市町村バイオマス活用推進計画検証マニュアル骨子案 - 農林水産省

農林水産省委託事業
平成 22 年度 バイオマス利活用加速化事業のうち市町村バイオマス活用計画の検証手法検討事業
市町村バイオマス活用推進計画
検証マニュアル骨子案
平成23年3月
株式会社三菱総合研究所
-目
次-
第 1 章 バイオマス活用の現状 ............................................................................................................. 1
1.1 バイオマス活用の現状........................................................................................................ 1
(1) バイオマス活用量の把握 ........................................................................................................... 1
(2) バイオマス活用の現状 ............................................................................................................... 2
(3) バイオマス活用の目標設定 ........................................................................................................ 3
1.2 検証マニュアル骨子案の全体像 ......................................................................................... 4
第 2 章 基礎データの把握 .................................................................................................................... 6
2.1 諸元等 ................................................................................................................................. 7
(1) 施設設備の処理能力と処理実績................................................................................................. 7
(2) 稼働状況 .................................................................................................................................... 8
2.2 費用面 ............................................................................................................................... 10
(1) イニシャルコスト(施設整備費) ........................................................................................... 10
(2) ランニングコスト(施設設備維持管理費、人件費、消耗品費等) ......................................... 10
第 3 章 効果の把握 ............................................................................................................................. 12
3.1 物量に特化した評価指標 .................................................................................................. 15
(1) 廃棄物処理量の削減 ................................................................................................................ 15
(2) 資材(化学肥料・プラスチック等)、燃料(ガソリン・軽油等)の代替量 ........................... 17
(3) CO2 の排出削減量 .................................................................................................................... 21
(4) 地産地消率 ............................................................................................................................... 24
(5) その他物量に関連する指標 ...................................................................................................... 25
3.2 経済的効果に関連する評価指標 ....................................................................................... 26
(1) 新規雇用創出量........................................................................................................................ 26
(2) 経費削減効果 ........................................................................................................................... 27
(3) 農林漁業の振興・活性化 ......................................................................................................... 30
(4) その他経済的効果に関連する指標 ........................................................................................... 31
3.3 その他 ............................................................................................................................... 32
(1) 環境学習 .................................................................................................................................. 32
(2) 情報発信 .................................................................................................................................. 34
第 4 章 進捗管理の考え方 .................................................................................................................. 39
(1) 対象範囲 .................................................................................................................................. 39
(2) 進捗管理の考え方とその方法 .................................................................................................. 39
(3) 進捗状況の把握と市町村内の各主体との共有について ........................................................... 41
第1章 バイオマス活用の現状
1.1 バイオマス活用の現状
バイオマス・ニッポン総合戦略(平成 14 年 12 月 27 日閣議決定、平成 18 年 3 月
31 日改定。以下「総合戦略」という。)によるバイオマス活用推進により、多様な活用
方法(エネルギーや製品等)によりバイオマスの総合的活用が全国各地で進んできた。
