AQFF2013 実務報告書 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. はじめに 実施概要 観客動員 広報活動 会計報告 当日資料 掲載資料 おわりに AQFF 運営事務局 E-Mail: [email protected] WebSite: http://aqff.jp/ 1 1:はじめに ●大きな広がりを見せた "AQFF" 2013 年 5 月 24 日から 26 日、5 月 31 日から 6 月 2 日の 6 日間に渡り、アジア映画に特化した 映画館シネマート六本木にて、第 4 回アジアンクィア映画祭(AQFF)を開催致しました。お陰様 で来場者数は前回比 133%となる 1700 名を突破、そして何よりも、今回もプログラム内容に大変 ご好評いただき、成功裏に終了することができました。また、今回は読売新聞、朝日新聞、毎日新 聞、ジャパンタイムズなどの新聞社を始め各種メディアでご紹介していただき、AQFF の認知度が 大幅にアップしたという実感がありました。改めまして、 AQFF にご協力いただけましたすべての 皆様に、スタッフ一同、心からの御礼を申し上げます。 ●プログラム 今回の AQFF は全 12 プログラム、計 27 作品を上映致しました。その内、ジャパン・プレミアは 23 作品、東京プレミアは 2 作品でした。今回のプログラムを語るうえで特筆すべきは、話題作の多 さです。 まず、今回の上映作品の中で最も集客があったのが「Orz ボーイズ」のヤン・ヤージャ監督の4 年ぶりの新作で、 「花蓮の夏」のジョセフ・チャン、 「モンガに散る」のリディアン・ボーン、 「藍色 夏恋」のグイ・ルンメイら台湾の人気俳優が集結した感動のドラマ『 GF*BF』です。第 14 回台北 電影奨ではジョセフ・チャンが主演男優賞を、第 49 回金馬獎ではグイ・ル ンメイが最優秀主演女 優賞を獲得するなど非常に高い評価を獲得していたこの作品は、今年の大阪アジアン映画祭で日本 初上映され大反響を呼びました。 AQFF ではその上映に続く東京でのプレミア上映を行い、2回の 上映とも立ち見の出る大盛況となりました。 そしてクロージングでは、今アジアで最も才能のあるゲイ監督と言っても過言ではない、イ=ソ ン・ヒイル監督の最新作である中編2作、長編1作から成る3部作を一挙上映(日本初上映)致し ました。ゲイであることをカミングアウトした韓国初の映画監督、イ=ソン・ヒイルは、韓国のゲ イ解放運動の先駆けとなった短編「シュガー・ヒル」や、インディーズ映画としては異例の大ヒッ トを記録した初長編「後悔なんてしない」 (第1回 AQFF で日本初上映)などを監督しています。今 作は高校教師と生徒の駆け引きを描いた『あの夏、突然に』、兵役中の青年と元指導官との秘密に迫 った『南へ』、2011 年に起きたホモフォビア暴行事件を元に作られた『白夜』(今年のベルリン国 際映画祭で上映)の3話で構成されており、非常に完成度の高い作品でした。このプログラムでは 監督の QA も行い、やはり立ち見の出る大盛況となりました。 さらに、ゲイとレズビアンの偽装結婚をコミカルに描いた『2度の結婚式と1度の葬式』、タイの ホアヒン国際映画祭で観客賞を獲得した傑作『愛なんていらない』、前回の AQFF で大好評だった『ジ ェリーフィッシュの恋』の続編など、アジア映画ファンの間で早くから話題となり、上映を待ち焦 がれていた話題作の数々も日本初上映致しました。 そして今回のプログラムのもう一つの特徴として、韓国作品の充実が挙げられます。先述致しま 2 したイ=ソン・ヒイル監督の 3 部作や『2度の結婚式と1度の葬式』の上映に加え、 「息もできない」 で青龍映画賞新人女優賞な ど数々の賞を受賞したキム・コッピが出演した名作『マネキンと手錠』 や、ソ・ジュンムン監督にスポットを当てた AQFF セレクションプログラムの『REC』や『蛍の光』 (AQFF2009 に続く再上映)なども大きな感動を呼びました。 また、これら話題作ばかりではなく、ドキュメンタリープログラムや短編集では、まさに 発掘 された知られざる名作の数々を上映し、大変ご好評いただきました。毎回プログラム内容はご好評 いただいておりますが、今回は特に賞賛のお声をたくさんいただくことができました。 ●上映素材の質の向上 かねてからの課題であった上映素材の質が大幅に向上しました。ハイビジョン化の流れを受け、 高画質の素材でブルーレイを制作。美しい映像での上映を実現することができました。 ●各国からご来場いただけたゲストの方々 今回はたくさんのゲストにお越しいただき、貴重なトークをお聞かせいただきました。ゲスト登 壇プログラムで司会&通訳を担当してくださったのは映画プレゼンターの松下由美さん、韓国語通 訳を担当していただいたのはキム・ミョンヒさんです。 【来日ゲストリスト 】 ⃝『秘密のクスリ』Chow Ka Ho 監督と Yeung Tsz Ngo Poppy 監督(香港) ⃝『ネイル』Yun Joo Chang 監督(韓国) ⃝『私の居場所』Tracy Iansin Choi 監督とアニメーターさん(マカオ) ⃝『REC』主演チョ・へフンさん、ソン・サムドンさん(韓国) ⃝『One Night and Two Days』イ=ソン・ヒイル監督(韓国) ●新たな試み 今回の会場ではチャリティフリーマーケットを行いました。また、来場してくださったお客様の ご厚意により、会場内でチャリティアロマテラピーハンドトリートメントを実施することができま した。 ●残る課題 今回で4回目の開催となりましたが、金銭的な面での厳しい状況は変わりなく、助成金申請や協 賛活動は困難を極めました。また、隔年開催という時間の余裕を生かせることができず、今回も宣 伝活動に十分な時間を割くことができませんでした。 AQFF は少人数のボランティア運営のため、 映画祭の規模が大きくなればなるほどスタッフの生活への負担も大きく限界を感じておりますので、 その運営方法も含め、課題を克服する方法を模索していきたいと考えております。 3 2:実施概要 日 程 2013 年 5 月 24 日 5 月 26 日/5 月 31 日 6 月 2 日(6 日間開催) 会 場 シネマート六本木(東京都港区六本木 3-8-15) 主 催 AQFF 運営事務局 協 力 松下由美 パンフレットデザイン 松浦秀明 字 幕 制 作 株式会社アウラ 翻 訳 協 力 荒木慎也/石井絹香/内田和世/岡山朋/加納礼子/加藤知恵/岸茉利/金明姫/ 김유진/如觀洪/高井清子/高木ひろみ/高橋彩/田中薫子/田中美奈/崔樹連/ 蔡七美/中川綾/中田実紀/中村雅美/Beverley Curran/安野美奈子/山口美 奈子/山崎智子/游杰/横手美紀/吉田ひなこ/吉田雅子(50 音順) 内 容 『Orz ボーイズ』のヤン・ヤージャ監督の4年ぶりの新作で台湾の人気俳 優ジョセフ・チャンやグイ・ルンメイらが出演した『GF*BF』、韓国の若 手実力派監督イ=ソン・ヒイルの最新作となる3部作『 One Night and Two Days』など、全 12 プログラム、計 27 作品を上映。その内、日本初 上映は 23 作品、東京初上映は 2 作品。 来 場 ゲ ス ト 『秘密のクスリ』Chow Ka Ho 監督と Yeung Tsz Ngo Poppy 監督(香港) /『ネイル』Yun Joo Chang 監督(韓国)/『私の居場所』Tracy Iansin Choi 監督とアニメーターさん(マカオ)/『REC』主演チョ・へフンさん、ソン・ サムドンさん(韓国)/『One Night and Two Days』イ=ソン・ヒイル 監督(韓国) 運 営 委 員 共同代表:大石夏絹/入美穂 スタッフ:内田佳瑞子 4 3:観客動員 日時 プログラム名 人数 5 月 24 日(金) ジェリーフィッシュの恋 25 ドキュメンタリープログラム 13 愛なんていらない 59 5 月 25 日(土) 無言 33 ドキュメンタリープログラム 29 短編集 A 31 ジェリーフィッシュの恋 2 49 GF*BF 5 月 26 日(日) 短編集 A 14 マネキンと手錠 67 2度の結婚式と 1 度の葬式 短編集 B ソ・ジュンムンプログラム 5 月 31 日(金) ドキュメンタリープログラム 25 短編集 A 24 2度の結婚式と 1 度の葬式 6 月 1 日(土) 短編集 B 25 ジェリーフィッシュの恋 84 ジェリーフィッシュの恋 2 109 愛なんていらない 106 無言 73 6 月 2 日(日) ソ・ジュンムンプログラム 81 マネキンと手錠 46 GF*BF 155 One Night and Two Days 151 合計 総合計 97 282 140 136 368 51 1730 100 153 104 5 397 433 4:広報活動 公 式 パ ン フ レ ッ ト 10,000 部(B5 サイズ、6 ページ) 雑 誌 掲 載 キネマ旬報/とことん!