落石の衝撃力に及ぼす敷砂緩衝材の密度の影響

33
落石の衝撃力に及ぼす敷砂緩衝材の密度の影響
河原
荘一郎*
Effect of Density of Sand Cushion on Impact Force Due to Rockfall
Soichiro KAWAHARA
Abstract
The estimates of the impact force caused by a rockfall and the falling point are very important
for the design of rockfall prevention covers. Sand cushions against the impact force are widely used
for rockfall prevention covers.
The objective of the present paper is to investigate the relation between the dry density of a
sandy soil and the impact responses due to a falling weight likened to a rockfall. A series of
laboratory experiments for a decomposed granite soil was executed in the combination of weight
masses and drop heights.
As a result, it was clarified that the impact acceleration, the earth pressure at the bottom of
the mold and the propagation velocity of the impact wave increase with the increase in the dry
density of the soil. However, the transmission ratio of the impact force does not depend on the dry
density of the soil.
Keywords : Rockfall, Impact force, Rockfall prevention cover, Sand cushion, Transmission ratio
されている.ちなみに,日本には 900 箇所以上に設置
1. まえがき
されている2 ) .
日本には山岳地帯が多く,そこに建設された道路
落石覆工はプレストレスコンクリートや鉄筋コンク
や鉄道は,集中豪雨,風化作用,地震等によって落
リート製等が採用されているが,いずれも落石による
石の危険に曝されている.落石は,山崩れ,地すべ
衝撃力を緩和させるために屋根部にはクッション材が
りおよび土石流と並ぶ地盤災害の一種である.一 般
設置されている.クッション材は通常,厚さ 90 cm 程
に規模は小さいものの,毎年 2,000~5,000 件にも
度の川砂や山砂が使用され,敷砂緩衝材と呼ばれてい
及ぶ落石事故が発生している
1)
.山岳部が多い
日本では,大きな落石事故が発生する度に防災
点検が強化され,対策が講じられてきた.
落石対策工は,落石予防工と落石防護工に大別さ
れ,さらに落石防護工は,落石防護網,落石防護柵,
る.
落石対策便覧 3 ) では,落石の敷砂緩衝材に与える
衝撃力を算定する式は,次式の振動便覧式4 ) が採用
されている.
Pmax=2.108・(m・g)
2/3
・l 2/5・H 3/5
(1)
落石防護擁壁,落石覆工(ロックシェッド)に分類され
Pmax:落石の衝撃力 [kN],m:落石の質量 [t],
る.落石覆工は工費や用地等で問題があるものの,落
g:重力加速度 [m/s2],H:落下高さ [m],
石の位置エネルギがこれら落石防護工中で最高の 500
l:被衝突体のラメ定数 [kN/m2]=1,000~10,000
kJ 程度を越える場合や,落石の跳躍量が大きい場
この式は,弾性衝突現象としてヘルツの衝突理論を
合,あるいは落石以外に崩土が予想される場合に使用
適用し,落石を球形,被衝突面を平面と仮定して導か
*
れている.落石対策便覧では,ラメ定数 l は 1,000
土木工学科
34
kN/m2 を採用している3 ) .しかし,落石の衝突は塑性
図 2 に重錘落下による衝撃実験装置を示す.この装
衝突であること,また敷砂緩衝材の密度の影響はラメ
置は,落石に見立てた重錘,敷砂緩衝材に見立てた供
定数 l に取り入れられているが,敷砂緩衝材の密度
試土が所定の密度で充填されたモールド(内径 180
とラメ定数 l の関係が不明瞭であることの 2 つ問題
mm,肉厚 15.5 mm,高さ 300 mm の鋼製),およびガ
がある.
イドの 3 つの部分からなる.重錘は平底で,載荷盤
ここでは,敷砂緩衝材の密度が落石の衝撃力に及
(底面直径 98 mm,厚さ 15 mm)の上面中央に圧電式
ぼす影響を調査することを目的とした.そのため,落
加速度計(定格容量 5000 G)を内蔵する.また,モー
石に見立てた重錘の落下衝撃の室内実験を行った.敷
ルド底面に土圧計(受圧面直径 27 mm,定格容量 196
砂緩衝材の密度,落石質量,落石落下高を実験条件と
kPa)を装備する.
して,衝撃加速度波形,底面土圧波形,落石貫入量を
測定し,最大衝撃力,最大底面土圧,落石覆工への伝
達割合,衝撃波伝播速度を調査した.
