平成25年3月 八戸港BCP概要版 港湾空港課 説明内容 1.策定に至る経緯 東日本大震災の被災状況 被災後の貨物量の推移 八戸港復旧復興方針 八戸港BCPとは 2.策定内容 策定方法とスケジュール 被害予測 応急復旧目標 行動計画 3.期待される効果 BCP実行による効果 4.今後の動き 八戸港BCP協議会の組織 ‐1‐ 東日本大震災の被災状況 1.策定に至る経緯 八戸港の被害額 約 298億円 ・八太郎北防波堤の倒壊 ・護岸倒壊、港内堆砂 ・車両、コンテナ等の飛散 ・臨港道路の被災 護岸背後洗掘、損壊 市川地区 航路・泊地埋没 防波堤倒壊 八太郎地区 北防波堤 馬淵川河口 排水処理施設全損 河原木地区 泊地埋没 外港地区 ポートアイランド 漁船乗り上げ マウンド洗掘・ ケーソン流出 中央第1防波堤 マウンド洗掘・ ケーソン流出 洗掘 中央第2防波堤 白銀地区 上屋破損 照明灯破損 魚市場破損 平成23年3月末撮影 ‐2‐ 管理棟破損 被災後の貨物量の推移 1.策定に至る経緯 東日本大震災 出典:東北地方整備局 東北港湾の復旧・復興基本方針検討委員会 資料 ・被災の翌月は、取扱貨物量が、被災前年度の38%に減少。 ・内航コンテナ、外貿コンテナ、フェリーと航路を順次復旧したが、前年度と同 等の貨物量に回復するまでに、被災から約5ヶ月を要した。 ‐3‐ 八戸港復旧復興方針 1.策定に至る経緯 ~産業・物流復興プラン~ 八戸港復旧・復興方針の策定 平成23年8月4日 1 趣旨 平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及びそれに伴う大津波により、八戸港 では防波堤の倒壊、岸壁の損傷等の甚大な被害を受けた。 今後の八戸港の再生にあたっては、新たな港づくりの観点から、産業復興を支える物流機能の あり方や、産業活動・まちづくりと連携した津波防災のあり方を検討したうえで、将来を見据えた計 画的な復旧・復興を行うことが重要である。 このため、国、青森県、八戸市、港湾利用者等が協議し復興策をとりまとめる「八戸港復興会 議」を設置して検討を重ね、復旧・復興に取り組んでいくための共通の方針「八戸港復旧・復興方 針」を策定した。 2 BCPの策定促進(八戸港復旧・復興方針 P7) 八戸港背後圏はもとより、東北経済の牽引役となる八戸港の港湾機能の迅速な回 復や企業活動(物流)の早期再開のため、必要に応じて、今般の大震災からの復旧の 経験をもとに、港湾を利用する企業のBCP策定を促進するとともに、官民連携による協 議の場を設定し、復興に向けた早期の段階で港湾BCP策定の取組を推進する。 ・平成23年度補正予算である復興調整費により、八戸港BCP策定を開始した。 ‐4‐ 港湾BCPとは 1.策定に至る経緯 八戸港BCPとは • 八戸港で想定される最大クラスの地震・津波 による災害時、公共埠頭において、効果的か つ迅速な応急復旧により港湾物流機能を回 復するため、港湾施設の被害予測に基づき、 港湾機能の回復に必要な目標期間を設定し、 港湾関係者の役割や行動計画をとりまとめた もの。 ‐5‐ 策定方法とスケジュール 2.策定内容 ①被害予測(地震・津波) 八戸港で想定される最大クラスの津波・地震に対して、港湾施設(岸 壁、荷捌地等)の被害状況を数値解析等を用いて予測する。 ②応急復旧目標の設定 ④避難誘導計画の検討 港湾物流機能の回復に必要な目標期間を設 定する。 港湾労働者を対象とした、避難ルート・避難 所・避難困難地域・避難困難者数・津波緊急避 難施設規模について検討する。 ③ボトルネックの総点検 目標期間での回復に支障となる項目を抽出し、 その解決策を検討する。 ⑤「八戸港BCP」の策定 解決策について、港湾関係者の役割を決めるととも に、時間軸に沿った「行動計画」として整理する。 ‐6‐ ※BCPを確実に実行す るためには港湾労働者 の安全確保が重要であ るため、BCPと並行して 検討する。 策定方法とスケジュール 検討会議 第1回 (7月25日) 2.