HL 企業研究クラブ 2013 年 2 月 21 日 【enish(東証マザーズ:3667

H&L 企業研究クラブ
2013 年 2 月 21 日
【enish(東証マザーズ:3667)】
(ポイント)
・enish(3667)は上場したばかりのゲーム会社であり、過去のデータも少ないため、なか
なか分析しにくい株である。
・しかし、それゆえ割安なままであり、短期的な業績モーメンタムの強さから、向こう半
年で大きく評価される可能性がある。
・ゲーム会社ではあるが、比較的流行り廃りに影響されないシュミレーションゲームが主
体であるため、リスクは限定的である。
・今期の業績パターンは上期に前年度の新タイトルが寄与して大幅に利益が伸びそうであ
るが、下期は新規タイトルを投入するため利益が伸び悩む。そこで、向こう半年程度で株
価 2、3 倍を狙う株という位置づけで推奨したい。
シミュレーションゲームが主力
enish(3667)は 2012 年 12 月 11 日に東証マザーズに上場したゲーム会社である。ほんの
3 期前には売上高が 22 百万円に過ぎない会社であったが、3 年間で 44 億円まで売上が増え
ている。
同社の躍進を支えたのが、「ぼくのレストランⅡ」というシミュレーションゲームである。
全くゲームに興味がない人にゲームの説明するのは至難の技ではあるが、自分が経営する
レストランで、腕を磨いて行くことによって、様々な料理を提供するというゲームである。
店の飾りつけをしたり、よりハイレベルな料理を作ったりするために、お金を払うという
ものである。
いわゆるソーシャルゲームと言われるように、同じゲームを行っている人と交流ができる
という特徴がある。この交流ができるというところがミソであり、ネットの世界で尊敬さ
れる、あるいは人に勝つためにお金を使ってしまうのである。
同社はこのゲームだけで年間 20 億円強の売上がある。
こちらにこのゲームにはまった人のブログがあるので、雰囲気だけでもわかるかもしれな
い。
http://www43.atwiki.jp/mygamecollection/pages/19.html
下の図は現在の主力 4 ゲームの四半期ごとの売上高推移である。
主なタイトルの四半期売上高推移(百万円)
700
600
500
400
ぼくレス
300
ガルショ
200
ポケダン
100
ドラゴン
0
2 番目に売上高が多いガルショ☆は、たぶんガールズショップを略したもので、こちらは可
愛いお店をつくるシミュレーションゲーム。
ぼくらのポケットダンジョン2はロールプレイングゲーム(RPG)で、ドラゴンタクティ
クスはカードバトルゲームとなる。
現時点の同社の特徴は、先行した主力 2 タイトルはシミュレーションゲームであり、ユー
ザーは女性中心となっている。そして、シミュレーションゲームは比較的長期的に収益が
上げられる点が特徴である。
それに対して、カードバトルゲームは爆発力がある反面、寿命が短い傾向がある。同社の
場合、2 タイトルの安定的に稼げるシミュレーションゲームがあるところに、カードバトル
ゲームが急速に貢献してきているため、リスクが小さく、高い成長が期待できる点がポイ
ントである。
上場したばかりで評価が不安定
同社は 2012 年 12 月 11 日に東証マザーズに上場したばかりであり、過去の業績データがほ
とんどない。それゆえ、カバーしている人も少ない。タイトル別の売上高推移を見ると想
像できるように、今期に関しては会社側の計画は、上期より下期に利益が減る計画である。
これは今期に 4 タイトルを投入予定であるが、上期に 1 本、下期に 3 本を予定している。
新規タイトルを投入する場合、広告宣伝費や開発費が発生するため、利益の圧迫要因とな
る。しかも、必ず成功するとは限らないというリスクがある。この辺りの考え方は、外食
産業の新規出店と似ている。つまり、新規出店で売上が増えても当該期にはマイナスに寄
与するという形である。
銘柄名
enish
株価(2013年2月21日)
株数
2,096
2,637
配当(未定:配当性向20%から)
34
発行済み株式数
2,637
自己株式
0
決算期
売上高
(非連結)
百万円
2013/6上
会予初
3,000
2013/12下 会予初
3,700
2010/1期 実績(12ヵ月)
22
2010/12期 実績(11ヵ月)
415
2011/12期 実績
2,590
2012/12期 実績
4,430
会予修(1/21)
4,400
会社予想初
3,985
2013/12期 会社予想初
6,700
2012-3Q 実績(9カ月)
2,856
2012-4Q 実績(3カ月)
1,574
コード
3667
円
千株
円
千株
千株
伸率 営業利益
%
百万円
470
350
-40
64
526
71.0
666
69.9
660
53.9
590
51.2
820
463
203
5.26
PBR(12/12実)
1.6%
配当利回り(13/12予)
55
時価総額
自己資本
1,050
BPS
398
伸率 経常利益 伸率 純利益
%
百万円
%
百万円
470
280
330
170
-41
-41
71
55
523
298
26.6
654
25.0
373
25.5
650
24.3
370
12.2
581
11.1
347
23.1
800
22.3
450
463
270
191
103
倍
億円
百万円
円
