生し、甚大な災害
が発生したことから、昨年度、局地的な集中豪雤に対応した治水対策検討委員会を設置し、
委員会の中で木屋川について検討しておりますので、簡単に御説明いたします。
すみません、資料には載せておりませんので、スクリーンをご覧下さい。
委員会の趣旨は、近年局地的な集中豪雤が頻発し、河川の氾濫により甚大な災害が発生
していることから、こうした豪雤にも対応した治水対策における河川整備、ダム管理や河
川管理の課題を明確にし、今後の対応策の検討を行うというものです。
委員については、河川、土木・環境、防災、水文・気象災害、気象、ダムに係る6名の
専門家から構成されておりまして、本委員会の斎藤会長は委員長を務めていただいており
ます。
木屋川については、平成22年の8月、平成22年10月の2回で検討を行い、河川整
備計画、ダム管理について検討を行っております。
委員会では、平成22年7月洪水は下関市豊田町の日野川合流点付近で既往の整備計画
の目標流量を上回ったため、目標流量を見直す必要があること、また、整備対象区間につ
42
いては、既往の整備計画の対象区間外となる下関市菊川町の真菰川や田部川合流点付近に
おいて甚大な被害が発生したため、整備対象区間を延伸する必要があるとの意見を頂きま
した。今回の整備計画案については、この意見を踏まえ見直しを行っております。
では、ここから木屋川の河川整備計画の具体的な内容について説明していきます。
資料の6ページをご覧下さい。木屋川水系の流域の概要図を示してます。上流の俵山か
ら豊田、菊川を経て、小月で周防灘に流れ込むというふうになっておりまして、流域面積
は299.8km 2 、流路延長は43.7km、関係する市町としては長門市、美祢市、
下関市というふうになっております。
続いて、資料の7ページをご覧下さい。流域の人口についてです。人口は、上流側の長
門市が13万8,000人、中・下流部の美祢市が約2万9,000人、下関市が28万
1,000人となっております。
続いて、土地利用の現状についてです。山地が全体の8割を占め、残りの部分は水田が
大部分を占めております。
続いて、資料の9ページをご覧下さい。流域の気候について御説明いたします。
左側の気温についてですが、年平均気温は14度から17度と比較的温暖です。瀬戸内
沿岸に比べ、流域の中・上流域は二、三度低くなっております。右側に年間降水量等を示
してますけれども、年間降水量は1,600から2,000mm、瀬戸内沿岸と比べ、
中・上流域が100から500mm程度多い傾向にあります。
続いて、資料の10ページをご覧下さい。航空写真等により木屋川の概要を示しており
ます。この図は、河口から湯の原ダム付近までのものです。
続いて、資料の11ページをご覧下さい。中流域の湯の原ダムから下関市豊田町西市付
近についてです。写真の10が昨年度浸水被害が発生した日野川合流点付近となっており
ます。
続いて、資料の12ページをご覧下さい。下関市豊田町西市から木屋川ダムを経て上流
にかけてです。写真16が木屋川ダム付近となっております。写真17は木屋川ダムより
上流の木津川合流点付近の写真です。
続いて、資料の13ページをご覧下さい。田部川の航空写真です。右下が下流の木屋川
合流点側、左上が上流となっております。写真の19が乳原井堰付近となっております。
資料の15ページをご覧下さい。近年の災害について御説明をいたします。
過去の主要な洪水について示しております。ダム完成後の昭和30年以降においても浸
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水被害が発生する洪水が起こっております。直近では昨年7月、平成11年6月に被害が
発生しています。洪水の流量については、昭和34年7月の豊厚橋地点で1,487m 3
/s、昨年7月が1,760m 3/sと特に大きな値となっております。
ここで、昨年7月の洪水の状況を詳しく御説明いたします。お手元の資料には載せてお
りませんので、スクリーンをご覧下さい。
昨年の豪雤では、7月15日の未明から朝にかけて前線の活動が活発化し、美祢市や下
関市を中心に時間50mm以上の豪雤となり、下関市豊田町では72mmを記録していま
す。また、このときの降雤の特徴の一つとして、長時間にわたって降雤が続いており、7
月10日から7月15日の間降り続き、その間の総雤量は下関市豊田町で平年の7月の降
水量の1.5倍を超える570mmとなりました。
この図は、15日の午前3時から午前8時の時間ごとのレーダー雤量です。赤色が強い
降雤をあらわしております。山口県西部の木屋川流域では、長時間にわたり強い雤が継続
していたことがわかります。また、この降雤の特徴ですが、梅雤前線の南下に伴い、強い
雤域が木屋川の流域の上流から下流に移動しております。
続いて、左側の総雤量分布図をご覧下さい。図の赤線で囲まれた範囲が総雤量550m
m以上の区間です。中流部の広い範囲において総雤量が大きくなっております。また、右
側の上から2段目のグラフが中流の一ノ瀬の雤量グラフです。雤は7月10日から降り続
き、最終日の7月15日に時間雤量68mmという大きな降雤がありました。
続いて、水位変化についてです。左側の図の6カ所に水位局があり、右のグラフで雤量、
水位を示しています。このグラフは横軸が7月12日から15日までの時間、縦軸左側が
水位、縦軸右側が時間雤量となっております。上の棒グラフが時間雤量、下の折れ線グラ
フが水位を示しております。
木屋川ダムの上流の大羽山水位局では、7月12日の午後から降雤が継続し、14日の
午前7時に避難判断水位を超過する2.87mまで水位が上昇しているものの、危険水位
の3.8mに対しては余裕があります。その一方で、ダム下流の下関市豊田町の長正寺の
