宮崎大学学術情報リポジトリ Title ニンポウキンカンにおける同質四倍体の選抜とその特性 Author(s) 河瀬, 憲次; 八幡, 昌紀; 中川, 匠子; 原口, 加奈; 國 武, 久登 Citation URL 園芸学研究, 4(2): 141-146 http://hdl.handle.net/10458/1927 Date of Issue 2005-06-15 Right Description 園芸学会 匹喜 二jH 園学研.( Hor t . Re s . ( J a p a n ) )4( 2 ). ・1 4卜 1 46・2 0 0 5・ ニンポウキ ンカンにおける同質四倍体の選抜 とその特性 河瀬憲次 1*・八幡昌紀 2仲 川匠子 3・原口加奈 3・固武久登 3 1河瀬技術士事務所 88 9-21 54 宮崎県宮崎市学園木花台桜 ト 3-1 0 2鹿児島大学大学院適合度学研究科 89 0-006 5 鹿児島県鹿児島市郡元 1-21-24 3宮崎大学農学部 889-21 92 宮崎県宮崎市学園木花台西 1-1 Se l ect i onofAut ot et rapl oi dandi t sMorpI 1 0l ogi calChar act eri s t i csi nM ei waKumquat ( FoT i L L nel hzcT l aS S L foL i aSw i ng le ) Ken j iKa was el辛,Mas a kiYa ha t a 2 ,syokoNa ka ga wa 3 ,Ka naHa r a guchi 3a ndHi s at oKuni t ake 3 1 Kawa s eT e c hni c alCons ul t i n gOHz ・ c e ,Gak ue n k i ba nadai -s ak ur a ,Mi ya z ak i8 89-21 54 2T heUni t e dGr aduat eSc hoolo fAgr i c ul i ur alSc i e nc e s ,Ka go s F l i maUI Z i v e r s i y,Kor i moE o ,Ka gos hi ma890-0065 ya z a k i ,Gak ue nki banadaトni s hもMi yaz ak i8 89-21 9 2 3 Fa c ul o, o fAgr i c ul t ur e ,Uni v e ' s i o, o fMi Summar y At e t r a pl oi dofMei wakuⅡ l qua t( For t unel Z acr as s i j bZ i aSwi n gl e )wa ss e l e ct edf r o m nuc e l l a rs ee dl i ngsus i n gr oot mor phol ogy,a ndi t smor phol ogi ca lc ha r a c t e r i s t i c swe r ei nve s t i ga t e d1 0nes e e dl i ngwi t ht hi c ks hor tr oot l e t swa so bt ai ne df r om 457s e e dl i n gs . Fl ow c yt ome t r ya ndc hr omos ome obs e r vat i onde mons t r at e dt ha tt hes e e dl i ngwa st e t r a pl oi d( 2n=4X=36 ) ・Thi st et r a pl oi dwa spr e s ume dbyRa nda m Ampl i f i e dPol ymor phi cDNA ( RAPD)a na l ys i st oha vede r i ve df r わm n uc e l l a re mbr yos ・Thet e t r a pl oi ds howe d s i il m a rmor phol ogyt oot he rCi t r ust e t r a pl oi dss uc ha st hi c k,r oundl e a ve sa ndl a r ge rs t oma t a,f l owe r s ,a ndpol l e n gr a i nscompa r e dw it ht heor l gl naldi pl oi d.Thet e t r a pl oi df r ui twa sa l mo s te qua