レジのレイアウト

資料番号: 15-01-03
セクション:
フロント・エンド(店頭)オペレーション
章:
フロント・エンド(店頭)
題:
レジのレイアウト
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昔のチェックスタンド
レイアウト
1900 年代初めの食料品店では、お客様と 1 対 1 で互
いに交流するのが通常でした。先端にグリッパー(つ
かむ器具)がついている長い棒を使って、店の周囲を
ぐるりと囲んでいる天井までの高さの棚から、売場の
担当者が、缶詰や包装品などの商品をお客様のために
取り出していました。粉、砂糖、米やその他の穀物な
どかさ張る商品は、麻の大袋に入れられて陳列され、
お客様の注文に従って個々に量って販売されていまし
た。木製の箱、氷の冷蔵庫、ガラスのびんにいれて保
存されているミルク、大きな木製の容器につめられた
バター、ベーコンの塊り・・・これらから、お客様の
欲しい量に従って店員が取り出していました。商品は
カウンターの上に並べられ、その後ろに店員が立っ
て、紙の袋に書いて足し算をするか、足し算をする機
能だけの機械的なキャッシュレジで買い物金額を足し
算していました。また店員が商品をお客様の家まで届
けるのも当然なことということもよくありました。
こんな光景はもう約 100 年前の話です。しかし現在
見られるようなスーパーマーケットのコンセプトは、
たった 60 年以内のものです。さらに、現在当たり前と
思われているような変化は、この数年以内におきたも
のです。
店のすべてのオペレーションが劇的に変化しました
スキャンニングのチェック
が、フロント・エンド(店頭)のオペレーションの変
アウト
化ほど目を見張らせるものはないでしょう。
70 年代の中ごろにおいては、まだ 150 店舗にも満た
ない数の店が、スキャンニングのチェックアウトの設
備を自慢げに設置していましたが、現在では事実上
100%の店に設置されています。たしかにハードそのも
のも、目を見張らせるものでしたが、真に革新的にし
たのは業界が使い方の導入の努力をした結果でした。
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現在のチェックスタンド
レイアウト
直列(タンデム)
チェックアウト
小型(バンタム)
チェックアウト
過去 20 年の間にフロント・エンド(店頭)はもっと
も大きな変化をとげましたが、店におけるこの重要な
オペレーションに関して、小売店は、いくつか基本的
なアプローチを採用してきました。ほとんどの店は、
店の前面(フロント)を横断して直線的にチェックカウン
ターを置き、チェックアウトのオペレーションの管理
を行いやすくし、またお客様をあらかじめ決められた
流れに導いています。
大量に販売する店の多くは、典型的な直線レイアウ
トを変えて、一台の前に 2 台めのチェックスタンドを
直列(タンデム)に並べています。これにより、ほぼ同じ
スペースで、2 列のお客様にサービスすることができる
ようになります。
より新しいレイアウトにおいては、不規則にチェック
アウトが設置できるように長さを短くした小型(バン
タム)チェックアウトを散らばせて置き、通常ここで
限られた買い物点数のお客様を受けつけています。
チェックアウトのオペレーションの基本的は機能
は、どこの店においても同じですが(販売業務を終え
てお客様の買い物を袋に詰める)、チェックスタンド
のデザインは店によって異なります。デザイン上での
大きな違いは、青果を量る秤が、あるか無いかによっ
てきます。秤を置くことによって、青果部門における
労務費とスペースを節約できますが、チェックアウト
のプロセスを遅くする傾向が初期にはありました。し
かし、スキャンニング機器と価格を見る技術がほとん
ど全部に行きわたった結果、この点はいまではさほど
大きな問題ではなくなりました。
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チェックスタンドの
デザイン
キャッシアーが商品を出す“スプリット”方式(図
C参照)か、お客様が商品を出す方式(図D参照)に
よって、デザインとレイアウトが大きく違ってきま
す。
図C
“スプリット方式” 対
標準方式
図D
キャッシアーがカートから商品を出して、登録する
かスキャンをし、袋詰めの場所に移動させるコンベヤ
ーベルトに乗せる(ベルトがある場合とない場合があ
りますが)、いわゆる“スプリット”方式の利点と不
利な点は以下のとおりです。
• お客様にとって、買い物が楽になると同
時に、商品をお客様が壊してしまう機会
や万引きの機会が少なくなる。またカー
トはお客様と一緒に通路を通らないた
め、カートの下段に乗っている大きな商
品のチェックアウトを見逃す可能性が少
なくなる。
• 一方、キャッシアーは、屈んで手を伸ば
し、商品を取り出さなければならず、キ
ャッシアーの負担が重くなる。スキャン
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ナーの無い店では、商品が登録されない
