難病対策の改革および障害者総合支援法における障害福祉サービス

難病対策の改革および
障害者総合支援法における
障害福祉サービスについて
厚生労働省
健康局 疾病対策課
社会援護局 障害保健福祉部企画課
田中 桜
平成26年度 相談支援従事者指導者養成研修プログラム (2014年5月22日)
国立障害者リハビリテーションセンター
目 次
1. 難病対策の改革について
2. 障害者総合支援法における
障害福祉サービスについて
1
1.難病対策の改革について
難病対策の経緯
難病対策の背景
○ 国が難病対策を進めることとなった発端の一つは、スモンの発生。
昭和39年以降、全国各地で集団発生を思わせる多数の患者発生があったために社会問題化。
○ この原因不明の疾患に対しては、昭和39年度から研究が進められ、昭和44年にはスモン調査研究協議会が組織され、
以後大型研究班によるプロジェクト方式の調査研究が進められた。
○ 昭和45年、この研究班からスモンと整腸剤キノホルムとの関係について示唆があり。同年、厚生省(当時)は、キノホル
ム剤の販売等を中止。それ以降新患者発生は激減。
○ 厚生省はスモンの入院患者に対して、昭和46年度から月額1万円を治療研究費の枠から支出することとした。
○ 昭和47年にはスモン調査研究協議会の総括的見解として、「スモンと診断された患者の大多数は、キノホルム剤の服
用によって神経障害を起こしたものと判断される」と発表された。
○ 厚生省は、難病対策の考え方、対策項目などについて検討を加えるため、昭和47年に難病プロジェクトチームを設置し、
その検討結果を「難病対策要綱」として発表。
難病対策
難病対策要綱(昭和47年厚生省)
<疾病の範囲>
○取り上げるべき疾病の範囲について整理
(1)原因不明、治療方法未確立であり、かつ、後遺症を残すおそ
れが少なくない疾病
(2)経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等
に著しく人手を要するために家庭の負担が重く、また、精神
的にも負担の大きい疾病
<対策の進め方>
1)調査研究の推進
2)医療施設の整備
3)医療費の自己負担の解消
○昭和47年に下記疾患から対策をスタート
(下線のある疾患は、医療費助成の対象)
・
・
・
・
・
・
・
・
スモン
ベーチェット病
重症筋無力症
全身性エリテマトーデス
サルコイドーシス
再生不良性貧血
多発性硬化症
難治性肝炎
※昭和49年の受給者数(対象10疾患)は17.595人
特定疾患治療研究事業の対象疾患受給者証所持者数 一覧
疾患番
号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
疾患名
実施年月日
受給者証所持者数
ベーチェット病
多発性硬化症
重症筋無力症
全身性エリテマトーデス
スモン
再生不良性貧血
サルコイドーシス
筋萎縮性側索硬化症
強皮症、皮膚筋炎及び多発性筋炎
昭和47年 4月
昭和48年 4月
昭和47年 4月
〃
〃
昭和48年 4月
昭和49年10月
〃
〃
18,451
16,140
19,009
59,553
1,608
10,148
22,161
8,992
45,833
特発性血小板減少性紫斑病
〃
23,791
結節性動脈周囲炎
潰瘍性大腸炎
大動脈炎症候群
ビュルガー病
天疱瘡
脊髄小脳変性症
クローン病
難治性肝炎のうち劇症肝炎
悪性関節リウマチ
パーキンソン病関連疾患
① 進行性核上性麻痺
② 大脳皮質基底核変性症
③ パーキンソン病
アミロイドーシス
後縦靭帯骨化症
ハンチントン病
モヤモヤ病(ウイリス動脈輪閉塞症)
ウェゲナー肉芽腫症
特発性拡張型(うっ血型)心筋症
多系統萎縮症
① 線条体黒質変性症
② オリーブ橋小脳萎縮症
③ シャイ・ドレーガー症候群
表皮水疱症(接合部型及び栄養障害型)
膿疱性乾癬
広範脊柱管狭窄症
昭和50年10月
〃
〃
〃
〃
昭和51年10月
〃
〃
昭和52年10月
平成15年10月
平成15年10月
昭和53年10月
昭和54年10月
昭和55年12月
昭和56年10月
昭和57年10月
昭和59年 1月
昭和60年 1月
平成15年10月
昭和51年10月
昭和61年 1月
昭和62年 1月
昭和63年 1月
昭和64年 1月
8,928
133,543
5,829
7,282
5,085
25,047
34,721
249
6,302
116,536
1,736
32,043
846
14,465
1,834
24,386
11,797
338
1,823
4,741
疾患番号
疾患名
実施年月日
31
原発性胆汁性肝硬変
平成 2年 1月
32
重症急性膵炎
平成 3年 1月
33
特発性大腿骨頭壊死症
平成 4年 1月
34
混合性結合組織病
平成 5年 1月
35
原発性免疫不全症候群
平成 6年 1月
36
特発性間質性肺炎
平成 7年 1月
37
網膜色素変性症
平成 8年 1月
38
プリオン病
平成14年 6月統合
①クロイツフェルト・ヤコブ病
平成 9年 1月
② ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病
平成14年 6月
③致死性家族性不眠症
平成14年 6月
39
肺動脈性肺高血圧症
平成10年 1月
40
神経線維腫症
平成10年 5月
41
亜急性硬化性全脳炎
平成10年12月
42
バッド・キアリ(Budd-Chiari)症候群
〃
43
慢性血栓塞栓性肺高血圧症
〃
44
ライソゾーム病
平成14年 6月統合
①ファブリー病
平成11年 4月
②ライソゾーム病
平成13年 5月
45
副腎白質ジストロフィー
平成12年 4月
46
家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)
平成21年10月
47
脊髄性筋萎縮症
平成21年10月
48
球脊髄性筋萎縮症
平成21年10月
49
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
平成21年10月
50
肥大型心筋症
平成21年10月
51
拘束型心筋症
平成21年10月
52
ミトコンドリア病
平成21年10月
53
リンパ脈管筋腫症(LAM)
平成21年10月
54
重症多形滲出性紅斑(急性期)
平成21年10月
55
黄色靱帯骨化症
平成21年10月
間脳下垂体機能障害(PRL分泌異常症、ゴナ
ドトロピン分泌異常症、ADH分泌異常症、下垂
56
平成21年10月
体性TSH分泌異常症、クッシング病、先端巨
大症、下垂体機能低下症)
合計