li nwe i ghta nds i z et ot ha toft he di pl oi d,butha dat hi c ke rpe e la nds ma l l e rnu mbe ro fde ve l ope ds e e dst ha nt hedi pl oi df r ui t ,l nt hef ut ur e ,t he t e t r a pl oi do bt ai ne di nt hepr e s e nts t udywi l lbei mpor t a ntma t e r i ala sane wc ul t i va Ta n dapa r e ntoft r i pl oi d br e e di ng. も 四倍体 キーワー ド : 倍数性育種,カ ンキツ,ニ ンポウキ ンカン,珠心月 緒 ているキ ンカ ンは,ニ ンポウキ ンカ ン(ネイハキ ンカ ン・ 言 メイ ワキ ンカ ン ) ( Fort unel l acr as sl f ol i aSw i ngl e )のみで あ り,種子が多 いため,食べに くく,加工作業時 に種子 キ ンカ ンは,果実 を丸 ごと食す ることのできる唯一 の カ ンキツ類 であ り,生食用 と して消費 され るほか,一部 を取 り除 くのに手間がかか るところが大 きな欠点である. は甘露煮, ジャムお よびマ-マ レ- ドな どの加1用 と し て利用 されている.果実には ビタ ミン Cか豊富で,古 く そのため,キ ンカ ンにおける無核性品種の作 出が望 まれ ている. か ら風邪の予防に利用 されてきた. また,果皮 には発 ガ 無核性品種 の育成方法 の一つ と して三倍体育種 があげ ン抑制効果 のあるとされる β-ク リプ トキサ ンチ ンが多 く られる ( Soos t・Came r on, 1980;1985) .一般的 に,カン キツ類の三倍体 は二倍体 と四倍体 間の交雑 によって得 ら 含 まれてお り(根角 ら, 1998) ,健康槻能性を多 く有す る 果樹 のひ とつである.我が国におけるキ ンカ ンの主要 な 栽培地域 は宮崎県や鹿児島県な どの九州南部地域であ り, れるため,四倍体 は非常 に重要 な育種素材 となる ( Es e n・ Soos t, 1972;生 山 , 1992;金 好 ら, 1997;八 幡 ら, その生産量 は全体 の 90%を 占めてお り,この地域 の重要 2003) .従来,カ ンキツ類の四倍体 は珠心広 由来の実生か な特産果樹 とな っている. しか しなが ら,経済栽培 され ら選 抜 され , カ ンキ ツ属 植 物 と カ ラ タ チ ( Ponci r us 2 00 4年 7月 9日 受付.2 00 4年 1 2月 1 3日 受理. ヰCo r r e s p ondi nga ut h or . E-ma i l : k a wa s e @m x. oc n. n e j p 本研究の一部は日本学術振興会から交付された科学研究補助金 45 6 00 25 )により行った. ( 基盤研究C2課題番号 1 a( L. )Ra f . )においてこれまで多 くの同質四倍体が f r l f ol i af 獲得 されている ( Fr os t ,1925;Lus s ,1935;La pi n,1 937; 古里, 1952) .一方,キ ンカ ン馬植物では,珠心膳か らの 四倍体 の出現 について これまでの ところ全 く報告 されて 1 41 1 42 河瀬意次 ・ 八幡昌紀 ・中川匠子 ・ 原口加奈 ・ 固武久費 いない.また,キ ンカン属植物の四倍体に関す る報告 も, 色体標本を作成 した. これ らの染色体標本 について光学 Longl e y( 1 9 25)に よ って発 見 され たマ メキ ンカ ン ( A hi nds i iSw i ngl e )と八幡 ら ( 2004) が珠心贋への コル ヒチン 処理 によって誘導 したこ ンポウキ ンカ ンの 2例のみであ 顕微鏡を用いて染色体数を観察 した. る.そのため,キ ンカン属植物における四倍体 について pl i f i e dPol y mor phi cDNA( RAPD)分析 を行 った.供試 の詳細 な調査 は行 われてお らず,その形態的特徴 に関す 材料 には,こ ンポウキ ンカンおよび本研究で得 られた選 る報告 はほとん どない. そこで本研究では,こ ンポウキ ンカ ンの四倍体を獲得 抜個体の幼薬を用いた.