策定内容 会議内容 各事業者へのお願い ・八戸港BCPの目的 ・位置付け ・検討会議の趣旨 ・目的 ・実施内容の説明 ・全体スケジュールの説明 ・BCPの策定予定および避難誘導計画(従業員数)等に関するアンケート 第2回 (10月18日) ・地震被害の想定結果の報告 ・応急復旧目標の設定の中間報告 ・津波避難誘導計画の検討中間報告 ・輸送需要を踏まえた復旧目標の検討(事務局案の復旧目標の妥当性検 討を含む) ・地震時の施設の回復状況に合わせた利用上の課題に関するヒアリング 第3回 (12月18日) ・応急復旧目標の設定の報告 ・ボトルネックの抽出とその解決策(案)、解決策の役割分担(案)の提示 ・津波避難誘導計画(案)の提示 ・各事業者のボトルネックになる事象の検討 ・事務局が提示するボトルネックと役割分担の妥当性検討 第4回 (2月7日) ・八戸港BCP(案)の提示 ・津波避難誘導計画(案)の提示 ・八戸港BCP協議会規約(案)の提示 ・発災時点検マニュアル(案)および点検実地訓練の内容(案)の提示 ・事務局が提示する八戸港BCP(案)の妥当性の検討 ・事務局が提示する津波避難誘導計画(案)の妥当性の検討 ・事務局が提示する八戸港BCP協議会規約(案)の妥当性の検討 第5回 (3月8日) ・八戸港BCPの報告 ・津波避難誘導計画の報告 ‐7‐ 策定方法とスケジュール 2.策定内容 八戸港BCP策定検討会議メンバー No. 区分 1 港運関係 2 検討会議メンバー No. 区分 八戸港湾運送株式会社 14 臨海部企業 住金鉱業株式会社 港運関係 八戸通運株式会社 15 臨海部企業 東北グレンターミナル株式会社 3 港運関係 新丸港運株式会社 16 臨海部企業 八戸製錬株式会社 八戸製錬所 4 港運関係 三八五流通株式会社 17 臨海部企業 大平洋金属株式会社 5 港運関係 日本通運株式会社 八戸支店 18 フェリー公社 6 港運関係 ナラサキスタックス株式会社 八戸支店 19 海上保安部 7 港運関係 八戸運輸倉庫株式会社 20 CIQ 8 港運関係 東日本タグボート株式会社 21 行政(国) 東北地方整備局 9 フェリー関係 川崎近海汽船株式会社 八戸支店 22 行政(県) 青森県 県土整備部 港湾空港課 10 漁業関係 八戸漁業指導協会 23 行政(県) 青森県 三八地域県民局 地域整備部 八戸港管理所 11 パイロット 八戸水先区水先人会 24 行政(市) 八戸市 建設部 港湾河川課 12 建設業関係 青森県港湾空港建設協会 八戸支部 25 行政(市) 八戸市 防災安全部 防災危機管理課 13 臨海部企業 三菱製紙株式会社 八戸工場 26 行政(市) 八戸市 商工労働部 産業振興課 ‐8‐ 検討会議メンバー 財団法人青森県フェリー埠頭公社 八戸支社 第二管区海上保安本部 八戸海上保安部 函館税関 八戸税関支署 八戸港湾・空港整備事務所 被害予測 2.被害の想定(地震) 2.策定内容 2.3岸壁の被害想定結果(ユニットロード貨物を取扱う3岸壁) 八太郎P岸壁(主にRORO船が着岸する岸壁)の被災想定(FLIP解析) 解析結果 使用性・修復性 岸壁法線(前出し) 87cm<100cm 船舶の着岸は可能 エプロン 93cmの段差 ⇒応急復旧 エプロンの段差 岸壁の前出し (法線の凸凹) 地震後の岸壁変位図(変位量2倍誇張) ‐9‐ 被害予測 2.策定内容 2.応急復旧目標の検討 八太郎P岸壁(主にRORO船が着岸する岸壁) の応急復旧日数の算出 砕石による舗装 トラックが30km/h程度で走行できるよう 概ね8%未満となるような復旧幅を設定 As舗装の撤去 工種 応急復旧作業日数(日) 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48 準備工 As舗装切断・撤去 砕石による舗装 片付け 復旧面積 復旧期間 瞬間最大投入人員 のべ人員 (m 2 ) (日) (人/日) (人) 8,400 24 20 194 必要機材 ■コンクリートカッタ:45~56×各2台■バックホウ:0.45m3×2台 ■ダンプトラック×2台■大型ブレーカ×2台 ■モータグレーダ、タイヤローラ、ロードローラ×各2台 ※八太郎P岸壁は、応急復旧目標期間1ヶ月以内を達成するため、作業人員、機材を2組投入する計画である。 ‐10‐ 52 応急復旧目標 2.策定内容 岸壁規模別・品目別取扱量 (コンテナ、フェリー除く) 岸壁別被害想定 雑貨換算係数※3 No 残留変形1.0m以内※1 Yes 雑貨換算貨物量の設定 (1,500t/m) 岸壁規模別※5 バース必要延長 施設別 復旧日数の設定 復旧期間2年相当※2 震災時整備水準 復旧内容の設定 ※4 ※1:残留変形は港湾基準に則り1m以内を接岸可 能な施設(=応急復旧対象施設)と判断 ※2:港湾投資の評価に関する解説書に則り、2年 相当と設定 復旧優先順位の設定 ※3:貨物の荷姿に着目し、雑貨を1、バラを1/2とし て換算した貨物量であり、整備水準を観点とし たバース必要延長を推計するための貨物量 耐震強化 No 目標復旧期間内 No 人員・機材の投入による 複数施設の同時復旧 Yes 応急復旧目標の設定 ※4:整備水準は、バース延長1m当たりの取扱量 であり、通常時は1,000t/mが目安とされてい る。震災後は、多くの施設が同時被災を受け ているため、利用者間の調整等により利用水 準が高まることが想定され、阪神・淡路大震災 の事例より1,500t/mと設定 ※5:施設能力を考慮して①岸壁(‐12m)以上、②岸 壁(‐10m)以上、③岸壁(‐7.5m)以上の3段階を 設定 ‐11‐ 応急復旧目標 2.策定内容 地震に対する応急復旧目標 対象貨物 標準シナリオ (レベル1地震時) 復旧目標 コンテナ フェリー バルク (石油等除く) ・継続使用可 最悪シナリオ (レベル2地震時) 復旧目標 備考 ・2週間で暫定供用開始 (内航船対応) ・1.5ヶ月で全面供用開始 (現況全貨物対応) ・代替クレーン等の手配 ・内航フィーダーの活用 ・継続使用可 ・1ヶ月で全面供用開始 ・発災直後は代替港の利用を 視野 ・0~1ヶ月 ・1ヶ月で稼働率100% ・利用調整により岸壁処理能力 をフル活用 ・大型バルカーに対しては内航 船フィーダー化(河原木A岸 壁) 【長期目標】 ・クレーンの免震改良 ・クレーン基礎耐震改良 【長期目標】 ・河原木A岸壁(-14m)の耐震改良 バルク (石油等) ・継続使用可 ・現状の公共ドルフィンは 被災により長期間使用不可 ・代替港から陸上輸送※) 【長期目標】 ・ドルフィンの耐震改良 ※)八戸市臨港地区の石油関連企業のヒアリングによると、発災後概ね1週間のうちに平常時の50~70%程度を代替港から の陸上輸送などにより確保し、復旧用重機や荷役機械等への供給に向けた事前対策を実施している。 ‐12‐ 行動計画 2.策定内容 事前対策例 被災シナリオ ボトルネック 総点検 事前対策項目 対策計画 短期 中期 長期 役割分担 (主体対応者) 労働者の人的被害 津波緊急避難施設の整備 青森県 防波堤の倒壊 防波堤の耐津波改良 国土交通省 岸壁の倒壊 岸壁の耐震改良 青森県、 国土交通省 ガントリークレーンの免震改良 青森県 ガントリークレーンの機能不能 ヤードの不陸・陥没 コンテナ・漂流物の散乱 航路、泊地の埋そく 水域への障害物の流出 橋梁の崩壊 アクセス道路の分断 ッ 被災調査人員不足 作業の遅れ ボ ト ル ネ ク 総 点 検 結 果 発災時点検マニュアルの作成 検討済 青森県、国土交通省、 建設業協会、 港湾空港建設協会 復旧作業用重機・作業船の調達計画 復旧目標や優先復旧順位の決定方法 および作業分担の事前検討 安全確認水深の公表と関係機関への 周知方法の事前検討 橋梁の耐震、免震改良 早期啓開作業に関する合意形成 ‐13‐ 青森県、 フェリー公社 検討済 青森県、国土交通省、 フェリー公社、フェリー会社 青森県 整備済 青森県 青森県、 建設業協会 行動計画 2.