を使用した大腿骨転子部骨折治療の問題点

一般演題 大腿骨頚部骨折 16=00∼16:50
座長
野沢雅彦
1[3−21
1−3−22
関節リウマチ患者に同時期発症し
た大腿骨頚部骨折の一例
Proximal femoral nail antiro楓ion
(PFNA)を使用した大腿骨転子部
骨折治療の問題点
しらかわてつや
ばば さとし
○白川哲也、織田弘美、金 潤澤、
吉岡浩之、河原 玲、野原広明
O馬場聡史1、永井一郎1、上原浩介1、
田野倉誠1、小俣康徳1、飛田健治1、
丸山善治郎2、東原千恵美1、辰巳徹志1、
小玉嘉昭1、伊賀 醜、福島 斉2、
佐藤和強2、岡崎裕司1
埼玉医科大学整形外科
1東京都立府中病院整形外科、2東京都立府中病院リ
ハビリテーション科
両側同時期に発症した関節リウマチ患者(以下
【目的】螺旋状ブレードを持つProximal femoral
RA)の大腿骨頚部骨折の一例を経験したので報
nail antirotation(以下PFNA)を使用した大腿骨転
告する。
子部骨折に対する治療ならびに手術手技上の問題
症例73歳女性。67歳時発症のRAでPSL5m g/
点を報告する。
日とMTX6m g/週の併用投与で治療されてい
【方法】2005年7月から2006年8月にかけて、大
る。平成18年2月20日自宅の玄関先で転倒し、歩
腿骨転子部骨折で手術適応となった全57症例に
行不能となり両側大腿骨頚部骨折の診断で入院し
対して、PFNAを使用した結果を検討した。
た。両側Scarpa三角に圧痛があり、運動時痛を認
1結果】全症例にて初期固定性に問題はなかった。
めた。単純X線像で両側にGardenStage4の大腿
髄内釘挿入部である大転子頂部に骨折線が及び、
骨頚部骨折を認めた。血液検査ではRF15g、
挿入時に整復位が保てない症例があり、リーマー
MMP−383.1、CRP O.72、ESR54で血清NTX72、
操作に加えて、挿入部皮質骨の追加処理が必要で
オステオカルシン2.1、尿中NTX85.4、骨密度は
あった。アームを用いた遠位横止めスクリュー挿
DXA法でBMDO.52(g/cm2)、YAM46%と高度
入が困難な症例が散見され、最終的に挿入を断念
の骨粗嶺症であった。平成18年4月17日両側同
した症例が1例あったが、術後経過には特に問題
時にセメントレスTHAを施行した。術中病的骨
はなかった。ブレード挿入後にインサーターが取
折を疑わせる所見はなく、大腿骨頭の病理所見は
り外せず、エアトームによる切断を余儀なくされ
虚血性壊死を示した。RA患者で両側同時発症の
た1例があった。術後経過では、複数回の転倒に
大腿骨頚部骨折は稀で、渉猟し得た限りでは国内
より内固定材が脱転した症例が1例あった。
外で7例、いずれも明らかな誘因はないと報告し
【考察炉FNAはブレードの特殊性から、骨折部の
ている。中枢神経疾患による四肢運動障害、眼科
固定匪や回旋負荷に対する抵抗性が優れていると
疾患、認知症などによる転倒に加え骨粗懸症を合
考えられるが、髄内釘挿入部である大転子頂部に
併していることが多い。本例もステロイド長期内
骨折が及んでいる場合は、整復位の保持が困難な
服歴のあるRAで、高度の骨粗懸症を基礎として
ことがあり、CHSによる手術を検討する余地が
発症したものと考えられ、このような患者には骨
あると考えられる。手技上の注意点を理解し、ス
密度の低下に対し、ビスフォスフォネート剤の投
トレスのかからないインプラント挿入技術が不可
与など積極的な骨粗霧症治療が必要である。
欠と考えられた。
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