6. 床面の滑りやすさ

6. 床面の滑りやすさ
(1)基本的な考え方
床の材料および仕上げは、床の使用環境を考慮した上で、高齢者、障害者等が安全かつ円滑に
利用できるものとする。
(2)評価指標
床材の滑りにくさの指標として、 J IS A 5 7 0 5 (ビニル系床材)付属書に定める、
「床材の滑り
試験方法(斜め引張型)」によって測定される、「滑り抵抗係数( C .S.R : C o e f ficie n t o f Slip
R e sis t a n c e)
」を用いる。
(3)使用条件
CSRを規定する際には、床の使用条件を勘案して、以下のうちから当該部分において可能性
のある表面状態を検討する。
ア.全清掃の状態
イ.ほこり付着状態
ウ.水分付着の状態
エ.油付着の状態
(ほこりや水分の付着の有無により、滑りやすさは大きく異なるので、外部から持ち込まない
ように計画する必要がある。
)
(4)材料および仕上げ
床の材料および仕上げは当該部位の使用条件を勘案した上で、原則としてCSRが以下の値を
満足する材料、仕上げとする。ただし、体育館の床など激しい運動動作を行う箇所についてはこ
の限りでない。
(激しい運動動作を行う箇所ではあまり滑らない床も危険である。
)
下足で歩行する場合
0.4∼0.9
上足で歩行する場合
0.3 5∼0.9
素足で歩行する場合
0.4 5∼0.9
傾斜路部分
0.5∼0.9
(5)滑りの差
同一の床において滑り抵抗値に大きな差(CSRで 0 . 2 以上)がある材料の複合利用は避ける
(突然滑り抵抗が変化すると、つまずいたりする危険が大きい)
。
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【床材と滑りやすさ】
下足床で歩行する場合
(靴、運
靴、運動靴、
動靴、サンダ
サンダル)
ル)
対象となる床
対象と
なる床
滑る 滑る C . S . R(滑り抵
滑り抵抗値)
抗値) 滑らな
滑らない
0 . 0 0 . 1 0 . 2 0 . 3 0 . 4 0 . 5 0 . 6 0 . 7 0 . 8 0 . 9 1 . 0 1 . 1 1 . 2
事務所、工場、店舗
ホテル、厨房
石材
本磨き、水磨き
バーナー仕上げ
油
フローリ
ローリング
ング
塗装
無塗装
油 水
水
清浄
油,水
油,水
カーペッ
ーペット
清浄
油 水
プラスチ
ラスチック
ック
タイル、
イル、シート
シート
平滑
エンボス加工
油
水
油
セラミッ
ラミック、
ク、
タイル
タイ
施釉、平滑
無釉、ノンスリップ
油
水
モルタル
ルタル、
コンクリ
ンクリート
ート
金ゴテ仕上
ノンスリップ仕上
上足床で歩行する場合
(靴下、
靴下、足袋、
足袋、フェル
フェルトスリ
トスリッパ)
ッパ)
対象となる床
対象と
なる床
つ
ま
づ
き
転
倒
油
清浄
清浄
清浄
清浄
清浄
油
清浄
水
水
油
清浄
清浄
水
清浄
滑る 滑る C . S . R(滑り抵
滑り抵抗値)
抗値) 滑らな
滑らない
0 . 0 0 . 1 0 . 2 0 . 3 0 . 4 0 . 5 0 . 6 0 . 7 0 . 8 0 . 9 1 . 0 1 . 1 1 . 2
住宅、和室
舞台
つ
ま
づ
き
転
倒
たたみ
たた
フローリ
ローリング
ング
塗装
無塗装
カーペッ
ーペット
プラスチ
ラスチック
ック
タイル、
イル、シート
シート
平滑
エンボス加工
素足で不自然な動作をする場合
対象となる床
対象となる床
ふろ場、
プールサイド
石材
本磨き、水磨き
バーナー仕上げ
セラミッ
ラミック、
ク、
タイル
タイ
施釉、平滑
無釉、ノンスリップ
プラスチ
ラスチック
ック
タイル、
イル、シート
シート
滑る 滑る C . S . R(滑り抵
滑り抵抗値)
抗値) 滑らな
滑らない
0 . 0 0 . 1 0 . 2 0 . 3 0 . 4 0 . 5 0 . 6 0 . 7 0 . 8 0 . 9 1 . 0 1 . 1 1 . 2
平滑
エンボス加工
つ
ま
づ
き
転
倒
水
シャボン
シャボン
シャボン
水
水
シャボン
シャボン
シャボン
水
シャボン
最適範囲
※出典:小野英哲東京工業大学教授作成資料
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清浄
水
清浄
水
水
清浄
清浄
清浄
清浄
清浄
許容範囲