総合戦略においては、その実現に向けて、国全体での利用目標値と期限(平成 22 年度
(2010 年度)を目途)を設定し、地方公共団体及びバイオマス供給・利用者等との協力
において取組がなされてきた。
ここでは、平成 21 年 9 月 12 日に施行された、バイオマスの活用の推進に関する施策
を総合的かつ計画的に推進することを目的とする「バイオマス活用推進基本法(平成 21
年法律第 52 号)」、及び平成 22 年 12 月 17 日に同法 20 条に基づいて閣議決定された「バ
イオマス活用推進基本計画(以下、「基本計画」という。)」が定める内容に沿って、
バイオマス活用の現状を解説する。
(1) バイオマス活用量の把握
バイオマスの活用量を把握する方法には様々な方法がある。
まず、「物量」ベースと「エネルギー換算量」の2とおりでの把握が一般的である。
バイオマスの量の把握
■物量(質量・物質量)
・
湿潤重量(湿重量)
・
乾燥重量(乾重量)(=湿潤重量×含水率)
・
炭素換算量(=乾重量×炭素含有率)
■エネルギー換算量(主に燃料)
→
・
熱量換算
・
体積(L
等)
上記数値を基に「温室効果ガス排出削減効果」の観
点での整理では化石資源代替として下記の数値が用い
られる。
・
CO2換算量
・
CH4、N2O換算量
総合戦略及び基本計画においては、このうち「炭素換算量」での活用目標の設定を行
っている。
なお、エネルギー換算量については、発電、熱利用及び動力燃料利用を目的とする各
種施設において、基本計画~詳細設計を行う際に一般的に用いられる指標である。この
1
換算量を把握することにより、化石由来資源を代替した場合に同等となる物量がどの程
度かを把握可能である。一般に、バイオマスエネルギー利用については、化石由来資源
と比較して単位重量当たりの熱量は低いため、こうした換算を行って初めて代替可能性
の検討が可能となるのが通例である。
表 1-1 バイオマス種類毎の含水率・炭素換算量の係数の例
出典:バイオマス総合利活用マスタープラン(平成16年3月)(千葉県)参考資料
(2) バイオマス活用の現状
直近のバイオマス活用量の実績値は下図のとおりである。
図 1-1 基本計画策定時点のバイオマス活用の現状
2
(3) バイオマス活用の目標設定
基本計画では、総合戦略からの取組を踏まえて、「バイオマス活用の推進により、持
続的な発展が可能な経済社会を実現していくためには、国や地方公共団体を含めた多く
の関係者の理解の下、共通の目標を掲げ、その達成を目指して計画的に取り組むことが
重要」であるとされる。これに加えて、総合戦略の段階では明示されなかった、「より
効果的で実効性のある施策を展開していく上では、取組の成果や達成度を客観的な指標
により把握できるようにしておくことが必要」という記述が明記されたところである。
具体的には、国の目標として、
① 1990 年比で 2020 年までに温室効果ガスを 25%削減(鳩山イニシアティブ)
②バイオ燃料については、2020 年に全国のガソリンの3%相当以上導入(エネルギー
基本計画(2010 年 6 月 18 日閣議決定))
を目指すこととされている。これらを踏まえて、基本計画において 10 年後の 2020 年を
目標年として、達成すべき数値目標が設定された。
なお、国による数値目標(炭素換算量)は下表のとおりである。
表 1-2 バイオマス種類毎の年間発生量、利用率及び目標値
出典:「バイオマス活用推進基本計画」(平成 22 年 12 月 17 日閣議決定)
3
1.2 検証マニュアル骨子案の全体像
バイオマス活用推進基本計画の3つ柱として、
・
農山漁村の活性化
・
産業の発展及び国際競争力強化
・
地球温暖化防止及び循環型社会の形成
が掲げられている。更に、市町村バイオマス活用推進計画では計画期間の最終年度におけ
るバイオマスの利用量及び利用率の目標をバイオマスの種類ごとに定めるとともに、計画
期間は原則 10 年で、少なくとも 5 年毎に見直しを行い、必要な場合は計画を変更すること
とされている。1
第2章では、バイオマス供給者である農林漁業者、バイオマス製品の製造事業者、地方
公共団体、関係府省等が一体となって、バイオマスの最大限の有効活用を推進するための
目標値として、バイオマスの利用量及び利用率の目標をバイオマスの種類ごとに記載する
ための定量化手法を記載する。
第3章では、前述した基本計画の3つの柱に関連した目標設定、その達成(達成度の評
価)、及び効果の検証を、計画策定主体である市町村において自律的に行うことを支援す
る内容として記載した。
表 1-3 バイオマス活用基本計画の3つの柱と評価指標との関係
バイオマス活用推進基本計画
の3つの柱
農山漁村の 産業の発展 地球温暖化
活性化
及び
防止
国際競争力 及び循環型
強化
社会の形成
1.物量に特化した評価指標
(1)廃棄物処理量の削減
●
(2)資材(化学肥料・プラスチック等)、燃料
●
●
(ガソリン・軽油等)の代替量
(3)CO2 の排出削減量
●
(4)地産地消率
●
○
(5)その他物量に関連する指標
-
-
-
2.経済的効果に関連する評価指標
(1)新規雇用創出量
●
●
(2)経費削減効果
●
●
(3) 農林漁業の振興・活性化
●
1
詳細については、「市町村バイオマス活用推進計画の策定に当たっての留意事項について」を
参照。
4
(4)その他経済的効果に関連する指標
3.その他
(1)環境学習
(2)情報発信
-
○
●
-
-
●
●
●
凡例:発現する(期待される)効果との関連性の高い順に●、○とした。
第4章では、第2章で取扱ったバイオマスの種類ごとに利用量及び利用率として定めた
目標値と、第3章で取扱った効果の把握を、具体的取組や時系列に即して整理し、進捗を
管理する方法を紹介した。更に、バイオマスの最大限の有効活用を推進するための関係者
間での情報共有方策として、進捗状況の報告の方法についても例示した。
5
第2章 基礎データの把握
市町村バイオマス活用推進計画の進捗状況や取組効果について、客観的な検証を行う
ために必要な事項として、本章ではバイオマス関連施設設備に関する諸元等、費用面に
ついて説明する。
なお、進捗状況を評価する方法として、最終目標値に対する進捗確認とするか、段階
的な計画値に対する進捗確認とするかで、各事項の計画値(目標値)の考え方が異なる。
段階的な計画値に対する進捗状況を評価する場合は、進捗状況ごとに最終目標値に至る
までの年次計画が必要となる。
6
2.1 諸元等
(1) 施設設備の処理能力と処理実績
① 定義
バイオマス関連施設設備の処理能力(最大受入可能量)と処理実績を記載する項目で
ある。
② 記載内容
本項目を記載する際には、変換技術ごとに以下のような項目が考えられる。なお、計
画の進捗状況を評価するために、進捗状況ごとに計画値(目標値)と実績値を把握し、
比較することが望ましいと考えられる。
処理実績
処理能力
(最大受入可能量)
原料受入量
堆肥化・飼料化
t/h、t/日、t/年
t/h、t/日、t/年
t/h、t/日、t/年
木質バイオマス
t/h、t/日、t/年
t/h、t/日、t/年
発電量:kWh
t/h、t/日、t/年
t/h、t/日、t/年
バイオガス発生量:m3
バイオガス発生
発電量:kWh
量:m³N/t
熱回収量:MJ
発電効率:%
生成量
製造効率
発電
バイオガス化
BDF 化
t/h、t/日、t/年
t/h、t/日、t/年
t/h、t/日、t/年
炭化
t/h、t/日、t/年
t/h、t/日、t/年
t/h、t/日、t/年
バイオ
t/h、t/日、t/年
t/h、t/日、t/年
L/日、L/年
t/h、t/日、t/年
t/h、t/日、t/年
t/h、t/日、t/年
エタノール化
バイオマス
プラスチック化
※処理実績については、計画値(目標値)と実績値を把握
記載する数値については、以下の資料等から把握可能である。
処理能力(最大受入可能量):施設設備建設時の資料
処理実績

原料受入量:施設設備の受入記録

生成量:施設設備の生成記録

製造効率:施設設備の受入記録及び施設設備の生成記録
7
L/t
③ 事例
施設設備の処理能力と処理実績に関する事例としては、栃木県茂木町が行っている堆
肥化、BDF 化では、処理能力を堆肥化 18t/日、BDF 化 100L/日としている。同じく
愛媛県松前町において農業生産法人(有)あぐりが行っている堆肥化では、処理能力を
1,069t/日としている。千葉県旭市において有限会社ブライトピック千葉が行っている飼
料化では、処理能力が 300t/日であり、受入計画量が 240t/日である。新潟県において JA
全農がバイオエタノール製造とバイオ燃料販売を行っている事業では、原料受入目標
2,250t/年に対して平成 21 年度実績は 1,900t、エタノール製造能力(目標値)1,000kL
/年に対して平成 21 年度実績は 499kL となっている。
なお、ヒアリング調査においては、計画の進捗状況ごとに計画値(目標値)が定めら
れているケースはなかった。
(2) 稼働状況
① 定義
バイオマス関連施設設備の1日あたり稼働時間、年間稼働日数、メンテナンス日数・
頻度等を記載する項目である。
② 記載内容
本項目を記載する際には、以下のような項目が考えられる。なお、計画の進捗状況を
評価するために、進捗状況ごとに計画値(目標値)と実績値を把握し、比較することが
望ましいと考えられる。
i. 稼働時間
・
●時間/日、●日/年
等
ii. メンテナンス(保守休止)
・
●日間/年
等
iii. メンテナンスの頻度
・
随時、●回/年、●月に1回
等
記載する数値については、施設設備の稼働記録や日報、月報等の資料から把握可能で
ある。
③ 事例
稼働状況に関する事例としては、栃木県茂木町が行っている堆肥化、BDF 化では、日
稼働 8 時間、年間 315 日稼働、メンテナンスは随時としている。同じく愛媛県松前町に
おいて農業生産法人(有)あぐりが行っている堆肥化では、日稼働 8 時間、年間 365 日