それぞれの幼葉 1 00mgか ら,全 す るために,決心腔実生を育成 し,根の形態 よる同質四 倍体 の選抜を試みた.また,倍数性育種を進めてい く上 で必要 となる四倍体 の基礎的情報を得 るために,その形 態調査 を行い,二倍体 との比較を行 った. 材 料 お よ び方 法 四倍 体 の選抜 材料 には,農林省園芸試験場久留米支場 ( 覗: 農業 ・ 生 物系特定産業技術研究機構九州沖縄農業研究セ ンター野 For t une l l a 菜 花 き研 究 部 )栽 椎 のこ ンポウキ ンカ ン ( i f ol i aSwi ngl e )を用いた.1 971年 3月にこ ンポウキ c r as s ンカ ンの完全種子 5 00枚を播種 し,実生を育成 した.四 倍体の選抜方法は,発芽 6か月後の実生を丁寧 に掘上げ, 細根 か明 らかに太 く,少 ない ものを選抜 した. 倍数性解析 選抜 実生 の倍数性 の解析 は, フローサイ トメ-クー ( EPI CSXLSYSTEM Ⅲ,BECKMANCOULTER)によ 発 生 起 源 の解 析 l l da m Am選抜実生の発生起源を推測す るために,Ra DNAを CTAB法 ( Roge r s・ Be ndi c h,1 985 )によ り抽出 し 0me rの ラ ンダ ムプ ライ マ ー た. プ ライマ - には, 1 ( Ope r on )40種類 ( OPA-1 ∼20,OPC-1 -20 ) を使用 した. Pol y me r a s ec ha inr e a c t i o n( PCR) の反応液 ( 25pI )の組成 0mM Tr i s-t I Cl( PHS. 0) ,80mM KCl ,1 . 5mM は,1 MgCl 2 ,1 00F L M dNTPs ,0・ 3/ 上 M プ ライマ ー ,2, 5U Tt hTagDNA pol y me r a s eお よび 1 0ngDNA と した. DNA の増 幅 には,PCRThe r ma lCycl e rMPTP-3000 ( Ta Ka Ra )を使用 し,前処理 9 4℃ ・3 0秒間,熟変性 94℃ ・ 3 0秒間,アニー リング 3 7 ℃・ 2分間,伸長反応 72℃ ・3分 5サイ クル と した.それぞれのサ ンプル は,0. 5 間で 3 ー1E t hi di umbr o mi deを含む 1. 5%アガロースゲル F L g・ ml で電気泳動後,紫外線照射下でバ ン ドパ ターンを観察 し た. 形態的特徴 材料 には,1 4号 ポ ッ トに栽植 した接 ぎ木 7年生の選抜 年生のこ ンポウキ ンカンを対照区と 系統を用い,接 ぎ木 5 した.葉,花および果実について形態調査を行 った.す る方法 と酵素解離法 による染色体観察 を行 った. フロー なわち,葉は,葉身長,葉幅,葉形指数,釆葉最,翼葉 20 00 )の方法に従 サイ トメーターによる解析 は,春崎 ら ( 0mgに 2 い,試料 として幼葉を用いた.採取 した試料 5 項 晩 単位面積あた りの葉重および気孔の縦径 と横径の 8 ml 核単離溶液 ( 25mg・ l i t e r -Ipr o pi di umi odi de( PT ) ,50 mM Na 2 SO3,1 40mM 2-メルカプ トエタノール, 1 . 0% Tr i t onX11 00,50mM トリス塩酸 ,pH7. 5)を加え,シ 雌ずい長,子房の縦径 と横径,雄ずい数,染色 と発芽 に ャー レ上 にお い て約 5分 間細 か く刻 み, ミラク ロス 0項 目について調 完全種子数および果皮 と果肉の糖度の 1 0反復ずつ行 い,花 と果実の調査 は 1番 査 し,それぞれ 1 ( Ca l bi oc he m,Co.Lt d. )で ろ過 した. ろ液 を遠心 分離 ( 1 2, 000r p m,3分間 )し.上清を除去 した後,沈殿物を 550/ ∠ 1 核単離溶液 と混合 し,よ く懸濁 した. さらに,測 定直前 に 5 0F L l の5 00mg・l i t e rlpI 溶液を加 えて混合 し 0, 000佃の核の蛍光強度 た後,フローサイ トメーターで 1 により倍数性の判定を行 った.また,一部修正 した Fu kui ( 1 996)の酵素解離 による染色体観察法を適用 して選抜実 生の幼葉の染色体数 を調査 した.すなわち,幼葉 の先端 0. 5c m を採取 し,2mM 8-ヒ ドロキシキノリンで 1 げC, 臥 花 は,全幅,花弁数,花弁 の縦径 と横径,雌 ずい数, 2項 目,果実は,果実歪, よる花粉稔性および花粉粒径の 1 果実の横径 と縦径,果形指数,室数,果皮の厚 さと割合, 花のものを用いた.