-屈む回数を減らすために、キャッシア
ーはいくつかの商品を一度に登録し、そ
れからそれらの商品をカートからだす-
ための損失が多くなる。また登録のスピ
ードが遅くなり、買い物客を待たせ、キ
ャッシアーとサッカー(袋詰めをする
人)の仕事量のバランスがとりにくくな
る。
お客様が商品をカートから出す伝統的なチェックス
タンドの利点と不利な点は上記のちょうど反対です。
お客様が出す方式の一番大きな利点は、おそらく、チ
ェックアウトのオペレーションが著しく早くなること
でしょう。というのは、前のお客様の商品をチェック
アウトしている間に、列に並んでいる次のお客様が、
商品を出し始めることが出来るからです。
ベルトコンベヤー/ディスク お客様が商品をカートから取り出す店のチェックス
/ターンテーブル
タンドにおいては、ベルトコンベヤー、ディスクある
いはターンテーブルが設置されています。これによ
り、チェックアウトの速度が速くなり、またキャッシ
アーが商品をチェックスタンドに置く労力が減らせま
す。ベルトコンベヤーの巾は、チェックスタンドのメ
ーカーによって変わりますが、ディスクは通常直径 48
インチ(120cm)です。またほとんどの店では、登録さ
れた商品を、チェックスタンドの端の袋詰めステーシ
ョンまで移動させるベルトコンベヤーを設置していま
す。
チェックスタンドのデザインは進歩し、小さくな
り、またすべての機器が近くに一緒に置かれるように
なり、キャッシアーが商品をとるために手を伸ばす労
力を最小限にするようにしています。商品を取り上
げ
キ ンしたり 秤量したりするのを た た
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げ、スキャンしたり、秤量したりするのを、たった一
回の取扱いで円滑に行えるように、キャッシアーの位
置も決められています。このデザインの利点は、チェ
ックアウトのオペレーションが早くなり、キャッシア
ーの疲労と背中の負担が軽くなり、障害(手根管症候
群などの、負担のかかる手の繰り返しの動きによる、
ひどい手首の痛み)も少なくなることです。
登録と袋詰め/スキャンと
袋詰め
登録と袋詰め/スキャンと袋詰めの方法は、お客様が
商品を取り出す場合のもう 1 つのチェックスタンドの
形です。この方法が従来の方法と異なる主な点は、商
品が登録されたりスキャンされる間に、チェッカーは
商品を袋に詰めることができるように、設計されてい
る点です。この方式では、商品だけがチェックスタン
ドのスキャンナーを通過するため、キャッシアーの両
手が空いて、商品の取り扱いと袋詰めを同時に行うこ
とが出来るために、生産性はさらに高くなります。
この方法により生産性が高くなることがテストでは
確認されていますが、チェッカーはこの方法に否定的
です。そのような場合、日々のオペレーションでは、
生産性が落ちてきて、新しいオペレーションを断念し
なくてはならなくなることが良くあります。
OTC
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もう 1 つの配置は、オーバー ザ カウンター
(OTC)チェックスタンドです。この方法は、チェ
ッカーが商品を取り出す方式という点では、スプリ
ット方式に良く似ています。OTC のチェックスタン
ドとショピングカートのデザインとが組み合わされ
ている事が、この方式の独特な点です。かごがカウ
ンターの上に滑らせて乗せられるように設計されて
いて、かごの前の部分がカウンターの上に開きま
す。チェッカーは登録したりスキャンしながら、バ
スケットから商品をカウンターの上に滑らせながら
取り出します 必要に応じて バ ケ トを手元に
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取り出します。必要に応じて、バスケットを手元に
引き寄せて、残っている商品に簡単に手を伸ばせる
こともできます。
OTC 方式のデザインがいくつか開発され、この方法
によるオペレーションが拡大されてきました。この方
法によって、スキャンナーとレジの機械が統合され、
チェッカーはもっと楽にバスケットのなかの商品に手
が届くようになりました。またこの方式は、お客様の
買い物を楽にするために設計されているのですが、バ
スケットが空になるに従って、しばしばお客様が商品
をチェッカーの近くに動かすのを手伝っています。
セルフレジ
スキャンニングと袋詰めを機械化し、チェックアウ
トプロセスの自動化水準を上げる努力が、この数年に
わたってなされてきました。多くの企業において、セ
ルフレジが設置されてきましたが、それに対する消費
者の反応はいろいろです。セルフレジとは、買った商
品をお客様が自分でスキャンして袋につめ、機械がレ
シートを発行します。お客様は店を出る前に、そのレ
シートをキャッシアーにもっていき支払う方式です。
現在使われているセルフレジには 2 種類の方法があ
ります。
セルフレジ(現在展開中の方式) – これは、お客様が
買い物した商品のすべてをスキャンし、袋に詰め、ク
ーポンをスキャンし、現金やデビットカードあるいは