受給者証所持者数
19,054
1,587
14,680
9,939
1,286
7,065
26,934
506
1,969
3,414
91
261
1,590
868
187
141
619
888
2,986
2,779
26
945
439
58
1,632
15,017
778,178
平成23年度末現在
※出典:衛生行政報告例
※対象疾患は平成23年4月1日現在における対象疾患である。
※着色された疾患は、重症度分類等を勘案して対象患者を認定している疾患。
4
受給者件数の推移
件数
160,000
140,000
120,000
100,000
80,000
潰瘍性大腸炎
全身性エリテマトーデス
特発性血小板減少性紫斑病
網膜色素変性症
サルコイドーシス
ベーチェット病
重症筋無力症
特発性大腿骨頭壊死症
多発性硬化症
多系統萎縮症症候群
混合性結合組織病
大動脈炎症候群
結節性動脈周囲炎
天疱瘡
スモン
膿疱性乾癬
ウェゲナー肉芽腫症
アミロイドーシス
ハンチントン病
ライソゾーム病(ファブリー〔Fabry〕病を含む)
プリオン病
バッド・キアリ(Budd-Chiari)症候群
亜急性硬化性全脳炎
脊髄性筋萎縮症
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
拘束型心筋症
リンパ脈管筋腫症(LAM)
黄色靱帯骨化症
パーキンソン病
強皮症、皮膚筋炎及び多発性筋炎
クローン病
後縦靱帯骨化症
脊髄小脳変性症
特発性拡張型(うっ血型)心筋症
原発性胆汁性肝硬変
モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)
再生不良性貧血
ビュルガー病
筋萎縮性側索硬化症
悪性関節リウマチ
特発性間質性肺炎
広範脊柱管狭窄症
神経線維腫症
重症急性膵炎
原発性免疫不全症候群
肺動脈性肺高血圧症
特発性慢性肺血栓塞栓症(肺高血圧型)
表皮水疱症(接合部型及び栄養障害型)
難治性の肝炎のうち劇症肝炎
副腎白質ジストロフィー
家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)
球脊髄性筋萎縮症
肥大型心筋症
ミトコンドリア病
重症多形滲出性紅斑(急性期)
間脳下垂体機能障害
60,000
合計約78万人
(平成23年度末時点)
潰瘍性大腸炎
パーキンソン病
全身性エリテマトーデス
40,000
20,000
0
S49 S50 S51 S52 S53 S54 S55 S56 S57 S58 S59 S60 S61 S62 S63 H元 H2
H3
H4
H5
H6
H7
H8
H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23
年度
5
特定疾患治療研究事業の予算額と都道府県への交付率の推移
1600
100.0%
(億円)
93.1%
90.0%
1,342
1400
1278
80.0%
1190
1200
72.9%
61.7%
1030.158103
62.4%
1000
59.0%
59.9%
60.0%
813.5234899
767.338843
733.5761589
684.952381
800
55.8%
1,092
59.0%
70.0%
60.0%
960.302521 50.0%
888.3274021
54.3%
50.0%
609.0819672
566.8611111
600
65.2%
50.0%
46.8%
40.0%
492.0434783
440
400
30.0%
350
226
200
204
186
242.39939 250.06639
215.78387 221.56695 232.14695
285.69041
260.56485
275
280
20.0%
10.0%
0
0.0%
事業費
国庫補助
6
都道府県への交付率
持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律
(平成25年第185回国会成立)
第二章 講ずべき社会保障制度改革の措置等
(医療制度)
第四条 政府は、高齢化の進展、高度な医療の普及等による医療費の増大が見込まれる中で、医療保険各法(高齢者の医療の
確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号。以下「高齢者医療確保法」という。)第七条第一項に規定する医療保険各法
をいう。第七項第二号ニにおいて同じ。)による医療保険制度及び高齢者医療確保法による後期高齢者医療制度(同項におい
て「医療保険制度等」という。)に原則として全ての国民が加入する仕組みを維持することを旨として、医療制度について、この
条に定めるところにより、必要な改革を行うものとする。
2~9 (略)
10 政府は、この法律の施行の際現に実施されている難病及び小児慢性特定疾患(児童福祉法第二十一条の五に規定する医
療の給付の対象となる疾患をいう。以下この項において同じ。)に係る医療費助成について、難病対策に係る都道府県の超過
負担の解消を図るとともに、難病及び小児慢性特定疾患に係る新たな公平かつ安定的な医療費助成の制度(以下この項にお
いて「新制度」という。)を確立するため、新制度の確立に当たって、次に掲げる事項その他必要な事項について検討を加え、
その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
一 新制度を制度として確立された医療の社会保障給付とすること。
二 新制度の対象となる疾患の拡大
三 新制度の対象となる患者の認定基準の見直し
四 新制度の自己負担の新制度以外の医療費に係る患者の負担の軽減を図る制度との均衡を考慮した見直し
11 政府は、前項の措置を平成二十六年度を目途に講ずるものとし、このために必要な法律案を平成二十六年に開会される国
会の常会に提出することを目指すものとする。
7
難病の患者に対する医療等に関する法律の概要
法案提出の趣旨
持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、難病の患者に対する医療費助成
(注)に関して、法定化によりその費用に消費税の収入を充てることができるようにするなど、公平かつ安定的な制度を確立するほ
か、基本方針の策定、調査及び研究の推進、療養生活環境整備事業の実施等の措置を講ずる。
(注)現在は法律に基づかない予算事業(特定疾患治療研究事業)として実施している。
法律案の概要
(1) 基本方針の策定
• 厚生労働大臣は、難病に係る医療その他難病に関する施策の総合的な推進のための基本的な方針を策定。