ガイド
2. 実験方法
12 φ
20 φ
供試土は,粒径 2.00 mm 以下に調整した愛媛県松
山市産のまさ土である.地盤工学会基準「地盤材料の
ロッド
重 錘( ラ ン マ ー)
全体の質量 m
質量調整盤
圧電式加速度計
載荷盤
工学的分類(JGS 0051-2000)」による土質名称は,粘
98 φ
性土質砂(SCs)である.表 1 にそれらの主な土質性状
落下高 H
を,図 1 に粒径加積曲線を示す.
供試土の土質性状(まさ土)
(g/cm3)
2.693
土粒子の密度 rs
(%)
63.3
粗砂分
(%)
19.1
細砂分
(%)
9.0
シルト分
(%)
8.6
粘土分
0.60
D50 (mm)
平均粒径
90.9
Uc
均等係数
16.4
U c’
曲率係数
1.240
最小乾燥密度 rdmin (g/cm3)*
1.529
最大乾燥密度 rdmax (g/cm3)*
3 **
1.922
最大乾燥密度 rdmax (g/cm )
11.9
wopt (%)**
最適含水比
*
「砂の最小密度・最大密度試験法(JIS A 1224:2000)」
**
「突固めによる土の締固め試験法(JIS A 1210:1999)」
A-b 法
供試砂
300
表1
180 φ
モールド容量
V =7634 cm3
土圧計
図1
重錘落下による衝撃実験装置
まず,モールドに最適含水比 wopt を目標に加水調整
した供試砂を 1185 cm3 づつ分け充填し,層毎に密度
調整用重錘(質量 3.75 kg,底面直径 17.6 cm)を高さ
30cm,所定の回数 NB0(=1,2,4)にて落下させ,初
期乾燥密度rd0 の異なる地盤を作成した.ちなみに,
100
通
過
質
量
百
分
率
平均乾燥密度rd0 は,NB0=1,2,4 回で順に,1.352±
0.017,1.437±0.021,1.582±0.015 g/cm3 あった.
80
その後,重錘質量 m=3.10~6.97 kg,落下高 H=
60
15.7~46.3 cm の計 16 通りの組合せで,重錘を 1 回落
40
下させ,衝撃加速度 a およびモールド底面土圧 s を
(
P
)
%
サンプリング間隔 50 ms,ローパスフィルタ 500 Hz に
20
てデジタルデータレコーダにより測定した.また,重
0
0.001
0.01
図2
0.1
粒径 D (mm)
1
供試土の粒径加積曲線(まさ土)
10
錘貫入量をデプスゲージにより 4 ヶ所で測定し,平均
値を求めた.実験は同一条件で,2 回繰り返した.
35
変化させた場合の重錘の衝撃加速度波形に図 4 に示
3. 実験結果および考察
す.全実験ケースにおいて,第 1 波のみで,跳返りに
よる第 2 波以降は観測されなかった.
3.1 重錘貫入量
まず,重錘質量 m および落下高 H からなる組合せ
衝撃加速度波形は,供試土の乾燥密度rd0 によらず
として,重錘運動量 mv0(v0:衝突速度)および位置エ
急激に立ち上がる.NB0=1,2 回ではピークが 2 つ,
ネルギ mgH と,重錘貫入量 S との相関性をべき関数
NB0=4 回では 1 つ見られる.第 1 ピークは土の弾性
による回帰分析により調査した.
的挙動,第 2 ピークは塑性的挙動(ひずみ硬化)に起因
その結果,図 3 に示すように,重錘貫入量 S は,位
する5 ) .
置エネルギ mgH と強い相関性があり,その増加とと
また,豊浦標準砂を対象として行われた同様の実験
もに増加する.また,供試土の乾燥密度rd0 の増加す
では,ほとんどの場合で衝撃加速度 a が瞬間的に負に
るにしたがって,重錘貫入量 S は減少する.
なる 6 ) が,まさ土を対象とした本実験では全実験ケ
なお,衝突速度 v0 は,力学的エネルギ保存則よ
ースにおいて,この現象は観測されなかった.
さらに,衝撃加速度 a は,供試土の乾燥密度rd0 お
り,次式で与えられる.
v0= 2gH
(cm)
2.5
よび落下高 H の増加,重錘質量 m の減少とともに大
(2)
きくなる.