水位局では、7月15日の午前8時に避難判断水位を超過する4.34mまで水位が上昇
し、危険水位の4.5mに近い水位まで達しております。
次に、さらに下流の水位についてです。日野川合流点下流の石町の水位局では、7月1
5日の午前7時に氾濫危険水位を超過する5.75mまで水位が上昇しています。このこ
とは日野川の流量が大きかったことを示しております。さらに下流の田部川合流点下流の
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下関市菊川町の上大野水位局でも、午前9時に氾濫危険水位を超過する6.57mまで水
位が上昇しています。
洪水の流量についてです。日野川合流後の石町、田部川合流後の大野地点のグラフです。
まず、右上のグラフが石町についてのものです。横軸が時間、縦軸左側が流量、縦軸右
側が時間雤量となっており、上の棒グラフが雤量、下の折れ線グラフが流量をあらわして
おります。青線が日野川合流前の木屋川本川の流量、赤色が日野川合流後の本川の流量、
黄色が日野川の流量です。木屋川、日野川のピークの流量が午前7時ごろで重なっている
ことがわかります。また、日野川のピーク時の流量は、木屋川の本川の流量に匹敵する規
模となっております。
下のグラフは田部川合流前の木屋川本川、合流後の大野地点、田部川の流量をあらわし
ております。木屋川、田部川のピークが午前9時ごろで重なっているのがわかります。
平成22年7月の豪雤の特徴を整理しますと、まず、降雤の特徴として、7月10日か
ら7月15日の長時間にわたって降雤が続き、最後の7月15日に時間雤量50mmから
70mm程度の非常に強い降雤があったこと、また、ダムの下流で特に強い降雤があった
と、梅雤前線の南下に伴って強い雤域が木屋川流域の上流から下流に移動したことが上げ
られます。このため、河川の流量は長い降雤により土壌が飽和しており、大きな流出が生
じ、特にダムの下流で大きな流出が生じました。そして特に強い雤域が上流域から下流に
移動したことにより、木屋川本川と日野川、真菰川、田部川などの各支川と流出のピーク
が重なり、大きな流量が木屋川に流れ込むこととなりました。この結果、日野川合流点付
近や真菰川、田部川の合流点付近において大きな浸水被害が発生しました。また、木屋川
本川の水位が大きく上昇した結果、局所的に堤防の低くなっている霞堤、霞堤については
後ほど御説明しますが、そこからの逆流による浸水も発生しました。
資料に戻っていただいて、16ページをご覧下さい。浸水の状況について、実際の状況
について説明いたします。
下関市豊田町内の平成11年、22年の洪水の状況です。平成11年は日野川合流点よ
り上流、22年は日野川合流点付近の浸水状況の写真です。
続きまして、資料の17ページをご覧下さい。下関市豊田町内の平成11年、22年の
実際の浸水の範囲図です。水色は平成11年、青色が平成22年です。平成22年の洪水
は、木屋川ダム下流域と日野川流域の降雤が多く流量が大きかったため、日野川合流点付
近で広範囲に浸水が起こっています。
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資料の18ページをご覧下さい。下関市菊川町の平成22年の洪水における浸水範囲と
写真です。木屋川本川の水位が高かったことから、真菰川でその水位の影響を受けて越水
が起こりました。歌野川合流点付近からも下流の霞堤において木屋川本川からの逆流によ
り浸水が起こりました。
霞堤は下関市菊川町内に5カ所あり、地図を資料の20ページにつけております。霞堤
とは、越水により下流の河道のピーク流量を低減させることを目的としたもので、部分的
に低い堤防のことです。この5カ所の開口幅は下流から125m、40m、100mと、
真菰川合流点付近で15m、歌野川合流点付近の100mとなっております。
続いて、資料の19ページをご覧下さい。こちらはさらに下流の浸水範囲図です。中国
道から上流の左岸側、中国道から下流の右岸側のそれぞれの霞堤において、本川木屋川か
らの逆流により浸水が起こっています。左岸とは下流を向いて左側、右岸とは下流を向い
て右側のことです。
続いて、資料の21ページをご覧下さい。これまでの河川改修等の状況です。木屋川本
川については河口付近から湯の原ダム上流付近までの区間は改修が行われております。ま
た、下関市豊田町西市付近、田部川においても一部改修が行われています。また、木屋川
ダムは昭和30年に完成しており、湯の原ダムは平成3年に完成をしております。
続いて、高潮の被害についてです。資料の22ページをご覧下さい。平成11年9月の
台風18号により被害が発生しております。その後、再度災害防止の観点から高潮対策事
業を実施しており、平成17年度に完成をしております。
続きまして、資料の24ページをご覧下さい。ここから水の利用と水質について御説明
をいたします。
取水量についてですけれども、農業用水が1.1m 3 /sと、上水が1.7m 3 /s、
工業用水が1.1m 3 /sとなっておりまして、このうち2.7m 3 /sが湯の原ダムで
取水をされております。
続いて、資料の26ページをご覧下さい。渇水の被害についてです。過去に被害が頻発
しておりまして、平成6年では最大節水率が55%となっております。また、近年では平
成14年に8月から1月までの間、172日間節水が行われております。
続いて、資料の27ページをご覧下さい。水質についてです。木屋川では、水質につい
ては吉田堰から上流は環境基準のA類型に指定され、吉田堰から下流はB類型に指定され
ています。また、豊田湖については湖沼のA類型に指定されています。上流から西山橋、