稼働で受入可能日は 278 日としている。新潟県において JA 全農がバイオエタノール製造
とバイオ燃料販売を行っている事業では、バイオエタノール、堆肥化・飼料化を行う新
8
潟県新潟市では年間 330 日稼働を目標としている。日田市において株式会社日田ウッド
パワーが行っている木質バイオマス発電では、年間稼働日数とともに発電規模や年間売
電量についても把握している。
また、ヒアリング調査においては、千葉県山武市においてバイオマスプラスチック化
を行う株式会社佼和テクノスでは、必要に応じて設備、人員を補強しているとしており、
一部定量的な把握もみられる。
9
2.2 費用面
(1) イニシャルコスト(施設整備費)
① 定義
バイオマス関連施設設備に係るイニシャルコストを記載する項目である。
② 記載内容
本項目を記載する際には、以下のような項目が考えられる。
・
総事業費
・
施設ごとの施設整備費
・
主体ごとの出資金額、出資割合
・
補助金利用の有無と金額
等
記載する数値については、施設設備建設時の資料から把握可能である。
③ 事例
イニシャルコストに関する事例としては栃木県茂木町が行っている堆肥化、BDF 化で
は、施設整備費は堆肥化 614,172 千円、BDF 化 30,000 千円となっており、堆肥化につ
いては国県が 423,146 千円、町が 191,026 千円それぞれ出資している。また補助金とし
て資源リサイクル畜産環境整備事業を利用している。同じく愛媛県松前町において農業
生産法人(有)あぐりが行っている堆肥化では、21,525 千円としている。BDF 化を行う
京都市では施設整備費は 7 億 5,000 万円であるが、そのうち 2 億 7,000 万円が環境省か
らの補助金となっている。新潟県において JA 全農がバイオエタノール製造とバイオ燃料
販売を行っている事業では、バイオエタノール、堆肥化・飼料化を行う新潟県新潟市で
は、全農が主体となって実施しているエタノール製造については、製造所工事費が 1,642
百万円であるが、全農が 50%を出資しており残り 50%は補助金で賄っている。
ヒアリング調査においては、イニシャルコストが把握できないケースや出資比率、補
助金の利用に関する詳細な情報が得られないケースもあったが、事業の採算性や取組の
効果を適切に検証するためには、個々の項目についてできるただけ詳細に把握すること
が望ましいと考えられる。
(2) ランニングコスト(施設設備維持管理費、人件費、消耗品費等)
① 定義
バイオマス関連施設設備に係る施設設備維持管理費、人件費、消耗品費等のランニン
グコストを記載する項目である。
10
② 記載内容
本項目を記載する際には、以下のような項目が考えられる。
・
保守管理費
・
原料購入費
・
光熱費
・
燃料費
・
修繕費
・
人件費(人員体制も含む)
・
消耗品費
・
通信運搬費
・
原料回収コスト
等
また、参考情報として、以下のような項目についても把握することが考えられる。
・
生成物販売価格、生成物売上
・
原料引取価格
・
固定資産税、土地賃借料
等
記載する数値については、施設設備の稼働記録や日報、月報、事業報告書、実績報告
書等の資料から把握可能である。
③ 事例
ランニングコストに関する事例としては、栃木県茂木町が行っている堆肥化、BDF 化
や、京都府京都市が行っている BDF 化では、②に記載したほとんどの項目について、ヒ
アリング調査で把握することが可能であった。
11
第3章 効果の把握
物量と経済の観点から評価するための指標を本章では説明する。指標はバイオマス変
換施設を対象とした。複数のバイオマス変換施設を持つ市町村を対象に評価する場合は、
個別にバイオマス変換施設を評価する。
バイオマス変換技術別の評価指標は表 3-1 のとおりである。本章で説明する指標は全
て評価しなければならないものではないが、可能な限り各項目について評価が行われる
ことが望ましい。なお、本章で挙げる評価指標は、バイオマス変換施設に直接関連する
事項(例えばバイオマス変換施設で従事する人数)を主な評価対象とし、バイオマスに
必ずしも関連しない事項(例えばバイオマス変換施設が受け入れる原料以外の物も運搬
する者)は物量と経済効果に分けてその他の項目で評価するものとした。
また、章末に参考として、各効果を算定する際に、活用できる又は参考となる資料等
の一覧を示す。
表 3-1
バイオマス変換技術別の評価指標
バイオマスプラスチック
炭化
バイオエタノール
BDF
バイオガス
バイオマス変換技術
木質バイオマス発電
(
木質)
ペレット
飼料化
堆肥化
評価指標
3.1 物量に特化した評価指標
(1)廃棄物処理量の削減
i 受け入れた廃棄物量
○
○
○
○
○
○
○
○
○
ii 廃棄物削減比率
○
○
○
○
○
○
○
○
○
(2)資材(化学肥料・プラスチック等)、燃料(ガソリン・軽油等)の代替量
i 化学肥料代替効果
○
ii 堆肥代替効果
○
iii 飼料代替効果
○
iv 燃料代替(ガソリン・
○
軽油等)
v 電力代替
○
○
○
○
○
vi(石油原料)プラスチ
○
ック代替
12
バイオマスプラスチック
炭化
バイオエタノール
BDF
バイオガス
バイオマス変換技術
木質バイオマス発電
(
木質 )
ペレット
飼料化
堆肥化
評価指標
(3)CO2 の排出削減量
i ごみ等の焼却等の処分
回避による CO2 排出削減
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
量
ii バイオ燃料使用によ
る CO2 排出削減量
iii 節電による CO2 排出
○
削減量
(4)地産地消率
i 自給率による地産地消
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
i 新規雇用人数
○
○
○
○
○
○
○
○
○
ii 新規雇用費
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
率の表現と評価
ii 自給率以外の地産地
消率の表現と評価
(5)その他物量に関連する指標
3.2 経済的効果に関連する評価指標
(1)新規雇用創出量
(2)経費削減効果
i 一般廃棄物処理行政コ
ストの削減
ii 資源化に伴う損益増
減
iii 肥料・飼料代替
iv 燃料代替(ガソリン・
軽油等)
v 電力代替
○
vi(石油原料)プラスチ
○
ック代替
(3) 農林漁業の振興・活性化
13
バイオマスプラスチック
炭化
バイオエタノール
BDF
バイオガス
バイオマス変換技術
木質バイオマス発電
(
木質 )
ペレット
飼料化
i バイオマス関連商品・
堆肥化
評価指標
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
iii 資源作物等の生産量
○
○
○
○
○
○
○
○
○
iv 耕作放棄地の削減面
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
サービスの売上高
ii バ イ オ マ ス 関 連 商
品・サービス点数
積
v 原料生産・運搬等に関
わる従事者数
(4)その他経済的効果に関連する指標
3.3 その他
(1)環境学習
i 教育実施回数
ii 視察等の参加者数・企
画数
iii バイオマスツアー等
の参加者数・企画数
iv 視察・バイオマスツア
ー以外の来訪者数・企画
数
(2)情報発信
i 冊子配布数
ii メディア露出回数・効
果
14
3.1 物量に特化した評価指標
(1) 廃棄物処理量の削減
① 定義
バイオマス変換施設による地域全体の廃棄物の削減効果を評価する項目である。
② 指標
本項目を評価する際には、以下の指標を用いることができる。
i. 受け入れた廃棄物量
・ 過去の受入データ等の合計(バイオマス変換施設で受け入れた廃棄物を種類ごと
(ごみや食用油等)に集計した値)で評価
ii. 廃棄物削減比率
・
地域(市町村)での原料の賦存量(重量)をバイオマス変換施設での受入量で割
った割合で評価
この指標は直近の一年分(年度単位)を対象として評価する。仮に複数年分の総受入
量しか入手できない場合は、当該年数で割戻して評価する。
事業が構想段階にあり、設備が稼動していない場合は、現時点で計画している値を用
いて、将来見込み量として評価する。
③ 評価例
i 受け入れた廃棄物量
・
堆肥化を行う愛媛県松前町では受入記録に基づいて 622t/年と評価、木質ペレッ
トを製造する大分県日田市では受入記録に基づいて湿重量では 32,000t/年のバー
クを受け入れていると評価している。電気炉用コークスのための炭化を行う愛知
県田原市では受入記録に基づいて年間の可燃ごみ収集処理量 13,478t/年と廃食用
油の回収量 6,996L/年の合計で評価している。廃食油をもとに BDF を製造する京
都府京都市では家庭用と事業系に分けた受入記録に基づいて評価しており、同じ
く BDF を製造する愛媛県松前町でも受入記録に基づき、5,821L/年と評価してい
る。石川県加賀市では、受入記録に基づいて、生ごみの分別・減容化(水切り)
による廃棄物焼却処理量及び最終処分場の発生の抑制・家庭系可燃ごみの排出量
がピーク時と比較して 4,944t削減され、削減量の約 70%は減容化(水切り)と
家庭菜園等でのコンポスト化によるものと評価している。
・
1 日あたり受入量実績に年間稼働日数を乗じて推定受入量を評価する方法も考え
られる。
15
ii 廃棄物削減比率
・
投入物の地域(市町村)での賦存量(重量)をバイオマス変換施設での受入量(重
量)で割った割合で評価する。
16
(2) 資材(化学肥料・プラスチック等)、燃料(ガソリン・軽油等)の代替量
① 定義
バイオマス由来のマテリアル・エネルギー利用等によって資材(化学肥料・プラスチ
ック等)、燃料(ガソリン・軽油等)を代替した効果を評価する項目である。