(2) 難病に係る新たな公平かつ安定的な医療費助成の制度の確立
• 都道府県知事は、申請に基づき、医療費助成の対象難病(指定難病)の患者に対して、医療費を支給。
• 指定難病に係る医療を実施する医療機関を、都道府県知事が指定。
• 支給認定の申請に添付する診断書は、指定医が作成。
• 都道府県は、申請があった場合に支給認定をしないときは、指定難病審査会に審査を求めなければならない。
• 医療費の支給に要する費用は都道府県の支弁とし、国は、その2分の1を負担。
(3) 難病の医療に関する調査及び研究の推進
• 国は、難病の発病の機構、診断及び治療方法に関する調査及び研究を推進。
(4) 療養生活環境整備事業の実施
• 都道府県は、難病相談支援センターの設置や訪問看護の拡充実施等、療養生活環境整備事業を実施できる。
施行期日
平成27年1月1日
※児童福祉法の一部を改正する法律案(小児慢性特定疾病の患児に対する医療費助成の法定化)と同日
難病及び小児慢性特定疾病の新たな医療費助成制度について
○ 医療費助成の対象疾患の拡大
○ 対象疾患(指定難病の要件に該当する疾患は対象とする)
・ 難病:56疾患
→ 約300疾患(現時点で想定される疾患数)
・ 小慢:514疾患 → 約600疾患(現時点で想定される疾患数)
○ 受給者数
難病+小慢:約89万人(平成23年度)→ 約165万人(平成27年度)(試算)
・ 難病:約78万人(平成23年度) → 約150万人(平成27年度)(試算)
・ 小慢:約11万人(平成23年度) → 約14.8万人(平成27年度)(試算)
○ 委員会報告書の考え方に基づく医療費助成の事業規模(試算)
年
度
総事業費
平成23年度(実績)
平成25年度(見込)
平成27年度(試算)
約1,440億円
約1,600億円
約2,140億円
難病
事業費
(国費)
約1,190億円
(約280億円)
約1,340億円
(約440億円)
約1,820億円
(約910億円)
小慢
事業費
(国費)
約250億円
(約125億円)
約260億円
(約130億円)
約320億円
(約160億円)
難病の定義
難病
○発病の機構が明らかでなく
患者数等による限定は行わず、他
の施策体系が樹立されていない疾
病を幅広く対象とし、調査研究・患
者支援を推進
○治療方法が確立していない
○希少な疾病であって
○長期の療養を必要とするもの
指定難病
医療費助成の対象
難病のうち、以下の要件の全てを満たすものを、
患者の置かれている状況からみて
良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いものとして、
厚生科学審議会(第三者的な委員会)の意見を聴いて厚生労働大臣が指定
○患者数が本邦において一定の人数(注)に達しないこと
○客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること
(注)人口の0.1%程度以下であることを厚生労働省令において規定する予定。
難病対策の改革に向けた取組について(概要)
平成25年12月13日 厚生科学審議会
疾病対策部会 難病対策委員会
難病対策の基本理念及び基本的事項
○ 難病(※)の治療研究を進め、疾患の克服を目指すとともに、難病患者の社会参加を支援し、難病にかかっても地域で尊厳を
持って生きられる共生社会の実現を目指す。
※ 原因不明で、治療方法が未確立であり、生活面で長期にわたり支障が生じる疾病のうち、がん、生活習慣病等別個の対策の体系がないもの
○ 国による基本方針の策定
難病対策に係る基本方針を定め、医療や研究開発の推進を図るとともに、福祉や雇用などの他の施策との連携を図る。
第1.効果的な治療方法の
開発と医療の質の向上
1.治療方法の開発に向けた難病研究の推
進
○ 診断基準の作成を行う研究や診療ガイ
ドラインの作成の推進
○ 病態解明を行い、新規治療薬等の開発
等を推進
2.難病患者データベースの構築
○ 患者全員が登録可能。データを登録し
た患者に難病患者登録証明書(仮称)を
発行
○ 「難病指定医(仮称)が正確に診断し、
患者データの登録を実施
3.医療提供体制の確保
○ 新・難病医療拠点病院(総合型)(仮称)
や指定医療機関(仮称)の指定
○ かかりつけ医等による日常診療
○ 難病医療支援ネットワーク(仮称)等に
より、正しい診断ができる体制を整備
第2.公平・安定的な
医療費助成の仕組みの構築
第3.国民の理解の促進と
社会参加のための施策の充実
1.医療費助成の基本的な考え方
○ 新たな医療費助成は、治療研究を推進する目
的に加え、福祉的な目的を併せ持つ
1.難病に関する普及啓発
○ 難病情報センターにおける情報の充実
2.医療費助成の対象疾患及び対象患者
○ 対象疾患は、患者数が人口の0.1%程度以下
等であり、客観的な指標に基づく一定の診断基
準が確立しているもの
○ 対象患者は、症状の程度が重症度分類等で
一定程度以上の者、もしくは高額な医療を継続
することが必要な者
3.患者負担の在り方について
○ 負担割合を3割から2割に軽減し、所得に応じ
て負担限度額等を設定
○ 人工呼吸器等装着者の更なる負担の軽減
○ 現行の事業の対象であった者については、3
年間の経過措置
4 「医療受給者証(仮称)」の交付
○ 都道府県が対象患者に交付
2.難病患者の社会参加のための支援
○ 難病相談・支援センターの機能強化
○ 症状の程度等に応じた取組の推進
3.福祉サービスの充実
○ 医療費助成の対象疾患の拡大に伴う障
害福祉サービスの対象疾患の拡大
4.就労支援の充実
○ ハローワークと難病相談・支援センター
の連携強化等
5.難病対策地域協議会(仮称)
○ 保健所を中心とした難病対策地域協議
会(仮称)の活用等による適切な支援
11
効果的な治療方法の開発と医療の質の向上
○ 難治性疾患政策研究事業及び難治性疾患実用化研究事業がお互いに連携しながら、治療方法の開発に向
けた難病研究の推進に取り組む。
○ 症例が比較的少ない難病について、一定の症例数を確保し、研究の推進や医療の質の向上に結びつける。
○ 難病研究で得られた成果は、難病情報センター等を通して、広く国民にわかりやすく最新情報を提供する。
【総額104億円】
難治性疾患実用化研究事業
難治性疾患政策研究事業
○診断基準の作成
○診療ガイドラインの作成、
改訂、普及
○疫学研究
○難病患者QOL調査
等
○病態解明、遺伝子解析や新規治療薬・医療機器等の開発につなげる研究等
小児重症拡張型心筋症への
骨格筋芽細胞シートを用いた
再生治療等【例示】
ALS等四肢麻痺患者向けの