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豊田湖、木屋川ダムですけれども、豊東橋、豊厚橋の4カ所で水質の測定が行われており
ます。
続いて、資料の27ページの右側をご覧下さい。河川のBOD値についてです。17年
以降はすべての地点でBODの環境基準値を達成しております。
続いて、木屋川ダム、豊田湖についてです。全窒素、全燐、CODについて基準値を達
成できておらず、横ばいとなっております。
続いて、自然環境についてです。資料の31ページからご覧下さい。
豊田湖周辺は豊田県立自然公園に指定されており、中・上流域の長門市、下関市豊田町
では、木屋川・音信川ゲンジボタル発生地として国の天然記念物に指定されております。
また、河口周辺の干潟には多数の生物が生息しており、鳥類の餌場としても利用されてお
ります。
植物の貴重種についてですが、コイヌガラシ、ハイハマボッス、ミズニラなどが生息を
しております。
続いて、資料の32ページをご覧下さい。魚介類についてです。上流域ではオヤニラミ、
中流域にはクロヨシノボリ等が生息をしております。また、感潮域においては干潟にセン
ベイアワモチ等の多くの貴重な貝類が生息しております。
続いて、資料の33ページをご覧下さい。鳥類についてです。木屋川ダム周辺ではミサ
ゴ、オシドリ、下流域ではチュウサギなどが生育しております。
続いて、資料の34ページをご覧下さい。両生類、哺乳類、昆虫類についてです。上流
域のモリアオガエル、ブチサンショウウオ、上・中流域のゲンジボタルなどが生息してお
ります。
続いて、資料の38ページをご覧下さい。河口の干潟に生息しているセンベイアワモチ
等の貴重種について、保全対策を計画しております。この図の中央にある中州は、現在セ
ンベイアワモチ等の生息場所となっており、暫定的に保存をしております。保全対策はモ
ニタリング調査を実施しながら行っていくこととしています。
続いて、資料の39ページですが、これが保全対策のイメージ図です。
続いて、資料の40ページから42ページをご覧下さい。木屋川本川では、河口付近の
木屋川ラブリバーパーク、吉田堰付近の吉田河川公園、豊田湖には豊田湖畔公園がありま
す。また、下関市豊田町では毎年6月にホタル舟が運航されております。
続いて、43ページをご覧下さい。漁業権についてです。上流域の俵山河川漁業協同組
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合及び吉田川漁業協同組合に第5種共同漁業権が免許され、アユ、ウナギ、ハヤ等が対象
魚種となっております。また、河口部では吉田川漁業協同組合、山口県漁業協同組合に第
1種共同漁業権が免許され、シジミ等が対象種となっております。
続いて、資料の44、45ページをご覧下さい。名勝、文化、観光についてです。上流
域には俵山温泉、石柱渓があります。また、西市陵墓参考地があります。下関市豊田町に
はホタルの里ミュージアムがあると。
続いて、資料の50ページをご覧下さい。治水上の課題についてです。
まず、ダムについてですけれども、先ほど説明はありましたけれども、予備放流方式を
採用しております。計画どおりの洪水調節が困難なことや、利水容量と洪水調節容量が重
複しており、安定した利水の供給が困難な状況となっております。
続いて、資料の51ページをご覧下さい。河川の整備について御説明いたします。
既往の河川整備計画については、木屋川本川について、平成11年6月洪水規模の出水
に対して洪水の安全な流下を図り、また、昭和34年7月洪水規模の出水に対しては浸水
被害の軽減を図ることとしていました。この意味については後ほど御説明しますが、既往
の計画では平成11年、昭和34年とも堤防を越流させない計画としておりました。しか
し、平成22年7月の洪水では、既往の整備計画の目標流量となっている平成11年や昭
和34年の洪水規模を超える出水となり、また、改修区間外である真菰川や田部川合流点
付近等で大きな浸水被害が発生しました。
この図は各点での流量を示したものです。日野川合流点から下流は平成22年の洪水規
模が昭和34年を超えております。このため整備計画を見直すこととしました。
資料の52ページをご覧下さい。これから治水の課題を踏まえ、整備の目標を次のよう
に定めました。
まず、治水についてですが、木屋川本川については、平成11年6月洪水を安全に流し、
昭和34年7月に加え、平成22年7月洪水規模に対しても浸水被害の軽減を図ることと
しています。また、田部川、願王寺川については、現在の整備計画と同様に50年に1回
発生する洪水規模や10年に1回発生する洪水規模に対して安全に流すということにして
おります。真菰川については、新たに改修を位置づけ、10年に1回発生する洪水を安全
に流すこととします。詳細は後ほど御説明します。
続いて、利水、環境についてです。こちらは、既往の整備計画と同じですが、利水につ
いては安定供給に努める。また、環境については動植物の保護に十分配慮し、学識経験者
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や地域の方々の意見を参考にして整備を行うとしております。
治水について、現在の整備計画と内容が大きく変わっておりますので、この点について
御説明いたします。資料の53ページをご覧下さい。
まず、平成22年の洪水についてですが、日野川合流点下流において昭和34年7月洪
水の規模を上回り、日野川合流点付近で木屋川の越水により浸水被害が発生し、下関市菊
川町内では木屋川本川の水位が高いため、その影響で真菰川の越水による浸水が発生しま
した。また、歌野川合流点付近から下流の霞堤5カ所において、木屋川本川からの逆流に
よる浸水被害が発生しました。