ところで,運動量保存則により衝撃加速度 a の衝撃
0.468
ρd 0 (g/cm 3) 0.450(mgH)
1.35
1.44
1.58
S
2.0
(r=0.972)
持続時間 tf(衝撃加速度 a が最初に 0 になり増加した
後に再び 0 まで減少するまでの時間)までの時間積分
1.5
は衝突速度 v0 に等しく,またエネルギ保存則により
0.178(mgH)0.604
(r=0.912)
衝突速度 v0 は重錘質量 m に依存せず落下高 H の平方
根に比例する(式(2)).一次元状態で行われた同様の
1.0
実験7 ) と同様に,図 4 の場合は落下高 H が同じであ
るので,衝撃加速度 a と時間 t 軸で囲まれた面積はほ
0.5
ぼ等しくなる.
0.113(mgH)0.558 (r=0.889)
0.0
0
5
10
15
20
25
(J)
m gH
図3
3.3 重錘の最大衝撃加速度
まず,重錘質量 m および落下高 H からなる組合せ
重錘貫入量 S と位置エネルギ mgH の関係
として,衝突速度 v0 および v0/m と,最大衝撃加速度
3.2 重錘の衝撃加速度波形
amax との相関性をべき関数による回帰分析により調査
一例として,同一落下高 H=30 cm で重錘質量 m を
した.
30
40
100
m (kg)
3.10
4.06
5.04
6.01
6.97
(G)
w= 11.7% H= 30cm
ρd0 = 1.47g/cm 3 N B0 = 2
w= 14.4%
H= 30cm
ρd0 = 1.58g/cm 3 N B0 = 4
80
a
a
40
60
m (kg)
3.10
4.06
5.04
6.01
6.97
(G)
w= 12.1% H= 30cm
ρd0 = 1.35g/cm 3 N B0 = 1
a
(G)
50
20
60
m (kg)
3.10
4.06
5.04
6.01
6.97
40
20
10
0
0
20
10
20
t
30
(ms)
図4
0
0
5
10
t
15
20
(ms)
重錘の衝撃加速度 a と時間 t の関係
0
0
5
10
t
15
(ms)
36
30
は,v0/m と強い相関性があり,その増加とともに増
(ms)
加する.また,供試土の乾燥密度rd0 の増加するにし
ta
その結果,図 5 に示すように,最大衝撃加速度 amax
ρd 0 (g/cm3)
20
たがって,最大衝撃加速度 amax は増加する.
60
a max (G)
ρd 0 (g/cm3 )
0.587
81.1(v0 /m)
1.35
(r=0.900)
1.44
0.762
1.58 52.8(v0/m)
(r=0.926)
40
1.35
1.44
1.58
10
11.5m0.309
(r=0.748)
5.39m0.515
(r=0.921)
4.23m0.390
(r=0.883)
0
0
2
4
6
8
m (kg)
20
図6
変化させた場合のモールド底面土圧波形に図 7 に示
37.4(v0 /m)0.901 (r=0.968)
0
0.0
図5
0.2
0.4
重錘の衝撃持続時間 ta と重錘質量 m の関係
す.重錘質量 m および落下高 H が増加するにしたが
0.6
0.8
1.0
v 0 / m (m/s/kg)
って,モールド底面土圧s は大きくなる.
重錘の最大衝撃加速度 amax と v0/m の関係
また,重錘の衝撃加速度の持続時間 ta と同様に,モ
ールド底面土圧の波形持続時間 ts(モールド底面土圧
3.4 重錘の衝撃加速度の持続時間
s が 0 から大きくなり一定値に落ち着くまでの時間)
まず,重錘質量 m および落下高 H と,衝撃持続時
は,重錘質量 m が増加するにしたがって長くなる
間 ta との相関性をべき関数による回帰分析により調
が, 落下高 H が増加してもほとんど変化しない.
査した.
さらに,供試土の乾燥密度rd0 の増加するにしたが
その結果,図 6 に示すように,衝撃持続時間 ta は,
って,モールド底面土圧s は大きくなり,モールド底
m とかなりの相関性があり,その増加とともに増加す
面土圧の波形持続時間 ts は減少するが,最大を示す
る.一方,落下高 H とはほとんど相関性がみられな
位置は相対的に波形持続時間 ts の前方へ移動する.
