常時観測データによる五十日(ごとおび)の交通量の状況把握

第27回日本道路会議
50031
常時観測データによる五十日(ごとおび)の交通量の状況把握
国土交通省
国土技術政策総合研究所
道路研究部
道路研究室
○
野
間
同
奥
谷
同
井
坪
真
俊
正
慎
二
1.はじめに
五十日(ごとおび)とは、5 日や 10 日、15 日といった 5 と 10 がつく日であり、関西における取引先との
決済を行う「五十払い(ごとばらい)
」という商慣行に由来し、人の移動が多く交通渋滞が生じることが多い
と言われている。平成 17 年度道路交通センサスにおいても、五十日を避けた調査日の選定を行うことが示
されているように、交通量調査の実施に当たっては、「交通量が多くなる五十日の実施は避けるべき」という
定説が存在する。
今回の報告は、常時観測機器によって得られたデータを用いて、平日の「平均日交通量」と「五十日の平
均交通量」の比較により、五十日の交通量が増加傾向を見せるのか否か、その検証を行ったものである。
2.分析の方法
交通量常時観測調査における基本観測では、全国の主要な幹線道路における交通量の変動を把握するため、
トラフィック・カウンター(車両感知器)を用いて 24 時間連続(年間 8,760 時間)常時観測を行っている。
今回の分析では、平成 16 年度の基本観測点 543 箇所のうち、平日
表-1 分析対象地点数
基本観測 分析対象
抽出割合
地点数
地点数
48
46
95.8
104
88
84.6
60
51
85.0
88
73
83.0
79
57
72.2
38
38
100.0
48
37
77.1
27
24
88.9
42
22
52.4
9
9
100.0
543
445
82.0
(該当日:248 日)および平日の五十日(該当日:46 日)において 8
割以上の日数にて日交通量が取得できている箇所として 445 箇所のデ
ータを用いた。各地方整備局単位の分析対象地点数の状況を表-1 に
示す。
比較の方法として、対象地点ごとに、平日の「平均日交通量」と「五
十日の平均日交通量」を集計し、
「平均日交通量」に対する「五十日の
平均日交通量」の割合を算出した。それらの割合の分布状況を整理す
北海道開発局
東北地整
北陸地整
関東地整
中部地整
近畿地整
中国地整
四国地整
九州地整
沖縄総合事務局
合計
ることによって、常時観測点における五十日の交通量の増減傾向を確認することとした。
178
200
150
量に対する五十日の平均日交通量の割合が、1%誤差内に存
52
13
6
1
1.020以上
14
1.005以上~1.010未満
0
0.995以上~1.000未満
向は見受けられなかった(図-1 参照)。また、平均日交通
6
0.990以上~0.995未満
の箇所が 6 割以上を占め、五十日の交通量が多いという傾
13
0.985以上~0.990未満
日の平均日交通量」の割合の分布状況を見ると、1.0 未満
50
62
0.980以上~0.985未満
全国 445 箇所における「平均日交通量」に対する「五十
100
100
0.980未満
(1)全国的な傾向
1.015以上~1.020未満
250
1.000以上~1.005未満
3.平日平均日交通量と五十日の平均日交通量の比較
五十日平均値/平日平均値の分布
五十日の交通量が少ない箇所
五十日の交通量が多い箇所
273箇所(6割)
172箇所(4割)
1.010以上~1.015未満
(箇所)
300
図-1 五十日平均日交通量/平均日交通量の分布
在する箇所の割合は 9 割近くを占め、五十日による大きな交通量の変化は見受けられない状況にある。
50031
第27回日本道路会議
表-2 沿道状況および郡分類による五十日比較
(2)沿道状況および郡分類の区分による比較
五十日平均
>平日平均
168
(37.8)
59
(32.1)
86
(45.5)
21
(30.9)
14
(30.4)
5
(13.2)
31
(46.3)
26
(33.8)
4
(25.0)
31
(40.8)
9
(23.7)
12
(35.3)
対象
この五十日の交通量が増加するという定説は、商慣行に
全体
基づくものであることから、その傾向は市街地部で高くな
沿
道
状
況
ることが想定される。そこで、対象地点ごとに設定されて
市街地部
平地部
山地部
A:都市内街路
いる「沿道状況」と「郡分類」による比較を行った。その
B:都市周辺型-Ⅰ(放射型)
結果を、表-2に示す。なお、沿道状況は、市街地部・平
C:都市周辺型-Ⅱ
郡