② 指標
本項目を評価する際には、以下の指標を用いることができる。
<肥料化の場合>
i. 化学肥料代替効果
・
バイオマス変換施設を利用して製造した堆肥の重量に対して、窒素・リン・カリ
ウムへの換算比率を乗じることで求められる窒素・リン・カリウムの重量で評価
(窒素・リン・カリウムの含有量が異なるため、堆肥の種類に応じた換算比率を
使用)
ii. 堆肥代替効果
・
バイオマス変換施設を利用して製造した堆肥の重量で評価
<飼料化の場合>
iii. 飼料代替効果
・
バイオマス変換施設を利用して製造した飼料の重量で評価
<燃料化(木質ペレット、バイオマス発電、バイオガス、BDF、バイオエタノール、
炭化等)の場合>
iv. 燃料代替(ガソリン・軽油等)
・
バイオマスを燃料化することにより削減できた燃料の炭素換算量または熱量換算
量で評価
v. 電力代替
・
バイオマス変換施設を利用することにより削減できた発電量の合計で評価2
<バイオマスプラスチックの場合>
vi. (石油原料)プラスチック代替
・
バイオマスプラスチックの製造により削減できた石油原料の重量で評価
この指標は直近の一年分(年度単位)を対象として評価する。仮に複数年分の合計値
しか入手できない場合は、当該年数で割戻して評価する。
2
排熱利用については、稼働率によって結果が大きく変動するとともに、排熱利用だけの効果を
評価することが困難なため、発電量等の観点から評価可能な場合にのみ、評価に含める。
17
事業が構想段階にあり、設備が稼動していない場合は、現時点で計画している値を用
いて、将来見込み量として評価する。
③ 評価例
i 化学肥料代替効果
・
製造された堆肥の重量に成分比率を掛けることにより、窒素・リン酸・カリ別に
評価することができる。堆肥別の含有率は表 3-2 が参考となる。
表 3-2
名称
成分量(kg/t)
水分
(%)
堆肥等の品質3
窒素
リン酸
カリ
有効成分量(kg/t/年)
石灰
苦土
窒素
リン酸
カリ
たい肥
75
4
2
4
5
1
1
1
4
きゅう肥(牛ふん)
66
7
7
7
8
3
2
4
7
きゅう肥(豚ぷん)
53
14
20
11
19
6
10
14
10
きゅう肥(鶏ふん)
39
18
32
16
69
8
12
22
15
65
6
6
6
6
3
2
3
5
56
9
15
8
15
5
3
9
7
52
9
19
10
43
5
3
12
9
パークたい肥
61
5
3
3
11
2
0
2
2
モミガラたい肥
55
5
6
5
7
1
1
3
4
木質混合堆肥
(牛ふん)
木質混合堆肥
(豚ぷん)
木質混合堆肥
(鶏ふん)
ii 堆肥代替効果
・ 愛媛県松前町では年間の払い出し記録に基づいて集計した堆肥の重量から変換し
た量をもとに 390t/年と評価し、大分県日田市では液肥・堆肥に分けて生産量を評
価している。
iii 飼料代替効果
・
バイオマス変換施設を利用して製造した飼料の重量により評価することができる。
3
福島県、『たい肥等の利用促進』、
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet;jsessionid=170DE2A71508AFF7
4E44BE9E739BFB8A?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTEN
TS_ID=15236
18
iv 燃料代替(ガソリン・軽油等)
・
栃木県茂木町では設備の処理能力をもとに廃食用油の BDF 化により、軽油代替燃
料 100ℓ/日×処理日数(315 日として)=31,500L/年を削減できると評価している。
京都府京都市では設備の処理能力をもとに、軽油換算で 150 万 L/年代替できると
評価している。新潟県新潟市では E3 ガソリンの使用量から、ガソリン消費量の
3%を代替できると評価している。愛知県田原市では、スクールバス 1 台、公用車
2 台、トラクター1 台で利用することにより、理論燃費と走行距離から軽油換算で
5,500L/年を代替できると評価している。沖縄県宮古島市ではバイオガスを利用す
ることにより、重油換算で平均 5,606t/年を削減できたと評価している。熱量換算
する場合には、表 3-3 が参考となる。
表 3-3
種類
各種エネルギーの発熱量4
標準単位
Kcal 換算
ガソリン
34.6MJ/㍑
8,266Kcal/㍑
灯油
36.7MJ/㍑
8,767Kcal/㍑
軽油
38.2MJ/㍑
9,126Kcal/㍑
A 重油
39.1MJ/㍑
9,341Kcal/㍑
LPG
50.2MJ/kg
11,992Kcal/kg
41.1MJ/N ㎥
9,818Kcal/N ㎥
木質ペレット
18.0MJ/kg
4,302kcal/kg
バイオエタノール
21.2MJ/㍑
5,067kcal/㍑
41.86MJ/㍑
10,004kcal/㍑
20.92MJ/N ㎥
5,000kcal/㎥
都市ガス
バイオディーゼル燃料
(BDF)
バイオガス
4
農林水産省大臣官房環境バイオマス政策課、『バイオマスタウン構想策定マニュアル~構想策
定の各段階における意思決定支援ツール~』、
http://www.maff.go.jp/j/biomass/b_town/manual/pdf/3.pdf
19
v 電力代替
・
大分県日田市では年度別の発電量を測定しており、H21 年度は 179 万 kWh を発
電したと評価している。バイオマス変換施設で受け入れる資源別の発電量の評価
を行う際には、図 3-1 を参照する方法がある。
図 3-1
資源別のエネルギー5
vi(石油原料)プラスチック代替
・
バイオマスプラスチックが代替するプラスチックは多様と考えられるため、実際
に代替している石油原料に換算して評価することが考えられる。
(石油原料)プラスチック代替については、千葉県山武市では、関係事業者への聞き
取りに基づいて生産したバイオマスプラスチックの 70%をもって、プラスチックへの
代替量と評価することが可能としている。
5
農林水産省大臣官房環境バイオマス政策課『バイオマスタウン構想策定マニュアル~構想策
定の各段階における意思決定支援ツール~』
http://www.maff.go.jp/j/biomass/b_town/manual/pdf/3.pdf
20
(3) CO2 の排出削減量
① 定義
二酸化炭素の排出削減効果を評価する項目である。
② 指標
本項目を評価する際には、以下の指標を用いることができる。6
<すべての変換技術共通>
i. ごみ等の焼却等の処分回避による CO2 排出削減量7
・
バイオマス変換施設でごみ等を受け入れたことにより削減できた燃料投入量から、
バイオマス変換による副産物の処理に要する燃料投入量を除いた量に対して、
CO2 原単位を掛けて得られる CO2 排出量削減量(重量)で評価
<燃料化(木質ペレット、バイオマス発電、バイオガス、BDF、バイオエタノール、
炭化等)の場合>
ii. バイオ燃料使用による CO2 排出削減量
・
バイオ燃料の使用により削減できた燃料の重量に対して、CO2 原単位を掛けて得
られる CO2 排出量削減量(重量)で評価
iii. 節電による CO2 排出削減量
・
バイオマス変換施設により節電できた燃料の重量に対して、CO2 原単位を掛けて
得られる CO2 排出量削減量(重量)で評価
この指標は直近の一年分(年度単位)を対象として評価する。仮に複数年分の合計値
しか入手できない場合は、当該年数で割戻して評価する。
事業が構想段階にあり、設備が稼動していない場合は、現時点で計画している値を用
いて、将来見込みとして評価する。
③ 評価例
i ごみ等の焼却等の処分回避による CO2 排出削減量
・
栃木県茂木町では、生ごみを焼却処理から堆肥化したことによる CO2 削減量とし
て、生ごみ 500t×0.54kg(広域焼却場の焼却に必要な化石燃料及び電力から CO2
換算して排出原単位を算定)から 270t/年と評価している。なお、この生ごみの
量は設備の処理能力に基づくものである。愛知県田原市では、ごみ処理によって
炭素重量で削減量を評価した場合は、「炭素重量÷12×44」で CO2 削減量を換算できる。
LCA の観点から、バイオマスの発生から輸送・変換・貯蔵等に至るまでを対象に評価するこ
とが望ましいが、評価が困難となることを避けるため、本項目では CO2 排出削減量のみを挙げ
た。
6
7
21
発生する温室効果ガスの排出量と従来の焼却・溶融方式とを比較して、50%以上の
削減が可能と評価している。ごみ焼却場ごとに焼却するごみ 1t あたりの CO2 排
出量が異なるため、実際に評価する際には自治体ごとに評価する必要がある。石
川県珠洲市ではメタン発酵処理し、エネルギーを回収、有効利用することにより、
生活排水処理に伴う CO2 発生量を 2,500t/年削減できたと評価している。
ii バイオ燃料使用による CO2 排出削減量
・
栃木県茂木町では廃食用油の BDF 化により、2.64kg(CO2 原単位)×31,500ℓ(軽
油の年間生産量)=約 83t/年の CO2 削減が可能と評価している。愛媛県松前町で
は、ごみ収集車にバイオエタノールを利用しているため、①ゴミ収集車換算 311
台(2t 車)×②焼却施設と変換施設までの距離の差 26km(ゴミ収集車燃費 5km/L)
×③燃料使用量 5.2L×④換算数量(2.6192)から CO2 削減量を 110tと評価して
いる。
iii 節電による CO2 排出削減量
・
大分県日田市では年度別に測定した発電量に基づく CO2 削減量を評価しており、
H21 年度は 675t を削減したと評価している。電気事業者別の CO2 排出係数を算
定する際には、表 3-4 が参考となる8。また日本の電源別 CO2 排出原単位につい
ては、図 3-2 が参考となる。
表 3-4
電気事業者別の CO2 排出係数(2009 年度実績)