また,花粉稔性は, 1 %アセ トカー ミ ンによる染色 と寒天培地上での発芽試験により評価 した. 0% スクロースと 1 %寒天を添加 した寒天 発芽試験 は,1 5 ℃,1 0時間培養,暗黒の条件下 で評価 し 培地 を用い,2 反復あた り 5 00個以上の花粉 た.それぞれ 3反復行い,1 を調査 した. 結果 および考察 こ ンボウキ ンカンの完全種子 5 00枚か ら,457本の実 1 0時間前処理後,固定液 (エタノール : 新穀 =3 : 1 ) で1 ( 和, 1 2時間固定 した.固定後,幼妻 を蒸留水で 1時間水洗 し, 生か得 られた.それ らの実生 について,細根か他の実生 %セルラ-ゼ ` ` オノズが ' RS(ヤク 固定液を取 り除き,2 よりも明 らかに太 くて短い形態を示す ものを 2個体選抜 ,1%マセロザイム R-200(ヤクル ト) ,0. 3%ぺク ル ト) した ( 第 1図 ) ・ これ らは根の形態以外 に節間が短 く,糞 が厚 くて濃緑色の形態を示 した.両系統 とも初期成長が トリアーゼ Y-23( 協和化成 )および 2 00mM EDTAを含 0分間解離 した.解磨後,スラ む酵素液を用い,37C,5 劣 り, 1個体は育成過程で枯死 した. イ ドグラス上で幼葉の細胞を展開 し,室温で乾燥 させた 次 に,選抜系統の倍数性を プロ-サイ トメーターで解 0分間染色,水洗後,乾燥 させて染 後,2% ギムザ液で 3 ,相対蛍光強度が四倍性 を示 し 析 した結果 (第 2-A図 ) 閲 学粧 ( Ho r t . R .( J Z t n c s 叩 )) 4 ( 2 ):14 卜 14 6 . レ1 3 20 05 . た・ また,幼葉 の染 色体数 を観察 した ところ ( 第 2-8区リ, 的 に出現 す る同質 四倍体 について報蛮 されてい る ( Fr os t , 36本 の染 色体数 を有 してお り,四倍体 であ ることか確認 1 925;Lus s ,1935;La pi n,1 937;古里 , 19 52) .四倍体 の され た. さ らに,選抜 系統 の発生起源 を解析 す るために 選抜 方法 は,葉 形指数 や葉 の厚 さ,気孔 の大 き さや数 な RAPD分析 を行 った結 果 (第 3図 ) ,選抜欄体 のバ ン ドパ ど葉 の形 態 的特 徴, トゲの発生 度合 い,成長 の程 度 な と ター ンはニ ンポ ウキ ンカ ンのバ ン ドパ ター ンと一致 して Ba r r et 卜Hut chi s on, 1 978; が主 な 指 標 と され て き た ( お り,珠 心 胚 由来 で あ る ことが推 察 され た. L e e ,1 988;生 山,1 992) .一万,枚 の形態的特徴を利用 カ ンキ ツ類 では,これ まで多 くの研究 で珠心膳 か ら偶発 した四倍体 の選抜 は これ まで報告 され て いな い. カ ンキ ツ類 にお ける四倍体 の根 の形態 は,二 倍体 と比較 して,親 板 か粗大 で短 く, その発生数 か少 な く, さ らに,根 の成 長 か 劣 って い る こ とか 報 告 さ れ て い る (岩 崎 ・西 浦 , 1 963;Ba r r ct t ・Hut c hi s on, 1 978;Le e, 1 988) ・本研 究 で は,板 の形態 を選抜指標 と して四倍 体 の選抜 を行 った と ころ,効率 は低 い ものの , 1個体 の 同質 四倍体 を獲得す る ことがで きた. 珠心膳 実 生 か ら偶 発 的 に出現 す る四倍体 の 出現 頻度 に pi n( 1 937)はい くつ ついては い くつ かの報 告 が あ る. La かの カ ンキ ツ属植物 とカ ラ タデの実 生 につ いて四倍体 の 出現頻度 を調査 した ところ, カ ンキ ツ属植物 で は最 も高 い もので 5. 6%, カラ タチでは 3. 7% の頻度 で四倍体 が 出 19 52)は, ウ ン 現 した ことを報告 して い る. また,古塾 ( シュウ ミカ ン, ナ ツダイ ダイお よび ダイ ダイにお ける四 4,0. 