床暖房パネルの熱効率特性と室内温熱環境に関する研究

2008.02
建築学専攻 修士論文梗概
床暖房パネルの熱効率特性と室内温熱環境に関する研究
指導教官
1. はじめに
近年、快適な室内温熱環境を理由に床暖房の使用が増加
しており、特にヒートポンプ(HP)を熱源とした温水床暖
房システムが普及しつつある。しかしながら、こうしたシ
ステムの熱的特性や消費エネルギーについては、まだあま
り知られていない。そこで、本研究では、床暖房パネルの
構造の違いによる、放熱特性を実験的に明らかにし、シス
テムの熱収支を検討する。さらに、HP から供給される温水
温度の違いによる省エネルギー性の評価を行うと共に、エ
アコンによる暖房時のエネルギー消費量と比較・検討する。
2. 研究方法
2.1.研究の構成
研究は大きく 3 つのステップに分かれる。ステップ 1 で
は、床暖房パネルの構造の違いによる放熱特性について述
べ、その時の室内温熱環境について考察する。ステップ 2
では、ステップ 1 を本に床暖房システムの熱収支を明らか
にする。最終のステップ 3 では、床暖房時のエネルギー消
費量について検討する。
パネル A
配管
ピ ッ
チ
75mm
パネル B
75mm
パネル C
-75mm
パネル C
-50mm
75mm
パネルの
下
面
(0.05mm)
仕上げ材
とパネル
の
間
(0.08mm)
B と同様
50mm
B と同様
パネル Cアルミ無
75mm
無
STEP3−
エ ネルギ ー 消費量の
検討
STEP2−床暖房シス テ ム の熱収
STE P1−
床暖房パネル実験結果
アルミ箔
(厚さ)
備考
市販品、並みの性能
放熱能力の優れた仕上
げ材導入、HP 専用に開
発された構成のパネル
仕上げ材の選択可能
一般的な床暖房形式
配管ピッチの違いによ
る影響評価のための試
作品
アルミ箔の影響評価の
ための試作品
パネル A
壁天井に よ る 損失熱量
金 秀耿
坂本雄三教授
パネル B
パネル C-75mm
パネル C-50mm
換気よ る 損失熱量
パネル C- アルミ無
投入熱量
上面放熱量
消費電力
図 2
横面放熱量
実験対象パネルの構造
下面放熱量
配管ロ ス
図 1
研究の構成
2.2.実験に用いた床暖房パネル
実験に用いた床暖房パネルは計 5 種類である。実験はそ
れぞれ一種類当たり 5 枚のパネルを用いた。詳細なパネル
の仕様と構造は表 1 と図 1 に示す。パネルの選別では、仕
上げ材の厚さや熱伝導率による上面放熱量向上や立ち上
がり時間の短縮を試みた。また、アルミ箔は床表面温度ム
ラを解消する役割で、配管ピッチは投入熱量の向上を試み
た。
表 1 実験対象パネルの種類
構造
全 厚 さ ( 仕 仕上げ材の 大きさ
上げ材)
熱伝導率
(mm*mm)
パネル A
一 体 12mm
0.124
606*2718
型
(-)
[W/m・K]
(*5 枚)
パネル B
分 離 12mm
0.205
585*3000
型
(3.5mm)
[W/m・K]
(*5 枚)
パネル C
分 離 24mm
0.117
585*3000
-75mm
型
(12mm)
[W/m・K]
(*5 枚)
パネル C
分 離 24mm
0.117
585*3000
-50mm
型
(12mm)
[W/m・K]
(*5 枚)
パネル C- 分 離 24mm
0.117
585*3000
アルミ無
型
(12mm)
[W/m・K]
(*5 枚)
2.3 実験居室の仕様・実験条件
安定した温水供給を行うために 4 ケースの実験には恒温
の水を一定流量で送る循環装置を用いた。また、計測項目
は表 3 に示すようになる。すべてのデータは 10 秒間隔で
測定した。
表 2 実験居室仕様・実験条件
床面積
11.8m2
天井高
2.0m
Q値
2.35[W/m2K]
次世代省エネ基準相当
C値
1.74[cm2/m2]
面積
断熱仕様
外気温
送水温度
送水流量
[L/min・系
統]
換気回数
[回/h]
熱源
実験条件(各パネル同様)
D:7℃ W:6℃