一般電気事業者名
9
実排出係数
(t-CO2/kWh)
北海道電力株式会社
0.000433
東北電力株式会社
0.000468
東京電力株式会社
0.000384
中部電力株式会社
0.000474
北陸電力株式会社
0.000347
関西電力株式会社
0.000294
中国電力株式会社
0.000628
四国電力株式会社
0.000407
九州電力株式会社
0.000369
沖縄電力株式会社
0.000931
8
京都メカニズムクレジットや国内認証排出削減量が影響する調整後排出係数ではなく、バイオ
マスを活用することにより、実際に削減できた排出量を評価するため、実排出係数を利用する。
9 環境省『電気事業者別の CO2 排出係数(2009 年度実績)』
http://www.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/material/denkihaishutu/list_ef_eps.pdf
22
図 3-2
発電種別毎のライフサイクル CO2 排出原単位
表 3-5
(kg-CO2/kWh(送電端))
燃料の使用に関する排出係数10
燃料種類
単位
原料炭
tCO2/t
一般炭
tCO2/t
無煙炭
tCO2/t
コークス
tCO2/t
石油コークス
tCO2/t
コールタール
tCO2/t
石油アスファルト
tCO2/t
コンデンセート(NGL)
tCO2/kl
原油(コンデンセート(NGL)を除く。) tCO2/kl
ガソリン
tCO2/kl
ナフサ
tCO2/kl
ジェット燃料油
tCO2/kl
灯油
tCO2/kl
軽油
tCO2/kl
A 重油
tCO2/kl
B・C 重油
tCO2/kl
液化石油ガス(LPG)
tCO2/t
石油系炭化水素ガス
tCO2/1,000Nm3
液化天然ガス(LNG)
tCO2/t
天然ガス(液化天然ガス(LNG)を除く。) tCO2/1,000Nm3
コークス炉ガス
tCO2/1,000Nm3
高炉ガス
tCO2/1,000Nm3
転炉ガス
tCO2/1,000Nm3
都市ガス
tCO2/1,000Nm3
排出係数
2.61
2.33
2.52
3.17
2.78
2.86
3.12
2.38
2.62
2.32
2.24
2.46
2.49
2.58
2.71
3
3
2.34
2.7
2.22
0.85
0.33
1.18
2.23
※都市ガスの排出係数は、発熱量として 44.8GJ/1,000Nm3 を用いた場合の値であり、
省エネルギー法の規定による定期報告において用いた発熱量を用いてもよい。
10
環境省『算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧』
http://www.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/material/itiran.pdf
23
(4) 地産地消率
① 定義
地域のバイオマスにより供給される割合を示す自給率等のことである。
基本計画においては、地域の実情やバイオマスの種類毎の特性に応じて、市町村の判
断により、エネルギー利用、堆肥利用、飼料利用等について算出に努めることとされる
指標である。
② 指標
本項目については、前述したとおり、基本計画においても「市町村の判断により」と
されており、多様な評価手法が想定される。ここではその参考として指標の用い方の例
を示す。
i. 自給率による地産地消率の表現と評価
・
例えば、地域(市町村)の電力総需要量が把握できる場合には、当該地域(市町
村)内で調達されたバイオマスによる発電によって得られた電力の占める割合に
より、自給率(=地産地消率)として評価。
ii. 自給率以外の地産地消率の表現と評価
■原料に占める地産率

地域(市町村)が調達した原料の重量を、バイオマス変換施設が受け入れた
原料の全重量で割った比率で評価。

原料バイオマスの種類や特性を踏まえ、その総量に算入すべき範囲の設定に
ついては、地域(市町村)の判断によることができる。

→
原料となるバイオマスを地域外からも調達する場合には、調達行為その
ものに係る工夫等を地域が担っており、地域内・地域外を区別せず総量で算
出することも可能。(この場合、地産率は 100%となる)
■製品(マテリアル・エネルギー等)の地消率

地域(市町村)で利用・消費した製品(マテリアル・エネルギー等)の総量
を、バイオマス変換施設等で変換・製造された製品(マテリアル・エネルギ
ー等)の総量で割った比率で評価。
この指標は直近の一年分(年度単位)を対象として評価する。仮に複数年分の合計値
しか入手できない場合は、当該年数で割戻して評価する。
事業が構想段階にあり、設備が稼動していない場合は、現時点で計画している値を用
いて、将来見込みとして評価する。
→
なお、地産地消を推進し自給率等が向上すると、地域内におけるバイオマス原料
製造~製品調達が促され地域経済の活性化につながる、という観点からも重要な意
義を有する。
24
③ 評価例
(原料に占める地産率)
・
京都府京都市では、受入記録等をもとに事業系廃食用油の 50%以上を市内で調達
していると評価している。
(製品(マテリアル・エネルギー等)の地消率))
・ 栃木県茂木町では平成 21 年度の実績をもとに、堆肥 1,618tのうち 1,082t(67%)
が町内で利用されたと評価している。京都府京都市では受入記録等から換算した
乾重量・炭素重量での評価をもとに、市内利用率の 32%を市内で消費していると
評価している。愛知県田原市では 21 年度の実績から、地域外流通が 70%(約 7,000t)、
地域内流通が 30%と評価している。
(5) その他物量に関連する指標
(1)~(4) に含まれない物量に関連する指標で直接バイオマス変換施設に関係しないが、
間接的に指標等があれば評価する。
25
3.2 経済的効果に関連する評価指標
(1) 新規雇用創出量
① 定義
バイオマス変換施設における雇用創出効果を評価する項目である。
※ 「3.1(4)地産地消率」で示した、地域(市町村)でどのようにバイオマスを調達し
利用したか、という物量のデータを経済的な側面から効果として評価する重要項目
である。
② 指標
本項目を評価する際には、以下の指標を用いることができる。なお、バイオマス変換
施設に直接従事せず、資材の運搬等に従事する等の新規の雇用増加と見なすための判断
が難しいケースもありうることから、個別事案に即して判断が必要である。(以下につ
いては範囲を明確に確定するため除外している)
i. 新規雇用人数
・
バイオマス変換施設での雇用者数で評価
ii. 新規雇用費
・
バイオマス変換施設での雇用者への支払額で評価
この指標はバイオマス変換施設稼動前から稼動後に増加した値を対象として評価する。
事業が構想段階にあり、設備が稼動していない場合は、現時点で計画している値を用
いて、将来見込みとして評価する。
③ 評価例
i 新規雇用人数
・
大分県日田市フォレストエナジー日田では地元で雇用した 12 名、大分県日田市日
田ウッドパワーでは地元で雇用した 16 名、大分県日田市バイオマス資源化センタ
ーでは地元で雇用した 4 名で評価している。
ii 新規雇用費
・
愛媛県松前町では、施設管理を目的に雇用継続した 1 名の賃金から評価している。
26
(2) 経費削減効果
① 定義
バイオマス由来のマテリアル・エネルギー利用等によって資材(化学肥料・プラスチ
ック等)、燃料(ガソリン・軽油等)を代替した効果と処理・資源化に関する効果を評
価する項目である。
※ 「3.1(4)地産地消率」で示した、地域(市町村)でどのようにバイオマスを調達し
利用したか、という物量のデータを経済的な側面から効果として評価する重要項目
である。
② 指標
本項目を評価する際には、以下の指標を用いることができる。
<すべての変換技術共通>
i. 一般廃棄物処理行政コストの削減
・
バイオマス変換施設でごみ等を受け入れたことで削減できた廃棄物(ごみ等)の
処理コスト等からなる行政コストの削減額で評価
ii. 資源化に伴う損益増減
・
変換後の資材・燃料等の売上高から変換に伴う費用(間接費を含む)を除いた金
額で評価(※変換後の資材・燃料等の売上高は iii~vi で評価した代替品の売上
高に対応し、変換に伴う費用はⅰと対応する)
<肥料化・飼料化の場合>
iii. 肥料・飼料代替
・
バイオマス肥料・飼料等の製造により代替できた化学肥料・堆肥・配合飼料の総
額からバイオマス肥料・飼料の製造コストを除いた金額で評価
<燃料化(木質ペレット、バイオマス発電、バイオガス、BDF、バイオエタノール、
炭化等)の場合>
iv. 燃料代替(ガソリン・軽油等)
・
バイオエタノール等により代替できた燃料の総額からバイオエタノール等の製造
コストを除いた金額で評価
<バイオマス発電の場合>
v. 電力代替
・
バイオマス発電を行い、売電することによって得られた額で評価
<バイオマスプラスチックの場合>
27
vi. (石油原料)プラスチック代替
・
バイオマスを使って代替できた石油由来プラスチックの総額からバイオマスプラ
スチックの製造コストを除いた金額で評価
この指標は直近の一年分(年度単位)を対象として評価する。仮に複数年分の合計値
しか入手できない場合は、当該年数で割戻して評価する。
事業が構想段階にあり、設備が稼動していない場合は、現時点で計画している値を用
いて、将来見込みとして評価する。
③ 評価例
i 一般廃棄物処理行政コストの削減
・
栃木県茂木町では、町の廃棄物関連実績から算定した受け入れる生ごみの焼却処
理費(50,000 円/t)に、設備の処理能力に基づく年間受入量(500t)を掛けるこ
とで、2,500 万円の町費負担の軽減になると評価している。このように各自治体の
1t 当たり焼却・埋立コストに対して、受け入れることを避けることができたごみの