策定内容 被災後の行動計画例 発災後の対応項目 地震発生後または津波警報解除後の経過時間 ~3時間以内 ~1日以内 ~3日以内 ~2週間以内 ~1ヶ月以内 役割分担 (主体対応者) 八戸港復旧対策本部の設置 青森県、国土交通省 被災状況調査、優先復旧順位の決定、 岸壁必要延長の算出、応急復旧岸壁の選定 青森県、国土交通省、 港運会社 復旧作業用資機材、燃料の確保 建設業協会、 港湾空港建設協会、 石油関連業者 各岸壁、ヤードの応急復旧作業着手 青森県、国土交通省、 建設業協会 航路啓開作業の着手 青森県、国土交通省、 建設業協会、 港湾空港建設協会 ガントリークレーンの代替クレーンおよび操作要員の調達 青森県、港運会社 フェリー、RORO、一般ふ頭の電気設備等の復旧 青森県、国土交通省、 フェリー公社 臨港道路の復旧 青森県、 建設業協会 ‐14‐ BCP実行による効果 3.期待される効果 東日本大震災時の貨物量回復率との比較 120 貨物量の回復率(対前年度(%)) 1.5ヶ月後 全コンテナ航路再開 100 1.0ヶ月後 フェリー再開 内・外貿易バルク(100%) 80 内・外貿バルク順次再開 60 5/19 外貿コンテナ航路 (韓・中)再開 2週間後 内貿コンテナ再開 40 4/23 内貿コンテナ荷役再開 6/20 外貿コンテナ航路 (東南アジア)再開 20 0 2011年2月 2011年3月 2011年4月 2011年5月 2011年6月 東日本大震災の回復実績 BCP実行による回復(イメージ) ※)東日本大震災の回復実績は、「東北地方整備局 東北港湾の復旧・復興基本方針検討委員会資料」を基に作成。 ‐15‐ 八戸港BCP協議会の組織 4.今後の動き 八戸港BCP協議会を組織する目的 八戸港BCPの周知徹底や連携を強化するため、検討会議メンバーに必要な団体を追加した 「八戸港BCP協議会」を来年度組織し、継続的な検証や被災後を想定した点検訓練を実施する など、大規模災害発生時においても、港湾物流が早期に再開されるよう取り組む。 八戸港BCP協議会の予定メンバー No. 区分 1 港運関係 2 協議会会員(案) No. 区分 協議会会員(案) 八戸港湾運送株式会社 17 臨海部企業 東北グレンターミナル株式会社 港運関係 八戸通運株式会社 18 臨海部企業 八戸製錬株式会社 八戸製錬所 3 港運関係 新丸港運株式会社 19 臨海部企業 大平洋金属株式会社 4 港運関係 三八五流通株式会社 20 臨海部企業 JX日鉱日石エネルギー株式会社 八戸LNGターミナル※ 5 港運関係 日本通運株式会社 八戸支店 21 燃料関係 八油会※ 6 港運関係 ナラサキスタックス株式会社 八戸支店 22 電力関係 東北電力株式会社 八戸営業所※ 7 港運関係 八戸運輸倉庫株式会社 23 フェリー公社 財団法人青森県フェリー埠頭公社 八戸支社 8 港運関係 東日本タグボート株式会社 24 海上保安部 9 フェリー関係 川崎近海汽船株式会社 八戸支店 25 CIQ 10 漁業関係 八戸漁業指導協会 26 行政(国) 東北地方整備局 11 パイロット 八戸水先区水先人会 27 行政(県) 青森県 県土整備部 港湾空港課 12 建設業関係 青森県港湾空港建設協会 八戸支部 28 行政(県) 青森県 三八地域県民局 地域整備部 八戸港管理所 13 建設業関係 社団法人青森県測量設計業協会※ 29 行政(市) 八戸市 建設部 港湾河川課 14 建設業関係 社団法人青森県建設業協会※ 30 行政(市) 八戸市 防災安全部 防災危機管理課 15 臨海部企業 三菱製紙株式会社 八戸工場 31 行政(市) 八戸市 商工労働部 産業振興課 16 臨海部企業 住金鉱業株式会社 第二管区海上保安本部 八戸海上保安部 函館税関 八戸税関支署 ※協議会から新たに加わる予定の会員 八戸港湾・空港整備事務所 ‐16‐
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