これに対し、変更整備計画案では、再度の災害防止を図るため、整備目標に昭和34年
の7月の洪水と同様に平成22年7月の出水に対し浸水被害の軽減を図ることを盛り込み、
木屋川の下関市豊田町の改修内容、延長を変更しました。また、菊川町内の木屋川の霞堤
の嵩上げ、真菰川の改修を盛り込みました。
続いて、資料は尐し飛びますけど、56ページをご覧下さい。昭和34年7月、平成2
2年7月の洪水規模の出水に対して浸水被害の軽減を図ることとしたことについてですが、
具体的な改修内容は、この図に示すように、余裕高を利用し、堤防からの越水を防止する
というものです。余裕高とは、洪水時のうねりによる水面上昇や流下物に対する堤防の安
全を確保するために必要な高さですが、ここを利用することによって概ね堤防からの越水
は防止することができます。なお、平成11年6月規模の洪水については、計画水位で安
全な流下を図ることとしております。
続いて、資料の55ページをご覧下さい。これによって、目標流量は平成11年6月洪
水規模ですが、昭和34年洪水に加え、平成22年洪水についても堤防からの越水は防止
できるということになります。平成22年洪水についてですが、現在の木屋川ダムの洪水
調節でも日野川合流点付近の越水を防止できるというふうにしております。
続いて、尐し戻りますけど、資料の54ページをご覧下さい。平成22年の洪水を安全
な流下を図るのではなく浸水被害の軽減を図ることとした理由については、平成22年の
洪水の規模がかなり大きいことによるものです。この図は昭和34年、平成11年、平成
22年の日野川合流点、大野地点の流量を示したものですが、平成22年の洪水は、将来
の目標である河川整備基本方針における整備目標である70年に1回発生する大雤と同程
度の流量となっております。この規模の洪水を安全に流下させるには莫大な事業費と期間
を要するため、平成22年の洪水に対しては浸水被害の軽減を図ることを目標としました。
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続いて、資料の60ページをご覧下さい。ここでは具体的な整備区間についてを示して
おります。木屋川本川は、ダムの嵩上げに下関市豊田町の約3,200m、菊川町内の6,
000m、田部川の2,200m、願王寺川の2,300m、今回追加した真菰川につい
ては1,000mとしております。既往の整備計画からの変更箇所は赤字の部分です。
続いて、資料の61ページをご覧下さい。治水対策箇所の位置はこの図のとおりです。
赤で表示した箇所が今回変更または追加となった部分です。下流の菊川の付近の赤の丸は
霞堤をあらわしております。
続いて、資料の62ページをご覧下さい。先ほども御説明はありましたが、ダムの嵩上
げについてです。治水面、利水面における現状の問題点を解消するために、木屋川ダムの
嵩上げを行い、所定の容量を確保するものとします。
続きまして、資料の63ページです。ダムの嵩上げのメリットとしては、治水上の課題
であった予備放流が不要となります。また、流水の正常な機能の維持について、大野堰下
流において、動植物の生息・生育条件、流水の清潔の保持、河川にふさわしい景観などの
観点により、おおむね1m 3 /sの流量を確保できます。また、ダムの選択取水設備の設
置により、水質や水温の改善が期待できます。
続いて、資料の71ページをご覧下さい。河川の改修についてです。木屋川本川につい
ては、下関市豊田町では、鳴瀬橋下流から手洗堰付近まで約3,200mの改修を行いま
す。既往の整備計画では約3,000mの改修としておりましたが、昨年の洪水の規模で
も越流しない計画としたため、鳴瀬橋から下流の200mの改修を追加し、3,200m
としました。
続いて、下関市菊川町についてです。霞堤において木屋川本川からの逆流の対策として、
中国道下流から歌野川合流点付近までの約6,000mの間にある霞堤5カ所の嵩上げを
行います。
続いて、資料の72ページをご覧下さい。この図が木屋川の河口から湯の原ダムまでの
流下能力図です。縦軸が流量、横軸が河口からの距離を示しています。横軸の左側が河口
で右側が上流です。また、横軸より上のグラフが右岸側、下のグラフが左岸側の流下能力
を示しており、それぞれの堤防がどれほどの流量まで越流しないで流せるかということを
示しています。右岸側とは下流を向いて右側……。すみません、失礼しました。現在の河
道の流下能力を青線で示していますが、中央側に飛び出た緑色、塗りつぶしてある部分が
流下能力が不足している箇所で、霞堤の5カ所を示しております。霞堤とは、先ほども御
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説明しましたが、不連続堤や部分的に低い堤防で、越水により下流の河道のピークの流量
を低減させることを目的としたものですが、下流の河道が整備され流下能力があることか
ら、嵩上げを行うこととしました。なお、各霞堤付近には支川があり、この部分は嵩上げ
せずに開口されておるため、内水は排除できます。
続いて、資料の73ページをご覧下さい。木屋川の湯の原ダムから下関市豊田町西市付
近の流下能力図です。約3,200mの改修を行うこととします。上流側は手洗堰の固定
堰から可動堰への改修であり、これにより上流の約2キロの流下能力の向上も図れます。
続いて、資料の74ページをご覧下さい。この図は、日野川合流点付近の標準的な改修
の断面図です。堤防を引いて河道を拡幅し、両岸の堤防を嵩上げします。掘削形状を工夫
することで、動植物の生育・生息環境に配慮した河道内環境を創出します。また、この部
分についてはゲンジボタルの発生地として天然記念物になっておりまして、文化庁と協議
を行った上で工法を決めていくということになるかと思います。