分
類
地部・山地部の 3 分類であり、現地の実情を考慮して観測
D:主要幹線-平地部
E:主要幹線-山地部
F:地域幹線
責任者が決定しているものである。また、郡分類は、観光
G:幹線・観光道路
利用や昼夜率等を判断材料としたフローチャートにより、
H:観光道路
五十日平均
=平日平均
4
(0.9)
2
(1.1)
2
(1.1)
0
(0.0)
0
(0.0)
0
(0.0)
1
(1.5)
0
(0.0)
0
(0.0)
3
(3.9)
0
(0.0)
0
(0.0)
五十日平均
<平日平均
273
(61.3)
123
(66.8)
101
(53.4)
47
(69.1)
32
(69.6)
33
(86.8)
35
(52.2)
51
(66.2)
12
(75.0)
42
(55.3)
29
(76.3)
22
(64.7)
合計
445
(100.0)
184
(100.0)
189
(100.0)
68
(100.0)
46
(100.0)
38
(100.0)
67
(100.0)
77
(100.0)
16
(100.0)
76
(100.0)
38
(100.0)
34
(100.0)
A:都市内街路、B:都市周辺型-1(放射型)、C:都市周辺型-2、D:主要幹線-平地部、E:主要幹線-山地
部、F:地域幹線、G:幹線・観光道路、H:観光道路の 8 つに分類されるものである。
その結果をみると、沿道状況における「市街地部」、郡分類における「都市内街路」、「都市周辺型-1」、「都
市周辺型-2」などにおいても五十日の交通量が増加する傾向は見られず、むしろ、全体的な傾向よりも五十
日の交通量が少ない状況も見受けられる。
(%)
80.0
(3)地域別による比較
五十日の交通量が少ない箇所 五十日の交通量が多い箇所
35箇所(9割)
3箇所(1割)
五十日平均値/平日平均値の分布(近畿地整)
65.8
60.0
五十日の慣習は、関西が由来といわれていることから、
40.0
26.3
十日の交通量が多いという傾向は見受けられなかった。
0.0
1.005以上~1.010未満
1.010以上~1.015未満
0.0
0.0
1.020以上
2.6
1.015以上~1.020未満
5.3
1.000以上~1.005未満
が五十日の平均交通量を上回っており、関西地方でも五
0.995以上~1.000未満
その結果をみると、9 割以上の箇所で平日平均交通量
0.0
0.990以上~0.995未満
の状況を確認した。その結果を、図-2に示す。
0.0
0.985以上~0.990未満
0.0
0.980未満
0.0
0.980以上~0.985未満
20.0
地方整備局単位での集計を行い、特に、近畿地方整備局
図-2 五十日平均交通量/平日平均交通量の分布
(近畿地方整備局)
上述の検討のように、五十日の平均交通量では、交通量が増
加するという傾向は見受けられなかった。そこで、1 日と 11 日
と 21 日と 31 日を一日の組み合わせとして集約し、何日の組み
合わせにおいて交通量が増加する傾向にあるのかを確認した。
その結果を、図-3に示す。
その結果をみると、五日の組み合わせ(5 日、15 日、25 日)
100%
80%
60%
40%
20%
0%
一日 二日 三日 四日 五日 六日 七日 八日 九日 十日
凡例
0.98未満
0.98以上~0.99未満
0.99以上~1.00未満
1.00以上~1.01未満
1.01以上~1.02未満
1.02以上
該当日の平均交通量が 該当日の平均交通量が
少ない箇所
多い箇所
(4)日付による変動状況の確認
図-3 日付による交通量の状況
に若干の増加傾向がうかがえるが、十日の組み合わせ(10 日、20 日、30 日)には増加傾向は見受けられな
い。また、六日や九日の組み合わせにおいても交通量が多いなどの傾向がみられている。
4.おわりに
常時観測データからみた全国的な傾向においては、五十日の交通量が増加する傾向は確認できなかった。
この結果を踏まえる限りは、五十日による交通量調査日の制約を気にする必要はないものと思われる。
ただし、常時観測地点は主要な幹線系に設置されているため、非幹線系や道路管理者が異なる路線の状況
については確認できていない。ここで、商慣行を目的とした道路利用者は、地域に精通している方が多く、
細街路等の非幹線系の道路を利用する傾向も少なからずあるものと推察される。これらの路線では連続した
交通量データの取得は困難であることから、プローブパーソン調査などのデータを生かして検証に取り組む
ことも考えていきたい。