量を掛けることで評価する方法がある。石川県加賀市ではバイオマス変換施設の
導入により、2 つあった廃棄物焼却施設のうち 1 つを停止することができたと評価
している。停止することができた廃棄物焼却施設の運営費等により、行政コスト
の削減額を評価することができる。福岡県大木町では、バイオマスを導入するこ
とにより集約化できた個別処理に掛かる費用をもとに、廃棄物処理事業費として
6,700 万円/年の維持管理費を削減できたと評価している。愛媛県松前町では、受
け入れ記録に基づいて、約 2,800 万円/年の廃棄物の処理費用を削減できたと評価
している。
ii 資源化に伴う損益増減
・
大分県日田市では処理コストや管理費(内訳:薬品代・機械部品費・燃料費・光
熱水費・修繕費・役務費・機械警備費・消防設備費・機械整備費・電機保安費・
下水処理料)に分けて評価している。
iii 肥料・飼料代替
・
バイオマス肥料・飼料の製造により代替できた化学肥料・堆肥・混合肥料の総額
に基づいて評価できると考えられる。代替した肥料の価格には農業物価統計調査11
から求められる年間平均価格を用いることができる。
iv 燃料代替(ガソリン・軽油等)
・
バイオエタノール等により代替できた燃料の総額を評価した事例がある。栃木県
茂木町では、軽油代替燃料 100L×処理日数(315 日として)=31,500L/年と評価
している。仮に 2010 年の軽油全国平均価格 95.2 円/L を掛けると約 300 万円分の
軽油を代替できたこと評価できる。同様に、京都府京都市では産出した 15,000L/
11
農林水産省『農業物価統計調査』
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noubukka/index.html
28
年の BDF を地域内で使用していることから、約 150 万円/年が代替できたと評価
できる。なお、全国平均価格には、「価格情報」12が利用できる。
v 電力代替
・
売電した量と契約している売電価格を掛けることにより、バイオマス発電を行い、
売電することによって得られた額で評価できると考えられる。なお、売電価格に
ついては、「新エネルギー等電気等の価格について」13が利用できる。
vi(石油原料)プラスチック代替
・
バイオマスプラスチックの産出量に代替した原材料の年間平均価格を掛けること
で評価する方法が考えられる。なお、プラスチック原料価格については、「化学
工業統計」14が利用できる。
12
石油情報センター『価格情報』http://oil-info.ieej.or.jp/price/price.html
資源エネルギー庁『新エネルギー等電気等の価格について』
http://www.rps.go.jp/RPS/new-contents/top/ugokilink-kakaku.html
14 経済産業省『化学工業統計』
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/result/ichiran/02_kagaku.html#menu2
13
29
(3) 農林漁業の振興・活性化
① 定義
バイオマスを活用した生産・栽培方法等により、経費節減や安定化の達成効果とバイ
オマスを活用した新産業の立地や商品開発等による効果を評価する項目である。
※ 「3.2(1)新規雇用創出効果」「3.2(2)経費低減効果」といった直接的な効果に伴う、
波及効果を示す項目である。
② 指標
本項目を評価する際には、以下の指標を用いることができる。
i. バイオマス関連商品・サービスの売上高
・
バイオマスブランド等を付した商品・サービスの売上高総額で評価
ii. バイオマス関連商品・サービス点数
・
バイオマスブランド等を付した商品・サービスの点数で評価
iii. 資源作物等の生産量
・
バイオマス変換施設の設置に伴い、原料(資源作物等を含む)の作付け・栽培・
採取等を行った際には、その生産量(重量)で評価
iv. 耕作放棄地の削減面積
・
バイオマス変換施設の設置に伴い、原料(資源作物等を含む)の作付け・栽培等
することによって、耕作放棄地を削減できた面積で評価
v. 原料生産・運搬等に関わる従事者数
・ バイオマス変換施設が受け入れる原料(資源作物等を含む)の作付け・栽培・採取
等に従事する人数で評価
この指標は直近の一年分(年度単位)を対象として評価する。仮に複数年分の合計値
しか入手できない場合は、当該年数で割戻して評価する。
事業が構想段階にあり、設備が稼動していない場合は、現時点で計画している値を用
いて、将来見込みとして評価する。
③ 評価例
i バイオマス関連商品・サービスの売上高・ii バイオマス関連商品・サービス点数
・
栃木県茂木町では、バイオマスブランドのシール(美土里シール)を貼付し、ブ
ランド化したことにより、農家収入が 220 万円増加したと評価している。また同
ブランドの堆肥を利用した「そば・野菜」を飲食店で提供しており、それらの商
品・サービスの売上高・点数で評価する方法も考えられる。広島県北広島市では
菜の花を活用した観光開発、特産品(ぴゅあ菜米)などを開発しており、北海道
札幌市では地域循環からのたい肥を使って生産される有機野菜をホテルの食事に
30
使用している。これらの事例も栃木県茂木町と同様に評価することができると考
えられる。愛媛県松前町では、剪定枝堆肥の販売を予定しており、その計画売上
高・商品点数を用いて評価することが考えられる。
iii 資源作物等の生産量
・
バイオマス変換施設での受け入れ記録等に基づいて、受け入れた資源作物の重量
で評価できると考えられる。
iv 耕作放棄地の削減面積
・
バイオマス変換施設が受け入れる原料(資源作物を含む)を生産することにより、
耕作放棄地を削減できた面積で評価できると考えられる。広島県北広島町では、
非農家との協力により、菜の花の作付面積が拡大し、耕作放棄地が減少した点を
評価している。
v 原料生産・運搬等に関わる従事者数
・
バイオマス変換施設が受け入れる原料の生産や運搬に従事する人数を調査するこ
とにより評価できると考えられる。
(4) その他経済的効果に関連する指標
(1)~(3)に含まれない経済的効果に関連する指標で直接バイオマス変換施設に関係しな
いが、間接的に指標等があれば評価する。例えばバイオマスブランドは付していないが、
バイオマス変換施設等で発生した排熱を利用した温室で栽培した商品の売上高や商品点
数等などもその他経済的効果として評価できる。
31
3.3 その他
(1) 環境学習
① 定義
バイオマス変換施設に関係すると考えられる環境教育やバイオマスの取り組みが教材
として活用された実績、バイオマス変換施設への来訪による交流の促進等を評価する項
目である。
② 指標
本項目を評価する際には、以下の指標を用いることができる。
i. 教育実施回数・人数
・
バイオマス変換施設等への受入または学校等へ訪問により教育を行った回数また
は人数で評価
ii. 視察等の参加者数・企画数
・
バイオマス変換施設等への視察等への参加者数または企画数で評価
iii. バイオマスツアー等の参加者数・企画数
・
バイオマスツアー等への参加者数または企画数で評価
iv. 視察・バイオマスツアー以外の来訪者数・企画数
・
視察・バイオマスツアー以外の自治体独自の取り組みの来訪者数・企画数で評価
この指標は直近の一年分(年度単位)を対象として評価する。仮に複数年分の合計値
しか入手できない場合は、当該年数で割戻して評価する。
事業が構想段階にあり、設備が稼動していない場合は、現時点で計画している値を用
いて、将来見込みとして評価する。
→
なお、効果の貨幣換算に際しては、当該取組に関する以下の取組等を考慮して実
施する。
◆環境学習効果について
・
環境学習効果を見込むバイオマス利活用の取組が、地域住民が直接的に関わるも
のであることが前提。
・
バイオマス利活用によってもたらされる経済効果は、環境学習による地域住民の
直接的関わりが無ければ実現していない、と仮定し、その効果を環境学習への参
加者数や環境学習開催数によって案分し試算を行う。
◆観光効果について
・
当該市町村への観光客が、食事・宿泊や各種購買行動によってもたらす効果を試
算する。
32
・
市町村における観光関連施策を受け持つ部署において、観光に関する統計調査(宿
泊旅行統計調査、観光入込客統計
等)が整備されており、その中で、「日帰り」
「宿泊」に関する一人あたりの金額が示されている。この数値を参考に試算が可
能である。
③ 評価例
i 教育実施回数
・
愛媛県松前町では、7~8 回/年の施設見学を受け入れていることから、約 80~100
回/年の施設見学を受け入れていると推計できる。
ii 視察等の参加者数・企画数
・
栃木県茂木町では、視察者の来訪記録をもとに、開業以来 7 年間で約 1.7 万人の視
察者が来たと評価している。また京都府京都市は来訪記録をもとに、受入人数を
約 2,000 人/年と評価している。新潟県新潟市内にある JA 全農のバイオエタノー
ル製造所では、視察者の来訪記録をもとに 3,000 名超/年と評価している。大分県
日田市では来訪記録に基づいて、視察者の受入総人数(1,582 名)、団体数(100
団体)、有料者数(683 名)、視察料(68.3 万円)に分けて評価している。大分
県日田市バイオマス資源化センターでは、毎年 2,000 人程度受け入れている視察
者数から評価している。同様に、福岡県大木町では年間 4,000 人程度の視察者数
と評価している。
iii バイオマスツアー等の参加者数・企画数
・
大分県日田市バイオマス資源化センターでは、当該施設での平均的なエコバスツ
アーの参加者(20 人/回×24 回程度)をもとに評価している。具体的な人数は評
価されていないが、京都府南丹市では毎年数千人の見学者が訪問していると評価
している。
iv 視察・バイオマスツアー以外の来訪者数・企画数
・
視察・バイオマスツアー以外でバイオマス変換施設へ来訪して行う環境学習の来