続いて、下関市菊川町の中国道より下流付近の標準的な改修の断面図です。右岸側の霞
堤を嵩上げします。
続いて、資料の75ページをご覧下さい。田部川についてです。この内容は既往の整備
計画と変更しておりませんが、下関市菊川町日新の乳原井堰から上流約2.2kmの改修
を行い、50年に1回発生するような洪水を安全に流下できるようにします。
続いて、資料の76ページをご覧下さい。乳原井堰から上流の区間について流下能力が
不足しております。この間の改修を行います。
続いて、資料の77ページですけれども、改修の標準的な断面図です。
続いて、資料の78ページをご覧下さい。願王寺川についてです。願王寺川についても
既往の整備計画と変更しておりませんが、田部川合流点から上田部大堤までの約2.3k
mの改修を行い、10年に1回発生するような洪水が安全に流下できるようにします。
資料の79ページですけれども、この図が流下能力図です。この区間について改修を行
います。
続いて、資料の80ページです。田部川合流点付近から上流の標準的な改修の断面図で
す。
続いて、資料の81ページをご覧下さい。今回追加した真菰川についてです。木屋川合
流点から棟田橋の約1キロの改修を行い、10年に1回発生するような洪水が安全に流下
できるようにします。
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続いて、資料の82ページをご覧下さい。この流下能力図は、真菰川について、木屋川
からの背水の影響を含まない木屋川の水位が高くない場合のものです。背水とは、背中の
背に水と書いて、本川側の水位が高いため、支川がその影響を受けて流れにくくなり水位
が上昇する現象のことです。木屋川本川の背水の影響を受けない場合の流下能力はおおむ
ねあります。
続いて、資料の83ページをご覧下さい。この図は真菰川の水位や堤防の高さを示した
図で、木屋川本川の水位が高い場合について背水の影響を考慮したものです。縦軸が標高、
横軸が木屋川合流点からの距離としておりまして、現況の堤防高が茶色、赤線が真菰川の
計画の水位で、本川水位の影響で高くなっております。青線が計画の堤防高です。黄色で
着色している部分が計画の堤防高を下回っている部分ですので、この区間を嵩上げします。
図の左側の木屋川合流点付近では約3mの嵩上げとなります。
続いて、資料の84ページをご覧下さい。この図は木屋川合流点上流付近の真菰川の横
断図です。既設の護岸の上に新たにブロック積みを行い、堤防を嵩上げします。また、余
裕高の対応として、その上にコンクリート壁を設置します。
続いて、川の維持管理について御説明いたします。資料の85ページをご覧下さい。目
的は治水、利水、環境でありまして、維持管理の内容は、まず河川管理施設の維持管理が
上げられます。平常時に河川巡視などを行って、必要に応じて補修や修繕を行います。ま
た、河道の堆積土砂の撤去についても環境に配慮しながら実施します。
洪水情報の提供については、お配りしております1枚紙のパンフレットをご覧下さい。
山口県では山口県土木防災情報システムを構築しておりまして、県内の防災情報を集約し
て、インターネットなどで防災機関や住民へ情報を配信しております。
続いて、河川の適正利用と管理についてですが、河川愛護の啓発に努め、地域の川とし
て地域住民に親しんでいただけるように努めます。
また、河川整備計画(案)についてですが、今後も地域の社会・経済情勢の変化、災害
の発生等により、必要に応じて見直しをしていきます。
続いて、資料の87ページですけれども、これが土木防災情報システムで見ることがで
きる木屋川の水位の画面です。降雤の状況や水位の状況をリアルタイムで確認することが
できます。
木屋川の川づくりについての説明は以上となりますが、各河川の事業の経済性について
加えて御説明いたします。資料の最後の経済性の検討のページをご覧下さい。
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木屋川本川については、工事費260億円に比べ便益が330億円と大きくなっており、
事業は妥当であると判断しております。便益については、計画規模の洪水が起こった場合
での現状と整備後の被害額の差として算出した額としています。
田部川についても工事費約20億円に比べ便益30億円の方が大きく、事業は妥当であ
ると判断しております。
願王寺川についても工事費10億円に比べ便益費50億円の方が大きく、事業は妥当で
あると判断しております。
真菰川についても工事費10億円に比べ便益費約20億円の方が大きく、事業は妥当で
あると判断をしております。
最後に、委員会資料の縦覧についてですが、木屋川の川づくりについて住民の皆様から
広く意見をお聞きするため、関係する市町、土木事務所において資料を縦覧いたします。
縦覧は河川整備計画(案)の本文と木屋川の川づくり(案)です。縦覧の期間はあすから
8月10日の木曜日までとしています。
以上で木屋川水系河川整備計画(案)の説明を終わります。どうもありがとうございま
した。
(4)質疑応答
○斎藤会長
どうもありがとうございました。
ここで休憩入れますか。もういいですね。
事務局から説明がありました河川整備計画の変更について、御意見を伺いたいと思いま
す。
どうぞ。
○植村委員
最後の費用便益ですが、これは例えば工期というのは30年という計画期
間にかかって整備されるということですか。便益についてはやっぱり50年で評価されて
るわけですか。
○事務局
河川課の橫田です。よろしくお願いします。
先ほど説明がありましたように、便益については国交省の示すマニュアルに従って、5
0年という形で算出しております。一方で、河川整備計画というのは中期的な、概ね30