韓国ドラマパーフェクトガイド/Badi/G-men 新 聞 掲 載 朝日新聞/ジャパンタイムズ/毎日新聞/読売新聞 ラ ジ オ 出 演 ヨコハマ・ラジアンヌスタイル インターネット掲載 アジアンパラダイス/映画と。/映画の森/シネマコリア/シネマトピックスオ ンライン/g-ladxx/タイムアウト東京/日韓文化交流カレンダー /2CHOPO/ 六本木経済新聞ほか( 50 音順) 5:会計報告 2,529,800 チケット売り上げ 収入 支出 386,130 カンパ 8,881 その他(原稿料ほか) 収入合計 2,924,811 上映料・ゲスト費用・会場費 1,733,686 上映素材関連費用 565,950 広報費用(印刷費ほか) 135,099 その他(通信費・交通費・チケット販売手数料ほか) 482,480 2,917,215 支出合計 収支 7,596 単年度収支 6 6:当日資料(一部) 【左:上映作品ポスター/中:会場ロビー/右:劇場内】 【ゲスト登壇の様子】 5 月 26 日(日)19:00 AQFF セレクション-ソ・ジュンムンプログラム 『REC』『蛍の光』 左から韓国語通訳のキム・ミョンヒさ ん、『REC』主演チョ・へフンさん、ソ ン・サムドンさん、司会の松下由美さ ん。ソン・サムドンさんは 2008 年の劇 場公開作品「昼間から呑む」に出演さ れているということもあり、多くのフ ァンの方が駆けつけくれました。 6 月 2 日(日)17:05 クロージングプログラム 『One Night and Two Days』 左から韓国語通訳のキム・ミョンヒさ ん、イ=ソン・ヒイル監督、司会の松 下由美さん。日本にもたくさんのファ ンがいらっしゃるイ=ソン・ヒイル監 督。会場にはファンの方からの花束が 届くなど、期待度の高さが感じられま した。来日当日はイ=ソン・ヒイル監 督が運営に携わっている韓国のインデ ィフォーラム映画祭の真っ最中ということもあり、本来であれば来日は難しかったのですが、監督 は一睡もせず AQFF のために1日だけ来日してくれました。 7 7:掲載資料(一部) 【5 月 22 日 朝日新聞】 【5 月 22 日 毎日新聞 朝刊都内版】 8 【5 月 14 日 読売新聞 夕刊】 【5 月 24 日ジャパンタイムズ 】 9 8:おわりに ●AQFF の存在意義とは AQFF は、これまでほとんど観る機会がなく、ないものと思われてきたアジアのクィア作品を日 本の皆様にも紹介したいという想いで立ち上げました。しかし 回を重ねるごとに、未だ厳しい状況 下にありながら素晴らしい作品を生み出してくれる アジアのクィア作家達への感謝の気持ちがより 強く現れるようになりました。やがて私たちは、彼らの作品を日本に紹介するだけでなく、 アジア のクィア映画のショーケース的な役割を担い、作品を発表する場を得るのが難しかった才能あるア ジアのクィア作家が世界で活躍するためのお手伝いをしたいと思うようになりました。その意味で も、AQFF の観客のターゲットは当事者のみとせず、広く開かれた映画祭を目指します。私たちは、 素晴らしいと思える作品に出会うこと、作品を楽しむ気持ち、それらに垣根はなく、その映画体験 こそが、すべての垣根を取り払ってくれるものと信じております。AQFF は、「主にセクシュアル・ マイノリティ当時者を対象にした、クィア・コミュニティ内のイベント」として定着するだけでは なく、 「コアな映画ファンが待ち望む国際映画祭」として定着し、同時に、アジアという身近な環境 で制作された作品を通し、アジアのセクシュアル・マイノリティ当時者たちの姿、ライフスタイル、 家族や友達、社会との関係の様々なあり方を紹介すること──偏見がまだ残る日本社会に提示して いくこと──に大きな意義があると考えています。 10
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