訪者数・企画数で評価できると考えられる。
33
(2) 情報発信
① 定義
バイオマス変換施設等に関する情報を外部へ発信する効果を評価する項目である。
② 指標
本項目を評価する際には、以下の指標を用いることができる。
i. 冊子配布数
・
バイオマス変換施設等に関するパンフレット・教育用冊子の配布数で評価
ii. メディア露出回数・効果
・
新聞・テレビ等の媒体にバイオマス変換施設等が露出した回数、または広告料金
等で換算した経済価値(新聞であれば掲載された面積に単価を掛けて換算、テレ
ビであれば放送された時間に単価をかけて換算)で評価
この指標は直近の一年分(年度単位)を対象として評価する。仮に複数年分の合計値
しか入手できない場合は、当該年数で割戻して評価する。
事業が構想段階にあり、設備が稼動していない場合は、現時点で計画している値を用
いて、将来見込みとして評価する。
③ 評価例
i 冊子配布数
・ 見学等の機会に配布した冊子の数で評価できると考えられる。
ii メディア露出回数・効果
・ テレビ・新聞等のメディアに露出した回数で評価できると考えられる。
・
メディアに露出した経済効果を金額評価する際には、広告料金等で換算した経済
価値(新聞であれば掲載された面積に単価を掛けて換算、テレビであれば放送さ
れた時間に単価をかけて換算)で評価する。新聞の単価は表 3-6 をもとに、発行
された地域別に参照されたい。テレビの単価は書籍15等を参考に、放送された放
送局・時間区分を確認し、該当するスポット単価を用いる。
15
メディア・リサーチ・センター『月間メディア・データ』
34
表 3-6
全国版・各本社版
朝刊記事
契約料金
16
(単位=円/1 段当たり)16
公正取引委員会『広告業界の取引実態に関する調査報告書』
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/05.november/051108-02-shiryou.pdf
35
参考:各効果を算定する際に、活用できる又は参考となる資料等の一覧
効果項目
資料等
3.1 (1) 廃 i 受け入れた ・当該施設管理者『事業報告書』各年版
物
棄 物 処 廃棄物量
量
理量の
に
削減
ii 廃 棄 物 削
減比率
特
・一般廃棄物:廃棄物対策部局『清掃事業概要』各年版
・産業廃棄物:都道府県『産業廃棄物処理実態調査』各
年版
化
(2) 資
し
材(化
た
学
評
料 ・ プ ii 堆 肥 代 替 ・当該施設管理者『事業報告書』各年版
価
ラ ス チ 効果
指
ッ
標
等 ) 、 効果
燃
肥
i 化学肥料代
替効果
・農林水産省『都道府県施肥基準等』
( http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type
/h_sehi_kizyun/index.html)
ク iii 飼料代替 ・当該施設管理者『事業報告書』各年版
料 iv 燃 料 代 替 ・当該施設管理者『事業報告書』各年版
( ガ ソ (ガソリン・ ・農林水産省大臣官房環境バイオマス政策課『バイオマ
リ ン ・ 軽油等)
スタウン構想策定マニュアル~構想策定の各段階におけ
軽
る意思決定支援ツール~』
油
等)の
( http://www.maff.go.jp/j/biomass/b_town/manual/pd
代替量
f/3.pdf)
v 電力代替
・当該施設管理者『事業報告書』各年版
・農林水産省大臣官房環境バイオマス政策課『バイオマ
スタウン構想策定マニュアル~構想策定の各段階におけ
る意思決定支援ツール~』(URL は上記ⅳ参照)
vi(石油原料) ・当該施設管理者『事業報告書』各年版
プラスチック ・(社)日本有機資源協会『バイオマスプラスチックQ
代替
(3)CO2
&A』(http://www.jora.jp/txt/katsudo/bpqa/q03/q0307.html#)
i ごみ等の焼 ・当該施設管理者『事業報告書』各年版
の 排 出 却等の処分回 ・環境省『電気事業者別の CO2 排出係数(2009 年度実績)』
削減量
避による CO2 ( http://www.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/mater
排出削減量
ial/denkihaishutu/list_ef_eps.pdf)
ii バ イ オ 燃 ・環境省『算定・報告・公表制度における算定方法・排
料使用による 出係数一覧』
CO2 排出削減 ( http://www.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/mater
量
ial/itiran.pdf)
36
iii 節電によ
る CO2 排出削
減量
(4) 地 i 自給率によ <地域の総需要量>
産 地 消 る地産地消率 ・肥料:農林水産省『分野別分類/作付面積・生産量、家畜の頭数
率
の表現と評価
など』(http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kensaku/bunya2.html)、
ii 自 給 率 以 農林水産省『都道府県施肥基準等』(URL は 3.1(2)ⅰ参
外の地産地消 照)
率の表現と評 ・飼料:都道府県畜産部局『配合飼料消費量統計』
価
・エネルギー:温暖化対策部局『エネルギー消費統計』、
資源エネルギー庁『市町村別エネルギー消費統計作成の
ためのガイドライン』平成 18 年 6 月
( http://www.hkd.meti.go.jp/hokne/sui2nd_result/da
ta1_5.pdf)
・プラスチック:(社)プラスチック処理促進協会『プラスチ
ック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況』各年版
(http://www2.pwmi.or.jp/siryo/flow/flow_pdf/flow2009.pdf)
<地産量・地消量>
・当該施設管理者『事業報告書』各年版
3.2 (1) 新 i 新規雇用人
経
規雇用 数
済
創出量
的
・当該施設管理者『事業報告書』各年版
ii 新 規 雇 用 ・当該施設管理者『事業報告書』各年版
費
効
・構成労働省『賃金構造基本統計調査』各年版
(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/52-20.html)
果
(2) 経 i 一般廃棄物
に
費 削 減 処理行政コス
関
効果
・廃棄物対策部局『清掃事業概要』各年版
トの削減
連
ii 資 源 化 に ・当該施設管理者『事業報告書』各年版
す
伴う損益増減
る
iii 肥料・飼 ・農林水産省『農業物価統計調査』各年版
評
料代替
価
iv 燃 料 代 替 ・石油情報センター『価格情報』
指
(ガソリン・ (http://oil-info.ieej.or.jp/price/price.html)
標
軽油等)
v 電力代替
(http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noubukka/index.html)
・資源エネルギー庁『新エネルギー等電気等の価格について』
( http://www.rps.go.jp/RPS/new-contents/top/ugokilink-k
akaku.html)
37
vi(石油原料) ・経済産業省『化学工業統計』各年版
プラスチック ( http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/resu
代替
lt/ichiran/02_kagaku.html#menu2)
(3) 農 i バイオマス
林 漁 業 関連商品・サ
の
振 ービスの売上
・当該商品販売店『商品別売上データ』
興・活 高
性化
ii バ イ オ マ ・当該商品販売店『バイオマス関連商品・サービス点数』
ス関連商品・
サービス点数
iii 資源作物 ・資源作物生産農家・事業者『資源作物生産量データ』
等の生産量
iv 耕 作 放 棄 ・資源作物生産農家・事業者『資源作物作付け面積』
地の削減面積
v 原料生産・ ・バイオマス原料生産農家・事業者『従業者数データ』
運搬等に関わ ・当該施設管理者『受入車両台数データ』
る従事者数
3.3 (1) 環 i 教育実施回 ・当該施設管理者『見学受入回数データ』、『学校訪問
そ
境学習
数
回数データ』
の
ii 視 察 等 の ・当該施設管理者『視察受入回数データ、参加者数デー
他
参加者数・企 タ』
画数
iii バイオマ ・当該施設管理者『バイオマスツアー受入回数データ、
スツアー等の 参加者数データ』
参加者数・企 ・商工労働部局『観光統計』各年版
画数
iv 視察・バイ ・当該施設管理者『視察・バイオマスツアー以外の受入
オマスツアー 回数データ、参加者数データ』
以外の来訪者
数・企画数
(2) 情 報 i 冊子配布数
発信
・当該施設管理者『パンフレット等の配布数データ』
ii メ デ ィ ア ・メディア・リサーチ・センター『月間メディア・データ』
露出回数・効 ・公正取引委員会『広告業界の取引実態に関する調査報告書』
果
( http://www.jftc.go.jp/pressrelease/05.november/051108
-02-shiryou.pdf)
38
第4章 進捗管理の考え方
基本計画では、総合戦略からの反省点として「取組の進捗管理」について特に重視し
た記述となっている。
取組には大きく分けて、「計画の進捗管理」及び「事業(バイオマス活用施設の設置
及び稼働)による進捗管理」の両面がある。
計画の進捗管理は、例えば計画の全体像の達成を 100%とした場合には、計画の項目毎
に達成度を設定して、目標年次までにどれだけ達成できたかを示すこととなる。