意思伝達装置HALスイッチ
の開発【例示】
情報提供
連携
ALS等神
経・筋難病
疾患に対す
る下肢装着
型補助ロ
ボット(HALHN01)
【例示】
多系統萎縮症の原因遺伝子
COQ2の発見【例示】
先天性ミオパチーの疾患責任
遺伝子KLHL40の発見【例示】
・新たな治療法開発等を通じ
た研究成果の還元
・難病情報センターを通じて疾
患に関する最新情報を提供
データの
登録等
治験等へ
の参加等
難病患者
難病の未承認薬・適応外薬の承認に向けた取組
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬について
欧米等では使用が認められているが、国内では承認されていない医薬品や適応(以下「未承認薬・適応外薬」)に
ついては、これまでに計2回の開発要望を募集しており、その結果について「医療上の必要性の高い未承認薬・
適応外薬検討会議」において、医療上の必要性を評価するとともに、承認申請のために実施が必要な試験の妥
当性や公知申請への該当性を確認すること等により、製薬企業による未承認薬・適応外薬の開発を促している。
【製薬企業】
【学会、患者団体、個人等】
未承認薬・適応外薬に係る要望
重篤な疾患で他に治療法がない等医療上の必
要性が高い未承認・適応外薬
*欧米等6カ国で承認・標準療法で使用
・第Ⅰ回要望は374件
平成21年6~8月
・第Ⅱ回要望は290件
平成23年8~9月
【厚生労働省】
医療上の必要性の高い
未承認薬・適応外薬
検討会議
医療上の必要性を評価
第Ⅰ回要望のうち
開発要請は165件
開発企業公募は20件
第Ⅱ回要望のうち(作業継続中)
開発要請は81件
開発企業公募は17件
(平成25年6月30日現在)
要請後、1年以内に治験開始
又は半年以内に公知申請※
※治験等を実施せず、海外データ等
のエビデンスに基づき申請
第Ⅰ回要望のうち107品目承認
第Ⅱ回要望のうち21品目承認
(平成25年6月30日現在 )
【難病関係での開発要請例】
ミグルスタット (Niemann-Pick病 C型) →承認済み
トレプロスチニル (肺高血圧症)
アザチオプリン (ステロイド抵抗性全身性SLE) →承認済み
人免疫グロブリン (原発性免疫不全症候群)→承認済み 等
新薬創出・適応外薬解消等促進加算 (薬価の加算 H22.4より試行継続中)
革新的な新薬の創出や適応外薬の開発等を目的に、後発品のない新薬で値引率の小
さいものに一定率までの加算を行う。
加算の条件として、厚生労働省が開発要請する適応外薬の開発等を実行する。
希少疾病用医薬品・医療機器 (オーファンドラッグ・デバイス)
の指定制度について
医療上の必要性が高いにも関わらず、患者数が少なく、研究開発が進まない医薬品・
医療機器の開発を支援する。
制度の目的
オーファンドラッグ・デバイスの指定要件
対象者数が国内において5万人に達しないこと
対象者数
医療上の必要性
代替する適切な医薬品・医療機器又は治療方法がない
こと、又は既存の医薬品と比較して著しく高い有効性又
は安全性が期待されること
開発の可能性
対象疾病に対して、当該医薬品・医療機器を使用する
根拠があり、開発計画が妥当であること
これらの条件を満
たす医薬品・医
療機器を指定
(薬事法第77条の2)
支援等の内容について
優先的な治験相談及び優先審査の実施
総審査期間の中央値
(平成25年度PMDA目標)
<総合機構>
新医薬品(優先品目)9ヵ月(通常品目は12ヵ月)
新医療機器(優先品目)は10ヵ月(通常品目は14ヵ月)
申請手数料の減額
試験研究費への助成金交付
<医薬基盤研究所>
指定から承認申請までに必要な試験研究に要する直接経費の2分の1に相当する額を上限。
税制措置上の優遇措置
<医薬基盤研究所による認定>
助成金を除くオーファンドラッグ等の試験研究費総額の12%が税控除の対象。
研究開発に関する指導・助言
<医薬基盤研究所>
効果的な治療方法の開発と医療の質の向上(患者の診療の流れとその支援の体制)
○ 正しい診断や、適切な治療が行える医療提供体制の構築
・「新・難病医療拠点病院(総合型)(仮称)」を三次医療圏ごとに原則1か所以上、「新・難病医療拠点病院(領
域型)(仮称)」を適切な数を指定
・「難病医療地域基幹病院(仮称)」を二次医療圏に1か所程度指定する。
・国立高度専門医療研究センター、難病研究班、それぞれの分野の学会等が連携して「難病医療支援ネット
ワーク(仮称)」を形成し、全国規模で正しい診断ができる体制を整備
診断
二
次
医
療
圏
《全国的な取組》
難病指定医
(仮称)
難病医療支援
ネットワーク(仮称)
受診
患者
治療
かかりつけ医
等
難病研究班
紹介
国立高度専門
医療研究センター
難病医療地域
基幹病院(仮称)
紹介
紹介
三次医療圏
新・難病医療拠点病院(総合型)(仮称)
・県内において診断可能な疾患を増やす。
新・難病医療拠点病院(領域型)(仮称)
・総合型と連携して特定の領域で専門的な診断を行う。
各分野の学会
※いずれにおいても
最初の診断と治療
方針の決定は指定
医が行うことで、正
確な診断と適切な治
療を確保する。
・診断の補助や治療
に関する情報提供等
・極めて希少な疾患に関する問い合わせ
・特定の機関でのみ検査可能な疾患の検体送付
・特定の機関でのみ診断可能な患者を紹介
公平・安定的な医療費助成の仕組みの構築(難病に係る新たな医療費助成の制度①)
<高額な医療が長期的に継続する患者の特例>
<自己負担割合>
○ 自己負担割合について、現行の3割から2割に引下
げ。
<自己負担限度額>
※
○ 所得の階層区分や負担限度額については、医療保険
の高額療養費制度や障害者の自立支援医療(更生医
療)を参考に設定。
○ 症状が変動し入退院を繰り返す等の難病の特性に配
慮し、外来・入院の区別を設定しない。
○ 受診した複数の医療機関等の自己負担(※)をすべて合
算した上で負担限度額を適用する。
※
○ 高額な医療が長期的に継続する患者(※)については、自
立支援医療の「重度かつ継続」と同水準の負担限度額を設
定。
薬局での保険調剤及び医療保険における訪問看護ステーション
が行う訪問看護を含む。
○ 人工呼吸器等装着者の負担限度額については、所得区分
に関わらず月額1,000円とする。
<高額な医療を継続することが必要な軽症者の特例>
○ 助成の対象は症状の程度が一定以上の者であるが、軽症
者であっても高額な医療(※)を継続することが必要な者につ
いては、医療費助成の対象とする。
※
<所得把握の単位等>
○ 所得を把握する単位は、医療保険における世帯。所得
を把握する基準は、市町村民税(所得割)の課税額。