30-40-50℃(各 1 日間)
0.5
0.5
0.3
0.8
成り
行き
50℃
成り
行き
0.5
0.5
1.5
恒温循環装置
表 3
床
上面
下面
0.5
0.5
0.5
HP 温水熱源
計測項目
熱電対 48 箇所、熱流計 15 箇所
熱電対 24 箇所、熱流計 25 箇所
壁
空間
に位置しているため、床上面の温度が先に上がる挙動を見
せている。
熱電対 内表面 7 箇所+外表面 7 箇所(*4 壁)
空気温
高さ別 7 点 *9 箇所
グローブ温
高さ別 2 点 *9 箇所
水温
合流部往・還 1 箇所
各系統往・還 1 箇所(*5 系統)
流量
合流部 1 箇所、各系統 1 箇所(*5 系
統)
室中央(750mm)
室内・外 1 箇所
温水
PMV
湿度
3. 床 暖 房 パ ネ ル の 放 熱 特 性 と 室 内 温 熱 環 境
以下の実験結果は換気回数 0.5 回/h,送水流量 0.5L/min
の条件におけるものである。また、特に示していない場合
は送水温度 40℃時のデータを用いている。
3.1.床暖房パネルの上下面放熱量
床暖房パネルの上・下面に設置した熱流計の値を用いて、
パネルごとの上下面放熱量を求めた。パネル B は薄型で熱
伝導率の良い仕上げ材を使用しており、上面放熱率が 8 割
程度で実験対象パネルの中で最も優れた結果を見せた。パ
ネル A は、厚さは薄いがアルミ箔が配管より床下の方に設
置されており、上面放熱率がアルミ無パネルと同じ程度の
7 割を示している。
上面放熱量
下面放熱量
C-無
C-50
C-75
25 15.3℃
20
15
10
5
0
25
20
15
10 18.5℃
5
0
25
20
15
10 15.5℃
5
0
0:00
1:00
パネル A
床上温度
床下温度
17.3℃
19.6℃
パネル B
17.0℃
2:00
パネル C
-75mm
3:00
4:00
5:00
6:00
7:00
図 4 立ち上がりの様子
床表面温度ムラは床暖房パネルの差異を表す重要な項
目であり、この実験では放射カメラによる熱画像を比較す
ることで床表面温度ムラの分析を行った。パネル A とパネ
ル B の熱画像では配管の位置が良く見えるが、パネル C を
用いた各条件では配管が見え難く温度ムラが小さくなっ
た。これは仕上げ材の厚さが影響していると思われる。
以上の結果で上面放熱量と床表面温度・室内空間温度は仕
上げ材の厚さや熱伝導率、アルミ箔の位置に強く依存する
ことが示された。ただし、床仕上げ材の厚さが薄い場合に
は表面温度ムラやそのときの人体への温冷感に留意する
必要があると示唆された。
B
A
0%
20%
40%
60%
80% 100%0
20
40
60
放熱量[W/m^2]
80
パネルA
図 3 床暖房パネル別の上下面放熱量
3.2.床表面温度の様相
床暖房パネル別、定常時の床表面や室内空間温度を表 4
に示す。床表面温度は上面放熱量が多くなるほど高くなっ
た。パネル B が最も床表面温度や室内温度が高い結果が見
られた。また、配管ピッチが細かくなることによって上面
放熱量の増加は 3%程度であったが、室内温度は 1.3℃の
上昇が見られた。
表 4 床表面温度・室内温度
A
B
C-75
C-50
C-無
床表面
温度
28.8℃
31.6℃
28.2℃
28.9℃
21.8℃
室内温度
23.7℃
25.8℃
23.5℃
24.8℃
18.5℃
床表面
最高温度
31.6℃
35.0℃
29.2℃
29.8℃
23.4℃
パネルB
C(75mm)
SP01: 34.9
C(50mm)
C(アルミ無)
図 5 パネルごとの熱画像
3.3.室内の垂直温度分布
垂直温度分布はパネルの放熱能力により、温度レベルは
異なるものの、垂直方向には均一な温度分布を見せた。実
験室内の床暖房敷設部分は全面積の 75%程度であるが、床
暖房パネルの敷設部と非敷設部の温度差はほぼ無く、非敷
設部では、敷設部に比べ床温度と天井温度のみ低くなって