2お よび 0_ 1% であ っ 倍体 の出現 頻 度 か それ ぞれ 0. た ことを報告 してい る,本研 究 では, こ ンポ ウキ ンカ ン 第 1図 5 0O 0i 相 対蛍光幾度 A 葦 2 1 00 第 2図 OPA-7 0PC-2 0 PC-4 M 2XSSH M 2XSSH M 2ⅩSSH エソポウキンカンから得られた実生の根の形態比較 Cont :対照.SS:選抜実生 6 一 己 コ4 _ C _ ーノ八へ _ 選抜実生 500 l 1 相対蛍光強度 葦1 0 0 0⊂ < EG 2 Cキンカン ニンポウ 200 フローサイ トメ-ターと染色体観察による選抜実生の倍 数生解析 A:フローサイ トメーターによる倍数性解析 B:染色体観察 ( 2 n -4X=3 6 ) OPC-7 0PC-8 M2XSSH M 2XSSH 第 3図 RAPD分析による選抜実生の発生起源の解析 M:1 00b ラダーマーカー.2 X:ニンポウキンカン, SS:逮 抜実生, H:有性牡由来の実生 図中の矢印は各個体に特異的なバンドを示す 1 J 壬 ∠ l 河瀬憲次 ・^l ? 志昌紀 ・朝 日匠子 .原 口加奈 .図武久登 第 1蓑 ニ ンポ ウキ ンカ ンの二 倍 捗 と四 倍 体 に お け る葉 の形 態 的 特 徴 気孔長 (〃m) 系 統 I -/L. I : ∴ 捌 書体 6 8. 6 3 6・ 4 1 ・ 9 二倍 体 7 0. 8 3 0. 4 NSZ * * Y ∴ …' :- ' -㍉ 4・ 2 2 ・7 2 ・ 3 7 ・ 7 * * * ・: . :: 縦後 横径 3 7 ・ 9 2 8・9 a 2 3・1 a 3・ 9 31 ・1 2 3・ Ob 1 9・3 b * * * * * * * エ N S:打 . 故差な し.*.* *:し検定によりそれぞれ芸名と1 ‰水叫軽で有意差があることを示す J 紫身 良/ 紫幅 第 2蓑 ニ ンポ ウキ ンカ ンの二 倍 体 と捌 き体 に お け る花 と花粉 の形 態 的 特 徴 r r L m) 花弁長 ( 系統名 花器 幅 花弁数 縦径 横径 雌ず い数 雌 慧 ) ' 長 子房 長 ( n m) 山 . 王.W 花粉 稔性 ( C P / ) 花 粉 粒径 縦径 横径 雄ず い数 艶色 発芽 (J Lm)y 四倍 体 2 4.1 5. 2 u. 6 5. 0 1 . 0 5 . 2 2. 8 2,1 1 5. 4 6 7. 9 7: 4 36, 5 二倍 体 1 6. 6 5. 2 8 , 8 3 ,7 L0 4. 2 1 . 9 L6 1 7. 8 95. 0 33. 9 28. 6 * *T ・ NS NS NS NS N S * * * * 春 * * * Z N S:有音蓑な し.*,**:L 検定によりそれぞれ5 %と1 %水 畔で有意差があることを示す ' 酢酸カ- ミンによって地色 された花粉 い教 については二倍体 と四倍体 間で差 は認 め られなか っ た.花粉稔性 は,二倍体 の染色および発芽稔性 かそれぞ 5. 0% と 3 3. 9% であ ったのに対 し,四倍体 はそれぞれ れ9 6 7. 9% と 7, 4% であ り,有意 に減少 した.また, アセ ト カー ミンによる染色後の二倍体 と四倍体 の花粉 の大 きさ 8. S〟m を比較 した ところ,二倍体 と四倍体 はそれぞれ 2 と3 6. 5〟mであ り,四倍体 の方 が有意 に大 きか った. こ れまでにカ ンキツ属植物 とカラタチにおける四倍体植物 の葉 と花の形態的特徴 についてい くつか報告 されてい る 第 4国 ニ ンポ ウキ ンカ ン四 倍 体 の果 実 の形 態 (岩 崎 ・西 浦 , 1 9 6 3;Le e, 1 9 88 ;生 L L L 1 992 ) .生 山 ( 1 9 9 2 )は, ヒュウガナツ,- ッサ クおよびク レメンテ ィ か ら得 られた実生 4 5 7個体か ら 1個体 の四倍体 を獲得す ンの四倍体 の薬 と花 における形態的特徴 として,二倍体 ることかでき,その出現頻度は 0 ・ 2%であ り,古里 ( 1 9 5 2) の報告 と同程度の出現頻度であ った.本研究では,こ ン と比べ,葉が厚 くな ること,丸 みを帯 びること,花弁 や 子房,花粉が大 き くな ることお よび花粉稔性 が低下す る ポウキ ンカ ンにおいて も低頻度ではあるが,珠心肱か ら ことな どを述べている.本研究 で も,こ ンポ ウキ ンカ ン 四倍体か偶発的 に出現す ることを明 らかにす ることがで きた. の四倍体 には同様の特徴が示 された. 次 に,四倍体 と二倍体 の薬の形態を比較 した結果 ( 第1 衣) ,四倍体 の葉身長 は,二倍体 と比較 して差 はほとん ど 表) .