かった.また,供試土の乾燥密度rd0 の増加するにし
たがって,衝撃持続時間 ta は減少する.
3.6 モールド底面最大土圧
まず,重錘質量 m および落下高 H からなる組合せ
3.5 モールド底面土圧波形
として,重錘運動量 mv0 および位置エネルギ mgH
一例として,同一落下高 H=30 cm で重錘質量 m を
と,モールド底面最大土圧 smax との相関性をべき関
100
w= 11.5% H= 30cm
ρd0 = 1.43g/cm 3 N B0 = 2
m (kg)
3.10
4.06
5.04
6.01
6.97
40
(kPa)
(kPa)
60
w= 14.4%
H= 30cm
ρd0 = 1.58g/cm 3 N B0 = 4
80
σ
20
m (kg)
3.10
4.06
5.04
6.01
6.97
σ
w= 12.0% H= 30cm
ρd0 = 1.35g/cm 3 N B0 = 1
σ
(kPa)
30
60
m (kg)
3.10
4.06
5.04
6.01
6.97
40
10
20
20
0
0
10
20
t
30
(ms)
図7
0
0
5
10
t
15
20
(ms)
0
0
モールド底面土圧 smax と時間 t の関係
5
10
t
15
(ms)
37
数による回帰分析により調査した.
その結果,図 8 に示すように,モールド底面最大土
3.8 衝撃圧力伝達率
圧 smax は,位置エネルギ mgH とやや相関性があり,
ここでは,重錘落下による衝撃力がモールド底面に
その増加とともに増加する.また,供試土の乾燥密度
到達する割合を調査した.衝撃圧力伝達率(s/p)max は
rd0 の増加するにしたがって,モールド底面最大土圧
最大モールド底面土圧 smax を最大衝撃圧力 pmax で割
smax は増加する.
ったもので表される.ここで,最大衝撃圧力 pmax は
次式で求めた.
100
σmax
(kPa)
0.497
(r=0.624)
ρd 0 (g/cm3) 14.1(mgH)
1.35
1.44
1.58
80
(r=0.642)
9.08(mgH)0.438
60
m × a max
A
pmax=
A:重錘底面積=75.4 cm2
(3)
図 10 に衝撃圧力伝達率(s/p)max と重錘質量 m の関
係を示す.衝撃圧力伝達率(s/p)max は,かなりばらつ
いているものの,重錘質量 m および落下高 H の影響
をほとんど受けない.また,衝撃圧力伝達率(s/p)max
40
は,供試土の乾燥密度rd0 の順に大きくなるものの,
平均値で 12.9~15.3 %と僅かな差であるので,供試土
20
2.73(mgH)0.702 (r=0.799)
5
10
15
20
m gH
図8
25
(J)
30
ρd 0 (g/cm3)
(σ/p)max (%)
0
0
の乾燥密度rd0 をほとんど受けない.
モールド底面最大土圧 smax と
位置エネルギ mgH の関係
20
15.3±3.6%
1.35
1.44
1.58
14.6±3.0%
3.7 衝撃波伝播速度
初期の供試土厚 30 cm を衝撃伝播時間 ts(衝撃加速
10
度 a とモールド底面土圧s の発生時間差)で除した値
12.9±2.9%
として衝撃伝播速度 vs を算定した.
図 9 に衝撃伝播速度 vs と重錘質量 m の関係を示
0
0
す.衝撃伝播速度 vs は,かなりばらついているもの
2
4
の,重錘質量 m および落下高 H の影響をほとんど受
けない. また,供試土の乾燥密度rd0 の増加するにし
たがって,衝撃伝播速度 vs は若干増加する.
150
v s (m/s)
ρd 0 (g/cm3)
117.6±6.2
1.35
1.44
1.58
100
6
8
m (kg)
図 10
衝撃圧力伝達率(s/p)max と重錘質量 m の関係
3.9 重回帰分析
重錘質量 m および落下高 H を独立変数として,べ
き関数による重回帰分析を行った.その結果を表 2 に
示す.
重錘貫入量 S に及ぼす重錘質量 m の影響は,落下
高 H をに比べ大きい.また,最大衝撃圧力 pmax に及
95.8±10.9
92.7±16.3
50
ぼす重錘質量 m の影響は,落下高 H の指数がほぼ 0.5
で変化しないのに対し,供試土の乾燥密度rd0 が増加
するにしたがって大きくなる.