○ 同一世帯内に複数の対象患者がいる場合、負担が増
えないよう、世帯内の対象患者の人数で負担限度額を按
分する。
「高額な医療が長期的に継続する患者(「高額かつ長期」)とは、
月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある者(例
えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超え
る月が年間6回以上)とする。
「高額な医療を継続すること」とは、月ごとの医療費総額が33,330
円を超える月が年間3回以上ある場合(例えば医療保険の3割負担
の場合、医療費の自己負担が1万円以上の月が年間3回以上)とす
る。
<経過措置(3年間)>
○ 既認定者の負担限度額は、上記の「高額かつ長期」の負
担限度額と同様とする。
○ 既認定者のうち現行の重症患者の負担限度額は、一般患
者よりさらに負担を軽減。
<入院時の食費等>
○ 入院時の標準的な食事療養及び生活療養に係る負担
について、患者負担とする。
○ 既認定者については、入院時の食費負担の1/2は公費負
担とする。
公平・安定的な医療費助成の仕組みの構築(難病に係る新たな医療費助成の制度②)
☆新たな医療費助成における自己負担限度額(月額)
(単位:円)
患者負担割合:2割
自己負担限度額(外来+入院)
階 層
区 分
階層区分の基準
原則
(( )内の数字は、夫婦2人世帯の場
合における年収の目安)
高額かつ
長期
既認定者(経過措置3年間)
一般
(※)
人工
呼吸器等
装着者
現行の
重症患者
0
0
0
0
0
本人年収
~80万円
2,500
2,500
2,500
本人年収
80万円超~
5,000
5,000
5,000
一般所得Ⅰ
市町村民税
課税以上約7.1万円未満
(約160万円~約370万円)
10,000
5,000
一般所得Ⅱ
市町村民税
約7.1万円以上約25.1万円未満
(約370万円~約810万円)
20,000
10,000
10,000
上位所得
市町村民税約25.1万円以上
(約810万円~)
30,000
20,000
20,000
一般
生活保護
低所得Ⅰ
低所得Ⅱ
-
市町村民税
非課税
(世帯)
入院時の食費
人工
呼吸器等
装着者
0
2,500
全額自己負担
1,000
5,000
1,000
5,000
1/2自己負担
※「高額かつ長期」とは、月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある者(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負
担が1万円を超える月が年間6回以上)。
既認定患者における難病の新たな自己負担について
現
行
(単位:円)
経過措置(3年間) (単位:円)
自己負担割合:3割
外来
重症患者
自己負担割合:2割
入院
0
(81,418人、10.4%)
※3
0
A階層
0
B階層(~年収165万)
C階層(~年収180万)
(19,236人、2.5%)
D階層(~年収220万)
(36,399人、4.6%)
(88,076人、11.2%)
F階層(~年収400万)
(75,059人、9.6%)
低所得Ⅰ
低所得Ⅱ
5,000
市町村民税非課税
本人年収80万超~
(181,762人、23.2%)
一般
高額
かつ
長期
2,500
2,500
5,000
5,000
外来+入院
市町村民税
課税以上
3万3千円未満
4,250
8,500
一般所得Ⅰ
5,500
11,000
9,350
18,700
23,100
医療保険に
おける高額
療養費の自
己負担限度
額
5,000
5,000
1,000
市町村民税
3万3千円以上
23万5千円未満
高額療養費
適用の場合
例:44,400
(年収約370~約810万)
市町村民税
約7.1万以上
約25.1万未満
20,000
10,000
(年収約370~約810万)
一定所得
上位所得
20,000
食費:1/2を自己負担
市町村民税
約25.1万以上
(年収約810万~)
30,000
20,000
市町村民税
23万5千円以上
自立支援医
療の対象外
(医療保険に
よる給付)
(多数回該当)
食費:全額自己負担
食費:全額自己負担
※1 新規認定患者については、原則の負担限度額が当初から適用される。
※2 症状の程度が重症度分類等で一定以上に該当しない者(経過措置期間中は医療費助成の対象となるが、経過措置終了後は高額な医療費が継続して必要な患者を除き、医療費助成の対象外)。
※3 ( )内の数値は、平成23年度における受給者数及び全受給者(783,875人)に対する構成割合。
新制度導入による難病の医療費の自己負担額について(試算)
新制度導入による1月当たり自己負担額の変化
現行制度
平均自己負担額 約4,800円
約1,300円
約11,900円
新制度(平成27年度)
平均自己負担額 約3,200円
既認定者
新規認定者
約2,900円
約3,800円
*試算の前提条件
・平成23年10月から平成24年9月診療分のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、
現行制度から新制度に移行した場合を仮定し、患者一人当たりの自己負担増減額を試算。
【参考】他制度における1月当たりの平均自己負担額
〇 障害者医療(更生医療)約3,200円、後期高齢者医療(75歳以上の高齢者)約6,300円。
・ 障害者医療(更生医療)における平均自己負担額については、肢体不自由者の人工関節置換術など
一時的な手術等の治療のみを受ける者を除くため、福祉行政報告例により平均受診月数が6ヶ月
以上と推計される障害のある者について算出。
(出典)厚生労働省健康局疾病対策課調べ
20,000
例:83,400
(参考)
健康保険における入院時の食費
・一般世帯:260円/食
(この他、所得等に応じ210円、160円、100円)
既認定者
新規認定者
10,000
(多数回該当)
一般所得Ⅱ
10,000
上位所得
食費:負担限度額内で自己負担
10,000
5,000
市町村民税
約25.1万以上
(年収約810万~)
5,000
(年収約160~約370万)
中間所得Ⅱ
市町村民税
約7.1万以上
約25.1万未満
11,550
市町村民税課税以上
約7.1万未満
5,000
市町村民税
非課税
本人年収80万1~
6,900
1,000
2,500
低所得Ⅱ
3,450
5,000
2,500
市町村民税
非課税
~本人年収80万
中間所得Ⅰ
一般所得Ⅰ
重度
かつ
継続