一方、事業の進捗管理では、実際にバイオマス活用が成された実績値を基にすること
から、目標年次までにどれだけバイオマス活用がなされたか、示すこととなる。
従来においては、この二つの線引きが必ずしも明確ではなく、進捗管理=事業管理と
とらえられがちである。しかしながら、事業の前段階での計画策定にも進捗管理が必要
であり、両面を合わせた進捗管理の方法とその評価が求められている。
(1) 対象範囲
バイオマス活用推進基本計画における進捗管理の対象を、
例えばソフト事業とハード事
業に分けた場合を想定する。
ソフト事業としては、「計画そのものの策定」、「個別のハード事業の構想策定」及び
「事業や取組の周知、普及啓発活動」が対象として考えられる。ハード事業については、
「基本設計~詳細設計」、「(必要な場合には)環境影響評価」「着工~供用、試運転」
「営業運転」という一連の流れが対象として考えられる。
(2) 進捗管理の考え方とその方法
第2章で取扱ったバイオマスの種類ごとに利用量及び利用率として定めた目標値と、
第3章で取扱った効果の把握を、具体的取組や時系列に即して整理し、進捗を管理する
方法・アイデアとして、以下の設定方法を紹介する。
① 達成すべき事項及び指標の設定
取組を実施した際の、その取組によって達成される(当初達成すべきであると想定し
た)項目と、その項目が「達成した(された)」ことを客観的に示す定量的指標を設定
する。
② 達成すべき期限(年限)の設定
①の事項及び指標毎に、取組を実施する期限(年限)を設定する。
39
以下に進捗管理の設定例を示す。
【ソフト事業での例1】
達成すべき事項:バイオマス活用推進基本計画の策定
達成指標:計画書の作成と公表において、以下の達成度に基づき進捗を管理
・ 計画書骨子作成のための調査実施(達成度 40%、期限:2013 年)
・ 計画書の素案の完成(達成度 60%、期限:2014 年)
・ パブリックコメントによる縦覧結果の反映(達成度 80%、期限:2015 年)
・ 議会承認(達成度 100%、期限:2015 年)
【ソフト事業での例2】
達成すべき事項:バイオマスツアーの企画及び実施
達成指標:企画立案、周知・普及及びツアーの実施において、以下の達成度に基づ
き進捗を管理
・ 関係者による合意も含めた企画立案(達成度 50%、期限:計画公表+2 年)
・
バイオマスツアーの実施(試験的実施)(達成度 80%、期限:企画立案+1
年)
・
バイオマスツアーの実施(定期的な取組として実施)(達成度 100%、期限:
試験実施+1 年)
【ハード事業での例1】
達成すべき事項:メタン発酵ガス化施設の建設及び稼働
達成指標:施設設置等に関して、以下の達成度に基づき進捗を管理
・
基本設計の確定(達成度 20%、期限:2013 年)
・
詳細設計の確定(達成度 30%、期限:2014 年)
・ 入札実施及び業者の選定(達成度 40%、期限:2014 年)
・
着工(達成度 50%、期限:2015 年)
・
供用(達成度 70%、期限:2016 年)
・
稼働(試験運転)(達成度 80%、期限:2017 年)
・
稼働(営業運転)(達成度 100%、期限:2017 年)
【ハード事業での例2】
達成すべき事項:堆肥化施設の安定稼働
達成指標:既存の堆肥化施設の効率的稼働について、以下の達成度に基づき進捗を
管理
・ 稼働計画の見直し及び改良工事箇所の確定(達成度 10%、期限:2013 年)
・ 酪農家等の資源調達先交渉の確定(達成度 20%、期限:2013 年)
・
改良工事の実施(達成度 30%、期限:2013 年)
40
・
改良工事の完了(達成度 50%、期限:2014 年)
・
稼働(試験運転)(達成度 60%、期限:2014 年)
・
稼働(営業運転)(達成度 100%、期限:2015 年)
バイオマス活用
のための普及啓
発活動の実施
100%
計画の
進捗度
(%)
(認知度の向上、取組への協力者の拡大)
パブリックコメ
ント及び修正
計画の公表
計画書策定
0%
営業運転
100%
バイオマス
活用施設
に関する
進捗度
(%)
試験稼働
性能チェック
基本設計
詳細設計
着工~供用
試運転
0%
2011年度
2020年度
(平成23年度)
(平成32年度)
図 4-1
※
進捗管理の考え方のイメージ
上記では計画策定と施設建設を分けて記載したが、双方を併せて総合的に記載する方法
もある。
(3) 進捗状況の把握と市町村内の各主体との共有について
バイオマスの最大限の有効活用を推進するための関係者間(バイオマス供給者である農
林漁業者、バイオマス製品の製造事業者、地方公共団体、関係府省等)での情報共有方策
として、進捗状況の報告の方法についても例示する。
41
効果把握のための一覧表の作成(イメージ)
2017 年度(平成 25 年度)末における
○○県△△町におけるバイオマス活用推進基本計画の進捗状況について
1.計画策定状況
(済)計画書骨子作成のための調査実施(達成度 40%、期限:2015 年)
(済)計画書の素案の完成(達成度 60%、期限:2016 年)
【本年度実施】パブリックコメントによる縦覧結果の反映及び議会承認※一年前倒し
(達成度 100%、期限:2017 年)
2.ハード事業状況
(1)メタン発酵ガス化施設の新設及び稼働
(家畜排せつ物利用目標:3,500t/年、食品廃棄物利用目標:2,500t/年)
(済)基本設計の確定(達成度 20%、期限:2015 年)
(済)詳細設計の確定(達成度 30%、期限:2015 年)
(済)入札実施及び業者の選定(達成度 40%、期限:2016 年)
(済)着工(達成度 50%、期限:2016 年)
【本年度実施】供用及び試験運転(達成度 80%、期限:2017 年)
(家畜排せつ物利用目標:350t/年、食品廃棄物利用目標:250t/年・・・利用目標の 10%
達成(試験運転))
(2)木質バイオマス発電施設
(製材廃材利用目標:7,000t/年)
(済)一部改良・詳細設計の確定(達成度 30%、期限:2015 年)※一年遅れ
(済)入札実施及び業者の選定(達成度 40%、期限:2015 年)
(済)着工(達成度 50%、期限:2016 年)
(済)供用(達成度 70%、期限:2016 年)
【本年度実施】試験運転~稼働(達成度 100%、期限:2017 年)
(製材廃材利用実績:5,800t/年・・・利用目標の 82%達成)
42
参考:進捗状況・効果の報告様式(イメージ)
管理番号
報告年度
事業実施主体名
事業実施主体連絡先
施設・施策名称
ハード
変換技術
施設の
原料バイオマス
場合は
処理能力
その概
(時間・日量・年間)
要
所在地
進捗を管理する事項
(1)進捗確認
事項名称
達成状況の概要
予定期限
達成度(%)
利活用量
利用率(%)
(2)【ハード施設の場合】バイオマス利活用実績
期間(年度)
利活用状況の概要
実績値
(3)効果実績
43
効果
効果量
効果の算定根拠(算定式)
(金額等規模)
備考
(留意点)
1)物量に特化した評価指標
①廃棄物処理量
の削減
②資材、燃料の代
替量
③CO2 の排出削
減量
実績値・算定値
④地産地消率
⑤その他物量に
関連する指標
2)経済的効果に関連する評価指標
①新規雇用創出
量
②経費削減効果
③農林漁業の振
興・活性化
④その他の経済
的効果に関連す
る指標
3)その他
①学習効果
②情報発信
44
参考:進捗状況・効果の報告様式(イメージ)の記載例
xxxx
管理番号
事業実施主体名
2017 年度
報告年度
○○県○○郡○○町
農村林務課
(施設運営:○○町木質バイオマス事業センター(第三セクター))
〒xxx-xxxx
事業実施主体連絡先
○○県○○郡○○町農村林務課木質バイオマス事業係
TEL : xxx-xxx-xxxx、E-mail : [email protected]
施設・施策名称
ハード
○○町木質バイオマス事業センター
変換技術
木質バイオマス発電
施設の
(ボイラで木質バイオマス燃焼させて発電)
場合は
原料バイオマス
製材廃材、間伐材、被害木等
その概
処理能力
ボイラ受入能力
要
(時間・日量・年間)
(3t/時間、8 時間/日、250 日/年)
出力 600kw、電圧 6,600V
発電能力
所在地
6,000t/年
○○県○○郡○○町○丁目○番
進捗を管理する事項
(1)進捗確認
事項名称
達成状況の概要
予定期限
達成度(%)
一部改良・詳細設計の
※議会承認の遅れにより一
2015 年
30%
確定
年遅れ(以下全て同じ)
入札実施及び業者の選
○○(社)により事業実施
2015 年
40%
着工
2016 年
50%
供用
2016 年
70%
試験運転~稼働
2017 年
100%
利活用状況の概要
利活用量
利用率(%)
主に製材廃材の利用
5,800t/年
82%
効果の算定根拠(算定式)
備考
定
(2)【ハード施設の場合】バイオマス利活用実績
期間(年度)
実績値
2017 年度
(間伐材、被害木は利用せず)
実
績
(3)効果実績
効果
効果量
45
(金額等規模)
(留意点)
1)物量に特化した評価指標
①廃棄物処理量
550t/年
の削減
②資材、燃料の代
替量
③CO2 の排出削
バイオマス変換施設○○にお
ける廃棄物受入れ実績
熱量 36,000MJ/年
灯油 980ℓ/年
464t-CO2/年
減量
豚排泄物 200t×180MJ/t
豚排泄物 200t×4.9ℓ/t
ガソリン使用削減量 100kl
×2.32 tCO2/kl
④地産地消率
⑤その他物量に
関連する指標
2)経済的効果に関連する評価指標
①新規雇用創出
10 人
量
バイオマス変換施設○○での
新規雇用者数
②経費削減効果
1,250 万円/年
廃棄物処理削減量 500t
×処理コスト 25 円/kg
③農林漁業の振
興・活性化
④その他の経済
的効果に関連す
る指標
3)その他
①学習効果
2 億円/年
エコツアー参加人数 2 万人
×日帰客平均支出額 1 万円/人
②情報発信
46