いることがわかる。敷設部の高さ 100mm 部分の温度低下が
見られるが,これは壁や天井面付近の冷気が床まで降下し
た影響であると思われる。
床表面
最低温度
26.8℃
29.2℃
26.2℃
26.9℃
20.5℃
敷設垂直温度分布
非敷設垂直温度分布
2000
PanelA
立ち上がりの様子を比較してみると、パネル B は立ち上
がりが最も早く、約 30 分程度で床上表面温度 10℃上昇し
た。また、パネル A は床上表面温度より床下表面温度が先
に上がる挙動を見せている。これはアルミ箔が配管を基準
に床下の方へ位置していることが原因である。また、初期
温度である 7℃から 10℃を上昇させるのに 2 時間程度がか
かり、パネル B に比べて立ち上がりが遅かった。パネル C
の 3 種類は同様の傾向を示した。仕上げ材が 12m との厚い
分、立ち上がりにかかる時間も長くなっている。しかし、
アルミ箔の位置はパネル B と同様にパネルと仕上げ材の間
床上高さ[mm]
1500
PanelB
1000
PanelC
(無)
PanelC(
75)
500
PanelC(
50)
0
10
15
20
25
温度[℃]
30
図 6
2
35 10
15
20
25
温度[℃]
垂直温度分布
30
35
熱源機器から室内に設置されてある床暖房パネルの出入
口までは約 34m の配管がある。配管径は 10A であり、サヤ
管を用いている。
4. 床暖房システムの熱収支の検討
実験により得られた結果からパネルごとの床暖房シス
テムの熱収支を検討した。
4.1.実験居室における熱収支
熱源からの温水の往・還温度差と流量から投入熱量を求
めた。そして、床暖房パネルの上下面に設置されている熱
流計の値から上下面放熱量を求める。最後に壁や天井に設
置されている熱流計の値から実験室の外壁を通じて損失
された熱量を求める。また、換気による熱損失は換気回数
と室内外温度差から求める。これらを合わせて、全体的な
熱バランスを比較した。投入熱量と上下面放熱量を比較し
て、その値の差を差①と示す。また、上面放熱量として室
内を暖房した熱量とそれぞれ実験室壁面と換気によって
損失された熱量の差を差②と示す。
パネルA
1400
1200
熱量[W]
1000
差①
800
差①
600
差①
400
差②
配管ロス(合流ー各系統)[℃/m]
配管ロス(各系統ー出入り口)[℃]
= 配管ロス(合流ー各系統)
* L系統
配管ロス[W]
0
40℃
パネルB
TB往[℃]
T合流往[℃]
TC還[℃]
TC往[℃]
+配管ロス(各系統ー出入り口)
床暖房パネルC系統
床暖房パネルD系統
L合
流
換気による
熱損失量
[W]
換気による
熱損失量
[W]
下面放熱
量[W]
TD還[℃]
TD往[℃]
L系
床暖房パネルE系統
統
TE還[℃]
TE往[℃]
図 8 配管ロスの計算パラメータ
4.3.床暖房パネルの横方向の熱損失
横面放熱量の計算には「INSYS 二次元伝熱・結露計算シ
ステム」のソフトを用いた。まずは、各種類パネルを 2 パ
ターンでモデリングを行った。まずは両サイドの他の床暖
房 に接している中央パネルと片面は非敷設床面と接して
いる端パネルの 2 パターンである。結果の計算値を実験値
と比較をしながら検討を行った。中央パネルの値を実験値
と比較したグラフを図 9 に示す。実験値と計算値がよく合
致していることを確認した。
投入熱量
[W]
50℃
T合流還[℃]
= 配管ロス(合流ー各系統)
上面放熱量
[W]
200
TB還[℃]
床暖房パネルB系統
= (T合流 − T各系統)/L合流
差②
差②
30℃
TA還[℃]
TA往[℃] 床暖房パネルA系統
パネルC (アルミ無)
1400
180
1200
下面
上面
160
140
1000
熱量[W]
120
800
600
100
80
60
40
400
20
0
200
実験値
計算値
実験値
パネルA
0
30℃
40℃
50℃
30℃
50℃
30℃
パネルC(ピッチ75mm)
1400
40℃
50℃