低所得Ⅰ
4,500
市町村民税課税以上
約7.1万未満
一般
人工
呼吸器等
装着者
2,250
一般所得Ⅱ
G階層(年収400万~)
人工
呼吸器等
装着者
市町村民税非課税
~本人年収80万
(年収約160~約370万)
E階層(~年収300万)
自己負担割合:1割
2,500
低所得Ⅱ
【参考】障害者医療
(更生医療) (単位:円)
外来+入院
2,500
0
市町村民税非課税
本人年収80万超~
(115,504人、14.7%)
現行の
重症患者
(単位:円)
自己負担割合:2割
軽症者(※2)
は助成対象外
一般
低所得Ⅰ
則(※1)
外来+入院
軽症者も
助成対象
市町村民税非課税
~本人年収80万
(186,421人、23.8%)
市町村民税非課税
原
国民の理解の促進と社会参加のための施策の充実(新たな難病患者を支える仕組み)
○ 難病に関する普及啓発を推進、充実させる。
○ 難病に関する相談体制の充実、難病相談・支援
センターなどの機能強化を図る。
○ 障害福祉サービス等の対象疾患を拡大する。
○ 「難病患者就職サポーター」や「発達障害者・難治性
疾患患者雇用開発助成金」等の施策により就労支援を
充実させる。
○ 「難病対策地域協議会(仮称)」を設置するなどして、
総合的かつ適切な支援を図る。
企業に対して、難病患者の雇用
管理等に関する情報を提供
「難病患者就職サポーター」の活用や
「発達障害者・難治性疾患患者雇用
開発助成金」等の施策による就労支
援の充実
二次医療圏
難病医療地域基幹
病院(仮称)
適切な医療を受けたい
都道府県
働きたい
ハローワーク
調剤薬局
指定難病医療機関
(仮称)(かかりつけ医)
難病相談・
支援センター
不安
患者
患者会・家族会
・人的体制の充実
・全国の取組内容等を共有するな
ど、全国のセンター同士のネット
ワークを構築し、質を底上げ
患者の相互支援の
推進、ピアサポート
の充実
在宅療養したい
訪問看護
ステーション
快適に生活したい
都道府県
保健所
福祉サービス
対象となる難病等を現
在の130疾患から拡大
難病情報センター
保健所を中心に、「難病対策
地域協議会(仮称)」を設置す
るなど、地域の医療・介護・福
祉従事者、患者会等が連携し
て難病患者を支援
新・難病医療拠点病院
(仮称)
難病対策に係る法律の施行について(案)
2013年度
(平成25年度)
2014年度
(平成26年度)
2015年度
(平成27年度)
新規疾患の
一部を前倒しで
実施
2月
前倒し実施
制度の詳細・運用を
決定
夏
第二次実施
準備期間
新規疾患(
先行分以外)
の患
者が対象
・第三者的な委員
会において対象疾
患の選定や重症
度分類等の策定を
行う。
準備期間
1月
第一次実施
・政省令等による医
療費助成支給の
手続等の決定
既存疾患+新規疾患(
先行分)
の患者が対象
制度の大枠が決定
○制度の運用を
決定
新法成立
法案提出(予算関連)
予算案閣議決定(自己負担の軽減措置を含む)
通常国会
完全
実施
○ 平成27年1月~:既存疾患と新規疾患(先行分)について、新たな医療費助成を実施
・ 新規疾患の指定には十分な準備期間が必要であり、平成27年夏から新たな制度の実施が想定されるが、できるだけ早い時期からの実施が望まれること
から、既存疾患と新規疾患の一部については、平成27年1月から前倒しで医療費助成を実施。
○ 平成27年夏~:新規疾患すべてについて、新たな医療費助成を実施
・ 新規疾患すべてについて、平成27年度の夏から医療費助成を実施。
2.障害福祉施策について
障害福祉施策の歴史
「ノーマライゼーション(※)」理念の浸透
※ 障害者などが地域で普通の生活を営むことを
当然とする福祉の基本的考え
障害者基本法
(心身障害者対策基本法
として昭和45年制定)
【H23】
心身障害者対策基本法
から障害者基本法へ
利用者が
サービスを選択で
きる仕組み
【H10】
知的障害者福祉法
(精神薄弱者福祉法
として昭和35年制定)
精神保健福祉法
(精神衛生法として
昭和25年制定)
完
全
参
加
と
平 【S62】
等
精神衛生法
から精神保
健法へ
【H18】
【H15】
精神薄弱者福祉
法から知的障害
者福祉法へ
【H7】
精神保健法から
精神保健福祉法
へ
3障害
共通の
制度
地域生活
を支援
【H25】
地域社会に
おける共生の
実現
難病等を
対象に
障害者総合支援法施行
国
際
障
害
者
年
障害者基本法
の一部改正
障害者自立支援法施行
(昭和24年制定)
【H5】
支援費制度の施行
身体障害者福祉法
【S56】
共生社会の
実現
地域社会における共生の実現に向けて
新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律の概要
1.趣旨
(平成24年6月20日 成立・同年6月27日 公布)
障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて、地域社会における共生の実現に向けて、障害福祉サービスの充実等障害者の
日常生活及び社会生活を総合的に支援するため、新たな障害保健福祉施策を講ずるものとする。
2.概要
1.題名
「障害者自立支援法」を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的
に支援するための法律(障害者総合支援法)」とする。
2.基本理念
法に基づく日常生活・社会生活の支援が、共生社会を実現するため、
社会参加の機会の確保及び地域社会における共生、社会的障壁の
除去に資するよう、総合的かつ計画的に行われることを法律の基本
理念として新たに掲げる。
3.障害者の範囲(障害児の範囲も同様に対応。)
「制度の谷間」を埋めるべく、障害者の範囲に難病等を加える。
4.障害支援区分の創設
「障害程度区分」について、障害の多様な特性その他の心身の状態
に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示す「障害
支援区分」に改める。
※ 障害支援区分の認定が知的障害者・精神障害者の特性に応じて
行われるよう、区分の制定に当たっては適切な配慮等を行う。
5.障害者に対する支援
① 重度訪問介護の対象拡大(重度の肢体不自由者等であって常時
介護を要する障害者として厚生労働省令で定めるものとする)
② 共同生活介護(ケアホーム)の共同生活援助(グループホーム)へ
の一元化
③ 地域移行支援の対象拡大(地域における生活に移行するため重点
的な支援を必要とする者であって厚生労働省令で定めるものを加える)