年の整備計画ということをこれも位置づけられてますので、そういった形で整備計画は3
0年、便益については50年という形で算出しております。
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○西田委員
私、内日から来ておりますが、今日初めての会合でございますが、その中
で、今の説明の中で、私のところは田部川の上流に位置するわけですが、田部川というこ
ともかなり出ました。その中で、上流にかかわる要するに整備計画といいますか、そうい
ったことについてちょっとお伺いしたいわけですが、まず60ページ、それから53ペー
ジに田部川の乳原井堰と、これの改修のことが書いてありますが、要するに田部川、この
後ろを流れとる川でございますが、これがずっと行きまして、今の乳原井堰と、これはち
ょうど旧菊川町と内日との境界あたりに位置するとこです。その下流までは非常に立派に、
何ていいますか、この二、三年前には若干スローをしましたけど、そこまではきちっと整
備ができました。乳原井堰を含めて、これから上流、内日側になるわけですが、これにつ
いて10年来、何とか早く工事をやって欲しいとずっと要望してまいりました。私、今日、
河川愛護ということで来ておりますけど、もう一つ自治連合会の会長をしておりますが、
そういう中で地元でも常にこの話が出るのが、なぜあそこまであれほど立派に早く改修は
できて、あれから上に来ないんかと、内日に来ないんかという話が常に出るわけです。こ
の辺りにつきまして、何ていいますか、予算的な面とかいろんなものがあると思いますが、
今から先の、ここに書いてあることとは思いますけど、その辺の予定といいますか、いう
ようなものが尐しでも話していただければと思っております。
○事務局
河川課の末岡と申します。私の方から説明を。
田部川については、昭和45年から河川改修に着手しておりまして、今おっしゃったよ
うに乳原堰の下流まで、約6.8kmの区間は改修済みになっております。治水安全度は
向上してるんですが、乳原井堰の上流についても一応計画はあるんですけど、平成17年
7月に梅雤前線による豪雤があって、またその後、平成21年7月に豪雤災害がありまし
た。その後、22年、去年ですね、7月15日に豪雤災害があったということで、実際に
浸水被害のあったとこがありましたので、そちらの方の河川改修を今から重点的にやりた
いということで、大変申しわけないんですけど、乳原井堰より上流については河川改修の
方はちょっと遅れているというか、そういうふうな状況になっております。
浸水被害があったところについて、今から重点的に河川改修の方をやっていくんですけ
ど、ある程度予算的な目処が立ったら、できるだけ早期に乳原井堰から上流についても河
川改修の方の着手をしていきたいと考えておりますので、そこら辺の方、御理解の方をよ
ろしくお願いしたいと思います。申し分けないです。
○西田委員
それでは、それにちょっとつけ加えてでございますけど、今の乳原井堰、
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このあたりの改修がされたら、要するに河床が2mぐらい下がるというように聞いておる
わけなんです。これから先の上流は、その2m河床が下がらないと、やはり根本的な対策
にならないと思うんです。そういう意味で、是非ともここをやってもらいたいと、そうい
う気持ちでおります。よろしくお願いします。
○斎藤会長
ほかに。整備を行う区間、これに対して具体的な御要望がありましたら。
計画そのもの全体についても御意見がありましたらお伺いしたいと思いますが。
○大賀委員
私は、木屋川の一番下流におる漁業組合でございます。大賀です。雤季時
期になって、川の廃品回収をするように川をきれいにしてもらいたい。お願いですけどね。
これ、どうしてもうちの海に流れるんですから、終末処理場みたいなんとまだ悪いんです
いね。ごみが。これ、行政に頼んでいいもんか、どこに頼んでいいもんか、ちょっとそれ
が……。
○斎藤会長
それは河川課に……。
○大賀委員
河川課ですかね。市に頼みゃあいいんですかいね。これは航行もできにゃ
あ何にもできん。物が、とにかく雤季時期になってダム抜いたときには、もうマス網も皆
全部倒れるんです、ごみで。商売上がったりですいね。全部それは、年に3回か4回か大
水が出るんやろうけど、ちょっとの水でも出るからね、その分をちょっと川の清掃をする
ように、何とか木屋川水系の方でお願いできんもんじゃろうか。中尾さんの代理さん、ど
うですかね、これ。河川課だけじゃできんのじゃないんですか。被るのは一番下ですしね。
○西野委員
網を破るほどのごみというので、どんなもんか相談……(発言する者あ
り)いやいや、木の流木とか、そんなんまであるんじゃないですか。それから河川清掃な
んかは、ごみについては愛護団体というのに尐しですけども補助して、年何回かですけど
も掃除してもらうようにしてるんですけども、大水のときの流木とかの流出とかいうのは
なかなか、管理は県の方になると思いますけども、余りこさぐと先ほど環境の問題も、生
物の問題もありますし、いろいろ兼ね合いが難しい状態だと思うんですよね。それで、や
っぱり災害なんかなという部分で、物ですよね、物が……。
○大賀委員
雤季に入る前に1回清掃してもらうと何ぼか違うんじゃないかと思うんで
すいね。それは全然いけませんです。
○西野委員
先ほど申しました河川愛護団体ですか、そういうところについては1回そ
ういう時期に、雤季の前に清掃なんかをしてもらうようにお願いはしてみたいと思います。
○大賀委員
それとやっぱり中州ができとるね。やっぱり水が流れるように、常時物が