果実の重 さや大 きさでは二倍体 と四倍体 問で有意 な 差 は認 め られなか った. しか しなが ら,四倍 体 の果形指 認 め られなか ったが,葉幅は有意 に大 き くな り,葉形指 数 よ り,E 射吾体 の葉 は二倍体 と比較 して,丸 くな ってい 0 0 )は 9 7. 9,二倍休 は 91 . 1であ り,四 敬 (横径 / 縦径 ×1 倍体 の果実 は二倍体 よ り丸 くな っていた.キ ンカ ンの可 た.単位面簡 あた りの葉重は,二倍体 か3 1 . 1mg / c mZで 食部であるアルベ ドとブラベ ドか らな る果皮 の厚 さにお あ ったのに対 し,四倍体 は 3 7. 9mg / c m2であ り,二倍体 と比較 し, 四倍体の葉 は有意 に重 く,すなわ ち厚 くな っ いて,四倍体 のそれは二倍体 と比べ有意 に厚 くな り,果 最後 に,四倍体 の果実の形態 を調査 した (第 4回,第 3 皮の厚 さは果実半径の約 5 0%を占めていた. 1果実あた ていた.四倍体 の気孔の大 きさは,縦径,横径 ともに二 りの完全種子数 は,二倍体が 5個であ ったのに対 し,四倍 倍体 と比較 して有意 に大 きか った.次 に花 の形態 を調査 体は 2 . 3佃であ り,有意に減少 していた.また,四倍体 の ,完全 に開花 したときの大 きさを表す した結果 (第 2表 ) 6、 6mmであ ったのに対 し,四倍体 全幅 では,二倍体 か 1 果皮 と果肉の糖度は,二倍体 と比べ有意な差 は認 め られ が2 4. 1mmであ り,四倍体 の花 は二倍体 と比べ有意に大 体,特 に細胞融合 に よ り育 成 され た異質 四倍 体 の果 実 きか った.花弁 と子房 の縦径 も二倍体 と比べ,有意に大 形質 につ いて は, い くつ か の報 告 が あ る ( e e,1 L 988; きか った. しか しなが ら,花弁数,雌ずい数 および経ず 9 91 ;Ko ba y a s hi ら,1 99 5 ) .Ko ba y a s hi ら Oh ga wa r aら,1 ず,同等の形質 を示 した. これ まで, カ ンキツ類の四倍 1 45 蘭学敵 ( Ho r t . Re s . ( J a pa n ) )4( 2 )‥1 4ト 1 46. 2 0 05, 第3蓑 こンポウキンカンの二倍体と四倍体における果実の形態的特徴2 倍数性 果実藍 空 ( g) 横径 大きさ ( 讐 」 異形指数x 縦径 室数 果皮の厚さ 果皮の割合 1 果実あたり ( m n) ( 港)Y の完全種子数 果肉 ( B r i x ) 果皮 糖度 四倍体 1 3 . 6 2 8 . 6 2 9 . 2 9 7 . 9 6 . 0 6 . 8 4 7 . 6 2 . 3 1 2 . 0 1 5 . 1 二倍体 1 4 . 7 2 8 . 6 3 1 . 4 9 1 . 1 6 . 0 4 . 3 3 0 . 1 5 . 0 1 1 . 4 1 5 . 0 NS Y NS N S NS ** ** * NS NS ** 之2 0 0 3 年1 月2 5日に収穫した果実を供米 y NS二者音差なし,辛,棉 :t検定によりそれぞれ5 %と1 %水準で有意差があることを示す x( 横 径/縦径) ×1 0 0 '( 果皮の厚さ/ 果実の半径)×1 0 0 ( 1995)は,体緋 包雑種 4品種 における果実 の形態的特徴 について調査 した ところ,二倍体の融合親 と比較 して果 心肝 由来で あることか推察 された. この四倍体 の形態 に 皮か厚 くな っていた ことを報告 している.本研究で得 ら 気孔,花お よび花粉 は大 き くな ってお り,四倍体特有の れたこ ンポウキ ンカ ンの四倍体 は, これまで報告 されて いる異質 四倍体 と同様 に果皮が厚 くな っていた. カ ンキ 形態 を示 した.四倍体 の果実 は,果実の重 さや大 きさに ツ属植物 とは異 な り,キ ンカ ン属植物の主 な可食部 は果 ある果皮が厚 くな り,完全種子数が少な くな っていた.将 皮であ るため,果皮が厚 くなることは可食部が増加す る 栄,本研究 で得 られたこ ンポウキ ンカ ンの四倍体 は直接 ことであ り,このような形質 になることは逆 に望 ま しい. 的な品種 と しての利用 や三倍体育種 の親 と して重要 な素 材 となるであろう. 