クレジットカードなどで支払う方式です。
ポータブルチェックアウト(初期の方式)– これは、お
客様がポータブルのスキャナーを使って、商品を棚よ
り取ってショッピングカートに入れる際に、スキャン
ニングする方式です。この方法によって、商品をもう
一度全部カートより取り出してチェックアウトのため
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一度全部カートより取り出してチェックアウトのため
にスキャンをするという、余分のステップを省略する
ことができます。お客様が買い物を終えた後、チェッ
クアウトターミナルで支払いを済ませます。
利点
• フロント・エンドの労力を削減する
• 従業員の採用費用と教育費用を削減する
• 列に並んで待つ時間が減り、お客様の満足
が改善される
セルフレジは、世界中で、徐々に多くのお客様の支
持が得られつつあります。リテール テック誌による
と、8 から 15%のお客様が使っている、と報告してい
ます。また他の調査によれば、セルフレジを使ってい
るお客様の 80%が、サービスの面で、“素晴らしい”
か“極めていい”と評価しています。
お客様は列にならんで待つ時間に対して不満を漏ら
しています。セルフレジはこの問題を解決し、お客様
のサービスを改善します。NCR の小売商品、ソリュー
ションマーケティング担当副社長のトレーシー フリ
ン氏によると、伝統的なレジの列が 20%減ったと言っ
ています。
小売業界では、労働力の不足に直面しつつあり、こ
のセルフレジは、サービスの質を落とさずに、お客様
の満足を提供するソリューションとなります。
セルフレジの、最近の技術的進歩のひとつとして、
コンバーティブル方式があげられます。セルフ方式と
キャッシアー方式とが切り替えられる方式です。忙し
い時間帯では、キャシアーが通常のチェックアウトレ
ーンとして使い、そうでない時は、セルフレジとして
使えるものです。
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IGA システムにおける、
セルフレジ
スナイダーIGA の経営者、ジム ミルスは、食品小
売業において常に先頭を切っていきたいと考えていま
す。彼は IGA システムのなかでは、最初にセルフレジ
を導入しました。それはまた、オクラホマ州全体でも
最初の導入でした。
このシステムの独特な点は、スキャンされていない
商品を買い物袋に残さず、すべての商品がスキャンさ
れることを事実上保証するメカニズムがついているこ
とです。
このオペレーションがうまくいくためには、適切な
監視システムが必要であると同時に、店の従業員とお
客様の適切な教育が必要となります。これらの安全対
策がなされないと、このシステムは間違いなく失敗す
ることが明らかです。
将来の新しい技術
手根管症候群
作成日:2003 年 10 月 7 日
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チェックアウトの列は近い将来なくなるでしょう。
頭の良いショッピングカートが自動的にお客様の買っ
た商品を記録し、お客様の口座から引き落とされ、ま
た買い物客は商品と“会話”が出来るようになりま
す。技術の早い進歩によって、買い物は革命的に変化
するでしょう。例えば、マイクロチップを商品の包装
に埋め込み、電波とリーダーの技術を使って、工場か
ら消費者までの全サプライチェーンを通して、情報を
伝えることができる、電子商品コード(EPC)がその
例です。
チェックアウトにおける反復操作によって惹き起こ
される傷病、手根管症候群あるいは人間工学的傷病と
して知られている大きな問題が、ひろがりつつあるこ
とについてすでに述べました。
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フロント・エンド(店頭)
題:
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人間工学
人間工学とは、労働者と労働環境との関係について
の学問です。その目指すところは、仕事の生産性と、
労働者、とくに日々の仕事において反復的な仕事を行
う労働者の、健康と幸せを最適化する事にあります。
肉屋、パン職人、などと同様にキャッシアーは、明ら
かにこの労働者のカテゴリーに属します。
この問題を避ける秘訣はすべてのキャッシアー(あ
るいは同様な問題がおきうる他の人たち)を教育し、
この疾患から守るために、適切な商品の取扱いと動作
を身に付けさせることです。
適切な取扱いと
動作の技術
最近、チェックスタンドの従業員の健康と幸せを守
るために、チェックスタンドのデザインそのものの変
更も検討され、実施されるようになってきました。こ
の重要な問題については、この章のあとのセクション
でさらに詳細に議論します。
出典: www.ncr.com; www.fmi.org
食品小売オペレーション自習プログラム、クエーカーオーツ社、1995
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