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ひっかかったりなんかすると水害のもとになるですし、スムーズに水が流れるようにやっ
てくれれば流木もひっかからんで、流らんで済むんじゃなかろうかって思うんですいね。
とにかく尐々のごみじゃないんです。
○斎藤会長
灌木か何かにひっかかっとるんですか、ごみが。
○大賀委員
はい。もう全然話にならんです。それが干潟の上へ堆積する。それでドベ
がかぶる。水が流れる分はしょうがないですいね。だから流木が流れたりごみが流れたり、
尐々するもんじゃないんです。
○斎藤会長
ということは灌木を切らないけないということですかね。
○大賀委員
ほやけ、行政に頼んで河川の掃除を、取ってもらうとちいたあ……。
○事務局(末岡)
河川のごみについては、一応ちょっと現地の方を見させて頂いて、ま
た対応の方をちょっと検討させて頂くということで……。
○大賀委員
はい。あんた方もダム抜いたときに来て下さい。うちたち下流におります。
どれだけ流れるか。
○事務局
はい。現地の方を見に行きたいと思いますので。
○大賀委員
○事務局
何なら僕、写真撮っときましょいね。
はい。写真、そうですね、撮って頂くと助かりますけど。
○大賀委員
はい。大ごとですよ。終わります。
○斎藤会長
河川管理の一つですよね。川によっては、何ですかね、灌木みたいなもの
にひっかかっとるやつはちょっと手に貟えないですけども、普通の砂州の上なんかにたま
るごみですね、あれなんかは、何ですかね、川を守る会というんですかね、各河川ででき
てから、岸壁で集めて捨てれるぐらいだったら自分たちでできる……。
○大賀委員
それは愛護団体がそういうふうにするようなすぐするだい、やっぱり行政
の手が入らにゃなかなかできんですいね。今度写真撮っときますいな。もう雤季も過ぎた
しな、今度、台風時期のときに撮っときます。
○斎藤会長
中村委員。
○中村委員
ちょっと今のことでですけど、よく地域によっては、地域の方々が川掃除
をやられるんですいね。私らも10何年草刈りましたけど、途中から川の草刈っちゃいけ
んと、刈るのはええけど持って逃げないけんということで、流れるから、で、やらんです
けどね、やっぱりある程度は地域の人は、地域の自分たちの自治会の範囲ぐらいは毎年尐
しずつやるちゅうのがええと思いますよ。何でもかんでも行政に頼るの、私は行政の味方
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じゃありませんけど、やっぱり自分たちで河川を守るちゅう運動はしていかにゃいけんと
思いますね。尐しずつですよ。全部じゃないですよ。それでやって……。
○大賀委員
だけえ、その地区、全部の地区がやってくれればいいですしね。
○中村委員
だから自分たちが尐しやる。そしたらそれを見て上流の人もやる。その上
流の人もまたやるという、連鎖反応を起こしますからね。私らはそれでやってきたんだけ
ど、ただ、刈ったヨシは持って逃げにゃいけんて言われるから、高齢者が多いもんででき
んのです。だから今は草刈りせんから、もう川の中はヨシだらけになってますね。土手以
上の高さになってますからね。これはどうにかせにゃいけんと思ってます。
○大賀委員
やっぱり行政の手が入らにゃどうもならん。
○中村委員
尐しは入らんといけんかもしれませんね。尐しは自分たちでできますけど、
それ以上は難しいですね。あれはやっぱりヨシを刈ったら絶対のけにゃ草刈っちゃいけん
のですよね。下流に流れるから。
○斎藤会長
何か錦川では、岩国からずっと錦町ですか、あそこの全区域の人が合同し
て年に1回ずっと……。
○大賀委員
うちのあそこの吉田の方から下は整備できちょるんですよね。それから上
が汚うてね。
○斎藤会長
だからやっぱり局部的にやっても効果は余り出ないと思うんですね。すぐ
たまっちゃうから。
○大賀委員
長い川だからな。どうしても……。それが集まってうちに来る。海に流れ
るんです。
○斎藤会長
だから上流から始めて、下流の人がこれはいいということで、中流、下流
にずっと伝わって、錦川はそうだったんですね。
○大賀委員
水を流すなっていう分じゃない。ごみを流すな。とにかくすごいごみです
から。航行できんです。
○斎藤会長
小学生、中学生まで動員して、ざっと集めて歩くらしいんですよ。相当な
量が集まるらしくて。
○大賀委員
相当のごみです。
○斎藤会長
水質を守るために錦川はやっとるんですね。
○大賀委員
まあよろしゅうお願いいたします。
○斎藤会長
ほかに何かございませんですか。
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○植村委員
いつもこういうところで思うんですけれども、30年ぐらいの計画を立て
て、30年後の木屋川の流域って一体どうなってるんだろうかということが一つ心配です。
多分、西市とか岡枝とかという集落は下関への通勤圏なので残っているでしょうが、さっ
きもちょっとお話があったとおり、高齢化していって限界集落化すると、コミュニティー
でやるべき仕事を中から拠出できないので、全部行政におぶさってくると。行政はそれを
背貟うだけの今お金がございませんので、それは非常に大変なことになってくるんだろう
と思いますね。スマートシュリンクというような言い方をするわけですが、いかにうまい
形でそういう限界的な集落をくるくるとまとめていけるかみたいな技術が求められていて、
そういうところでコミュニティーづくりを含めた展望を考えていくということ、それから
もう一つ言うと、ヨシの話もありましたけども、例えば森林なんかでも手を入れる人がな
くなってくると森林が荒れてくる。そうするとその保水能力が落ちていったりするという
ような、そういう問題もやっぱり出てくるわけで、そういう地域の動態ということと合わ