本研究 で得 られたこ ンボウキ ンカ ンの四倍体 は,二倍体 ついて調査 した ところ,二倍体 と比べ,葉 は丸 くて厚 く, おいて二倍体 と同等の形質 を示 した. さ らに,可食部 で と比較 して, ほとん どの果実品質 は同等であ り,果皮部 厚 く,1果実 あた りの種子数 が減少 していたことか ら,痩 引用文献 接的に栽培 品種 と して用 いることが可能であると考 え ら Ba r r e t t ,H・C・and DIJ ・Hut chi s on・1 978.Spont a ne ous れる.今後 ,露地 や近年増加 しつつある施設な どでの本 t e t r a pl oi dyi na pomi c t i cs e e dl i ngsofc i t r us .Ec ono.Bot . 3 2:27-45. 格的な栽培試験 を行 い,四倍体の経済栽培 について検討 す る必要 があると考 え られ る. 前述 した よ うに一般的にカ ンキツ類の四倍体 は,経済 栽培品種 と してではな く,三倍体育種 のための育種母本 としての利用が提唱 されている ( Soos t・Ca mer on, 1980; Es e n,A・a ndR・K・ Soos t ・1 972・Te t r a pl oi dpr ogeni e sf r om2x X4 Ⅹc r os s e sofc i t usa r ndt hei ror i gi n.J .Ame , r .Soc. Hor t . Sci .97:41 0-41 4, 1985) .実際に本研究で得 られた四倍体ニ ンボウキ ンカン Fr os t ,H・B・1 925・Te t r a pl oi dyi nci t r us .Pr oc.Na t l .Aca d. 5-537. Sc i . U.S,A.ll:53 を花粉親 と して用 い,ナガキ ンカ ンとの交雑 によって.≡ ,K・1 9961Pl a ntc hr omos omea tm it os i s ・p・1-1 71l n:K・ Fuk ui 倍体 キ ンカ ン品種 ` ぶちまる ' が育成 されている ( 吉 田ら, 2003) . `ぶ ちまる 'は片親が観賞樹 と して用 い られてい るナガキ ンカ ンであ るのに もかかわ らず,ニ ンポウキ ン Fuk uia nd S・Na ka ya ma ( e ds , ) .Pl a ntChr omos ome. La bor a t or yMe t h ods .CRCPr e s s ,Fl or i da . カ ンよ り良好 な果 実品質 を示す ことが報告 されている. 古里和丸 1 952.柑橘 における倍数体.遺伝学雑誌. 27: J Z 06. 今後, よ り優 れたキ ンカ ン品種 の育成のためには,本研 春崎聖一 ・閣料大輔 ・観武久登 ・ 小松春蚤 究 で得 られたこ ンポウキ ンカ ンの四倍体 と二倍体間で交 2 000. フローサイ 雑 を行 い,三倍体 のニ ンポウキ ンカ ンを獲得す る必要が トメ トリ-によるカンキツ類の倍数性の判定.九州東海 9:45-52. 大農紀要. 1 あると考 え られ る. このように,本研究で得 られたこ ン 岩崎藤助 ・ 西浦 昌男. 1 963.4倍体,大業系および小葉系カラ ポウキ ンカ ンの四倍体 は我が国のキ ンカ ン産業 に大 き く 貢献す る もの と期待 され る. 摘 要 実生 の根 の形態 を指標 と してニ ンポウキ ンカンの珠心 広実生か ら四倍体 を選抜 し, その形態調査を行 った. 実生の発育 と台木 としての価低 タチについて ( 第 2報 ) 尚武報. B2:1 5-24. 金好純子 ・ 加納徹治 ・ 桑 田祐二 ・ 平尾 晃 ・中谷素- ・ 小林省 蔵 ・1 997. カンキツ類の三倍体品種の育成 (第 1報 )ウ ンシュウ ミカンと四倍体ポンカンの交雑による雑種三倍 体の作出.関学雑. 6 6:9-1 4. こ ンポ ウキ ンカ ンの完全種子 を播種 して得 られた 457 Ko ba ya s hi ,S・ ,T.Ohga wa r a ,W.Sa i t o,Y.Na ka ml l r aa nd∫ . 本 の実生か ら,太 くて短 い細根 を有す る 1個体を見 出 し Shi mi z u・1 9 95・Fr ui tc ha r a c t e r i s t i c sa ndpol l e nf e r t i l i t y た. この実生の倍数性を調査 した結果 ,36本 の敗色体を ofci t r uss oma t i chy br i ds ・J ・J a pa n・Soc・Hor LSc i ・64: 283-289. 