伸率
%
25.2
24.2
16.4
20.6
-
EPS
円
20.9
113.0
141.4
140.3
131.6
170.6
-
PER
倍
100.5
18.6
14.8
14.9
15.9
12.3
-
さて、現時点ですでにある 4 タイトルの来期の売上高を予想してみたのが下の図である。
そんなに無茶な予想にはなっていないと思う。
主なタイトルの四半期売上高推移(百万円)
900
800
700
ぼくレス
ガルショ
ポケダン
ドラゴン
600
500
400
300
200
100
0
2010-2Q
2011-2Q
2012-2Q
2013-2QE
そして、この予想をもとに四半期ごとの売上高、営業利益を予想してみた。すると、上期
の業績は、会社計画の売上高 30 億円、営業利益 4.7 億円に対して、売上高 37.6 億円、営業
利益 7.05 億円となる。ただし、前年同期比がないので、どれだけすごいかはわかりにくい
のだが。
しかし、少なくとも上期にこの程度の利益が出るとすれば、通期は明らかに増額修正とい
う感じに市場は捉えるのではなかろうか。しかし、その時には大きく買われる可能性があ
るが、すでに述べたように下期には 3 タイトルを投入するので、市場が考えたほど利益は
伸びない可能性がある。
そこで、以前、物語コーポレーション(3097)の例で解説したように、市場が過剰に反応
したら一旦、一部売却ということも念頭に置いていた方がいいだろう。
銘柄名
enish
株価(2013年2月21日)
株数
2,096
2,637
配当(未定:配当性向20%から)
34
発行済み株式数
2,637
自己株式
0
決算期
売上高
(非連結)
百万円
2013/6上
会予初
3,000
3,760
2013/12下 会予初
3,700
4,280
2010/1期 実績(12ヵ月)
22
2010/12期 実績(11ヵ月)
415
2011/12期 実績
2,590
2012/12期 実績
4,430
会予修(1/21)
4,400
会社予想初
3,985
2013/12期 会社予想初
6,700
H&L(2/21)
8,040
2012-3Q 実績(9カ月)
2,856
2012-4Q 実績(3カ月)
1,574
2013-1Q HL予(3カ月)
1,815
2013-2Q HL予(3カ月)
1,945
2013-3Q HL予(3カ月)
2,075
2013-4Q HL予(3カ月)
2,205
コード
3667
円
千株
円
千株
千株
伸率 営業利益
%
百万円
470
705
350
550
-40
64
526
71.0
666
69.9
660
53.9
590
51.2
820
81.5
1,255
463
203
330
375
250
40.1
300
5.26
PBR(12/12実)
1.6%
配当利回り(13/12予)
55
時価総額
自己資本
1,050
BPS
398
伸率 経常利益 伸率 純利益
%
百万円
%
百万円
470
280
330
170
-41
-41
71
55
523
298
26.6
654
25.0
373
25.5
650
24.3
370
12.2
581
11.1
347
23.1
800
22.3
450
88.4
1,230
88.1
670
463
270
191
103
47.8
-
倍
億円
百万円
円
伸率
%
-
EPS
円
-
PER
倍
-
-
-
-
25.2
24.2
16.4
20.6
79.6
-
20.9
113.0
141.4
140.3
131.6
170.6
254.0
-
100.5
18.6
14.8
14.9
15.9
12.3
8.3
-
株価動向
上場来、特に人気化することもなく、IPO が活況の中で、不思議と言えば言える。そもそ
もゲームは水物という認識自体が株式市場にはあるのかもしれない。しかも、業績データ
自体が少なく、年度データもまともには 2 期のみである。
しかし、個別のタイトルの売上を積み上げてみると、かなり上期の数字は堅い予想に見え
る。しかも会社側では、今期の新タイトルに関してはコストのみ織り込んで売上は織り込
んでないようであるから、よくよく話を聞かなければわからないものであろう。
ただし、この手の株は最低半年持つつもりで買う方がいいだろう。やられる場合もあるが、
儲かる場合には 2 倍、3 倍の株価になる可能性があるからだ。だから 3 度に一度の儲けでも
十分おつりがくるくらいの儲け方ができると思う。特に向こう半年は、盤石ではないかと
思われる。
ただし、予め言っておくが、この株は動き出してしまったらどう動くかそれほど責任を持
った回答はできないと思うので、その点は留意してもらいたい。もちろん、業績がらみで
コメントできる時にはコメントするが。
なお、このレポートは 2 月 21 日に、H&L 企業研究クラブの会員だけに配布されたレポー
トである。
こんなレポートが手に入る H&L 企業研究クラブに興味のある方は、こちらから詳細をご覧
ください。
http://cherry100.mods.jp/ra/s/629
注意事項
当レポートの株式に関する記述は、投資の勧誘を目的としたものではありません。情報の
内容も私の観測であり、不確定要素を多く含みます。当該情報に基づいて被ったいかなる
損害についても、当社では一切の責任を負いません。投資判断はすべて自己責任にてお願
い致します。