せた形で河川計画、こういうものについても見直しを進めていただけるような機動的なも
のにして頂きたいということです。どこかでダム計画が中止になったということで、それ
で大騒ぎになってるというようなところもありますけれども、そんなことが起こらないよ
うに、いつでもフレキシブルに対応できるような形での川づくり計画というものの策定を
お願いしたいというふうに思います。
○斎藤会長
どうもありがとうございます。
他はございませんでしょうか。大体出尽くしたと……。
時間の都合もありますが、質疑応答につきまして、そろそろ終了したいと思います。
事務局では、本日皆様からいただいた意見や変更についての縦覧をこれから行います。
それで集約した次回の委員会を9月の16日、この場所で次回の委員会を開きますので、
よろしくお願いいたします。
○事務局
それでは、事務局からちょっとお知らせを2点ほどお願いしたいと思います。
まず1つ目ですが、すみません、今日は会場の都合で、大変申しわけないんですが、4
時半にはここを終了しなければなりません。先ほどの木屋川ダム嵩上げのダム検証につき
まして、まだ御発言されたい方がいらっしゃったようにお見受けします。それから、整備
計画の変更につきましてもまだ読み込んでないとか、後から見てみればこういうことがあ
ったということもあろうかと思いますので、様式は問いません。自由記入で構いませんの
で、委員の皆様で御意見があるという方がございましたら、どのような様式でも構いませ
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んので、事務局、下関土木でありましたり、河川課でも構いません。どちらでも構いませ
んので、郵送、ファクス、メール、どのような形でも構いませんので、御意見を頂戴いた
しましたら、次回、今、斎藤会長が申しましたように、9月の16日を今予定して準備を
しておりますけれど、そのときに御回答できるように準備をしたいと思います。というこ
とで、御意見の方を頂きますようよろしくお願いいたします。
それから、ちょっと画面の方を見ていただけますか。皆様の御意見をお待ちしておりま
すということで、今日お話ししましたダム検証、それから河川整備計画の変更につきまし
ては、できるだけたくさんの御意見を頂きたいと思っております。まず、ダム検証につき
ましては、画面にありますようにパブリックコメントというものをとります。これはどう
いったものかといいますと、県内外の方から広く意見を頂くようにということで、県のホ
ームページに今日示しましたダム検証、これでいきますと木屋川ダム再開発事業の検証に
係る検討、ちょっと名称は違ったりしてるんですけど、これがホームページ上にアップさ
れておりまして、いつでもダウンロードできるような形になっております。それを見てい
ただいて、御意見を自由にいただくという形になっております。これは河川課のダム班の
方に直接いただくようにお願いをしたいと思います。
それから、今度、河川整備計画につきましては、先ほど松田が申しましたように、こち
ら、縦覧という手続をとります。これは、流域の主要なところに今日示しました河川整備
計画(案)とこちらの木屋川の川づくり(案)というものを両方とも掲示しておりますの
で、きょうの委員以外の方で案が見たいという方は、今、画面にありますように、下関土
木、長門土木、それから宇部土木、美祢支所、それから下関市さん、長門市さんにも、美
祢市さんにも御協力いただきまして、閲覧場所というものをこさえております。その場所
に行って頂きますとこれと全く同じものが見れますので、御意見を記入して、こちらも事
務局、こちらは下関土木になりますけれども、最終的に意見を頂くという形をとります。
このように2つの意見を、縦覧とパブリックコメントというものを頂いたものについて
意見を集約し、それに対する県の返答案等をまとめまして、次回の委員会のときに御披露
したいと思います。以上でございます。
○斎藤会長
委員の皆様方、議事進行に御協力頂きまして、どうもありがとうございま
した。これで終わります。
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7.閉会
○事務局
どうもありがとうございました。
最後になりますが、下関土木建築事務所長より閉会の挨拶をさせて頂きます。
○下関土木建築事務所長
各委員の皆様、長時間にわたる御審議ありがとうございまし
た。それから貴重な意見をたくさん頂きまして、誠にありがとうございました。皆様方か
ら頂きました御意見を踏まえて、これから河川整備計画の変更、それから木屋川ダムの嵩
上げ事業の対応について検討してまいります。
それから、先ほどから御案内がありましたとおり、これから縦覧といった手続、あるい
はパブリックコメントといった手続をとりまして、広く県民、市民の御意見を聞くことと
しております。内容につきましては次回の委員会で御報告する予定としております。
また、先ほど会長さんからもちょっと御案内がありましたが、次回の委員会は9月中旪
が予定されております。お忙しい中、また引き続きよろしくお願いを申し上げまして、簡
単ですが閉会のご挨拶とさせて頂きます。本日はどうも御苦労さまでした。
○事務局
以上をもちまして第6回木屋川水系川づくり検討委員会を終了させて頂きま
す。長時間御審議いただきまして、どうもありがとうございました。
先ほど申しましたが、次回、第7回委員会は9月16日金曜日、ここアブニールの方で
行います。また御案内申し上げますので、よろしくお願いいたします。
大変お疲れさまでした。ありがとうございました。
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