したがって,式(1)において,敷砂緩衝材の密度の
0
0
図9
2
4
6
8
m (kg)
衝撃伝播速度 vs と重錘質量 m の関係
影響は,ラメ定数l よりはむしろ落石質量 m の指数
に現れると考える.
38
表2
重錘質量 m および落下高 H のべき関数による重回帰分析結果
NB0 = 1
rd0 = 1.352 g/cm3
NB0 = 2
rd0 = 1.437 g/cm3
NB0 = 4
rd0 = 1.582 g/cm3
S
[cm]
0.172 m 0.551H 0.392
(n = 32, R = 0.854)
0.0514 m 0.711H 0.506
(n = 32, R = 0.933)
0.0324 m 0.589H 0.530
(n = 32, R = 0.891)
amax
[G]
13.1 m -0.850H 0.525
(n = 32, R = 0.970)
12.2 m -0.625H 0.579
(n = 32, R = 0.952)
23.4 m -0.463H 0.473
(n = 32, R = 0.934)
ta
[s]
16.2 m 0.287H -0.096
(n = 32, R = 0.784)
5.91 m 0.509H -0.026
(n = 32, R = 0.922)
4.72 m 0.383H -0.030
(n = 32, R = 0.886)
pmax
[kPa]
17.0 m 0.150H 0.525
(n = 32, R = 0.970)
15.9 m 0.375H 0.579
(n = 32, R = 0.952)
30.4 m 0.537H 0.473
(n = 32, R = 0.934)
smax
[kPa]
0.445 m 0.579H 0.814
(n = 32, R = 0.816)
2.92 m 0.360H 0.509
(n = 32, R = 0.657)
3.88 m 0.408H 0.578
(n = 32, R = 0.639)
4. 結
び
参考文献
落石覆工上の敷砂緩衝材の密度が落石の衝撃力に及
1 ) 日経コンストラクション 編:豊浜トンネル崩落事
ぼす影響を調査することを目的し,落石に見立てた重
故から 4 カ月,日経コンストラクション,
錘のまさ土上の落下衝撃の室内実験を行った.その結
No.162,34~51,日経 BP 社,(1996).
果,本研究で得られた新しい知見を以下に述べる.
(1) 重錘貫入量および衝撃持続時間は,供試土の乾燥
密度が増加するにしたがって減少する.
(2) 重錘の衝撃加速度,モールド底面土圧および衝撃
波伝播速度は,供試土の乾燥密度が増加するにし
たがって増加する.
(3) 衝撃圧力伝達率は,供試土の乾燥密度の影響をほ
とんど受けない.
2 ) 土木学会構造委員会衝撃問題研究小委員会 編:ロ
ックシェッドの耐衝撃設計,構造工学シリーズ
8,土木学会,東京,序文,(1998).
3 ) 日本道路協会 編:落石対策便覧(改訂版),日本道
路協会,東京,20~23,268~274,(2000).
4 ) 土木学会土木振動学便覧編集小委員会 編:土木技
術者のための振動便覧(第 2 版),土木学会,東
京,514~520,(1985).
5 ) 大島昭彦,高田直俊,福本彦吉:重錘落下締固め
謝辞:この論文は,本校土木工学科平成 12 年度の
卒業研究「落石の衝撃力に及ぼす敷砂の密度の影響」
における重錘挙動と地盤応力,土木学会論文集,
561/Ⅲ-38,215~226,(1997).
を再構成したもので,実験遂行に当たっては,福田
6 ) 河原荘一郎,室 達朗,菊田裕樹,尾崎康隆:重
恭司 技官,大島 由嗣 氏,古川 寿明 氏にお世話にな
錘落下による豊浦砂の衝撃応答に及ぼす密度の影
った.また,文部科学省平成 12 年度科学研究費補助
響,第 52 回土木学会中国支部研究発表会発表概
金(基盤研究(C))(課題名:土砂斜面上の落石の運動お
要集,391~392,(2000).
よび衝撃力に及ぼす地盤特性の影響,代表者:河原荘
一郎)を受けた.記して謝意を表します.
7 ) 河原荘一郎,室 達朗,市原一也:重錘落下によ
る砂質土の一次元締固め密度と衝撃応答に及ぼす
重錘質量・落下高の影響,土木学会論文集,
652/III-51,21~33,(2000).
(平成 13 年 9 月 26 日受理)