④ 地域生活支援事業の追加(障害者に対する理解を深めるための
研修や啓発を行う事業、意思疎通支援を行う者を養成する事業等)
6.サービス基盤の計画的整備
① 障害福祉サービス等の提供体制の確保に係る目標に関する事項
及び地域生活支援事業の実施に関する事項についての障害福祉
計画の策定
② 基本指針・障害福祉計画に関する定期的な検証と見直しを法定化
③ 市町村は障害福祉計画を作成するに当たって、障害者等のニーズ
把握等を行うことを努力義務化
④ 自立支援協議会の名称について、地域の実情に応じて定められる
よう弾力化するとともに、当事者や家族の参画を明確化
3.施行期日
平成25年4月1日(ただし、4.及び5.①~③については、平成26年4月1日)
4.検討規定(障害者施策を段階的に講じるため、法の施行後3年を目途として、以下について検討)
① 常時介護を要する障害者等に対する支援、障害者等の移動の支援、障害者の就労の支援その他の障害福祉サービスの在り方
② 障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方
③ 障害者の意思決定支援の在り方、障害福祉サービスの利用の観点からの成年後見制度の利用促進の在り方
④ 手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する
支援の在り方
⑤ 精神障害者及び高齢の障害者に対する支援の在り方
※上記の検討に当たっては、障害者やその家族その他の関係者の意見を反映させる措置を講ずる。
障害者の範囲の見直し
○ 制度の谷間のない支援を提供する観点から、障害者の定義に新たに難病等(治療方法が確立し
ていない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が
定める程度である者)を追加し、障害福祉サービス等の対象とする。
【平成25年4月1日施行】
○ 障害者総合支援法における難病等の範囲は、当面の措置として、「難病患者等居宅生
活支援事業」の対象疾病と同じ範囲(130疾患を政令で規定)として平成25年4月から
制度を施行した上で、新たな難病対策における医療費助成の対象疾患の範囲等に係る検
討を踏まえ、見直しを行うものとする。
(参考:難病患者等居宅生活支援事業(ホームヘルプサービス、短期入所、日常生活用具給付))
事業を実施する市町村に対し、国が費用の一部を補助(平成24年度予算:2億円、健康局予算事業)
難治性疾患克服研究事業の対象である130疾患と関節リウマチの患者を対象
※平成24年度まで実施
難病患者等で、症状の変動などにより、身体障害者手帳の取得ができないが一定の障
害がある方々に対して、障害福祉サービスを提供できるようになる。
これまで補助金事業として一部の市町村での実施であったが、全市町村において提供
可能になる。
受けられるサービスが、ホームヘルプサービス、短期入所、日常生活用具給付だけでな
く、新法に定める障害福祉サービスに広がる。
障害者総合支援法の対象疾患一覧(130疾患)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
IgA腎症
亜急性硬化性全脳炎
アジソン病
アミロイド症
アレルギー性肉芽腫性血管炎
ウェゲナー肉芽腫症
HTLV-1関連脊髄症
ADH不適合分泌症候群
黄色靭帯骨化症
潰瘍性大腸炎
下垂体前葉機能低下症
加齢性黄斑変性症
肝外門脈閉塞症
関節リウマチ
肝内結石症
偽性低アルドステロン症
偽性副甲状腺機能低下症
球脊髄性筋萎縮症
急速進行性糸球体腎炎
強皮症
ギラン・バレ症候群
筋萎縮性側索硬化症
クッシング病
グルココルチコイド抵抗症
クロウ・深瀬症候群
クローン病
劇症肝炎
結節性硬化症
結節性動脈周囲炎
血栓性血小板減少性紫斑病
原発性アルドステロン症
原発性硬化性胆管炎
原発性高脂血症
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
原発性側索硬化症
原発性胆汁性肝硬変
原発性免疫不全症候群
硬化性萎縮性苔癬
好酸球性筋膜炎
後縦靭帯骨化症
拘束型心筋症
広範脊柱管狭窄症
高プロラクチン血症
抗リン脂質抗体症候群
骨髄異形成症候群
骨髄線維症
ゴナドトロピン分泌過剰症
混合性結合組織病
再生不良性貧血
サルコイドーシス
シェーグレン症候群
色素性乾皮症
自己免疫性肝炎
自己免疫性溶血性貧血
視神経症
若年性肺気腫
重症急性膵炎
重症筋無力症
神経性過食症
神経性食欲不振症
神経線維腫症
進行性核上性麻痺
進行性骨化性線維形成異常症
進行性多巣性白質脳症
スティーヴンス・ジョンソン症候群
スモン
正常圧水頭症
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
成人スチル病
脊髄空洞症
脊髄小脳変性症
脊髄性筋萎縮症
全身性エリテマトーデス
先端巨大症
先天性QT延長症候群
先天性魚鱗癬様紅皮症
先天性副腎皮質酵素欠損症
側頭動脈炎
大動脈炎症候群
大脳皮質基底核変性症
多系統萎縮症
多巣性運動ニューロパチー
多発筋炎
多発性硬化症
多発性嚢胞腎
遅発性内リンパ水腫
中枢性尿崩症
中毒性表皮壊死症
TSH産生下垂体腺腫
TSH受容体異常症
天疱瘡
特発性拡張型心筋症
特発性間質性肺炎
特発性血小板減少性紫斑病
特発性血栓症
特発性大腿骨頭壊死
特発性門脈圧亢進症
特発性両側性感音難聴
突発性難聴
難治性ネフローゼ症候群
99
100
101
102
103
104
105
106
107
108
109
110
111
112
113
114
115
116
117
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121
122
123
124
125
126
127
128
129
130
膿疱性乾癬
嚢胞性線維症
パーキンソン病
バージャー病
肺動脈性肺高血圧症
肺胞低換気症候群
バッド・キアリ症候群
ハンチントン病
汎発性特発性骨増殖症
肥大型心筋症
ビタミンD依存症二型
皮膚筋炎
びまん性汎細気管支炎
肥満低換気症候群
表皮水疱症
フィッシャー症候群
プリオン病
ベーチェット病
ペルオキシソーム病
発作性夜間ヘモグロビン尿症
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
慢性血栓塞栓性肺高血圧症
慢性膵炎
ミトコンドリア病
メニエール病
網膜色素変性症
もやもや病
有棘赤血球舞踏病
ランゲルハンス細胞組織球症
リソソーム病
リンパ管筋腫症
レフェトフ症候群
障害者総合支援法の給付・事業
市 町 村
訓練等給付
介護給付