パネルC(ピッチ50mm)
1000
800
600
400
200
0
40℃
40℃
実験値
計算値
パネルC(75mm)
実験値
計算値
パネルC(50mm)
実験値
計算値
パネルC(アルミ無)
図 9 計算値と実験値の比較
4.4.床暖房システムの全体の熱収支
二つの結果をまとめてパネルごとの熱収支を検討した。
「その他」には 4.2 の検討で用いたプログラムのモデル、今
回の実験に用いた計測機器および計測 方法の限界による
ものが含まれていると考えられる。まとめた結果によると
放熱率が高いパネルAとパネルBの場合に熱収支がよく
合う傾向が見られた。投入熱量から約 4 割から 5.5 割程度
の熱が室内の暖房に有効に使われる。ここで計算値として
表れた横面放熱量にはパネルから放出されて再度室内へ
と流入して暖房に有効に使われる分も含む。それに比べて、
配管ロスは投入熱量に対して 2 割、下面放熱率 2.5 割程度
を示しており、このロスを有効に使うことが床暖房の省エ
ネルギーな使用に重要となると思われる。
1200
30℃
計算値
パネルB
50℃
図 7 各パネルの熱バランス
パネルの結果を比較してみると、パネル A とパネル B に
おいては差①・差②の値が小さく、熱収支がよく合ってい
る結果が見られた。また、パネル C を用いた条件は上面放
熱量より損失された熱量の値が大きい結果が出ている。こ
れは、パネルに投入された熱量が上面ではない方向へと流
れて室内に流入された結果であると思われる。実際に、こ
の上面放熱量と損失熱量の値が逆転されている場合には
差①の値が大きく出た。差②は±10%以内で治まっている
のに比べて、差①は投入熱量の 30%以上の値を見せたケー
スもあり、この部分についての検討が要する。差①には配
管の熱損失や床暖房パネルの上面ではない他の方向へと
流れた熱量などが含まれていると予想される。
4.2.配管の熱損失
C-無
上面
C-50
下面
C-75
横面[計
算値]
配管ロ
ス
その他
B
0
A
0%
50%
100% 0
200
400
600
図 10 各パネルの熱収支
3
5 0 0
800 1000
1 0 0 0
1 5 0 0
5.2.温水 HP 床暖房のエネルギー効率
床暖房時のエネルギー消費量とルームエアコン暖房時
のエネルギー消費量の比較を通じて、床暖房の省エネルギ
ー性の検討を行った。実験に用いたルームエアコンは購入
した 2007 年当時のトップランナー商品であった。
表 6 ルームエアコンの仕様
5. 温水HP床暖房システムのエネルギー効率
実験に用いた電気式温水 HP の仕様を以下に示す。ここ
で COP は消費電力に対する暖房能力の比で表される。表で
示されている COP はカタログ値であり、温度や流量・部分
負荷特性により変化する。
表 5 電気式温水 HP の仕様
暖房定格能力
6.0[kW]
消費電力
1500/1400[kW]
定格 COP
4.0[-]
定格能力
最大能力
消費電力
定格 COP
外気 7℃,往 40℃,還 22℃,流量 5L/min 時
5.1.送水温度と消費電力
実験対象パネルで温水 HP を動かした COP はカタログ値
より低い値である 2 3 程度であった。今回の実験ではパネ
ル B の場合が最も高効率で HP が動いた。パネルの放熱能
力が優れているほど、往・還水温の差が生じるため、COP
が良くなる結果を見せる。
また、送水温度別にパネルの挙動を比較してみると、
30℃の送水温度時は COP3 の線に乗って傾きが形成されて
いるが、送水温度が高温になるほど、COP の値が低くなっ
ている。結果的に、放熱能力の良い床暖房パネルを低温水
で流すことで床暖房を最も省エネで使用が出来る。
800
COP=3
600
400
200
30℃
0
0
1A 7
0
8
6B
0
4
0
0
2
0
C-75
0
0
0
0
0 C-50
50
0
10
15
20
25
00
000
C-無
1.5
エアコン
1
0.5
0
10
図 13
6.
