Title Author(s) Journal URL The Mann Assessment of Swallowing Ability(MASA)に よる要介護高齢者を対象とした摂食・嚥下機能評価の検 討 大平, 真理子; 石田, 瞭; 眞木, 吉信; 大久保, 真衣; 杉山, 哲也; 酒寄, 孝治; 佐藤, 亨 歯科学報, 111(4): 437-437 http://hdl.handle.net/10130/2544 Right Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/ 歯科学報 Vol.111,No.4(2011) 437 №25:東京歯科大学千葉病院における誤飲・誤嚥症例の臨床統計 (2004年1月∼2011年8月) 若杉由美子,久木留宏和,岡田玲奈,中村 瞬,神戸宏明,冨田智子,佐塚祥一郎, 小鹿恭太郎,塩崎恵子,松浦信幸,松木由起子,間宮秀樹,櫻井 学,一戸達也 (東歯大・歯麻) 目的:東京歯科大学千葉病院医療安全管理室設置後 の2003年4月∼2011年8月までの間に千葉病院医療 安全管理室に報告があった誤飲・誤嚥,またはそれ ら疑いのある症例について集計し,検討したので報 告する。 方法:対象は2003年4月∼2011年8月の間に千葉病 院医療安全管理室に報告された123例であった。そ れらを誤飲症例,誤嚥症例,それら疑いがあるが確 認できなかった症例の3群に分類し,それぞれの症 例数を集計した。また全症例の男女比,年齢分布, 事故発生場所,診療科,誤飲・誤嚥の対象物,発生 後の対応についてレトロスペクティブに集計した。 成績および考察:総症例数は123例(男性69例,女 性54例)であり,そのうち誤飲 が79例,誤 嚥 が2 例,それらの疑いが42例であった。最低年齢は2歳 で,最高年齢は84歳だった。発生場所は院外が40 例,院内が83例であり,診療科別では矯正科が37 例,保存科が29例,補綴科が24例,口腔外科が11例 と続き,総合診療科,インプラント科,歯科麻酔 科,小児歯科,病棟の順であった。誤飲物は院外に おいては矯正装置が多く,院内においてはインレー やクラウンなどの歯冠補綴物が多く,その他に少数 例として抜去歯,盲嚢洗浄針,綿球,ロールワッテ などがみられた。発生後の対応については大半の症 例で胸部または腹部エックス線写真撮影が行われ, そのうち誤飲物が認められた多くの症例は自然排出 を期待して経過観察となっていた。しかし,誤飲で あってもリーマーなどの鋭利なものなど内視鏡下に 摘出した症例が7例みられた。誤飲・誤嚥は臨床上 しばしば遭遇する医原性の合併症としてその頻度は 決して少なくない。しかも他の合併症とは異なり多 くの症例で予防が可能である。予防のためには各施 設でのガイドライン作成が推奨されており,当院に おいても2003年11月から誤飲・誤嚥発生時の対応が 整えられている。上記の集計結果をもとに当院にお ける誤飲・誤嚥症例について実態を理解し,各個人 が医療安全管理マニュアルに沿った診療を行う必要 があると考えられた。また近年は,自宅での誤飲が 増加傾向にあることを知っておくことも重要であ る。 №26:The Mann Assessment of Swallowing Ability(MASA)による要介護高齢者を 対象とした摂食・嚥下機能評価の検討 大平真理子1),石田 瞭2),眞木吉信3),大久保真衣2),杉山哲也2),酒寄孝治3),佐藤 亨1) 1) 2) 3) (東歯大・クラウンブリッジ補綴) (東歯大・千病・摂食・嚥下リハ) (東歯大・社会歯) 目的:The Mann Assessment of Swallowing Ability(以下 MASA)は急性期脳卒中患者を対象とし た摂食・嚥下障害の重症度や誤嚥リスクを24項目, 200点満点で判定するスクリーニング検査である。 現在藤島らによって作成されている MASA 日本語 版により,今後より一層の使用が期待されている。 今回,この MASA 日本語版を地域生活期におけ る要介護高齢者に使用し,日本人の摂食・嚥下機能 評価として適応度合を検討することを目的とした。 方法:対象は,千葉県内の特別養護老人ホームに入 所中の要介護高齢者(男性3名,女性23名,平均年 齢87. 3±1. 3歳,介護度1∼5度)とした。全例が 経口摂取を行っていた。基礎疾患は,脳血管障害, 廃用性症候群,パーキンソン病,呼吸器疾患等で あった。この対象者に MASA を実施すると共に, 比較対象の為に摂食・嚥下機能評価として反復唾液 嚥下テスト(RSST) と改訂水飲みテスト(MWST), 認 知 機 能 評 価 と し て Mini-Mental Statement Examination(MMSE) ,ADL の 評 価 と し て Barthel Index(BI) ,食形態の評価として Functional Oral Intake Scale(FOIS),摂食・嚥下障害の評価とし て摂食・嚥下能力のグレード(藤島 Gr) ,摂食状況 の評価として摂食・嚥下障害患者における摂食状況 のレベル(藤島 Lv)を実施した。それぞれの評価 や項目と MASA 日本語版の結果の相関関連を統計 学的に検討した(Spearman の順位相関係数) 。 成績および考察:MASA の結果,摂食・嚥下障害 疑いのある者は14名(53. 4%) ,そのうち誤嚥疑い のある者は10名(38. 5%)であった。MASA の合 計得点と強い相関関係がみられたのは,RSST(r =0. 769,p<0. 001),MWST(r=0. 857,p< 0. 001) ,MMSE(r=0. 808,p<0. 001),BI(r =0. 831,p<0. 001),FOIS(r=0. 641,p< 0. 001) ,藤島 Gr(r=0. 773,p<0. 001) ,および 藤 島 Lv(r=0. 773,p<0. 001)で あ っ た。年 齢 や介護度においては相関関係はみられなかった。 以上より,MASA は日本人の地域生活期におけ る要介護高齢者の摂食・嚥下機能の評価にも適応で きると思われた。 ― 117 ―
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