有 してお り,四倍体 であることが明 らか とな った. また, RAPD分析 によ り, この四倍体 はこ ンポウキ ンカ ンの珠 , g a t i ons o n pol ypI oi d yi ni t ru s ・ u Lap i n W・K ・19 3 71 I nves t i C 1 46 河瀬窓次 ・ ^幡昌紀 ・中川匠子 ・ 原口加奈 ・国武久登 l1 -uni onSci .Re s ・I nt .Hum i dSubt r opI C S S.S・R・A Wor ks .1 :168. 988lCi t r uspol ypl oi dy-Or i gi nsa ndpotent i a lf or e e,L・1 L Roge r s ,S・0.a n dAIJ ・Be ndi c h・1 98 5・Ext r a c t i onofDNA f r om m i1 1 i gr a ma mount soff r e s h,he r ba r i um a ndmumif m i e dpl a ntt i s s l ユ e S I Pl a ntMol .Bi ol ・5:69-76. c ul t i va ri r npr ove me nt ・ Aus t ・ J ・ Agr i c・ Re s ・39:735-747. Soos t ,A.K.a nd J .W.Ca me r On.1 98 0.` Or obl a nc o' ,a Lo ngl e y,A・E・1 925.Pol yca r y,pol ys por ya ndpo l y pl oi dyi n c i t T ・ uSa n dc i t r usr el a t i ve s .J ,Wa s h.Ac ad.Sc i .1 5:347I - t r i pl oi d pomme l 0-gr a ef p ui r thybr i d.Hor t Sci e nce 1 5: 66 7669. 351 . Lus s ,A.I ,1 935.Ci t r usi nt r oduc t i ona nds e l e c t i oni nt heU. S,S・R.Sove t s k, Su bt r op,ll:1 7-27・ 根角樽久 ・中野睦子 ・ 吉田俊雄. 1 998.カンキツのプラベ ド ,R・K・andJIWICame r on・1 985・` Me l ogol d' ,at r i pl oi d Soos t pomme l 0gr a pe f r ui th ybr i d・Hor t Sci e nc e 20:11 34113 5. 八幡昌紀 ・岡 信孝 ・国武久登 ・山口清二 ・ 小松春寄.2003. および果汁に含まれるβ -クリプ トキサ ンチン含量の品 ` 晩自柚 'と四倍俸の正逆交雑か ら得 られた種子の重 さと ) :108∼1 09. 種間差異.蘭学雑.66(別 1 倍数性 との関係.園学研.2:247-252. Oh ga wa T a ,T・ ,S・Ko ba ya s hi ,S・T s hi i ,K・Yos hi na gaa ndI . 八 幡 ET l 絶・ 柏 原 夕希 子 ・ 黒 木 宏 憲 ・国武 久登 ・ 小 松春喜 . Oi ya ma・1 991・Fe r t i l ef r ui tt r e e so bt a i ne dbys oma t i c 2 004.ニンポウキンカン種子へのコル ヒチンおよびオ リ Ci f r u ss i n e t l s i s )a ndTr oye r hybr i di z a t i on:na ve lor a n ge( ザ リン処理が四倍体植物誘導 に及ぼす影響.園学研. 3: ci t r a nge( CIS i n e ns i sxPo nc i r u si r i f ol i at a) I The or ・ AppL Ge ne t .81:1 41-1 43. 11-1 6. 992.カンキツ類の倍数性育種に関する研究 一主 生山 巌. 1 として捌 き体育種素材の作出について-.果樹試報.特 報 3:1 3-20. 吉田俊雄 ・ 根角博久 ・吉岡照高 ・ 家城洋之 ・伊藤祐 司 ・中野睦 子・ 上野 勇 ・山口彬雄 ・ 村瀬昭治 ・瀧下文孝.2003.辛 ンカン新品種 `ぶちまる ' .果樹研報.2:9-1 6.
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