第28条第1項
・居宅介護
・重度訪問介護
・同行援護
・行動援護
・療養介護
・生活介護
・短期入所
・重度障害者等包括支援
・共同生活介護
・施設入所支援
・自立訓練(機能訓練・生活訓練)
・就労移行支援
・就労継続支援
・共同生活援助
第28条第2項
自立支援給付 第6条
★原則として国が1/2負担
自立支援医療
障害者・児
・更生医療
・育成医療
・精神通院医療
補装具
第5条第20項
★国が1/2以内で補助
地域生活支援事業
・相談支援
・移動支援
・福祉ホーム
第5条第19項
・コミュニケーション支援、日常生活用具
第77条第1項
・地域活動支援センター
等
支援
・広域支援
・人材育成
都道府県
等
第78条
※自立支援医療のうち育
成医療と、精神通院医療の
実施主体は都道府県等
障害福祉サービス等の体系
サービス名
児
訪問系
居宅介護(ホームヘルプ)
者
重度訪問介護
者
同行援護
者
児
重度の視覚障害のある人が外出する時、必要な情報提供や介護を行う
行動援護
者
児
自己判断能力が制限されている人が行動するときに、危険を回避するために必要な支援
、外出支援を行う
重度障害者等包括支援
者
児
介護の必要性がとても高い人に、居宅介護等複数のサービスを包括的に行う
自宅で、入浴、排せつ、食事の介護等を行う
重度の肢体不自由者で常に介護を必要とする人に、自宅で、入浴、排せつ、食事の介護、
外出時における移動支援などを総合的に行う
者
生活介護
者
施設入所支援
者
施設に入所する人に、夜間や休日、入浴、排せつ、食事の介護等を行う
施設
系
居住
系
共同生活援助(グループホーム) 者
者
自立訓練(生活訓練)
者
就労移行支援
者
就労継続支援(A型=雇用型) 者
就労継続支援(B型)
者
自立した日常生活又は社会生活ができるよう、一定期間、身体機能の維持、
向上のために必要な訓練を行う
自立した日常生活又は社会生活ができるよう、一定期間、生活能力の維持、
向上のために必要な支援、訓練を行う
一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び
能力の向上のために必要な訓練を行う
一般企業等での就労が困難な人に、雇用して就労する機会を提供するとともに、
能力等の向上のために必要な訓練を行う
一般企業等での就労が困難な人に、就労する機会を提供するとともに、
能力等の向上のために必要な訓練を行う
訓練等給付
訓練系・
就労系
自立訓練(機能訓練)
夜間や休日、共同生活を行う住居で、相談、入浴、排せつ、食事の介護や
日常生活上の援助を行う
介護給付
日中活動系
療養介護
自宅で介護する人が病気の場合などに、短期間、夜間も含め施設で、入浴、排せつ、
食事の介護等を行う
医療と常時介護を必要とする人に、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、
介護及び日常生活の世話を行う
常に介護を必要とする人に、昼間、入浴、排せつ、食事の介護等を行うとともに、
創作的活動又は生産活動の機会を提供する
短期入所(ショートステイ) 者 児
(注)1.表中の「 者 」は「障害者」、「 児 」は「障害児」であり、利用できるサービスにマークを付している。
障害福祉サービスにおける障害支援区分について(平成26年4月より)
介護の
必要度
居宅介護
低
非該当
区分1
区分2
重度訪問
介護
行動援護
日中活動系
サービス
居宅系
サービス
訪問系サービス
同行援護
(身体介護有り)
グループ
ホーム
行動関
連項目
10点
以上
短期入所
療養介護
生活介護
ALS患者
等の
場合は
区分6
50歳以
上の場
合は、
区分2
以上
筋ジス、
重心の
場合は
区分5
区分3
区分4
入所系
サービス
入所系
サービス
施設入所
支援
生活介護
+
施設入所支援
50歳以
上の場
合は、
区分3
以上
区分5
高
区分6
非該当の場合、地域生活支援事業における
「日中一時支援事業」により対応可能
※
※
※
※
50歳以上
の場合は、
区分3未満
※ケアマネ
ジメントで
必要性が
認められる
場合に限る
新体系サービスに移行する以前から利用していた者は
程度区分に関わらず、引き続き利用可能
同行援護(身体介護無し)については、支援区分を利用要件としていないが、別途アセスメント票により利用対象者の要件を定めている。
グループホームの「受託居宅介護サービス」を利用する場合、区分2以上の利用要件あり。
「訓練等給付」のサービス(自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型))は、支援区分の利用要件なし。
平成24年3月31日に障害児施設等に入所していた者が、障害福祉サービスを利用する場合は障害支援区分の判定は省略
障害福祉サービス等の利用者負担に対する配慮
(居宅・通所サービスの場合【障害者・障害児】)
◆ 平成18年4月からの障害者自立支援法の施行により、定率負担を原則として、所得に応じて1月当たりの負担上限月額
を設定(介護保険並び)
◆ 平成22年4月から、実質的な応能負担として、低所得(市町村民税非課税)の利用者負担を無料化
◆ 平成24年4月から、法律上も応能負担を原則とすることが明確化(平成22年12月の議員立法による障害者自立支援法
等の一部改正法により措置)
負担上限月額
(所得に応じ)
(
法施行時の
負担上限月額
一般
37,200 円
低所得2
24,600 円
低所得1
15,000 円
サービス量
(1)
(2)
(3)
(4)
生活保護
0 円
現行の
負担上限月額
一般2
37,200 円
一般1(所得割
16万円未満)
9,300 円(注)
負担額
負担額
定率負担(1割)を原則
(サービス量に応じ)
応能負担を原則
負担上限月額
(所得に応じ)
サービス量の1割 < 負担上限月額
の場合には、サービス量の1割を負担
所得
低所得
0 円
生活保護
0 円
市町村民税課税世帯
市町村民税
所得割
所得割
非課税・
16万円以上
生活保護世帯 16万円未満
(注)障害児の場合、世帯の所得割が
28万円未満の場合は、4,600円
一般:市町村民税課税世帯
低所得2:市町村民税非課税世帯((3)を除く)
低所得1:市町村民税非課税世帯であって、利用者本人(障害児の場合はその保護者)の年収が80万円以下の方
生活保護:生活保護世帯
※ 平成20年7月から障害者の負担上限月額については、世帯全体ではなく「本人及び配偶者」のみの所得で判断
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