HP式床暖房
6
4
2
0
0
500 1000 1500 2000 2500
投入熱量[W]
1000
1000
8
エアコン
HP式床暖房
1次エネルギー量[MJ]
COP=2
室内作用温度を 20℃にするために必要とする投入熱量の
値は暖房方式ごとに差はあまり見られない。それに比べて、
投入熱量 1kW を出すために消費される 1 次エネルギー量に
は大きな差が生じている。原因としては送水温度を上げた
時の COP の低下が影響していると思われる。また、温水床
暖房は熱交換器や配管熱ロスを持っていることも影響を
していると思われる。しかし、送水温度 30℃時は両暖房機
器別、投入熱量あたりの 1 次エネルギー量の差があまり見
られない。つまり、建物が高断熱で暖房負荷が減少するこ
とによって、床暖房もエアコン並の省エネで暖房が可能に
なる。
投入熱量[kW]
消費電力[W]
1000
2.5[kW]
5.7[kW]
0.41[kW]
6.02[-]
20
OT[℃]
30
40
0
0.5
1
投入熱量[kW]
1.5
エアコンと床暖房の消費エネルギー比較
ま
と
め
と
今
後
の
課
題
以上の結果で床暖房パネルの放熱特性をまとめる。
600
600
1.パネルの熱特性については以下のことが分かった。
400
400
・放熱量は仕上げ材の厚さや熱伝導率・アルミ箔・配管ピ
ッチの条件によって影響される。しかし、床暖房パネルを
200
200
より効率的に使うためにはパネルから上面へと放熱する
40℃
50℃
0
0
熱量の割合を増やすことが大事である。
0
500
1000 1500 2000 2500
0
500 1000 1500 2000 2500
・表面温度は上面放熱量が多くなるほど高く達成された。
図 11 パネルによる温水 HP の熱挙動
仕上げ材が厚くなると立ち上がりに所要される時間が長
図 12 は、実空間の床暖房時に消費される電力量の分析を
くなるが、仕上げ材はあまり薄くなると安定した床表面温
行った結果である。暖房空間の容積は 23.69m3である。そ
度が保たれなく快適性を損なうことに有念が要する。
の空間を室内中央における作用温度を 20℃まで暖房する
・アルミ箔は床暖房パネルの熱伝導率上昇に寄与する。し
のに要した消費電力量であり、パネルBとパネルC-50mm
かし、その位置によって、下面へと放熱する熱損失が大き
が 0.21kWhで最も少ないエネルギーで暖房が出来た。また、 くなる場合もあるので、注意が要する。
一番放熱率の低かったアルミ無パネルの場合には、2 倍の
2. パネルの熱収支は、かなり良く分析されたが、横方向
値である 0.41kWhの電力量の結果が見られた。
の熱損失などまだ十分に解明できていない部分がある。
1
3. ヒートポンプ温水熱源と組み合わせた場合のエネルギ
C-無
ー効率については、温水温度が 30℃程度であれば、エアコ
0.8
ンのそれに比肩しうることがわかった。高断熱の建物であ
C-50
0.6
れば、30℃温水でも快適性は損なわないので、ヒートポン
プと床暖房を組み合わせた快適・省エネな暖房システムに
C-75
0.4
対して明るい見通しが得られた。
B
0.2
今度の研究では床暖房パネルの熱特性や床暖房システム
の効率について研究を行った。しかし、まだ床暖房パネル
0
A
の熱収支の部分から横方面へと流れる熱量の検討が不足
0
10
20
30
40
OT[℃]
な点が見られる。また床暖房システムが建物の断熱状況な
どによって変化する影響を明らかにすることが要される。
図 12 室内作用温度と消費電力量の関係
800
消費電力量[kWh]
800
4